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2015-05-21 第189回国会 参議院 財政金融委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         古川 俊治君     理 事                 愛知 治郎君                 若林 健太君                 大久保 勉君                 西田 実仁君                 藤巻 健史君     委 員                 石田 昌宏君                 大家 敏志君                 伊達 忠一君                 塚田 一郎君                 長峯  誠君                 西田 昌司君                 森 まさこ君                 山本 一太君                 礒崎 哲史君                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 風間 直樹君                 前川 清成君                 竹谷とし子君                 大門実紀史君                 中山 恭子君                 中西 健治君                 平野 達男君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君        財務大臣    宮下 一郎君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        越智 隆雄君        厚生労働大臣政        務官       高階恵美子君        国土交通大臣政        務官       鈴木 馨祐君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      井野 靖久君        警察庁長官官房        審議官      島根  悟君        金融庁総務企画        局長       池田 唯一君        金融庁監督局長  森  信親君        復興庁統括官   吉田 光市君        財務省主税局長  佐藤 慎一君        国税庁次長    佐川 宣寿君        国土交通省鉄道        局次長      篠原 康弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (税制等に関する件) ○金融商品取引法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房審議官井野靖久君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、税制等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 石田昌宏

    石田昌宏君 自由民主党の石田でございます。  今日は、医薬品に関連する税制財政につきまして質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に向けて、今、五か年計画を夏までに作成しようということで財政制度等審議会審議が続いております。そして、四月二十七日には社会保障、かなりメーンになってきますが、それが取り上げられまして、その中で医薬品についての議論もあったと承知しております。  また、財務省の方では、同時に内閣府の方でやっています行政改革推進会議の方でもジェネリック医薬品を取り上げましていろいろな提案をしているというふうに聞いておりますが、実は、その資料を見させていただいたんですけれども、確かに、財政的な効果は随分あるなというふうな感じはいたしましたけど、やはり同時に、財政を考えるだけではなくて、患者さんにとって医薬品がどうあるべきかとか、また薬を処方する側にとってどうあるべきかとか、医薬品を作っていくメーカーにとってどうか、若しくは流通も結構大変なので流通市場にとってどうかとか、様々な角度から分析した上での提案がなければ、財政はただ安ければいいというものじゃないと思うんです。  そういった点で、まず医薬品薬価についての議論をすることに対しまして、財務省としての基本的な考え方についてお聞かせいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
  6. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御質問になっております薬価制度につきましては、医療保険制度の持続可能ということをまず観点に入れておかなければならぬと存じております。また国民負担を抑制するという観点、また加えまして、その医薬品について効果が高いのかと、また画期的なものかどうかといった、いわゆる価値に見合った適切な価格というものがなされているかという観点などから常に見直しが必要というように考えております。  こうした観点から、いわゆる後発医薬品と言われておりますジェネリックのことですけれども、使用の一層の促進に努めてまいりたいと思っておりまして、今、日本では約四六・九%を、これを六〇%までに持っていきたいと思っておりますが、ちなみに、先発医薬品の最も高いアメリカでは、このジェネリック使用率は九〇%を超えております。そして、イギリスで七五%、ドイツで八二%、フランスで七〇%に対して日本が四六%という状況でありますので、この比率が高まることによって薬価総額が下がるということは、国民負担もそれだけ減る、税金もそれだけ抑えられるということだろうと存じます。
  7. 石田昌宏

    石田昌宏君 ありがとうございます。  ジェネリックの問題は非常に重要な問題ですので、これから深めて考えていきたいと思いますが、まずは、アベノミクスの三本の矢は成長戦略を求めるわけですけれども、その中でも革新的医薬品開発が大事であるというふうにうたわれております。その中心を担っている製薬メーカーというのは、今、すごい世界的な競争ですごく大変な状況になっていて、かなり多額の研究費研究開発に費やさなければならないということです。  そして、それを支えようという意思は当然国にもあって、税制の面で研究開発促進税制をかなり使っているんですけれども、まずこれについて、実際に製薬メーカーというのはこの税制によってどのぐらい減税効果を得ているんでしょうか。お願いいたします。
  8. 宮下一郎

    ○副大臣宮下一郎君) お尋ねの研究開発促進税制適用状況につきましては、製薬メーカーに限定して計数というのは把握していないわけでありますけれども、平成二十五年度分の租税特別措置適用実態調査、このデータからある程度絞り込みをしてみますと、全業種では、この税制を使っているのは六千二百四十億円分適用がございます。そのうち、製薬メーカーを含みます化学工業では千百二十五億円、その六千数百億の約一八%。さらに、化学工業のうち製薬メーカー、大体この創薬に取り組んでいる大きな製薬会社売上げ上位を見ますと大体四百億から一千億円ぐらいの大企業が並んでおりますので、そういった企業がどこにあるかというと、資本金別分類がございますので、百億円超という一番上のランキングのところの適用実績見ますと、大企業がこのうちの八百十五億円、七二%を使用していると。  件数ベースでいいましても、全適用件数一万二千七百三件で、そのうち化学工業は一千四百五十八件、約一一%、その内数ですけれども、資本金百億円超の大規模な法人は百二十三件、約八%というところで、ここのところに大きな割合製薬会社が入っているんではないかと推計されるところでございます。
  9. 石田昌宏

    石田昌宏君 かなり大規模減税効果があるんじゃないかと思いますけど、残念なのは、化学薬品全体で医薬品がなかなか出てこないという、統計の取り方にあるかもしれませんから、これかなり医薬品重要なので、今後、統計の取り方は是非工夫していただきたいと思いますが。  この度の税制改正の中でこの研究開発促進税制が見直されて、一般試験研究費については控除限度額総額が三〇%から二五%に縮小されて、ある意味、これが成長戦略という観点からすると創薬の妨げにもなりかねないというふうに懸念されているんですが、これについて、実際、この見直し医薬品研究開発をしている創薬メーカーとか、またジェネリックメーカー、そういったものにどのような影響を与えると見込んで今いるわけでしょうか。お願いします。
  10. 宮下一郎

    ○副大臣宮下一郎君) そもそも、研究開発税制試験研究費の金額に応じて税額控除を認めるという制度でございまして、御指摘の創薬分野を含めまして、研究開発費が少ない企業よりも、やはり研究開発に積極的に取り組んでいる、そうした企業をより支援しようという制度設計になっております。  本税制についてですが、二十七年度税制改正で、いわゆるオープンイノベーション個社でやるだけじゃなくていろんな共同研究をやって、そして更にレベルの高い新しい創薬に取り組んでいこうということで、控除限度額三〇%を言わば二五と五に切り分けまして、全体枠は二五にするんですけれども、共同研究などの特別試験研究費、これを五%設けまして、それを活用していただくことによって従来どおりの減税メリットが得られるということであります。  特に、この特別試験研究費については、税額控除率の引上げも行っておりまして、使いやすくということも配慮しておりますし、また、特別試験研究費の条件の中に希少疾病用医薬品医療機器に係る試験研究と、こういうのも明記されておりまして、こうしたことをしっかり支援していこうという税制としてグレードアップを図ったということだと思います。
  11. 石田昌宏

    石田昌宏君 ありがとうございます。  とすると、最初に大臣から薬価制度の話をお伺いして、今は税制のお話聞きましたけど、税制については、確かに懸念はあったんですけれども、何とか研究開発費の支援は前向きに取り組んでいるなと今感じました。  むしろ、薬価の方は今ジェネリック中心で取り組んでいるということなんですけど、ちょっとこれについて今から詳しく見てみたいと思うんですけれども、ジェネリックを推進するということは先発医薬品ジェネリックに置き換わるということです。先発医薬品を研究してきたメーカーからすると、逆に、期限が切れてしまったら、特許が切れてしまったら売れなくなる、ジェネリックに替わってしまうという点で収入が減るということになります。研究開発したメーカー収入を減らす政策だというふうに取ることもできるわけで、これはある意味研究開発促進していきましょうという視点からすると、これは十分かどうかということを考えてみなければならない。むしろ、税制でせっかく成長戦略を推しているのに薬価制度の方で足引っ張っているというふうに取られかねないわけです。  ですから、この点について詳しく考えていきたいと思いますけれども、まずは資料をちょっと御覧いただきたいと思うんですが、資料一です。  医薬品市場が今非常に変わりつつあるんじゃないかということなんですけれども、高齢化が進むと医薬品市場というのは伸びるというふうに思っているのが普通だと思うんですけれども、これはOECDのデータから作成してみたんですけれども、アメリカはちょっとデータが突出し過ぎてここに載せませんでしたけど、傾向として、ヨーロッパ、アメリカでは大体もう医薬品市場が止まってしまったというか停滞しているんですね。それにかかわらず、日本ではまだ伸びつつあるという、こういった状況にあります。  理由は様々あると思うんですけれども、例えば二〇一〇年問題というのもありまして、大型医薬品特許がこの頃にまとめて切れたというのがあります。例えば、日本の製品でしたらば抗菌剤クラビットですとか認知症のアリセプトですとか、そういった大型の薬の特許が切れてジェネリックに代わっていくというような、こういったことがあってなかなか伸びにくくなっているという状況があるかもしれません。  ところが、日本市場だと伸びているんですね。この辺についてちょっと財務省では、この市場規模が増えているということについて御見解があればお伺いしたいというふうに思います。
  12. 宮下一郎

    ○副大臣宮下一郎君) 薬価につきましては、市場実勢価格が緩やかに低下していく、こうした実態を反映して継続的にほぼ毎回マイナス改定ということで来ておりまして、単価ベースでは下がっているわけですけれども、薬剤費総額、また医薬品市場という見方からしても日本ではそれが拡大しているということでありまして、それは大きく要因としては、一つは、やはり日本が他国に先駆けて高齢化が非常に進んでおって、七十より八十代、八十代より九十代と高齢化が進むに従って使用量が増加する、その人口構成の変化というのが一つ大きな要因ではないかということ。  それからまた、年度途中でも新薬効果が高いもの、えてしてそれは価格が高い新薬が多いわけですが、こうしたものもできるだけ積極的に早く日本でも使えるようにという、こういう御要望もあって新薬を保険収載していっていると。こういうことで、トータル、P掛けるQという全体では総額が増え続けると、こういうことになっているんではないかと思います。
  13. 石田昌宏

    石田昌宏君 でも、それは外国でも同じ話であって、日本が伸びているという理由にはならないような気がするんですが。  この医薬品、多分、将来なかなか大変になると思うんです。資料二を見ていただきたいんですけど、概念図で申し訳ないんですけど、絵に、リンゴがなっているわけですが。木の下の方の大きな実というのは大型医薬品で、これまで開発してきて、何百万人という方が使うような薬なんですけれども、これは最近特許が切れてもう大体食べ尽くしてしまい、だんだんジェネリック市場に移っているわけです。これから残っているのは、上の方の、例えば患者数が少ない希少な疾病だとか、すごい管理コストが高くて医療現場でも使いにくいようなものとか、そもそも使える医師が少なくて使えないとか、様々なこういったものがあって、大型になるというのはちょっと期待できないものが中心になってくると思います。そして開発費とか研究費も、上の方にあるわけですから、かなり大変になってくるわけですね。  こういうのをスペシャリティー医薬品とかというんですけど、こういったものがこれから研究開発管理流通ができるような仕組みに切り替えていかないといけないわけで、ここをもしサボっていくとそもそも医薬品開発できませんから、医療そのものを停滞させてしまうことになりかねないわけです。したがって、今、医薬品市場では、こういった開発ができて、ちゃんと患者さんの手元に届くようにするための工夫をしていかなきゃならないし、これが成長戦略で言う画期的医薬品開発ということになると思います。  そこで、ちょっとそろそろ具体的な提案に移っていきたいと思うんですけど、まず、これについて、薬につきましては、今、財政等審議会ではかなり議論が進んでいますが、その議論でどういった提案財務省がしているか、お聞かせいただきたいと思います。
  14. 宮下一郎

    ○副大臣宮下一郎君) やはり財政の面からしますと、薬価制度につきましては、医療保険制度持続可能性、また国民負担を過度に増やさないように抑制していくこと、また費用効果、こうした観点でしっかり考えていくことが必要だというふうに考えております。  こうした観点に立って、四月二十七日の財政制度等審議会において出された一つのアイデアといいますか提案ということで、まずは、その後発医薬品ジェネリック使用を一層促進するために使用割合数値目標、これを、そのときは従来の六〇を八〇に引き上げたらどうかと。それから薬価制度についても、その割合を引き上げた方がインセンティブが得られるというような薬価制度見直したらどうかと。また、特許が切れた後発医薬品公的保険の下での価格後発医薬品価格までとして、やはり患者さんなりが先発医薬品をどうしても使いたい、こういう場合には、その差額部分患者負担とするという仕組みはどうかと、こういうことを提案させていただいたということであります。  また、費用効果評価活用等を通じまして薬価算定在り方適正化をすること、また、生活習慣病治療薬の処方の在り方見直しをすることなども論点として提起したところであります。  さらに、昨年の骨太の方針を踏まえて、薬価基準市場実勢価格を適正に反映したものとなるように薬価調査薬価改定在り方、その頻度、これを見直してはどうかというような論点も提起したところであります。
  15. 石田昌宏

    石田昌宏君 ジェネリック促進中心の策かなと今聞いて思いましたが、確かに、財政効果はあると思います。例えば六〇%を八〇%に増やした場合には、どのくらいか正確な数字ははっきりしていませんけれども、二千から三千億円ぐらいの財政効果があるんじゃないかというふうに、国費ベースで、と言われているようですが、それはそれで意味があるかもしれませんけれども、ある意味患者さんの負担を増やしているとか、ジェネリック差額分を取るとか、そういった感じですとか、流通コストを増やすとか、ある意味、そういったマイナス面もたくさんあるような気はするんですね。  そこでもう一回、やっぱりこのジェネリックを推進することで本当に、全体としては財政的にはいいかもしれないけれども、成長戦略上本当にいいのかとか、実際使う側の立場で本当にいいのかとか、そういったものを含めて提案をしていかなければならないというふうに思っています。  そこで、この辺、これから提案も含めてちょっとお話をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、基本的には、長期収載、つまり特許切れた後の薬とジェネリックに差を付ける必要があるんだろうかという、こういった議論になってくるというふうに思います。  まず、ちょっとここから長くなって申し訳ないんですけど、薬価は難しいので、簡単に仕組み説明だけさせていただきたいと思うんですけれども、薬の改定薬価公定価格でありまして、二年に一回見直されることになっていますけれども、どうやって薬の価格を決めるかというと、既に収載されている医薬品薬価改定に関しましては、医薬品卸会社が実際に医療機関とか薬局とかに販売する実勢価格調査して、市場全体の価格を加重平均します。そして、それに消費税を掛けて、R幅とかいうんですけれども、今二%を加えて、更に微調整をして個々の薬価を決めていくという、そういう複雑な仕組みを取っています。  そういった中で、特許が切れて、ジェネリックメーカーが同じような薬を出そうとするときに、同じ価格じゃいけないだろうということだと思うんですが、これは資料の三にあるんですけれども、大体、先発品薬価の七掛け程度価格で一回決めます。そして、その後どんどんどんどんと後発薬価が出てくるわけですけれども、それはその一番安いものに合わせながら薬価を決めていくという感じになっております。そして、どんどんどんどんと後発医薬品が増えていくと、だんだんだんだん後ろのものは、どちらかというと安い価格で設定されてきますので、ジェネリック同士の間でも差が付いてくることになります。  そして、資料四を見ていただきたいんですけれども、これは厚生省の中医協の、出ていた一部、例としての資料なんですけれども、これは一つの薬が青いところにあります。ジルテックという例がありますけれども、これが八十八・七円で決められています。同じ薬効を持つジェネリックの薬がどんどんいろんなメーカーから出されるんですね。六十九円から始まって、だんだんだんだん安いものも増えていって、最後、もうまとめて二十一円とか十四円とか、そういった形で設定されているわけです。  よく、コマーシャルとかでジェネリックを使いましょうとか言っていて、先発品ジェネリックにというのは多くの国民の方が御理解いただいていると思うんですけれども、ジェネリックにもすごいいろんな種類があって、じゃ、どのジェネリックを使いますかと多分聞かれたことないと思いますし、だって選べるかとか、これだけのコスト、どう在庫しておくのかとかいろんな問題が起きるわけです。これが現実的な話になっているわけですね。  実際問題、ジェネリックたくさん増えていくと管理も大変ですし、私、看護師ですけれども、看護師側としては、似たような名前の薬いっぱいあるわけです。これ本当に、下手すると投薬間違えちゃうこともあったりして、非常に大変な状況にあります。患者さんの理解も難しいということなんです。  逆に、この価格を見たら分かりますけれども、そもそも、頑張れば二十円とかそのぐらいで作れるジェネリックを六十円、七十円とか、先発品は八十円で作っているわけですね。今やろうとしていることは、先発品の八十円のやつを六十円とか五十円にして、この差を増やしましょうということをやっているんですけれども、そもそも、ちょっと単純かもしれませんけれども、例えば一番安いところに薬価を設定して、先発後発も分けずに考えれば薬の価格をぐんと一気に下げることだってできるはずだ、そもそもこれで作れているじゃないかと。先発品メーカーは今まで努力してきたというけれども、特許の間にある程度開発費を確保できれば、残りはもう、ブランド名だって持っているわけですし、ある意味価格競争をしたら強いわけですから、下がったってシェアは取れるかもしれないし、そういった話だと思うんです。  そういった観点物事を考えると、実は、長期収載品という先発メーカー長期収載に残ったやつの価格が設定されて、それに合わせてジェネリック価格はむしろ高止まりしているんじゃないかとか、上がっているんじゃないかというふうに考えるべきじゃないかというふうに思うわけですね。そういった観点物事を考えていくと、ジェネリック長期収載品を分けるから分かりにくくなるのであって、もう基本的に価格を同じにしてしまう、若しくは最低の単価ベースにして価格を考えるとかという仕組みに変えた方が財政効果は一気にあるのではないかというふうに思えるわけです。そういった点で、ちょっともう一回考え直す必要があると思います。  ただ、これだけ考えると財政効果にすぎないわけで、まあ財務省としてはいいし、プライマリーバランス観点では大事なんですけれども、やはり、現実的には特許切れ後の長期収載の薬を売ることによって先発品メーカーも利益を得て研究開発をしているとか、そういった部分もありますし、アベノミクス自体がやっぱりこれから創薬が大事だと言っているので、下がって空いた分の一部を、全部歳出改革に使わないで、一部を例えばもっと研究開発仕組みづくりだとか助成だとか、そういったものに回すという、こういった手をやると、お金が浮いて更に研究開発も進められるということになると思うんですね。  また、それだけじゃなくて、例えばさっき言ったスペシャリティー医薬品、本当にこれから希少な薬がとても大事になります。流通だって大変で、場合によっては、例えば作ってからもう数時間で使わないと壊れちゃうと、そういった薬は本当に流通も大変ですから、そういった流通コストが掛かる分を埋めていくとか、そういった部分の整備に使うなどに工夫すべきだというふうに考えるわけです。  つまり、もっともっとお金を薬価から浮かして、その分を財政健全化だけじゃなくて、むしろ創薬開発だとか市場の整備に使っていくという、こういったアイデアが長期収載品ジェネリックを分けないという考え方なんですけれども、例えばこういったアイデアはまだほかにあるかもしれませんが、こういったことについて御所見をまず伺いたいというふうに思います。
  16. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 甚だ面白いと思いますよ、正直なことを言って。メーカーがどう反応するかは知らないけれども。  この収載品、長期収載品というのですけれども、いわゆる後発医薬品使用促進を図ってはいるのですが、その同じ効能があるはずのいわゆる長期収載品という、まあ特殊用語ですけれども、特許期限が切れた先発医薬品というものの価格が高止まりをしているという状況にあることは、これは間違いありません。  したがって、そうした中で、国民負担を抑制するという観点から、今先生おっしゃったように、この部分を、制度見直しが課題になるんだとこれは思いますけれども、四月の二十七日に財政制度審議会におきまして、いわゆる特許切れ先発医薬品の保険給付額をジェネリック価格に基づいたものとする制度に改革する必要があるということを我々としては財政審議会に提出をさせていただいておりますが、ジェネリックの中で価格競争させろという話でしょう、簡単に言えば。何か難しく長く言っていたけれども、そういうことだよね。ジェネリックの中で八十円もあれば二十円もあるんだから、この中で競争させて安くしろと。長峯さんなり薬剤師がどう反応するか知らぬけれども、これはそういったようなことを言っておられるわけですよ、言っておられる話は。  だから、この点につきましては、これは今後、財政審議会の中でいろいろ議論をしていただく一つの御提案だと思いますので、議論をさせていただきたいと存じます。
  17. 石田昌宏

