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2015-08-11 第189回国会 参議院 厚生労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 政府参考人の出席要求に関する件 ○派遣委員の報告 ○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労 (会議録情報)

    平成二十七年八月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  八月五日     辞任         補欠選任      酒井 庸行君     石井みどり君      吉良よし子君     小池  晃君  八月十日     辞任         補欠選任      羽田雄一郎君     森本 真治君      白  眞勲君     江崎  孝君  八月十一日     辞任         補欠選任      赤石 清美君     長峯  誠君      江崎  孝君     尾立 源幸君      小池  晃君     吉良よし子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         丸川 珠代君     理 事                 大沼みずほ君                 羽生田 俊君                 福岡 資麿君                 津田弥太郎君                 長沢 広明君     委 員                 赤石 清美君                 石井みどり君                 木村 義雄君                 島村  大君                 高階恵美子君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                 長峯  誠君                三原じゅん子君                 石橋 通宏君                 江崎  孝君                 尾立 源幸君                 西村まさみ君                 牧山ひろえ君                 森本 真治君                 山本 香苗君                 川田 龍平君                 吉良よし子君                 行田 邦子君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君        外務大臣    中山 泰秀君        厚生労働大臣  山本 香苗君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       高階恵美子君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        外務大臣官房長  上月 豊久君        厚生労働省労働        基準局長     岡崎 淳一君        厚生労働省職業        安定局長     生田 正之君        厚生労働省職業        安定局派遣・有        期労働対策部長  坂口  卓君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       安藤よし子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労  働者の保護等に関する法律等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、酒井庸行君、羽田雄一郎君及び白眞勲君が委員辞任され、その補欠として石井みどり君、森本真治君及び江崎孝君が選任されました。     ─────────────
  3. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局派遣有期労働対策部長坂口卓君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  去る六日、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。津田弥太郎君。
  6. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 委員派遣について御報告申し上げます。  去る八月六日、丸川委員長福岡理事羽生田理事大沼理事長沢理事島村委員滝沢委員石橋委員牧山委員川田委員小池委員行田委員薬師寺委員福島委員及び私、津田の十五名により、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案審査に資するため、愛知県において、現地における実情調査を行うとともに、地方公聴会を開催いたしました。  まず、株式会社メイテックの視察について御報告いたします。  メイテックは、グループで約八千五百人のエンジニア無期雇用する派遣元事業主であります。  メイテックから、エンジニアに対するキャリアアップ支援の仕組みのほか、エンジニアが習得している技能等派遣先からの受注情報をデータベース化し、両者をマッチングするベストマッチングシステムの概要等について説明を聴取するとともに、エレクトロニクス等設計開発を行うソリューションセンターを視察しました。その後、社員キャリアアップ処遇との関係労使交渉状況福利厚生等内容社員研修を実施する時期、派遣先に直接雇用された社員有無派遣先で習得した技能の活用と機密保持との関係派遣中の社員に係る労務管理の方法、研修時の給与支給有無社員エンジニア派遣を選択する理由女性社員の割合と育児中の就業継続状況等について意見交換が行われました。  次に、地方公聴会について御報告いたします。  地方公聴会は、名古屋市において開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。  まず、公述の要旨について報告いたします。  最初に、トヨタ自動車株式会社人材開発部長伊藤正章君からは、今回の労働者派遣法改正案では、期間制限見直しによって、二十六業務派遣労働者に対する業務付与時における制約が解消され、派遣労働者キャリアアップを考慮した業務付与が可能になること、これにより、派遣労働者疎外感が解消され、派遣労働者正社員との一体感の醸成につながるといった、派遣先及び派遣労働者双方利点があることから、改正案成立を願うことなどの意見が述べられました。  次に、テンプスタッフ・ピープル株式会社専務取締役山本光子君からは、今回の労働者派遣法改正案によって、派遣元事業主にとっては規制が強化されることになるが、派遣事業一定許可基準を設けることは必要であること、二十六業務か否かによって派遣受入期間が異なる点が解消されるとともに、派遣先において業務の幅が広がることで派遣社員キャリア形成にもつながり、派遣社員にとってメリットがあり、優れた改正内容であることなどの意見が述べられました。  次に、元派遣労働者田中千秋君からは、派遣切りとなった経験から、労働者が景気の調整弁として扱われることは絶対に許されないこと、今回の政府案では、三年ごとに人を入れ替えればどんな仕事でも期間制限なく、低賃金派遣労働者を使い続けることができるようになることなどから、政府案を廃案にした上で、真に労働者を守る労働者派遣法を制定すべきことなどの意見が述べられました。  最後に、弁護士・日本労働弁護団常任幹事樽井直樹君からは、新たな期間制限導入などにより、今回の労働者派遣法改正案成立すれば、常用代替を防止し、臨時的・一時的なものに限るとする労働者派遣原則が放棄され、派遣労働拡大に道を開くことになること、派遣切りの教訓を踏まえ、労働者派遣事業需給調整機能を重視して労働者派遣拡大を図ろうとする改正案成立を認めることはできないことなどの意見が述べられました。  公述人意見に対し、委員より、期間制限に係る意見聴取において労働組合から反対意見があった場合の使用者側としての対応派遣労働者正社員化に対する派遣元事業主及び派遣先の考え方、派遣元事業主及び派遣先から見た派遣労働利点及び課題派遣労働者均等均衡待遇確保に向けた課題違法派遣を受け入れた企業責任在り方、新たな期間制限導入による無期雇用派遣労働者の増加の見通し、派遣労働者を直接雇用化したことによるメリット、年齢が女性派遣労働者就業に与える影響等について質疑が行われました。  会議内容は、速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願います。  最後に、今回の委員派遣に当たりまして、関係者方々特段の御配慮をいただきましたことを、この場をお借りして、心から御礼を申し上げたいと存じます。  以上で、委員派遣報告を終わります。
  7. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 以上をもちまして派遣委員報告終了いたしました。  なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。     ─────────────
  8. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 民主党津田弥太郎です。二回目の私の出番でございます。  省庁再編に伴って平成十三年に厚生労働委員会が誕生したわけでありますが、お盆の週に本委員会が開催されるのは初めてであります。与党の求めに応じて、私たちもしっかりと議論しようということで本日の委員会開催を了承したわけですから、今後も本法案徹底審議に向けて十分な日程の確保を求めていきたいと思います。  さて、平成十五年の派遣法改正の際、私の出身組織先輩議員が、製造業務への派遣労働の解禁について衆議院会議で強い懸念を示しました。製造業派遣は、たとえ派遣期間が一年でも、一気に広まる可能性を秘めており、不安定、劣悪な労働環境の下、戦後の我が国の発展の原動力となってきた物づくり危機的状況に至る。これに対し、公明党坂口力厚生労働大臣は、働き方の多様化等対応して、迅速、円滑かつ的確な労働力需給の結合を促進し、企業活動に必要な労働力確保を図るために是非速やかな審議をお願いしたい、そのような答弁をされたわけであります。これは平成十五年です。  この大臣答弁、今も昔も変わらない内容でありますけれども、そのようにして行った平成十五年改正によって一体どのようなことが起きたか。先週木曜日に開催された名古屋地方公聴会でも指摘がありましたように、リーマンショックの際、製造業を中心に大量の派遣切りが行われ、雇用ばかりか住む家まで同時に失うという悲惨な状況全国で生じたわけであります。ここ東京でも、日比谷公園で誕生した年越し派遣村の光景を我々は忘れるわけにはまいりません。  この製造業派遣の廃止問題について、平成二十四年改正の際には決着が付きませんでした。附則第三条により検討が持ち越されたということになったわけであります。ところが、労政審需給制度部会においてこの問題について議論らしい議論が行われなく、建議の中で、「経済活動雇用に大きな影響が生じるおそれがあることから、禁止しないことが適当である。」と一方的に結論付けられてしまったわけであります。どのような政策であっても経済活動雇用影響を与えるのは当然であり、これでは製造業派遣存続理由が全く示されていないに等しいものであります。  確かに、製造業派遣というものも様々な形態があることは事実です。去る六日に視察したメイテック、ここは派遣労働者に高い処遇がなされている、年収が一千万円を超える派遣労働者がいるというお話でございました。一方で、トヨタ自動車、ここの場合には、派遣労働者を直接雇用に全部置き換えた、現在は製造現場に一人の派遣労働者も存在していないという話でございました。そのことでトヨタの経済活動に大きな影響特段生じてはいない、そういう例でございました。  製造業派遣在り方について、引き続き廃止も含めた厳しい規制検討をしっかりしていくということを、山本大臣、しっかり答えてください。
  10. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 御指摘製造業務派遣につきましては、労政審におきまして、今御紹介いただきましたとおり、「経済活動雇用に大きな影響が生じるおそれがあることから、禁止しないことが適当である。」との建議がなされたわけであります。ただ、一方におきまして、他の派遣労働と同様に、製造業務派遣におきましては雇用不安定性という大きな課題がございます。そのために、改正法案有期雇用派遣労働者に対する雇用安定措置キャリアアップ措置、直接雇用推進措置などを進めることによりまして、一つ対応を図ることにはさせていただいているわけであります。  ただ、製造業派遣在り方につきましては、こうした課題への対応状況というものをしっかり見させていただきまして、今後とも必要に応じてしっかり検討させていただきたいと考えております。
  11. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 それで、平成十五年の派遣法改正大臣として主導したあなたの先輩坂口力先生、大変な人格者です。私もそう思っております。自らの政治責任を痛感をされて、派遣法は緩め過ぎてしまった、もっと規制強化の方向に向かわなければ大変なことになる、そのような思いを抱きつつ、平成二十四年の派遣法改正の際、与野党による修正案作りに全力を尽くされたわけであります。そうした努力が実って、民自公三党の修正により派遣法成立をし、坂口先生はそれを見届け、安心して十一期の長きにわたる国会議員生活を引退されたのであります。長沢先生、そうですよね。今回、公明党出身山本大臣までが安倍総理に同調し、再び規制緩和の道に逆戻りすることは、まさに坂口先生思いを完全に裏切るものであります。  前回も申し上げましたが、私たち民主党と自民党では、労働者軸足を置くか、使用者軸足を置くかという点でどうしても違いがあるわけです。ですよね。その意味では、連立政権の一角である公明党がその中間に立って、労働法の行き過ぎた見直しというものにブレーキを掛けていく、参議院選挙制度改革で示された党の独自性というものを労働法の分野でもしっかり発揮していく。長沢先生、そうですよね。そのことを強く強く期待をしたいというふうに思うわけであります。  さて、昨年十一月七日の衆議院委員会において、山本大臣は、無期雇用派遣労働者への対応として次のように答弁をされました。派遣元事業主は、無期雇用派遣労働者派遣契約終了をもってのみ解雇してはならないことを指針規定する、また、派遣契約終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準に記載をする。問題は、この「のみ」という言葉です。  確かに、何も手だてを講じなければ、派遣元派遣契約終了理由にして派遣労働者解雇しようとするでしょう。今回、そうした事態を回避できることについては一定の評価をしたいと思います。しかし、今回の法改正成立した場合、派遣元は、派遣契約終了に加え、それ以外の軽微な派遣労働者の落ち度をセットにして解雇を行う可能性があるわけです。例えば、遅刻を二、三回したとか、そういう理由です。これらと派遣契約終了とをセットにして解雇することが認められるなら、事実上、副大臣答弁をした内容歯止めにならないことになるわけです。そもそも派遣労働者派遣元雇用契約を締結をしているわけであり、派遣元にとって派遣先一つだけということは、これはもう全く考えられないわけですから、本来は、派遣契約終了解雇理由に一切することはできないという規定でなければおかしいわけです。  この点について、改めて本法案提出された政府の見解を伺いたいと思います。  無期雇用派遣労働者解雇については、派遣契約終了以外の理由当該解雇合理性を有するかどうかの判断を行うことが適当である、山本大臣、そういう理解でよろしいですか。
  12. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 無期派遣労働者につきましても、解雇というものは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は労働契約法上無効とされておりまして、一般的に、今御指摘いただきましたように、派遣契約終了というものが当該解雇合理性を裏付けるものではないと考えております。  今般、先ほど引用していただきました答弁で申し上げましたが、無期派遣労働者派遣契約終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準等に盛り込む予定にしておりますけれども、この趣旨は、実質的に派遣契約終了解雇理由である場合に対応すべきものという趣旨でございます。したがって、許可審査の段階におきましては、就業規則において派遣契約終了解雇事由となっていないかについてチェックいたします。  そのほかにも、許可を得た後は、指針に基づいて、実質的に派遣契約終了理由として解雇することがないよう、しっかりと厳しく指導してまいりたいと考えております。
  13. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 分かりました。就業規則でしっかり書くということであります。  関連してお尋ねをいたします。  派遣先契約打切り、解除、これはリーマンショックではもうそれが相次いだわけでありますけど、この契約の打切りとか解除に伴って発生した無期雇用派遣労働者賃金等待遇上の不利益、これについては労働契約法に基づき許されないという判断で、山本大臣、よろしいですね。
  14. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) おっしゃるとおり、労働契約法派遣で働く方にもひとしく適用されるわけでございまして、契約法上、まず原則として、働く方々使用者との合意がなければ労働条件不利益変更は認められません。また、就業規則による労働条件変更も、変更後の就業規則を周知し、かつ、その変更が働く方々の受ける不利益程度等に照らして合理的なものでなければ認められません。  こうした労働契約法上の規定は、おっしゃった派遣契約の打切り、解除といった事情におきましても適用されるものでございまして、御指摘のとおり、当事者間の合意やまた就業規則の合理的な変更によらずに労働条件不利益変更をすることはできないということでございます。
  15. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 そのようにしっかり答弁していただきました。  次に、前回質問しましたけれども、過半数組合等からの意見聴取について二回目の質問をします。  高階政務官前回答弁をしていただきましたので高階政務官にお聞きしたいんですが、過半数組合等意見聴取がどの程度歯止めを持つかを判断するために、次回の私の質問までにということで就業規則変更に関する資料要求をしましたが、調査結果はどうなりましたでしょうか。
  16. 大臣政務官(高階恵美子君)(高階恵美子)

    大臣政務官高階恵美子君) 津田先生には大変丁寧に御審議いただいておりまして、私どもも誠意を持ってお答えをしてまいりたいと考えております。  お尋ね過半数労働組合等意見を聴いているかどうかといったようなこと、そして、過去にわたってこの作成、変更においてどんな状況であったのか、賛成を得ずに就業規則変更が行われた例についてお尋ねをいただいてまいったところでございます。  現在、鋭意、全国労働基準監督署におきまして調査中でございまして、直近の春と秋、こういった例がなかったかどうかといったようなことを一枚一枚当たっているところでございます。  何分、件数が多いものでございますから、本日、調査中でございますという途中の御報告になってしまいますが、この先もしっかりと、御質問をいただきました件については調査を進め、結果については、まとまり次第に御報告をさせていただきたく存じます。
  17. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 前回も述べましたが、この調査結果は歯止めになるかどうかの肝になる部分でございますので、次回の私の質問までに必ず提出をしていただきたいと思います。  委員長の方でよろしくお願いします。
  18. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をさせていただきます。
  19. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 さて、塩崎大臣は、八月四日の行田委員質問に対しまして、三年を超える派遣受入れは例外的と呼んで差し支えないというふうに答弁をされました。そうであるならば、そのことを担保する具体的な措置が不可欠であります。派遣受入れ延長あるいは再延長において、政府案過半数組合等からの意見聴取では実質的な歯止めとならないことが明白であるにもかかわらず、大臣のこれまでの答弁は、極めて私は不適切であると考えます。  特に、七月三十日の行田委員質問に対する答弁、これ、ひどいですよ。現場を重視する我が国労使関係を踏まえて、派遣先労働者側意見を尊重するということが期待をされて歯止め効果がある、こういう答弁をされた。これ本当、のうてんきな答弁ですよ。そんなにうまくいくならブラック企業は存在しませんよ。ブラック企業日本にたくさんある。  先日の公聴会において、伊藤公述人は、トヨタ自動車労働組合としっかりとした議論ができる、そういうふうに発言されました。製造業は比較的、労使関係はしっかりしていますよ。しかし、残念ながら、サービス業とかIT関係はもうひどい状態、むしろ、そういうひどい状態である企業の方が多いというふうに私は思っている。我々は、そうした現実を直視することから始めないといけないわけであります。  大臣は、過半数組合等からの意見聴取が単なる形式的なものではなくて、実質的な歯止めとなり得る根拠として次のような答弁をされました。派遣先に対して、意見聴取参考となるデータの提供を指針で示し、意見聴取の記録の周知を省令で規定をし、さらに、反対意見があったときの対応方針等説明法律で義務付ける、こういう答弁をされたわけであります。  坂口部長に確認をしたいと思います。  今の大臣答弁のような歯止めがありながらも、実際には使用者労働組合等反対を押し切って派遣期間の一回目の延長を行ったとします。つまり、大臣が述べられた歯止めが機能しなかった場合。その先に、再び三年が経過をして再延長の問題が発生したときに、前回以上の強力な歯止めというのは今回の改正法案の中に用意をされているんでしょうか。端的に事実のみお答えください。
  20. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  今委員の方から御質問のありましたような、反対を押し切って派遣期間延長を行った場合であって、三年経過後に再び延長の話が出た際の扱いでございますけれども、一回目以上というような特段対応ということは用意はされておりませんけれども、一回目の延長の際と同様に、延長の手続を踏んでいただくという必要があるということでございます。
  21. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 そうなんです。全く何もない。  私は、本法案の最大の欠陥はまさにこの点にあるというふうに考えているわけであります。派遣受入れ期間延長に関する過半数組合等への意見聴取において、初回更新時に過半数組合反対意見を表明したにもかかわらず、使用者派遣延長を決定してしまった。使用者経営権ということで、ここまではぎりぎり理解したとします。しかし、次の更新時に再度過半数組合反対したとしても、前回と同じ歯止め措置しか存在していない、今、坂口部長がおっしゃったとおり。過半数組合等反対を二度、三度と押し切って派遣延長を強行しようとするのですから、当然ながら事業主悪質性は強まってくるわけであり、本来は延長のためのハードルがどんどん高くなってこなければならないわけです。しかし、ハードルは同じ高さなんです。  その意味で、今回の政府案は欠陥法案なんです。これでは常用代替防止の基本趣旨も損なわれますし、派遣労働が臨時的、一時的であることも担保されないんです。何より、自ら直接雇用する労働者の意思さえ完全に無視するような派遣先であるわけですから、間違いなくそこで働く派遣労働者は物扱いされてしまうわけです。  坂口部長、この点について、現実的に機能する歯止め検討する考えはないでしょうか。ここ、最重点ですよ。
  22. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今お尋ねございましたような受入れ期間延長を行いました事業所が再度の延長を行おうとする場合でございますけれども、その場合でありましても、先ほど委員の方から大臣前回の御答弁御紹介いただきましたけれども、今回は反対意見があった場合の対応方針の説明等の双方向の流れをつくるというような新たな義務も課しているということもございまして、そういった手続が同様にこの再度の延長の際にも義務付けられるということでございますので、過去の経過等も含めまして労使間で十分慎重な検討が行われるものということで私どもとしては考えておりますが、今るる委員の方から御指摘ございました。私どもとしましても、今の委員の御指摘も踏まえまして、再度の延長時の際の対応について何らかの方策が考えられないかということを今後検討してまいりたいと考えます。
  23. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 初回の延長時から過半数組合等の理解を得るようにすることはもちろんとして、少なくとも二度連続して過半数組合等意見を無視するということがないように、しっかりと制度の組立てを見直していただきたいと思います。今何らかの検討をするというお話でございました。  さて、常用代替の防止ということに関連をしてお尋ねをいたします。  八月四日の本委員会で共産党の吉良議員が行った質問に対する塩崎大臣答弁が私には理解できませんでした。改めて確認をします。  あのとき塩崎大臣は、労働市場全体としてより安定的な雇用を増やしていく観点から、無期雇用派遣労働者によって派遣先常用代替が行われる場合は厚生労働省としても致し方ないという意味の答弁をされたと私は思ったんですが、本当にそれでいいんですか。
  24. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 無期雇用派遣労働者につきまして、有期雇用派遣労働者と比べて雇用の安定とかあるいはキャリア形成の観点から見ると問題が少ないということから、労働市場全体にとってより安定的な雇用を増やしていくという観点からは、労働政策審議会の建議を踏まえて、期間制限の対象外というふうにこの無期雇用派遣につきましてはしたところでございます。  なお、今回の改正は、正社員無期雇用派遣労働者に置き換えようとするものではなくて、無期雇用派遣労働者も対象にして派遣会社に対してキャリアアップ措置を義務付ける、そして、派遣先に対して正社員募集に関する情報提供を義務付けるなど、正社員を希望する方には正社員の道を開くというふうにしているところでございます。
  25. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 それでは、確認します。  無期雇用派遣労働者導入と連動した常用労働者解雇については望ましくない旨を明らかにして指導を徹底する、今の大臣の発言からすればそういうことでよろしいのかどうか。それから、無期とか有期に関係なく、派遣労働者導入と連動した常用労働者の人員削減、解雇は、解雇制限法理に照らしても問題がある、加えて、常用代替防止の趣旨に照らしても許容できないものであるという理解でよろしいでしょうか。
  26. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) ただいまの無期雇用派遣労働者受入れについてでありますけれども、正社員から派遣で働く方への移動ということが進むことは派遣法趣旨ではないと考えていることに加えて、無期雇用派遣で働く方についてもその正社員化を推進をしてまいりたいということを何度も申し上げてきたところでございまして、今後、こうした旨を周知をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  27. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 七月三十日の質疑で共産党の小池議員も指摘しましたように、労働政策審議会では、労働者代表も使用者代表も専門二十六業務の廃止は求めておりませんでした。更に言うならば、公益委員の鎌田座長も以前の御自身の研究論文で、専門派遣とテンポラリーワークは同一の規制にすべきではないと明確に主張されているわけであります。つまり、そもそもは労政審の誰も求めていなかった業務区分の廃止を、人材派遣業界の主張に沿って厚労省の事務方が行ったのが今回の改正なんです。その結果、極めて制度が更に分かりづらくなってしまった。  これまでは、専門性という業務内容で例外を設けていたので、常用代替の防止ということとともに直接に連動することができた。しかし、今回の改正案では、業務内容には着目せず、派遣元無期雇用を結んでいるかどうかで例外を設けているわけであります。これでは常用代替の防止とは何らつながってまいりません。  しかも、派遣元無期雇用を結んでいた派遣労働者雇用契約が三年経過の直前に有期雇用に変わってしまえば、派遣先は突如としてその派遣労働者を同一業務で雇い続けることができなくなるという事態に追い込まれるわけであります。派遣先にとっては雇用契約に何らの関与はできないわけであり、極めて分かりづらく、しかも現場に混乱をもたらしかねない規定というふうに言えるわけであります。  また、業務内容に何ら着目しなかったことにより、専門二十六業務で働いている労働者に対し次回の更新拒絶が伝えられるなど、現在起きています、雇用と人間の尊厳が、今、現在進行形で失われようとしているわけであります。  大臣、今回の法案成立後ということではなくて、今起きている現実、直ちに派遣元に対して労働契約法の雇い止め法理などの内容を周知をしていただいて、専門二十六業務で働く労働者を保護するためのアクションを起こしていただきたいと思いますが、これ、今すぐやる課題としていかがでしょうか。
  28. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) この問題はこれまで何度となく御質問を受けてまいりましたが、考えてみれば、まだこの改正法案は国会でこうして審議をしていただいているところでございまして、一部の派遣元事業主が、改正法案内容の正確な理解もなく、ただ更新拒絶と。この理由として、改正法案を利用して派遣で働く方に対して更新拒絶を申し入れている事例があるのではないかということで、それに関しては大変問題だというふうに思っているところでございます。  こうした悪質な派遣元の行動を防止をするためには、いわゆる二十六業務派遣で働く方に対して労働契約更新拒絶を行わないように、速やかに関係団体に対して要請することなどについて前向きに検討していきたいというふうに考えております。
  29. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 検討時間はうんと短くして、行動をすぐ起こしていただきたいということを御要請申し上げます。  さて、今回の法改正の目玉の一つは全ての派遣会社を許可制にすることでありまして、大臣の次のような発言がありました。今回、特に全てを許可制にする中で、質の向上と働く人たちの立場を守るために派遣元派遣先に義務付けを多くしていくという答弁であります。この発言、本気だと思うんですね。だとするならば、派遣労働者の立場を守るための具体的な施策をいかにして派遣会社の許可要件に絡ませることができるかということが最大の肝になるわけであります。  つまり、悪質な派遣会社、派遣労働者の立場を守らないような派遣会社に対しては、単なる行政指導などでは効果が見込めないわけでありまして、免許剥奪という伝家の宝刀を用いることで初めて是正を図っていくことが可能となるわけであります。  この点、我が党の石橋議員が指摘しましたように、雇用安定措置に関して、努力義務規定に繰り返し違反するような悪質な事業主であっても許可取消しをすることができないということは極めて問題なわけであります。どうしても厚生労働省として努力義務規定違反と絡めた許可の取消しは難しいということでしたら、前回長沢議員が指摘しましたように、次回は更新しないということが是非とも私は必要だというふうに考えるわけです。  この点、許可基準に根拠規定を盛り込んで、厚労省が努力義務部分の雇用安定措置の履行状況をしっかりと確認をし、繰り返しの指導によっても改善しないときは不更新とすることを求めたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  30. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今先生から御指摘がございましたように、石橋議員、そしてまた長沢議員からこの点については懸念が表明され、また前向きの対応をすべしと、こういうことでございまして、今、津田議員からも具体的な御提案をいただきました。  派遣元事業主雇用安定措置の義務を逃れるために故意に三年直前で派遣就業終了させることを繰り返すというような行為というのは、我々のこの法律趣旨を没却するということに等しいわけでありますので、派遣元雇用安定措置の実施状況について、これは毎年事業報告報告をしてもらうことになっておりますけれども、これでまず把握をし、そして脱法的な行為を行う事業主が、行政が繰り返し指導を行ってもまだ改善をしないというような場合は、その次の許可更新の際に不更新とできるように、その旨を許可基準に、今御提起いただきましたように、盛り込むということを検討させていただきたいというふうに考えております。  なお、許可基準に盛り込むことでは直ちに許可の取消しを行うことはできないわけでありますけれども、改善しない場合の不更新処分を前提とすることによって、派遣元に対して法の趣旨に沿った対応を行うように厳しく指導することが可能となるわけでありまして、そういう意味でも、今回全てを許可制とするということの意味があるのではないかというふうに思うところでございます。
  31. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 検討ではなくて、しっかりそういう取組をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  また、そうした対応を適切に行うためにも、これは努力義務規定、義務規定共に、雇用安定措置に関し、個々の派遣労働者ごとに講じた日時、内容及び結果について派遣元管理台帳に記載すべきというふうに考えますが、大臣答弁を求めます。
  32. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) これは、派遣元管理台帳を前向きに活用すべきというのは前回も先生から御指摘をいただいたところでございまして、雇用安定措置の義務の履行をしっかりと図っていくことが重要であるという問題意識は我々としては共有をしているわけでありますが、今議員から御指摘をいただきまして、また御提案をいただいた履行状況派遣元管理台帳への記載、これにつきましては、手続規定の整備による派遣元の意識向上、そして都道府県労働局による実効性のある指導の実施などの観点から履行の確保に有益であると考えておりまして、対応について先生の御指摘に従って検討してまいりたいというふうに思います。
  33. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 この派遣元管理台帳には、教育訓練を行った日時及び内容を記載しなければならないと法案には明記をされておりますが、今日までの本委員会議論を聞いておりますと、与野党双方が雇用安定措置について極めて強い関心を抱いているわけですから、派遣元管理台帳に間違いなく記載されるように、しっかり今大臣答弁されましたので、そのことをしっかり義務付けるように求めていきたいというふうに思います。  関連してお尋ねします。  私は、そもそも雇用安定措置就業規則に定めて、派遣労働者に周知することを派遣会社の許可条件にすべきというふうに考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  34. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) この雇用安定措置につきましては、派遣で働く方に対してもしっかりと周知を行っていかなければならないという問題意識は、今先生がおっしゃったとおりで全く同じでございますが、仮に法案成立した場合には、厚生労働省のホームページとかあるいはリーフレットなどによって、派遣で働く方に対してもしっかりと周知をしていこうというふうに考えております。  いずれにしても、雇用安定措置の履行の確保をしっかりと図ることが重要でございまして、雇用安定措置の実施状況について、これは全ての派遣元に対して、同じ職場に一年以上派遣した労働者派遣期間区分ごとに何人なのか、あるいは派遣期間区分ごとに雇用安定措置を講じた人数、さらには講じた措置ごとの人数について毎年事業報告提出を求めて、その結果に基づいて指導を行うことを予定をしているわけでございまして、さらに、派遣元事業主にはこの事業報告報告内容についてそれぞれのインターネット等による情報提供、これが望ましい旨を指針規定をしてまいる予定でございまして、雇用安定措置にしっかりと取り組む派遣元が、言ってみれば選ばれるということが、その環境づくりが大事ではないかというふうに考えております。
  35. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 私が聞いたのは、雇用安定措置就業規則に定めて派遣労働者に周知することを派遣会社の許可条件にすべきという点であります。  その点について、大臣のお考えをお聞かせください。
  36. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) この就業規則への明記ということを許可基準にすべしという今御提案でございますが、この御提案につきましては、雇用安定措置就業規則へ明記させるということは、事実上労働者の権利として創設をするということになるわけでございまして、これは労政審でも労使でいろいろな意見がございますので、ここは労使でしっかりと議論していただいて検討をすべきというふうに考えているところでございます。
  37. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 今大臣は前向きな答弁をされたんですよ。労働者の権利を明確にするということを、就業規則に書くということはなるんだと。今回の法改正の目的が派遣労働者の保護を目的として今回改正するわけですから、まさに就業規則に盛り込むということは当然のことだと私は思うんです。  労政審議論されるのは結構ですが、大臣としてはこの就業規則に盛り込むように労政審議論していただきたいという立場で臨まれるという理解でよろしいでしょうか。
  38. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今申し上げたように、雇用安定措置自体は、派遣労働者派遣会社に履行を求めることができるとする民事的効力を規定するもの、直接保障するものではないところでございまして、先ほど申し上げたように、仮に就業規則へ明記をするということになれば、事実上労働者の権利ということを明記することになるわけでございますので、その点になるといろいろ労使で御意見があろうかというふうに思いますので、そこのところはしっかりと御議論していただいた上で、どういうことがあり得るのかということをお示しをいただいた方が私どもとしてもよろしいんではないかというふうに考えているわけでございまして、当然労働者が守られるという考え方自体は当然大事なことであることは変わりがないわけでございます。
  39. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 余りそこは何か引けた答弁をされない方がいいと思うんです。  雇用安定措置というのは今回の法改正の目玉の一つですから、それを就業規則で書くというのは何も問題ないんです。派遣元がそのことをしっかり書くことによって、その派遣元はしっかりやるんだということが名実共に明らかになるわけであって、そのことを労政審議論するのは結構ですが、大臣の立場から、しっかり前向きに進めるという立場で進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  同様に、派遣労働者に対する体系的な教育訓練の実施、これについては、就業規則など社内規定に定められていることを私は派遣会社の許可条件とすべきと考えるわけですが、大臣、いかがでしょう。
  40. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今、津田先生から教育訓練の実施に関する事項を就業規則に定めることを許可基準とすることについての御提案がございました。  教育訓練の実施を就業規則へ明記させるということは、これも先ほど申し上げたように、これは事実上労働者の権利として創設することとなるわけでございますので、これも先ほどと同じように、やはり労使でしっかりと議論をしていただいた上で、どのような扱いにするべきかということを御検討いただければというふうに思うわけでありまして、一方で、この派遣元における教育訓練の実施を担保する必要があるという先生の今御指摘、問題意識はそのとおりだというふうに思いますし、そうなると、許可申請や更新の際に教育訓練計画を提出をさせる、そしてまた毎年の事業報告で教育訓練の実施状況報告させることに加えて、派遣会社を全て許可制として、こうした義務を履行しない派遣元に対しては許可の取消しを含めた厳正な指導監督を行うということで、制度の履行をしっかりと担保していかなければならないというふうに考えております。
  41. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 雇用安定措置も体系的な教育訓練の実施も、今回の法改正の重要な肝のところの話なんですね。これは、当然ながら、就業規則に明記することによって、しっかりやりますと、派遣元が、こういうことになるわけであって、厚生労働省としても当然それが許可基準の目安になっていく、当然のことだと思うんです。そのことは恐らく今後労政審議論をされることだと思いますが、この点も併せて、しっかり大臣の方から前向きな議論になるように促進方を進めていただきたいことをお願いしたいと思います。  労働契約申込みみなし制度の問題に移らせていただきます。  今年の十月一日からいよいよスタートすることになります。平成二十四年の改正の中で最後に残った課題がこのみなし制度であります。私が担当政務官をしていた時代から三年が経過をしたわけでございます。  この制度について、昨日、東京労働局の主催で、富田課長が講師となって、一千名を超える説明会が盛大に開催されたというふうに伺っております。  一方で、私が懸念しますのは、五月十八日の労政審需給制度部会でも議論になったように、みなし制度によって申し込まれるのは当初の契約期間ということですから、派遣労働者にとっては、自分がみなし制度が適用される状態にあることが分からなければ、これ制度自体が何の意味も持たないということも考えられるわけであります。  この点、派遣先から派遣労働者に対して直接雇用の申込みがなされている状態にあるということを通知する義務といったものが私は条文上不可欠であるというふうに考えるわけですが、大臣の見解を伺います。
  42. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 労働契約申込みみなし制度の、これをうまく施行をし、また派遣で働く方の権利の保護の観点から、派遣で働く方が制度を理解した上で実際に活用していただくことが重要であるわけでありますけれども、どんな場合に対象となるかを派遣で働く方に認識いただくためのやり方というか方策、これについて何ができるかということは、今先生御指摘ありましたけれども、どういうことができるのかということをしっかり議論をして検討をしていきたいというふうに思います。
  43. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 検討というよりも、具体的なアクションに、私はもう段階に入っていると思いますので、そのことをしっかり意識して進めていただきたいと思います。  今日、内閣府から赤澤大臣にお越しをいただいております。ありがとうございます。  この通知義務も一つの肝であるわけでありますが、地方公聴会において、元派遣労働者である田中公述人から、幾ら仕事ができても派遣労働者は所詮物扱いという発言がありました。この発言に関連して、派遣先派遣元に支払う費用に関する勘定科目について質問をしたいと思います。  企業が会計処理をするに当たって、どの勘定科目を使うかについて細かく規制をされているわけではないということは承知をいたしております。当該企業活動において適切と思われるものを使っているということであります。  そこで、まず赤澤大臣お尋ねをしたいんですが、派遣先から派遣元派遣労働者の労働に対する対価として事実上支払っている料金の勘定科目は実際どのようなものが使われているのか、直近の数字で結構ですので、上位五つについてそれぞれ何%なのかという数字を端的にお答えいただきたいと思います。
  44. 副大臣(赤澤亮正君)(赤澤亮正)

