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大塚耕平君 まあ今日の段階ではそういうことかと思いますが、引き続き、不条理だと私は思いますので、デフレ脱却のための国のマクロ経済政策の一環として三千億円の利益が
民間金融機関に労せずして渡っているというのはどう考えても不条理でありますので、今後も議論させていただきます。
いただいた時間は十一時十分までですから、残された時間で岩田日銀副総裁に関する
質疑というか、
意見を述べさせていただきます。
今日は岩田さんにおいでいただきたかったんですが、おいでいただけないということなので、インターネット中継でちゃんと聞いておいてくださいとお願いをしましたので、今聞いておられると思いますから、岩田さんが聞いてくださっているということを
前提にお話をさせていただきます。
渡辺総裁、先ほどお
伺いした中国の尖閣諸島をめぐるパイプライン建設に向けた
融資、一九九六年に実行されているんですが、これは直前に中国が地下核実験を何度もやって、
日本の国内は大変な中国に対する批判が盛り上がっていたその背後で、人知れず尖閣諸島に対する
融資を決めていたんですね。当時の
関係者に聞くと、こういうJBICの行動が尖閣諸島の権益に対する
日本の関心度合いを誤解させたんじゃないかというふうにおっしゃる元外務省
関係者もいます。つまり、それだけ係争している領域についての中国の案件に
日本のJBICが
融資するということは、
日本はそんなにこだわっていないんじゃないかという、そういう誤解を与えたんじゃないかということを
指摘をされる元外務省
関係者もいますが。
渡辺総裁が悪いわけじゃないですよ、
渡辺総裁は何の
関係もありませんから。そのときのJBICの総裁はどなたでしょうか。輸銀ですよね、旧。──いや、御記憶になければいいんです。僕は今から
渡辺さんを、何というか、大変持ち上げたいと思っているんですが。
というのは、そのときの総裁は保田さんです、保田博さん、元大蔵省事務次官。
渡辺総裁は、実は二〇〇八年の日銀正副総裁国会同意人事で副総裁に名前の挙がられた方で、この場でも答弁されて、本当に立派な御答弁で、私は是非副総裁に就任していただきたかったんですが、その当時の国会の力学や、実は武藤総裁候補が否決をされた後に田波さんという総裁候補が、もうみんなびっくりしたんですけれども、福田康夫当時総理がカードを切られたものですから、さすがにこの場における御答弁もちょっと不安がありまして、結局否決ということになりました。
武藤さん、田波さんというお二人の方が否決になった後だったものですから、大変
渡辺総裁には申し訳ないことだったと思いますが、大蔵省御出身であるということで否決になったと記憶をしております。本当に私は残念でありましたが、もしあのとき、二度目の総裁候補として、副総裁として既に同意されていた白川さんが総裁候補として出てきて、そして
渡辺さんがセットで副総裁候補として名前が出ていれば、恐らくそのまま同意をされて、ひょっとすると今の
黒田総裁の席に座っておられるのは
渡辺さんだったかもしれないんですね。いや、私はそうだと思っています。
その田波さんを、これは人づてに聞いた話ですので不正確かもしれませんが、当時の福田康夫総理に御推薦されたのが保田さんだったと。その中国のパイプライン建設の
融資を決めた当時の輸銀総裁の保田さんだったと聞いておりますが、福田康夫元総理と保田元輸銀総裁は、福田赳夫総理のときの首相秘書官同士で仲がよろしかったんだそうでありますね。そういういろんな経緯で、大変残念なことですが、
渡辺現JBIC総裁は今のお立場になられたわけでありますが、今後も是非御活躍をいただきたいと思っておりますので、そういう
意味でエールを送らせていただきたいんですけれども。
何を申し上げたいかというと、国会同意人事というのはやはり重いものであります。岩田副総裁は、私はアカデミアの学会のメンバーの一人としても岩田さんとは一緒にパネルもやらせていただいたこともありますし、大先輩ですから尊敬もしております。しかし、就任に当たって、この十数年、岩田さんの御主張になっておられたことは必ずしも主流ではなかった中で、持論を曲げずに、最後まで持論を貫徹し、そしていろんな経緯で副総裁としての候補として名前が挙がり、そしてその就任に当たっての国会での同意人事の
審議の過程においても持論をきちっと御主張されて、そしてそれが二年間で達成できなければ辞職をされる覚悟があるというふうにおっしゃったということは、これは画期的なことであり、ある
意味、私は大変敬服したわけであります。多くの与野党議員がそうだったと思います。
しかし、岩田さんが悪いわけではなくて、岩田さんの御主張しておられたとおりにはならなかったわけでありますから、国会の場で、そうならなかったときには辞職をするというふうに御発言をされたことの重みがどうも御理解いただけてないんじゃないかというふうに私は思います。岩田さん御自身は、失敗したときに適切な行動を取らなければ結果として日銀の
金融政策に対する信頼、期待が低下していくという趣旨のことも言っておられたわけですから、身をもって日銀の
金融政策に対する信頼性と期待度を維持するために、まさしく言行一致の行動を取られるべきではないかと私は思っております。そうされてこそ、今後も岩田さんの御主張がアカデミアでも、あるいは政策を検討する国会の場でも
意味を持ってくるというふうに思っておりますので、これを聞いておられる岩田副総裁には是非適切な御決断をいただきたいというふうに私は思っております。
与党の
皆さんもここは御理解いただけると思いますが、
大臣に就任される前の
大臣候補や就任された直後の
大臣が所信表明で、私は二年間でこれこれを実行します、実行できなければ辞職をしますなんというたんかを切ってもし就任されたら、二年後には、もし実行されていなければ、それは辞職する
展開になると思いますよ。国会での発言というのはそれほど重いということを是非岩田副総裁には御理解をいただきたいと思います。
これで、もしこのまま任期を全うする、まあ、ああは言ったものの、消費税の影響とか原油価格の下落の影響とかいろいろあったので不運だったんだ、しようがないといってもし任期を全うされるようなことになると、今後、また次の日銀正副総裁の同意人事に当たって、できるかどうか分からないことについて、必ずできます、間違いありません、実現できなければ辞職しますから任せてくださいという、こういうタイプの人がどんどん出てきてしまう。アカデミアの後輩たちに対しても決していいことではないと私は思っておりますので、そのことを
黒田総裁から岩田副総裁にお伝えをください。
私は、決して岩田副総裁、嫌いなわけではありません。本当に持論を曲げずに副総裁に就任されたことには敬意を表しますが、国会の重みがもうひとつその就任時にお分かりいただけてなかったのでつい口が滑ったというのもよく分かりますけれども、国会という場はつい口が滑ったでは済まない場だということを是非お伝えをいただきたいというふうに思います。
岩田さんのこの後の身の処し方は日銀の
金融政策に対する信頼にも影響いたします。そして、いろんな経緯で、本来であれば
黒田総裁の席に座っていてもいい方も粛々とそれぞれの
業務を全うしておられるわけでありますので、国会同意人事に名前の出るような方々は皆それぞれ大変重い
責務とその時々の適切な身の処し方を求められているわけでありますので、岩田副総裁には、繰り返し、御自身のためにも、御自身の今後の御発言のクレディビリティーのためにも、この際、もうこれで先日の政策決定会合で目標達成時期は三度も先送りをしたわけでありますので、そして今年度の物価上昇率の見通しも三度も引き下げたわけでありますので、適切に身を処されることを望むということをお伝え申し上げて、最後は私の勝手な発言になりましたけれども、私の
質疑を終わらせていただきます。
以上です。