    石田昌宏君 是非、議論を深めていっていただきたいというふうに思います。  最後に、実は患者さんの視点というのが、一番最初に言ったんですけれども、とても重要で、それについて一言述べて終わりにしたいと思うんですけれども、今のようなやり方で大きく薬価を下げると、患者さんにとってもかなりのメリットがあると思います。  一つは、薬価が下がることによって自己負担が減るという、これはもちろん当たり前なんですけれども、例えば長期収載とかジェネリックとかがかなり差がなくなることによって分かりやすくなるんですね。もう難しいことを考えずに、分かりやすい仕組みとして薬を得ることができるんじゃないかというふうにも思いますし、実際問題、これはブランド力のある先発品メーカー、これまで使われてきた先発品メーカー価格下げることになって、ジェネリックの会社からしたら安いことがメリットだったんですけれども、その安さの差がなくなっちゃうので非常に不利になってしまうかもしれないんです。でも、その分はやっぱり努力していただきたいと思います。  同じ薬効であっても、例えば飲みやすい薬をどうやって作るかですとか、パッケージも結構あるんですね。例えば、薬って多くのものが一日一錠とか二錠とか、大体一週間単位で出ると、七の倍数で錠剤って決まるんですけれども、大抵十の倍数で十、二十、三十錠と包装しているわけです。そうしたら、薬局で一々割って七の倍数に切り替えるなんということをやっていますから、最初からそういったパッケージを作るとかいろんな工夫はまだまだできるわけであって、そういった工夫をやってもらうことによって結果的には患者さんに利便性も与えられると思うわけです。  ですから、そういった意味で、患者さんにとってもこれは有効な施策だと思いますので、是非、アベノミクスというのは成長戦略であり、やっぱり国民にとっての視点だと思いますので、財政再建の方針と同時に患者さんの目線で進めることができるような仕組みだというふうには思います。  どうぞ財政再建の議論医薬品議論につきましては、単にジェネリックの問題に中身を極小化するんじゃなくて、もっと様々な観点、広い観点からまた御提案を続けていただきたいというふうに思いまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  18. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 おはようございます。  民主党・新緑風会の尾立でございます。今日は税を中心にした一般質疑ということで、よろしくお願いしたいと思います。  また、二〇二〇年のPB黒字化に向けて政府の方でも今いろいろ検討されているということで、デフレ調査会の方でも財務省内閣府の副大臣に来ていただいていろいろ質疑をしたところでございますけれども、そういうことも含めて今日はお聞きをしたいと思います。  まず、租税透明化法についてなんですが、この法律も施行されてもう三回目ぐらいになってくると思うんですけれども、ずっと私がこれは指摘をしていることなんですけれども、まず、透明化されて、上位十社ではありますけれども、どういう利用実態になっているかということが徐々に明らかになってきたということは評価をしたいと思いますが、ただ、経年変化がこれ分からない仕組みになっております。  というのも、企業コードが毎年毎年変えられてしまって、A社、B社ということにしましょうか、そういう企業名が分からない中でAとかBとかいうものがその次の年はどういう利用実績があったのか、また過去はどうだったのかということが、経年変化が実はこれまだ見れない状況になっておりまして、是非ともここは改善をしていただいて、この経年変化がしっかり追えた上で、こういった委員会の中で、本当にこの租特が必要なのかどうか、そういう議論ができるようにしていただきたいと私は常々お訴えをしてきたところでございます。やはり公正、納得、透明といった、そういう観点から、税のある意味支出でありますので、しっかりと利用実態が見えなきゃいけないと思っております。  政府の方で本当は対応を早急にしていただきたいんですけれども、なかなか腰が重いということで、私どもの方で今法案を準備をして、その企業コードを毎年一定にして変えないようにというような法律案を今用意しておるところなんですけれども、改めて麻生大臣に、なぜ毎年毎年企業コードを変えなければならないのか、そしてまた、変えることによるメリットもあるんでしょうけれども、変えることによるデメリット、経年変化が追えない、適切な分析が国民によってできないというような弊害もありますので、その点について改めてお聞きしたいと思います。
  19. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 同じような質問をこれで三回目ぐらいだと思いますので、前お答えしたのとほとんど変わりませんということをあらかじめお断りしておきます。
  20. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 簡単でいいです。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いやいや、簡単にし過ぎるから多分お分かりいただけないからまた同じ質問が出てくるんだということだと思いますので。  本会議でもこれは申し上げたと思いますが、私どもが毎年度国会に提出しております租税特別措置適用実態調査というものは、そもそも、租税特別措置の利用状況統計的に明らかにして政策の企画立案に役立てていくということを目的といたしておりますことから、目的に照らして、いわゆる個別の企業名まで公表する必要はないという整理が平成二十二年の立法時に、これは、御存じかと思いますが、民主党でやられたときですからね、忘れぬでください、その点は。そこでなされたものであります。このため、個別の租特ごとに適用額の上位十社を示す際にも、個別の企業名ではなく、毎年度ランダムに割り振ったコード番号、いわゆる法人コードを用いさせていただいております。  御指摘のように、企業の固有コードの番号を割り当ててそれを継続的に使用していくことは、個別企業名の類推がしやすくなりますので、企業イメージの悪化など競争上の不利というものを生じさせかねぬということも我々としては考慮しておかねばならぬところだと思っております。  いずれにせよ、この調査によって各制度適用件数、適用金額、適用状況の偏りといった実態をより高い精度で把握できるようになっておりまして、引き続きこれを活用していくことで租特の見直しに取り組んでまいりたいと、基本的にそう思っております。
  22. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 個社名が類推されかねなくて企業イメージが低下というようなことをおっしゃっておりますけれども、逆に、こうやって租特を使わせていただいて、これだけ稼いでこれだけ納税しているんだと、租特を除いた意味でですね、もうけて納税しているんだと堂々と胸張って言ってもらってもいいんじゃないかと私なんかは思っております。  そういう意味で、これはちょっと質問通告していないんですけど、事務方でも結構なんですが、主税の方で要求省庁と査定をやり合うわけなんですけれども、そのときの資料は既に企業コードでやられているということで、主税の方でも経年変化は分かっていないという前提で査定をやり取りしているのか、そこをちょっと改めてお聞きしたいんですが、大臣、分かりますかね。
  23. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 確認して、後ほど資料を差し上げます。
  24. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 私の理解では、国税の方ではこれはもう既に企業コードを付けてしまって、そのデータを主税がもらってやっているというふうに聞いているもので、私は、少なくとも主税の方ではその経年変化はまず分かっていなきゃいけないと思っております。査定をやるときに、いろいろ議論する上では私必要だと思っておりますし、さらに、今申し上げましたように、それをしっかり国会にも公開してほしいということを改めてまた申し上げたいと思います。  それでは次に、社会保障・税一体改革についてお聞きをしたいと思います。  この社保・税一体改革というのは、今、ジェネリックの問題等々もありましたけれども、やはり二〇二〇年PB黒字化に向かっては非常に大事な改革だと思っております。そういう意味で、今回の社保・税一体改革というのは、そもそも消費税を上げて、ただただ社会保障給付を増やすというのが私は目的ではないと思っておりまして、改革ですから、もっともっと広範囲に私は様々な分野に改革をしていかなきゃいけないと思っておる立場で、更にこれを進めなきゃいけないという立場で質問させていただきたいと思います。  そこで、政権の方では配偶者控除在り方についても検討しているというふうにお聞きしておりますけれども、その進捗状況についてはいかがでしょうか、財務大臣
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 配偶者の控除につきましては、配偶者の就労を抑制する効果があるという御指摘がある一方で、家族の助け合いとか家庭における子育てに対する配偶者の貢献というのをもっと積極的に評価すべきではないかという御指摘もあるなどの様々な立場から議論がありますのはもう御存じのとおりで、百三万円の壁とか百三十万円の壁とかいろいろ言われているのは御存じのとおりです。  具体的な制度在り方につきましては、現在、政府の税制調査会というところで議論をいただいているんですが、昨年十一月の論点整理におきましては、複数の選択肢を示させていただいた上で、家族の在り方や働き方に関する国民の価値観に深く関わることから、今後、幅広く丁寧な国民的な議論が必要とされております。  配偶者控除見直しにつきましては、一昨年からこれが課題になっておりますのは御存じのとおりで、この点を念頭に置きつつ早めに検討を行っていく必要があろうと存じますが、これはまさに国民の価値観に非常に深く関わり合うところだと思っておりますので、したがって、幅広く丁寧な国民的論議を行いながら判断していくべきものということでありまして、今、結論を得る時期とか改正のタイミングとかいったものが現段階で決まっているわけではございません。
  26. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 やはりこの配偶者控除ができたときの社会背景と今は相当違ってきているんだと思っております。そんな中で、また政権の方も、女性の社会進出ということで、女性の社会進出を非常に後押しするという考え方で今様々な政策を取られていると承知しております。  そういう中で、配偶者控除が女性の社会進出の阻害要因になってはならないというふうに私は実は思っておりますし、また、配偶者控除だけでなくて、これからお聞きしますが、社会保険の分野でもこの社会進出を阻害するようなことになってもいけないと思っております。  そういう意味で、資料の一ページ目を御覧いただきたいんですけれども。  これは、ある世帯の仮定をしたものの収入曲線になっておるわけなんですけれども、配偶者控除と社会保険料とのミックスで、例えば夫が就労しておりまして、妻の方も就業したというときの図なんですけれども、税と社会保険料をミックスすると、百三十万円の壁ということで、手取りがここを境にがくんと一旦落ち込んで百五十五万円まで回復をしないと、こういうような図になっております。  そういうことで、今、政府税調の方で配偶者控除や特別控除議論をされつつあるということはお聞きしたんですけれども、私は、一体改革ということを言っておるわけですから、社会保険料も含めて、こういったことがないように、こんな落ち込みがないように制度改正をしていくことが必要だと思っておりますが、財務大臣、そして厚生労働省、それぞれから御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 百三十万円の壁、配偶者自身の話ですけれども、いわゆる社会保険料負担が発生するということから、それが回復するためには、妻の所得が百五十万円まで行かないと百三十万円のところでがたっと一回おっこちるという、この図でえらく簡単に書いてありますが、まあこういうことになろうと思います。これはもう間違いなく事実であろうと思いますが。  いわゆる働き方の選択というものに対して中立的な社会制度を構築していくということになりますと、これは総合的な幅広い取組が不可欠であることはもう御指摘のとおりだろうと存じます。  そこで、配偶者の働き方の選択に対しては、いわゆる社会保障制度におきます百三十万円の壁とか、もう一個は企業がいわゆる配偶者手当制度というのを持っておりますので、そういった意味で、世帯の手取りの逆転現象というものがより大きな影響を与えていると。これは企業なんかでもよく言われるところであります。  したがって、働き方や家族の在り方の変化とか人口減少といった社会経済の構造変化の中で、いわゆる社会保障制度とか配偶者手当というものの全体像を踏まえて、これは税制在り方を一回全体で考え直さないかぬということになっているというのは、我々もそういう認識をいたしております。
  28. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 社会保険料におきましては、給付との連動性というのがございますし、また、税と社会保険料では賦課ベースが異なっておりますので、一概に同じ方法を取ることが難しいのは御承知のとおりと存じます。  しかし、共通する観点といたしまして、働き方に中立的な制度への見直し、これを進めようとしているところでありまして、昨年の経済財政諮問会議においても併せて議論が行われたところでございます。  その中で、厚生労働大臣からは、いわゆる就業調整行動、これは、百三十万円の壁とはまた別に被用者保険適用の壁による事業主の社会保険料負担の回避行動、これも作用していると考えられますことから、この問題に対して被用者保険の適用拡大を進めることで解消を進めていくことが必要であること、こういった説明をさせていただいたところでございます。  適用の拡大につきましては、社会保障・税一体改革の中で、民主党政権時の平成二十四年に成立いたしました機能強化法、これに基づく一定の短時間労働者についての適用拡大、これが来年十月から実施されるということになっておりますし、あわせて、その先も、施行後三年以内に検討を加えて、結果に基づく必要な措置を講ずる旨の規定が法律にも記載されております。あわせて、今後ですが、社会保障制度改革プログラム法、一昨年成立したプログラム法ですが、この中にも検討課題として明記されていることでありますので、税、そして社会保険料の在り方、これ併せて検討課題として、働き方に中立的な社会保障制度への見直しを進めるという観点から取り組んでまいりたいと考えております。
  29. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 高階さん、よく分からないんですけど、社会保険料をもう少し所得の低い人にも適用していくということを一つおっしゃいましたよね。言われませんでしたか、適用拡大と、社会保険料の。ということは、百三十万円の壁が、もっと言うと百二十万円の壁とか百十万円の壁になることだけで、そのギャップをどう解消するかということについてはお答えになられていないと思うんです。  だから、このギャップを適用拡大だけでは私は解消できないと思うんです。まさに、麻生大臣がおっしゃったように、両者がしっかり議論して、この曲線をフラットに、なだらかにしていくという取組が必要だと思うんですけれども、いかがですか。
  30. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) その点につきましては御指摘のとおりでして、世帯が安定的な生活を営んでいくために、社会保険料負担負担過重とならないような、このギャップを埋めていくような工夫というのは併せて検討をしていく課題と考えております。
  31. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 じゃ、その検討の場というのはどこでどのようにするんでしょうか。
  32. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 一つは、政府全体で行われます経済財政諮問会議等での議論があろうかと存じます。そしてまた、厚生労働省内におきましても、社会保障審議会などの場において必要な検討を加えさせていただきたいと考えます。
  33. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 じゃ、この問題をしっかりその二つの審議会なり財政諮問会議等で御提起を高階さんの責任でやっていただくということでいいですか。
  34. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) また大臣とも相談させていただきながら、きちっと省としてしかるべき形の提案はさせていただきたいと思います。
  35. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ありがとうございます。  これはみんな、やっぱり誰が見てもおかしな制度だと思うんですよね。やっぱりこういうことを放置してきたことが我々政治家の責任でもあるので、やはりここは政治のリーダーシップでしっかりこれを、ギャップを埋めるためにどうすべきかという議論をして結論を出していかないと、やはりお題目だけで終わってしまいますので、社会進出といいながら。現実にこういう壁があると、やはり皆さんそろばんはじくと思うんですよね、それぞれの御家庭で。ですので、しっかりここはやっていきたいと思っております。また質問をさせていただければと思います。ありがとうございます。  それでは次に、マイナンバー法の審議もまた近々この参議院でも始まりますが、このマイナンバーを入れたという、我々の政権のときから議論をしてきて、その後、確定したわけなんですけれども、一つは、給付付き税額控除を導入するためのインフラ整備でもこれあったわけでございます。そういう意味で、法律でも、この給付付き税額控除の検討は複数税率の検討と併記されておる事項でございまして、やはり政府では真摯に複数税率と給付付き税額控除を検討していかなきゃいけないと思っております。  麻生大臣、政府でのこの給付付き税額控除の検討状況を改めて、これももう何度目かにもなりますが、よろしくお願いします。
  36. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 何百回じゃない、何十回ぐらいです。  給付付き税額控除の導入というのに当たりましては、これは、所得や資産の把握の問題というのはもう絶対付いて回りますので、その意味では、マイナンバー導入後も、例えばいわゆる国外、海外での所得とか、またマイナンバーが付されていない預貯金口座というものの存在など、所得、資産というものの把握にこれは一定の限界は残るものというのはもう確かだと思いますけれども、いわゆる一〇〇%完璧を役所は目指すんですけれども、その一〇〇%完璧を目指すがために結果としてコストがもっと掛かっておるということをしようがないと思うか、それは、国全体としてはバランスを考えたらそっちで、もう給付付き税額控除の方がよりという話で、これはいわゆる政治が判断せないかぬ大事なところだろうと思いますけれども、いずれにしても、まだ検討しております段階で、今、国会の御意見を踏まえていろいろなことが検討されておりますのは事実です。
  37. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 検討しているとおっしゃっていただいているんですけど、目に見えたり耳に聞こえてくるのは、どうしても複数税率だとかいわゆる軽減税率の話ばかりで、この給付付きが真面目に検討されているということがなかなか伝わってこないんですけれども、その辺り、どこでどんなふうに今検討されているんでしょうか。
  38. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、検討すべきというものは検討すべきと考えておるんですけれども、当然のことで、これは与党の軽減税制度の検討が進められておるところなので、これは与党の方が口は軽いと思いますので、党内の話の方がいろいろ漏れていくのは当然のことだと思いますが、今もそれ以外の意見がいろいろ出始めつつあるということは確かです。
  39. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 じゃ、政府は口が固いので漏れてこないけれども、やっているということでよろしいんですね。
  40. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 当然です。
  41. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それでは、しっかりまたいずれ日の目が出てくると思いますので、楽しみに待っていたいと思います。  次は、ちょっとがらっと変わりまして、鉄道における自然災害の影響について少しお聞きをしたいと思っています。  鉄道にも様々な税の減免措置もいただいて、地方の公共交通の足として担っていただいているという面で税とも密接に関連しております。ただ、残念なことに、最近、ゲリラ豪雨等々異常気象で、全国各地で毎年大雨などで非常に災害が多発し、人命まで失われることもありますし、さらに、こういう鉄道の切断といいますか、被害も非常に多くなっております。九州でもございまして、私も現場というか、その写真見せてもらいましたが、非常なことになっています。  そういう意味で、今日は鉄道についてなんですが、この三年間、自然災害による鉄道の被害状況について、またその復旧状況について国交省にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  42. 鈴木馨祐

    大臣政務官(鈴木馨祐君) お答えさせていただきます。  ここの三年間の被災状況と、そして復旧状況ということでございますけれども、年度でいって平成二十四年度から平成二十六年度までの三年間、この三年間においての自然災害によって鉄道が被災したというふうに報告を受けている件数というものが百十八件全部でございます。そして、そのうち既に復旧をしているものが百十七件という状況であります。
  43. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ニュースで取り上げられるのは大きなものなんでしょうけれども、三年間で六十八件ということで、非常に……(発言する者あり)ああ、ごめんなさい。百十八ということで、もう一年間に四十件近い被害があるということだと思います。  そこで、現行制度では、こういった大きな被害があったときに、この補修というのは、原則は当然事業者の負担になっております。一般的にはこういう自然災害のリスクも事業者が負担せよということなんでしょうけれども、ただ、鉄道については、先ほど申し上げましたように、成り立ちや役割が違っていると思っております。やはり地域の足として非常に公共性の高い事業をやっておられるし、また、交通政策基本法等々でしっかり地域の足を確保せよということで、私は大変重要な役割を担っていただいているんだと思っております。  そこで、現在の法律で復旧に関する補助の問題を申し上げますと、基本的には、鉄道軌道整備法というのが根拠になって、平たく言えば、赤字の企業や将来赤字になる企業に限り国庫の補助でこの復旧費用を一定程度出しますよということが基本だと思っております。  そこで、ちょっとこの二枚目の資料、配付した二枚目の資料を御覧いただきたいんですけれども、これは去年の夏の福知山線の集中豪雨であります。各地域似たり寄ったりの写真なんですけれども、土砂がばあっと線路に入ってきたり、これ立ち木ですか、そういったものが線路に乗っかってきているんですけれども。  ここでちょっと一つ、いろいろ現場を見たり、またお聞きしておりますと、やっぱり鉄道事業者が自分で管理できる部分というのは自分のところの敷地だけなんですよね、基本的に。ただ、こういう山間地域等々というのは、もう山が鉄道の敷地のところに迫っておりまして、そこの管理がしっかりできていないと、そこの土砂崩れがあったらこっちが大迷惑というような状況になっていることが多々ありますが、この場合でもなかなか、土砂崩れを起こした山の持ち主にその土砂崩れを復旧する費用、迷惑を被った費用をなかなかこんなの請求できないということで、結局全部事業者持ちでその土砂を片付けたり立ち木を片付けたりしているという現実があろうかと思います。そういう意味で、自分の責任でないところで起こったこういった自然災害が全部事業者の負担になっているという現実があるわけなんです。  そういう意味で、私は、赤字事業者に限らず、こういった補助に関しては適用要件の緩和をしたり、また補助率の引上げをしたりすべきだと、もう少し臨機応変、柔軟にやっていくべきだと思っておりますが、政務官、いかがでしょうか。
  44. 鈴木馨祐

