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辰巳孝太郎君 つまり、本来なら、指揮命令を行いたいのであれば直接
雇用するか
派遣社員として働いてもらうとしなければならないものを、企業側にとって、請負で
契約しますと、
部長も今おっしゃられたように、
期間制限がないなどのメリットがあるからこそ偽装請負という違法行為が広がったと、こういうことだと思うんですね。
平成二十六年度の偽装請負での
行政指導も見ますと、七十三件ということが報告されております。
厚労省は、この間、二〇〇六年にも、偽装請負の解消に向けた当面の取組についてと題する局長通知を出して、偽装請負という
労働者に著しく不利益を与える働き方、これをなくすのだと。この文書でも、とりわけ製造業で偽装請負が起こりやすい、だからこそ、この製造業における偽装請負の防止、解消を図ると、こう言っているわけであります。
問題は、この違法行為が大企業の足下でも横行をしているということであります。
大日本印刷という日本を代表する企業があります。その一〇〇%子会社であるDNPファインエレクトロニクスにおいて、二〇〇五年に働き始めた
労働者が二〇〇九年に業績不振を理由に解雇されるということが起こりました。
このDNPファインエレクトロニクスの工場でこの
労働者はパソコン基板などを作っていましたけれ
ども、直接
雇用でそこで働いていたわけではなくて、Aという別会社と
雇用契約を結んでいたわけであります。つまり、このDNPに
派遣される形で働いていたわけであります。しかし、
契約上は
派遣ではなくて請負
契約をしているわけですね。しかし、請負であればできないはずのDNPでの現場での指揮命令が公然と行われていたという、まさに偽装請負がされていたというのがこの
ケースであります。
しかも、この方の場合は、DNPファインエレクトロニクスから二つの請負会社を通じて賃金を得るという二重の偽装請負でありました。まず、DNPファインエレクトロニクスから
一つ目の会社に時給で二千百円が支払われ、その会社は六百円をピンはねして、この
労働者が
雇用契約を結んでいる会社に対して千五百円が支払われ、そして当該
労働者には最終的には千六十円が支給されると。元々は二千百円ですよ。それが、千六十円が最終的には
労働者に支給されるという二重のピンはねが行われていたというのがこの
ケースであります。そして、先ほ
ども申し上げたとおり、業績不振を理由に突然の解雇。不当な働かせ方に
労働局からも
指導が入りました。
五年間、二十七回の公判の結果、今年三月のさいたま地裁において、職業安定法四十四条、労働基準法六条に違反、二重偽装請負だと断罪をされたわけであります。しかし、
裁判では地位
確認などについては認められなかったので、この方は控訴されております。
大臣に認識をお伺いしたい。
問題は、日本を代表する大企業で、しかも日本の経済を支える物づくりの現場で、その物を作っている
労働者が違法な働き方を強いられているということ、そして簡単に使い捨てられているということ、これが現場で起こっている。結局、
行政指導というのは将来についての
是正であって、
労働者にとっては司法にまで訴えないと救われない。こういう偽装請負で苦しんでいる
労働者の現状をどう認識されていますか。