    ○副大臣赤澤亮正君) 御質問ありがとうございます。金融担当の立場でお答えをいたします。  それで、ちょっと通告と違いましたので、お答えできる範囲で答えますが、人材派遣については、今、津田委員から、払われる労務費という、給料に当たるようなものという御指摘あったんですが、これ会計処理上は、派遣された者と派遣先との間の雇用契約ではなく、派遣元派遣先との間の役務提供契約であることは御案内のとおりでございます。そういう観点からすると、企業の財務内容を投資家に適切に開示するという観点で給料として会計処理することは困難であるため、例えば人材派遣費などとして会計処理されているものと承知をしております。  人材派遣費という呼び方をしている企業があることは確認をできておりますが、数とか上位五位といったような数字は今手元に持ち合わせてございませんので、そこについては御了解いただきたいと思います。
  45. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 通告をしておりますので、今把握ができていないということでありますが、次回の私の質問までに回答をいただきますよう、委員長にお願いしたいと思います。
  46. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をさせていただきます。
  47. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 そもそも、労働者派遣を受ける派遣先企業派遣元に支払う費用は派遣労働者の労働に対する対価に当たるものであって、企業が自ら雇用した労働者に支払う賃金と同じ性格のものであるはずなんです。  今、赤澤大臣は人材派遣費というふうにおっしゃったわけでありますが、しかし、実際には派遣社員労働者派遣を受けるサービス、すなわち役務の対価ということで、勘定科目の上では直接雇用の場合の扱いと明確に異なる例が多いのだというふうに承知をいたしております。例えば、物件費という科目が使われている場合が多い。この点、これまで派遣労働者からは、私たちは物件費で処理されている、まさに派遣労働者を物扱いしていることの表れであると強く抗議が行われてきたわけでありまして、様々なインターネット上の記事でもそうした問題が指摘をされているわけであります。  今回、政府として、派遣労働者の保護を目的とした法案提出している以上、こうした問題についても私は何らかの取組を行うべきだと考えるわけであります。  赤澤大臣に確認したいんですが、この金融庁設置法の第四条、所掌事務の第十七号に、「企業会計の基準の設定その他企業の財務に関すること。」という文言がある以上、この問題に対する担当省庁は私は金融庁ではないかというふうに考えるわけでありますが、それでよろしいかどうか。違う省庁だというんだったら、その省庁の名前を挙げていただきたいと思います。
  48. 副大臣(赤澤亮正君)(赤澤亮正)

    ○副大臣赤澤亮正君) 再度、金融担当の立場でお答えをいたします。  今の設置法の先生の御指摘については、そういう規定があるというふうに私も承知をしております。  その上で、まず、金融庁が所管をしております財務諸表等規則について触れさせていただきます。  財務諸表の様式や作成方法を定めた内閣府令である財務諸表等規則上は、企業の正規の職員に対する給与等を人件費、派遣会社に対する費用を物件費として会計処理するというような規定はございません。  その上で、金融庁の立場でございますけれども、会計処理については、企業の財務内容を投資家に適切に開示するという観点から必要な対応企業に求めるほかは、企業判断を尊重するのが適当という考え方を取っております。  それで、財務諸表等規則においては、費用について、企業の財務内容を投資家に適切に開示する観点を踏まえ、適当と認められる費目に分類し、当該費用を示す名称を付すなどとされているところでございます。  これに従って、先ほど御説明した内容ともう一回かぶるわけでありますが、単純にこの人材派遣費と言われるようなものは、労働の対価ということではなくて、やはり派遣元企業が役務を提供するということについての対価でございますので、会計処理上は給料として処理することは困難であるというふうに考えている、その点は私どもとしてはっきりしているわけでありますけれども、その上でどのように費目を分類するか等は企業判断を尊重するというのが現在の立場でございます。
  49. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 担当が金融庁であるというお答えでございまして、その上で現在の金融庁の考えをお聞きしました。  塩崎大臣、これ、三月二日の衆議院の予算委員会で、派遣労働者を物扱いしているようなところがあればしっかりと指導していかなきゃいけないという答弁をされているわけであります。そもそも派遣労働者の地位の向上は一義的には厚生労働省の役割、塩崎大臣の発言がまさにうそではないことを証明するためにも、派遣労働者に関する勘定科目の問題について早急に、今金融庁の方で答弁がありましたように、人件費の方にするわけにはいかないなんという答弁に対しては、そうではない、人件費の方にしてくれということを是非要請をしていっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。塩崎大臣に。
  50. 副大臣(赤澤亮正君)(赤澤亮正)

    ○副大臣赤澤亮正君) 今、津田委員の御指摘でありますが、金融庁の立場で申し上げているのは、人件費にしてはならないと言っているわけではございません。人件費にしろ、物件費にしろということは言っていないんですが、直接の労働の対価である給料という分類をすることは、会計処理上は投資家に対する適切な開示にはならないだろうというふうに考えているということでございます。
  51. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) これ、間接雇用という例外的な雇用の形であるがゆえに今のような形に会計処理はなっているんだろうというふうに思います。  会計は会計であり、我々は、やっぱり派遣労働者の権利は守るということは我々の責務として当然あるわけでありますから、会計の問題は金融庁の所管でございますので、私の立場からは派遣労働者の立場を守るということで何ができるかということは考えていきたいというふうに思います。
  52. 津田弥太郎君(津田弥太郎)

    津田弥太郎君 前回質疑において大臣は、本法案成立を急ぐ最大の理由は、派遣で働く方々正社員の道が開かれるようにするとともに、待遇の改善を図るためというふうに答弁をされたわけであります。そうであるならば、派遣労働者から法案の早期成立を求める陳情が我々になければおかしいわけですが、全くないんです。法案の廃案を求めるファクスはもう山のように届いているんですが、逆に法案成立をしてくれというファクスは届いていないんです。与党の方、来ていますか。  今まで私の質問は二回行いました、今日までで。取り上げたい問題は山のようにあります。また次回にしっかり質問をさせていただきたいと思います。  終わります。
  53. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 おはようございます。民主党・新緑風会の森本真治でございます。  本日、お許しをいただきまして差し替えをいただき、質問をさせていただく機会をいただきましたことをまずもって感謝を申し上げます。  津田理事の質問とちょっと重複するようなところもあったようにも思いましたので、できるだけ視点を変えながら質問させていただきたいと思いますので、重複がありましたらお許しをいただきたいというふうにも思います。  それで、ちょっと通告に入る前に、今日初めて塩崎大臣とも質問をさせていただきますので、この派遣法についての少し現状認識を確認をさせていただくところから始めて本題にも入らせていただきたいと思いますけれども。  先ほど津田委員最後にも述べられましたけれども、大臣、本法案労働者を守る、派遣労働者を守る法律ですか。
  54. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) これは、当然のことながら業法でございますので、直接的には派遣業を規制をするということでございますが、それによって派遣労働者の保護を図るということが達成をできるということをうたっている法律という位置付けでございますので、そういう意味で、最終的にはやっぱり派遣労働者の保護を図るということが我々にとっても大事な大きな目標だということだと思います。
  55. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 派遣事業の適正な運営確保及びというのは、並列かなというふうにも思ったんですけれども、今の御答弁ちょっと、適正な事業の運営を図る中で派遣労働者を守るというような、ちょっと余り細かいところを問うてもあれなんですが、先ほど津田委員が言われたことでちょっと答弁いただきたいと思います。  我々には、この法案を早く成立を望む声、派遣労働者の方からはなかなか届かないんですけれども、大臣のところには、派遣労働者の皆さん、これ派遣労働者を守る法案だということで、一日も早く成立を望む声、多く寄せられていますか。
  56. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今日、メイテックのお話がございましたけれども、そういったかなりアッパーエンドの派遣会社はもちろんのこと、その他の、私の地元でも派遣会社がたくさんございますから、そういうところからもこの法律をしっかり通してほしいということはよく聞くところでございます。
  57. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 今の御答弁は、経営者の方からという理解でよろしいんですね。
  58. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 大臣室にも派遣で働く方にも来ていただきまして、そういった方々からも、是非我々の立場は守りながら働きやすいようにしてくれということは、私たちは繰り返し聞いているところでございます。
  59. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 少なくとも私のところには多くの方から、今回の改正法律が変わることによって非常に大きな不安なり心配という声が寄せられます。この皆さんって、この法案について誤解されているんでしょうか。
  60. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) それは、御心配をされることを誤解と言うのは大変失礼な話でありまして、我々としてはしっかりと私たち法律改正の意図が伝わるように、引き続き説明をしっかりとこの審議を通じて、あるいはそれ以外にも機会を捉えてしっかりとやっていかなきゃいけないということではないかというふうに思います。
  61. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 改正案の附則第二条第二項でございますけれども、「この法律の施行により労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行が損なわれるおそれがあると認められるときは、」この改正法の、労働者派遣法規定について、速やかに検討を行うものとするという条文がありますね。  つまり、この法案が施行されることによって雇用慣行が損なわれるという可能性があるということを、これをお認めになっているということでよろしいんですか。
  62. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 雇用慣行が損なわれるというのが今この二条二項に入っているという御指摘をいただきました。  これは、例えばいわゆる正社員の方が派遣労働者に置き換わる常用代替、これが常態化をしてしまうとか、そういうような状況を想定をしているところでございまして、一般に派遣労働者数は、この景気や、これも何度も申し上げておりますけれども、雇用在り方、あるいは失業情勢、多様な働き方を希望する働く側の方々の御意向とか、様々な要因によって影響を受けるわけでございますので、施行後のいかなる状況にも対応できるようにしっかりと我々は労働市場の状況というのは把握して、今申し上げたようなことが、常用代替が常態化するとか、そういうようなことがあって、先ほど読み上げていただいた条文にあるような事態が起きたときにはしっかりと検討するぞということでございますので、我々としても法成立後にはしっかりと状況把握を正確にいつもしなきゃいけないというふうに考えております。
  63. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 確認ですけれども、今の御答弁は、常用代替可能性がある法案だということをお認めになられたということでよろしいんですね。
  64. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 期間制限を設けるときにも、これは元々業務単位であったわけでありますけれども、これについては常用代替防止という考え方でございました。つまり、間接雇用という例外的な働き方をする派遣労働でございますので、いわゆる派遣先正社員の方が取って代わられるということは避けなければいけないということが、元々この現行制度でも、業務単位、同一業務では原則一年という期間制限を設けていたのはそういうところにあるので、派遣制度そのものが可能性としては常用代替が起こり得るということを前提に、それをどう防ぎながら、働く人も守り、労働市場の安定化を図るかということだというふうに私は理解をしております。
  65. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 派遣労働という働き方についてもちょっと後ほどいろいろ議論もさせていただきたいと思いますけれども、先ほど、これが誰のための改正かという中で、経営者の方から早期にこの成立をというような声も大臣のところには届いているというようなお話もあったかなというふうに思います。  ちょっと通告の方の質問に戻っていきたいと思いますけれども、それで、この法案審議をする前提として、大臣、是非、安倍政権の労働法制に関する考え方についても、塩崎大臣も安倍政権の一員でございますから、まさに政権を代表して御答弁いただきたいと思います。  アベノミクス、最近余り聞かれなくなってしまって、どこに行ったのかよく分からないんですけれども、安倍政権の成長戦略の肝としてこれまで常々、安倍政権で言われていたのは規制改革ですね。その中で、岩盤規制にドリルで穴をこじ開けていくんだというふうなことをずっと言われておりました。雇用労働分野も岩盤規制だというふうに言われておりますけれども、労働法制のどこが岩盤規制なんですか。
  66. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 岩盤規制という言葉はたしか津田先生からもお話が出たと思うところでございますけれども、私どもは、この労働者派遣法を含む労働法制につきましては、経済産業構造の変化に応じて、雇用の安定を図りつつ、働く方々の多様なニーズに対応した働き方を実現する観点から、今後より一層の改革を推し進める必要があるということで、一般的に改革をする際には岩盤規制という言葉が使われることがあって、この改革を推し進める必要があることから岩盤規制という表現が用いられたのではないかというふうに理解をしているわけでありまして、こうした観点から、派遣で働く方の正社員化処遇改善を図るための今回の派遣法改正案提出しているということでございます。
  67. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 ちょっとよく分からないんですけど、成長の妨げになるということでの岩盤規制というふうに理解しておるんですけれども、そういうことではないですか。
  68. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 元々アベノミクスで労働市場において達成をしたいと思っていることは、やはり様々な方々が多様な働き方を選択できるということが大事なことで、そして、それはまた逆に労働を、言ってみれば働く人を必要とする側のニーズでもあって、それをうまくどうマッチングさせるかという中の一つがこの派遣法ではないかなというふうに思うわけでございまして、できる限り時代の変化に合った働き方をできるようにする、その試みの一つ派遣法改正というふうに理解をしているところでございます。
  69. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 日本再興戦略というのがありますね。これは平成二十五年の閣議決定の方の日本再興戦略。この中では、労働者派遣制度の見直しというのがこの日本再興戦略の中で、まさに日本の成長を目指すために改革をしなければいけないということが閣議決定されていますね。さらには、規制改革実施計画、これも閣議決定です。大臣も署名をされていると思います。平成二十五年、平成二十六年、それぞれの規制改革実施計画の中でも、しっかりと労働者派遣制度の見直しというのがこの成長戦略に位置付けられているというふうに私はこれは理解をいたしております。  ちなみに、労働者派遣事業、これは今後成長が見込まれる、我が国の成長に寄与する分野ですか。
  70. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 成長に資するというのは、私の理解は、労働市場が言ってみればスムーズに機能することが最終的に成長に結び付くということではないかと思いますので、その労働供給、需要がうまくマッチされるようにするための一つとして派遣法があるのかなというふうに先ほど申し上げましたが、そのことが、労働市場が機能するということは、やはりやる気のある働く方がいい仕事をすることが結果として企業側にとってもいい結果をもたらすということにもつながると、こういうことではないかなというふうに私は思っております。
  71. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 大臣の御答弁では、労働者派遣事業そのものが成長していって国の成長に寄与するというような観点ではないような御答弁だったかなというふうに思います。  ちょっと配付資料の三を先に見ていただきましょうかね。これ、大手派遣会社パソナグループ、これも公開されていますので、パソナの三の二を見ていただきたいと思います。来期の業績予想、エキスパートサービスというのはこれは専門業務だと思います。その下のインソーシング、委託、請負の中に一般派遣というものが含まれるんだろうというふうに思います。売上高、プラス、六八・八%ですよ。これ、資料の三の一は今期だと思います。今期でもプラス一一%ありましたけれども。  突出してこの派遣事業で業績を、まさに上昇を見込んでいる。まさにこれは、派遣事業者は今回の法改正を見通してこのような業績見通しを立てていらっしゃいますが、この業績見通しは誤りですか。
  72. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  ちょっと今拝見しました段階でありますし、個別の企業の問題ですので、これも恐らくこの当該企業さんが予想されているということですので、その根拠も私どもとしては分からないので、お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。
  73. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 冒頭、津田理事の方から、先般のこれは地方公聴会の御報告がありました。トヨタ自動車、しっかりと改正案成立を願うというお話もあったと思います。  資料の一、これは日経新聞、ちょっと四角で囲ませていただいております。これで派遣が使いやすくなる、派遣の増員も検討している。資料の二、これも囲っています。一方、経済界は改正案を歓迎しているというようなことが出ていますね。  じゃ、これらの経済界の期待ということについてはどのように思われますか、大臣
  74. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、私どもはこの派遣事業そのものの成長とかいうことを考えているわけでは決してなくて、申し上げたように、我々にとって大事なのは経済全体、つまりこれは暮らしそのものですから、これが豊かになって生活水準が上がるということが一番大事なことであります。したがって、それを我々は目指して様々なことをやっているのがアベノミクスであって、そのうちの一つにこの労働市場の様々な政策があって、その一つが、柱が、多様な働き方を、実は言ってみれば、労働の需要側と供給側両方にあるということをさっき申し上げたわけであります。  したがって、需要の側の企業がそれを望んでいるということはそれはそうなのかなというふうに思いますが、大事なことは、我々は、労働市場がしっかりと機能していくようにするためのニーズに合った、働く側とそしてまたそれを求める側のニーズに合って、マッチングがうまくいって機能をして、労働市場がうまく回ることが経済の発展につながるようにするために何をすべきかということを考えての今回の法改正であるわけでございます。
  75. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 大臣が一生懸命そのように御説明をされても、先ほど来話をさせていただいておりますように、待望論は少なくとも、直接派遣労働者を守る法律だといいながら、派遣労働者方々からこの待望論がなかなか、少なくとも私のところには届いてこない。そして、このようなマスコミ報道を始め、また先般のこの委員会での公聴会でさえも、本来の目的のための対象以外の方々ばかりから待望論が上がっているという、こういう状況については、やはり大臣はしっかりと今の状況を認識する中で慎重に運んでこの議論については進めていかなければならないということを、やっぱりもう一度私の方からもお伝えをさせていただかなければならないというふうに思います。  それこそ、今の安倍政権の安保法制なども含めてでございますけれども、本当にまさに国民一人一人の立場の声というものをしっかりと受け止めている政治が今できているのかどうかということは、今大いに国民が今の政権に不安感がどんどん増しているということについてはしっかりと指摘をさせていただかなければならないというふうにも思っております。  具体的な法案内容についてもお伺いをしたいと思います。今回のこれまでの恐らく御説明の中で、一つのやはり売りというのは、全て派遣事業許可制にするというところをアピールされているのかなというふうにも思います。先ほどちょっと津田理事の方からもあって重複をしたら大変申し訳ないんですが、私の方からも確認をさせていただきたいと思います。  ちなみに、新たな許可基準、これいつお作りになるんですか。
  76. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 新たな許可基準、現行の許可基準についても基本的には法改正以降も維持する予定でありますけれども、審議の過程の中でも出てまいっているように、あるいは制度の中身の中でもお伝えしているように、今回、派遣労働者キャリア形成支援制度でありましたり、あるいは先ほど津田委員の御質問の中にもありました、無期雇用派遣労働者について派遣契約終了のみをもって解雇しないことというようなことを許可基準として新たに盛り込んでいこうということとしておりますので、その内容については、この法案今御審議いただいておりますので、法案の御審議いただいて、その暁に、成立いたしましたら、その後しっかりと基準を定めてまいりたいと思っております。
  77. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 なかなか明確に御答弁いただけるかどうか分かりませんけれども、これ、施行が九月一日ということでいえば、あと二、三週間ですけど、この法案のそもそも成立ということがどうかということがありますが、大変時間的にも厳しい状況だというふうに思いますけれども、しっかりとこれも時間を掛けて許可基準ということについても議論をしながら進めていかなければならないというふうにも思いますけれども、その辺りは大丈夫なんですか、この施行との関係なんかも含めて。
  78. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今御指摘ございましたように、本日は八月十一日ということでございますので、いろいろ法施行に当たっての準備あるいは許可基準も含めての周知ということについて、非常に日程的に厳しくなっているということは私どもとしても承知しておりますが、私どもの立場といたしましては、現在御審議をいただいているということでございますので、速やかに御審議をいただき、またその結果を受けて、しっかり私どもとしては、労使の皆様にも御議論いただいた上でしっかり対応してまいりたいということで考えております。
  79. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 今回、新たな許可基準ということで、これまでの許可を受けられた事業者も、新たな許可基準ということで、これまで以上に厳しい要件というか条件が付けられるのかなというふうにも思います。  それと、これまで届出制であった事業者などもこの許可ということを取ろうというような方もいらっしゃると思うんですけれども、非常に先ほどの派遣元の事業者の公述でも大変厳しいという認識を持たれているのかなというふうにも思っておりますけれども、これはどうなんでしょうか、厚労省として、例えば派遣事業の今後再編というか整理というか、ある程度やはり悪質な部分の事業者についてはしっかり退場をしてもらわなければいけないというような認識の中で想定をされていらっしゃるかということですね。相当これはやはり整理がされていくというふうにお考えになりますか。
  80. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今お尋ねの点でございますが、私どもとして業界の再編とか整理ということを意図しているものでは当然ないわけでございますけれども、今回法律の中には、いろいろ派遣業者、派遣元の方に新たな義務、キャリアアップであったり雇用安定措置というような形での義務を課す、あるいは先ほど出ましたような許可基準ということも更に付け加えるというようなことがありますので、やはりそういったしっかりとした取組を行っていただく業者さんが今後しっかりお取り組みをいただくということに持っていきたいということは一点ございます。  それから、先ほどお話に出ました、現在特定派遣事業という形で届出制でやっておられる事業者の方々についても、一定の施行期日から三年間は経過措置ということで、許可を受けなくても常時雇用される労働者のみである派遣事業ということを行うことができるということにさせていただくように法案では盛り込んでおりますけれども、特定派遣事業も相当数は多いということでありますが、その数の中には実際事業実績のないところとか少ないところということもあられますので、私どもとしましては、小規模事業者等々への配慮の対応ということであったり、あるいはいろいろ御相談に乗るような形でのいろいろ情報提供ということも考えたいと思っておりますけれども、一定の形の中でのそういった事業を継続しないというような、取組が変わられるというところも出てくるという可能性は否定できないと思っております。
  81. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 先ほどのパソナなんかでいえば、このような規制強化ということが行われて大変厳しい環境に置かれていかれるのではないかと予想される中でも、このように、先ほどお示ししたような強気の予想を示されているというのは相当なやはり自信をお持ちなんだろうというふうに思います。当然ながら、小規模事業者などが整理をする中によって、まさに大手独り勝ちというようなところでの待望論ということもあるのかなと、これは私の勝手な臆測でございますので、感想ということで述べさせていただきたいというふうに思いますけれども。  それで、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、この許可基準の中で、派遣元事業主無期雇用派遣労働者派遣契約終了のみをもって解雇しないようということですね。これ、許可基準に今回示されるということがこれまでもあったと思いますので、ちょっとその点についても幾つか質問をさせていただきたいと思いますけれども。  ちょっとその前に、この許可基準の中で、雇用安定措置のところも今回許可基準ということがありますが、これは有期雇用の方だけが対象になるというふうに思うんですけれども、ちょっともう一度、これまでも出ているかもしれませんが、改めて、無期雇用の方が雇用安定措置の対象にならないというところを御説明いただきたいと思います。
  82. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今お尋ねございました雇用安定措置につきましては、今回新たに個人単位の期間制限ということを設けるということがございますので、その個人単位の期間制限との関係で、期間制限の三年なりが到達するということをもって派遣労働者の方が失職してしまうということがあってはならないということ。それから、実際、有期の方という形になりますと非常に雇用が不安定ということがありますので、今回、雇用安定措置の対象としては有期の方ということを対象にするという取扱いにしているということでございます。
  83. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 今の、ちょっともう一度確認ですけれども、つまり、無期雇用の方は期間制限がないので雇用が安定しているという認識を持たれているという理解でよろしいんですか。
  84. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今御質問がありましたように、無期雇用派遣の方につきましては、いわゆる無期雇用ということで雇い止めということがないということもございまして、有期雇用派遣の方に比べて雇用の安定あるいはキャリアアップ等についての支障の面が少ないということで考えておるということでございます。
  85. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 もう一つ、ちょっと雇い止めがあるかどうかというのは後で聞きますけれども、その前に、これちなみに、無期雇用の方というのは、有期雇用の方より例えば給料が、条件が良くなるとか、派遣先でね、福利厚生なんかで優遇されるとかというような、有期雇用無期雇用の方の差というのはあるんですか。
  86. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 有期雇用無期雇用という形の差ということでございますけれども、どういった軸足で比較をするかということかと思います。ちょっと今手元にありませんが、労働契約法でも、有期雇用ということだけを、期間が定めがあるということだけを理由として、一定の職務の内容であったり責任が同じというような方について不合理な差を設けてはならないということかと思いますので、実態とすると、そういうことの比較をどういう形でするかということかと考えております。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
  87. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 今までの部長さんの答弁では、無期雇用の方が雇い止めがないだろうから雇用安定措置の必要性がないというところしか、私には今回のこの差の説明ということでは理解ができませんでした。  それで、資料の四を御覧になっていただきたいと思います。これは厚労省さんの資料でございますのでお分かりになられているというふうに思います。上の赤字で囲んだところ、リーマンショックの際に、これ雇用が継続した方ですね、派遣労働者、一〇・九%。ちょっとこれ細かくて申し訳ないんですけれども、その際、派遣元無期雇用労働者でありながら、その九四%、つまり、ちょっとこの赤字のところを見ていただきたいんですが、七七%が離職をして、その七七%のうちの九四%という意味ですからね、が解雇になって離職ということですね、というような状況だったのはもう皆さん御案内のとおりだというふうに思います。  要は、先ほど雇い止めがないだろうというお話があったということは、今後は、このようなことは今回の派遣法改正によってしっかりと歯止めがあるんだというふうに、本来ならそういう体制をつくっていかなければならないというふうにも思うんですね。  それで、ちょっとこれも確認でございますけれども、許可基準には派遣契約終了のみをもって解雇しないようにということを示すということでございますが、先ほどもあったと思いますが、この許可基準に違反をした場合は、事業の許可の取消しということにはならないということでよかったんですか、これ抵触しても。
  88. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今お尋ねございました、先ほど来、大臣等からも御答弁をさせていただきましたけれども、今回、労働政策審議会の建議を踏まえまして、無期雇用派遣労働者派遣契約終了のみをもって解雇してはならないということを許可基準に記載するということを予定をしておるところでございますけれども、この点につきましては、今委員の方からも御質問ありましたとおり、許可基準ということでございますので、違反に対して許可の取消しまでをその都度行うということではないということでございます。
  89. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 これ、許可の取消しの対象にしようとしたら、どのような条件が要るんですか。何かできない理由ってあるんですか。許可の取消しの対象にできない理由。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
  90. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 許可の取消しにできないということではないんですけれども、許可の基準という形で設けるということの結果としてできるのが、許可するかしないか、更新するかしないかということでございますので、今回いろいろ御指摘もいただいておりますので、このような事業者について許可の取消しを行えるようにということであれば、許可をする際に許可条件ということを付すという手だてがありますので、そういったことについては今後検討してまいりたいと思います。
  91. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 許可条件というのは、それは許可基準の中に示すというのが許可条件という意味でしょう。それはもうやるんでしょう。ちょっともう一度確認。
  92. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 表現が紛らわしくて申し訳ございませんけれども、許可基準というのは、許可をする際に、例えば一定の資産要件が必要とかというような形での基準を設けるということでございます。その点について許可基準を設けて、要件を、例えば契約終了のみをもって解雇してしまうというようなことを就業規則に書いているとかというようなことであれば許可しないとか、そういうことをしっかりチェックするということがございます。  ちょっと、先ほど私が申し上げた許可条件というのは、個別具体的に派遣事業者に許可をする際に、一定許可の条件を付すことができるという法律上の規定がございまして、その許可の条件として先ほど申し上げたような内容を付すということをもってして、その許可条件を懈怠する、違反するということをもってして許可の取消しという手だてを考えることができるという趣旨で申し上げたということでございます。
  93. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 ちょっとごめんなさい、確認ですが。  ということは、例えば更新のときなんかで、その許可条件の部分なんかに抵触をしているよというか、そういうことがあった場合には、更新のときには許可が下りないという理解でいいんですか。更新されない。
  94. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 御指摘のとおり、それは、許可条件もさることながら、許可基準にも抵触しているということになれば、今先生がおっしゃったとおり、更新をしないということでございます。
  95. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 それで、じゃ、次の更新までの期間の間に、例えばそういう解雇というような事態が発生をされたときに、これは当然、指導というようなことで対応をするということでいいんですね。
  96. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) その点につきましては、先ほど副大臣等からも御答弁させていただいたように、無期雇用派遣労働者派遣契約終了のみをもって解雇してはならないということを指針に定めますので、その指針を根拠に指導するということでございます。
  97. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 これ、指導を受けた事業者というのは公表するんでしたっけ。ちょっとそこの確認も。
  98. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 個々の事業者に対して労働局が指導しているという段階で公表するということはございません。
  99. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 ちなみに、雇用安定措置の方の義務違反でも、これ当然、指導もあろうかと思うんですが、こちらも公表しないということでいいんですか。
  100. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 同じく、法違反の状況について一定の是正を求める旨の労働局の指導の内容、指導については公表ということはしないということでございます。
  101. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 それで、あとはその期間の中で本当に厳格なチェックと指導ということがしっかりと行っていけるかというようなところのやはり体制づくりについても確認をしなければいけないというふうに思います。  現行も、今いろんな指導体制というふうになると思いますけれども、今後新たな、仮にですけれども、法案成立して新しい制度になったときのチェック体制というようなことで今お考えになられていることはありますか。
  102. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 現在も私ども、先ほどお話し申し上げました都道府県労働局でこの労働者派遣法の施行事務に当たっております。許可申請についての一定の実地調査等の手続、あるいは許可後についても定期指導の指導監督であったり、あるいは労働者の方からの情報提供、申告があった場合の指導というようなことについて対応しておるということでございます。  今も委員から御指摘ありましたように、今回改正をするということで、いろいろ派遣事業者に対しての指導監督業務等々も増加する、あるいは全体として許可制にするということもございますので、一定審査業務等も含めて増大するということが予想されるわけでございます。  私どもとしましても、これらの業務を行う職員としまして都道府県労働局に需給調整指導官という職員を配置しておりますけれども、二十六年度については四百八十四名ということでございましたけれども、今年度については、全体として例年以上の増員も図って、今五百十一名の対応というようなことも予定をさせていただいておるところでございます。  なかなか行財政改革の中で厳しい状況ではありますけれども、しっかりと指導監督体制が確保できるように引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  103. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 ただ、例えばこれどちらにしても、このような許可基準というか、本来の守らなければいけない事業者が、義務というかそういうことを破ったことをチェックするということで、常に厚労省の方で目を光らせていけるのかということもなかなかこれは現実的にも厳しい話もあろうかという中でいえば、例えば派遣労働者の方自身が声を上げていくというようなことは、しっかりとやはりそこについての担保というか、そういう環境づくりということも必要になってこようかというふうにも思っております。  そういう面では、例えばこの派遣労働法だけに限らない話だと思います。労働法全般というか、働く者としてのしっかりとしたそういう意識という部分について、やはり派遣労働者の皆様にも理解をしていただく、これがそれこそ研修とかというようなところに加わるのかどうか分かりませんけれども、というようなこともしっかりと取り組んでいかなければいけないというふうにも思うんですけれども、その辺りについての御所見があればお伺いしたいと思います。
  104. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今委員の方から御指摘ありましたけれども、やはりこの派遣制度について派遣労働者の方にしっかり御理解をいただくということが非常に大事だろうと思います。  先ほども指導等の端緒という中でも、労働者派遣労働者の方からの情報提供であったり、あるいは申告というようなことも、違法な対応を行っている派遣業者、派遣元であったり派遣先ということに対しての指導を行う端緒にもなるわけでございますので、そういった観点では、やはり派遣労働者の方に派遣制度の内容あるいは今回の改正内容ということについて十分御理解をいただくというようなことが重要だということで認識しております。  ですので、私どもとしましても、これまでの制度の概要ということについても当然でございますけれども、今回の改正法の内容についても、成立をするという暁にはしっかりと、派遣労働者の方も含めて、パンフレット等も含めて、御理解をいただけるような努力をやっていきたいと考えます。
  105. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 努力をしますといっても、具体的にどういうふうにやるのかよく分かりませんけれども、例えば、さっき言いましたように、研修なんかの中でしっかりとそういう内容も学んでもらうようなカリキュラムというか、そういうのをしっかりと例えば義務付けるということも必要だというふうに思いますけれども、その点についてはいかがですか。
  106. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今ありましたように、私どもとしまして、派遣労働者の方に直接いろんなツールを経て制度の概要等を御理解をいただくということもございますけれども、さらに加えて、今派遣労働者の方が雇用されている派遣会社に派遣元責任者という方を選任してもらうということになっておりまして、その方につきましては派遣元責任者の講習を受講してもらうということになっております。  この派遣元責任者の方に対して、やはり法令についての知識等々についてしっかり御理解をいただくということは当然でございますけれども、そういった研修、講習の中で、派遣労働者の方にもそういった制度の内容、法令ということについてもしっかり付与するようにというようなことを盛り込むなどについても検討してまいりたいと考えます。
  107. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 時間が残り五分ぐらいになってきましたので、ちょっと大臣、しばらく答弁してもらっていませんので、大臣の方に、残り五分でございますけれども、ちょっとまた総論的な話に戻るかもしれませんけれども、そもそも論、もう一度、残りの時間で、派遣労働という働き方ということについて、ちょっと大臣のもう一度お考えを確認したいと思います。  今回の法改正の中で、これまで説明されている中で、例えば正社員として働きたい方については正社員として働いてもらえるように、派遣という働き方を選ばれる方についてはしっかりとその派遣という働き方の中で頑張ってもらうという、まさに二兎を追うような法案ではないかという説明を、私はこれまでの議事録なんか見て思ったんですけれども、そもそも臨時的、一時的な働き方という大原則がある中で、例えば派遣でずっと働きたい方という方を後押しをするということは、この臨時的、一時的な働き方という部分の原則を超えてその人たちの個人の意思を尊重するというふうに理解をすればいいんですか。質問の意味が分かりますか。──分からない。  要は、今回、派遣の方で正社員になりたいという方は正社員への道を、正社員に向けてのことができるようにというのがあるのと同時に、派遣で働きたいという方についても、だから、よく答弁で、派遣でそのまま働きたいという方と正社員になりたい方というのが意見では半々ぐらいあるんだというような答弁をよくされるじゃないですか。ということは、じゃ、例えば四割と言われる派遣でこのまま引き続き働きたいという方については、臨時的、一時的だというこの働き方の原則を優越してですよ、そういう原則ではなくて、それを超えてそのまま認めていくということを政府は進めるということでいいんですよね。
  108. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 確かに、今回もそうですけれども、我々、現状を調査で調べたところ、いわゆる正社員になりたいという方々と、様々な事情でむしろ派遣のままの方が働き方として今はいいと考えていらっしゃる方が大体半々ぐらいおられると、こういう認識を持っているわけでございますが、今回の改正案では、派遣労働というのは、先ほど来何度も申し上げている直接雇用に比べて間接雇用でございまして、雇用の安定とかあるいはキャリア形成、自ら力を付けるということにおいては、少し直接雇用に比べるとやっぱり力不足なところがあるということを踏まえて、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置付けることを原則とする考えの下で今回個人単位の期間制限を設けるということにして、派遣労働への固定化を防止して、三年の節目で働き方について自ら考えるという機会を設けるということにしているわけでございまして、今の臨時的、一時的ということは、そもそも派遣労働という働き方を一定期間に限定すべきということを指しているものと考えるわけでありますけれども。  派遣を希望する方が相当程度、さっきも申し上げたようにおられる、それから、今回の改正法においても、雇用安定措置とか計画的な教育訓練を派遣会社に義務付けるなどによって派遣労働者雇用安定と保護を強化することとしているわけでありまして、このことから、すべからく派遣という働き方を制限するということではなくて、派遣労働者正社員を希望する場合にはその道を開いて、そして派遣という働き方を希望する場合には待遇の改善を図るということで、自らが希望する働き方が実現できるように環境整備を行うというのが、今回この重要性を我々としては考えているところでございます。  いずれにしても、働く人たちがどっちの働き方をしようと処遇がアップをしていく、あるいはキャリアとして職制が上がっていくということは、やはり自らの能力を評価してもらわない限りはなかなかそれは実現しないわけでありますので、それで今回、特にキャリア形成支援制度というものを義務付けるという形で、どっちの働き方であろうとも力を付けていただくということを言ってみれば派遣会社に義務化をすることで、結果としてそれが実現するようにするということであります。
  109. 森本真治君(森本真治)