    大臣政務官(鈴木馨祐君) お答えさせていただきます。  今、尾立先生御指摘のように、今の制度の中では鉄道軌道整備法に基づく補助制度というものが原則というふうになっております。  基本的には、鉄道事業というのは、これは収益事業という面と、そして、おっしゃったような公共交通機関としての面と両方ある中で、その収益事業という面に着目をする中で、基本的には事業者の資力のみによってそうした災害復旧事業を施行していただくということが大原則であるわけであります。  しかし、その中で、例えば、御指摘のように、事業者の財務状況であるとか、あるいはその経営状況一つは着目して、あるいはもう一つは、路線自体に着目をしてその適用を決めている、判断をしているところであります。その原則の下で、しかし、もちろん個々の事情、それぞれの災害、災害においてその予見可能性等々は当然違うわけでありまして、そういった中で、個々の事案というものにきちんとそこは対応しつつ、しかし、その原則の下で対処をしていくというのが国土交通省としての方針でございます。
  45. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 予見可能性という意味では、例えば、自分の橋とかトンネルとか、そういうところが崩れるのはとんでもない話で、当然自己負担をしなきゃいけないんですけれども、私が申し上げているのは、先ほど言ったように、自分の敷地じゃない山だとかそういうふうなものが崩れてきたときにまで全部自己負担でやれというのは少し厳し過ぎるんじゃないですかということを言っているわけです。  そういうところは、当然、事業者が山の所有者に掛け合って、ここを早く直してくれ、危ないよ、危ないよというのが筋なのかもしれないですけれども、なかなかそれも、山の所有者の資力もあって実現できないといった場合でこういう土砂崩れが起こったといった場合、全部これを一〇〇%、例えばそこそこもうかっているからといって、全部これを事業者の責任にするというのは、これはちょっとひどいんじゃないかなと私なんかは思っているわけです。  そういう意味で、先ほど言いました、もう少し最近の事案に勘案して適用要件の緩和などを検討すべきじゃないかと、こういう御提言をしているわけなんですけれども、政務官、いかがですか。
  46. 鈴木馨祐

    大臣政務官(鈴木馨祐君) お答えさせていただきます。  その予見可能性、これは極めて、どこまでが自分の責任なのか。おっしゃったように、例えば、ふだん軌道のそばで崩れそうな土地があった場合には、当然それは、いつか崩れてくるかもしれないということは分かっているものですから、そこはしっかりと、日々、自ら管理ができる面もあるんだろうと思います。それは当然、個々の事例によって状況というものは変わってくると思うんですね。  例えば大震災であるとか、そういった全く予想すら、予想というか、実際にどのような影響が出るか分からないような天災、大災害の場合というのは、例えば阪神大震災あるいは東日本大震災においてもそうした要件の緩和等々の対策は打っているところでありまして、そこは個々個別の事例に応じて判断をしてまいりたいと思っております。
  47. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 じゃ、今の制度はびた一文変えないと、そういうことを政務官はおっしゃっているんですか。それとも、少し検討して、予見可能性の可否によって少し柔軟に対応していこうと考えているのか、方向性どっちなんですか。
  48. 鈴木馨祐

    大臣政務官(鈴木馨祐君) 原則は原則といたしまして、個々個別の事例をそれぞれ考えながら判断をしてまいるということでございます。
  49. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 また、土砂崩れやこういう立ち木の流入だけでなくて、今、伊達先生もいらっしゃいますが、北海道などでは鹿などがばんばんこれ出てきて衝突事故……(発言する者あり)熊もですか、もあって大変なことになっております。  この鳥獣被害というのは、農業だけに限らず公共交通にまで今及んでおりまして、国交省としては今どのぐらいこの規模を把握しておるのか、それに対してどうしようと考えているのか、お答えください。最後の質問でございます。
  50. 鈴木馨祐

    大臣政務官(鈴木馨祐君) お答え申し上げます。  鹿、イノシシあるいは熊も含めて、こうした動物との接触によって旅客列車で三十分以上の遅延等があった輸送障害の件数というものは、平成二十五年度で見ますと、この年度一年間で四百六十五件発生をしているところであります。  鉄道事業者それぞれにおいて、これらの動物との衝突を防止をする対策として、動物が線路へ侵入することを防ぐための柵の設置であるとか、あるいは動物がよく侵入する要注意箇所における列車を徐行させるとか、そういった対策をそれぞれの事業者で取っているところであります。  国交省といたしましても、それぞれの事業者とこうした動物による被害の発生状況、対策等について、情報共有であるとかあるいは意見交換というものをしっかりと促していくような形の対策を取っておりますし、あるいはまた鳥獣保護法との関係等がございますので、関係の省庁とも密接に連携をして、そうした被害をなるべく最小限に抑えられるように検討を進めてまいっているところであります。
  51. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 しっかりやっていただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  52. 前川清成

    ○前川清成君 おはようございます。  今日は税に関する一般質疑なんですが、私が財政金融委員会で質問させていただく以上は、一問だけはサラ金の金利の話をさせていただこうと思います。  平成二十一年の警察白書には闇金事犯の検挙状況について書かれています。私が国会に送っていただいて、二〇〇四年、二〇〇五年、サラ金の金利を、高金利を下げなければならないという議論をしたときに反対派の皆さん方からよく出たのは、制限金利を下げるとその分闇に潜ってしまって闇金が増えますよと、こういう反論がよくありました。  その平成二十一年度の警察白書は、出資法違反高金利事件及び貸金業法違反事件並びに貸金業に関連した詐欺、恐喝、暴行事件の検挙人数とか被害人員について書かれています。  自己破産が二十五万件、正確には二十四万二千三百五十七件だった平成十五年当時、闇金事犯の被害人員は三十二万一千八百四十一人いらっしゃいました。これが、法律が改正されましてどうなっていったかという話ですが、この警察白書、平成二十年には十四万一千三百九十四人、被害人員が十四万人にまで減少をしています。  そこで、まず、今日は警察庁から島根さんにお越しいただいているんですけれども、検挙事件数とか検挙人員とかいろいろあると思いますけど、時間がありませんので被害人員だけ、平成二十六年の被害人員が何人なのか、お手元に数字があればお答えをいただけたらと思います。
  53. 島根悟

    政府参考人(島根悟君) お答えいたします。  ただいまお尋ねのいわゆる闇金融事犯というものの被害人員につきましては、平成二十六年は一万六千八百八十五人を把握いたしております。
  54. 前川清成

    ○前川清成君 それでしたら、三十万人以上いた闇金の被害者がおよそ一万六千人に大幅に減少してしまっているわけです。金利を引き下げるべきではないとおっしゃっていた方々と逆の傾向を行っているわけですけれども、これ、うがった見方をすれば、島根さんには大変、警察庁には大変失礼な言い方なんですが、警察が一生懸命取り締まったから被害が減ったという見方と、他方は、警察が取締りを緩めたから、世の中には被害の数はいっぱいあるんだけれども検挙人員とか検挙件数は減っているんだと、それに伴って被害人員の数も把握される数量としては減っているんだという考え方が可能だと思うんです。  そこで、失礼ながらお尋ねをしたいのは、この間、闇金事犯について警察はどのように取り組んでこられたのかというのをお尋ねいたします。
  55. 島根悟

    政府参考人(島根悟君) 警察におきましては、貸金業法違反となる無登録事犯や出資法違反となる高金利事犯といった闇金融そのものの検挙に努めるとともに、闇金融に悪用された預貯金口座や携帯電話を不正に譲り渡したものについても、犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法等を活用して取締りを積極的に行っているところであります。  その結果、無登録・高金利事犯とその周辺犯罪を合計した検挙事件数は、貸金業法が改正された平成十八年は三百二十三事件、平成二十六年は四百二十二事件という状況であります。  闇金融事犯につきましては、国民生活の安全を脅かす重要な問題と認識しておりますので、今後とも厳正な取締りを行ってまいる所存であります。
  56. 前川清成

    ○前川清成君 それでは、税に関して質疑をさせていただきたいんですが、今質問した尾立さんやあるいは西田議員と同様に、私も税理士の資格はあるんですけれども、残念ながら税理士で稼いだことが一度もありませんので、事業承継税制金融所得一体課税について実務的なこともお尋ねをしたいんですが、まずは、一番そのフィロソフィーのところを大臣にお尋ねをしたいと思います。  近代国家は国民に対して様々な公共サービスを提供いたします。公共サービスを提供いたしますが、そのために要する経費、これは、国家自体は無産国家ですから、税金として国民の皆さんに御負担をいただく、これが租税国家という考え方であります。  それで、最近、金子先生の「租税法」の新しい版が出たんですが、それを見ますと、いわゆる先進国の国々で歳入のうち租税の占める割合アメリカの場合は二〇一二年の統計で九三・七%、イギリスは八八・九%、ドイツは八四・八%、フランスは九五・三%、歳入の大半は税金が占めていると。これに対して我が国の場合、平成二十一年度決算について、この教科書にも書かれてあります。この二十一年というのはくしくも大臣が総理をお務めになっていたときの予算でありますけれども、決算ベースでいいますと三六・二%、つまり、国の歳入のうち三五%ぐらいしか税金で賄っていなかった。  これは、あの当時、百年に一度と言われたリーマン・ショックがあってそれに対応されたというので、ある意味、緊急事態だったのかもしれませんが、しかし、この一年だけが国の歳入の多くを借金によって賄っていたのではなくて、この間、何十年にわたって赤字体質というか借金、赤字国債が続いています。この状況についてそもそもどのように考えておられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  57. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に、今の場合、大平内閣ぐらいのときに初めて赤字公債、あの辺から始まったんだと記憶をいたしますけれども、昭和五十四年、五年、あの辺ぐらいだったかな、それぐらいからこの言葉が、赤字公債とかいろいろな言葉が出てきたように記憶をいたしますが、いずれにしても、先ほどの、租税国家という言葉を使っておられましたけれども、金子先生のこの厚い本に、これ、よほど暇な人でないとこんなもの読まないだろうなと思いながら、今朝見ながらそう思ったんですけれども。  いずれにしても、この租税国家というのは、私有財産制を前提とするいわゆる近代国家の中においてはという大前提が付いているんだと思いますが、公共サービスというものを提供するに当たっては、いわゆる資金の大部分を租税に存在するというやり方をしている国というのが多分この租税国家という、前川先生が言っている大前提ということで考えると、これは、今言われたように、非常事態というのは我々としては考えないかぬ状態がずっと続いているんですが。  急激に増えてきたというのは、やっぱり一九八九年の株式が三万八千九百十五円付けたあのとき以来、株が暴落して、土地はまだ上がっておりましたけれども九二年から暴落して、結果として、前川先生、デフレーションという、我々は、昭和二十年、敗戦この方数々の不況の中でもデフレーションによる不況というのはやったことがなかったこともこれありで、その対応は間違いなくインフレ対策で対応した結果、事は更に深みにはまっていったというのは、率直にこの二十年間の反省として我々は持たねばならぬというのが、私ども、第二次安倍内閣がスタートする前、安倍総裁の頃に私どもがよく議論をしたところであります。  したがって、やっぱり財政再建をするためには、経済を成長させて、縮小均衡じゃ財政再建はできません、経済を成長させた上でやっていただくという大前提というのは当時の日本銀行とも財務省とも意見が違っていましたから、当然のこととしてぶつかることになったんですけれども、結果として、私どもはそういった方向で事を進めて、与党で意見を集約した上でこの方向で進ませていただいたんですけれども、私どもとしては、やっぱり基本的には、この本に書いてあるとおり、租税を前提として、借金ではなくて租税を前提としてでき上がるようなもの、いわゆる健全な財政というものは常に頭に置いて政策として対応してしかるべきもの、そうでなければならぬものだと、私どもはそう考えております。
  58. 前川清成

    ○前川清成君 今、この金子先生の教科書、何百ページあるんですかね、千ページを超えると思いますけど、確かに、これを全部読むのは、今大臣おっしゃったように暇な人でないとと、こう思いますけど。  私、国会議員になって十一年になるんですが、私も含めての反省です。偉そうなことを言うつもりもありませんが、国会議員はどうも基本的なことを勉強しなさ過ぎるように私は思っています。  それと、租税国家について申し上げれば、もちろん経済が成長しないとというのはそのとおりなんですが、せめて今の時代に私たちが必要とするお金は今を生きる私たちが分かち合う、負担し合う、そこはやっぱり譲れないというか、今自分たちが少しでもいい暮らしをしたい、豊かな暮らしをしたい、そのために次の世代に借金を先送りしていく、これは許されない。もしも税金を余り負担したくないというのであれば、社会保障も含めて歳出をカットしていく、公共サービスを削っていく、そのことも考えていかなければならないと、私はそう思っています。  その上で、今年度予算なんですけれども、税収が五十五兆円、その他の収入で五兆円あって、およそ六十兆円、基礎的財政収支の対象経費が七十三兆円で、約十三兆円の赤字になります。もしもこの十三兆円を、経済の成長とかいろいろ言われますけれども、消費税だけで穴埋めするとしたら、消費税の税率が八%で十七兆円の税収ですから、一%当たり約二兆円、したがって、十三兆円の穴埋めには消費税七%が必要になります。八足す七で一五%。じゃ、消費税一五%にしたら財政再建が図れるのかというとそうではなくて、過去一千兆円、たまりにたまった借金の利払い、これが約十兆円あります。消費税にすると五%。一五足す五で二〇%。もっとも、この利払いの十兆円というのは今の史上まれに見る低金利を前提にしている話で、昭和五十年代は国債金利が七%、バブルの頃は国債金利が五%。もしも金利が昭和五十年代やあるいはバブルの頃に跳ね上がってしまったら、今の税収の全部を充てても利払いさえできないということになってしまいます。仮にこれからもずっと低金利が続くと、しかし一千兆円の借金残るわけですから、これを、まあ気の長くなるような話ですけれども、せめて百年掛けて毎年十兆円ずつ払っていこうということになりますと、消費税が更に五%、すると合計二五%。ヨーロッパの消費税というのも大体この程度ということになります。  そこで、今日、ちょっと資料を配らせていただいたんですが、棒グラフの資料です。  これは、平成二十一年、二〇〇九年に大臣が総理をしておられた頃に、三月十六日の予算委員会で私が質問に立たせていただきました。そのときに、麻生大臣が総理になられた際に、消費税を引き上げると、こういうふうにおっしゃられたわけです。中福祉なのに今は低負担だ、中福祉だから中負担にするんだと、こういうふうにおっしゃいました。私も野党でしたので、このときはいささか厳しくお尋ねをしましたけれども、しかし、心の中では、立派な総理が現れたな、この当たり前のことをこれまでどうして先送り先送りしてきたのかなと、こういうふうに思いました。  その際に、このグラフをお示しして当時の麻生総理にお尋ねしたのは、その当時、二〇〇九年の消費税が五%、基礎的財政収支の穴埋めと、それと利払いに約一〇%必要だと。社会保障国民会議というのが当時社会保障のありようを議論していまして、二〇一五年には、今の制度をそのまま維持するにしても消費税にして三・五%要ると。二〇二五年の時点には、今の制度を、その当時の制度をそのままにしていても消費税にして六%の財源が必要だと。結局、二〇一五年には消費税が一八・五%、二〇二五年には消費税が二一%、これぐらいのことも視野に置いてお考えになっておられるんでしょうかというお尋ねを平成二十一年の三月十六日の予算委員会でお尋ねをしたら、そこは残念ながら、消費税の税率については考えていないと、こういうお答えでした。  長々私の方でお話ししたんですが、消費税について一体どの程度のことを我々は想定しなければならないのか。総理は一〇%からの引上げは考えていないと、こうおっしゃっています。誰も増税なんか望みません。私だって自分の払う税金は少ない方がうれしいです。国民の皆さん方もそうです。しかし、今を生きる私たちが必要とするお金を次の世代に先送りするんじゃなくて、借金のツケ回しをするんじゃなくて、私たちで負担するのであればどの程度の税負担が必要なのかと。ここは考えておかなければ私はならないと思っています。  ちょっとその辺のむいた話を是非大臣にお聞かせをいただけたらと思います。
  59. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まずお断りしておきますけれども、今は総理大臣じゃないからね。そこのところにおいては、言葉においては、今の内閣の一員としての答弁の範囲はおのずと限られてまいりますことはあらかじめお断りしておいて、麻生のやつ変節しやがったなんと言われるとかなわないから、あらかじめその点だけはお断りした上で。  今の話で、あの当時のことも思い出しますけれども、消費税を上げますというのをやる、あの当時は解散するつもりでしたから、さっさと言っておこうと思っておったんですけれども。いわゆるリーマン・ショックの影響というのがかくも世界中の金融を縮小させるという事態というのは、ちょっと正直、我々の想像を超えておりましたし、アメリカのポールソン、ポールソンというのは当時の財務長官ですけれども、あそこら辺りはリーマン一個潰したって大したことはないから大丈夫だと言っていたんですから。ところが、現実問題としてはどうなったかということはもう御存じのとおりなので、そういった意味では、我々としては、正直、事情が全く違ったものですから、日本の場合はそんなに被害がなかったので、まあ即解散といっていろいろ計算していたんですけど、なかなかさようなわけにはいかなくなった事情があの当時はあったんですけれども、いずれにしても、消費税というのはやらざるを得ぬと、こう思っておりました。  それで、今、この指標を出されておりますけれども、これが合っているか合っていないかと私どももちょっと試算をしたことがありませんので、この計画が仮にこの予測どおりであったとした場合に、やっぱり日本の場合、借金を全て返済する必要はないわけですから、どの企業でも雪だまりみたいにきちんとしたものがありますので、それが回っていくだけの資産があるんであって、借金はでかいけれどもそれに見合う資産があればというのはもう税理士だからよく御存じのとおりだと思いますので、まあ経験ないにしても、一応それぐらいの、バランスシートの意味ぐらいはお分かりでしょうから。  そういったのでいきますと、この間申し上げましたように、消費税率を平成二十九年の四月に一〇%への引上げを確実に行いますという決意の下で、デフレ脱却ということから、資産デフレ不況が正確だと思いますが、資産デフレ不況からの脱却というものに全力を尽くしておりますので、今年の夏に策定する計画の中で、私どもは二〇二〇年までに、プライマリーバランスという話よく出ますけれども、基礎的財政収支をいつからプライマリーバランスと呼ぶようになったかちょっと記憶がないんですが、プライベートブランドと間違っている人もいっぱいおられますので、いろいろいらっしゃるのは事実ですけれども、こういった状況の中から、私どもは、今の状況でいきますと、まずは一〇%というものでどうするかというところで、二〇二〇年までにいわゆる基礎的財政収支というもので、今の場合は金利が増えるわけで、金利の分は増えていきますので、二〇二〇年以後は金利含めてチャラにするところまで持っていくというのが、今私ども生きる世代としては、チャラまでは行くというのが、それが目的ということになろうかと思いますが、その後どういった方向に行くかということにつきましては、直接税と間接税の比率の問題とか景気の状況とかいろんなものを考えなければいかぬとは思いますけれども、我々の考え方という話なんであって、もう福祉はこれくらいでいい、もうこれ以上は要らないという話になるのか、アメリカみたいにもっと下げろというのか、北欧のようにもっと上げろというのか、ちょっと正直、いろいろ洗ってみたことがあるんですけれども、地域によって随分違うように思いますし、年齢格差も随分あるような感じがしましたので、ちょっとこれは今から国民の世論なり御議論を待たねばならぬところだと思いますけれども。  いずれにしても、今のままでいくといったって、これ、さらに年齢構成が変わってきますから、そうするともっと厳しくなってくるということはある程度理解しておかないといかぬことだと思っております。
  60. 前川清成

