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参考人(
片山健也君)
ニセコ町長の
片山でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。(
資料映写)
私の
問題意識から最初に御報告させていただきたいと思いますが、戦後、
日本の
社会は、
右肩上がりの
高度成長の中で
自治体も大きな
予算を組んで
住民の
皆さんの
生活を支えてまいりました。その結果、例えば
農村部であれば、
道路の道普請といいますか、
道路の
草刈りは農家の
皆さんが年に何回か出て刈っていたわけでありますし、雪の多い日、隣のお
ばあちゃんの玄関が雪でいっぱいだったら、隣の人が行って、
ばあちゃん大丈夫かと言って雪をかいて、
ばあちゃんの
生活を確保してきた。
日本の
社会は、基本的に
相互扶助で
町づくりをしてきたのではないかというふうに思っています。
しかし、だんだんと経済が順調に
右肩上がりになっていくにつれて、
住民サービスの向上という名の下に、じゃ
道路の
草刈りは私
たちが
公共でやりましょう、あるいはお一人で暮らしているお
ばあちゃんの面倒は役所が見ましょう、どんどんどんどん、本来
住民の
皆さんが
自治を担っていた
自治の力を、
公共がこれまで
住民サービスの名の下に
行政に移管してきたという歴史ではないかというふうに考えています。その結果、
地方自治体は
職員数を増やし、
予算規模を増やし、今日に至ってきたのではないか。そうすると、今、元の原点に、本来ある
自治の現場にこの形を戻していく必要があるんではないか、そんなような
意識を持っているところでございます。
そんな
前提で現在
町づくりを進めておりまして、そういった
住民自治、
住民の
皆さんが、
主権者である
住民が自ら考え行動して
町づくりを進めていくに当たっては、きちっとしたまず
情報の
共有化が大
前提ではないかというふうに私
たちは考えています。
皆さんに、先生にお配りさせていただきました「もっと知りたいことしの
仕事」というのが、こういう冊子がございます。これは、我が町の今年の
予算の
説明書でございます。
町民全戸に配付をさせていただいております。例えば、これはアカウンタビリティーといいます、
予算責任として、
当該予算で決まった
仕事の事細かな
内容を
住民の
皆さんにまず御理解をいただいて、その中から
町づくりの議論をしていただくものとしているものでございます。
例えば、この本の三十七ページをちょっとお開きいただければ有り難いというように思います。三十七ページには、ここに
道路をやると書いておりますが、この
予算の国からの
補助金が
幾らで
町民の税金が
幾らなのか、
借金は
幾らなのか、どこをやるのかというのが書いてございます。
つまり、
子供の暮らしも含めて、こういったものを全部
住民の
皆さんに
お知らせをするということをやることが今後、
財政民主主義を進める上で必要ではないかということで進めているものでございます。
また、百五十四ページから
資料編としまして、
借金の
状況だとか積立ての
状況、あるいは
人件費の
状況、
補助金はどんなところに使われているのかというのをずっと書いております。また、
人口の
状況等についてもこの
資料編で事細かく
お知らせをしているというような
状況でございます。
つまり、こういった
財政状況を含めて
住民の
皆さんといろんな話合いをする中で、あっ、こんなことはとっても
役場がやる
仕事でない、それは私
たちがやるといって、実際に動いていただくこともありますし、
役場の
予算がそんなにないこと、それから
職員の
能力もそんなに全てができるわけでないという現実が分かってきていただいていて、その中で、あっ、それは私
たちの
仕事だねということで動いているものがあるわけであります。徹底した
情報公開をやることによって、
住民の
皆さんが自ら考え行動するという風土ができつつあるのではないかというふうに考えています。
我々は、
子供の参加も含めて多様なこういった
住民との話合いを日常的にやりながら、
町づくりの
公共課題を解決するというのをみんなの力で進めているというふうな
状況でございます。
四年に一回選挙はありますが、首長が替わるたびに、
住民と
行政との
関係、例えば
情報が出る出ないとか、そういうことがくるくる変わるということはまた白紙にリセットするという話でありますので、私
たちがこれまで積み重ねてきた
住民自治の力、こういう
情報はきちっと
住民の
皆さんに
お知らせする中で意思決定がなされていくであるとか、そういったものはきちっとやっぱり条例で規制すべきではないかということで、私
たちはニセコ町まち
づくり基本条例というものを作り、これに基づいて
町づくりをしているところでございます。これは私ども、町長も選挙で当選した場合、あるいは特別職全員が議会の場で宣誓を行って進めているというふうな