    森本真治君 済みません。ちょっと時間が来まして、もしお許しをいただけるようでありましたら、そこのそもそも論のところについても今日はちょっとじっくりやりたかったんで、もう一度この場に立たさせていただける機会があることを祈って、今日はここで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  110. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 維新の党の川田龍平です。  先週、地方公聴会、そしてその直後に非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟の申入れを大臣にさせていただきました。その後、参議院の予算委員会がありまして、ちょっと大臣に要望をしていなかったんですけれども、大臣の方から出たいと要望が来ていたんですけれども、申し訳ありませんでした。それで、その後、発達障害支援議連の申入れなどをして、大臣も大変だなと思いながら、この質疑、本当に是非よろしくお願いいたします。  厚労省としては、本当にこれしっかりいろいろやらなきゃいけないことがある中で、この派遣法改正というのは、私もこれ本当に重要な法案だと思いますので、しっかり質疑させていただきたいと思っています。  その中で、法案審議に入る前に、今就活生の直面するブラック求人の対策の強化について伺います。  これ、維新の党でもヒアリングさせていただいたのですが、NPO法人POSSEの今野代表が共同代表を務めるブラック企業対策プロジェクトというのが、七月十三日に、過労死された若者の御遺族の方とともに厚労省を訪れて、ブラック求人対策強化の申入れを行いました。  亡くなった渡辺さんは、二〇一三年の九月、求人票には正社員とあった新卒求人をハローワークから紹介されましたが、試用期間の位置付けでアルバイト勤務するように求められ、過労死ラインを超える残業を強いられて、連続二十一時間勤務後の帰宅中にバイクで電柱に衝突し亡くなりました。二十四歳だったそうです。  このように、ハローワークの求人票の労働条件が実態と異なる問題について、現在の是正指導は不十分だとして十一項目の申入れが行われましたが、現在この対応検討しているということだと思いますが、これらの十一項目中、いつまでに、どれから取り組むつもりがあるのかを御答弁ください。
  111. 政府参考人(生田正之君)(生田正之)

    政府参考人(生田正之君) お答えいたします。  ハローワークでは、求人受理の段階におきまして、原則対面で求人状況を点検するなど求人内容の適法性あるいは正確性の確認に努めてございます。  求人条件と実際の労働条件が違うといったような相談がございました場合には、全国のハローワークにおきまして迅速な事実確認等、それから必要な是正指導を行うほか、法違反のおそれなどがある場合につきましては、その求人の職業紹介の一部保留あるいは取消しといった取扱いを実施しております。  今後とも、求職者の方が気になったときには遠慮なく御相談いただけるように、まず求人ホットラインなど相談窓口の周知を強化いたしまして、今申し上げたような対策を徹底してまいりたいと思っております。  それから、今般行われました申入れを踏まえた対応でございますけれども、更に実効性のある取組を進めるためということでございまして、まず、時間外労働時間の点検につきまして、三六協定の確認を強化するなど、できるところから早急に取り組むということにいたしておりまして、今後どのような方策が考えられるかにつきましても、引き続き精力的に検討していきたいと考えてございます。
  112. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 是非この十一項目についても一つ一つ聞いていきたいところですが、ちょっと今回、法案審議に入らせていただきますので、また是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。厚労省としては、罰則を設けるということになると、求人企業が民間職業紹介に流れてしまうという言い訳をされているということもあるようですが、民間にもこれは同じ罰則を科せばよいのではないでしょうか。それに、もしハローワークだけ規制を強化すれば、むしろ就活生にとってはハローワークにやっぱり流れてくるのではないでしょうか。一人の若者の死を無駄にしないためにも、是非対策の強化をお願いいたします。  では、法案審議に入らせていただきます。前回に引き続き、期間制限について質問させていただきます。  労働政策審議会の建議では、「派遣元事業主は、無期雇用派遣労働者派遣契約終了のみをもって解雇してはならないことを指針規定すること、また、派遣契約終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準に記載することが適当である。」こととされています。  派遣契約は、景気の変動等による業務の減少で解約されることもあります。派遣契約が解約などで終了しても、派遣元事業主無期雇用派遣労働者解雇できません。次の派遣先が決まるまでの間の賃金の支払等が派遣元事業主の負担感につながり、無期雇用化が進まないという懸念がありますが、厚生労働省の見解を伺いたいと思います。
  113. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今御指摘のような内容許可基準等にも盛り込む中でございますけれども、今委員から御指摘ありましたとおり、無期雇用派遣の場合について、次の派遣先が決まるまでの間というのはまさしく派遣会社の方で雇用が続いているということでございますので、派遣元については賃金などの支払が必要になるということは事実でございます。  ただ、今回の改正案につきましては、先ほど許可基準なり指針で設けるというような背景にもありましたように、この無期雇用派遣労働者につきましては一定期間制限の対象外ということにするということがありますので、そういう面での無期雇用化を進めるというインセンティブということはやはり一定あるのではないかということが考えられます。  それからまた、有期雇用派遣で働く方について無期雇用ということにしたという場合についても、私どもキャリアアップ助成金という助成金の対象ということにしておりますので、これらを通じて無期雇用化も含めて派遣で働く方の一層の雇用の安定ということを図ってまいりたいと考えます。
  114. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 次に、派遣先事業所単位の期間制限について伺います。  事業所として最初の派遣労働者を受け入れたときから三年を超えて継続して受け入れようとするときは、派遣先過半数労働組合等意見聴取が必要となります。  例えば、人事課で最初の派遣労働者を受け入れたときから三年を経過したとき、同じ事業所内の経理課では最初の派遣労働者を受け入れてからまだ半年しか経過していないとします。派遣先過半数労働組合等は、人事課だけではなく経理課における派遣労働受入れの是非についても判断しなければならないわけですが、この仕組みは適当と言えるのでしょうか。
  115. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今委員の方から御指摘ありましたとおり、今回の改正案では、派遣先に対して事業所単位での三年という期間制限を設けておりますが、これを超えて受け入れようとするという場合につきましては、過半数組合等からの意見聴取を義務付けるということにしております。  また、今委員の方からもありましたけれども、こういった意見聴取に際しましては、意見聴取参考となるデータの提供であったり、意見聴取の記録の周知であったり、反対意見があったときの対応方針の説明というようなことで、言わば実質的な労使間の話合いということが進むように措置をしようというところでございます。  今、具体的に委員の方から御指摘ありましたようなケースでございますけれども、事業所内での組織や業務によって派遣受入れ期間というのは様々であろうかと思います。一人の方だけを受け入れているとかというような形ではなかろうかというケースもあろうかと思いますので。ただ、そういったケースについては、意見を聴取される、意見を聴かれる過半数組合等におかれましては、組織であったり業務ごとに延長の賛否の意見を述べるということも可能でありますので、事業所内の態様、実態に応じて意見を述べていただいて、その上で現場をよく知る労使の判断で具体的、適切な判断が行われるということと考えます。
  116. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 やはり問題は、先日の質問冒頭で指摘したように、臨時的、一時的な働き方と条文には明記しながら、企業は取っ替え引っ替えずっと派遣労働者を同じ職務で使い続けられることになるところにあるのだと思います。  この点、規制改革会議においては、派遣先の正規雇用労働者との均衡処遇の推進によって派遣労働の濫用防止を担保すると提言されていましたが、改正案においては派遣先事業所の過半数労働組合等からの意見聴取という期間制限在り方となりました。  検討のどの過程で、いつ、どうして過半数労働組合等からの意見聴取という方法が提案されたのでしょうか。また、同意を要件とせず、意見聴取及び対応方針の説明だけでよいとしたのは、いつ、どのような理由で決められたのでしょうか。いずれも、在り方研究会と労政審の双方について御説明をお願いいたします。また、いずれも、ほかにどのような案が提案され、どのような議論が行われて、どのような理由で採用されなかったのでしょうか。
  117. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今委員の方から期間制限在り方についての成案を得るまでの検討の過程についての御質問がございました。  今、中でもありました、在り方研究会ということもございましたけれども、具体的に労働政策審議会においてこの制度について最終的な建議をいただいたわけでありますけれども、その議論の前段階で有識者の方に集まっていただいて、今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会ということを御検討いただいたというところでございます。  その中でいろいろ御検討もいただいたわけでございますけれども、今委員指摘派遣可能期間在り方ということについても幅広く御検討が行われたところでありますけれども、具体的には派遣先における常用代替を防止する策として、派遣先の労使がチェックする方法などの案がその中では具体的に示されて御議論がされたということがございます。  その後、先ほど申し上げましたように、研究会の報告を受けまして、御参考一つとして、労働政策審議会の労働力需給制度部会というところで具体的な御議論をしていただいたということでございますけれども、そこの中でも、今後の期間制限在り方について具体的に議論をする過程の中で、先ほどあったような派遣先の労使がチェックする方法の具体策として、そこの中では、例えば派遣の分野に限って新しい集団的労使関係の枠組みを導入するというようなことの案も御議論いただいたということもありますけれども、そういった案については労使双方から慎重な意見があったということがございます。  そういう流れを受けて、労働政策審議会の労働力需給制度部会では、公益委員方々で御議論をいただいて、公益委員案としまして過半数労働組合などの既存の枠組みを活用する期間制限在り方に見直すという案が示されたということでございまして、その上で、さらに労使間での調整も踏まえて、最終的に労働政策審議会の建議において意見聴取あるいは対応方針の説明等も含む期間制限ということに見直すということが御提言されたということでございます。
  118. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 この初回の委員会から本日まで、私が常用代替の防止を始めとした派遣法原則についていろいろと質問してきました。そして、法の根本原則の意味が変化していたり時代に合っていないものがあるのではないかと指摘をさせていただきました。もちろん、私は、我が国の新卒一括採用を始めとする雇用慣行は重要であると考えていますし、雇用原則は直接雇用であって、派遣労働拡大して正社員雇用がなくなるということは、決してあってはならないと考えています。  では、どのようにして派遣労働拡大に対して歯止めを掛けるかといったことを考えた場合に、政府は今回の改正案によっても常用代替の防止が維持されると強弁していますが、一九八五年、派遣法制定当時の常用代替のおそれが少ない専門的知識等を必要とする業務等のみについて労働者派遣を認めていた時代はまだしも、一九九九年の対象業務原則自由化や、さらに、二〇〇三年の自由化業務の最長一年から三年への延長などによって、派遣法常用代替の防止の機能を果たしているかは疑問です。まして今回の改正は、二十六業務自体を廃止することで、企業は専門性の有無にかかわらずにどのような業務であっても事実上永続的に派遣に任せることができるなど、もはや常用代替の防止を維持できているとは到底評価できない内容となっています。さらに、無期雇用派遣労働者について期間制限を外す理由も、常用代替の防止の観点からは全く説明できません。  そのような中で、無理やり常用代替の防止を維持しているというポーズを取ろうとした結果、先ほど述べたような過半数労働組合などからの意見聴取という派遣労働拡大に全く歯止めとならないような仕組みが提案されているのではないでしょうか。やはり派遣労働拡大の防止策としては、常用代替の防止に固執することなく、より実効性のある歯止め策を取ることが重要だと考えます。  そこで、派遣労働者均等・均衡待遇を実現することによって、派遣先派遣労働者を安い労働力として濫用的に利用することを防ぎ、派遣労働拡大の防止を達成することを提案をしています。改正案において、常用代替の防止の原則はもはや維持されているとは言えない以上、派遣労働拡大に対する歯止めの仕組みについて更なる検討をすべきと考えますが、その余地がないのかどうか、改めて厚労大臣の見解を伺います。
  119. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 現行法における期間制限の上限に達した際の受入れ延長するための意見聴取が、過半数労働組合等から意見を聴くだけの一方通行的なものだったという反省に近いものもあって、今回の改正法案では、事業所単位の期間制限延長の際の意見聴取については、できる限り双方向でコミュニケーションがちゃんと労使の間でできるような、実質的な労使間の話合いができるような仕組みを構築することが大事で、それをもって歯止めになるようにしていかなければならないということで、できる限り意見聴取のプロセスをオープンにしていくということ、あるいは、みんなが知ることができるようにしていくということを考えて、例えば、意見聴取参考となるデータの提供、これは指針で示す予定でございますが、それから記録の周知、それから反対意見があったときの対応方針等説明というものを法律で定めるというようなことをやっているわけでありますが、それでも歯止め効果についての御疑問は、先ほどの津田委員からも厳しく御指摘をいただいているわけでございます。  特に、二回目についての御指摘津田委員からございましたけれども、延長時のときだけではなくて、再延長のときにも続けて過半数労働組合から反対意見があった場合、これについての対応について何らかの方策が考えられないかどうか、先ほど津田委員に御答弁申し上げたように、今後しっかり検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  120. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 是非、この後ですね、今後のことについてもしっかり余地をやっぱり考えていただきたいと思いますが、是非この均等待遇、均衡待遇についての御意見、いかがでしょうか。
  121. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) これは、維新の党から法案の提案もいただいているわけでございますが、私どもとしても、均衡待遇につきましては今回もよりそれを徹底するということで我々も提案をしているわけでありますけれども、また先生方が御提起をされている法案についての審議も近々あるというふうに聞いておりますので、またそこでしっかりと議論をさせていただければというふうに思います。
  122. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 次に、個人単位の期間制限についても伺います。  今まで期間制限がなかった二十六業務についても、今回の改正案では三年の期間制限が設けられ、二十六業務で働く派遣労働者雇用が不安定になるとの懸念があります。現在既に二十六業務で働いている中高年者の場合、特に専門的な業務の場合は派遣先の選択肢が少なく、次の派遣先を見付けるのには年齢的にも厳しいものがあります。  私は、一九八五年に労働者派遣法に制定したことにより、この二十六の専門業務が約三十年にわたって社会の中で確立されてきました。例えば、中学生向けの職業紹介図鑑などで、ツアーコンダクター、添乗員になるためにはまず派遣会社に登録をするというふうにあります。厚労省にはこの責任の一端があると考えますが、このことについて、大臣、通告していませんが、一言御見解を伺います。通告していませんが。
  123. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  124. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 速記を起こしてください。
  125. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 添乗員が例に挙げられましたけれども、今回、二十六業務について期間制限を今までと異なって原則課すということにするわけでありますけれども、現行制度の期間制限については、今までは派遣先正社員派遣で働く方の常用代替のおそれが少ない業務ということで、二十六業務については期間制限の対象外としておったわけでありますけれども、ただ、二十六業務に該当するかどうかということがなかなか分からないとか、そういう派遣労働者派遣先派遣元にとって分かりにくい制度だったということ、それから、派遣業務とその他の業務を区別する基準であるいわゆる専門性、当初はこの専門性でスタートしたわけでありますけれども、これ、時代とともに変化をするということで制度が不安定だと。添乗員のような形は比較的分かりやすいかも分かりませんが、その他は様々でございます。  それから、仮に現時点における二十六業務を本当に専門性の高いものに絞り込んだとしても付随的業務が分かりにくいという課題が残るということもあって、さらには、二十六業務に従事する方の多くが有期の雇用契約であって、雇用が不安定であると。それから、欧州などでは業務の専門性に着目して派遣期間制限を設けている国はなかなかないというようなこともあって、このような形にしたわけであります。  今回、特に雇用契約期間というものを改めて見て、例えばこの二十六業務の皆さん方の中で六か月以内の雇用契約という方々が五五%ぐらいおられるわけで、二十六業務が安定した雇用であるかどうかというのは必ずしも言い切れない部分もあったわけでございますし、それから、派遣契約で見ても、三年以上の派遣契約というのは、実は、業種にもよりますけれども、例えば一番多い事務用機器操作などでは三六%ぐらいでしょうか、そのくらいで、あとは三年以下、半分ぐらいが一年以下ということにもなっているということになりますと、やはり同様の問題を抱えているということで、二十六業務がみんな安定した派遣かというと必ずしもそうじゃないということで、添乗の場合にはかなり繁閑がはっきりしているので工夫をしなければいけないということでございますが、そのように考えて、今回あえて二十六業務について期間制限を設けるということにしたわけでございます。
  126. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 これ、何度もこの委員会でも取り上げられていますけれども、一律に二十六業務を全くそれと同じにするということではなくて、見直しをするということだったと思うんですね。そういったことをやっぱり、全部それを垣根をなくしてしまってというか、全部一律にしてしまうということがやっぱり非常に、この三十年間、この働き方を法律規定してきた当然厚労省には責任があると私は思います。  その上で、今回の改正案によってこのような方々が失業する可能性が高いということについて大臣の見解を伺いたいと思います。
  127. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今、二十六業務方々について失業のおそれが出てきているんじゃないかと、先ほども解雇の通告が行われているというお話を頂戴をしたわけでありますが、先ほど申し上げたように、その中でも長年この二十六業務に従事をしてきた方々派遣労働者の皆さん方には、無期雇用派遣に転換をすることが派遣元派遣先双方にとって有益ではないかと考えておりまして、実際、私ども、上位五業務のところにヒアリングを掛けてみましたが、全ての事業主、我々が聞いた中では、やはり安定的に働いていただいてきた方については特に無期雇用化を図るということをお答えをいただいているところが多いということが分かりました。  また、今回の改正案では、個人単位の期間制限である上限三年に対する見込みがあるときには、派遣元に対して派遣先への直接雇用の依頼等の雇用安定措置を義務付けるということにしておりますし、義務違反に対しては許可取消しもあり得るという、先ほど来議論が出ている厳正な指導監督を行いたいと思っております。  それと、長年働いていらっしゃれば……
  128. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
  129. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) はい。  年齢でかなりいった方で雇用を切られるんじゃないかという御心配をされている方がおられますけれども、これについては派遣先指針において、これは年齢で差別をすることは特定することでありますので禁じられておりますから、こういうことがないようにしてまいりたいと思います。
  130. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 この方たち向けの専用相談窓口を設置するとのことですが、これは法律施行後ということではなく、やっぱり今現時点で、先ほども現在進行形で雇用の雇い止めということが起こってきているということですので、是非早急に設置していただきますようによろしくお願いします。  終わります。
  131. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  132. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、赤石清美君及び江崎孝君が委員辞任され、その補欠として長峯誠君及び尾立源幸君が選任されました。     ─────────────
  133. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 休憩前に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  134. 大沼みずほ君(大沼みずほ)

    大沼みずほ君 自由民主党大沼みずほです。  本日は、外務省より中山副大臣、また上月官房長に御出席いただいております。ありがとうございます。  さて、私は、国会議員になる前、外務省で一時期お世話になっておりました。本日配付した資料のこの専門調査員という肩書で二年間、香港総領事館で中国の内政、外交を専門とする調査研究に当たらせていただきました。非常に自分の人生の中でも有意義な二年間だったなというふうに思っております。  現在は派遣法に基づいてこの制度が運用されていることを踏まえて、本日は主に外務省にその実態についてお話を伺いたいと思っております。  まず、外務省にお伺いいたします。外務省が派遣法に基づいて受け入れている労働者の種類と数についてお教えいただきたいと思います。
  135. 政府参考人(上月豊久君)(上月豊久)

    政府参考人(上月豊久君) お答えいたします。  平成二十七年七月現在、労働者派遣法に基づいて外務省本省に派遣され、勤務している職員は十六名おりまして、事務用機器操作、速記等の業務に従事しております。また、在外公館には労働者派遣法の枠組みの中で専門調査員及び派遣員等が派遣され、調査研究、庶務的業務、維持管理業務等に従事しております。  平成二十七年七月現在、専門調査員は百六十二の在外公館に合計二百八名、派遣員は百九十五の在外公館に合計二百六十一名が派遣されており、活躍いただいております。
  136. 大沼みずほ君(大沼みずほ)

    大沼みずほ君 ありがとうございます。  今御紹介がありましたように、本省で速記などで働いていらっしゃる方は十六名と。ただ、在外公館で派遣員、調査員として働いていらっしゃる方は四百六十名を超えるということで、大変大きな規模であると思います。  そうした方々の主な仕事内容でございますけれども、お手元の配付にもありますように、専門調査員においては、(3)の地位・待遇のところにもございますが、機器、通訳・翻訳、秘書、添乗、研究、企画などが派遣根拠になっております。そして、派遣員については、こちらも(3)にありますように、上記に加えてファイル、書籍等が派遣根拠になっております。専門調査員と違うのは、この研究が入るか入らないかというところであるかと思いますけれども。  私も現場でそういう意味では派遣された労働者として働かせていただいていたわけですけれども、ふだん主に調査研究をしながら、例えば在外公館でお茶のイベントをやります、文化交流のイベントをやります、そういったときに企画という業務をこの根拠として行えると承知しておりますけれども、この企画というのは、企画は紙に書いて出す、こういうのを企画しましたといって、それを実際に、じゃ、実施していくにはどうしたらいいのかというところであるとか、例えば派遣員の秘書業務、通訳や添乗といった業務もあると思いますけれども、館長、いわゆる大使であるとか総領事の秘書として関わる業務であれば、例えばいろいろ出張があったりとか、いろんなことがあったときに、そこで様々な業務が発生してくると思うんですけれども、そういったところで幅広くきちっと仕事が履行できているのか、その辺についてお尋ねいたしたいと思います。
  137. 政府参考人(上月豊久君)(上月豊久)

    政府参考人(上月豊久君) お答えいたします。  今、大沼委員より御指摘がありましたとおり、専門調査員は現行の派遣法の下では政令二十六業務の企画業務として行事等の企画立案を行うことはできておりますが、その行事を実施することはできないとされております。例えば専門調査員が、今お茶の例がございましたけれども、文化広報を担当しているような場合、任国において文化事業を企画立案することはできても、現状ではその行事の実際の実施については従事できないという整理となります。  また、派遣員につきましても、お手元の資料にございますとおり、現行派遣法の下では、政令二十六業務のうち秘書、通訳、添乗等の六業務にのみ従事することができますので、例えば館長の秘書とした場合に、日程管理業務といった純粋な秘書業務は行うことができております。しかし、その結果、例えば在外公館長から、本邦からの要人出迎えのために空港に行き、派遣員が館長に同行した際に、館長に体調不良等の不測の事態があった場合でも、派遣員が行えることは秘書や通訳といった六業務に限られて、他の大使館員のように状況に応じて柔軟に必要な対応を自律的に行うことができないと、こういう整理になっております。
  138. 大沼みずほ君(大沼みずほ)

    大沼みずほ君 ありがとうございます。  今御紹介いただきましたように、例えば企画をしてもそれが実際に実行ができない、本官の方がそれを実際にやるということでは、やはり企画をしただけではそのやりがいといいますか、しっかりとその事業をやっていこうという気も、少しモチベーションも下がりますし、やはり責任を持って一つの仕事をしていくという意味では、これはしっかりと企画だけじゃなくて実行までできるようにしていく、そういった柔軟性が必要であると思いますし、何といっても館長は日本を代表して大使なりで出ているわけですから、在外で何かがあったときに、もちろん本官の方も常にいらっしゃるとは思いますけれども、病院手配等々を含めていろんな不測の事態に対してやはり業務の柔軟性というものが欠かせないというふうに感じております。  これは、ただ、外務省の特別な話じゃないかというふうにお感じになるかと思います。そこで、厚生労働省の方にお伺いいたします。こういった派遣員、専門調査員が、企画、秘書業務以外を行わせることはこの二十六業務以外できないということでありますが、一般的な労働者派遣の実務上においても、他の業務を行わせたいと希望する派遣先や、また他の業務をもっとやりたいという派遣労働者の希望あるかと思うんですが、いかがでしょうか。
  139. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お尋ねの一般的な労働者派遣の実務におきましても、派遣先において派遣で働く方にほかの業務に携わっていただきたいということであったり、あるいはまた、派遣会社からお伺いした話でありますけれども、派遣で働く方につきましても他の業務を行いたいと希望する方がおられるということは承知しております。  今委員の方からこの在外公館の例でも挙げられました企画とか秘書の業務の関連で申し上げれば、例えば企画の業務でも、実際、企画立案で派遣労働者派遣されたという場合であっても、その派遣労働者の方が企画立案したにもかかわらず、派遣先にとってその実施のサポート業務、いろいろ制度に係る説明会を行うとかというようなことが実施してもらえないとか、あるいは派遣で働く方にとっても、いろいろそういうこともお手伝いしてあげたいけどできないというようなことがあるということがございます。  また、秘書の業務につきましても、派遣の秘書の業務というのが職域が狭いということから、実際上、派遣先にとっては本来持っておられる能力を引き出しにくいとか、あるいは派遣で働く方にとっても、秘書としてより幅広いキャリアや経験を積もうと思っても、一定業務制限されているので、なかなか職場での実践を通してのスキルアップ、経験を積むということができないというようなことがあるというケースを承知しております。
  140. 大沼みずほ君(大沼みずほ)

    大沼みずほ君 ありがとうございます。  この業務が分かれていることによるメリットというものもあったかと思うんですけれども、やはり様々な、多様なこの労働市場においてやはり柔軟にいろんなことが行えるということが社会全体にとっても資していくものと私自身は考えております。  また、この派遣員、専門調査員制度についても、業務の幅を広げて外交業務に携わることができるようになることは日本の外交力の強化にも資すると考えますが、副大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
  141. 副大臣(中山泰秀君)(中山泰秀)

    ○副大臣(中山泰秀君) 御質問ありがとうございます。  派遣員は、大学等で外国語を習得した若手の人材が派遣されております。現行でも、在外公館におきまして、現地の言葉を解さない日本人職員と現地の関係者との間に立って通訳、翻訳などを行うなど、貴重な人材として活躍をしているというふうに認識をしております。  専門調査員は、大学院修士課程修了以上の学歴を有し、かつ依頼される調査研究事項に関して研究実績のある者が派遣されております。専門的知見は、我が国の外交を実施する上で多角的な視点をもたらすものであるという認識でおります。いずれの職種で派遣されている場合におきましても、これまでは、在外公館全員で取り組むという大型行事におきましても、また能力的には担当可能である様々な在外公館業務においても、通訳若しくは研究といった派遣法によって制限された役割しか担えなかったという実情がございます。  今次改正によりまして、派遣法により実施可能な業務制限がなくなるとすれば、派遣員、専門調査員のいずれもその活躍の場を更に広げることができる、活躍の場が広がることにより、より直接的な外交業務に携わっていただくことが機会として増えることが見込まれるというふうに考えます。  外交は人であります。外交に携わる人材一人一人の活躍の場が増えるということは、大沼委員指摘のとおり、我が国の外交力の強化に資するものであると私どもは考えております。
  142. 大沼みずほ君(大沼みずほ)

    大沼みずほ君 ありがとうございます。  私だけでなく、民主党の大野元裕議員も専門調査員の経験を経て今国会議員をされておりますけれども、専門調査員の後に私は民間のシンクタンクで研究員をやりました。大学に戻った方もいらっしゃいますし、また民間のシンクタンクに行かれた方もいらっしゃいますし、また民間の企業に行かれた方もいます。  ただ、非常に重要だったのは、そこでの経験というものが次のキャリアにしっかりと結び付きましたし、外務省の方にもいろんな多方面で御助言をいただけたことは非常に有り難かったというふうに思っております。また、派遣員の方においても、やっぱりその語学力を生かして現地の日本の会社に採用される。それは、やはり外務省というところで働いた経験があるからの信頼でもありますし、いきなり海外に行って働くときに、やはりこの派遣員という、この派遣という制度を使って、そこでの経験を踏まえて海外で活躍する人材というものを一つ育てているというふうにも私自身考えております。  そうした意味でも、今回のこの派遣法改正によって、在外公館によっては一人、二人しか派遣員、専門調査員がいなくて、全体でも八人しかいない公館とかがあるわけです。そういったときに、全ての人が全ての業務に携われる体制というものをしっかりと整えていくことが重要であるというふうに感じます。  最後に、外務省で在外経験も長くなさった山本大臣にお伺いいたします。  本日のやり取りについて、御自身のこれまでの経験を踏まえた見解と、あと、実は今日お配りしたこの資料の二枚目、実は専門調査員と派遣員、それぞれ比べてみますと、女性の方が圧倒的に多うございます。また、三枚目にもありますように、派遣労働者の男女割合についても女性の方が男性よりも上回っている。男性が四四・五、比較して女性は五五・五というふうになっております。派遣で働く女性が多いということであります。  今回の改正によって、職域が広がって能力発揮とまた専門性を高めていく、そうした意味で、派遣労働者キャリアアップ、この支援も法律にしっかりと規定されているわけでございますので、この派遣法の意義を改めて副大臣からお伺いしたいと思います。
  143. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 私も、在外勤務時に、派遣員の方やまた専門調査員の方々に大変にお世話になりました。一緒にいい仕事をさせていただいたと思っています。  特に、専門調査員の方におかれましては、語学にたけているだけではなくて、地域の実情にも大変お詳しいということもあって、私がおりましたトルコだとか中央アジアとか、比較的外務省の中でも専門家の少ないエリアにおいては大変重要な役割を担っていらっしゃったと思います。  また、派遣員の方、女性が多いということでありますけれども、語学力も非常にあってローカルスタッフとも大変友好にやっていらっしゃって、そういった方々が、今回の法律改正によりまして、より一層対応できる職域が大きくなるわけでありまして、そういう意味では、さらに在外公館でキャリアを積んでいただいて力を発揮していただくことを期待したいと考えております。
  144. 大沼みずほ君(大沼みずほ)

    大沼みずほ君 ちょっと少し早いんですけれども、これで私の質問を終わりたいと思います。  本日は誠にありがとうございました。
  145. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 公明党長沢広明です。  私からも、今、大沼委員からも触れられたことと少し重なりますけれども、女性の活躍促進あるいは若者の雇用対策という観点から、この派遣法についてお伺いをしたいと思います。  政府が六月三十日に閣議決定をしました日本再興戦略改訂二〇一五においては、「女性の活躍推進は、長年にわたり男性中心で動いてきた職場に従来にない多様な価値観をもたらし、イノベーションの創出にもつながるものである。女性の活躍する場が広がることで、経済社会活動のあらゆる場に変革が起き、これまでにない形での経済成長の実現が可能となる」というふうに書かれております。  また、我が党も、女性や若者が活躍する社会を目指すことについて、この成長戦略に関連し、確かな好循環へ成長戦略二〇一五、六月四日発表ですけれども、これにおいても最重要課題一つと位置付けております。  この国会では、既に参議院で御議論いただいた若者雇用促進法案が今衆議院でこれから御議論になると。そして、今回、参議院で女性活躍推進法案議論にこれから入ろうかというところに入っています。こういうことを含めて、この国会は女性と若者というところに非常にフォーカスを当てたというか、そういう国会にできているなというふうに思いますが、この派遣法改正案が女性や若者の活躍に資する影響について伺いたいと思っておりますが、まず前提として、現在の派遣労働者の性別、年齢層、どのように把握されているか、説明をいただきたいと思います。
  146. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  まず、厚生労働省で行いました平成二十四年の派遣労働者実態調査によりますと、派遣労働者の内訳でございますけれども、まず性別につきましては、今ちょうど大沼先生からの配付資料にもございましたけれども、女性が五五・五%で男性が四四・五%ということで、女性の割合が高くなっております。  それから、年齢別の状況でございますけれども、二十代の方が二〇・二%、三十代の方が三五・六%ということで、若年層が高い割合を占めているということがございます。  それからまた、同じく派遣で働いている方で正社員として働きたいと希望される方の割合ということでございますけれども、こちらの方の傾向でございますけれども、若年の方の方が他の年齢層に比べて高い傾向があるということで承知をしております。
  147. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 今ありましたとおり、派遣労働者には女性の方が割合が多い、そしてまた若年層が多い、二十代と三十代で五五・八%ということになります。女性が多く若年層が多いという派遣労働者の特徴があるわけですけれども、女性も若者もそれぞれ就労機会を確保するということについては課題を抱えています。  女性と若者の就労について労働者派遣制度が果たす役割についてはどう考えるか、厚生労働省の見解を伺いたいと思います。
  148. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 働き方が多様化する中におきまして派遣という働き方は、まずは女性にとっては、ワーク・ライフ・バランスの実現や仕事から離れた後の職場復帰の一つのステップとして有効だと思っておりますし、若者にとりましては希望する職種や勤務地、勤務時間等の条件を満たす企業へ入職しやすいといったところもございます。重要な役割を果たしてきているところでございまして、柔軟で多様な働き方を実現するものの一つとして位置付けられていると考えております。  そして、今回の労働者派遣法改正案におきましては、不本意に派遣で働いている、正社員に本当はなりたいんだと、そう希望する方につきましてはその道が開かれるようにすること、そして派遣という働き方を積極的に選択している方につきましては待遇の改善を図るなど、それぞれの選択がしっかりと実現できるような内容を盛り込んでいるところでございまして、政府といたしましては、御指摘のありますように、女性、また若者の一人一人がそれぞれのライフスタイルや希望に応じて社会で活躍できる場を見出せるように取り組んでまいりたいと考えております。
  149. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 女性にとっては、ライフステージの中で派遣という働き方は非常に有用な場合があるという点でございます。  女性の中には、育児中の方を始めとして、いわゆる時間的制約、ワーク・ライフ・バランスの観点から積極的に派遣労働を選んでいる方もいらっしゃると。その場合であっても、希望しているからそれでいいというのではなくて、女性が安心して働ける環境をどうつくるか、そういうことも必要だと思います。  まず、派遣労働者として続けたいと考える女性にとっては、育児休業を取れるかどうかというのが非常に重要な観点になります。  国立社会保障・人口問題研究所が平成二十二年に行った第十四回出生動向基本調査によると、妊娠前にパート、派遣として働いていた女性で、育児休業を利用することで就業を継続して、第一子が一歳のときになおかつ職に就いているという割合は僅か四・〇%です。これは、正規の職員の場合四三・一%と考えると、非常にやっぱり、ライフステージの中で派遣を希望して、派遣労働で働きながらしかし育児休業が取れないということになりますと、ライフステージの中では派遣労働という働き方が有用に作用しないということになります。  そこで、派遣労働者の育児休業取得を促進する、こういう観点について厚生労働省はどういうふうに取り組んでいるか、伺いたいと思います。
  150. 政府参考人(安藤よし子君)(安藤よし子)