    ○前川清成君 ちょっと時間が残り少なくなってきたんですが、ちなみに、私は税理士の資格を持っているだけで、税理士の登録はしていないんです。司法試験に付いてくるだけですので、登録はしていませんので。  それで、社会保障の財源のこともいろいろお尋ねをしたかったんですが、法人税のことを。私は何もかも増税すべきだという立場でももちろんないんですが、今の政権で法人税を二〇%台まで引き下げるという方針を立てておられます。仮に三五から二九まで六%引き下げると二兆五千億円ぐらい財源が必要になってまいります。  企業がグローバル競争をしているというのは私もよく分かっています。リーマン・ショックのときに、別に頼まれたわけでもないんですが、トヨタがどれぐらいの売上げ、世界の比率があるのか調べてみました。そうしたら、国内でおよそ二割、アメリカ、北米でおよそ三割、海外で八割で、うち三割はアメリカ。そうしたら、別にトヨタは愛知県に本社を置かなくて、デトロイトに置いてもいいわけです。しかし、トヨタはそれで成り立っても、トヨタや自動車関連産業で働いている人たちの働く場所がなくなってしまう。だから、やはり法人税というのは世界である程度横並びにしなければならない、これもよく分かるんです。  しかし、平成二十四年に特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法、いわゆるアジア拠点化法という法律ができ上がりまして、研究開発拠点を日本に置いてくれたならば、あるいはアジア本社を日本に置いてくれたならば法人税については二九%にしますと、そういうふうな特別措置法ができました。ところが、今国会に提出されたいわゆる租税特別措置の適用実態に関する報告書によりますと、このアジア拠点化法の適用件数はゼロ、一件もない。本当に法人税の引下げというのが企業にとって活動を活発にするために、もちろん、企業だって税金は安ければ安い方がいいんですが、企業の実際の活動にとって本当に重要なのかと。  ジェトロが二〇一四年の二月に日本の海外進出企業に対するアンケート調査をやっていまして、中国に進出している企業の八六%は、なぜ中国に進出したかと、市場規模や成長性。中国の税金が安いからと答えた人は一%。インドも、インドに進出している企業の九二%が市場規模、成長性で、税金と答えたのは一%。  ですから、法人税を引き下げる、財源が潤沢で基礎的財政収支の黒字化も達成していて、そういう時代だったら私はいいと思うんですが、国民の皆さん方に消費税もお願いしなければいけないだろう、所得税もお願いしなければいけないだろう、そして企業の皆さんにも法人税もお願いしなければならないのではないか、法人税をただただ下げれば景気が良くなるという話では私はないのではないかと、こういうふうに考えております。大臣、いかがでしょうか。
  61. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 法人税を安くすれば直ちに行くかという、今度は私も、何というか、前川さんと逆で、経営者辞めてから随分長くなるので感性がちょっと大分狂ってきているとは思いますけれども、少なくとも税金が安いからだけで、海外に企業というのを幾つもつくったことはありますけれども、税金が安いだけより、もっといろんな問題がいっぱいあります。例えば、そこではどんな問題があるかといえば、それは言語の問題もありますし、少なくとも税制以外で、税金は安いけれども別にちょうだいというのもいっぱいいますから、それはいろいろ難しいのはもう事実です。  だから、そういった意味では、この話は税金だけで行く話でないということは私も全く賛成ですけれども、今回の話は、税制の話でいきますと、これは、日本の場合は法人税が高いという話は、ヨーロッパに比べて高いことは確かです。それから、アメリカに比べれば安いということも確かです。  そういった意味で、法人税の改革を今回考えるときには、これは単なる減税というだけではなくて、少なくとも課税ベースを拡大しますということをやらないと、もうかっているところだけ取っているけれども、日本の場合は払っていない企業の方が、あのバブルのときですら半分は払っていないわけですから、だから、そういうのはどう考えてもおかしいじゃないかということになろうと思いますが、何でそうなったんだと言われますけれども、これは多分、企業をやるときに経営者が、経営を目指している人が、前川、俺に会社やるから金貸してくれと、これ、日本とかドイツとか韓国とかは皆そうだと思いますが、逆に、アメリカ、カナダ等々、ヨーロッパの場合ですと、前川、俺会社やるから投資してくれと言うんだと思うんですね。  金を出すという状況は同じですけれども、投資と借金じゃ意味が違いますので、借金だと金利さえ払っておけば税金払わなくてもいいですから、しかし、投資するということになりますと、その企業が黒字にならない限りは金は返ってきませんから、だから公認会計士が発達したんだと、私はそう思っているんですけれども。全くこれは、単なる現象面としてそう思っております。税理士が強いのは、イギリスとかよりは明らかにドイツと日本と韓国、そういったところですから。  だから、やっぱり税理士だと、借金の金利さえ払っておきさえすれば間違いなく、別に問題ないではないかということの中で、結果として、企業としては赤字でも構わぬということになっているのかなという、元経営者の意識として分からぬことはないんですが、いずれにしても、ちょっと偏り過ぎてきているというのは間違いないと思っておりますので、より広く負担を分かち合うという観点からは、私どもとしては、欠損繰越金、繰越しというののパーセントを下げてみたり、また法人事業税の外形標準課税をやらせていただいたりということでいろいろ課税ベースの拡大というものを考えておりまして、財源というものをしっかり確保した上で法人税というものの実効税率を下げるということにいたしておる点も御理解いただければと思っております。  少なくとも、これまで繰越しのやつは所得の八〇%までといっていたのを、これを五〇%にしておりますし、また、大法人向けの外形標準課税というのを、いわゆる八分の二を八分の四、だから二分の一までに、そういったような形にしておりますので、いろんな意味で、今後ともこの部分についてはいろいろな御意見があろうところだと思いますが、国際競争力を維持しつつ、ちゃんと企業の稼ぐ力というのを非常に大きく私どもとして頭に入れて対応させていただいておるというように御理解いただければと存じます。
  62. 前川清成

    ○前川清成君 時間が参りました。たくさん通告しておって、主税局長国税庁次長、来ていただいて、お尋ねできなくて申し訳ないんですが。  私は、愛国心というのは、せめて今よりもいい国を次の世代に引き継ぐと、それが一番の愛国心だと思っていまして、その意味において、たくさんの借金を次の世代、次の世代に先送りしている今の財政状況というのは、本当に堪えられないような思いをしております。  麻生財務大臣におかれては、予算委員会もあって決算委員会もあって、金融担当大臣も兼ねておられて御多忙かと思いますが……
  63. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 質疑終了時刻が参りましたので、おまとめください。
  64. 前川清成

    ○前川清成君 はい。  この財政の問題、どうやって日本財政を健全化するかについては、これは、私は与党も野党もないと思っていますので、建設的な御議論を是非お願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  65. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日は、これまでも何度かお聞きをしましたけれども、内閣府の中長期の経済財政に関する試算、今年二月に諮問会議に提出をされましたこの試算の中での、特に税収の見積りにつきましてお聞きをしたいと思っております。  この中長期の経済財政に関する試算は、内閣府の経済財政モデルに基づきまして出されているわけでありますけれども、諮問会議には参考として出されているというふうに承知をしております。この試算の中のベースラインというのと経済再生ケースと、二つの今後の経済の見通しということが示されておりまして、その中で、経済再生した場合にも基礎的財政収支、国と地方を合わせて二〇二〇年度で九・四兆円プライマリーバランスが赤字になっている、これを何とかしなきゃいけないということで議論が既に始まっているわけでございます。もちろん、その中でも、なぜ九・四兆円になるのかというときには、当然、歳出、また税収等がどうなるのかということでプライマリーバランスも出てくるわけでありますけれども。  私は、過去の当初予算と決算の税収が相当違ってきているということが数年続いておりまして、合わせますともう十二兆円近くですかね、行っているんでしょうか、という状況も踏まえた上で、税収の今後の見通しというか見積りそのものも、推計そのものも、果たしてこれ、ここで出されているものが本当に過小になっていないのかどうかという、そういう疑問を実は持っております。もちろん、財政再建というのは大事であります。過度に税収の将来推計を楽観視することは大変危険であり、財政当局としては保守的であらねばならぬというふうに逆に思いますけれども。  しかし、一方で、経済を本当に正しい正常な経済に戻していこうということでアベノミクスが始まって、既に成果も上げてきているわけでありますから、それに基づいた将来推計ということをしないと真の財政再建ということにもならないのではないかと、このようにも思っておりまして、そういう問題意識から、今日はこの内閣府の経済財政モデルにおける税収の推計方法についてお聞きをしたいと思います。  まず内閣府にお聞きいたしますけれども、この試算はどのような法的根拠があるんでしょうか。
  66. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) お答えいたします。  本年二月に内閣府が公表いたしました中長期の経済財政に関する試算は、法律の規定により作成しているものではございません。経済財政諮問会議審議のための参考として内閣府が作成し、同会議に提出したものでございます。
  67. 西田実仁

    西田実仁君 法的根拠はないんですけれども諮問会議に出された重要な参考資料、これを共有しているということではないかというふうに思います。  その上で、この経済財政モデルにおけるまず税収の見積りの中で所得税収ですね、所得税におきましてはどのように推計をされているのか。所得税は累進性があります。したがって、デフレから脱却して所得が増え始めますと、当然これは、GDPの伸び、成長よりも所得税収の方が伸びるという、やはり租税弾性値は一を超えて押し上げていく作用が働くわけでございます。  前回お聞きしたように、租税弾性値が二〇二〇年度まで、結果としてこの試算では一・〇というふうに置いているわけで、そこに私は疑義を申し立てているわけでありますので、所得税ということがどう推計方法として推計されているのか、これをお聞きしたいと思います。
  68. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) お答えいたします。  所得税は、家計の給与所得ですとか利子所得等に課税されるものでありますので、経済財政モデルの中で得られます賃金所得、それから財産所得等の伸び率を基に推計しているところでございます。  それで、これらの変数の関係性の大きさが問題になってくるわけですけれども、これは、過去の実績データに基づき回帰分析によりパラメーターを推定しておりまして、その関係を用いて推計しております。  全体の税収弾性値が、先生御指摘のとおり、一・〇程度となっているわけですけれども、個別のところで見ますと、必ずしも所得税が全く累進性を持たないような推計になっているわけではございませんで、先ほど申し上げましたような関係性を過去の回帰分析により推定した結果、累進構造を反映するパラメーターになってございます。
  69. 西田実仁

    西田実仁君 それは公開されているんですか。
  70. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 経済財政モデルの推計式は全て公表させていただいております。  参考までに申し上げますと、所得税の伸び率と、それから先ほど申し上げましたようなその課税ベースとなる賃金、俸給ですとか、財産所得ですとか、個人の営業余剰等の伸び率、この二つの関係を推計しておりますけれども、そのパラメーターは一・〇八になっております。これは、ホームページでもこの推計式は公開しているところでございます。
  71. 西田実仁

    西田実仁君 続いて、法人税でありますが、法人税の税収の推計方法をお聞きしたいと思います。  法人税収こそ、繰越控除がこれから解消されていく、デフレ経済から脱却する中で、そうした景気回復期においては経済成長を上回って税収が伸びていくんではないかというふうに思われますけれども、いかがでございましょうか。
  72. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 法人税収の推計方法について申し上げます。  法人税は、売上げから各種費用等を控除いたしました配当前の収益に課税されるものでありますことから、先生御指摘のとおり、繰越欠損金の控除なども勘案した課税ベースとしての企業所得をモデルで推計し、それに法人税率を掛けることによって算出をしております。  それで、問題は、課税ベースとしての企業所得が問題になるわけですけれども、これは、モデルの中では潜在GDPと現実のGDPの乖離でありますいわゆるGDPギャップ、この変数の変化の度合いに応じて動くという関係を定式化しております。  すなわち、景気の回復局面等におきましてGDPギャップが大きく縮小する際には、課税ベースはマクロの企業所得よりも大きな伸びとなるという関係でございますけれども、一方で、経済が安定的な成長軌道に乗りましてGDPギャップがゼロ近傍でほぼ一定で推移するような場合には、課税ベースはマクロの企業所得とほぼ同じ伸びで推移するという関係になっているということでございます。
  73. 西田実仁

    西田実仁君 今、安定的に経済が成長しているときには法人税収は租税弾性値としてそんなに上回らないんだという話を多分されたんだと思いますけれども、しかし、この繰越控除の解消そのものは、つまり安定化するのは、二〇二〇年までの間に少しずつですけれども、むしろ巡航速度に入るのは二〇二〇年度以降ではないかというふうに思われるんですね。  そもそも、法人税の対象となる企業所得は何に一番比例的に変動するのかというと、当然、企業の付加価値額になります。この企業の付加価値額の名目GDPに占める比率というのは、バブルが崩壊して大幅に低下をいたしました。一九九一年度は五六・一%あったんですけれども、二〇〇一年度には五一・二%まで下がりました。そして、直近の二〇一三年度には五七・二%まで回復をしてきているわけでございまして、今お話しのように、需給ギャップが今後解消をしていく、そして設備投資が拡大をしていくという中にあって、この企業の付加価値額の対GDP比というのは飛躍的に伸びるのではないかと、こう見られるわけでございまして、そうなりますと、企業所得も比例的に伸びていくわけでありましょうから、法人税収というのは名目GDPよりも更にそれを上回って伸びていくと考えるのが理の当然ではないかというふうに思いますけれども。法人税収の二〇二〇年度までの租税弾性値についてはどのように公開されているのか、お聞きしたいと思います。
  74. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 法人税という個別の税につきまして税収弾性値というものは公開、公表しておりません。と申しますのは、税収につきましてはトータルで示しておりますけれども、個別の税の数字につきましては計算プロセスということで金額を公表しておりませんので、結果として出てくる弾性値についても、これは出ておりません。  それで、先ほど申し上げましたように、推計の仕方につきましても、企業所得の伸びと単純に相関を取っているわけではなくて、そこにGDPギャップの動きが非常に密接に関与してまいりますので、一概に法人税の税収弾性値がどの程度であるかということは申し上げられないわけでございます。その時々によって変わってくるということであります。
  75. 西田実仁

    西田実仁君 そうしますと、所得税、法人税、消費税、その他の税収もございますけれども、こうしたこの三つの主要税目を別個に試算はしていることに加えて、それにその他の税収も加えたものを税収という項目で記載をしているということなんでしょうか。全体の税収を推計するモデルというのがあるんでしょうか。それとも、租税弾性値一、結果的にとおっしゃっていますけれども、それをあらかじめ前提にして税収を算出をし、主要三税目を参考程度に試算をするのか。前者のケースであれば、その他税収を加えたモデルというのを知りたいんでありますが、それは公表しているんでしょうか。
  76. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 中長期試算の税収の値を計算するプロセスといたしましては、先生がおっしゃいましたように、所得税、法人税、消費税、それからその他の税について、それぞれ推計値を出しまして、それらの値を合計することで全体の税収を試算値として公表しているものでございます。あらかじめ税収弾性値を仮定して全体の税収を算出しているものではございません。  それで、先ほど申し上げましたように、所得税、法人税、それから消費税等につきましては、関数を使って方程式として試算をする体系になっておりますが、その他、非常に細かい税がいっぱいありますけれども、それらにつきましては必ずしもパラメーターを推定するタイプの税収の関数を持っているわけではなくて、そこは一定の仮定を置いて延ばすというような手法も使いながら計算プロセスとして算出をしているところでございます。
  77. 西田実仁

    西田実仁君 今言われた後半のところの、その他の税収について一定の仮定を置いてもごもごとおっしゃいましたけど、それは何か、どういう仮定を置いて、酒税はこうだとかというふうにして、何か公開されているんですか。
  78. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 全て経済財政モデルの変数につきましてはホームページでも公開しておりますので、それはございます。  それで、その延ばし方、例えば酒税ですとかたばこ税などは、これまでのトレンドを見ますと、これはいろんな要因があるんだと思いますけれども、下方トレンドを持っておりますので、そういったこれまでのトレンドを延ばすような形で延ばしているということがございます。それから、地方税ですとかいろいろ細かい税目もいっぱいありますけれども、例えば外形標準的な税につきましてはその課税ベースを基に推計するとか、細かくそれぞれございますので、それは必要があれば、公開しているモデルの方程式一覧がございますので、それを別の機会にでも御説明させていただきたいと思います。
  79. 西田実仁

    西田実仁君 じゃ、是非お願いいたします。勉強させていただきます。  この租税弾性値が結果として一になるということが、これまでの当初予算と決算との乖離ということをどう説明するのかということをこちらに来られたときにお聞きしたときに、こういうものを作りましたということで御説明いただいたのが今日お配りをしました中長期試算と決算における一般会計税収の比較という、こういうグラフ、また表でございます。  これは内閣府の皆さんが作ってきてくださったものでありまして、この赤のものが当初予算、黒が決算と。この当初予算と決算の差を問題にしているわけですが、青がこの中長期試算という内閣府の試算。この青の線の傾きと決算の傾きを是非見てもらいたいと、こういう御説明でございました。ほぼ同じではないかということなので、租税弾性値一ということの前提、結果としてであるものの、正当性があると、こういうたしか説明だったように思いますけれども、なかなか興味深いグラフだと思いましたので、改めてちょっと御説明願えればと思います。
  80. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 御指摘の資料でございますけれども、これは、中長期試算で用いておりますマクロ計量モデルの税収の試算値が税収実績のトレンドをおおむね捉えているということを示そうとしたものでありまして、試算結果から事後的に計算される税収弾性値が常に一となるということを言わんとしているものではございません。  先ほど申し上げましたように、モデルの税収弾性値は事後的に決まってきますので、二月に出しました試算で、将来のところは、成長率が安定的に巡航速度になるということで一・〇ぐらいの税収弾性値となっておりますけれども、いろんな景気局面で、モデルで計算した税収弾性値は別に一・〇近くになっているわけではなくて、過去の試算においては、景気が悪い局面から回復してくる過程では税収弾性値がかなり、モデルでも一より高い値となっているわけでございます。  そういう意味におきまして、この資料から税収弾性値の一が正しいんだということを証明しようというものではなくて、おおむね過去のトレンドをモデルで捉えているのではないかということでお示ししたところであります。  それから、もう一点だけちょっと追加させていただきますと、この青い線は赤い当初予算の線からひげのように延びておりますけれども、我々の試算におきましては、当初予算の税収の数字は、その当初予算の数字をアプリオリに置いて、そこから延ばすということをやっております。したがいまして、決算と当初予算の違いというのはモデルによって出てきた誤差ではないということも考慮いただければというふうに思います。
  81. 西田実仁