内容でございます。
先ほどの
予算を作るに当たっても、
予算ヒアリングってやりますが、その
公共課題を解決するためにこういうふうに考えているという現場の声自体を全て公開をして進めているということであります。基本的に、役所内部の
会議も全て公開ということで進めております。
その中で一例だけ申し上げますと、一般廃棄物最終処分場というごみの処分場でありますが、私ども、共同で広域でごみの焼却施設は持っておりまして、ダイオキシンが出る焼却灰については各町村がそれぞれ最終処分を行うということで、処理の行き場のないものについては各町村が引き受けるということに早く結論を出していました。
平成十三年にダイオキシン特別措置法という法律が動きますので、そのときまでに完璧な処分場を造らねばならないということでありまして、それはもう全てスケジュールから全部公開で進めてまいりました。当時、反対運動も起きましたが、我々には秘密はないということで徹底して行っておりましたので、そういった大きな広がりはなく、最終的に、反対運動を行った
皆さんも
役場で隠し事は一つもないという御理解をいただいて、うまく、うまくといいますか、握手をして別れたところであります。
こういったようなことをやる上で、だんだんと
住民の
皆さんの
自治の広がりがあって、例えば観光協会を株式会社化して
町民が出資する株式会社をつくるであるとか、福祉の老人保養所も
住民の
皆さんが出資をして運営をするということで、町からの運営費の補助というのは一切設立以来行っていない、
住民の力で行っているわけであります。
また、私
たちの
地域はリゾート地でもありまして、将来のリゾートを考えるときにこの
環境と景観を守るということが大変重要で、乱開発をしてはならないということでございますので、厳しい開発規制を行っております。財産権がありますので、そことの調整は相当大変でありますが、我々のこの
環境の価値を将来に守ろうということで、例えば水道水源はもう大変良好な水であります。これを例えば遠くの方が買われて、財産権でありますので、我々の命と暮らしを守る水が、我々の
生活にとって欠かせないものであるものが奪われてしまうということになってはならないということで、水道水源地の開発規制であるとか、地下水が勝手に大量取水できないような規制を行っております。当然訴訟リスクもありますが、やっぱり
自治体が覚悟を持って規制をし、行っていく必要があるんではないかというふうに考えてこういった
制度を行ってきたものでございます。
水源
関係は、ここに、先生にお配りしたとおりでございます。
こういった中で、現在、
人口は、レジュメの方にちょっと書かせていただいておりますが、若干、十五年間微増
状態ということで、その下にあるとおり、現在、住宅不足
対策をどうするかとか、子育ての
環境も、
子供の数が増えるということで今一生懸命対応しているというような
状況でございます。
また、観光につきましては、そこに記載のとおり、
日本の
人口減少に伴って観光客数がどんどん落ちてきておりますので、それを今海外の
皆さんに補っていただいて、この十年間、大体十・三倍の海外の
皆さんの伸びを見ているというようなことでございます。これも十八年前から海外
対策を行ってきた成果が徐々に現れてきたものというふうに考えています。また、こういった開発も、
住民の合意形成の中で様々なリゾート開発が現在進んでいるというようなことでございます。
また、
自治体の
在り方についてもこれまで幾つか提言をさせていただいておりまして、レジュメの
参考のところにちょっと書かせていただいておりますが、
平成十五年には
合併特例法あるいは改正
自治法について提案をさせていただき、多くを法律の中に入れ込んでいただくことができました。また、
平成十九年は、
地方財政の健全化法に当たっては
地方の現場から提言をさせていただきました。
先ほど
森田先生が述べられたとおり、
事務の補完、こういったものがもう少し流動的になる
仕組みが必要ではないかというふうに考えておりまして、ここにあるとおり、将来的には
自治体も、基礎タイプ、総合タイプ、拡大タイプといって、
自治を補完する
仕組みを
多様化していく必要があるんではないかというふうに考えております。これにつきましても、更に今後また精査をしながら提言をしてまいりたいというように考えておりますが。
今現在、広域連合の
制度は非常に質の高い
制度であります。ただ、唯一大きな問題点は、そこに独自の
財源は持たないということでありますので、是非将来的には広域連合に課税権を認めるということをすると、いろんな、
環境分野であれ観光であれ、広域連合が
機能的に動いていって
自治の
多様性が深まり、
地方自治の豊かさに結び付いていくのではないかというふうに我々は考えています。
以上で私の御報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。