    政府参考人安藤よし子君) 派遣労働者を含め非正規労働者の育児休業制度の利用が進んでいない理由といたしましては、非正規雇用であっても一定の要件を満たせば育児休業を取得できるということが十分に知られていないこと、また制度が利用しやすい職場環境にないことなどがあると考えられます。  このため、有期契約労働者の育児休業取得要件の周知徹底を図るとともに、有期契約労働者方々に対しましては育児休業取得マニュアルの配付などによる周知を行い、また企業に対しては育児休業制度などの規定整備指導や有期契約労働者の育児休業取得に係る助成金を支給するなどの対応を行っているところでございます。  なお、有期契約労働者の育児休業の取得要件につきましては、今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会におきまして検討がなされ、先頃報告書が取りまとめられたところでございます。今後、この報告書を労働政策審議会に報告し、秋頃から育児・介護休業法の見直しに向けて更に議論を深めていただきたいと考えております。
  151. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 派遣労働の方の特殊な環境というか、そういうことにしっかり見合った取組を進めてもらいたいというふうに思います。  同様に、派遣先でのハラスメント、これも大きな問題になります。いわゆる間接雇用というこの特徴、特質から、派遣元派遣先に力関係がある、また派遣元の目が派遣先には届かないということもあり、直接雇用労働者とは異なった対応が必要だと思います。  派遣労働者に対するハラスメント対策、これについてどういうふうに取り組んでいくか、厚生労働省のお考えを伺いたいと思います。
  152. 政府参考人(安藤よし子君)(安藤よし子)

    政府参考人安藤よし子君) 妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いやセクシュアルハラスメントまたパワーハラスメントは、派遣労働者を含めた全ての労働者が希望を持って働くことを阻害するものであり、決して許されるものではないと考えております。  妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いやセクシュアルハラスメントについては、都道府県労働局において、法に違反する事業主に対して厳正な指導を行うとともに、個別の労使間の紛争の解決援助を行っているところでございます。  また、パワーハラスメントにつきましては、都道府県労働局や労働基準監督署などに設置されました総合労働相談コーナーにおいて個別の相談等に対応する一方で、パワハラ対策導入マニュアルの作成や人事労務担当者向けのセミナーの開催などによりまして予防、解決に向けた社会的機運の醸成を図っているところでございます。  さらに、派遣労働者も含めました妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いやセクシュアルハラスメントの実態調査の実施に向けまして、現在その詳細について検討を進めているところでございまして、この調査結果を得ましたら更なる防止対策に生かしていきたいというふうに考えております。
  153. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 先日の地方公聴会のときも感じたことですけれども、やっぱり派遣元派遣先で何が起きているかなかなか把握できていないんですね。あのときも、女性を中心とした、ほとんど女性であるという派遣業者の方、会社の方でしたけれども、その会社にとってもやっぱり派遣先で何が起きているかを本当の意味で把握できていないんじゃないかという感じが実感としてそのときありました。  ですから、やっぱり派遣元の目が届かない、派遣先で何が起きているかということを派遣元がどう把握するかということも含めて、もう一歩突っ込んだ取組を是非検討してもらいたいというふうに思います。  若者の正社員化の問題です。  自ら希望されて派遣労働者として就業されている方も多いですけれども、先ほど話があったとおり、派遣労働者の半分以上が二十代、三十代であり、しかも、この若年層に正社員になりたいという思いが非常に強くそこにあるということでございますが、他方で、こういう雇用機会を得ることができないまま派遣に至っているという人も多いわけです。こうした若者が正社員化を希望して努力しているのであれば、政府としてその道筋をしっかり示していくことが重要だと思います。  たまたま例えば卒業の時期がリーマンショックとぶつかってしまったということで、非常に不景気であったため就職が難しかった、社会に出る最初のところで正社員になれず、不本意な形で派遣労働を選択しているという若者も少なくないわけで、そうした若者に対して、改正案では若者の正社員化ということについてどういう対策を講じているか、説明いただきたいと思います。
  154. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 今おっしゃっていただいたように、なかなか正社員になれずに不本意な形で派遣労働を選択している若者がどうやったら今回の法律案の中で正社員化していけるのかということでございますが、まず今回の改正案につきましては、先ほど来よりお話がありますとおり、キャリアアップ措置として計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングを実施することなどによりまして派遣労働者のスキルアップを図っていただく、それによってひいては正社員につなげていくような動きを出していかなくちゃいけないと思っております。  また、派遣先又は派遣元それぞれにやはり正社員化を推していくインセンティブを持たせるということが大事だと考えておりまして、今回の法律案の中においては新たに直接雇用依頼、派遣先に対する直接雇用依頼を含む雇用安定措置というものが盛り込まれましたが、そういう中で、例えば派遣先に直接雇用されるなどの実績の高さが派遣労働者派遣会社を選ぶときの判断基準の一つになると考えられますので、正社員を含む直接雇用の実績をつくることというのが、派遣元についても一つメリットというか、インセンティブになるのではないかと考えております。  また、法律案の中ではございませんが、予算措置といたしまして、派遣で働く方を正社員として雇用した場合のキャリアアップ助成金の拡充、こうしたことなどを通じまして、派遣元においても、また派遣先においても、双方に対して正社員化しようとするインセンティブの後押しをしてまいりたいと考えております。
  155. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 若者をめぐっては、最近特にオワハラという問題が注目されたりブラック企業の問題もあります。こういうことを考えると、働いている側の若者に労働関係の法規の教育をやっぱりした方がいい。御本人がやっぱりこういうことは本来法律上許されないことなんだとちゃんと認識すること、これは非常に大事なことだと思います。  これまでも、都道府県労働局が大学とか高校に出向いて出張授業を行うというようなことを厚生労働省としてもやってきたということは承知をしております。知識だけではなくて、実際にその知識をどのように使えるかということを伝えることも重要でございます。  衆議院で、先ほど申し上げました若者雇用促進法、これが成立すれば、国による若者に対する労働法令に関する知識の付与に関する規定、これがこの中に入っておりまして、これ今年の十月一日から施行されるということになります。  そこで、労働関係法令に関するいわゆる実践的な知識、これをどう与えていくかについての政府の取組、検討状況、どうなっているか、伺いたいと思います。
  156. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今お尋ねありましたように、若者の方に労働法関係の知識をしっかり付与するということは非常に大事なことかと承知しております。それでまた、参議院の若者雇用促進法の御審議をこの委員会審議いただいたときにも委員各位からそのような御指摘をいただいたと承知しております。  今委員の方からも御指摘あったような条文を若者雇用促進法の中に今回盛り込んでおるところでございますけれども、現在も、労働局の幹部等々でいろいろ学校等からの依頼があった場合に、そういった労働法関係内容について講義をするとか、あるいは今分かりやすい形での、漫画本を含めて、漫画の形式も含めていろいろ冊子を作ってというようなことで啓発をしておりますけれども、今後さらに、高校生に対していろいろガイダンスする際に、より取り組むことであるとか、そのツールについてもいろいろもう少し分かりやすいツールで高校生の方等にそういった情報を提供するというようなことについても今後検討して、施策として反映をしてまいりたいと考えております。
  157. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 特に派遣労働の方は、景気が悪くなれば正社員に比べて雇用調整弁になりやすいということがあり、雇用が不安定であると。また、先ほども申し上げたとおり、派遣先でのハラスメントに対してなかなか周りの目が届かないというようなことがあります。不利益取扱いを受けるということに対して、やはり派遣労働者に対してもより一層労働関係法令の知識の付与ということは大変重要な意味があるというふうに思います。  派遣労働者に対する労働関係法令の知識の付与について、派遣元事業主の役割も含めて政府の見解を伺いたいと思います。
  158. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) その点につきましては、午前中も一部御議論ございましたけれども、派遣労働者の方にやはり派遣制度を含めた労働関係法令についての認識を、御理解をしっかりしていただくということも非常に大事ということでございます。  その中で、私ども、派遣労働者の方も含めてのいろいろ説明会を実施ということもございますけれども、午前中も御答弁申し上げましたが、現在、派遣元責任者の方に対して、派遣元責任者講習というところで、しっかりそういった派遣元責任者の方には労働関係法令の知識を、その講習でもタイムリーな知識ということをしっかり学んでいただくということを講習のテーマのカリキュラムにしておりますけれども、その中で、そういったことを、派遣元責任者の方が学ばれたことを派遣労働者の方にフィードバックしていただくというような形のものも講習の内容の中に盛り込むことについて今後検討してまいりたいと考えております。
  159. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 今回の派遣法改正案は、期間制限見直しということもあり、派遣労働者の働き方に大きな影響を与える法案になっております。その目的は派遣労働者の固定化を防ぐということにあり、加えて、雇用安定措置キャリアアップ措置、これを新たに義務付ける、また、全ての派遣事業許可制とする、こういうことでこうした措置の実効性を担保しようとしております。さらには、キャリアアップ助成金の活用等も併せて、正社員になりたいと考える派遣労働者にはその道を開くということで、政策全体のパッケージとして女性や若者を始めとする派遣労働者方々の働き方の改善を目指すということであります。  この派遣法改正案は、派遣労働における女性や若者の活用を図る観点から、雇用安定措置キャリアアップ措置、均衡待遇の一層の推進等の役割を果たす内容となっておりますが、この法案、早期成立の上、早期施行を図るべきであるというふうに考えておりますけれども、大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  160. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今日は、特に先生は女性あるいは若者の働き方について重点的にお話をいただいたわけでございますが、我々にとって本当に女性そして若者が元気で明るく働いてもらえるということが大変大事だということはもう間違いないわけで、それぞれ夢も希望もある中で、それぞれのまたライフステージで、いろいろな働き方をやはり用意をしなきゃいけない。その一つとしてこの派遣の働き方というものもあるのではないかというふうに思うわけであります。  今日、先ほど外務省の専門調査員あるいは派遣員の話がありましたが、いずれにしても、自分の希望や夢を果たすために、達成するためのステップアップをしていくジャンピングボードになればいいなというふうに思うのが一点。  それから、正社員でありたい方はやっぱり正社員になりやすいようにその道を開くということもありますから、大事なことは、今日、先ほどの御質問にもありましたけれども、不本意な非正規雇用というのは避けなければいけないと。これは、超党派の非正規の労働を排除しようという議連の先生方がおいでになったときも、石橋先生から、特に不本意非正規はゼロにしようと、こういうお話がございましたが、まさに自分の人生の考え方に相反するような形での働き方というのはやっぱりよくないということなので、可能性を開く、そのための条件整備として、今回、今御指摘をいただいたような様々な法改正を含め、そして、先ほど育児休業の話がありましたけれども、その他の条件整備もしっかりとやりながらいくことで派遣で働く方の一層の保護と、それから活躍促進を図っていきたいというふうに思っておりますので、この改正案成立と早期施行に向けて速やかな御審議をお願いしたいというふうに思いますし、私どももしっかりとこの御審議で御説明をさせていただきたいというふうに思います。
  161. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 終わります。ありがとうございました。
  162. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  前回に続き、派遣法改正案について質問をいたします。  今日は、まず大臣に、派遣労働者に対する見方について伺っていきたいと思います。  大臣はこの間、派遣労働者キャリアアップ又はスキルアップという言葉を盛んに強調していますが、派遣労働者は労働能力が足りないから正社員になれず、派遣労働者にとどまっているというふうにお考えなのでしょうか。その点、まずお聞かせください。
  163. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) そのようなことを申し上げているわけではなくて、ただ、正社員として働きたいという、不本意ながら派遣で働いていらっしゃる方々については、正社員になる道を開くと。そして、今の自分のライフステージに合った形で派遣で働くということが今のところは自分の選択だということであれば、やはりそこは待遇を改善をしていくと。  それらのために、やはりいずれにしても、これは自らの力を付けてスキルアップをしていく、キャリアアップを図るためにスキルアップをしていくということが大事なのではないかという考え方で、今回特にそこのところは大事だということで、このキャリア形成支援制度というものを許可の際の必要条件として義務付けるということもやっているわけでございます。
  164. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 正社員への道を開くために自らの力を付けていただくことが必要なんだと、そういうお話だったわけですけれども、今回の法案で、専門業務、いわゆる二十六業務に携わる派遣労働者も三年の上限が課されることになってしまうわけです。この人たちは、いわゆる即戦力として派遣されていた人たちであり、派遣先でもほかの労働者よりもむしろ高い技能を持った人たちなわけです。もちろん、一般の派遣であっても、工場などで高い技能を持って働いている方もたくさんいるわけで、そういう人たちにも今更スキルアップしてキャリアアップせよというのか。そういうふうに、派遣労働を使用している派遣先じゃなくて労働者の問題とする姿勢というのが私はやはり問題ではないかと、納得できないと思うわけなんです。  大臣は、また、この間、個人の三年ごとの期間制限について、三年ごとに立ち止まって考えてもらう機会とするとおっしゃっております。改めて聞きますが、派遣労働者に三年ごとに立ち止まって一体何を考えよとおっしゃるのでしょうか。派遣労働を続けるか、それとも正社員になるかということを改めて考えろということなんでしょうか。
  165. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 先ほど来お話し申し上げているように、派遣という働き方については、ワーク・ライフ・バランスの観点から積極的に選んでいる方と、必ずしもそうではなくてむしろ正社員を望んでいらっしゃるという方がおられるというわけで、特に今、派遣の場合には直接雇用ではないわけで、相対的に見て雇用の安定あるいはキャリア形成が図られにくいということがございます。  こういうことで、今回の見直しでは、派遣労働の弊害を防止するために、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置付けることを原則とするとの考え方の下に、有期雇用派遣で働く方については、同じ職場への派遣は三年を上限とする個人単位の期間制限を設けて、派遣で働く方の派遣労働への固定化というものを防止をするということにしているわけであります。  この個人単位の期間制限について今お尋ねがございましたが、キャリアの見詰め直しについては、今回の改正によって義務付けられました、先ほどもお話し申し上げた計画的教育訓練などのキャリアアップ措置あるいはキャリアコンサルティングなどを踏まえながら、どのようなキャリアを歩むことが自分のキャリアアップにつながるのか、あるいはキャリアアップのためにどのような能力が必要なのかということについて、節目節目で御自身のキャリアを見詰め直していただくことによって希望する働き方の実現につなげていただきたいというふうに考えているところでございます。
  166. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 見詰め直していただいて、希望するところにということでした。  臨時、一時に限定することで固定化を防ぐんだというお話もあったわけですけれども、先ほど来あるとおり、派遣労働者の多くというのは、やはり正社員の仕事がなかったために派遣労働者になった、不本意ながら派遣労働者になっている人が多いわけです。だから、正社員になりたいという希望を持つ人も当然ながら多いわけですよ。立ち止まって見詰め直せと言われて、じゃ正社員になりたいと思ったとなった場合に、必ず全員正社員になれるという保証はどこにあるのでしょうか。
  167. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今回新たに義務付ける、例えば先ほどお話し申し上げたキャリア形成支援制度を義務化をして、なおかつ許可の条件にするということで基準に立てるわけでありますけれども、そういうようなことをやる、あるいは雇用安定措置といったもので直接雇用への道をつくるとか、そういうような様々な今回措置を入れ込んで、これ派遣先には正社員の募集情報の提供というのも義務付けるわけでありますし、そういったことを様々やっているわけであります。  ただ、最終的には採用するのは経営判断でございますから、その経営判断の際に、どうやってより有利な形で正社員として正社員になりたい方が道が開かれるかということを考えたときに、今申し上げたような様々な規制を掛けながら、働く人たちの力を付けるということを実現をしていくための規制を掛けるということを今回やらせていただいているわけでございまして、一〇〇%保証するのはどこにあるのかということでございますが、その可能性を格段に高めていこうというのが私どもの趣旨でございます。
  168. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 結局、義務付けといろいろおっしゃっていますけど、義務付けられているのは基本的には派遣元の方なわけですよ。派遣先については情報を提供するだけでいいわけです。あとは、おっしゃったように経営判断ということなんですね。だから、幾ら派遣元が要請したとしても、派遣先が受け入れなければ正社員への道は開かれないと。  そういう意味では、私、こういうときに立ち止まって考えるべきなのは、派遣労働者ではなくてやはり派遣先ではないのかと思うわけです。派遣労働者三年利用した後、その業務が臨時的、一時的な業務なのか、それで終われるのか、それともそれ以上に必要な恒常的な継続的な業務になるのか、それを判断した上で、恒常的な業務であれば正社員として直接雇用する、その決断をするべきなんじゃないでしょうか。それが常用代替防止ということだと思うんですけれども、派遣先にこそ立ち止まって考えさせる、そういうことが必要なのではないですか。大臣、いかがでしょう。
  169. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) その点につきましては、今回期間制限業務単位から改めるということで、新たな常用代替防止の考え方で事業所単位の期間制限を設けるということでございます。それで、事業所単位の期間制限についても上限は三年ということにしておりまして、その三年ということの節目で更に延長するかどうかということについては現場の労使でよく話し合っていただくという意味では、派遣先におかれましても現場の過半組合等々いろいろ意見聴取をし、あるいは異議があった場合については対応方針の説明をするという中で、しっかりそこは自らの企業派遣を受け入れるかどうかということを事業所の中でどういう対応するかということをよく考えていただきながら派遣の利用ということを考えていただくという仕組みにしているというところでございます。
  170. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 労使で話し合ってということでしたけれども、先ほど来あるとおり、労使で話し合って、じゃ、組合などから反対意見があったとしても、経営判断で、いや、でも受け入れますと言ったらそれで終わりということですよね。そのまま延長できるということであって、全然それは歯止めにはなっていないわけですよ。  派遣先に立ち止まって考えさせる、ちゃんと本当に必要な業務労働力が必要なんだったら、直接雇用する、そういうような規制というものは全くなくなっている。やっぱりこういうところにでも、前回指摘した、派遣の利用も臨時的、一時的という原則というのを提案理由から削除したとの共通する考えが、派遣先を救済しようという考えが私、見て取れると思うわけです。  前回、私は、派遣元で無期の雇用契約がされていれば派遣期間制限の対象から外すことが常用代替防止という原則の空洞化につながるのではないかという問題を指摘させていただきました。それに対して大臣は、無期雇用派遣で働く方について、有期雇用派遣で働く方と比べて雇用の安定やキャリア形成の観点から問題が少ないから例外としたと述べられました。  改めて伺いますが、ということは、派遣先無期雇用派遣を使う場合には、常用代替防止の原則はその無期雇用派遣労働者に対しては適用されないということでよろしいでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  171. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) これは、派遣で安定的に働くことを希望する方、この方々については、より安定した無期雇用で働いていただくことが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございますが、一方で、今回の改正案は、正社員無期雇用派遣労働者に置き換えようとするいわゆる常用代替というものではなくて、無期雇用派遣労働者も対象に、派遣会社に対して長期的な観点からのキャリアアップ措置を義務付け、そして派遣先に対しても、正社員募集に関する情報提供を義務付けるほか、キャリアアップ助成金を拡充するなど、正社員を希望する方には正社員の道を開くということにしているわけでございます。
  172. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 正社員派遣労働者に代替させることを考えていないというお話だったんですけれども、違うんですね。もちろんそんなことあってはならないわけですけれども、私が言っているその常用代替の防止というのは、派遣先で本当に必要な業務だったら直接雇用するべきでしょうと、なのにその歯止めが全くなくなっていると。本来、常用雇用労働者になるべき仕事を派遣労働で置き換えられるということになっているじゃないかということを申し上げているわけです。  さらに、大臣は先日の答弁で、正社員無期雇用派遣に移行しようとするものではもちろんないが、正社員を希望する方には正社員への道を開いて、派遣を引き続き希望する方には有期から無期への移行を含めた待遇の改善を図ろうとするものだとおっしゃいました。つまり、期間制限の掛からない無期雇用派遣労働者というのはどんどん増やしていってもいいと、そういうことかと思うんですが、一体どれくらい増えるとお考えなのでしょうか。
  173. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今回の改正案では、無期雇用派遣で働く方は有期雇用の方に比べますと雇用の安定とかキャリア形成の観点からやはりこれは相対的に問題が少ないということから、労働市場全体としてより安定的な雇用を増やすという観点からすると、労政審建議にもございますように、それを踏まえて、この原則の例外として期間制限の対象というふうにしているところでございます。このため、派遣元派遣先、この双方にとって派遣で働く方の無期雇用化のインセンティブが高まることとなろうかと思いますけれども、派遣元派遣で働く方が無期、有期のいずれの労働契約を結ぶかについては当事者間で決定することでございますので、その結果を事前的に予測するということはなかなか難しいと考えているところでございます。  ただ、いわゆる二十六業務に係る派遣を行っている派遣会社から、これは先ほども申し上げましたけれども、上位五業務、大体これでこの二十六業務方々の七七%、約八割弱を占めているわけでありますけれども、この代表的な会社でヒアリングを行ったところによりますと、今回の改正を契機として、有期雇用派遣で働いている方について無期雇用化による対応検討しているところがほとんどであったというふうに調査では出てきているわけでございます。  いずれにしても、正社員を希望する派遣で働く方については正社員への道が開かれるようにする、それと、派遣を積極的に選択している方はその待遇の改善を図って、雇用安定措置や無期化を通じて雇用の安定を図ることが重要であるというふうに考えているところでございます。
  174. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 答弁はできるだけ簡潔にお願いしたいと思いますが。  結局、どれぐらい増えるか分からないけれどもインセンティブは高まるというお話だったわけですよ。一方では、例外だ、例外的に常用代替防止の原則が適用されないようになっているんだと言いながら、その無期雇用派遣が増えていくことも別にあり得るということは言うわけです。現在は、無期雇用派遣労働者というのは二割なわけです。それがこれからもし増えていく、三割、四割、五割超えても、まだそれが例外と言えるのか。結局、この期間制限のない無期雇用派遣労働者が増えれば、もう常用代替防止という原則が有名無実化しちゃうんじゃないですかと。  派遣元で幾ら安定しているといったって派遣労働者には変わらないわけですよ。そういう意味では、間接雇用が問題であると大臣もおっしゃっているわけなんです、その例外であるはずの無期雇用派遣労働者が増える。一体どのくらいまで増えれば例外だと言い切れるのかと思っていらっしゃるのでしょうか。
  175. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) その点につきましては、今も大臣から御答弁申し上げましたように、全体として派遣で働く方の無期雇用化のインセンティブは高まるものの、じゃ、どれだけの方がどういう形で労働契約を結ぶかということについては、なかなかこれは予測が困難ですので、そこはお答えしかねるわけでありますけれども、先ほども大臣から御答弁しましたように、安定的な派遣で働くことを希望する方という方については、より望ましい形としては無期の方が有期より多くなるということは望ましいということでありますので、そういった背景から、今回期間制限の適用除外としているわけでございます。
  176. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 結局、そうやって安定しているとおっしゃいますけれども、何度も言うように、派遣労働者である限り安定ではないわけですよ。問題は、派遣元雇用形態じゃないんです。派遣先派遣労働を使い続ける、これが問題であり、それをいかに臨時的、一時的にとどめるか、それが問題なわけですよ。  あのリーマンショックの前後でも、キヤノンやマツダ、いすゞなど日本を代表するような企業で、工場ごと派遣労働者運営されるような派遣工場というものも現れたわけです。これがまさに常用代替という状態だと思うわけですけど、それを防止をするという原則が適用されないような、派遣労働者がこれからどんどん増えてもいいというような考えでは、やっぱりこの法案派遣先のための派遣利用促進法案としか私言いようがないと思うわけです。  問題は、無期雇用派遣労働者だけじゃないんです。期間制限が課されているという有期の派遣の場合はどうか。  現行法では、派遣期間制限超えたら、四十条の四や五で派遣先が直接雇用の申込義務を負っているわけですけれども、大臣は、今回の法案では、この直接雇用の義務をなくす代わりにみなし雇用制度が適用されると本委員会でも何度も述べられているわけであります。  そこで、ここは坂口部長で結構ですけれども、聞きます。本法案派遣期間延長するときに、過半数代表からの意見聴取などの手続があると思いますが、その手続について、省令や指針で書き込むこと、検討している事項を含めて、全てできるだけ簡潔にお答えください。
  177. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お答え申し上げます。  今委員の方からお尋ねの事業所単位の期間制限について、派遣先が事業所単位の期間制限を超えて派遣を受け入れようとする場合の手続でございますけれども、過半数労働組合等からの意見聴取を行うということをまず法律で新たに義務付けております。  具体的には、これらの過半数労働組合等からの意見聴取の手続を担保するために、まず省令において、過半数組合がない場合に過半数代表者を選出する場合についてでございますけれども、この場合については、管理監督者以外の者で、投票、挙手……
  178. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 簡潔にお願いします。
  179. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) はい。  投票、挙手等の民主的な手続により選出することということ、それから、派遣先意見聴取などの記録を一定期間保存し、周知することというようなことを規定することを予定しております。  また、指針におきまして、派遣先から意見聴取参考となるデータを過半数労働組合等に提供することを予定をしております。  それから、これは御承知のとおりでございますけれども、法律上、過半労働組合等から受入れ継続に対しての異議が出た場合につきましては、派遣先から対応方針等説明することを法的に義務付けるということとしておるところでございます。
  180. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 では、大臣に伺います。  先ほど挙げられた手続、いろいろありましたけれども、それらに瑕疵があったり、若しくは、義務というものもありましたけれども、そうしたものに違反したらどうなるのか。全てそのみなしの対象となって適用されるということでしょうか。
  181. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 事業所単位の期間制限に関して労働契約申込みみなし制度の対象となるのは、過半数労働組合等意見聴取をすることなく事業所単位の期間制限を超えて労働者派遣受入れをした場合でございます。  過半数労働組合がないなどの理由で過半数代表者を選出して意見聴取をした場合であっても、管理監督者を代表とした場合とか、あるいは民主的な手続によらず派遣先が指名をしてしまう者を代表者とした場合とか、こういう場合は意見聴取が事実上行われていないものと同視をされるようなものであって、そういう場合は、期間制限を超えて労働者派遣受入れを継続した場合は、労働契約みなし制度の対象となるということでございます。
  182. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 先ほど、その対象となるのは、聴取をしないとか代表の選出方法に瑕疵があった場合ということですが、手続の中に過半数代表へ意見聴取したそのときの説明の文書の保存義務というのもありました。そうしたものというのは、保存していなかった場合、これはみなしの対象となるんでしょうか。
  183. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今大臣の方から御答弁申しましたように、やはり今回、労働契約申込みみなし制度の対象とするということにつきましては、意見聴取をした場合であっても意見聴取が行われていないものと同視されるようなケースということで先ほど大臣の方から御答弁をさせていただいたところでございます。  御承知のとおり、この労働契約申込みみなし制度というのは非常にペナルティーの重さということもございますので、そういった意味では、派遣先の行為の違法性のバランス等にも鑑みまして、今委員の方からお尋ねがございました、事業所単位の期間制限違反の手続の中の記録の保存の義務に関する違反につきましては、労働契約申込みみなし制度の対象としないということで予定をしておるところでございます。
  184. 吉良よし子君(吉良よし子)