    西田実仁君 よく分かりました。  今御説明のように、おおむね過去のトレンドを捉えているという中長期試算だということを今強調されたと思いますが、これなぜ二〇〇〇年前は調べていないんですか。
  82. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 中長期試算を出すようになったのが、一番最初に出したのが二〇〇二年一月の試算が最初でございますので、それ以前はモデルもありませんでしたし、こういった中長期試算を内閣府としてお示ししておりませんでしたので、こういう形になっております。
  83. 西田実仁

    西田実仁君 この二〇〇〇年の前の、出されていないということでありますので、先ほど来から申し上げておりますように、二〇〇〇年度以降というのはずっとデフレ局面なんですよね。そのときの数字しかないので仕方ないのかもしれませんけれども、バブル崩壊以前の正常経済において日本のGDPと税収の形がどうだったのかということが考えられなければならないというふうに思います。  景気循環ごとに、以前にも申し上げましたが、改めてもう一度、事実ですので申し上げますが、景気の第七循環というのが一九七一年の十二月から一九七五年の三月、第八循環というのが七五年三月から七七年の十月、第九循環は七七年十月から八三年の二月、第十循環は八三年二月から八六年の十一月、そして景気の第十一循環というのは一九八六年十一月から九三年の十月というこの第七循環から第十一循環の景気の山と山の二つの時点の比較で租税弾性値、国税に限りますけれども、計算をいたしますと、その平均は一・三なんですね。そして、第九循環と第十一循環の平均は一・五というふうになります。  何もこれが、今後同じようなことが起きるとは言いませんけれども、決してこの租税弾性値が、過去の長いトレンドで見ても一ではないという、しかもバブル崩壊以前の日本の正常経済の姿では平均としてあった姿だと、こういうことでありますので、私は、あえて今日お配りした裏に自分で計算しました。租税弾性値が一・三だったら二〇二〇年のときにどうなるのかと、あるいは一・五だったらどうなるのかと。  当然でありますけれども、右側の一番最後のPB再試算とありますように、二〇二〇年度の段階で、一・五という、右斜め下になりますけれども、プライマリーバランスは、九・四兆円のマイナスではなくて〇・一兆円のマイナスというふうになります。これは当然、GDPの伸びはこの経済再生ケースというものをそのまま置いてございますし、成長率も、当然、名目GDPもそうですし、歳出も内閣府で計算したものを基に置いて租税弾性値だけを変えているという、単なる試算と言えば単なる試算なんですけれども。  つまり、二〇〇〇年以降は、確かに、先ほどお示しされたように、実際の中長期試算というのはおおむね二〇〇〇年以降の経済を捉まえているというふうには思いますけれども、しかし、デフレから脱却をするということが現政権での最大の目的で、今そこに向けて着々と進んでいると私は思っておりますし、また、もっと頑張らなきゃならないとも思っておりますけれども、そういうときに、どういう姿で財政再建していくのかという議論を、過去のデフレ最中の発想の延長だけで議論して本当にいいのかどうかということをきちんとやはり議論しないといけないのではないか。  試算は参考資料ということでありますので、私も参考資料として、何の権威もありませんけれども、西田事務所で作らせていただいたものを配らせていただいたわけでありますけれども、これについて、せっかくですから、立法府の私の一議員が出したものに内閣府の専門家の皆さんはどう思われるのか、お聞きしたいと思います。
  84. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 先生おっしゃいますように、今後、安倍内閣の更なる取組によりまして日本経済の構造が変化していくという際には、名目GDPと税収の関係が変化する可能性があるというのは、もう御指摘のとおりだというふうに思います。  他方で、それをどういうふうにモデルに反映するか、なかなか難しい問題ではございますけれども、構造変化というものをしっかり定量的に捕捉していかなければいけませんので、構造変化というのはモデルの構造が変わるということになってしまいますので、それを捉えるというのは非常に難しいことではございますけれども、もちろん、そういった新しい経済状況というのを的確に試算に反映するということは先生の御指摘のとおり必要なことだと思っておりますので、先生からいただいた御指摘も踏まえまして、今後検討していきたいというふうに思っております。
  85. 西田実仁

    西田実仁君 どう検討されるのか、なかなか難しいとは思いますけれども。  モデル自体は、やはりおっしゃるとおり、構造が変わるときというのはもうこれまでのモデルは使えないんですよ。使えないというか、余り役に立たないんですよ、構造が変わるわけですから。かといって、私が置いた前提は荒唐無稽ではなくて、過去のデフレ前にあった正常な日本の経済のときの実績をわざわざ使っているんです。実際に、経済再生ケースで、内閣府の皆さんの全要素生産性というのは一九八三年から九三年のときの生産性の向上を充てて使って経済再生ケースとやっているわけで、つまり、バブル以前の日本の正常な姿であったときの全要素生産性を置いて、そして経済再生になればこうなると、こういうアウトプットを出しておられるわけですので、その手法自体は、私が租税弾性値をこういうふうに置くのは決して荒唐無稽ではないというふうには思いますが、検討をどのようにするのか、私も検討していきたいと思いますけれども。  最後に、ずっと大臣にお聞きしなくて恐縮です。財政再建自体を、決して私は、何か財政に対して楽観をしていて、何も歳出の合理化はしなくていいということではない、すごく大事なことだとはもちろん思っているわけですけれども、この財政の健全化の指標ということについて、最後にお聞きしたいと思います。  普通、一般的には単年度の財政赤字の対GDP比あるいは景気変動を除いた構造赤字の対GDP比というものを財政健全化では用いるわけでありますけれども、債務の返済能力を見る指標としては、政府債務残高の対GDP比というのが重視されています。G20でもずっとそうですね。しかし、その際、日本においては、今の局面ですと、プライマリーバランスというその黒字化は、発散をさせないという意味では大事な指標ですけれども、しかし、世界的には政府債務残高の対GDP比、これがやはり主流であるということであります。  ただ、この政府債務残高を見る場合に、社会保障基金などの政府関係機関が資産として保有する国債を差し引いたネットの残高を連結ベースで見るというような考え方も必要ではないかと思いますけれども、この財政健全化の指標についての考え方、大臣に最後お聞きしたいと思います。
  86. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、甚だ面白く聞かせていただいたんですが、税制弾性値の話がこれはすごく面白いところで、これは、置く数字で全く変わりますのはもう御存じのとおりですが、ただ、全体として見て、二〇二〇年までに今に比べて税収増が二十二兆円増えるという前提でやっても九・四足らぬという話ですから、今、この三年間で四十二兆円だった税収が五十四兆ですから、約十二兆円税収が増えたのがこの三年間、私が財務大臣をやってからの話ですけど、この三年弱で税収が、民主党のときから引き継いだときのやつから比べますと十二兆円伸びたと、税収が、三年間でですよ。それでひっかき回すとえらい数字になるのははっきりしていますけれども、しかし、同時に考えておかなきゃいかぬのは、それは、消費税が三%上がったことによって六兆増えておりますから、法人税、所得税が約残りの六兆円ということになろうかと存じます。  そういったようなものを引いていきますと、この十二兆円伸びたのがそのまま今後とも伸びていけば、これは楽に二十二兆どころの騒ぎじゃない話になるんですけれども、そんな簡単なものではなくて、今までは繰越欠損なんかの分を払っていなかった企業がどっと払ってきたり、払っていなかった銀行がいきなり金を払えるようになってみたり、いろんな形になったのがこの数年間起きておりますので、ちょっとその数字をそのまま乗っけて先を見通すほど、やっぱり甘く税収を見積もるわけにはいかぬのだろうと思っております。  ただ、今言われましたように、海外を見れば、これはもう間違いなく、財政健全化というものを考えたときにおいては財政収支というものを考えるのが、何というの、基礎的財政収支というのは、私に言わせれば、これは金利が入っていない話ですから、基本的にまずはこれでやらせていただくということで、少なくとも、この二〇一五年度は一応その目的にほぼ達しつつある。残り五年間掛けて、二〇二〇年までの間に基礎的財政収支というものをチャラにするところまで持っていくということを今目標として、それでも九・四足らぬという話を今しておるわけですけれども、それにいたしましても、仮にそれが達成できた二〇二〇年から先の話としては、これはもう、どう考えても、大概ほかの国と同じように、債務残高対GDP比、その比率を安定的に引き下げていくというのが基本であろうことは私も全く同じ意見でありますので、そうなりますと、GDPというのが分母になりますけど、その分母の成長に加えて、やっぱり分子である利払い費等々を含めたいわゆる収支を改善して債務残高というのを抑えていく努力と、これ両方やらぬとなかなか達成ができないであろうという感じがいたしますので、国の利払い費を除いた指標であります今の基礎的財政収支というものの黒字化というのは、これは途中の中間的な目標にすぎないんであって、本来のものとしては、海外と同じように、財政収支につきまして対GDP比、基礎的財政収支ではなくて財政収支の対GDP比について検討していく必要があろうと思っておりますので、今の段階と五年後に目標を達成できた後のときとは当然違うんであって、先ほど前川先生の御質問があっておりましたけれども、この話と同じように、やっぱり後世に借金を残さないというのであれば、基礎的ではなくて財政収支対GDP比ということで話をしないと基本的なところが間違ったことになりかねぬと思って、PBが二〇二〇年に達成したら、おお、よかったじゃないかという話じゃ全然ないと、私はそう思っております。
  87. 西田実仁

    西田実仁君 終わります。
  88. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  89. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査のうち、税制等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 維新の党、藤巻です。  最初にちょっとコメントをさせていただきたいんですけど、午前中の最後に西田議員の方から、中長期財政再建の計画には税制弾性値の見直し、一・〇をもうちょっと一・三とか一・五にした方がいいんじゃないかという御提案があったんですが、それを聞きましてちょっと同じような御提案をさせていただきたいんですが、大臣内閣大臣じゃないので、副総理という立場でお聞きいただきたいんですが、PBの場合は大臣がおっしゃったとおり国債費が入っていませんから関係ないんですが、最後に大臣がおっしゃった累積赤字額オーバーGDPの数字をもし予想するのであれば、是非、長期金利も平時のレートで予想していただきたいと。  債券先物というのは、今、六%クーポン十年の架空の債券を取引しているわけですけれども、これはなぜ六%のクーポンかというと、一九八五年に債券先物ができたときに十年の金利というのは六%が常識だったわけです。平時では六%が常識だったわけで、今みたいに〇・三とか〇・四%だったわけじゃないので、是非、そういう中長期的に計画を作るとき、予想をするときは平時の長期金利も頭に入れて作っていただきたいというふうに要望いたします。  何を言いたいかというと、今回の中長期のあれも、ちょっと過度な楽観的な成長率を前提にしているというふうに私は思いますので、財政再建をするときは、やっぱり余り楽観論に陥ることなく、シビアな目で再建をしていただきたいということはお願いしておきたいと思います。  質問なんですけれども、まず財務大臣にお聞きしたいんですが、二〇一五年二月十一日の日経新聞で森口一橋大学教授が、超富裕層、この超富裕層というのは成人人口の上位〇・一%の人間なわけです。要するに、一千万人成人人口がいるならば一万人ということですね。五千万人の成人人口がいるとなるとすると上位五万人の収入を得ている人たちがどの程度収入を得ているかということなんですけれども、日本では全所得のうちの二・六%しか得ていない。アメリカは八・八%。すなわち、日本人の超富裕層というのは別に富を独占しているのではないということですね。  もう一つ言うならば、その日本人の超富裕層、上から〇・一%の人間の平均年収というのは五千五百万円なわけです。アメリカは三億八千万ということで、そういうことで、何を言いたいかというと、日本人というのは、アメリカ人のような大金持ちもいなければ富を独占しているわけでもないということなんですけれども。  そういう状態であるということで、日本人は小金持ちしかいない、そして富を独占していないにもかかわらず、前回のこの財政金融委員会でお聞きしましたけれども、所得税と相続税の二重取りで、ちょっと稼ぐと全てみんな税金で持っていかれちゃう、全てとは言いませんけど、税金でかなり持っていかれてしまう。  この前のお示しした例でいうと、四千万円の収入を得ている方が、例えばベンチャーの経営者が相続財産一億円をためてしまう、これは簡単にたまってしまうと思うんですけれども。そうすると、それ以上幾ら稼いでも、百万円当たり三十三万円しか子供に残せないわけですね。どんどんむしり取られてしまう。  アメリカだったらば相続税は十二億円まで無税ですから、たとえ所得税で多く取られても、それはそのまま残るということで、アメリカ人は大金持ちが多くてもきちんと残っていくということで、そういう状況にあると思うんですが、そういうことを勘案してみますと、日本はやっぱり働いても働かなくても同じだと。要するに、結果平等税制を取っていれば、こういう国は、私は未来がないと思っているんですね。  特に日本人の場合、そういう小金持ちしかいなくてそれほど大きい富がないのに、そういう金持ちを引き下ろすということで格差是正を図るというのは間違いであって、やっぱり経済を良くして低所得者層の収入を上げるということで格差是正を図るのが当然あるべき姿だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  91. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) よく言われるように、社会主義経済が最もうまくいった国は日本だそうですから、今に始まった話じゃありませんから。昔は所得税八八%ぐらいでしたからね、それに比べれば、今、四〇、四五というのは随分変わってきたんだとは思っていますよ。でも、おっしゃるとおりであって、大金持ちというのは、もう日本の場合はちょっとアメリカと比べられたら全然比較の対象にもなりませんですな。私は、それはそう思います。  今、小金持ちというのを引き下ろすんじゃなくて、簡単に言えば貧困層を引き上げるべきだというお話なんだと思いますけれども、今の内閣でもやっぱり雇用環境の改善と社会保障制度見直しというのに注力を傾けてきて、低所得層の所得の格上げというもので格差の固定化の防止につながるという考え方というのは非常に強いと、私はそう思っております。  現実問題として、雇用環境の改善、具体的に言えば、完全失業率等々は、今は三・四までになったんだと思いますが、十七年ぶりぐらいの低水準になりましたし、有効求人倍率も一・一五ですから極めて高く、二十数年ぶりの高水準。本年の賃上げも、経団連の調査で二・五九ですから、過去最高ということで、昨年を更に上回っておりますので、最終集計では二・二八ぐらいまで上がる勢いと。最低賃金につきましても、政権交代後二年連続で引上げを実施しておりますので、そういった意味では、日本の場合は、政労使の会議というのもいかがなものかと思いますが、とにかく、その会議の結果、共通認識においても、非正規労働者のキャリアアップとか処遇改善に向けた取組というのを今後も進めていくということで、更にそれを引き上げようとしておりますので、いろんな意味で、社会保障の安定財源を確保するとかいろんな理由もあろうかとは思いますけれども、いわゆる低所得者層の所得を上げるとか社会保障の充実、安定化といったようなことに非常に気を配って、今、格差の固定化につながらないとかいうようなことに関していろいろ考えて、今先生御指摘のような富裕層の状況を含めて、最近の経済社会の構造変化を踏まえながら引き続き対応していくということなんだと思っております。
  92. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 次にお聞きしたいことは、前々回の財政金融委員会財務省の方から、お渡しした表一のような資料をいただいているわけですが、これ要するに、所得税を払っていない人は当然いるわけですけれども、所得税を払っている人のうちの八〇%は限界税率一〇%以下ということで、一方、高額所得者、限界税率が三三%になる人たちは全体の一%しかいなくて、四〇%とか四五%のところは約〇・六%しかいないということですね。  それで、そのときにちょっとお聞きしたんですけれども、税率を一%上げたときに国はどのくらいの増収になるかということですが、五%以下の税率を上げる場合は六千七百億円、一〇%の限界税率を一%上げると千七百億円の増収。ただ、一方、三三%以上、これは九百万円以上になると三三%となると思いますけれども、それを一%上げたところで、三三%を三四%に上げたところで五百億円しか増収にならない、四〇%以上だと四百億円しか増収にならないという結果をこの前お聞きしたんですが、これを見ていますと、そうすると、例えば所得税、なかなか収入が少ないから所得税を増収しようと思って、じゃ、富裕者層を上げるかと。富裕者層、三三%以上の限界税率を払っている人、要するに九百万円以上の税金を払っている人は全部税金で没収と、一〇〇%税金払えと。だから、日本人の最高手取りは全部九百万円で上限ということにしたところで、これ幾ら増収できるかというと、これも財務省の方に聞いて回答をいただきましたら四・七兆円なわけです。とんでもない重課税ですね。三木谷さんも孫さんも柳井さんも、みんな幾ら稼いでも九百万円しかもらえないよと、そういう税制を取ったところで四・七兆円の増収にしかならないと。  一方、これは三百三十万円の人の税率を五%上げる。限界税率ですから、これは低所得者層だけじゃなくて全員に当てはまるわけですけれども、三百三十万円以下の税率を五%上げるとなると、これ四・二兆円の増収だということですね、国としては。  というようなことを考えますと、所得税をもし上げたいとなるならば、低い方の税率を上げるか、それとも所得最低限を引き下げるか、どっちかしか方法がないと思うんですね、物理的に無理であると。要するに、高所得者層の増税では金額が集まらないと。ですから、どうしても所得税を増税するのであれば低所得のところに手を付けざるを得ないと思いますが、その認識でいいかどうかを、財務大臣、お答えください。
  93. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 所得税に手を付けるという大前提が何でそうなっているのかよく分かりませんけれども、いずれにいたしましても、税収確保という観点だけからいえば、日本において高額の所得者層の税率を引き上げた場合の税収見込額というのは、これは相対的に低いということだと思いますが、税収という話になりますと、これは所得の再配分の観点というのも考えておかないかぬところなんだと思っております。  したがって、日本の所得税につきましては、かつては非常に累進税率が高くて、昭和六十年代ぐらいまでは、松下さんがよく言っていた、八八だか九〇%だかだったと思いますので、そういった意味で、税率構造の大幅な累進緩和というのを、それを六十年代以降行ってきた結果が、今のように五五%ということまでになってきたんだと思っております。こうした中で、所得の再分配機能というものの回復ということがよく言われ始めて、今年の一月に所得税、国税の方の最高税率を課税所得の四千万円超について四五%の税率を設けたところであります。  今後ともこういったことを考えていかないかぬだろうなと思いますけれども、負担の構造の在り方を検討していくということは、これは間違いなく、今後日本という国が、人口構造を考えましても高齢化を考えましても、これは藤巻先生、日本税制全体を考えないとこれはいかぬのであって、所得税だけの話をしても余りあれがないんであって、全体の中でどういう具合にやっていくかということを考えないといかぬのじゃないかなという感じがいたしますので、いずれにいたしましても、ただ単に低所得者層への所得税の課税強化というのだけを考えるという方向性を考えるのは極めて難しいだろうという感じはいたします。
  94. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 低所得者層への課税強化をしろと言っているよりも、しないと財政がもたないんじゃないかという話をしているわけで、まさか高所得者層、二千万円の収入のところで三千万円の税金取るわけにいかないですから、最大二千万円しか取れないわけで、それじゃやっぱり国の財政はもたない。そうすると、もちろん嫌だけれども、低所得者層に増税をお願いしないと十分な税収は確保できないんではないかというのが私の質問でございました。  かつ、ちょっと表三を御覧いただきたいんですが、これは日経新聞の「経済教室」に書いてあった阿部先生のあれなんですけれども、もう今や、財政状況を考えると、誰かの金で貧困層の格差是正を図るというのはもう無理だと、社会全体で、ということは、要するに、今までほとんど税金を、低率の税金を払っていた人を含めて全員でお金を負担しないと格差是正なんかできないよという文章だと思います。ということで、これはいやが応にも、もし所得税でやるんだったらば、残念ながら低所得者層にも増税をお願いせざるを得ないと思うんですね。  もう一つの手としては消費税を上げることがあるんですけれども、消費税を上げるとなると逆進性の問題がすぐ言われると。でも、所得税で確保しようと思えば、それはもう幾ら一〇〇%税金取ったって無理だ、低所得層にお願いせざるを得ない。どちらにしても低所得者層にお願いせざるを得ない、いい悪いは別として、もうせざるを得ないという現実、それじゃないと増収は、確かに景気が良くなれば多少は良くなると思いますけれども、もう無理だという状況を考えれば、二者選択であるならば、私は勤労意欲をそがない消費増税の方がベターではないかなというふうに、ワーストではないということ、ベター、別にそれがいいと言っているわけじゃなくて、それしか方法ないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  95. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 勤労意欲への配慮という点を含めまして、勤労世代に過度の負担を負わせないように配慮するというのは、これは当然なんだと私どもは思っております。したがいまして、消費課税の役割というものは、これは間接税ですから、直接税と違いますので、そういった意味では極めて重要な意味があると、はっきりしておると思います。  一方で、これは垂直的な公平というものを確保するという観点からいきますと、いわゆる所得課税とか資産課税とかいうのの組合せというのも考えておかないかぬのだと思いますが、いずれにしても、財政の健全化というものに向けまして、この六月までにいろいろ私どもとしては考えないかぬと思って、消費税率の一〇%への引上げが平成二十九年の四月に行わせていただくということを前提にして、目下、経済の再生とデフレ脱却というものに全力を尽くしているところなんですが。  いずれにしても、これから先、消費税一〇%以上へいつの段階で上げるかというような話を具体的に盛り込むことを今の段階で考えているわけではないという話はこの間総理の話の中にもあっておりましたけれども、とにかく、今どういうような形になっていくかといえば、これはもう、経済は生き物ですし、少なくとも、三年前の税収四十二兆円か、それが五十四兆円になるということを予想した人はあの段階では一人もいませんから、そういうもので、経済というのは極めて生き物でありますので、分からぬ部分というのはいっぱいあるんだと思っておりますけれども、いずれにしても、予断を持って判断するということは差し控えねばならぬと、そう思っております。
  96. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 客観的に見て、消費税が上げられない、もう一〇%以上は上げられないとなると、所得税も物理的に無理だとなると、残るのはやっぱりインフレタックスしかないのかなと。量的緩和というのは、インフレにして実質的に国の財政負担を軽くしているというふうに私は考えざるを得ないと思うんですが、それはおいておいて。  次に、担当者に、佐藤さんですかね、お聞きしたいんですけれども、日本の課税最低限は世界的に見て高いのか低いのか、お答えいただければと思います。
  97. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。  課税最低限を国際的に比較するという場合、かつてと違いまして、最近の税制改正で所得控除から税額控除に移していく、例えば、日本であれば年少扶養控除見直して、それで子ども手当に移すとかいうことで税額控除に移すということもございますので、昔は比較的所得控除が、ほとんどの国が取っておりましたので単純比較がやりやすかったということでございまして、したがいまして、課税最低限というときに何をイメージするかによって違うという前提で申し上げて、二つ実はアプローチがあるということでございます。  一つは、今申しましたような児童手当とか税額控除のようなものを全部織り込んで、そこで含めて全体として実質的に所得税の負担が生じない水準という、そういう意味での課税最低限というふうに定義をいたしますと、夫婦子二人の世帯という典型例でいいますと、日本の場合は五百八十六万円、それからドイツは六百二十八万円、フランスは九百二万円、一方、アメリカは四百四十八万円、イギリスは五百十五万円ということになりまして、真ん中辺りという感じでございます。  一方、課税最低限、日本は高い高いという議論がありますのは、今申し上げたような税額控除が比較的まだなかった時代の比較でございまして、今申し上げたような税額控除とか子ども手当を単純に考慮しないで所得控除だけで計算をいたしますと、言わば伝統的方法でやりますと、日本の場合は二百六十二万円、アメリカは四百四十八万円、イギリスは百八十三万円、ドイツは三百十三万円、フランスは七百十二万円ということで、下から二番目の低さというような感じでございます。  どういう形で比べるかということ、その恐らく視点によりまして見方が変わるのかなというふうに思っております。
  98. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 時間が来ましたので質問はこれで終わりにしますけど、あとは担当者宛ての質問なので、後で部屋にでもいつか来ていただいて、教えていただければと思います。  ありがとうございました。
  99. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  先月取り上げました福井県の武生信用金庫の不正融資、職員の不当解雇問題の第二弾、二回目をやらせてもらいますが。  改めて事件の概略を言いますと、資料をお配りしておりますけれど、一枚目に時間的な経過を書いておりますが、要するに、武生信用金庫が実質的に破綻していた小さな造り酒屋に、S酒造としておきましたけれども、全体で貸せるはずのない十五億円も法令違反の不正融資をして、それも、直接だと貸せるわけないので、地元の有力者Kさんという方を通じての迂回融資をしていたと。なぜ潰れかけの造り酒屋に巨額の融資をしたのかと、十五億円はどこに消えたのかというのはミステリーなんですけれども、この信金の理事長を含め経営陣が承知の上でやった信金ぐるみの不正融資であります。  その不正をただそうとした職員のBさんたちが、内部資料を取って北陸財務局に内部告発をしたんですけれども、北陸財務局はそれを無視すると。しかも、財務局が武生信金に検査に入ったんですけれど、入って不正融資だと認定して指摘したんだけれども、おとがめなしということです。  内部告発をした、公益通報したBさんたちは懲戒解雇になりまして、更に武生が悪質といいますか時代錯誤なのは、今どきこんなことは余りないんですけれども、公益通報というのは大事だということになっていますので。ところが、この武生は、懲戒解雇するだけじゃなくて刑事告訴までやりました。つまり、信金の内部資料を公益通報のために持ち出したということを窃盗だということにして警察に刑事告訴して、現在、Bさんたちは何と警察で取調べを受けているということでありまして、不正をただすために立ち上がった、勇気を持って職を賭して立ち上がった人たちが泥棒扱いということで、家族も親族もおられるのに。私が一番許せないのはこの点なんですけれども、人の尊厳を踏みにじるような何と愚かな信用金庫だと思いますけれど。警察で本来調べられるべきは、こういう不正融資をした旧経営陣ですよね。今、一人残っておりますけれど、そういう人たちが背任罪で取調べを受けるのが当たり前だと思います。  この問題は、一地方の一信金、一財務局の話では終わらないと。なぜならば、今、国会で公益通報制度、公益通報者の保護の問題が引き続き検討課題になっておりますし、この委員会の課題としては、地方財務局と地方経済界、地方金融界との闇の世界といいますか癒着の関係は国会としてただすべきだというふうに思うところであります。  そういうことなんですけれども、武生信金、今日現在どうなっているかというと、去年、信金中金に資本支援要請をいたしまして、現在、何事もなかったかのように、ある信用金庫ですかと吸収合併の話が進んでおりまして、今日これからその記者会見が行われるのではないかという情報をつかんでおりますけれども。  要するに、これだけの不祥事がありながら、全ては闇のまま、武生は吸収合併されてなくなっていく、北陸財務局の不祥事もうやむやになっていくと。不正をただそうとしたBさんたちだけが職を失った挙げ句、犯罪者扱いで、これからもし裁判になれば、今の裁判例からいって最終的には勝つと思いますけれども、それにしても、何年間も裁判をしなければいけないということになるわけでありまして、当事者たちは逃げて、正しいことをやった人たちがこれからこんな思いをするという、こんなばかな話があるかということなんですけれども。  そういうこともありまして先月取り上げたんですけれども、麻生大臣の御指示もあって、ちゃんと調べろということで、金融庁は確かに財務局に対してヒアリングなどを始めてくれておりますけれども、今現在でそのヒアリングの状況どうなっているか、教えてください。
  100. 森信親