    吉良よし子君 結局、みなしが適用されるといいながら、意見聴取をした証拠となるべき文書を保存していなかった、それが発覚したとしても、みなしの対象とはならないと。最低、過半数の代表に話を通してさえいれば、口約束でも、派遣期間延長する際の義務とされている手続守らなくても、みなしは適用されないというわけであって、そういう意味ではもう期間延長し放題ということになるんじゃないかというわけですよ。  無期雇用派遣労働者はそもそも期間制限が掛からないし、有期雇用派遣労働者についても、期間制限違反としてみなしが適用されるというのは、本当に明らかに聴取がされなかったということが分からないといけないわけですけど、その文書の保存義務さえ守っていなくてもみなしにはならないということだと、もう本当にどんな歯止めも利かないということになっちゃうんじゃないかと。もう派遣先常用代替防止の原則を担保するための期間制限はないも同然の法案になっていて、私、絶対にこれ許すわけにはいかないと思うんです。  ほかにもいろいろあるんですけど、このみなしについて、本来だったら、現行法のままだったら十月一日から救われる方もいるはずなんですよ。なのに、それが救われないということもあります。大臣派遣労働者の保護が本法案の目的などと言いますけれども、結局そうじゃない、派遣先を救済するための法案じゃないかと私は思うわけです。  もう時間がありませんのでまとめますけれども、派遣労働者から声が寄せられているんです。この法案が通れば、派遣労働者の使い捨ては更に進む、派遣社員は今後増えることは間違いない、企業の都合ばかり考えた改正であり反対だ、こういう声が殺到している。当事者である派遣労働者からこんなひどい法案はないと言われていて、何で派遣労働者保護の法案だと言えるのかと。  私は、やっぱりこの法案派遣先救済法案だとしか言えないということを申し上げて、質問を終わります。
  185. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いします。  今日、私は、まず個人単位の期間制限について伺いたいと思っております。  個人単位の期間制限なんですが、これ、何度も説明を聞いても、私はこの政府が出してきた改正法案の中で最も不可解な部分だなと思っておりまして、なぜこれが必要なのか、是非分かるように丁寧に御答弁いただきたいと思っております。  まず初めに、大臣に伺いたいと思います。  これはもう非常に基本的なことでありますけれども、この労働者派遣法に貫く考え方として、なぜ派遣就業は臨時的、一時的な働き方であるとするのか、その理由をまずお聞かせいただけますでしょうか。
  186. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) この労働者派遣制度におきましては、派遣先のいわゆる正社員派遣で働く方の置き換えというか常用代替を防ぐために、臨時的、一時的な利用に限ることを原則としてまいりました。これは、派遣受入れサイドの視点に基づいて、派遣先のいわゆる正社員を守るための規制であって、派遣で働く方の保護にはつながらない側面があったところでございます。  そこで、今回の改正案では、直接雇用に比べて雇用の安定やキャリア形成が図られにくいといったような点で派遣労働課題があったわけでございまして、それらを踏まえて、派遣労働という働き方、これを臨時的、一時的なものであるということを原則として、派遣労働への固定化防止を図るということにしたところでございます。  これにより、派遣先のいわゆる正社員の保護に加えて、派遣で働く方の保護も図ってまいりたいと考えているところでございます。
  187. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 派遣労働者の保護という視点から、臨時的、一時的な働き方であるという原則が盛り込まれているということでありますけれども、それでは大臣に更にお聞きしたいと思いますけれども、派遣就業は、臨時的、一時的な働き方というときの、その臨時的、一時的な期間は何年までと考えますでしょうか。
  188. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) これは何度か申し上げておりますけれども、派遣労働というのは、やはり雇用の安定性とかキャリアを付けにくいとか、キャリア形成がなかなか図られないというような弊害があるわけでありますので、派遣労働を臨時的、一時的な働き方として、有期雇用派遣で働く方には同じ職場への派遣は三年を上限とするという期間制限を課すことにしたわけでありますけれども、今回、こうして改正案を出させていただいて、臨時的、一時的な働き方の期間というのは三年を想定をしているということでございます。
  189. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 同一組織単位での三年というだけではなくて、臨時的、一時的な働き方というときのその期間というのは三年ということを想定しているということでありました。  そこで、部長に伺いたいと思いますけれども、それでは、労働者にとって派遣就業が臨時的、一時的な働き方となるために、改正法案においてはどのような措置を盛り込んでいますでしょうか。
  190. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  一部繰り返しになりますけれども、今委員からの御質問大臣からも御答弁申し上げましたように、今回の改正法案では、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置付けることを原則とするということでございまして、この形で具体的な制度ということについては、まさに今大臣の方からも触れさせていただきました個人単位の期間制限ということでございます。  具体的には、同一の有期雇用派遣労働者につきまして、同一の派遣先職場、具体的には課が中心になろうかと思いますけれども、そういった同一の派遣先の職場への派遣は三年までとするという期間制限を設けるということでございまして、これによって派遣労働への固定化を防ぐということで労働者にとっての対応ということとしておるということでございます。
  191. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 臨時的、一時的な働き方というときは、それは三年であるということでありますけれども、そしてそのために個人単位の期間制限というのをこの法案では盛り込んでいるわけでありますけれども。  ただ、派遣先の同一組織単位、課での上限は三年と制限はしていても、その課を変えれば派遣としてずっと継続就業ができる、同じ派遣先で課さえ変えれば継続就業ができてしまうと。そしてまた、派遣先を変えればずっと派遣で働くことはできるということでありますので、私は、この個人単位の期間制限というのは、これは派遣就業が臨時的、一時的働き方となる効果は非常に薄いというふうに思っております。むしろ雇用を不安定化してしまう不要な規制であるというふうに私は考えております。  そこで、大臣に伺いたいと思います。本当に派遣労働を臨時的、一時的なものにするのであれば、派遣受入れを臨時的、一時的な仕事や業務やあるいは欠員補充などに厳格に制限するだけで足りるのではないか、個人単位の期間制限のようなものは要らないのではないかと考えておりますが、御所見を伺いたいと思います。
  192. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今、行田委員が御指摘になったような、臨時的、一時的な仕事とか業務あるいは欠員補充に限定してはどうだというお話がございましたが、フランスとかベルギーなどでは臨時的、一時的な仕事や業務とかあるいは欠員補充などに限定をしているというふうに聞いております。  仮に、個人単位の期間制限をなくして、委員指摘の臨時的、一時的な仕事や業務あるいは欠員補充にだけ限定をするという場合については、派遣先正社員の保護に資することにはなろうかと思いますけれども、派遣で働く方のキャリアアップにはつながっていかないのではないかということも考えるわけでございます。  今回の改正案では、常用代替の防止を図るための事業所単位の期間制限に加えて、派遣で働く方の観点から個人単位の期間制限キャリアアップ措置を創設をすることによって、これらを通じて派遣で働く方のキャリアアップを支援すること、そのことによって派遣という働き方に固定化をするということを避けることが可能になるということを考えているところでございます。
  193. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 個人単位の期間制限を三年にすれば派遣労働者キャリアアップにつながる、それは可能であるというようなこと、それからまた派遣労働者の保護ということという御答弁なんですけれども、ここが本当に私はなぜなのかが理解できないんですが、ちょっとまたこれは後ほど後で質問させていただきたいと思いますけれども。  部長に伺いたいと思うんですけれども、今回のこの新たな期間制限は、事業所単位とそれから個人単位の期間制限、この組合せで制限をしていくということでありますけれども、これをやった場合に例えばどういう不都合なことが起きるのか、私も民間企業で働いたりいろんな企業の職場を見てきた中で考えてみたんですけれども。  例えばなんですけれども、ある企業の営業課で営業アシスタントとして派遣労働を受け入れて、働いている方がいると。その方が三年たって、その企業においては過半数労働組合等意見を聴取することによってそのポジションに対して引き続き派遣労働を受け入れることができることになったと。そこで派遣労働で働いていた、Aさんとしますけれども、Aさんは非常に取引先からも評判が良かったり、あるいは社内でも非常に気が利くから、非常に彼女はいいね、あるいは彼はいいねと言われていると。その企業においても、彼女はせっかく派遣労働としてそのポジションで働くことが過半数労働組合意見を聴いてできることになったので、三年を超えても引き続き彼女に働き続けてもらいたいと職場でも思っていると。そして、その労働者Aさん自身も引き続き派遣労働で働きたいと思っていても、個人単位の期間制限があるから三年で切られてしまうということが起きるわけであります。  それから、例えば五年プロジェクト、有期の五年で終わるといったプロジェクトがある会社にあったとして、そこで専門的な例えば翻訳とか通訳といった業務が必要なので、そういった能力のある方が必要なので、自社にはなかなかいないから派遣で受け入れようというようなことがあろうかと思います。ただ、五年で終わると分かっているプロジェクトなのに、例えば翻訳とか通訳で受け入れられた派遣労働者は、専門性の高い知識は持っているんですけれども、三年で切られてしまうということであります。  今申し上げた前者の営業アシスタントの場合は、私は、この場合は派遣先が直接雇用すべきだとは思いますけれども、政府が提案している中身ですと、直接雇用の義務はありません。こういったいろんな不都合が生じてくると思うんですけれども、そこで部長に伺いたいんですけれども、なぜ個人単位の期間制限法律によって一律三年と制限をするのでしょうか。
  194. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  今幾つか例示をお挙げいただいたわけでありますけれども、総じて申しますと、今回の個人単位の期間制限を設ける主眼とすると、やはり派遣で働く方の派遣労働への固定化ということを防止するということに非常に重きを置いて、労政審等でも御議論いただいて、建議をいただいたということでございます。  それで、今委員の方から御提案といいますか、事例の方が二点ありましたけれども、まず一点目の業務アシスタントの関係でいくと、受入れ側の派遣先としてAさんがいいという形でということになりますと、そもそも派遣労働者を特定してしまうというような問題も発生するということもまず一点あるわけでございますけれども、やはりAさん個人が派遣で働かれる、あるいはその派遣先でということの御希望はある場合も確かにあるかもしれませんけれども、やはりAさんのキャリアをどう今後積んでいくかと。あるいは、当該派遣先、派元との契約ということが、じゃ、終始安定しているかということも定かではないわけでありますので、全体として見ると、やはり派遣で働く方が節目節目で自身のキャリアを見詰め直していただいて、それでしっかりキャリアを積んでいただいて、より安定した雇用ということにつながるような形にしていこうということであると、やはり派遣労働への固定化ということを防止するということが大事なのではないかということでございます。  それから、もう一点、有期の、一定期間のプロジェクト業務というようなケースにつきましては、現行もそうでございますけれども、今後も一定の場合については派遣期間制限の例外とするというような取扱いもしておりますので、そういったケースについてはいろいろな工夫ができるかなということで考えております。
  195. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 節目節目で見詰め直す、キャリアを見詰め直すということの御答弁なんですけれども、こういった説明を私も何度か聞くんですが、これが私は労働者にとって余計なおせっかいではないかなと思っておりまして、なぜ三年ごとに、派遣労働者だけ三年という節目が決められて、自分を見詰め直しなさい、キャリアを見詰め直しなさいと法律で決められなければいけないのかというのが、非常に私は余計なおせっかいだというふうに思っております。  なので、この個人単位の期間制限というのはなぜ必要なのかが理解できないわけでありますけれども、大臣に伺いたいと思います。なぜ職場が変わればキャリアアップするんでしょうか。
  196. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) キャリアアップというのはそもそも何かというのがありますが、個人の職業上の能力を向上させることとか、あるいは職制上の地位が上がるとか、あるいは待遇が改善をするとか、そういうことを総称してキャリアアップと称するんだろうというふうに思いますが、一般的に、いわゆる正社員の皆さん方は、定期的な人事異動があって様々な職場を経験をされる中で、様々な業務を覚え、役割を経験をし、キャリアアップを実現をしているのではないかというふうに思います。  派遣労働で働く方についても、今回、課単位でございますけれども職場が変わることによって、業務内容、あるいは求められる能力とか適性、責任とか役割とか、こういう範囲が変わることによって様々な業務上のあるいは役割上の経験をされるわけでありまして、そういうことを通じてキャリアアップの契機になり得るのではないかというふうに考えているところでございます。
  197. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 これ以上お聞きしてももう平行線なのかもしれないんですけれども、それが私はおせっかいだというふうに思っておりまして、人の、それぞれの労働者のキャリアパスというのは様々だと思います。  先ほど大臣がおっしゃられたように、一般的に正社員は三年程度、あるいは前回の御答弁では部長は、大体周期は二年から五年というような御答弁もありました。一般的な正社員がそうだということでありますけれども、ただ、それに限らないと思います。例えば、本当に専門的な技能を高めたい、正社員でありながら専門的な技能を高めたい、あるいは、ずっと様々な働き方で働き続けながら自分の職を磨き上げたいというような方もいらっしゃるでしょうし、そのときは一概に三年で職場を変えればキャリアアップになるという、キャリアパスにもならないかと思いますし、私は、ですから、三年で職場を変えることが全ての、あるいは多くの労働者にとってキャリアアップにつながるだろうというのは非常に余計なおせっかいだというふうに思えてなりません。  そこで、大臣に続けて質問させていただきたいんですけれども、派遣就業を臨時的、一時的な働き方と位置付けたいのであれば、同一組織単位で一人の労働者派遣期間を三年に制限するといった、私から言わせればこういったおせっかいな期間制限規制ではなく、こういった中途半端な規制ではなくて、まず直接雇用転換の方向性と、それから有効な施策をしっかりと厚生労働省として打ち出すことが重要なのではないかと思いますが、今回この法案ではそこら辺が見られません。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  198. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げましたとおり、今回の改正案は、派遣労働を臨時的、一時的な働き方として位置付けることを原則とするとの考え方の下で、労政審建議に基づいて個人単位の期間制限を新たに設けるわけでありますが、同じ職場への派遣は三年を上限として節目節目でキャリアを見詰め直すという契機にしようと。そして、派遣元に新たに義務付ける教育訓練などと相まって、派遣で働く方のキャリアアップにつなげていくということでございますが、一方で、今委員指摘のとおり、直接雇用の推進というものを進めることはこれまた当然重要なことであるわけであって、派遣元に対しての直接雇用の依頼を含む雇用安定措置を今回も義務付けるということにしております、初めて。  それから、派遣先に対しても、正社員の募集情報の提供を義務付けるということにしておりますけれども、これらは個人の方がキャリアを見詰め直す中で効果が発揮をされるものというふうに考えております。  それから、これはもう何度も申し上げておりますけれども、予算措置で、派遣先派遣で働く方を正社員として採用する場合のキャリアアップ助成金を活用するというインセンティブも直接雇用の推進を図るものとしてしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  199. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 雇用安定措置については、これはまた別の機会に質問させていただきたいとは思っておりますけれども、十分なものではないと私は思っております。  続きまして、無期雇用派遣労働について伺いたいと思います。  今日午前中からも無期雇用派遣労働について何人かの委員から質問がありましたけれども、まず、ちょっと一問飛ばしまして、部長に伺いたいと思うんですけれども、午前中からもいろんな質問がありましたけれども、この事業所単位の期間制限の対象外と無期雇用派遣労働者がなってしまっているわけでありますけれども、こうすると労働者側意見を聴く機会すらなく、常用代替防止が機能しないというふうに私は考えているんですけれども、この質問に対しまして、先ほどから大臣また部長は、そんなことはないという答弁をされていますけれども。  この常用代替の防止ということを言うときに、それは単に今働いている正規雇用者が非正規雇用者、派遣労働者に置き換わるという狭い意味のことを意味するのではなくて、労働者全体の雇用の安定であったり又は常用代替防止ということでありますので、本来は常用雇用者、正規雇用者が担うべきそのポジションが、それが派遣労働者に置き換わってしまうということを防止するという意味があるんだと私は思っているんですが、そういった意味合いの常用代替防止の機能が果たされていない、機能しないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  200. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今回の改正は、派遣期間制限について見直しを行うとともに、派遣労働者雇用の安定でありますとか派遣労働者の保護をトータルとしてどう図っていくかということをパッケージとしてこの改正内容としておるところでございます。  そういった意味で、この無期雇用派遣労働者の方については、大臣からも御答弁させていただいておるとおり、有期雇用派遣労働者に比べて雇用が安定している、あるいはキャリア形成という意味でも長期的な観点からの支援も得られやすいということで、これは労働政策審議会の建議の中でもそういった意味で期間制限の対象から除外をしたということでございます。  当然、無期雇用派遣労働者についても、正社員化を希望される方については派遣元に対してのキャリアアップ措置も、先ほど全体のパッケージの改正の中では派遣元に対してキャリアアップ措置無期雇用派遣労働者の方についても当然義務付けておりますし、また、派遣先における正社員募集に対する情報提供ということも義務付けておりますので、私どもとして、今回の改正正社員を無期に推し進めるというものではなくて、やはりまさに今委員もおっしゃったように、改正全体として派遣労働者正社員化を進めようとするものでありますので、そういった意味で御理解を賜れればと思うわけでございます。
  201. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 今の御答弁ですと、確かに私は有期雇用派遣労働者よりかは無期雇用派遣労働者の方がどちらかといえばより安定しているというのは、私はそれは理解できます。  ただ、この無期雇用派遣労働者期間制限の対象外としてしまうと、これはやはり常用代替の防止が機能しないというふうに思っていますし、今の部長の御答弁だと私の問いに対してしっかりとお答えになっていないというふうに思っております。  例えば、いわゆる二十六業務、専門性の高い業務だから常用代替にはなりませんというんだったら分かるんですけれども、無期雇用派遣労働だから常用代替の危険性はありませんというのは、私はこれは理屈が、筋が通らないというふうに思っております。  そこで、もう一問部長にお聞きしたいと思うんですけれども、これ確認なんですけれども、どのように考えていらっしゃるかなんですが、無期雇用派遣であれば、無期雇用派遣もこれは派遣就業派遣労働ですけれども、臨時的、一時的な働き方でなくてもよい、つまり臨時的、一時的な働き方の例外というふうにするのかどうなのか、それが一点と、それから、無期雇用派遣であれば指揮監督する使用者雇用者が異なるなどの間接雇用の様々な問題点をクリアできるというふうに厚生労働省は考えているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  202. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 全体として御答弁申し上げますが、いわゆる間接雇用との関係ということで申し上げますと、これは前回あるいは前々回も御答弁申し上げたように、今委員もおっしゃったように、労働契約上の雇用主たる使用者業務上の指揮命令を行う者が異なるということでございますので、これはいろいろ中間搾取、強制労働が行われやすいとか、あるいは雇用責任が不明確になりがちであるとか、あるいは受入先の正社員の代替となりやすいというような、そういう問題をいわゆる間接雇用というのが抱えているということは事実でございます。  この関係について、労働者派遣法では、そもそも、前回以来申し上げているような許可、届出制であったり、労働基準法を中心とする派遣元派遣先責任の明確化、あるいは期間制限を中心としての常用代替防止の対応ということをやっておるわけでございますけれども、そういった意味で、無期雇用派遣ということであっても、委員指摘のように、いわゆる間接雇用の形態、使用者と指揮命令を行う者が異なるということについては相変わりませんので、そういった点であることは事実なわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろこの派遣就業に伴う問題のうちの常用代替以外の問題については、先ほど申し上げたような派遣法全体のパッケージとしての対策も講じられているということでございますので、この無期雇用派遣の働き方については有期の働き方との関係での雇用の安定ということがありますので、そういった意味では、労働市場全体としては安定的な雇用を増やしていくという観点で、冒頭、一点目の御質問であった臨時的、一時的な働き方の原則の例外ということで、これは期間制限の例外という形でさせていただいているということでございます。
  203. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 質問が残っていますが、次回に回したいと思います。  終わります。
  204. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 薬師寺みちよでございます。  今朝ほどから問題になっております、今回の改正において特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を廃止して全ての派遣事業者を許可制とすることということについて、私も今日は問いただしてみたいと思うんですけれども、この改正にどのような意義があるのか、まず大臣、お答えいただけますでしょうか。
  205. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今お話がございました特定労働者派遣事業というのが今届出制でございますけれども、現在四分の三が届出制となっておりまして、この届出による特定労働者派遣事業、これにつきましては、一つ雇用する労働者の中に有期雇用で働く方が多く含まれている、それから、許可制の下で運用される一般労働者派遣事業と比較をいたしまして行政処分の件数が多い、それから、許可要件を満たせないがために特定労働者派遣事業と偽って一般労働者派遣事業を行っている事業者がいる、こういったようなことなどが問題としてあるというふうに指摘をされているわけでありまして、このため、今回の改正案では、労働者派遣事業を全て許可制とすることによって全ての派遣元事業主一定期間ごとに許可更新手続を行うとともに、都道府県労働局による定期的なチェックを行うことによって業界の健全化を図ってまいりたいというふうに思うところでございます。
  206. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私も、この業界の健全化を図るといった点にはもう大賛成でございまして、是非もっともっと推し進めるためには何が必要なのかということをこれから質問をさせていただきたいと思います。  まず、労務管理です。労働時間の管理というのは派遣元が行うんでしょうか、派遣先が行うんでしょうか、坂口部長、教えてください。
  207. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  労働基準法関係法令等の労働者保護法規の労働者派遣事業に関します適用につきましては、原則として、派遣中の労働者と労働契約関係にある派遣元責任を負うということとされておりますが、御質問の、派遣中の労働者に関して派遣先業務遂行上の具体的な指揮命令等を行っているということでありますので、御質問の労働時間管理ということにつきましては、派遣先責任を負わせているということでございます。
  208. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、過重労働面談は派遣先でしょうか、派遣元、どちらでしょうか、教えてください。
  209. 政府参考人(岡崎淳一君)(岡崎淳一)

    政府参考人(岡崎淳一君) 長時間労働の場合の医師の面接でございますが、これはその労働者雇用全体について責任を負っている派遣元の方の責任というふうにしております。
  210. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  今日は資料一を準備させていただきました。これが二重支配の怖さでございます。派遣元雇用している、そして派遣先の指示命令系統を受けているということによって、この医師面談指導一つ取ってもこのように複雑な状況になっております。  毎月一回以上どのような残業を行っているかというものを派遣先派遣元報告をいたします。派遣元は、そこで、これは百時間以上残業したなということが分かれば産業医と面談をしていくわけです。今度は、その派遣元の産業医が派遣先に対していわゆるどのような措置をしたらいいのかということを指示していく、こういう複雑な図がここに形成をされてしまいます。  岡崎局長、一点だけお伺いしたいんですけれども、ちょっと通告にはございませんが、簡単な質問なのでお答えいただきたいと思います。  先ほど大臣からもお答えいただきましたような、特定労働者派遣事業所というものがいわゆる四分の三を占めている。このほとんど八〇%以上が従業員の規模が五十名以下という小さな事業所でございます。この場合に、誰がこの長時間労働の面談を行うのか、教えていただけますでしょうか。
  211. 政府参考人(岡崎淳一君)(岡崎淳一)

    政府参考人(岡崎淳一君) 五十人未満の事業場ですと、産業医の選任自体は義務付けられておりませんが、これは産業医ということではなくて、長時間の場合につきましては医師の面接を行っていただくということになっているということでございます。
  212. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  結局、五十人未満ということになると、産業医の選任義務もない。これ、大変危ない状況ですよね。  結局、じゃ、ここで大きな問題が発生をしてまいります。派遣労働者に対しまして派遣先が労働時間の管理を行う、そして派遣元が産業医の面談指導を行うという分離された状況、かなりこれ弊害が生じてくるんじゃないか。特に、この今特定で行っていらっしゃる事業所、産業医も選任されていない、本当に面談が行われているかどうかも危うい状況でございます。  この辺りの弊害について、副大臣、これからどのような策を講じていらっしゃるつもりなのか、そして今どのような策を講じていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。
  213. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 先日の委員会でも御質問いただきましたとおり、この派遣労働者の健康管理、非常に複雑な状況でありますけど、まずは雇用関係を有する派遣元で管理を行う、必要に応じて派遣元派遣先が連絡調整を行う、この間も説明させていただいたところでありますが。  こうした仕組みの中で、派遣労働者に対する過重労働による健康障害防止のための措置が適切に行われるためには、派遣元派遣先の連携というものが適切に行われることが必要であると考えておりまして、じゃ、今何をしているかと、これまでということなんですが、まずは、派遣先で把握した派遣労働者の労働時間の月ごとの派遣元への通知を行うと。もう一つが、健康管理の一環としてでありますが、労働時間の短縮等の就業上の措置、ここにも書いてございますけれども、それを実施するに当たっての派遣元派遣先の連絡調整実施について指導、啓発、こうしたことを行ってきたわけでございまして、必ずしも十分ではないという御指摘前回からいただいておりますが、しっかりこの指導等も強化してまいりたいと考えております。
  214. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  前回もお願いいたしましたけれども、いわゆる派遣元というのは大変弱いポジションにございます。派遣先へ申入れをしながら改善が図られない場合に、派遣元は一体どうしたらいいんでしょう。御意見いただけますでしょうか。
  215. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) おっしゃるとおり、派遣労働者に対する医師による面接指導の結果に基づく就業上の措置につきましては派遣元の事業者の義務とされているわけでありますけれども、一方で、御指摘のとおり、面接指導結果に基づいて派遣元事業者が講じる措置の中には、派遣労働者の職場環境の改善など派遣先でなければ実施できない、そういうものもありまして、先ほど来より言っているように、十分な連絡調整をやらなきゃいけないと。  具体的には、派遣元の産業医等から出されました就業上の措置に関する意見派遣先に伝達し、職場環境の改善の検討を依頼する等の取組がなされることが必要であると考えておりますが、なかなか実態がおぼつかないという中で、派遣元がこの義務をきちんと履行するという意味合いでは、依頼等を行っても派遣先事業者の協力が得られない場合は、派遣労働者の意向を踏まえつつ、派遣元事業者が当該労働者について派遣先変更を含めた対応を取るべきだと考えております。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
  216. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  実は私、特定労働者派遣事業所の産業医もやっておりました。ひどいものでございます。労働時間は何時から何時までですかと言ったら、十時から二時までと言うんですよ、十時から二時まで。これ、午前十時から午後二時じゃないんですよ、午後十時から午前二時までなんですよ。十時にならないと業務が終わらない。二時にならないと、日付変更線を越して二時にならないと業務が終わらないから、この間に長時間労働の面談をやってくれと言うんですよ、電話で。こんなひどいことはないです。私も行ってびっくりいたしました。なかなか特定の事業所の中で産業医が見付からない、当たり前です。こんな責任を持たされる産業医、たまったものじゃないですよ。  そして、行ってみていろいろ面談を行いました。百二十時間なんて一番少ない方です。百四十、百五十、当たり前です。それも、その行っている派遣先状況でいろいろ措置を行ってくれと私も何度もお願いをいたしましたけれども、結局派遣先から蹴られるんですね。なぜならば、その派遣先、もう私も、様々これ有名メーカーが並んでおりまして、そこは五、六社の派遣元が行っているんですよね。みんなそういう状況なので、君のところだけ特別扱いするわけにはいかないよというんですよね。こんなことがまかり通っている。私だけかと思いましたら、いろいろ産業医の先生にも伺ってみましたけれども、やっぱり特に私が行っていたIT業界でこのようなひどい状況というものが続いていることが分かってきております。  じゃ、一体このIT業種で一般、特定派遣、どのくらいの人数の方々が働いていらっしゃるのか、部長、教えていただけますでしょうか。
  217. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) IT関連の職種の労働者状況でございます。  私どもの方で、派遣元事業主に毎年報告を求める労働者派遣事業報告によりますと、平成二十六年六月一日現在、この関連の職種ということでソフトウエア開発業務に従事される派遣労働者の方でございますけれども、一般派遣元事業主雇用される方が四万四千百十九人、特定派遣元事業主雇用される方が七万四千七百八十一人ということで、合計で十一万八千九百人ということになっております。
  218. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  ですから、百二十万人ぐらいいらっしゃる派遣労働者の皆様方の中で十人に一人ぐらいはこのような状況にあるかもしれないと言えるわけです。  このIT業種の中で、今回の改正でも激震が走りましたけれども、既にこのIT業種での問題というものは、多重下請構造であったり若しくは二重派遣の問題、偽装請負の問題において様々厚生労働省も指導を行ってきてくださっているかと思いますけれども、その状況について、坂口部長、教えていただけますでしょうか。
  219. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 今委員指摘ありましたこの派遣労働の多重下請あるいは二重派遣、偽装請負などの問題がございます。これにつきましては、都道府県労働局で派遣元事業主等に指導監督を行うということで把握に努めておるというところでございます。  これらの指導監督によりまして、一定労働者派遣法の抵触ということになりますれば、当然、行政指導ということで違法状態の改善を求めるわけでございますけれども、事案の態様によっては行政処分ということで、事業停止命令あるいは改善命令といった行政処分を行っているところでございます。  二十六年度につきましても、全体で行政処分を六十七件行っておるところでございますけれども、そのうちIT関連の行政処分は七件ということで、これらも二重派遣等の状況ということで承知しております。
  220. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  資料二を御覧いただきたいと思います。これは過去一年にメンタルヘルス不調で一か月以上休職、退職したいわゆる正社員の数でございます。突出して多いのが情報通信業だということがお分かりになられるかと思います。正社員でさえもこれだということは、更に弱い立場である派遣労働者の皆様方、体調を崩してメンタル不調になったら、もうどんどんどんどん首がすり替えられていくだけなんですよ。私もそういう状況の中におりまして、大変苦しい思いをいたしました。ですから、絶対に守らなければならないことということを守らないところはしっかりと名前を公表するぐらい厳しい措置が必要だと私は考えております。  この派遣労働者の劣悪な労働環境厚生労働省は把握をしていらっしゃると思います。把握をしているのかという問いにはもちろんイエスと答えていただきたいですし、改善を図るための策を講じているのか、しっかり副大臣、御説明いただけますでしょうか。
  221. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) IT業者派遣で働く方の労働環境につきましては、平成二十四年の派遣労働者実態調査報告によりますと、情報通信業におきまして、派遣労働者の九月最後の一週間の実労働時間数が五十時間以上と回答した割合が一一・二%でありまして、他業種と比べまして長時間労働の傾向があるといった実態を把握はしております。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕  こうした実態に対しまして改善を図る手だてを講じているのかということなんですが、まず派遣法の観点から申し上げますと、都道府県労働局等におきまして、派遣で働く方の相談や、また随時又は定期的な指導、監査を通じまして実態把握に努めておりまして、特にIT関連につきましては、行政処分につながる、先ほどもありましたけれども、派遣法違反が存在することを踏まえまして、重点的な指導監督を実施しておりまして、法違反が疑われる事案を把握した場合には行政指導等の必要な対応を行わせていただいております。  もう一つの観点は、労働基準法関連法令の観点からでございまして、労働基準監督署におきまして、IT業界を含めて、派遣労働者の適正な労働条件確保を図るために、派遣元事業場と派遣先の事業場双方に対しまして監督指導を実施して、労働基準関係法令に関わる労働環境というものを確認をさせていただいております。  その結果、法令違反等が問題が認められた場合には、労働派遣法規定に基づく派遣元派遣先責任分担に従いまして、双方の事業場に対してその是正改善を厳しく指導させていただいているところでございます。
  222. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  相談窓口を設置していらっしゃるということですけれども、なかなか相談には行けません。行けないぐらい労働時間が長いんです。  その相談窓口を設置していらっしゃっても、IT業界でまず就職なさる方というのは、結構、理科系の大学を卒業して、若手の方々なんですね。ですから、余り労働に対しての知識もない。そして、自分がここまで酷使されているということに対しても、自分の技術の方が追い付いていないからじゃないかということで大変苦しい思いをして、結局バーンアウトして潰れていってしまうがために、今IT業界ではエンジニアの不足というものも結構問題にはなってきております。  ですから、IT業界がこうだからというわけでもなく、もしかしたら業界業界によって何かそれなりの特徴があるのかもしれないと私は考えております。ですから、今、私はIT業界ということをちょっと例にして取り上げてまいりましたけれども、それ以外にもどうも業種によって長時間労働というものが問題になっているところがあるのではないかと思いますけれども、厚労省としてどのような把握をしていらっしゃるのか、副大臣、教えていただけますでしょうか。
  223. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 先ほどの調査におきましても、他業種も調べさせていただいておりまして、この情報通信業よりも多かった業種といたしましては、生活関連サービス業、娯楽業が二〇・八%、また建設業が二〇・一%、機械関連製造業が一二・八%、またサービス業が一一・六%という形で把握をさせていただいております。
  224. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  しかし、これ、氷山の一角だと思ってください。本当にサービス残業をしても何をしても全く分からないように、実はいろんなところで調整がなされていらっしゃる方々もいらっしゃいます。ですから、そういうものを、私たちはしっかりその真実を見詰めて指導していただかなければならないと考えて、厚労省の方には働きかけをこれからも強くしていただきたいと思っております。  今回、私、もう一点懸念している事項がございます。特定派遣というものが廃止されると、先ほど私が申しましたような偽装請負、二重派遣のようなものがまた常態化してしまうようなことになるのではないか。このような懸念について、厚労省はどのような策を取られるのか、副大臣、教えていただけますでしょうか。
  225. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 今回の法改正におきましては、冒頭おっしゃっていただいたように、全てを許可制に移行させるということがありますけれども、これには三年の経過措置を設けることとさせていただいております。  許可への移行のための相談だとか、また許可に移行できない事業主に対して事業転換等の相談を行う支援事業というもの、これは予算事業でありますが、実施することとさせていただいております。これらの支援策等を通じまして、今回の法改正によって偽装請負が増加することがないよう、今後とも都道府県労働局において指導監督の徹底をしっかり図ってまいりたいと思います。  と同時に、労働者派遣法の適用を免れると、そういった目的でいわゆる御指摘の偽装請負などを行った者につきましては、平成二十七年十月一日より施行される労働契約申込みみなし制度の対象となります。そのことをしっかり周知を含めて対応してまいりたいと考えます。
  226. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  今までの様々な議論の中においても派遣元というものの体質が問われてまいりました。しかし、私は、先ほどから申しておりますように、派遣先の体質というものもこれかなり悪いところがございます。ですから、派遣労働者の皆様方というものが、派遣先によって労働時間が把握されているのであれば、その時点でもうおかしいと思わなきゃいけないんですよね、派遣先の。しかし、そういうこともなく、派遣元に平気な顔で長時間労働の勤務表を渡し、是正の措置にもなかなか応じてもらえない。  どのようなことを行ったらいいのかということを副大臣にも先ほどお尋ねをさせていただいたかと思うんですけれども、これ、派遣先の監督指導というものを更に厳しくしていただかなければならないと思います。そうやって労働者というものの体調が悪くなれば首をすり替え、それで成果が発揮されればそれでいいんだと思ってもらっては困るんです。派遣先ほどしっかりと労働者の皆様方の健康を守り、そしてしっかりと労働条件を守るということを指導を徹底していただきたいと思いますけれども、副大臣、御意見いただけますでしょうか。
  227. 副大臣(山本香苗君)(山本香苗)

    ○副大臣山本香苗君) 先ほども答弁ありましたけど、労働者派遣法は、派遣元だけではありません、派遣先に対しても一定の義務を課しているわけでございまして、そうしたことを踏まえて、都道府県労働局において実施している労働者派遣法に基づく指導監督、派遣元のみならず派遣先にもしっかりとしてまいりたいと思っておりますが、また、労働基準監督署におきましては、今日御質問いただいたIT業界を含めまして、労働基準関係法令違反の疑いのある事業場に対しての監督指導を実施しております。  これは、派遣先労働者の方だけではなくて、そこにいらっしゃる、派遣されている労働者の方を含めて、労働基準関係法令に関わる労働環境について確認をさせていただいておりまして、その結果、派遣労働者に係る法令違反等の問題が認められた場合には、労働者派遣法規定に基づいて、派遣元派遣先責任分担に従いまして、双方にその是正改善を厳しく指導しているところでありまして、引き続ききちっと派遣先につきましても指導をしてまいりたいと考えております。
  228. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私は、派遣先にも産業医として行っていた経験がございますけれども、ここおかしいぞというところは全く指導もされていない。いわゆる派遣元にいたときにも、こういう派遣労働者の皆様方の使い方をしていたら到底指導があってもいいだろうと思ったら、一向に入ってこない。  だから、結局、その一番肝の肝のところというものが全く厚労省の方で把握されていない可能性もございますので、今回改正に当たりまして、しっかりとコントロールをしていただきたいと思っております。  では、大臣に、最後一問お尋ねをしたいと思います。  今日いろいろ議論をさせていただきましたけれども、健康管理、労務管理というもの、かなりこの二重支配の中で困っていらっしゃる派遣労働者の皆様方がいらっしゃいます。使い捨てのよう、本当に、先ほどもございましたけど、物のように扱われているという、こういう現状があるような派遣先もございます。  この派遣先派遣元というものが更に密接な連携が図られるよう、制度の整備などを含めて対応をお願いしたいんですけれども、御検討いただけますでしょうか。
  229. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今日は、産業医を御経験になった先生から、間接雇用であるがゆえの複雑な、健康管理の不十分な点について御指摘をいただいたところでございます。  一義的には雇用関係を有する派遣元責任を持って健康管理を行うということでありますけれども、まずは派遣元で健康管理を行って、必要に応じて派遣元派遣先が連絡調整を行うということになっているのが今の仕組みで、形としてはこれが適切ではないかと思っております。  そして、その仕組みの中で、派遣元派遣先の連絡調整が適切に行われないとなかなかうまくいかないということがありますので、これまでも指導、啓発を行ってまいりましたけれども、今日、薬師寺先生から御指摘をいただいたように、派遣元派遣先の連携というのが十分になされていない事例で極端なことも起きているということでございまして、そのことも認識を私どももして、更に連携を充実強化するために、健康診断や面接指導の結果についてしっかりとそれを踏まえて、派遣元就業上の措置を講ずる場合に必要に応じて派遣先が協力すべきことなどについて、派遣元派遣先にしっかりと求めていくことを検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  230. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  最後、一点お願いでございます。  このように、物のように扱われて健康を害された派遣労働者の皆様方のなかなか救済がなされません。結局、こうやって派遣元派遣先の連携が悪いがために、健康を害し、そして休職に追い込まれ、結局は退職せざるを得なくなってしまった、そういう方々の救済についても更に厚労省では御検討いただきたいと思います。  先ほど、森本委員からもございましたけれども、いわゆる許可基準そして許可条件というものの中でもしっかり、健康管理であったり労務管理というような面、徹底していないところにつきましては再許可というものを取消しをするというようなことも含めて御検討お願いしたいということを私、最後に申し上げまして、質問、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  231. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  無期雇用派遣労働者雇用安定措置、三十条の対象となっていない理由はなぜでしょうか。
  232. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今回の改正案では、公労使で構成する労政審建議を踏まえまして、派遣労働は臨時的、一時的を原則としつつも、無期雇用派遣で働く方については、雇用の安定やキャリアアップの観点で問題が少ないために、この原則の例外として、期間制限やそれを前提とした雇用安定化措置の対象外としているわけでございます。  なお、労政審建議を踏まえて、派遣元事業主無期雇用派遣で働く方を派遣契約終了のみをもって解雇しないようにすることを指針規定をして、また許可基準に記載をすることによって、これによって無期雇用派遣で働く方の更なる雇用の安定が図られるものであるというふうに考えております。
  233. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 派遣労働者無期雇用となることをもって雇用の安定化とみなすことは問題ではないですか。
  234. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 無期雇用となることをもって雇用が安定しているとみなすのは問題じゃないかと、こういうことでございましたが、無期雇用派遣で働く方は、有期雇用派遣で働く方と比べまして雇い止めがないなど雇用の安定やキャリア形成の観点から相対的にこれは問題が少ないと考えているところでございます。  さらに、今回の改正案におきましては、長期的な観点から教育訓練を実施すること、それから、派遣先との派遣契約終了のみをもって解雇しないようにすることを派遣会社の許可基準に記載をすることなどの措置を講ずることによって、更なる雇用の安定を図られると考えておるわけでございます。  派遣で働く方の八割強が有期雇用派遣で働く方でございまして、これらの方がより雇用が安定した無期雇用派遣となっていただくことは、労働市場全体としても望ましいのではないかというふうに考えておるところでございます。
  235. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 先ほど同僚委員からも質問がありましたが、派遣切りのときは、無期雇用であってもばっさばっさみんな切られたわけですよね。今回、指針で、派遣元無期雇用派遣労働者派遣契約終了のみをもって解雇してはならないことを指針規定するということで大臣からも答弁があったわけですが、でも、派遣先がこの人は結構ですといってお引き取りを願うというか、派遣契約終了をする。そうすると、派遣元で雇い続けなければならない。しかし、そのとき、その人は休業手当ですよね。休業手当というのは六割ですけれども、実際は三か月の就労でやって、そして実際払うときは就労日でやりますから、実質的には四割ぐらいしか払われないんですね。ぎりぎりの生活をしていて、休業手当半分ぐらいで生活できないでしょう。不安定じゃないですか。
  236. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 派遣元が次の仕事を見付けられなくなったことなどを理由無期雇用派遣で働く方を休業させる場合には、今お話がございましたけれども、原則として休業手当、この支払が必要になるわけでございます。一般に、派遣元派遣を行わなければ派遣料金を得ることもできないために、これは休業手当の支払が必要となるわけでありますけれども、無期雇用の場合は、しかし、特にできる限り速やかに新たな派遣先を紹介できるように派遣元も努めるものと考えられるわけであります。  また、無期雇用派遣については、有期雇用派遣に比べると雇い止めがないなど雇用が相対的に安定をしているわけであって、またさらに、労政審建議というのを踏まえて、派遣元無期雇用されて派遣で働く方を派遣先との派遣契約終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準指針に定めることから、今回の改正によって、派遣契約終了があっても、事業の存続が可能な事業主許可申請を行うことなどを通して、無期雇用で働く方の更なる雇用の安定が図られるものというふうに考えているところでございます。
  237. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 端的に答えていただきたいんですが、有期の派遣は確かに不安定です。しかし、派遣元無期雇用であれば安定しているかというと、そうではない。一生派遣のままだし、それから契約期間が切れてしまえば派遣元で休業手当をもらうしかない。休業手当は、それはもらわないよりはいいかもしれないけれども、例えば半分ぐらい、今までの給料の半分で暮らしていけるわけがない。無期雇用も不安定なんですよ。しかも、紹介された仕事を拒否すれば、それは休業手当すら払われなくなるかもしれない。派遣元無期雇用であっても、決して安定しているとは言えないし、食べていけないんですよ。休業手当で食べていけない。  大臣、どうですか。
  238. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) それは先ほどお答えしたとおりでございまして、当然、無期雇用で雇っている場合の派遣労働者については、派遣元としては、やはりこれはできる限り速やかに新たな派遣先を紹介をしないと休業手当を払い続けるということになるので、休業手当が暮らしに十分ではないというお話とは、それはまた、それ自体はレベルの問題として問題だとは思いますけれども、派遣元が当然インセンティブとして行わなければならないのは、無期雇用である限りは新たな派遣先を紹介できるように努めるということがございますので、そのように派遣元は行動するものではないかというふうに考えているわけでございます。
  239. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 でも、結局、使い捨てが進むんじゃないか。つまり、ウ飼いのウじゃないけれども、でも人間ですから、ここは嫌だとか、遠いとか、いろんな条件が折り合わないとか、そういう仕事はしたくない、向いていない、いろいろありますよね。交通、今の住まいから二時間も三時間も掛かる。それを拒否すると、もうゼロになるんですよ。  しかも、結局、休業手当で食べていけないわけで、実際は辞めることになってしまうんじゃないか。有期契約も不安定だけれども、派遣元無期雇用だから安定しているという言い方は当てはまらないというふうに思います。あるいは、年齢を重ねていって、仕事の紹介がどうしてもなくなって、休業手当で食べていけないということだってあると思うんですね。  ちょっと話が戻って済みませんが、無期雇用の場合、直接雇用を禁止したり制限したりすることは問題ですよね。
  240. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 無期雇用の場合というのは派遣労働者ということだと思いますけれども、その点につきましては、派遣法の三十三条に派遣労働者に関する雇用制限の禁止という規定がございますので、そういった点を制限するということは問題だと思います。
  241. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 派遣元企業が直接雇用、申し入れるというか、直接雇用を何らかの形で制限や問題視することは問題であるという答弁でした。  次に、キャリアアップ研修についてお聞きをいたします。派遣元が行う教育訓練について、派遣先における就業時以外に行うことが通常だと思いますが、週末や夕方に研修を行う場合に、これを無給で行おうとすると、所定労働日、所定労働時間外の労働に対する賃金不払となり、労働基準法違反となるということでよろしいですか。
  242. 政府参考人(岡崎淳一君)(岡崎淳一)

    政府参考人(岡崎淳一君) 今回、新たな派遣法改正によりまして、三十条の二に基づく教育訓練、これにつきましては、基本的に派遣元派遣労働者に受講を命じて行うということでありますので、これは労働時間の範囲内ということでありますので、これに対して賃金を払わないということであれば、労働基準法の二十四条の違反ということになります。
  243. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 これは現行法でも同じですよね。休日労働や時間外労働を命ずることは労働基準法違反に明確になりますよね。  それで、改正法三十の二に定める教育訓練に関しては、有給、無償でなければならないという条文はありませんが、これは書き込まれるんですか。
  244. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) 条文上、特に有給、無償ということを書き込んでいるということではございませんけれども、今回の改正案は、今基準局長の方からもありましたように、三十条の二第一項で新たに義務付けているということでございます。  義務として履行するという計画的な教育訓練ということでございますので、これは当然のこととして義務として履行するものでありますので、有給でなければならないということで考えておるというところでございます。
  245. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 これは、指導を徹底するために指針に書くとか、何かそういう形になるんでしょうか。
  246. 政府参考人(坂口卓君)(坂口卓)

    政府参考人坂口卓君) その点については、指針等で明確化することについて検討したいと思います。
  247. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 自発的な研修なのか、いや、事実上強制されているのか。現実には、実際は行かなくちゃいけないけれども、なかなか、ワタミのケースも、過労死で亡くなった女性の裁判の中でも明らかになりましたが、休日に研修があったり、何かレポートを書かなくちゃいけない、実はそういうことって結構横行しているんですよね。ですから、派遣の場合のキャリア研修で、絶対にそれは時間外労働であり、休日労働であり、基本的にそれはきちっと有給そして無償でなければならないという点はしっかり徹底していただきたいというふうに思います。  それは、研修に掛かる費用、講師招聘代、教材代、交通費などを派遣元が負担しても同じということでよろしいですね。
  248. 政府参考人(岡崎淳一君)(岡崎淳一)

    政府参考人(岡崎淳一君) 三十条の二に基づく教育訓練であれば、そこのところはどういう形であれ労働時間に算定されるということでございます。
  249. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 研修派遣元業務命令か、派遣労働者の自主的な参加であるかどうかは、どのように判断するんでしょうか。実質的にはそこに参加せざるを得ない状況があれば、それはある程度業務命令ということでよろしいですね。
  250. 政府参考人(岡崎淳一君)(岡崎淳一)

    政府参考人(岡崎淳一君) 三十条の二に基づくものにつきましては、これは一律に業務命令ということになります。  それ以外、三十条の二以外の教育訓練ということであれば、これは真に任意かどうかということにつきまして、これは個々のケースに応じまして判断するということでございます。いろんな形で参加が強制されているということであれば、それは労働時間にカウントされるということでございます。
  251. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 実質的に、ほぼ、ほとんどの労働者がその研修に参加をせざるを得ない状況があれば、それは業務命令ということでよろしいですか。
  252. 政府参考人(岡崎淳一君)(岡崎淳一)

    政府参考人(岡崎淳一君) 最終的には個別の判断でありますが、基本的に強制になっているかどうかということで最終的な判断をしていくということになります。
  253. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 派遣元無期雇用労働者も、結構こういう点では大変厳しい状況が出てくると思うので、これはしっかり有給、無償であるという点の徹底をお願いをいたしますし、決して無期雇用であれば安定化ではないということも申し上げたいと思います。  次に、派遣労働者の産休、育休の取得についてお聞きをいたします。  これは何回か聞いておりますが、第一子出産前後の女性就業継続割合は、パートタイム労働者派遣労働者は一八・二%にすぎません。正社員の場合が五二・九%であることに比べて非常に低いと。これで、派遣労働者とパートタイム労働者を分けた数字を厚生労働省は把握をしているでしょうか。派遣労働者に特化した調査を行う予定はあるのか、いつ頃それが出てくるのでしょうか。
  254. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 平成二十三年の十月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した調査によりますと、労働者就業形態は、派遣、嘱託、契約社員というのが一つのジャンルとして把握をされているわけでございまして、派遣労働者のみについての継続就業率を算出することは、これはなかなかできないということになっております。  また、次回の同調査も同様の調査票で既に調査を実施済みでございまして、前回平成二十二年の六月で、先般二十七年の六月に行われたときでございまして、派遣労働者のみについての数字というのは把握が現段階ではできないということになっております。  なお、現在、いわゆるマタニティーハラスメントの実態や育児休業の取得状況などについて把握をするために、派遣労働者も含めて雇用形態別に把握できる調査の実施を予定をしておりまして、年内には調査結果の概況の公表を行いたいというふうに考えております。  具体的な調査内容については現在検討中でありまして、御指摘の点も含めて、この調査の中でどのようなことができるのかを工夫してまいりたいというふうに考えております。
  255. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 派遣法改正法案はそのような実態調査が終わってから提案をすべきではないでしょうか。ただでさえ育休、産休が取りにくいとか、現場状況をたくさん聞いています。実態調査もこれからという中で、なぜこの派遣法改正法案が先行して出てくるのか、よく分かりません。  育児休業を取得していた有期派遣労働者、例えばAさんが復帰した際、元の派遣先に後任の人が既にいたり、そもそも派遣契約終了している場合があります。その場合、派遣労働者Aさんはどのように処遇されるのでしょうか。
  256. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 育休から復帰をした場合のお尋ねが今ございましたが、復帰をしたけれども既に元の派遣先に後任がいるというような場合、あるいは当該派遣先との派遣契約が終わってしまっているなどの事情によって元の派遣先に再度派遣することができない場合には、派遣元は当該派遣労働者に対しまして派遣先の紹介などについて努力をしていただくことになると考えております。
  257. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 努力ですか。  Aさんに対して派遣元が新たな派遣先を必ず提供する義務を課す規定はありますか。
  258. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今、派遣元が新たな派遣先確保することは義務付けられているかということでお尋ねがございましたが、それは義務付けられてはおりません。
  259. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 ですから、女性たちは、男性もそうですが、女性は産休取れないし、女性も男性も育休は取れないんですよね。  なぜなら、自分が育休取って、戻るときに後任がいる、あるいはもうその契約期間が過ぎていたら、自分は、何も派遣先を提供する努力はするけれども義務がないわけだから、そこでもう戻るところも派遣先もないんですよ。ですから、有期契約派遣労働者は特にそうですが、無期雇用もそれに近いとは思いますが、実際三年単位で働くとかいう形になれば、絶対に、そこで妊娠したり出産したりすると、次、契約更新されない、あるいは、そこで絶対に仕事の紹介をしてもらえない、行き場がなくなる、育休で職場復帰をしてもどこにも行き場がない。  努力中だったら、その人は一体どうなるんですか。
  260. 国務大臣(塩崎恭久君)(塩崎恭久)

    ○国務大臣塩崎恭久君) 今、その派遣先を新たに探すことが努力をされても見付からない場合はどうするのかと、こういうお尋ねだったと思いますが、もちろんまずそれが、派遣の方が無期雇用派遣であれば、これは労働契約が継続する限りは、雇用契約が継続をすることによって、仮に仕事がなくても休業手当は先ほどのお話であったように出るわけでございますが、残念ながら、有期雇用派遣の場合にあっては、労働契約の終わりでもって労働契約自体は終わってしまうということがありますが、今厚生労働省では、今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会というのを開いております。先頃、報告書を取りまとめたところでございますが、この報告書においては、育児休業取得後の派遣労働者の継続就業機会の確保の努力を派遣元において行うことを何らかの形で徹底することを検討すべきと、こういう提案をいただいております。この提案を受けて、今後対策を検討をしてまいりたいというふうに厚労省として考えているところでございます。
  261. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 Aさんが育休取って戻っても、もう契約期間終了している、派遣先に後任の人が既にいる場合にはもう行き場がないというか、今の話で、派遣先をどこか努力をするというだけで、結局Aさんは、必ず提供する義務が派遣元にありませんから、それで実は職を失うんですね。ですから、育休を取るということは事実上の育休解雇になると。  そういう中で、これから実態調査をされるということですが、派遣で働いている女性、全体の割合は女性は七五%ですよね。派遣って、やっぱり女性が多いんです。でも、その中で産休、育休を取ったという私は派遣労働者に実は会ったことがないんですよ、もう都市伝説のような。派遣で育休取ったなんという人に会ったことないですよ。いたら本当にお会いしたいと思いますけれども、いるのかもしれませんが、本当に私自身は会ったことがないですね。今度、実態調査が出るということですが、取れないんですよ。三年の有期契約で、でも派遣で取るということは本当にできない。  今大臣は、派遣元が努力すると言ったけど、どう努力するんですか。
  262. 政府参考人(安藤よし子君)(安藤よし子)

    政府参考人安藤よし子君) 派遣元におきましては、育休が明ける労働者に対して、その派遣先確保について努力をしていただくということでございます。
  263. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 ごめんなさい。意味が分からないので、もう一回言ってください。
  264. 政府参考人(安藤よし子君)(安藤よし子)

    政府参考人安藤よし子君) 失礼いたしました。  派遣元におきましては、育休を取得している派遣労働者が復帰するというときに当たりましては、その派遣先の紹介等について努力をしていただくように、それを明らかにしていくような方策を検討したいと考えているところでございます。
  265. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 ちょっと分からないんですが、無期雇用でなくてその人が有期の場合でも、派遣元は一体どういう努力をするんですか。
  266. 政府参考人(安藤よし子君)(安藤よし子)

    政府参考人安藤よし子君) 有期契約派遣労働者でありましても派遣先確保する、復帰の時期というのは分かっているわけですから、それに合わせまして派遣先確保する努力をしていただくということになろうかと思います。これは、ほかの有期派遣労働者に対して派遣先確保するという努力を派遣元はしているはずでございますので、その復帰に合わせまして、有期契約派遣労働者の育休の復帰に当たりましてその努力をしていただくことを明らかにしていくと。
  267. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 今まで派遣元の会社が事実上の育休解雇を受けた人やそういう人に対して努力をしているということの実態はあるんでしょうか。どんな努力でしょうか。努力中と言えば努力をしていることになるんでしょうか。
  268. 政府参考人(安藤よし子君)(安藤よし子)

    政府参考人安藤よし子君) 派遣元事業主が通常の雇用している、あるいは登録している労働者に対して派遣先確保する、その努力と同程度の努力はしていただかなければいけないというふうに考えておりますし、また、先ほど大臣からも指摘のありました報告書の中でも、そもそもそうした育児・介護休業法に関して派遣元雇用主としての責任を負っているということ自体が余り自覚されていないということもあるのではないかというふうに考えておりますので、その点につきましても今後対策を検討していきたいというふうに考えております。
  269. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 子供を産んだばかりの女性が、なかなか仕事見付けられないですよ。努力をしてもらうといっても、条文にきっちりなければ、普通の正社員であれば育休取って解雇されたり退職強要を受ければ大問題になりますが、だから派遣という働き方がとても不安定なんですよ。  産休、育休を取るという当たり前の人間の権利が保障されない。少子化、少子化と言っているけれども、働き盛りの二十代、三十代、四十代の女の人が派遣で子供を産んで育てるということができないんですよ。  どんな努力があるんですか。
  270. 政府参考人(安藤よし子君)(安藤よし子)

    政府参考人安藤よし子君) 委員指摘のように、派遣労働者、特に有期契約派遣労働者に特有の困難性があるということについては認識をしておりますので、その育児・介護休業法上の事業主責任派遣元がしっかりと負っていくということにつきまして、また、派遣労働者もそうした休業が取得できるということについての周知を徹底してまいりたいと考えております。
  271. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 いや、女性労働者は産休、育休の権利があると思っても、でも、例えば中絶を迫られたとか、もうあなたは契約更新拒絶ですと言われた例を聞いていますよ。自分に権利があると思っても行使ができないんですよ、三年の有期契約派遣だったら。権利はあるけど行使ができない。まあ集団的自衛権の行使と全然違いますが。権利はあるが、行使はできないんですよ。だから、その面では全く権利として保障されない。  ですから、この法律というか、私は、派遣法の中で派遣という働き方をできるだけ狭めて、できるだけ均等待遇するなら分かりますが、派遣を広げていく、こういう法律には反対です。  正社員への道を保障しない、こういう派遣法の改悪法案は廃案しかないと申し上げ、質問を終わります。
  272. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  273. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及び労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 委員長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会      ─────・─────    〔参照〕    名古屋地方公聴会速記録  期日 平成二十七年八月六日(木曜日)  場所 名古屋市 名古屋東急ホテル    派遣委員     団長 委員長      丸川 珠代君        理 事      大沼みずほ君        理 事      羽生田 俊君        理 事      福岡 資麿君        理 事      津田弥太郎君        理 事      長沢 広明君                 島村  大君                 滝沢  求君                 石橋 通宏君                 牧山ひろえ君                 川田 龍平君                 小池  晃君                 行田 邦子君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君    公述人        トヨタ自動車株        式会社人材開発        部長       伊藤 正章君        テンプスタッフ        ・ピープル株式        会社専務取締役  山本 光子君        元派遣労働者   田中 千秋君        弁護士        日本労働弁護団        常任幹事     樽井 直樹君     ─────────────    〔午後一時開会〕
  276. 団長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    ○団長(丸川珠代君) ただいまから参議院厚生労働委員会名古屋地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします厚生労働委員長丸川珠代でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、本日の地方公聴会に参加をしております委員を紹介させていただきます。  私の右隣から順にまず端まで行きますが、自由民主党福岡資麿理事でございます。  同じく羽生田俊理事でございます。  同じく大沼みずほ理事でございます。  同じく滝沢委員でございます。  同じく島村委員でございます。  日本共産党の小池委員でございます。  無所属クラブの薬師寺みちよ委員でございます。  次に、私の左隣から御紹介させていただきます。  民主党・新緑風会の津田弥太郎理事でございます。  公明党長沢広明理事でございます。  民主党・新緑風会の牧山ひろえ委員でございます。  同じく石橋通宏委員でございます。  維新の党の川田龍平委員でございます。  日本を元気にする会・無所属会の行田邦子委員でございます。  社会民主党・護憲連合の福島みずほ委員でございます。  次に、公述人方々を御紹介申し上げます。  トヨタ自動車株式会社人材開発部長伊藤正章公述人でございます。  テンプスタッフ・ピープル株式会社専務取締役山本光子公述人でございます。  元派遣労働者田中千秋公述人でございます。  弁護士・日本労働弁護団常任幹事樽井直樹公述人でございます。  以上の四名の方々でございます。  この際、公述人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。  皆様方には、御多忙のところ、また暑い中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  当委員会におきましては、現在、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案審査を行っておりますが、本日は、本案について皆様方から貴重な御意見を承るため、当地において本公聴会を開会することとなった次第でございます。  皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせをいただきまして、今後の本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、公述人の皆様方からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただきまして、その後、委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いをいたします。また、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず伊藤公述人にお願いをいたします。伊藤公述人
  277. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 皆さん、こんにちは。  本日は、発言の機会を頂戴しまして、本当にありがとうございます。  私は、トヨタ自動車人材開発部の伊藤と申します。よろしくお願いいたします。  私は、弊社内で就業いただいております派遣労働者の方の受入れに当たっての活用方針や管理ルールを策定させていただいております。本日は、派遣先企業の立場で今回の派遣法改正に関しまして意見を述べさせていただきます。  先生方には、常日頃より、私どもを含めまして日本企業がグローバル規模での競争を通じた成長をしていくための環境整備として様々な労働政策を議論導入いただきまして、本当にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。  今後も日本企業がグローバル規模での熾烈な競争に挑んでいくためには、私は、高品質な商品、サービスを提供していく源泉であり、一人一人の様々な価値観や働き方のニーズもある労働者の方の力を結集し、スピード感を持って対応していくことが不可欠であるというふうに考えております。  そのような観点も踏まえまして、今回の派遣法改正内容のうち、派遣先企業に直接関係影響が出る点を中心に意見を述べさせていただきます。  まず、弊社の派遣労働者の方の就業状況についてお話をさせていただきます。  弊社では、現派遣法での専門二十六業務に限定いたしまして、同一派遣労働者の同一組織での受入れ上限は三年で受け入れております。  本年六月末時点になりますけれども、弊社内で就業いただいております派遣労働者の方は二千百四十二名ということになっております。内訳といたしましては、車両やユニット部品の設計、研究開発等を担当していただいており、弊社内で技術員派遣として管理させていただいている方が千二百七十名、機器操作や秘書業務等の弊社内で事務員・業務派遣として管理させていただいている方が五百五名ということになっております。また、弊社の社員が産休、育休等の休職制度を取得していて、その休職期間の補充要員として三百六十七名の方に就業いただいております。なお、生産ラインでの業務に従事いただくいわゆる製造派遣受入れは実施しておらず、二千百四十二名の皆さんは全てオフィスで就業いただいております。  弊社では、一九九六年の派遣法改正以降、経営環境変化に対応できる体質づくりに向けまして派遣労働者の方を活用させていただいております。  それでは、ただいまから、今回の派遣法改正内容につきまして幾つか意見を申し上げたいというふうに思います。  まず、今回の改正で、派遣先企業にとって制度が分かりやすくなり、かつ派遣労働者にも良い制度見直しになるのは、派遣期間規制見直しではないかというふうに考えております。  御承知のとおり、現状の派遣法は専門二十六業務と自由化業務の線引きが非常に分かりにくく、二〇一〇年の専門二十六業務の適正化以降は、派遣社員を受け入れている各職場の派遣先責任者は、派遣労働者業務付与するに当たりまして、付与業務が専門二十六業務なのか否かを慎重に判断し、判断に迷うケースにおいては、たとえそれが派遣労働者のスキルアップ、成長につながると思っても業務付与しない対応とさせていただいておりました。  しかしながら、そのような対応が本当に派遣労働者のためになるのかとの声は各職場の派遣先責任者より上がっている実態がございました。  具体例で申し上げますと、例えば弊社の技術部門で就業している技術員派遣の方の話になりますが、その方は部品設計業務に従事していただいておりましたが、あるとき、その派遣労働者の方に担当してもらっている部品の社内での確認会議が行われることになりました。この会議は、その部品に関係する社内外の関係者が一堂に会しまして、品質の現状、今後の改善箇所を確認する会議でございました。その場は、通常、設計した部品の試作品を会議に持参し、関係者が実物の物を見ながら品質確認を実施し、次なる試作品の改善につなげていく形となっております。  この確認会議が開かれるとの話が上がった際に、派遣先責任者は、当該部品の設計に従事した派遣労働者会議に参加してもらおうと考えました。しかしながら、実際に試作品を会議室に運搬させる業務や確認会議への出席が専門二十六業務に当たらないのではないかというふうに考えまして、結果として、その会議には当社の社員が代理の出席をすることになりました。  この派遣先責任者によりますと、確認会議は、自分が設計した部品に関する意見関係部署から多角的にフィードバックいただき、そのフィードバック内容は、特に当該派遣労働者のような比較的若いエンジニアにとっては、図面上では表れない課題を知る上での格好の勉強の機会、エンジニアとしての視野を広げ、スキルアップにつながる良い機会であったにもかかわらず、その成長機会を与えられなかったという思いを抱いているということでございました。  派遣元会社の方に伺った話になりますが、派遣労働者にとっても、専門二十六業務と限られた範囲の中での業務遂行しかできず、仕事をやり切るとの観点から、付随する業務を含めやりたいとの思いがあるにもかかわらず、それが付与されず、結果的に中途半端感を感じている派遣労働者が複数いるということを聞いております。  また、専門二十六業務の解釈に関する別の話でありますけれども、派遣元会社から伺った話を少しさせていただきます。  ある職場で就業していただいております派遣労働者の方の職場が主催する大規模な社内会議が開催されることになりました。その職場では、グループ員みんなで会議資料の印刷、クリップ留めや、会議会場の設営、会議資料を机に事前設置する等の対応をしておりました。しかしながら、その会議と直接関係のない業務の機器操作で就業していた派遣労働者に対しては、会議に関する準備業務は専門二十六業務以外の業務になるとのことで、派遣先責任者からその派遣労働者に対しては会議準備に関する業務指示は一切いたしませんでした。しかしながら、その派遣労働者の方は、その職場で就業したばかりで、早く職場に貢献したいとの思いから一緒になって手伝いたいと考えていたにもかかわらず、逆に疎外感を味わい、職場にも迷惑を掛けている気がして申し訳ないという思いを抱いたとのことでございました。  このような、現状の派遣法での専門二十六業務、自由化業務の区切りが分かりにくく、派遣先派遣元派遣労働者関係者が悩みながら対応していた部分が今回の改正で解消されるのは、関係者にとって分かりやすく、良い改正につながるのではないかというふうに考えております。  派遣先責任者にしてみれば、派遣労働者への業務付与の制約がなくなる中、派遣労働者本人のスキルアップ、キャリアアップにつながる業務のやり切り及びそれに伴う達成感を感じさせる業務付与をためらうことなくできるようになりますし、また、職場での正社員派遣労働者間でお互いが変に遠慮していた部分がなくなることによる職場での一体感の醸成にもつながるのではないかというふうに考えております。  次に、今回の派遣法改正に伴いまして全ての労働者派遣事業許可制にする点について触れさせていただきたいというふうに思います。  トヨタといたしましては、現在複数の派遣元会社様から派遣労働者の方を派遣いただいておりますけれども、おかげさまで大変優良な事業者の方々から派遣をいただいておりますので、派遣元会社に起因したトラブルに影響を受けたことはございません。今回の許可制への一本化で労働者派遣事業進出における条件が強化されることで、派遣労働者がより安全、安心な環境の下、派遣先企業での業務に専念できることにつながることを望んでおります。  次に、今回の派遣法改正内容一つとして、派遣元会社による派遣労働者キャリアアップに向けた計画的な教育訓練が義務付けられています。  現状、我々が派遣労働者を受け入れたいと考え、業務に求めるスキルを提示しても、見合った人材が見付からず、派遣労働者受入れまでに時間を要するケースも散見されます。今後、派遣元会社での派遣労働者への計画的な教育が今まで以上に実施されるのであれば、派遣先企業側の立場で見ますと、求める人材をタイムリーに充足できる可能性が増すと考えますし、派遣労働者にとりましても就業先が速やかに決まることにつながるのではないかというふうに考えますので、両者にとってより良い改正になるのではないかというふうに考えております。  今回の派遣法改正におきましては、派遣元派遣先双方に、派遣労働者派遣先労働者との均衡待遇確保のために措置を強化することについても触れられていると思います。  弊社といたしましては、これまでも食堂、更衣室等の福利厚生施設は正社員と同じ施設の利用を提供しておりますし、業務遂行に伴う当社内での教育訓練機会の提供も実施をしております。  一例になりますが、弊社内で車両開発を行っている技術部門では、車両設計を行うためのシステムを持ち合わせておりますが、この設計システムの教育訓練機会については、正社員派遣労働者関係なく提供をしております。  こちらも派遣元会社の方から伺った話になりますが、トヨタの技術部門で使用している設計システムの教育受講をした方は、弊社での派遣就業期間終了後の新たな派遣先確保に当たって、弊社の別の職場あるいは同じシステムを活用している弊社のグループ会社での就業先が見付かることが多く、トヨタでの派遣就業経験を生かしながら新たなスキルアップをされる方も多いというふうに伺っております。  当社といたしましては、業務遂行に関連した教育訓練については、派遣法改正有無にかかわらず今後も継続して実施していきたいというふうに思っております。  以上、派遣先企業の立場で今回の派遣法改正内容について述べさせていただきました。  今回の派遣法につきましては、特に派遣先企業として、業務付与における制約が緩和され、それに伴う派遣労働者キャリアアップ及び派遣労働者と当社社員との一体感醸成につながり、これがひいてはグローバル規模での競争に打ち勝つための強い源泉になるというふうに考えております。  先生方皆様には、これらの件も考慮いただいた上で十分御議論いただき、法案成立していただくことを願っております。  本日はありがとうございました。
  278. 団長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    ○団長(丸川珠代君) ありがとうございました。  次に、山本公述人にお願いをいたします。山本公述人
  279. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 皆様、こんにちは。テンプスタッフ・ピープルの山本と申します。  本日は、労働者派遣法改正案に対する意見を述べさせていただく機会を頂戴いたしまして、大変光栄に存じております。ありがとうございます。  当社は、一九八三年、事務処理サービス業として創業いたしまして、一九八六年、労働者派遣法の施行に伴いまして名古屋で最初の人材派遣会社となって以来、地域に密着したサービスを三十年以上提供させていただいております。現在、愛知、岐阜、三重、静岡の東海四県下におきまして人材派遣事業を展開しております。派遣社員の数でございますが、七月一日時点で七千九百八十九名、事務系の職種が中心となっておりまして、派遣社員の九七%が女性でございます。また、派遣先企業数は約千九百社、民間企業を始め学校法人、自治体、団体、病院など、様々な分野で派遣社員に御活躍いただいております。  さて、改正法案について申し上げる前に、労働者派遣制度に関する基本的な考え方を述べたいと存じます。  私自身、長年人材派遣事業に携わってまいりましたが、女性は、結婚、出産、配偶者の転勤、介護など、生活環境によりまして働き方を変えなければならないこともあり、それに伴いキャリア希望も変化してまいります。実際、日本人材派遣協会が実施いたしました二〇一四年度派遣社員アンケートの結果によりますと、派遣社員の八割は、元々正社員で働いていたにもかかわらず、様々な理由で会社をお辞めになっていらっしゃいます。その都度、求職者一人一人の状況や要望を踏まえ、誰が親身になってサポートできるのか、それは私ども派遣会社でありたいという思いがございまして、これまで努力してまいりました。  御承知のとおり、派遣という働き方を積極的に活用されている派遣社員は数多くいらっしゃいますし、全労働人口の二・三%、百二十万人となり、我々も社会から必要とされているからこそ存続しているというふうに考えております。  労働者派遣制度は労働市場における重要な需給調整機能を担っており、働きたい方、そして人材を必要とする企業のニーズ、双方をマッチングできる仕組みだと思っております。求職者の働く条件や要望は一人一人異なります。そして、多様化しております。また、企業が必要とする人材も時代とともに変化、高度化、専門化しております。多くの場合は、求職者と企業のニーズ、条件に何らかの相違があります。派遣会社のマッチング機能とは、こうした両者の間に立って交渉や調整を重ねることで求職者の就業の機会を創出するとともに、企業の人材活用をサポートし、両者にとって納得のいく就業を実現していると考えております。  求職者は、派遣会社に希望する勤務地、勤務時間、それから仕事内容、スキルなど登録することでスムーズな就職活動が可能となりますし、就業中も、派遣先での仕事上の悩みや就業環境の改善、要望など自ら解決、交渉しにくいことも、私ども人材派遣会社が派遣社員に代わって企業と様々な調整を行っております。  労働者派遣制度は派遣社員企業の双方にとって重要な需給調整機能を果たしており、その機能がより高度化され、更に活用できる制度にしていくことが重要だと考えております。  それでは、改正法案について申し上げたいと存じます。  改正法案全体といたしましては、人材派遣会社にとっては規制が強化されるものであるというふうに受け止めております。しかしながら、労働市場における需給調整機能がより高度化され、派遣社員にとってメリットがある改正内容としては三つの点で優れていると評価しております。  一つ目は、人材派遣事業の認可基準の統一でございます。  私自身、以前より、同じ労働者派遣法の下で事業を行い派遣社員が働いているにもかかわらず、一般派遣許可取得の審査を受けるなど手続を経るというものの、特定派遣の場合は届出を申請し受理されれば営業ができるという基準の違いに違和感がございました。需給調整機能を果たすためには一定の事業責任を持つことは、労働者派遣法を始めとした労働関連法令を遵守する上で重要なことであると認識しております。派遣社員雇用形態や派遣期間等にかかわらず、一定許可基準を設けることは必要だと考えております。  そして二つ目は、業務区分の撤廃と期間制限見直しです。  現行制度では、政令二十六業務か否かによって派遣受入れ期間制限が異なっております。例えば、二十六業務でプログラマー、研究開発、機器操作業務として就業し、チームワークで組織として業務を進める場合でもその他の業務に当たるとして、当該派遣社員は自分の業務に直接関係ない業務についての制限があります。日本企業組織における労働慣行の中では若干実態にそぐわない点があることも事実でございまして、派遣社員からは業務をやりにくいという声も出ております。  それから、政令二十六業務外のいわゆる自由化業務における職場単位の受入れ期間制限は、例えば、最長三年制限期間に一名がそのポストに二年六か月就業し都合により辞めた後、次の方が引き継ぐ場合、残り六か月しか就業できないなど、派遣社員にとって不公平、かつ雇用の安定に資する仕組みとは言い難く、総じて就業を通したスキル向上及びキャリア形成を難しくしていた面もございます。  また、政令二十六業務としての運用を担保するために厳密に業務を限定していることもあり、その解釈につきましては労働者企業にとりまして活用し難い制度となっております。現行法の業務区分による派遣受入れ期間制限と比較し、改正法案の人単位、事業所単位の期間制限派遣社員及び企業にとって分かりやすくなり、政令業務か否かによって派遣受入れ期間が異なる点の解消、また業務の幅が広がるということで派遣社員キャリア形成にもつながるものと考えております。  三つ目といたしまして、派遣社員へのキャリア形成支援の推進です。  改正法案では、派遣会社が実施するキャリアカウンセリングや計画的な教育訓練と併せ、派遣で働く方のキャリア形成支援に資する内容であると考えております。派遣社員が希望するキャリアの実現に向けまして、派遣就業を通じて、派遣先企業の御協力もいただき、OJTの機会も活用しながらその能力開発を支援するとともに、マッチング機能をより高度化することで派遣社員本人の希望に沿った雇用安定、キャリア形成支援をしてまいりたいというふうに考えております。  最後に、私どもは日頃、派遣社員雇用管理において、仕事やキャリアの相談、就業環境の希望や要望など、たくさんの声をお聞きしております。労働者派遣制度を積極的に活用し、自分に合ったキャリアや働き方を実現されている方がたくさんいらっしゃいますので、そういった点も考慮していただき、厚生労働委員会の皆様には、派遣社員にとってより良い制度となり、かつ労働市場における需給調整機能の高度化に資する制度となるよう十分御議論をいただくことを切に願っております。どうぞよろしくお願いいたします。  本日はありがとうございました。
  280. 団長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    ○団長(丸川珠代君) ありがとうございました。  次に、田中公述人にお願いをいたします。田中公述人
  281. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) 皆さん、こんにちは。  私は田中千秋と申します。元派遣労働者で、派遣切りに遭った当事者です。  このような発言をさせていただく機会をいただけましたこと、感謝をしております。今日は、派遣切りをされた当時の状況と、今問題になっています労働者派遣法を改悪させてはいけないという思いをお伝えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  二〇〇八年の秋にリーマンショックが起こり、私は二〇〇九年一月末に、それまで五年二か月間働いてきた三菱電機名古屋製作所で派遣切りに遭いました。私は、入社後、正社員と非正規社員が混在した職場で、周辺機器のラインで正社員と同様に働いていました。毎日の生産台数も正社員期間工のパートよりも倍以上こなし、私は仕事に自信と誇りを持って会社のために一生懸命働いてきました。  リーマンショック当時、大企業による身勝手な派遣切り全国で当たり前のように横行していました。私もいつ首を切られるかと不安の毎日でしたが、突然その瞬間が訪れました。二〇〇八年十二月初めに翌年の三月末までの契約更新をし安心していたやさき、十二月の中旬に突然派遣担当者に呼ばれ、ラインの回復の見込みがないと、契約期間途中にもかかわらず、解雇通告を受けました。私は頭が真っ白になり、怒りを通り越して訳が分からなくなり、派遣労働者には辞める選択肢しかなく、この状況に反論もできず、ただただ黙ってうなずくのが精いっぱいでした。幾ら仕事ができても、所詮派遣労働者は物扱いなんだなとつくづく思いました。  私は一人娘を持つ母子家庭で、解雇通告を受けた直後に娘から電話がありました。何も知らない娘に働けなくなったことを伝えると、娘は電話の向こうで無言になり、泣き出してしまいました。娘に心配を掛けまいと気丈に振る舞ったときのつらい光景を今でも鮮明に覚えています。  首を切られた派遣労働者の中には、職を失うだけでなく、住まいも奪われる人が多くいました。収入が途絶え、路頭に迷い、自ら命を絶つ人もいたと聞いています。当時、路頭に迷った多くの労働者派遣村へ相談に行き、ここ名古屋では中村区役所での炊き出しに救われました。区役所の窓口で生活保護を申請する人があふれるなど、生活困窮者が激増しました。  私も、娘との普通の生活ができなくなる恐怖と不安から親子心中も考えました。しかし、私の都合で娘の人生を奪ってはいけない、この子のためにも頑張らなきゃと思い、娘の存在によって思いとどまりましたが、一瞬にして当たり前の生活を奪ったこの派遣切りは今でも心の大きな傷痕になっています。  解雇されてからはパートで働いています。今の職場は、三菱電機と違って私を物として扱わず、絶対に使い捨てにしない、少なくとも私を一人の人間として必要としてくれています。収入は大きく減りましたが、親子二人、何とか生活をしています。  解雇された後、三菱電機では偽装請負及び派遣法違反の働かせ方だったことが分かりました。契約書には全くやったことのない仕事内容が記載され、三年たっても直接雇用の申出はされませんでした。  一方で、三菱電機は派遣労働者から期間工として一定数を採用し、その際、派遣会社に一人当たり何十万円と支払っていたことが裁判で明らかになりました。会社に残したい人材だけ期間工として確保した上で、私たちの首を切ったのです。そして、三菱電機は二〇〇八年度決算で黒字を出し、一年もたたないうちに新たに労働者雇用しました。だから、三菱電機には絶対にこの派遣切りリーマンショック理由に正当化してほしくないんです。命の危機に関わる大きな問題なんです。  私たちは物ではない、使い捨ては許さない、そんな思いで、私を含め三人の派遣労働者が三菱電機と派遣会社を提訴しました。二〇一一年十一月に出された地裁判決は、お手元の資料にあるように、三菱電機による労働者派遣契約の中途解約は、製造現場における生産のみが優先され、リーマンショック影響により全国的規模で雇用情勢が極めて厳しくなっている状況の下、ただでさえ年の瀬を迎え、急な求職活動や住居探しには非常に困難を伴う時期に突然の派遣打切りが決定されたものであったこと、そして原告らが被った経済的及び精神的な打撃には甚大なものがあったとし、このような三菱電機の行為は身勝手にも甚だしいものがあるとし、派遣労働者のつらい思いを受け止めた内容となり、思わず涙が出ました。  最高裁を経て二〇一三年十月に確定した高裁判決では、原告Mが平成十四年から、同Tが、これは私のことですけれども、平成十五年から三菱電機に対し請負の形式により実態として労働者派遣されていたのは、当時、製造業に対する派遣を禁止していた労働者派遣法の定めに違反するし、また、その後、原告らが派遣会社に移籍採用された後も三菱電機における作業内容に変化はなかったのであるから、労働者派遣法に定める派遣可能期間である一年のみならず、最長期間である三年をも上回る点で労働者派遣法を潜脱するものとしてこれに違反するものと言えると明確に三菱電機の違法行為を認定しました。しかし、労働者派遣法は行政取締り法規なので、同法違反に対しては厚生労働大臣による勧告や公表の行政措置が講じられることにとどまると、厚生労働省に違反に対する措置を預けました。  これを受け、愛知労働局需給調整事業部に再度、三菱電機の違法行為の調査を申請しました。二〇一五年三月、需給調整事業部から、違法行為は認定できなかった、指導、助言を行ったとの報告がありました。裁判で認定された違法行為がなぜ調査によって認定できないのか報告を求めましたが、調査内容は話せない、行政の限界だの一点張りでした。とても納得できず、六月に厚生労働省に要請に行きました。そこで分かったことは、労働者派遣法は需給調整事業部が管轄しているが、需給調整事業部は任意聴取しかできない、調査内容を漏らすと企業の協力が得られなくなるという実態でした。  私は、このやり取りを通じ、派遣法労働者を守る法律ではないことを改めて思い知らされました。そして、三菱電機は現在に至るまで、厚生労働大臣による勧告や企業名公表の行政措置を受けていません。  四年七か月の裁判の中で、偽装請負、違法行為が認定されましたが、直接雇用は認められませんでした。当時、仮にみなし雇用の制度があり、それが適用されていれば、私は三年を超えて働いていたので直接雇用される立場でした。このみなし雇用が今年の十月から施行されるはずだったのに、今回の政府案ではこれを廃止にしようとしています。  今回の政府案は、労働者のための改正ではなく、大企業優遇の大改悪です。派遣切り全国で大きな問題になりましたが、政府は、解雇された労働者の心の叫びに耳を傾けず、あれだけひどいことをしてきた大企業にメスを入れるどころか、いまだにやりたい放題を許しています。三菱電機を始めとする大企業に、労働者の働く権利、普通の生活を奪う権利はありません。  労働者派遣にすることで企業雇用責任を負わなくてもいい、政府案では、三年ごとに人を入れ替えれば、どんな仕事でも期間制限なく低賃金派遣労働者を使い続けることができるようになります。  大企業は莫大な利益を上げる一方で、景気が悪くなったら容赦なくばっさりと労働者を物のように使い捨てます。政府案では、今まで以上に大企業のやりたい放題になってしまいます。労働者の大部分は使い勝手のいい生涯派遣になってしまい、一生、正社員の道が閉ざされてしまいます。この問題は派遣労働者だけでなく正社員にまで及び、ますます労働者が安心して働けなくなる不安定雇用社会になってしまいます。  私の友人にも、今現在派遣で働いている人がいます。派遣は社会保険、賞与がなく、本当なら収入が安定している正社員で働きたいけれど、働ける職場が簡単に見付からない、だから、結局派遣で働くしかないと言っていました。  どの企業でも、働く労働者がいるから会社が成り立っているんです。だから、労働者を景気の調整弁として扱うことは絶対に許されないことです。こんな苦しい思いは私たちだけで十分です。このつらい気持ちは経験した当事者にしか分からないと思います。  そして、私は当事者として、ほかの誰にも同じ経験はさせたくないと強く思っています。この派遣切りは絶対に忘れてはいけない、忘れられない問題です。なぜリーマンショックのときよりも悪い法律に、労働者を苦しめる内容に変えてしまうのか。  最後に、大企業によって引き起こされた派遣切りで犠牲になった労働者全国にはたくさんいます。私たちの声に耳を閉ざしているかのような今回の派遣法改悪案は絶対に許せないと思っています。政府案は廃案にした上で、真に労働者を守る派遣法を作ってください。  私からは以上です。ありがとうございました。
  282. 団長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    ○団長(丸川珠代君) ありがとうございました。  次に、樽井公述人にお願いをいたします。樽井公述人
  283. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。  労働者派遣法改正案反対する立場から発言させていただきます。  二〇〇八年秋から二〇〇九年にかけて、リーマンショックに端を発する世界同時不況の影響で、全国派遣労働者受入れの停止、非正規労働者の雇い止めが相次ぎ、派遣切り、非正規切りと呼ばれました。  製造業が盛んなこの愛知県では、その影響は極めて顕著で、厚生労働省が当時毎月発表していた非正規労働者の雇い止めの現状によると、二〇〇八年の十月から二〇一一年の三月までの非正規労働者の雇い止め等の累計は全国で約三十万人、そのうち愛知県が約四万八千人と、圧倒的な一位を占めていました。特に製造業への労働者派遣が解禁されていたことから、派遣切り影響は大きなものがありました。  製造業で働いていた派遣労働者全国から集まっていました。外国人労働者もたくさんいました。そして、派遣労働者の多くの方は派遣会社が用意した寮に住んでおられて、地域社会とのつながりも希薄でした。派遣先派遣元との労働者派遣契約解除することで働く先を失い、派遣元派遣労働者との労働契約終了させました。それとともに、多くの労働者が会社の寮からも追い出されることになりました。働く場所も住む場所も失い、頼る先もないまま、ネットカフェ難民になったり路上生活を余儀なくされた方々が多く、生活保護の窓口に殺到することになりました。  私も弁護士として生活相談や労働相談に携わり、貧困問題と取り組む仲間とともに反貧困ネットワークあいちを立ち上げて活動することになりました。また、派遣労働者に関する裁判にも幾つか関わりました。そのような経験から、派遣切りのような悲劇を繰り返してはならないという思いを強く持っております。  今回の労働者派遣法改正案は、派遣切りの悲劇を繰り返さないという願いに応えるものとは到底言えません。  改正案の最大の特徴は、現行法が専門二十六業務を除く一般派遣業務については派遣可能期間原則一年、最長三年に制限しているのに対して、改正案では、無期雇用派遣については派遣受入れ期間制限をなくす、有期雇用派遣についても、同一事業所での派遣受入れ期間の上限を三年としながら、過半数組合等意見聴取を行えば延長ができるとして、さらに、新しく個人単位の期間制限導入して同一の組織単位における同一の労働者派遣受入れ期間制限を三年としたことにあります。これは、事業所単位で見れば、過半数組合等意見聴取さえすれば、その同意がなくても、派遣労働者を入れ替えれば永続的に労働者派遣を利用できることを意味しますし、個人単位で見ても、派遣先が組織単位を変更するという措置をとれば、その労働者派遣のままで働き続けるということになってしまいます。  こういう派遣期間制限変更は、派遣は臨時的、一時的なものに限るという原則を実質的に投げ捨てるもので、改正法二十五条が幾ら厚生労働大臣に、運用に当たっては、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするという考え方を考慮するということを求めたとしても、絵に描いた餅にすぎないと思います。  無期雇用派遣については、改正案派遣期間制限を撤廃しています。この理由としては、無期雇用派遣労働者雇用が比較的安定しており、派遣元事業主に長期的な人材育成のインセンティブが働きやすいため、教育訓練を受けやすい傾向にあるという考え方があるようです。しかし、派遣切りが蔓延した際の製造業への派遣は、常用型派遣が少なくない部分を占めていました。  私が経験した事件でも、二十六業務に該当する専門職を無期雇用派遣していた会社で、派遣契約解除が相次いで、雇用調整助成金を受給しながら、派遣先を失った労働者、その会社の半数近くの方々ですが、これを解雇するというケースがありました。違法、無効な解雇であるとして裁判で争いましたが、派遣会社は裁判の場では、経費に占める人件費の割合が高く、労働者派遣による売上げに頼る収益構造であって経営環境の変化に対応する柔軟性に乏しいんだという主張を行って解雇を正当化しようとしました。無期雇用派遣雇用が安定しているというのは現実から遊離していると言わざるを得ません。  一方で、改正案は、派遣労働者雇用の安定を図ることについては消極的だと言わざるを得ません。派遣先への直接雇用の依頼だとか新たな就業先の提供というのはいずれも強制力のあるものではなく、改正案の列挙しているキャリアアップ措置も、正規雇用への転換を促すという点については実効性が乏しいと評価せざるを得ません。  他方で、現行法が派遣期間制限を超えて派遣労働者を使用しようとするときの派遣先の労働契約申込義務、これは現行法の四十条の四ですが、この申込義務は、行政指導の面では少なくない役割を果たしてきました。ところが、改正案ではこれが削除されることになっています。  さらに、二〇一二年の改正導入された労働契約申込みみなし制度について、現行法では、派遣期間制限に違反して派遣受入れをした場合に派遣先が労働契約の申込みをしたものとみなされるのに対して、改正案では、過半数組合意見聴取をせずに事業所単位の期間制限に違反した場合と、個人単位、組織単位の期間制限に違反した場合に限定しています。しかし、過半数組合等からは意見聴取さえすればいいのであって、また、組織単位を変更すれば対応できるわけですから、このようなことが起こることはほとんど考えられません。  本改正案について、本年十月一日から施行される労働契約みなし制度が二十六業務以外を広く対象としていることを回避したいという経済界の懸念に応えるべく準備されたという説明ペーパーが厚生労働省から一部の国会議員になされたという報道がありますが、派遣労働者雇用の安定に背を向ける改正案の本質を示すものと言わざるを得ません。  このような改正案成立してしまえば、労働者派遣について、常用代替を防止し、臨時的、一時的なものに限るという原則が放棄され、実質的に派遣が自由化されることになり、派遣労働拡大に道を開くことになるでしょう。派遣切りによる惨状を目にした者として、派遣労働拡大を許すような改正案には反対せざるを得ません。  労働者派遣は、労働者が労務を提供し指揮命令を受ける相手である派遣先と、労働契約上の使用者である派遣元が異なるという点に特徴があります。そのため、実際に就労する場である派遣先では、雇用を維持しようとする意欲が著しく減退します。また、使用者として負うべき責任派遣元派遣先との間で曖昧になるというようなことで、雇用の不安定と労働条件の劣化を招く危険があります。そのため、一九八五年に労働者派遣法を制定する際には、派遣対象業務を専門職等に限定すること、そして、派遣を一時的、臨時的なものに限定するということで、労働者派遣を厳格な要件の下で許容することにしたわけです。  しかし、派遣対象業務の限定は、一九九九年の改正で事実上放棄されました。派遣を臨時的、一時的なものに限るという原則も累次の改正で緩和されてきましたが、本改正案ではこれを事実上撤廃することになり、派遣労働原則自由にするものと言わざるを得ません。  なお、常用代替の防止について、派遣先の常用労働者を保護するもので派遣労働者の保護や雇用の安定と両立しないといった説明を行って、派遣労働者と正規雇用労働者の利害の対立であるかのように描き出す考え方が本改正案の根本にあるように思います。しかし、労働者派遣法の立法経過から見ても明らかなように、常用代替の防止は労働者全体の雇用の安定と労働条件の維持向上を損なうことがないようにするために設けられたものであって、この原則労働者間での利益の対立であるかのようにゆがめるのは大きな誤りです。  また、本改正案は、労働者派遣事業労働力の需給調整において重要な役割を果たしていることを評価するという立場にも立っています。リーマンショック直前には二百二万人を超えた派遣労働者は、二十一年度には百五十七万人、二十二年度には百四十五万人、二十三年度には百三十七万人になりました。このことは、派遣労働者雇用が安定していないということを示しているんです。労働者派遣需給調整機能なるものを一面的に評価することは、派遣切りを受容せよと言うのに等しいことではないでしょうか。  派遣切りの痛切な教訓を踏まえるならば、労働者派遣事業需給調整機能なるものを重視して労働者派遣拡大を図ろうとする改正案成立を認めることはできません。労働者派遣が内在する不安定雇用労働条件の劣悪化の危険を直視して、労働者派遣を野放しにするのではなくて、制約していくという方向を示すことが必要だと思います。  そのために重要なこととして、二点だけ指摘しておきたいと思います。  まず、登録型派遣製造業への派遣を禁止するということについて真剣に検討すべきだということです。  登録型派遣は実質的には職業紹介であって、本来、紹介された労働者派遣先雇用されるべきものです。登録型を認めるとしても、一定業務に限定をして、期間制限をしっかり設けることが必要です。また、製造業派遣については、景気変動の影響を受けて派遣労働者雇用が不安定になるおそれが高いということを警告されてきました。二〇〇八年から二〇〇九年にかけての派遣切りは、その警告を事実で裏付けました。労働者派遣の病理を拡大する登録型派遣製造業派遣を禁止することは極めて重要なことです。  二点目として、派遣労働者処遇に当たって均等待遇の原則導入することです。  実効性のない均衡待遇への配慮義務では、派遣労働者に対する劣悪な処遇は変わりません。せめて労働契約法二十条のような規定を設けることを検討すべきです。  参議院におかれましては、派遣労働者の実態を踏まえた審議を尽くされて、派遣労働拡大をもたらすような本改正案を廃案とする英断を求めたいと思います。  ありがとうございました。
  284. 団長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    ○団長(丸川珠代君) ありがとうございました。  以上で公述人方々の御意見の陳述は終わりました。  これより公述人に対する質疑を行います。  時間が限られておりますので、大変恐縮ですが、御答弁は簡潔に行っていただくようお願い申し上げます。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  285. 福岡資麿君(福岡資麿)