    政府参考人(森信親君) 当委員会で先般議員より御指摘があったことを踏まえまして、金融庁から検査監督、それから幹部を派遣いたしまして、いろいろな今残っている資料、それから当時の担当者にヒアリングなどを進めておるところでございます。
  101. 大門実紀史

    大門実紀史君 まだ調べてもらっている途中ということですが、この問題、本省としては私は守らない方がいいと思うんですね、北陸財務局あるいは武生も、幾ら合併するといってもですね。やっぱり北陸財務局のうみをこの際出しておかないと、もう信頼が地に落ちていますので、北陸財務局そのものが地元では信頼がもう地に落ちていますので。信頼回復のためにもこの問題にきちっと対応すべきだと思いますし、武生もどこかに吸収されたら終わりというわけじゃなくて、吸収した方の金融機関も問われることになりますから、やっぱりここできちっと明らかにしておくべきだというふうに思います。  国会で取り上げたこともありまして、本省、金融庁もヒアリングをしてくれているということもありまして、財務局も武生信金も緊張はしているようなんですけれども、大変びくびくはしているようなんですけれども、実際に、具体的に反省や改善の動きが全然見られないんですよね。北陸財務局は公益通報を無視したことぐらいおわびすべきだと、それぐらいできると思うんですけれど、一切やりません、記憶にないとか書類がないですよね。  武生は、さっき申し上げましたけれども、最低限、自分たち、今の経営陣は過去の旧経営陣が不正融資をしたということを認めているわけだから、この告発したBさんたちに対する、いきなり解雇撤回まではもうワンクッションあるかも分かりませんが、少なくとも、すぐできる、刑事告訴は取り下げるべきだと思うんですけれども、何もそのための努力をしていないんですよね。このまま逃げ切れると、合併もあるし逃げ切れると思っているのかどうか知りませんですけれども。  ですから、改善の方向に動いてくれているのならば、余りこの問題、わざわざまた第二弾、第三弾と深追いするつもりもなかったんですけれども、こういう状況ですと更に指摘せざるを得ないということで、今日は具体的な資料を二枚目以降に用意いたしました。  具体的といっても、生の資料もありますけれど、生の資料そのものをコピーしてここに出すと金融庁、財務局のこけんにも関わると思いますので、ワンクッション置いたわけです。抜粋をしてわざわざ抜き書きをしたわけです。それは、そういう配慮をしたということは御承知おきいただきたいと。次は生の資料を出させてもらうこともあり得ますので、そういうものだと思っておいて、この資料を見ていただきたいんですけれども。  何の資料かといいますと、武生信金と北陸財務局のやり取りなんですが、これは二〇一二年の財務局の検査の際のやり取りであります。確認表といいまして、お互い指摘点を確認し合うわけですね。もう簡単に言いますと、先ほどから言っている迂回融資については財務局がきちっと指摘をしております。極めて不適切な取扱いだと、常務理事がやっていると、迂回融資をですね。武生信金も、相違ありません、そのとおりですと迂回融資を認めているわけであります。  次の大口信用供与限度額超過先、これは何のことかというと、要するに、そんな潰れかけの造り酒屋に十五億も貸せるわけがないんですね。これ、信用供与限度額を超えているんですよね。それでも貸したわけですね。この対応、これは法令違反でありますけれども、それについても財務局が指摘をして、図っている、意図的にやっていると、迂回融資をですね。武生信金は相違ありませんと認めているわけですね。だから、財務局も法令違反と指摘して、武生信金側もそれを認めていると。  法令違反が検査で指摘されて、おとがめなし、何の処分もなし。一般論でいいんですけれども、こういうことってあるんですか。法令違反しても、検査で法令違反が分かってお互いが認識して認めても、相手によってはおとがめなしというようなことがあり得るのでしょうか、森さん。
  102. 森信親

    政府参考人(森信親君) この大口信用の法令違反というのは、例えば自己資本が赤字決算などによって分母が下がることによって結果的に違反ということになるような、そういったこともございます。ですから、それぞれの、我々の検査とかで認めた状況に応じて監督上の適切な対応を行うというのが一般的な原則でございます。
  103. 大門実紀史

    大門実紀史君 そんな甘っちょろいことを言わないでくださいよ。これ、迂回融資なんですよ、法令違反なんですよ。一時的に信用供与限度額を超えた、超えていないというのはここに書いてあるけれど、それを言っているんではないんですよ。これそのものが迂回融資なんですよ。貸せないところに貸しているわけですよ。どこに行ったか分からなくなっちゃっているわけですね。  こういうことが検査で指摘されて、それが何のおとがめもなしなんて。検査の中身って僕らには知らされませんですよね、処分した場合以外は。こんなことをやられているんですか、金融庁の検査で、全国で。こんなもの、検査の信用なんかなくなりますよ、こんなことをやっていると。  さらにもう一つは、三枚目なんですけれども、エグジットミーティングという資料ですけれども、エグジットミーティングとは何かといいますと、これは、立入検査が終わったときに双方、財務局の検査官と信金側とで最後の会議をやるわけですね、突き合わせをやるわけです。それをエグジットミーティングと言うわけですけれども、ここでもはっきりと、三つも法令違反やコンプライアンス欠落を指摘されているわけです。  一つは、もう代表理事自身が迂回融資を行っていると。今回検査で不適切な対応があり効率的な実施が妨げられているというのは、これは検査妨害のことであります。女性職員にシュレッダーで処分しろという指示をしたんですね、これは検査妨害。普通ならこれだけでも業務改善命令というか厳しい処分が、検査妨害って物すごい厳しいですよね、普通は、あることなんですよ、これだけでも。更に言えば、コンプライアンス委員会委員長自ら法令違反をやっていると。こんな信金がほかにあるのかということですよね。それでも処分がないということがこの問題なんですよね。  じゃ、もうちょっと具体的に、そういうふうにごまかしの答弁をするんだったら私も森さんに聞きたくなるんだけれども、このエグジットミーティングの内容、現物資料ありますけれども、これは、この間ヒアリングされて、北陸財務局に行かれて、当然把握していますよね、当然把握していますよね。このエグジットミーティングでこれだけ三つも法令違反、コンプライアンスの欠落が指摘されているのに、これで、このまま処分なしのままでいいんですか、金融庁としていいんですか、このまま放置していいんですか。当然、再検査や処分のやり直しを指示すべきじゃないんですか。
  104. 森信親

    政府参考人(森信親君) 議員からこのような御指摘があったことを踏まえまして、現在、北陸財務局に出向きまして、関係文書の調査、それから当時の担当者へのヒアリングを行っております。  引き続きその作業を進めて、それを踏まえまして、我々としては適切に対応してまいりたいと考えております。
  105. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、そうじゃなくて、ちょっとかばうようなことをおっしゃるから言いたくなるんだけれども。  もう武生信金は、名前言いませんけれども、ある金融機関に吸収合併の話がもうスケジュールに上っていますよね、今日にも記者会見するということですよね。そうすると、この問題がどうなるのかということなんですけれども、きちっと早くやらないとうやむやに、武生信金そのものがなくなって経営陣いなくなりますよね、裁判で訴えられるとなるかも分かりませんけれど。金融庁としてやれるチャンスは今しかないわけですよね、きちっとしたことを。やる気があるならば、そんな悠長なことじゃなくて、今動くしかないと思うんですよね。  これ、適切ですか、本当に。これだけのことがあって何の処分もなかったと、結果的に。これ、適切な事例なんですか。これがこのままということは、今までもこういうことはあっただろうし、ほかでも行われているだろうと。相手を見て、検査も相手によって変える、こういうことが行われているということになりますよ。だから、これ本当にいいんですか、今やらなくて。どうですか。
  106. 森信親

    政府参考人(森信親君) 繰り返しになりますけれども、現在、武生信金に対する北陸財務局の検査監督対応について鋭意確認作業を行っていることでございますので、それを踏まえまして適切に、タイムリーに対応してまいりたいと考えております。
  107. 大門実紀史

    大門実紀史君 とにかく、この問題は終わりませんから、このままうやむやにしても。私、何度も追及させていただきますし、これが放置されたら、もう検査なんか信用できなくなりますので。  それで、実はこのエグジットミーティング、十二月二十六日ですけれども、これだけじゃないんですよ、このときの資料というのは。この後の質疑応答を信金側がメモした記録も入手しておりまして、そこまで暴露するともう余りにもひどい話なんですけれど、どんでん返しの手打ち式になるわけですよね。そこまで暴露しないと、そこまでマスコミも含めてリークしないと動かないんですか、金融庁は。そういう問題じゃないと思うんですね。金融庁も自らただして指示すべき、財務局も指示すべき問題だというふうに思います。  更に言えば、財務局と武生信金の個別の癒着、携帯電話で財務内容について指示をする、情報のアドバイスをする、このようなことまで全部あるわけですよね。全部暴露しなければ動かないというようなことじゃないと思うんですよね。そんなことやりたくないですよね。だから、きちっと自ら襟を正してほしいと思うわけであります。  重ねて言いますと、内部告発したBさんたちが、今警察に呼ばれて泥棒扱いで、窃盗の容疑で取調べを受けている。こんなことをいつまでも許しておいていいのかと。告訴して、その後起訴されますと、起訴は簡単には取り下げられなくなります、告訴を取り下げるといっても起訴は続いてしまうんですけれど、これは、告訴した方が告訴に値する事実は実はなかった、間違っていたということをきちっと関係方面に働きかければ、刑事訴訟法の中で、事実上、起訴の棄却ということもありますので、武生はなぜそれをやらないで、人を犯罪者で取り調べさせておいて、自分たちは安穏としているのかと。大変許せない話だと私思っておりますので、そこのところは本当に、これもインターネットで今日、今見ていると思いますけれど、肝に銘じて対処してもらいたいというふうに思います。  最後に麻生大臣に、とにかく、今、金融庁がヒアリングやってくれているのは知っていますし、現地まで行ってくれているのも知っております。ただ、それだけでずるずる行って、何もかもうやむやになってしまうということだけは避けるべきだと思いますので、引き続き、きちっと調査をして、しかるべき対処をするように大臣からも御指示をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  108. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 過日、大門先生から御指摘があって、その後、金融庁の方に指示をいたしておりますので、そのとおり動いてはいるんだと思いますけれども、改めて今日御指摘がありましたので、事務方の対応状況を引き続き注視してまいりたいと考えております。
  109. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  110. 中山恭子

    ○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。  今日は、公共事業費についてお伺いいたします。  皆様のお手元に、財政制度分科会に提出されましたもののうち、「社会資本整備について」という資料の中にあります公共事業関連の資料を三枚配付いたしました。  まず、公共事業関係費の推移について見てみますと、平成九年度、一九九七年の九・八兆円、これは当初予算でございますけれども、見ますと、その平成九年度の九・八兆円をピークに、青い部分でございます、それ以降、基本的には減少を続けておりまして、平成二十四年度、二〇一二年には四・六兆円まで、半分以下に減少してしまいました。平成二十七年度当初予算では六兆円まで戻ってきております。  また、補正後の予算で見てみますと、ピークは平成十年度の十四・九兆円、これは当初予算が九・一兆円で補正が五・九兆円でございます。非常に大きな補正が組まれておりますけれども、これは、ちょうどこのとき小渕内閣になって、橋本内閣から小渕内閣に替わって、景気対策を進めようということで十五か月予算を組んだとき、この十年度予算の方に補正で相当大きな額が積まれておりまして、平成十年度が補正後予算の公共事業費のピークとなっております。  ついでですけれども、平成七年度、二番目に高い公共事業費ですが、これはちょっと数字が読み取りづらいですけれども、補正が五・〇、当初予算で九・三という、合計で十四・三兆円の公共事業費が計上されております。このときは、平成七年、阪神・淡路大震災のときでございまして、積み上がっているということでございます。  今年度当初予算は六兆円ということで、この青いののピークが平成九年でございますが、この平成九年度の当初予算に比べましても相当少ないものでございます。この数字は、ずっと歴史をたどっていきますと、昭和五十三年度の予算五・八兆円を僅かに超える水準でございます。平成十年度に比べて公共事業の必要性というものが決して減ったということではなく、その必要性は一層増しているにもかかわらず半分以下の予算しか組めていないというのが実情でございます。  二枚目に、一般政府の総固定資本形成の対GDP比の推移のグラフを付けてあります。  主要国との比較したグラフでございますけれども、主要五か国を比較した場合、日本の場合、非常に高いGDP比で推移してきておりましたが、平成十八年度以降は、二〇〇六年以降ですけれども、このピンク色のグラフ、フランスとほぼ同程度の公共事業費の推移となっております。  ヨーロッパ諸国の場合には、数百年にわたって、長年にわたって積み上げてきた資産の蓄積の上に立った公共事業でありまして、日本のように、敗戦後、急ごしらえで整備したインフラが老朽化している状況とは全く異なっていることを考えますと、現在の日本の公共インフラ整備の予算、極めて貧弱であると思いますが、財務大臣はこの動きをいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  111. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 中山先生、この資料は、過日、財政金融諮問委員会か、にも提出した資料でもあるんですけれども、この資料に見るまでもなく、これはヨーロッパの比較なんかを二ページ目に書いてありますけれども、この英とか独とか仏とか、ここは台風ありませんから。地震もありませんし、こんな国と比較したって意味ないですよ。もうちょっとちゃんと地震がえらいある国と比較しないと、なかなかこういう比較は、それより多いじゃないかなんと言われたって、それは多くなきゃ国土の安全が守れないのははっきりしております。  そういった意味で、私どもとしては、災害に強い国づくりというのをするというのは、これは国としては非常に重要な課題なんだと思っておりますので、高度経済成長というのが昭和三十年代ぐらいにできたと、まあいろんな表現がありますけれども。これから後どうなっていったかといった場合、我々として一番比較すべきは、多分アメリカがいわゆるテネシー・バレー・オーソリティーと言われたあの時代の、いわゆるフランクリン・ルーズベルトのときに大量に公共工事を発注したものが、メンテナンスがアメリカの場合、日本みたいに丁寧にやっていることができなかったこともこれありで、八〇年代に、ちょうど五十年たったときに、えらい勢いであちこちで橋が崩落したりビルが崩壊したりしたのはあの時代に建てた建物です。  日本の場合も、今ちょうど五十年少々たっておりますので、そろそろ危なくなってきているということになっているというのは、これは建築屋だったら誰でも言う話だと思っておりますので。私どもとしては、老朽化するために、今国交大臣が言っておられるように、日本の場合のメンテナンス元年にするんだという言葉がこの間どこかで出ていましたけれども、そういった意味では、二十七年度の公共事業においても、総額ではこれは六兆円ということでほぼ〇・〇%の増ということにしてありますけれども、防災とか減災とか老朽化対策というところでは、いわゆる河川の更新には七・六%増とか、また防災とか安全交付金等々においては一%増等と、いろいろな意味で重点化をさせていただいてやっておるというのが今現状だというように御理解いただければと存じます。
  112. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  確かに、地震もない安定したヨーロッパのあの建物を見ますとちょっと羨ましいなと思いますけれども、日本としては、それに対して安全な国をつくっていくということをやはりもっと力を入れていってよろしいのではないだろうかと、そんなふうに思っております。  三枚目に、「当面の公共事業関係費について」という文書を出されておりますのでこれも付けました。今現在検討中でございますのでそれを待つということだろうと思いますが、それにしても、考えていることを伝えてもよろしいのではないかと思ってこの文書を付けました。  ここでは、厳しい財政事情の下、公共事業関係費についても例外とせず見直すとしてありまして、これは、財政再建に向けて強い決意をして臨むという姿勢が見えて大変結構なことだとは思っております。特に、民間活力、民間資金の導入、四番目でございますけれども、規制や税制見直しもするというようなことが書かれておりますので、こういったことも確実に必要なことであろうと考えております。  ただ、この「当面の公共事業関係費について」という、財務省として非常に力を入れて財政再建に向けて動きますという強い姿勢の見えるこういった文書でございますけれども、この動きは、「地方財政について」というのと「文教・科学技術について」という、私どもではこの三種類しか見えておりませんで、できれば社会保障費についてというようなことにも、財務省としてどう考えているかというようなことも出していただけたら有り難いと思っております。  これは質問通告しておりませんが、いかがでございましょうか。
  113. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この社会保障の話は、これは国民皆保険というのを今後とも日本で維持していくという前提に立ちますと、いわゆる団塊の世代と言われる方たちが七十五歳以上ということになるのが二〇二〇年代ということになろうと思いますので、これの初頭までには是非、二〇二〇年代初頭までには、まず受益と負担のバランスというか均衡というものの取れた社会保障制度というのを構築して、先ほどでしたか、前川先生の言っておられた、いわゆる先送りしないという話が必要なんだと思っております。  これまでも財政審のたびにいろいろこれを出してきておりますけれども、今回の三か年の予算編成におきましては、生活保護の見直しということをやらせていただいて、これまでの三か年の間に生活扶助のいわゆる基準本体というものを平成二十五年度から二十七年度にかけて約六・五%削減をいたしております。それから、診療報酬改定、これは一昨年の平成二十六年度の薬価改定のときの基準でしたけれども、これは一・三六%引き上げて、診療報酬本体には戻さないというのをやらせていただき、それから、介護報酬改定というのを平成二十七年度の予算でやらせていただいて、これは全体として二・二七%の減ということを実施させていただいておりますけれども、そういった意味で、社会保障のいわゆる歳出の重点化とか効率化というのをかなり進めております。  本年六月末ぐらいまでに策定をいたします財政健全化計画におきましても、具体的でかつ実効性のあるものを示す必要があると考えておりまして、これにどう取り組むかということで、今朝ほどでしたか、石田先生の話していたジェネリック使用促進というようなもので、これで社会保険料の絶対量というか支出がかなり抑えられるということも考えられ、また、負担能力に応じて負担をするという観点から、医療・介護サービスの負担在り方につきましても見直すというようなことで、今、一つ一つ改革を進めつつあるところでありまして、公共工事というだけではなくて、歳出の面でいきますと、この社会保障は全予算の中に占める比率が三割を超えていると思いますので、その点が一番大きな要素になり得ると、私どももそう思っております。
  114. 中山恭子

    ○中山恭子君 今年度予算でも、自然増をそのまま認めるのではなく、今大臣おっしゃられたように、削減の努力をしているということは承知しておりますが、財務省がもっともっと中心になって、社会保障費関係についてもその考え方をしっかり示し、シーリングの減という、予算要求の段階から落とす努力をこれからも続けていただけたらと考えております。  この「当面の公共事業関係費について」に戻りますけれども、この中でやはりちょっと気になることがございます。それは、二番目の、新規投資について、人口減少を踏まえればこれまで以上に厳選すべき状況にある、つまり、新規のことはほとんどできませんよということを言っているんだと思いますし、三番目の老朽化対策費用に関しましても、人口減少等を踏まえ、いろんな工夫をしてやっていくんだというようなことが示されております。  つまり、取り替えたいけれども取り替えるわけにもいかないので、社会インフラの寿命を長くしてやっていくんだというような、もちろん一つの工夫ではありますけれども、そういうことがここでは考えの基本にあるということが示されております。  この考え方ですけれども、今後の人口減少を踏まえますと、かえって新しい公共事業の在り方というものが必要になってくると考えておりまして、人口減少するんだから全体の公共事業関係費は増やせないということについて、本当にそれでいいんだろうか、必要不可欠な社会全体の公共事業費というものも、やはり人口減少があるからこそ増加していかなければいけないのではないだろうか、そんなふうに考えておりまして、老朽化しているような社会資本を公共事業を与えずに放置してしまうということは次世代に対して無責任なことになるのではないだろうかと考えております。  今の日本の公共インフラというものはまだまだ成熟しておりませんし、インフラの老朽化は急速に進んでいるという状態でございますし、インフラ長寿化のみで対応できるということでもないと考えておりますので、その辺り、この考え方、社会インフラの長寿化又は新規の事業はほとんどできないというこの考え方について、もうちょっと変わった、新たに日本全体を美しい国にしていくんだ、次世代のために快適な環境をつくるんだという考え方を入れてもらえないだろうかと思っておりますが、この点について大臣はいかがでいらっしゃいますか。
  115. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもうおっしゃるとおりなんだと存じますが、この資料にもありましたように、小渕内閣のときに一番増えて、補正込みで十五兆近く行ったと記憶しますけれども、そういったものに比べて、今、二十七年度の当初予算で六兆円ですから、約六割減ということの水準になっているんだと思っておりますが、これ、財政状況が極めて厳しいことにあるということで、今後、人口減少というのがそれに追い打ちを掛けてくることになりますので、二〇二〇年以降、いわゆる団塊の世代が全部後期高齢者というか七十五歳以上ということになりますので、そういった意味では、我々としては、いろんなものを考えて、従来と同じような発想でいくのはなかなか難しいと、はっきりしていると思っております。  ただ、言われましたように、老朽化というのは、先ほど申し上げましたように、かつての一九三〇年代のアメリカが五十年たったらどうなったかと同じように、我々も、高度経済成長時に造ったいわゆる公共施設というものが、羽田に向かいます首都高一号線にいたしましても何にしても、いろいろよく言われるところなので、こういったものをきちんとやっていかないかぬということはもう当然のことなんだと思いますが、傍ら、この間、五月の連休の始まる前でしたかね、仙台まで常磐縦貫道路が一本で抜けておりますし、いろんな形で、ああいったものも本当はもっと長く掛かるはずのものが、少なくとも、あのときあそこの復旧を考えたらあれをきちんとやるべきだということで、あそこだけはもう優先して道路が開通しておりますので、もう今実質使っておりますので、そういった意味では、交通のネットワーク等々、これ、日本でやっていかないかぬところはいっぱいございますので、そういったところを、これはもうひとえに、一言で言えば重点化する、そういったことを考えて効率的にやっていく必要があると思っております。  ただ、資材が約三割前後高騰し、そして人件費が高騰し、資材が九%、人件費で二八%ぐらいこの三年間ぐらいで上がったと思いますけれども、それにもかかわらず、公共事業費の絶対量はほとんど伸びずしていろいろな仕事ができているということも事実でありますから、そういった意味では、いろいろな知恵の使い方等々は、今後とも、金が極めて限られているという前提に立って、みんなで知恵を出し合ってやっていかねばならぬ。ただ、それは全ての新規のものを止めるということを意味しません。
  116. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  人口が減少するからこそ質の高い町づくり、日本全体が世界の中でも美しい国となるような方策を是非進めていただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  117. 中西健治

    ○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。  まず、財政健全化計画についてお伺いしたいと思います。  経済財政諮問会議ですとか自民党内でいろんな話がされているという最中だと思いますけれども、二〇二〇年度経済再生ケースの想定する経済成長を達成してもなお残る九・四兆円について、もうちょっと成長させてそこを縮めるんだとか、あと歳出削減だとか、そんなような話がいろいろ出ているということだろうというふうに思いますが。  その中で、ちょっと毛色が違うかな、異彩を放っているかなと私が思ったのが、麻生財務大臣が先週の経済財政諮問会議、火曜日だったと思いますが、そちらで提出された資料やペーパー、これ、私、今日持ってきておりますけれども、資料一と資料二というものでありますけれども、これは、そもそも歳出の置き方、内閣府が置いている歳出の置きというのが大き過ぎるのだと、だから九・四兆円の残が残るのだと、そもそも九・四兆円がおかしいんじゃないかと、こんなことをおっしゃっているというふうに私の方、報道で接しておりますけれども、まず、このペーパーの意味するところ、言わんとするところを財務大臣にお伺いしたいと思います。
  118. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 資料二の方というのが分かりやすいと思いますけれども。  今の内閣府の出しておりますのは、この青い点線の部分なんだと思うんですが、私どもは、少なくともこの三年間の間、成長率、物価、また資材等々の値上がり等々があった状況の中で、この下の赤線の角度でこれまでもずっと、二〇一二年から公共工事というかいろんな仕事をやり、国の歳出を伸ばしてきているんですけれども、こういったものの延長線上でいくとこの赤印のところということになろうかと存じます。  そのうちで、その右の上を見ていただくと、社会保障費の関係でも、これまでの伸び率どおりに引き続きやっていくとこの赤印の線になります。内閣府で出しておられる試算というのとは差があります。また、一番下のは、その他の支出というのは、これは公共工事も入りますけれども、その他の支出を見ていただいても、赤線というのを見ると、下の方に出てきておるとおり、黄色の線と大分差があるということでありまして、私どもは、これ経済の成長を三%と、名目成長率三%、実質が二%だったかな、という成長率につきましても、これまでもいろいろ楽観的過ぎるんじゃないかという御指摘は更にあったところなんですが、私どもは、目下、政府として、アベノミクスのいわゆる政策というのを総動員して、財政健全化も、また経済再生も両方をということの両立に向けてやらせていただいているというのに当たって、これだけの差が今出されておりますけれども、これ、だから九・四ということになるんですが、この線で行きますと、ほぼこの大宗は達成できるに近い、いわゆる九兆円も行かず、このまま今までどおり、この三年間どおりにやらせていただいても八兆円ぐらい、八兆円弱埋まる可能性が高いんだと、私どもはそう思っております。  これは、もちろん物価も上がることを含んでの話ですから、そういったことを考えて、残り、更にやっていかなならぬとは思いますけれども、しゃにむに予算をじゃんじゃんじゃんじゃん切って、経済の成長を摘み取るとか、そういった意欲は全くありませんし、事実、この三年間を見ても必ず経済成長はしておりますから、そういったことを考えてこの試算を出させていただいたという経緯です。
  119. 中西健治

    ○中西健治君 そうしますと、確認ということになりますけれども、特別に追加的な歳出抑制策を取らずとも二〇二〇年度の黒字達成はほぼほぼでき得るであろうというふうに考えていらっしゃるということでしょうか。
  120. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そこそこの定義が難しいところです。  中西先生の言うそこそこと私どもの考えるそこそことは大分意味が違ったりしますので、私どもとしては、地方、国、それぞれ努力をせないかぬことははっきりしておりますけれども、九兆というようなものではなくて、もっと小さなものにでき得る、今のままで。  私どもは、今、よく民間の委員の方から出ておられますのは、もっと経済成長はするはずだと。例えば、来年の税収見積りだって、今の税収見積り、もうしばらくすると出ますけれども、その税収見積りは、今年のやつより更に高く出てくるんだから、最初からげたを履いてスタートしますので、その分だけ先行きも高くなるじゃないか。  それは、確かに定性的には言えぬことはないと思いますけれども、額としてそういうような、言えるかもしれないじゃないかみたいな予算を私ども役所で組むわけにはいきませんので、少なくともこの十年間で、今の三%のやつでいきますと約二十二兆円ぐらいの増収、税金の話で二十二兆円ぐらいの増収ということを見ておりますので、これ以上の増収をというのを期待できるかといえば、先ほど、景気というか世の中が急激に変わっていっているときには弾性値がもう物すごく伸びるんだというお話もどこかで出ていましたけれども、それが絶対あり得ないとは思いませんし、あり得たら、それはそれなりに我々としては助かるところではありますけど、それを当てにして予算を、また財政再建策を作るわけにはいかぬと思っております。
  121. 中西健治

    ○中西健治君 私は、そこそこという言葉を使ったんじゃなくてほぼほぼというふうに申し上げたんですが、それはどうしてかというと、大臣が大宗はほぼと、PBの大宗はほぼ解消できるというお言葉を使ったので、ほぼほぼ解消できる、達成できるとお考えですかと確認をさせていただいたので、それは大臣の言葉を使わせていただいただけでございます。  そんな中で、大臣は物価の上昇も見込んでいるというふうにおっしゃられましたけれども、これは私は、これまでの三年間の物価の上昇率を見込んでいるだけとしか思えないと思います。直線的に過去三年間の歳出を伸ばしてきているということでありますから、これまでの三年間の物価上昇率がそのまま行くということを、この表、グラフは含意しているというふうにしか思えないと思います。  これは経済再生ケースと整合的かというと、全く整合的じゃないということになるんじゃないかと思います。経済再生ケースということの中では、物価は二%、CPIでいえば二%は上昇するということを、実質二パー、名目三パーですけれども、そこの差はいわゆるGDPデフレーターですから、CPIとの間では一%ぐらいの乖離がありますから、CPIでは二%近い物価の上昇ということになります。歳出の全てが物価の上昇に連動するわけではありませんが、かなりの部分連動していくということになります。  この二%の物価上昇も、大臣には釈迦に説法でありますけれども、今百円のものが、どこか遠い三年後に百二円になるわけじゃなくて、毎年二%ずつ上がっていくということでありますから、言わば複利で二%ずつ増えていくということになりますから、今百円のものは五年後には百十円になるということになります。  そうしますと、大臣が御指摘になられたこの資料二を見れば分かりやすいということですけれども、この青い点線、今の五十五・九兆円、二〇一五年五十五・九兆円、これがそのまま物価上昇するだけでも、一・一倍ということになりますから六十一兆円強行っちゃうということなんです、二〇二〇年度まで。ですので、この赤い線は非常に無理があって、本来直線じゃなくて放物線的にならなきゃいけないということになります、一・〇二の五乗ですから。  そういうことになるので、これは大幅な削減が別途必要になるということを意味せざるを得ないということなんじゃないかと思います。この赤い線は無理がありませんか。
  122. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありましたとおり、この赤い破線につきましては、これは三年間の歳出改革努力を継続するという前提に立って書いておりますので、その時々の物価上昇にスライドさせて歳出を増やすという考え方を取っているわけではありません。それはもうはっきりしております。  我々としては、これまで、経済再生といわゆる歳出改革を両立させる、経済成長と再生を両立させるということで取り組んできたところですが、例えば資材が高騰していると申し上げましたけれども、資材価格というのはこの三年間で約九・一%上昇しております。そして労務単価は二七・六%上昇というのが現実の数字です。現実にそういったものを見ましても、公共事業につきましては三年間ほぼ横ばいということで来ておりますし、特にこれが遅れてなどというような話を我々のところに入ってきているわけではありませんので、経済成長を阻害することなくその両立を図れてきていると、私どもはそう思っております。  現実に物価や賃金が上昇すれば、公共事業の労務単価とか、それを引き上げるとかいろいろ出てくるのは当然のことなんであって、個々の積算に反映させます一方、予算の総額におきましては、これは人口減少等々を踏まえて重点化するとか、いろんな形で効率化を図ることによって経済再生と財政健全化の両立というものを図るべきものなんだというように私どもとしては考えております。
  123. 中西健治

    ○中西健治君 財政健全化については、経済再生ケースがメーンシナリオとなるようでありますけれども、メーンシナリオが達成できなかった場合、経済成長がそれほど思わしくなかった場合にも、じゃ、こうした場合にはこうして達成するんだというようなリスクシナリオ、それに対する備え、そうしたものも併せて計画し、発表していくべきじゃないかなというふうに私は思っていますが、これはまた今後機会があれば議論させていただきたいと思います。  今日は税制等ですので、税制に関して一つお伺いしたいと思いますが、インフラファンドの法人税の課税期間ということについてお伺いしたいと思います。  インフラファンドの需要、インフラに対する投資の需要というのが高まっているということだと思いますが、インフラファンドが今上場はなかなかしにくいということになっております。不動産の方の投資法人、REITはどんどんどんどん上場されているわけですけれども、これ、不動産投資信託の場合には、利益の九割以上分配すれば期間に関係なく法人税が課税されないという事情があります。それに対してインフラファンドの場合には、非課税期間が十年に限定されているので上場が危ぶまれているということでありますが、この違い、太陽光パネルなどの十年間に限り認められている免税措置というのは、これはちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思うんですが、これは局長の方にお伺いしましょうか、お願いします。
  124. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。  まず、仕組みの基本的なところでございますが、投資法人という仕組みでございます。会社型の投資信託と言われるわけですが、これは、投資家の資金を集めた上で、それを運用する者が一定の資産に対して成果を出して投資家に分配するという、そういう仕組みでございます。この仕組みというのは、言わば導管性ということで、言わば通常の法人が法人活動をするということと明確にその意義を分けるということが全ての前提でこういう制度が成り立ち、それに対して法人税上のフェーバーを与えていると、こういう考え方でございます。  それで、その導管性であるということと通常の法人とどこが違うかということのメルクマールとして、例えば二つございまして、一つは、投資法人が保有している資産のうち半分を超える部分が例えば不動産であるとか有価証券であるといったような、一般の投資家が資産運用を行えるようなそういう類型の資産であるということ、それから、投資法人が利益の九割超を投資家に配当するといったような要件を特例的に設けまして、それで実質的に法人税を非課税にしているという制度の立て付けでございます。結局、そのビークルの使い方が、法人税を回避するという形に使われないというところのメルクマールをどういうふうに引くかということで、線引きの趣旨をそういう二つのポイントに置いているということでございます。  そういう観点から、この太陽光発電の場合、これが今申し上げた有価証券や不動産というような、一般の投資家が資産運用するというふうな資産ということでは恐らくなくて、同列に扱いにくいのではないかという判断でございます。  ただ、一方で、再生可能エネルギーの導入促進、インフラファンド市場の整備といったような政策的要請があるということも事実でございますので、二十六年度の税制改正におきまして太陽光発電の設備などを一部対象に加えたということでございますが、その持っている意味合いが違うということもありまして、時限を切って認めさせていただいたということでございます。  ただ、今後の話として、実際動き出しているところではございますので、来年度以降の改正の中で引き続きその状況などを見ながら検討していくということで、まずは、そういう制度が過度に変な方向に行かないように、しかし趣旨を生かしながらという、そのバランスを取って進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  125. 中西健治