    福岡資麿君 自由民主党福岡資麿と申します。  公述人の皆様方におかれましては、今日は貴重なお時間を割いていただいて大変参考になるお話の数々をいただきましたこと、心より感謝を申し上げます。  それでは、質問に入らせていただきます。  まず、伊藤公述人にお伺いいたします。  参議院の委員会審議においても、いわゆる二十六業務という業務区分を撤廃するかどうかというのは一つの大きな焦点となっているわけでございますが、先ほど、具体的な例としまして、設計業務に当たられている方がなかなか会議に参加できなかったとかいう具体的な例をお示ししていただいて、大変そういう部分ではイメージできた部分があったというふうに思います。  そういった部分で、例えばほかにも派遣先責任者が業務付与をためらった、そういう事例がほかに思い当たるものがあれば御紹介をいただきたいと思います。
  286. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 御質問ありがとうございます。  ほかの事例といたしましては、弊社の経理部門で受け入れていた派遣労働者の方の事例を少し紹介させていただきたいというふうに思います。  少し前の話になりますけれども、弊社の経理部門が、決算対応として専門二十六業務の財務関係というカテゴリーで派遣労働者の方を受け入れておりました。この派遣労働者の方には、試算表であるとか棚卸し表であるとか貸借対照表等々、資料の作成を実施をいただきましたけれども、対外的な決算発表であるとか社内の決算説明会の会議出席については専門二十六業務に当たらないということで、付随的業務として認められている一割以下の仕事量にも当たるかどうかというのは非常に微妙であるというようなこともありまして、派遣先責任者も悩んだ挙げ句、結果的にこの会議へは参加をしていただかなかったというような事例がございました。  会議への出席というのは、担当者にとっても投資家とかメディアの状況が非常によく分かるとか、そういう状況を直接確認できる場であるということでもありますので、次の担当業務に反映させていくことができるんですけれども、そういう機会を逃してしまったということで大変残念がっていたというような事例がございます。  法改正の後は、弊社で業務遂行していく上での心構えの一つであります現地現物という考えがございますけれども、派遣労働者の方にもためらいなく機会提供をさせていただくことができるということで、御本人のスキルアップにもつながるような形で就業いただけるのではないかというふうに考えております。
  287. 福岡資麿君(福岡資麿)

    福岡資麿君 ありがとうございます。  同様の観点から、山本公述人にもお伺いをいたします。  これまで、実際に働かれている派遣労働者の方から、もっと仕事がしたいけど、この二十六業務であったり自由化業務業務区分がなかなかはっきりしないためにそれが足かせになっているというような声が、今までそういった働かれている方から上がったことがあるのかどうか、それを教えていただけますか。
  288. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問ありがとうございます。  先ほど申し上げましたとおり、かなり大勢の人が派遣で働いておりますので、一つ一つ事例を申し上げられないんですけれども、派遣労働者の方から業務区分については相談を受けることが多々ございます。派遣先からの指揮命令を受けて業務を行いますけれども、私どもといたしましては、派遣で決められた業務以外の御依頼を受けた場合は、申し訳ないですけど、お断りするように派遣社員の方には申し上げております。  社員とは役割は異なっていましても、実際には同じチームや係で一緒に仕事をしているので、派遣労働者としては、少しでも良い仕事がしたいとか、自らも成長したいとか、支援したいとか、そのような気持ちもありますし、派遣先企業からも必要とされたいとか、評価されたいという気持ちがあるわけでございます。  派遣先社員と同様に、業務の前後工程ですとか他部署からの要望を知ることのできる会議などへの参加の要望もございます。正社員就業を目指すのであれば、職務に関する経験やスキルだけではなく、職務変更や先々の部署異動のことも想定されますから、会社からの様々な期待に応えていくという対応力も必要となっていくのではないかというふうに考えております。  ですから、業務区分がなくなることにより、政令業務の専門性を高めるとともに、こうした成長機会も提供しやすくなることは、成長志向のある派遣労働者にとって良い改正であるというふうに思っております。  以上です。
  289. 福岡資麿君(福岡資麿)

    福岡資麿君 ありがとうございます。  もう一度、伊藤公述人にお伺いしたいんですが、先ほどの公述内容をお聞きしますと、トヨタさんは従来から同一派遣労働者の同一組織での受入れ上限を三年というふうに管理されていたというようなお話を先ほど承りました。  今回、個人単位の期間制限をある意味先取りされていた、前倒しされていた、そういう形になろうかというふうに思いますが、受入れ期間を三年で管理されていた立場から、今回のこの個人単位の期間制限についてどのような御見解をお持ちか、教えていただければと思います。
  290. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) おっしゃるとおり、弊社では従来から三年という期間を設けて運用しておりまして、理由としましては大きく三点あるのかなというふうに思っておりまして、まず一点目は、業務のブラックボックス化と申しますか、業務手順が担当者だけしか分からないというふうな状況になりますと、業務の指揮命令とか管理監督が停滞するということもありますので、それを回避したいというのがまず一点でございます。  二点目としましては、機密管理と申しますか、情報漏えい等の被害が拡大するのを避けたいというような理由もございまして、三年というふうにしております。  最後に三点目ですけれども、取引先だとかいろんな各所とのいわゆる癒着といいますか、そういったものを防ぐという意味でも一定期間というのは必要なんじゃないかなというふうに考えております。  これは派遣労働者の方だけに限る話ではございませんで、正社員につきましても同様の考えで、定期的なローテーションだとか、そういうことをしながら常に組織をフレッシュにして、ブラックボックス化を防ぎながら癒着も防ぐみたいな、そういうことをやっております。  また、職場が替わってから新しい業務を遂行するというのは、新しい知識とかスキルとかいろんなことが必要になってきますので、育成という観点でも定期的に就業場所が替わるということは非常に有効なんじゃないかなというふうに思っております。  派遣労働者の方につきましても、今回の三年の上限というのが節目節目でキャリアを見直す、見詰め直す機会になるんじゃないかなというふうに思いますし、また、今回の改正内容であります派遣労働者へのキャリアカウンセリング等がしっかりなされるんであれば、派遣労働者方々、働かれる方々キャリア形成につながる内容になるんじゃないかなというふうに思っております。  以上です。
  291. 福岡資麿君(福岡資麿)

    福岡資麿君 大変恐縮ですが、もう一問、伊藤公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほどからほかの公述人方々の御意見を聞きましても、今回のこの法改正によりまして、例えば正社員から派遣労働者への置き換えが進んでしまうのではないかといった懸念の声が聞かれています。  先ほどの個人単位の期間制限に加えまして、事業所全体で派遣受入れを三年までとするという事業所単位の期間制限を設けることとし、期間延長するには使用者側から労働者側への意見聴取を行うということを義務付けておりますが、これについては、先ほども御意見があったように、意見の聴取さえ行えば、たとえ反対意見であったとしても無視されてしまって、ずっと派遣として使い続けられてしまうんではないかというような御意見があるというようなことで承知をしておるわけですが、ちょっと実際に使用者側の立場として、やっぱり労使の中で具体的に労働組合からそういった御意見が出たときに、そういったことを意見を聞きおくだけということで簡単に無視することができるものなのかどうか。そういった観点から御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  292. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 御質問いただきました件ですけれども、今回の改正で、事業所単位で三年の上限を超える場合、引き続き派遣労働者を受け入れるときには過半数労働組合からの意見聴取が必要になるというふうにお伺いをしておりますけれども、弊社の場合は、労働組合との関係というのは非常に良好な労使関係を築いているというふうに考えておりまして、これまでも労使相互信頼、相互責任という考え方に基づきまして、あらゆる場、あらゆるタイミングで労使で話合いを尽くしていろんなことを決めてきたというような経緯がございます。  基本、対立軸ではなくて、お互いの立場を明確にしながら議論を尽くすという姿勢でやってきておりますので、今回の部分につきましても、意見聴取ということで組合に意見を求めるということが発生した場合には、従来同様、しっかり議論ができるというふうに確信をしております。
  293. 福岡資麿君(福岡資麿)

    福岡資麿君 最後に、樽井公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。  今回の改正案につきましては、いわゆる二十六業務に関して雇い止めを不安視する声が上がっているというふうに承知をしています。この声にはしっかりと対応していかなければいけないというふうに与党としても考えていますが、他方で、雇い止めを不安視されるという声がかなり上がっているということは、まさに現在有期の反復更新で働かれている方ということであって、そもそもこのような現状を放置していいのかといった問題もあろうかというふうに思っております。  そこでお伺いしますが、やはり派遣労働という働き方というものについては短期的な働き方であるべきなのかどうかという、不安定な有期雇用で長期的に働くということも是認できるものなのかどうか、そういった観点で御意見をお伺いしたいと思います。
  294. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 御質問ありがとうございます。  やはり、労働者の立場からすれば、働き方が安定したものであるということが重要だということがまず第一です。そのためには、派遣でなくてもいいわけですね。常に仕事があるところではやはり直接雇用をしていくということが大切であると思います。そういう意味では、派遣という働き方で長期間働かせているというところに問題があるんだというふうに思います。ですから、その点を解消する必要があるということを強く訴えたいと思います。
  295. 福岡資麿君(福岡資麿)

    福岡資麿君 ありがとうございました。  いろいろいただいた御意見を今後の審議にもしっかり生かしていきたいということを申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  296. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏といいます。  今日は、四名の公述人の皆さん、大変ありがとうございます。  早速質問させていただきたいと思いますが、まず田中公述人にお伺いをします。  今、最後のところで樽井公述人からも、派遣という働き方そのものが問題なんだという御意見もございました。田中公述人のこれまでの御経験で、派遣という働き方の何が最も問題だというふうに思われているか、格差の問題なのか、差別の問題なのか、処遇の問題なのか。何が最も問題であって、それが改善されなければならないとお考えか、端的にお伺いできればと思います。
  297. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) 御質問ありがとうございます。  私も余り詳しいわけじゃないので、派遣自体はやはり安定した働き方ではないので、派遣というのは不安定雇用、もし派遣で働いても要らなくなったら使い捨てされる、そのような差別的な仕方をされるのが派遣なので、基本的に派遣はやめた方がいいというのは私の思いです。
  298. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 ありがとうございます。  その上で、山本公述人にお伺いしていきたいと思いますが、今回、政府は、この法案の目玉というのは正社員化の促進であり、キャリアアップ処遇改善がこれによって実現できるんだというような言い方をしております。  これに関連してちょっとお伺いをしたいんですが、まず一点目は、この法案成立した場合に派遣業界の市場規模が拡大することを期待されておられるでしょうか。
  299. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問ありがとうございます。  ただいまの質問は、正社員化により派遣業界の市場規模が拡大することを……
  300. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 予測され、期待されておられるか。
  301. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 派遣というシステムは、派遣労働者の方の御希望とそれから企業の要請に合わせて、私どもがそれをマッチングしていくという仕組みでございますので、私自身が将来の市場規模の拡大について今語れるということは材料がございません。
  302. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 今なぜそれをお伺いしたかといいますと、事前に我々が配付をいただいた資料で、テンプホールディングスの社長さん、水田さんのインタビュー記事がございます。このインタビュー記事の中で水田社長は明確に、低迷してきた派遣市場が今後伸びるということを期待しているという発言をされておられます。なので、山本公述人にお伺いしたわけです。  水田社長のこの御発言、にわかに活気付いている派遣業界などなどという表現もございますが、つまり、この法案成立した暁にはこれから派遣業界伸びていくことを社長さん御期待をされているということなのではないでしょうか。
  303. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問内容は水田社長のコメントについてということで、先ほど来お話がございますように、派遣の今の法律の分かりづらさ、分かりにくさというものがございまして、なかなか派遣というものが使いにくくなっております。そういう点、派遣法そのものが企業それから労働者にとっても非常に分かりやすいものになるというものを受けて、これから派遣というものが使いやすくなるのではないかということで、これから増えるのではないかというふうに思っております。  それと、雇用の安定措置というところを踏まえまして……
  304. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 いいです。ありがとうございます。  その上で、伊藤公述人にもお伺いしたいのですが、今回の法案成立した暁には、先ほど来いろいろとメリットのことについてお触れになっておりますが、派遣受入れを増やされる予定でしょうか。
  305. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 従来から、派遣社員の方に来ていただくというのは、あくまで事業計画に基づいた繁閑差の部分を埋めるということと、やはりなかなか社内で調達できない専門的な部分を補うという、この両方の観点で派遣社員の方に来ていただいているというふうに思っていますので、先ほど言われたように、非常に業務のくくりが分かりやすくなるというか、二十六業務の分かりにくさがなくなって非常にやりやすくはなるんですが、数として増えますかと言われると、にわかにそんなに増えるとは余り思っておりません。
  306. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 もう一度山本公述人にお伺いしますが、先ほど言いましたように、今回、政府はこれによって正社員化を促進するんだというふうに言われています。どうなんでしょうか、派遣の事業者の皆さんとして、これによって正社員化を更に促進する、つまり派遣先に対して正社員化の要請を積極的にしていくんだと、そういう決意でおられるでしょうか。
  307. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) お答えいたします。  実は現在も、テンプ・ツー・パームと申しまして、紹介予定派遣という制度がございます。また、お客様から良いスタッフであれば直接雇用したいというお申出は既に従来もございました。  当社におきましては、昨年一年間で約千人の方が直接雇用としてお仕事をしていただいております。ですから、今後は更にカウンセリング機能を強化いたします。あるいは更なる教育を充実いたしまして、なるべく希望されていらっしゃる方には直接雇用を支援できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  308. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 山本公述人、今千人という数字を挙げられたのは、これはほとんどが紹介予定派遣の数字なんでしょうかね。  御存じかと思いますが、今回の改正法案の中では、これまで条文上あった紹介予定派遣は削除されています。つまり、条文上の明記がなくなっています。今後もそれでも紹介予定派遣を続け、積極的に正社員登用をされていくということでよろしいんでしょうか。
  309. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 私の説明が不十分だったかもしれませんが、紹介予定派遣だけではなく直接雇用も含まれておりますので、これからは紹介予定派遣という形ではなく、三年なりなんなり、期間を過ぎた後に直接雇用の申出があればそれは検討していきたいというふうに思っております。
  310. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 伊藤公述人、これまで派遣から正社員登用をどれぐらいなされているかということと、今後、この法案成立した暁に、今、山本公述人からはより積極的に正社員登用、受入れ側としてはどうなんでしょう、より積極的に正社員登用されていく、そういう決意がおありなんでしょうか。
  311. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) まず、例があるかないかというお話につきましては、ございます。平成二十三年だったと思います。リーマン後にいろんな仕事の見直しをやりまして、いわゆる総合職と補助的な仕事との区分みたいなものをしっかり整理整頓して、その上で補助的な業務のボリュームが増えたということがありまして、当時、いわゆる業務職というサポート業務方々を追加で採用するということがございまして、そのときに、派遣社員で働いておられた方に優先的に御案内申し上げて、オープン公募という形で応募を募ったということがございます。そのときに、二百四十名の方に派遣社員からうちの正社員になっていただいたというふうになっております。  今後につきましては、これケース・バイ・ケースと申しますか、法律改正されたので正社員化をするということではなくて、やはり仕事のニーズだとかそういうものに従って、派遣元会社から要請があった場合には真摯に話合いを尽くして検討してまいりたいというふうに思っています。
  312. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 ありがとうございます。  もう一つ政府が今回の法案の目玉として言っているのがキャリアアップ処遇改善という問題です。また再度、山本公述人で申し訳ありませんが、我々も、派遣という働き方の最大の問題の一つは格差だと思っています。十年、二十年、三十年頑張っていただいても処遇に結び付かない、つまり賃金カーブがほぼフラットです。つまり、経験を重ねていけば重ねていくほど派遣という働き方と正社員雇用との格差が広がっていきます。  この法案改正案、もし成立した暁には、この処遇格差は改善されるんでしょうか。つまり、派遣元の皆さんは派遣労働者に対してきちんとした処遇を行い、十年、二十年、三十年頑張っていただいた派遣労働者がしっかりと賃金カーブを描く、つまり処遇改善が図られ昇給が図られ、それによって将来展望もしっかりする、そういう働き方を保障されるんでしょうか。
  313. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) まず、派遣労働者といいますのは、御自分の希望で自分のやりたい職務というジョブ型でお仕事をしておりますので、その職務についての賃金についてはお支払いしているというふうに考えております。  キャリアアップにつきまして、それらが変更できるかですけれども、キャリアアップで一番大事なものはキャリアコンサルティングであるというふうに考えております。当社でも現在キャリアコンサルティングの資格を持った者が六十四名おりますが、これからは更なるキャリアカウンセリングを、増員ということを検討してまいりたいというふうに思っております。  また、教育研修ですけれども、当初……
  314. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 いいです。  伊藤公述人にもお聞かせをいただきたいんですが、派遣労働者方々処遇改善を本当に実質的に図っていくためには、当然派遣料金の大幅なアップが必要です。この法案成立によって派遣料金の大幅アップ、見直し、これを求められた暁には積極的に応じていかれるという、そういうことになるんでしょうか。
  315. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) しっかり話し合ってまいりたいと思います。
  316. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 その話し合うというのは派遣元と話し合われるということで、派遣労働者の方とも話し合っていただけるんでしょうか。
  317. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 派遣元会社と契約をさせていただいておりますので、派遣元会社としっかり話合いをさせていただきたいと思います。
  318. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 その辺が本当に大きな問題だということは指摘をさせていただきたいと思います。  再度、山本公述人にお伺いします。  先ほどちょっと触れかけられましたけれども、今回の法案の三十条、雇用安定化措置とそれから教育訓練の義務化、これは大変大きいわけでありますけれども、とりわけ教育訓練の義務化というのは、今まで以上に全ての派遣労働者方々に対して教育訓練を体系的に実施をしていただくということになります。  これは当然、これを実施していくためには今まで以上に教育訓練にコスト、投資をしていただかなければならなくなりますが、その投資、どうやってそのコストを賄われるおつもりなんでしょうか。二つしかないと思っておりまして、マージン率を上げるか若しくは御社の利益を削るか、どちらかしか選択肢はないと思っていますが、このいずれを選択される御予定でしょうか。
  319. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 当社におきましては、会社設立当初から、ワープロ研修であるとかオリエンテーションなどの研修を御本人の負担なしで実施しております。現在では、パソコンはもちろん、情報保護研修を始め証券外務員・通信、マナー講師養成講座、資格取得支援なども無料でいたしておりますので、この法案変更になったからといってコストが増えるというふうには思っておりません。
  320. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 そうすると、この法案が仮に成立したとしても、今まで以上のことはないという理解でよろしいでしょうか。
  321. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) そういう今まで以上のコストを掛けるか掛けないかというのは、やはり時代の要請とか必要に応じて検討してまいらなければなりません。今の段階でどこをどう増やしていくかということに関しましては検討中でございます。  いずれにしても、より高い専門性の業務に従事することができるよう、教育訓練、OJT、また職場の方の協力も得ながらやってまいりたいというふうに思っております。
  322. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 時間が来てしまいましたが、済みません、樽井さん、最後に一言。今のやり取りを聞いて、雇用安定化措置正社員化期待をできるかどうか、一言だけお願いいたします。
  323. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 派遣元派遣先共に、今回の改正が通ったからといって、どういうふうになるかということが具体的に語れないというのが現状ではないでしょうか。オプションを増やしたいというだけであって、実際に派遣労働者処遇の改善につながる保証がないということが今のやり取りで明らかになったというふうに思っております。
  324. 石橋通宏君(石橋通宏)