    ○中西健治君 インフラファンドの設立趣旨というのは再生エネルギーの普及促進にあるというところだと思います。今は期限を区切っているということでありますけれども、そうなると投資法人の参入が阻まれてこの普及促進が進まないということになってしまいますから、来年度以降見直していくということであれば、是非、期限というところについて見直していっていただきたいと思います。  続きまして、最後ですけど、金融庁さん来ていただいておりますので、先日も少し触れましたコーポレートガバナンス・コードについてお伺いしたいと思います。  コーポレートガバナンス・コードではコンプライ・オア・エクスプレインということになっておりまして、実施することが適切でないと考える原則に関しては実施しない理由説明することが求められるということになっているかと思います。しかし、その説明をいつするかということについては、定時株主総会後遅滞なく行えばよいというふうにされています。要するに、直近の株主総会では説明しなくてもいいというふうに言っているのと同じであります。これでいいのかということを私は強く疑問に思っております。  コーポレートガバナンス・コードでは、株主総会というのは非常に重要であると、ここで必要な情報というのは必要に応じて適確に提供すべきであると、こうしたことをうたっているにもかかわらず、直近の株主総会では独立社外取締役いませんよとか、そうしたことについて説明しなくてもいいということになってしまっていますが、それでいいのかどうか、それについて金融庁の意見を聞きたいと思います。
  126. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お尋ねのコーポレートガバナンス・コードを実施しない場合の理由説明、エクスプレインのタイミングでございますけれども、まず、コーポレートガバナンス・コードでは、コーポレートガバナンスに関する基本的な考えなどを上場会社は主体的に情報発信すべきだと、それから、株主総会において株主が適切な判断を行うことに資すると考えられる情報を必要に応じ適確に提供すべきであるということが記載されていまして、取引所の方では、こうした点を踏まえまして、こうした情報の提供、それのタイミング、それから方法については、先生御指摘の定時株主総会前の対応の取扱いも含めまして、上場会社が各社の置かれた状況等に照らして自ら適切に判断すべきであるという旨の見解を明らかにされているところであります。  それで、あわせて、先生から今御指摘のあった定時株主総会終了後遅滞なく提出することとなっているのではないかというのは、取引所が別途求めておりますコーポレートガバナンス報告書の提出期限のことであると理解をいたしますけれども、このコーポレートガバナンス報告書と申しますのは、そこに関連の記載を書くということにつきましては、コードに関する事項ができるだけ一覧性のある形で開示されるようにしてほしいという御要請が別途投資家の方々からはあるということも踏まえて、取引所が上場会社に対しまして、先ほど申し上げましたような各上場会社ごとの情報提供をどうするかとは別に、統一的にコーポレートガバナンス報告書での対応を求めているものでございまして、このコーポレートガバナンス報告書の提出時期につきましては、このコーポレートガバナンス報告書が元々ガバナンスをめぐる事項について幅広い内容を記載するものであり、また、その記載事項の中には定時株主総会を経て確定、変更されるものが少なくないという事情もございまして、従来どおり、定時株主総会終了後遅滞なく提出するということにされているということでございます。  いずれにしても、上場会社におかれましては、冒頭申し上げましたようなコーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえて、適切なタイミング、方法での適切な情報提供が求められるということだと理解をしております。
  127. 中西健治

    ○中西健治君 どうもありがとうございました。時間ですので、終了させていただきます。  ありがとうございました。
  128. 平野達男

    ○平野達男君 平野達男でございます。  今日は、復興の負担ということについて質問をさせていただきたいというふうに思います。  集中復興期間、今年で終わるということで、来年度、平成二十八年度から別の期間に入るということでありますが、今回出てきた問題は、負担の一部を被災自治体に求めるということでありました。この負担につきましては、御案内のとおり、三・一一が起こったときに、被害が非常に大きいということ、それから被災自治体の財政力が非常に弱いということで、災害復興、復旧でもいいんですけれども、負担をどうするかということについては、結論からいえば、地方負担制度としては残すけれども、そこは全額特別交付税という、実質ゼロにしたということでした。  議論の過程の中では様々ありまして、通常の災害だったらば暫定法とか何かを用いながら国庫負担負担率を上げて、残ったところについて起債を起こして、起債の全額を交付税措置するとか、そういうやり方もあるんじゃないかという議論はあったんだけれども、繰り返しになりますけれども、被害が余りにも大きい、それから財政力が弱いという中で、全額特別交付税にするということですね。  ちなみに、これは集中復興期間だから全額交付金にするというふうに決めたわけではありません。ところが、今回の場合は、集中復興期間が過ぎたから、後でちょっと議論しますけれども、被災自治体に負担を求めるという、そういう流れになっているということなんですが、この集中復興期間の総括及び平成二十八年度以降の復旧・復興事業のあり方ということで、復興庁が五月十二日、そういう考え方を持った案を出しておりますが、これはあくまでも案だという理解でよろしいのか。そしてこれは、負担を求めるということについては、被災自治体の同意が必要だという前提でこれから話をするという理解でいいのか、このことをちょっとまず冒頭確認させていただきたいと思います。
  129. 吉田光市

    政府参考人(吉田光市君) 先般、三月十日の復興推進会議におきまして総理から、復興大臣中心となり、これまでの取組の総括に取りかかってもらいたい、またその上で、二十八年度予算の概算要求に向けた作業に十分間に合うよう今後の復興支援の枠組みをしっかり策定するとの発言があったところでございます。先般、五月十二日の方針は、この指示を踏まえまして、集中復興期間の総括と二十八年度以降の復興事業の在り方につきまして復興庁の考えを示したものでございます。  現在、この考え方を基に被災地に説明を行い、意見を伺っているところでございます。引き続き、地方の意見を丁寧にお聞きしながら、六月末には今後の復興支援の枠組みについて政府の方針を決定したいと考えてございますが、それに向けて鋭意努力をしているというところでございます。
  130. 平野達男

    ○平野達男君 一点だけ確認しますけれども、一旦、全額国費、実質国費だというふうに約束しています。これを変更するためには被災自治体の同意が必要だという理解でよろしいんですね。
  131. 吉田光市

    政府参考人(吉田光市君) 集中復興期間、今年度で最終年度を迎えるわけでございますけれども、五年がたって、ここで一旦立ち止まってこの五年間を総括する、そしてまた、今後の五年間を一くくりにして新たな支援の枠組みを検討する、そういう御指示を総理からいただいて、先般、そういう考え方を示したわけでございます。五年たって、これまでの事業を総括するという中でのこういう案でございます。  いずれにしましても、被災自治体の理解を十分いただくように努力していきたいというふうに考えてございます。
  132. 平野達男

    ○平野達男君 これは、一旦そういうことで国宣言していますから、被災自治体の同意が前提になるというのは、これは復興庁と被災自治体の信頼関係の問題になるから、ここははっきりそういう認識でやるということでやっていただきたいと思います。  そして、このペーパーの中で一番気になるのは、ペーパーというか復興庁が言っている中で気になるのは、負担を求めることと自立というのをセットで言っている感じがします。ちょっとお手元にペーパーを配っていないので恐縮なんですけれども。負担を求めることが自立につながるんだというこのロジックが私には分からないんですが、これ、どういう考え方なんですか。
  133. 吉田光市

    政府参考人(吉田光市君) 東日本大震災の発災から四年余が経過するわけでございます。この間、復興交付金事業の……
  134. 平野達男

    ○平野達男君 質問に答えて、質問に。
  135. 吉田光市

    政府参考人(吉田光市君) はい。  計画のある市町村は八十五市町村ございますけれども、この中で、少なくとも住まいの確保に関する事業が平成二十七年度、今年度で全て完了という市町村が六十市町村ございます。こういった中で、かなり復興事業完了に向けた見通しも立ちつつあるというふうに考えてございます。  こういった中で、今後、来年度以降の五年間を見通す際に、その支援の枠組みを考えるに当たっては、事業完了後の被災地の経済社会の姿を見据えまして、徐々に被災地以外の自治体と同様に、地元においてもしっかりとした議論を行っていただいて、自分たちの町づくりに主体的、選択的に取り組んでいただくような、そういった契機になるようなものとしなければならないというふうに考えてございます。  そういった観点から、負担につきましても一定程度自治体に求めていくのが適切であろうというのが私どもの考えでございます。
  136. 平野達男

    ○平野達男君 私の質問は、自立と負担を求めることがどういう関係にあるかということですけど、ペーパーがそういう流れになっちゃっているんです、これ。これは被災自治体の中ではすごい反発ありますよ。  復旧復興は何のためにやるか。これは自立してもらうためです。自立してもらうために復旧復興をやるんです。そのときに、いろんな事業費が要るときに負担を求めるかどうかというのはその自治体の財政力の問題です。財政力がきちっとあれば負担率は小さくてもいいし、あるいは大きくてもいいし、今回の場合は、財政力が小さいから負担を求めなさいということをやったんです。負担を求めることが自立云々じゃなくて、自立というのは、壊れたもの、なくしたものを国の支援、それから県の支援でもって元に戻して、元のような生活をしてくださいという状況をつくって自立してもらうんですから。負担の問題と自立の問題をごちゃ混ぜにしちゃ駄目ですよ。  先ほど言いましたように、負担の問題は財政力の問題だと私は理解しています。もし負担を求めるんだったら、財政力変わりましたかという話なんです、被災自治体の。そういう説明も多分必要ですよ。少なくとも、自立を求めるから今まで求めていないものを負担を求めるといったら、そもそもの問題は、今回の問題は、あれだけ全てが流されて、これから復旧復興というのはまだ後半戦に入りますから、その復旧途中のところに、財政力も何も回復していませんから。そこのロジックのところを丁寧な説明をしないと、ただただ反発だけ招いてしまう。これは復興庁としては一番まずい話で、復興庁が被災自治体に寄り添うと言ったんだから。  負担を求めるなら求めるという考え方はあるかもしれません。少なくとも、さっきのような考え方では、これは通じませんよ。そこのところで改めて負担という考え方を今説明しようと思いましたけど、さっき答えたようなお答えになるんでしょう。私は、ここで負担を求めるんであれば、そもそも全額負担を求めるべきでないものが当初から入っていましたという多分説明をするしかないと思う。これが本当にうまく説明できるかどうかですよ。  繰り返しになりますけれども、被災自治体の財政力は全く変わっていませんから。変わっていないどころじゃない、被災後の財政力もっと落ちていますから。そういう中で負担を求めるということが本当にいいのかどうかということは、これは今までの流れの中ではなかなか難しいと思う。しかし、内陸地の中では、確かに、津波の被害は受けていない、地震の被害だけで復興事業をやっているところもあるかもしれない。そういう中で負担が本当にゼロでいいかどうかという議論もあるかもしれません。だから、そういう言い方の説明を間違えないようにした方がいいと思います。  それからもう一点、このペーパーの中に、復興の進捗は順調だと言っています。ここ、順調だと書かれている。何を根拠にしているかというのは、それは私は分からないわけじゃない。高台移転の造成工事は、普通の造成工事のスピードからいったら物すごい速いスピードです。これだけの短い時間で同意を取ってあれだけの造成工事をやるというのはすごいことです。だけれども、被災者にとってみたら、何ぼ速くたって速いことはないですよ。復興庁のペーパーに簡単に順調だなんて書いちゃいけないと思う。誰の立場に立って書くかということを忘れちゃ駄目ですよ、ここは。せめて、書くならば、計画どおりに進んでいるぐらいですよ。こういうところの配慮がちょっと復興庁なくなってきているような気がする。だから、立場をどこにするかということを忘れないように是非やってもらいたいと思います。  それから、負担の問題は、多分、竹下大臣は、負担を一部求めた方が国民の理解が得やすい、結果として復興も進むという理解だと思うんです。ただ、そのロジックが、その考え方は、私はある意味では賛成する面もあります。ペーパーが全くそのとおりになっていない、復興庁の職員は一体どうしたんだというような感じですよ、ここは。そういう物の持っていき方で持っていくのであれば、ロジックをもう一回つくり直して、説明の仕方をしっかり変えてもらいたいと思います。  それから最後は、もう一点だけ要望したいのは、津波で物すごい被害を、大きな被害を受けた自治体、これは後半戦に入ってもまだまだ作業が続きます。ここの自治体については早い段階で、負担の率は変わりません、ただし計画については、人口が減っていたりしますから、それに合った計画の適正化見直しはどんどん求めていきますと、そういうことを早く宣言した方がいいと思います。負担の問題で不安をやるよりは、これからの事業計画についてきちっとした見直しをするということの方がはるかに重要だということは繰り返し申し上げておきたいというふうに思います。是非、帰って、これは中で検討してください。  そして、税の話にちょっと移りますけれども、復興法人税でありますが、当初、これは三年で毎年八千億ずつ増税をいたしまして復興財源に充てるという計画でありました。ところが、御案内のとおり、平成二十六年度税制改正にて前倒し廃止ということで、八千億円はお返ししております。これは給与等々を上げるということのために使われるということだったようなんです。ところが、ここに来て、もう上場企業、最近のニュースですけれども、御案内のとおり、上場企業七年ぶり最高益、それから、上場企業二割強が経常最高益。これは、日銀のいろんな報告から見ても、バブルの頃に匹敵するぐらいの、あるいはそれを超すぐらいの今経常利益が上場企業で出ているということでありますね。  麻生大臣に、こんなことできないかもしれませんが、あのとき返した八千億円、もう一回返してもらえませんかということできませんか、これは。これは、もし負担を求めるということであればセットで、これだけの要するに上場企業、経常黒字出しているわけですから、八千億円一旦お返ししまして給料を上げたのに使われたようですけれども、もう一回、いろんなこれから復興後半戦に入って、復興の全体の額も上がりますし、財源でちょっと窮しておりますから八千億円ちょっと返してもらってもよろしいんじゃないでしょうかということを是非麻生大臣からの発案でやられたらどうかと思うんですが、どうでしょうか。
  137. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成二十六年におきます税制改正の中で復興特別法人税の前倒し廃止というのをやらせていただいたんですが、所得拡大促進税制の拡充とか政労使会議における取組とともに、企業収益の拡大というものを賃金アップにつなげていってもらうために実施したものなんですが、こうした取組が相まって企業が賃金アップに動き始めるきっかけをつくったことはこれは間違いないんだと、私どももそう思っておりまして、事実、平成二十七年度の税制改正から取り組んでおります法人税改革も、これは、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げますということで、企業の稼ぐ力を高めて、同時に、賃金アップをやることによってその取組を継続的に行える体質というものに変えていくんだということを目指すということをやらせていただいたんですが、政府の別途取り組んでおります、先ほど中西先生からあったコーポレートガバナンスの話とか、また政労使会議におけます取組と併せて、経済の好循環を定着させるきっかけはあれが大きかったと私どもは今でも思っております。  したがいまして、お尋ねのように、復興特別税というものを、好循環の実現に向けて今ずっと回り始めたところでいきなり、八千億でしたか、あれだけをもう一回復活させるということは、ちょっとこれは少々難しい面がありますと思っておりますが、いずれにしても、今から、平成二十八年から三十二年までの五年間の復興支援の枠組みというものをこの六月末までに策定することにしておりますけれども、そういった中で、これまでの復興事業の総括を踏まえまして、復興庁等において今事業規模の見積り等々を行うことにされておられますけれども、それを踏まえて必要な復興財源というものにつきましてはしっかり確保してまいりたいと、そのように考えております。
  138. 平野達男

    ○平野達男君 平成二十六年度における八千億円と、来年度かどうかは分かりませんが、八千億円というのは恐らく、企業の経常利益がどうなるかは分かりませんが、今の状況からすると、ずっと同じ八千億円でも、企業にとって、全体とすれば負担は軽いような感じもします。  これ、なかなか、一旦お返ししたものを戻してくれというのは難しいかと思いますけれども、意見としてちょっと申し上げておきたいというふうに思います。  あと、復興庁さんに一言だけ申し上げますけれども、被災自治体と復興庁とのコミュニケーションというのが本当に一番大事だというのはもう皆さん分かっていると思います。被災直後に第一回の復興交付金をやるときに、某県知事から査定庁と言われたことがあります。査定庁と言われて、さてどうしようかと思ったんですけど。  当時は、各被災自治体からの上がってきた計画が、大きな体育館を造るとか大きな道路を造るとか、かなり意欲的な計画が多かったんです。しかも、同じ道路でも市町村によってみたら規模が違っているとか。そんなものは全部落とせと言ったんです。落としたから、上がってきた要望に対してかなり額が小さかった。でも、第一回査定の際の復興交付金ですから、第二回、第三回、第四回、第五回とずっと続いていますから、後では復活させるんですけれども。  そのときに私らが反省したのは、きちっとした被災自治体に対する説明だったんですよね。あのときすぐ、そういう査定庁と言われたから、確かにこれ査定したということで、だけど、考え方はこうなんですよということで復興庁の職員を全部自治体に派遣して説明をして理解をしてもらいました。  今回の問題も、これは出し方を、ちょっと唐突過ぎた感じがしますね。そのときの轍をもう踏まないように、そして被災自治体が、復興庁に対して何を考えているんだろうかという、特に津波で大きく被害を受けた自治体がそういう疑問とか疑念を抱かないように絶対した方がいいと思います。ただし、計画を見直せとか、この規模過大じゃないかとか、これはがんがん言った方がいいですよ。大きなものを造って、高台移転で大きな造成をして家ができなかったときの方がはるかに大変だから。そういったことはきっちりやっていただきたいと思いますけれども、そこのコミュニケーションの仕方だけはしっかりやるようにということで、最後にもう一度要望を申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  139. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  140. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 金融商品取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。麻生内閣特命担大臣
  141. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま議題となりました金融商品取引法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明させていただきます。  適格機関投資家等特例業務、いわゆるプロ向けファンドをめぐる昨今の状況を踏まえ、ファンドへの信頼を確保し、成長資金を円滑に供給しつつ、投資者の保護を図るため、総合的な対応を行うことが喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明をさせていただきます。  第一に、適格機関投資家等特例業務を行う届出者の要件として欠格事由を導入するとともに、届出書の内容の拡充・公表を行うことといたしております。  第二に、届出者に対し、顧客の知識・経験等に照らし不適当な勧誘を禁止する適合性の原則、リスクの説明義務等の行為規制を設けることといたしております。  第三に、問題業者への行政対応として業務改善・停止・廃止命令の監督上の処分を導入するとともに、罰則を強化することといたしております。  その他、関連する規定の整備等を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。
  142. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会