    石橋通宏君 ありがとうございました。
  325. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 公明党長沢広明です。  四名の公述人の皆様、大変今日は貴重なお時間と貴重な御意見、ありがとうございます。  私の方からも少し総括的なことについてお伺いしたいと思いますが、まずは山本公述人、人材派遣会社の中でずっとこれまで派遣労働方々と接してきて、いわゆる派遣労働の方が増えてきた理由というのは大きく分けて二つ、全く極が違う二極だと思うんですね。一つは、自ら望んで派遣という形を選択をされている、積極的に選択をされている方、もう一つは、本来望んでいないけれども、例えば就職に、社会に出るときに最初にそれにつまずいてしまったとかいう形で、望まないけれども派遣で働いている方と、大きく分けるとそういう分け方ができると思いますが、この派遣を自ら望んでいる方はどういう理由派遣という働き方を選択されているのか、そしてもう一つ、逆に望まずに派遣という働き方をしている方にとって、本当にこれから望んでいくもの、要求されるニーズというのは今どういうふうになっているのか、山本公述人のこれまでの経験の中から少し御説明いただければと思いますが。
  326. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問ありがとうございます。  まず、自分から望んで派遣社員として働いていらっしゃる方ですけれども、その前に、行政でも行っていますけれども、派遣社員の方のアンケートの結果がございます。当面、働き方といたしまして派遣社員を希望する方は大体六七%ぐらいということで、正社員希望は一八・八%でございます。数年後に正社員になりたいという人は四四・七%というふうになっております。  そういう中で、まず自分で派遣を選択している方の中には、ワーク・ライフ・バランスを重視しておりまして、職種、勤務時間、勤務地、期間などを限定していらっしゃる方、そういう方が派遣で働くという選択をしております。また、派遣は望まないけれども正社員になりたいという方に関しましては、次に働く正社員の仕事が見付かるまでの間のつなぎとしてお仕事をしていらっしゃって、収入を得るという機会も私どもが提供できているというふうに思っております。
  327. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 今の質問とちょっと重なりますが、伊藤公述人山本公述人それぞれにお伺いしたいと思います。  もう一歩進んで、派遣労働という形が優れていると思われる点はどういうところか、逆に、派遣労働が抱えている課題とか、ここを改善すれば更に良くなるのではないかという点を、派遣を利用されている派遣先企業と、そして派遣元である山本公述人と、それぞれのお立場からお考えを紹介してもらいたいと思います。  まず、伊藤公述人からお願いいたします。
  328. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) まず、優れているというふうに思う点といたしましては、まず企業にとっては、先ほども少し申し上げましたけれども、やっぱり業務の繁閑差というのがどうしても出てまいりますので、それに対応するという意味で派遣労働者の方の働き方というのはそれにマッチしているんではないかなというふうに思うのと、あと、やっぱり専門的な業務でなかなか社内で対応できない、例えば通訳とかも、特殊言語みたいな通訳だとか社内に見当たらない場合に来ていただいてということで、社外の力を借りるという意味では非常にプラスになっているというふうに思います。  課題といいますと、まさに今回の改正内容でございますけれども、やはり専門二十六業務というものの判断が我々としては非常に難しくて、どうしてもコンサバに判断せざるを得ない結果、やはり使い方が非常に硬直的になって、派遣社員の方自らの行動まで制限してしまうみたいなところが相当ありましたので、そこがかなり柔軟にということになれば、お互いにとって非常にいい形になるんじゃないかなというふうに思っています。  以上です。
  329. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) まず、優れた点というところからお話し申し上げますと、まず仕事を探すという作業は非常に大変な作業です。今、履歴書を出して、そして返事を待って面接をして合否を待つというようなプロセスを経なければなりませんが、それを私どもへ登録していただければ、希望を聞いておりますので御本人に見合ったお仕事が御紹介できて、非常に仕事を探すまでの時間が短縮できるというメリットがあると思っております。  あとは、派遣先におきまして何か問題とか要望が出たときに、御自分から申し出るのはなかなかつらいものがございますけれども、私ども派遣会社が間に立ってその調整をする、交渉をするといった機能を持っていることが優れている点だと思います。  それから、希望とか、先ほど申し上げましたワーク・ライフ・バランスというものを重視した選択ができるといったことは派遣の優れている点でもあろうかと思っております。  あと、課題といたしましては、法律が何度か変わっておりますので、労働者から見ると分かりづらいという点があったかというふうに思っておりますし、私ども派遣元といたしましても、法律変更のたびに皆様への御説明をきちんとしてまいらなければなりませんでしたので、そういう点が課題でございましたので、早く安定した派遣法になることを望んでおります。
  330. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 もう一点、伊藤公述人山本公述人それぞれにお考えを伺いたいのは、これまでも出てきましたけれども、キャリアコンサルティングあるいは教育訓練という問題でございます。  派遣元事業主に対して、計画的な教育訓練、それから希望する派遣労働者に対するキャリアコンサルティング、こういうことが義務付けられるわけですけれども、派遣労働者のデメリットの一番大きいところの中に、いわゆるキャリア形成が難しいという問題がございます。そういう中で、既に実施されているということですが、計画的な教育訓練を実施していくことについてそれぞれのお立場からの御見解を伺いたいんです。  まず、山本公述人に伺いたいんですが、山本公述人のところは事務系を中心に九七%が女性の方だというふうにさっき伺いました。例えば、エンジニアに対するキャリアアップとこういう事務系を中心とした女性の方のキャリアアップというものは全く多分方向性が違うと思いますし、御社の場合、この教育訓練あるいはキャリアコンサルティングということを今後進めていく上で、これからこういう面も自分のところでは強化していきたいなとか、こういうふうに進めていきたいなというお考えがあればそれを御教示いただきたいということと、それから、その後、伊藤公述人に伺いたいのは、派遣元がそういうキャリアアップ形成、教育訓練をやっていくということに対して、派遣先として協力していくためにはどういうことを考えるかとか、どうそれを受け止めるかということ、派遣先としてできることはどういうことがあるのかということをもし述べていただければお願いしたいと思います。  じゃ、山本公述人からお願いします。
  331. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問といたしましては、エンジニア系と事務系の教育に関しての考え方という……
  332. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 そうですね、御社の場合。
  333. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) はい。  まず、エンジニア系に関しましては、今技術の革新がかなり速い時代でございますので、その都度新たな機械の操作説明等でこちらが教育研修は可能でございます。  事務系に関して申し上げますと、日本の労働慣行といたしましてチームでお仕事をするというケースが多うございますので、基本的な事務のパソコンであるとかマナーであるとかをお教えした後、次のステップといたしましては、やはり経理ですとか人事労務系であるとか、あと語学であるとか、そういった専門性の高いものでない限りは、やはり企業との協力、OJTでその人の経験を積むことによって次の仕事へのステップアップになるとも考えております。  事務系に関しましては、かなりこれから課題も多いというふうに思っておりますので、私どもこれからいろいろと研究してまいりたいというふうに思っております。
  334. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 御質問としては、派遣元の教育訓練みたいなものに対して派遣先としてどう協力できるかということでよろしいでしょうか。
  335. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 はい。
  336. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) そういう観点では、今言われたとおりなんですけど、やはりOJTという観点での教育訓練を提供できるんじゃないかなというふうに思っております。加えて、OJTの前にやはり必要となるようなスキルみたいなものがあれば、それぞれについて導入のところでスキル教育を我々としても派遣社員の方にもやっておりますし、それを使って実際に職場で就業するというのが本人のキャリアアップにつながるというふうに思いますので、そういう観点で御協力できるんではないかなというふうに思っています。  以上です。
  337. 長沢広明君(長沢広明)

    長沢広明君 貴重な御意見、ありがとうございました。終わります。
  338. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 公述人の皆様、今日はありがとうございます。質問させていただきます。  まず、山本公述人にお願いしたいんですけれども、今回の法改正によって届出制の会社も許可制へと移行することによって、人材派遣業が大変寡占化が進むのではないかと思われるんですが、特に山本公述人の会社は、元々ウーマンスタッフという会社から、テンプスタッフと合同会社をつくってホールディングを、持ち株会社で規模を拡大して、マッチングを考えると、メリットとしてやはりたくさんの人材を抱えた方がいろんな仕事を配分しやすくなるということで、大きい会社になった方が非常に人材派遣会社としてはメリットが大きいと思うんですけれども、一方でデメリットもあるんではないかと思うんですが、寡占化が進むことによるメリットとデメリットをどのように考えているかということなんですが。
  339. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問ありがとうございます。  寡占化が進むかどうかということに関しましては私の立場からは申し上げられませんけれども、やはり労働法規というものに関して派遣元がきちんと遵守していくという姿勢が大事であるというふうに思っておりますので、一定の手続を取って厚生労働省が認めた会社であれば問題はなくなるというふうに思っております。  デメリットという点では、ちょっと今は、済みません、考えにくいんですけれども、もしかしたら中小の企業、あるいは、もしかして許可取得を、廃止される方も出てこられるかもしれませんが、その点は私からはちょっとお答え申し上げられる立場ではございません。
  340. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 ありがとうございます。  テンプホールディングスの水田社長のインタビューがちょうど資料に挟み込まれておりまして、この資料によると、企業買収による規模拡大も必要だということを社長がおっしゃっていて、多分こういう意味では派遣業者というのは大変大きくなっていくんではないかというふうに思っているんですが。  今後、この改正法によって、派遣会社の覚悟も厳しく問う内容だと、特に求められるのが派遣スタッフの雇用を安定させることということで、今後、派遣業界にとって、派遣社員から正社員へ、政府はこの法律改正されることによってなる道が開けるんだということを今回の法改正メリットとして挙げているんですけれども、人材派遣会社としては、やはり派遣社員正社員になっていくと自分の会社の社員が減ってしまう、自分が抱えている社員も含めて減ってしまうわけですので、なかなか正社員化というのは進めたくないのではないか、派遣会社の立場に立ってみるとですね。やはりそれで自分たちの収入が減ってしまうわけですので、結局そういう意味では、正社員化政府はこの法律がなるということなんですけれども、実際のところはどうなると思いますでしょうか。山本公述人、お願いします。
  341. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) まず、前半の当社のMアンドAについての考え方でございますが、人に仕事をしていただくという観点で申しますと、派遣というビジネスだけではなくて、職業紹介で直接正社員になっていただくという道もございますので、そういう意味で、当社のサービス内容を広げていくという意味で申し上げているかというふうに思っております。  それから、正社員が増えることによって派遣業界がダメージを受けるのではないかという御質問ですけれども、従来も御本人様が御希望されていることはどんな働き方かというのが一番大事だと思っておりますので、そちらは特に懸念していることではありませんし、職業選択の自由がありますので、そこは支援してまいりたいというふうに思っております。
  342. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 ありがとうございます。  山本公述人ばかりでちょっと申し訳ないんですけれども、臨時的、一時的なものというのが原則としてこの法律の中身にあるんですが、無期雇用派遣労働者派遣期間制限がなくなることによって派遣社員化というのが、正社員ではなく、一時的な原則、臨時的な原則というものがなくなってしまうんではないかという懸念についてはどのようにお考えでしょうか。無期雇用派遣についてどのように考えるかということなんですが。
  343. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 済みません、臨時的、一時的なものから無期。済みません、御質問内容を……。
  344. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 テンプ社長の水田さんのこのインタビューにもあるんですけれども、今後、派遣期間も変わって、これまでは業務ごと三年だったものが改正案では一人当たり三年になると。同じ仕事でも人が交代すればずっと派遣社員に任せられて、企業も活用を増やすのではないかということで、基本的に正社員化というのはやはり進まないんではないかというふうにも見られるんですが。  ただ、今、先に聞いたのは、前の質問は、無期雇用ということによって臨時的、一時的なものではなくなるんではないかということと、それから、やっぱりこういうふうに人を替えればいいということになったら、正社員にするよりも、派遣社員を替えればいい、人を替えればいいのであって、やはりこの臨時的、一時的なものという原則からは離れていくんではないかということがあるんですが、いかがお考えでしょうか。
  345. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 臨時的、一時的な要請というのは、派遣労働者の方がまずそれを選択されているという今現実もございますし、これからもそれは継続して御要請はあるというふうに考えております。  あと、無期雇用に関しましては、将来のことですので今具体的には申し上げられないんですけれども、今後、無期雇用化するといったようなことも検討していく機会ができましたので、そこは今後の課題だというふうに思っております。
  346. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 派遣労働者の均衡待遇についてお聞きしたいんですけれども、伊藤公述人山本公述人にお願いしたいんですが、今後、派遣労働者の均衡待遇、それから、私ども同一労働同一賃金ということで、正社員の人と同じ労働内容であってやっぱり賃金に差があるというところの均等待遇をしっかりしていくためには、どのようなことをしていけば、今後、正社員と同じような働き方をしている派遣社員に対しても同じような賃金であったり均等な待遇をすることができるのかといったところについての派遣先としての御意見をいただければと思います。
  347. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 弊社だけじゃないと思いますけど、日本企業の特徴としては、正社員の働き方というのが、欧米のような職務主義的ではなくてやっぱり職能主義というのをベースにやっているものですから、かなり幅広く、業務を限定することなく、日々、我々の言葉で言うとカイゼンをしながらPDCAを回しながら仕事をするという仕事のタイプなものですから。  一方で、派遣社員の方というのは、専門二十六業務に代表されるようなある限られた業務をやっているということなものですから、賃金を比較するといったときに、まず正社員がやっている仕事、いろんな仕事をやっている集合体でその人に対して賃金を払っているものですから、賃金と職務のマッチングみたいなのが日本企業の中では非常に難しいんじゃないかなというのが、まず直感的にはそう思います。  ということで、それがリニアにできるんであればやるべきなのかもしれませんけれども、余り軽々にやってしまうと変な形になってしまうおそれもありますので、やっぱり時間掛けて慎重にやる必要があるんじゃないかなという、働き方が基本違いますので、というところはちょっと留意すべき点じゃないかなというふうに思います。
  348. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 海外の、特にヨーロッパですとかアメリカですとか、ジョブ型というか、仕事の仕方として非常に違うというところで、今後ジョブ型に進んでいくと、今度、新規の若い人たち正社員への道というか、新規採用が一括採用で正社員化していくという道が閉ざされてしまうんじゃないかという懸念があるんですけれども、今後、こういうジョブ型、派遣社員型ということに進んでいくと、そういった一括採用の正社員化というのがなくなっていくんじゃないかという懸念があるんですが、伊藤公述人、どのようにお考えでしょうか。
  349. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) ジョブ型、派遣社員型に進んでいくというふうには余り思っておりませんで、いいところを取り入れながら、御承知のとおりだと思いますけど、欧米企業も職能主義的なものを取り入れながら変化してきていますし、日本企業も職能主義は捨てずに職務主義のいいところを取り入れながら少しずつ変わってきているという段階なものですから、一気にジョブ型に進んでいって、職務主義的な形になって、労働市場の中で入替えが可能になるようなそういうものは、今の現実を考えると、そんなにすぐに一朝一夕に変わるものじゃないんじゃないかなというふうに企業にいる立場としては感じます。
  350. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 ありがとうございます。  先ほど山本公述人から、技術系と事務系と比較して、人材派遣業で、今日午前中はこの委員会メイテックという、特にエンジニアの人たち派遣業の仕事の仕方を見てきたんですけれども、やっぱり事務系と理系というか技術系とではまた違った人材派遣業だと思うんですが、特に先ほど山本公述人から、事務系には課題も多いということをおっしゃっていましたけれども、どのような課題がこれからあると思いますか。
  351. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 事務系の派遣社員の方が職場に行きますと、その会社のやり方、ルール、それから文化というものがございますので、そこにまず合わせていくということが重要になっております。その上で、じゃ、事務のスキルを上げていくということになりますと、現場での知識を得るということがまず真っ先に必要です。  では、ほかのところでエンプロイアビリティーを発揮できるような実務はどういうものが必要かということをこれから私たちはしっかりと考えていきたいということで、そこのエンプロイアビリティーのある内容検討していくのが課題だというふうに思っております。
  352. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 ありがとうございます。  それでは、次に田中公述人に。派遣労働というものについて、先ほど、この派遣法改正によって派遣の仕事というのがこれから一生派遣になってしまうというようなことでしたけれども、本当に派遣の仕事を選んでしている人たちにとっては一生派遣でもいいのではないかという意見もあるんですが、そういう考え方についてはどのようにお考えですか。
  353. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) お答えします。  中には派遣を選ばれる方もいるかもしれませんけど、先ほども発言の中でも、社員で働きたくてもすぐに働けない、だから派遣で働いているんだという知り合いがいるということを私はお話しさせてもらったんですけれども、本当にすぐに見付けられるのは多分派遣だと思うんですね。  でも、将来のことを考えると、やはり正社員という道を選びたいという方たちはたくさんいると思うんです。そこで生涯派遣というのを選んでしまうと、結局は、今、低賃金、低所得の方々が増えている中で、やはりその働かせ方はいけないんではないかなというのが私の思いです。
  354. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 田中公述人、同一労働同一賃金という法律を今回国会に提出されているんですけれども、衆議院の方では提出されたんですけれども、その法案についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  355. 団長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    ○団長(丸川珠代君) 田中公述人でいいですか。
  356. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 樽井公述人です。
  357. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) ありがとうございます。  同一労働同一賃金原則というのは非常に重要なことであって、これがきちっと定着するのであれば、正規労働者と非正規労働者の間の労働条件の格差というものを是正していく大きな力になるだろうと思います。  そういう点で、こういう法案自体は非常に重要だということは強調したいと思いますが、衆議院段階でもいろいろ修正がなされていて、均衡待遇で、しかも検討期間が三年というふうになっているということですので、少なくとも今日お招きをいただいている労働者派遣法との関係でいいますと、現在の法案ではそれが派遣労働者処遇の改善に結び付くという希望を持つのはちょっとまだ難しいということを率直に述べさせていただきたいと思います。
  358. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 樽井公述人山本公述人に、両方お願いしたいんですけれども、今回許可制ということになることで企業に対しての責任というのが非常に重くなると思いますが、この許可を取り消すに当たっての政府の回答というのがちょっとまだ曖昧なんですけれども、どのようなときにこの許可を取り消すべきだというふうに山本公述人、樽井公述人はお考えでしょうか。
  359. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 許可を取り消すのにはどんな要件かと。これは、労働局の方から監査が私どもの会社に入っておりますので、業界ではそちらの判断にお任せいたしております。必要な要件を満たしていない場合に許可の取消しがあろうかというふうに思っております。
  360. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 今回許可制に変えられるというのは、今回の改正案の中で私は唯一評価しているところでございます。許可制になるということで、派遣会社にとってもいろいろなチェックが働くことになるだろうと思います。  取消しの要件は、当然その許可要件を満たしていないということが重要になるわけでしょうけれども、法違反の派遣を繰り返しているような場合について、やはりその許可の取消しを真剣に検討すべきだというふうに思います。
  361. 川田龍平君(川田龍平)

    川田龍平君 ありがとうございます。  時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  362. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  公述人の皆さん、ありがとうございました。  田中公述人にまずお伺いしたいんですけれども、もう当事者でなければ語れないお話だったと思いますし、やっぱり私たちはそういう声をしっかり受け止めて法案審議をしなければいけないというふうに本当に痛感をいたしました。  そこで、最高裁でこの三菱電機の法違反は確定したわけです。ところが、派遣先である三菱電機に対して厚生労働省はいまだに行政措置を何もやっていないという、先ほどそういうお話がありました。  田中公述人から御覧になって、こういう厚労省の対応、そして三菱電機の対応、どんな思いを持っていらっしゃいますか。
  363. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) お答えします。  三菱電機の違法というのが分かったときに、裁判を起こした際、私たちは事実を話したんですが、それが立証されませんでした。でも、三菱電機の違法行為が確定していることに対しては、三菱電機は一切悪いことをしたということに対して謝罪がありません。なので、今現在、謝罪を求めて争議をしているところです。  なので、悪いことをしたことはきちんとやはり企業に対しても処罰をしなきゃいけないと思っていますし、会社の、強制力がないので、今現在、やり得、逃げ得のような、やりたい放題になっているという現状になっていると思います。なので、問題があったとしても、取締りがないので歯止めが利かない状況になっていると思います。  なので、違反をしたときはきちんと罰則を付けるか何かをして会社に対して行ってもらわないと、いつまでも労働者は守られないと思っています。
  364. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 田中公述人は、お子さんを抱えて、もう大変な思いで裁判を最高裁まで闘ってこられました。今後、派遣という働き方はどういうふうにあるべきだというふうに御自身の経験からお考えか、お聞かせください。
  365. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) お答えします。  派遣といっても正社員と何ら働き方は全然変わっていないので、この先、一定期間働いた場合は正規雇用にするべきだと私は思っています。安定した雇用がされないと収入が安定されませんし、そうなると、この先、今の若者とか私たちの子供たちの世代が結婚できないし、家庭を持つ余裕がなくなってしまうので、会社優遇の都合のいい法律にしてしまうんではなくて、正社員も守られる法律にきちんとしていただければいいなと思っています。
  366. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 ありがとうございました。  樽井公述人にお伺いしたいんですが、厚生省、政府は、専門二十六業務の問題で、分かりにくいから業務区分を廃止するというわけですね。私たちは、これは分かりやすくすればいいのであって、もう誰が見ても専門業務だというものに限定すればいいのであって、これを理由に区分を撤廃すること自体間違いだというふうに思っているんです。  先ほど、企業の側の御意見としては、例えば専門業務でも会議に出られないとかいろんなお話がありましたが、これは法律家の立場から見て、こういう問題点というのはどういうふうにお考えなのか、いかがでしょうか。
  367. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) ありがとうございます。  まず、現在の二十六業務は余りにも範囲が広過ぎていて、専門性が認められないようなものまで入っているというのは事実だと思います。ですので、二十六業務を絞っていくということは必要なことだと思います。  しかし、派遣会社、そして派遣を受け入れているプロの方々が区別が難しいんだというふうにおっしゃるのは、私はいかがなものかと思います。契約内容なわけですから、その契約の中身を確定させるということは、これはもう経営のプロの一番のお仕事ではないのかということを私は申し上げたいと思います。  伊藤公述人がおっしゃった会議の問題などというのは比較的柔軟に対応できることですし、会議ばかりを、仕事を派遣労働者にさせているわけではないので、それは一つの例ではありますけれども、だからといって二十六業種を廃止しなければならないというのは少し論理の飛躍があるように感じております。
  368. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 ありがとうございました。  伊藤公述人にちょっとお伺いしたいんですが、今度の法律均等待遇、均衡処遇ということなんですね。先ほど、福利厚生はもう派遣も一緒だとおっしゃった。ということは、今回の法改正で、トヨタでこの均等・均衡処遇問題で新たに対応措置は求められないという理解でよろしいんでしょうか。
  369. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 済みません、企業側にそれがどこまで求められるのかというのはよく分かっていないんですけれども、ただ、今仕事をする上で必要な待遇というか、先ほど申し上げましたような福利厚生的なものだとかそういうものに差は付けておりません。  給与に関しましては、これは派遣元会社から支払われているものですので、あくまで契約に沿って会社間で決めているということですので、それについて今回どうこうということはございません。
  370. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 もう一点、製造業派遣、製造部門は実施していないと、派遣を。これ、理由は端的にどういうことでしょうか。
  371. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 完全に選択肢を排除しているわけではございませんけれども、直接雇用期間従業員というものを主体に今やっておりまして、繁閑差についてはそちらの方で対応しているということで、そこで十分今のところは対応できているものですから、結果的に製造業派遣というものは今利用はしていないというのが現状でございます。
  372. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 樽井公述人にお伺いしたいんですが、今回、政府は、常用代替防止、臨時的、一時的という原則は変わりませんということを繰り返しているんですけれども、先ほども、今回の法案はその原則を投げ捨てる、改正案労働者派遣の際限のない拡大を招くというふうにおっしゃった。私もそのとおりだと思うんですが、今後、労働者派遣制度どうあるべきか、今度の法案の問題点も含めて、ちょっと今いろんな実態も出されましたけれども、今後どうあるべきかについてお聞かせ願えますでしょうか。
  373. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 労働者派遣というのは、企業にとってメリットのある使いやすい制度だという側面があるとは思うんですが、同時に、労働者の不安定な雇用労働条件の低下を招くというリスクがあるということをやはり踏まえた上で限定して利用するという形が必要であろうというふうに思います。意見でも述べたように、やっぱり製造業派遣だとか登録型ということについては制約していくことがどうしても必要だと思います。  もう一つ思うのは、当事者にとって分かりやすい法律であること、行政にとって指導など利用しやすい法律であること、そして司法による救済ができること、こういうやっぱり法律制度にしていくということが大切だということを述べておきたいと思います。
  374. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 樽井公述人にお聞きしますが、無期雇用派遣を対象から除外した。これ、塩崎厚生労働大臣はおとといの審議でも、無期雇用派遣は有期雇用派遣に比べて雇用安定、キャリア形成の観点から問題が少ないと言うんですが、決してそんなことはないと思うんですね。  公述人は、反貧困ネットワークあいちの活動などもされています。そういう経験から、やはり無期雇用派遣の実態、こんなものではないと思うんですが、いかがでしょうか。
  375. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 無期雇用でも様々なパターンがあります。意見の中でも御紹介させていただいたのは、専門職であっても派遣先がなかったら派遣会社としてはもう切らざるを得ないという話です。製造業派遣のところでも、無期派遣派遣切りの頃はたくさんございました。  数値でいうと、二〇〇九年の五月に厚生労働省が発表した中途解約に関する統計があったんですが、このときには、無期の常用型の派遣と登録型の派遣で、中途解約をされて派遣会社を離職されたという方の中の解雇の割合というのはそんなに大差はございませんでした。ですので、重大なことが起こったときには、それはもう無期雇用派遣も有期雇用派遣も変わらないというのが実態だというふうに思っております。
  376. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 結局、やっぱり一生派遣という、そういう事態をつくり出す法案ではないかと私も思うんですが、そういう中で、派遣業界の中での受け止めを山本公述人にちょっとお聞きしたいんですが、派遣業界の中で、端的に山本公述人はこの法案反対している派遣業界の方にお会いになったことはありますか。
  377. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問ありがとうございます。  私は一企業の役員でございますので、協会のことについて十分に把握しておりませんが……
  378. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 業界。
  379. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) はい。  一応、そういうお話を伺ったことはございません。
  380. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 ありがとうございました。  樽井公述人にお伺いしたいと思いますけれども、公述人のお話の中でもみなし雇用制度のお話が出てまいりました。これ、やっぱり役割を期待されていたと思うんですが、このみなし雇用制度が予定どおり実行されていたらば、例えば実際に裁判の現場などでこんなふうに、闘いの現場などでこんなふうに役立ったのではないかという期待と、それが結局、法案成立するとほとんど骨抜きというか、実態としては全くなくなってしまうということになるわけで、そのことについての問題点を改めてお聞かせ願えますでしょうか。
  381. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 派遣切りが蔓延した後、違法な派遣、偽装請負や派遣期間制限に反したような派遣について派遣先に直接雇用を求めるという裁判が相次ぎましたが、それが司法的に救済される例はほとんどありませんでした。  二〇一二年の法改正でこのみなし制度が導入されることによって、裁判所の解釈、運用ではなく法制度として、裁判に訴えることなく問題が解決していけるというふうになったわけです。準備期間が三年もあったにもかかわらず、施行直前になってそれが骨抜きにされるような形になったということは極めて残念です。残念というか、であるがゆえに、この改正はやっぱり認められないというふうに思います。
  382. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 先ほどのお話の中でも、実際にこれが十月一日から動くと経済界の懸念があるということを厚生労働省が文書にして配っているんですね。とにかくこの十・一に間に合わせるというようなことで、いろんな議論が今この法案をめぐってはあるんですが、いろんなことがあったとしても十・一には間に合わせると。私は、これほど、何というか、法案の意図をはっきり示しているものはないのではないかと思うんですが、こういうやり方について樽井公述人はどういうふうにお考えになりますか。
  383. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 十・一というような言葉を使うこと自体がもう非常に悲しい、問題を歪曲化しているというふうに思います。制度を運用した上でこんな問題点があるというのであれば、真剣にこの場で考えるべきだと思います。しかし、一方の当事者である経済界の懸念だけが受け止められるというようなことでは、やはり労働政策の在り方として、労働政策のつくり方として余りにも片手落ちではないだろうかというふうに思います。
  384. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 この法案歯止めの問題として、過半数組合からの意見聴取というのがあるわけですね。先ほどからもちょっと若干議論ありましたが、意見聴取して反対意見があればそれなりに企業側は受け止めてくれるからみたいな、そういう話があるんですけど、私はこれは何の歯止めにもならないと思うんですが、会社側ともいろいろと闘うような裁判をされてきて、樽井公述人はどういうふうにこの問題をお考えでしょうか。
  385. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) それぞれの会社で労使関係程度が違うと思います。先ほど、伊藤公述人は非常に慎重な御意見があったかと思いますが、組合の反対を押し切ってまでやることはないだろうというのであれば、同意が必要だというような制度設計にするべきではないでしょうか。
  386. 小池晃君(小池晃)

    小池晃君 ありがとうございました。  今日、実際の現場派遣切りに遭われた方のお話も聞き、企業側からの意見も聞いて、ますますちょっと法案の問題点が浮き彫りになったのではないかなというふうに思います。田中公述人が言われたように、やっぱり派遣労働者を苦しめるような法案作らないでほしいと、その声は国会がしっかり受け止めて、廃案にするために頑張りたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  387. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 日本を元気にする会・無所属会の行田邦子です。  今日は、四人の公述人の皆様におかれましては、貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。  まず最初に、伊藤公述人に伺いたいと思います。  御社におきましては、派遣労働を二十六業務に限って受け入れているということでありました。その中には技術系と事務系と両方いらっしゃるということです。推測しますには、御社には、いわゆる正社員、無期、フルタイム、直接雇用の方と、それから有期直接雇用の方もいらっしゃるのではないかと、そしてさらに派遣労働受入れも行っていらっしゃるというふうに推測しておりますけれども。  そこで、伺いたいんですけれども、有期直接雇用ではなくて派遣労働を受け入れるその理由やまたメリットをお聞かせいただけますでしょうか。恐らく、技術系、それから事務系、それぞれ理由があるかと思いますが、それぞれ別にお聞かせいただけますでしょうか。
  388. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 有期の直接雇用というもの自体が余りたくさんおりませんで、先ほど申し上げました、生産現場において期間従業員と言われる人たちが有期の直接雇用という格好になっておりますけれども、それ以外の技術系であるとか事務系につきましては、ごく一部パートタイマーのような方がおられるんですけれども、ほとんどの人が派遣社員という形で有期の方は受け入れているものですから、それが基本であるというふうにまず御理解をいただきたいと思います。  メリット、デメリットということなんですけれども、やはり短期的に専門的な業務を外部から人に来ていただいて対応していただこうとすると、やはり有期で正社員で雇うよりも派遣社員派遣会社の方に探していただいた方がマッチングするのが容易であるということもありまして、今は主にそちらを使わせていただいていて、大変役に立っているというふうに考えております。
  389. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。  山本公述人に伺いたいと思います。  御社におきましては九七%が女性で、しかも事務系が中心ということでありましたけれども、事務系の派遣労働者の計画的な教育訓練ということ、この法改正がなされれば派遣元に対して義務付けが行われるわけでありますけれども、事務系の派遣労働者に対する計画的な教育訓練というのが私どのようなものが実効性があるのか、なかなかちょっと想像しにくいんですね。  例えば、私もかつて民間企業に働いていましたけれども、オフィスでの事務系の労働者がその能力を職場において発揮するためには、様々なスキルというよりかは、むしろ、まずはその会社でのルールを覚えるとか、あるいは経理や総務のイントラのようなシステムを覚えるとか、またその会社会社の、また職場職場のルール、仕事の仕方を覚えるということが一番役に立つのではないかなというふうに思うんですけれども、そうした中で事務系の派遣労働者に対する計画的な教育訓練というものをどのように行っていけばよいのか、どのように行うおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  390. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問ありがとうございます。  先ほども申し上げましたとおり、事務系に関しましてはまだこれから検討してまいりたいというふうに思っております、具体的に。
  391. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 それでは、もう少しお聞かせいただけたらと思うんですけれども、今現在も、計画的かどうかは別として、多く在籍されている事務系の派遣労働者いらっしゃるかと思うんですが、そういった方たちに対してどのような教育訓練を現状されていらっしゃるんでしょうか。
  392. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) まず、パソコンで使用できないアプリケーションなどの研修を施しております。それから、事務といいましても、定性的な評価というものを日本人材派遣協会で作成いたしまして、自分が今足りないところは何かというチェックシートを今年から使用しております。それによりますと、やはり自分が周りの人と協調して仕事ができているかとか、あと積極的に課題を抽出しているかといったような定性的なものを、一つ自分の評価、それから派遣先からの評価も頂戴してスキルアップに努めていくというようなことも始めております。  あとは、やはりオフィス内での教育訓練といいますと、キャリアカウンセリングが、その人の希望それから志向性などをヒアリングした上で、足りないところを個別に研修していくといったものが現実的ではないかというふうに思っております。
  393. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。  事務系の労働者キャリアアップということ、これは御社だけではなく、恐らく多くの労働者また派遣事業者にとってのこれからの大きな課題かなというふうに感じました。  続きまして、田中公述人に伺いたいと思います。  田中公述人は、これまで一つの事業所、会社におきまして、請負契約、それから派遣の労働契約という形で職務に当たられていたということでお聞きをしておりますけれども、同じ事業所におきまして請負で働いて、また派遣という形で働いて、そのときに、仕事の内容とか、また仕事の仕方、それから職場における指揮監督など、何が違いがあったのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  394. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) お答えします。  私が働いていた職場は、指揮命令は全て三菱電機がやっていました。仕事内容も何ら変わりはなかったと思います。でも、人によってはいろいろなところに配置転換されるので、工場内は一緒なんですけれどもやっているラインが変わるということはありました。
  395. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。  続きまして、樽井公述人に伺いたいと思います。  政府が出している改正法案では、派遣元に対して、厳しい場合ですと許可取消しといったような様々な行政指導といったことも含められています。例えば、雇用の安定措置、それからキャリアアップの推進、また均等・均衡待遇、こういったことの義務付けを守らなかった場合には許可の取消しもあり得るということになっています。  派遣元に対してはこういった行政指導などが盛り込まれているわけでありますけれども、一方で、このように派遣元が法令違反を犯した、義務付けを守らなかったことによって派遣労働者不利益的な取扱いを受けたり、また派遣元が法令を守らなかったことによって被害を被ったことに対する救済措置というのがこの法律上欠けているのではないかなというふうに私は考えているんですが、その点について樽井公述人はいかがお考えでしょうか。
  396. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) ありがとうございます。  労働者派遣法で定められていることを守らなかったときに、制度としてはこれはあくまでも行政指導のものなので、被害を受けた労働者については法律が直接救済しない、救済を求めるのであれば裁判所に行きなさいというのがこの労働者派遣法の基本的な考え方なわけなんですね。裁判所もそうなんだと言っています。  本当にそれでいいんだろうか、被害がそこで発生しているのに法によって救済をしていかなくていいんだろうかということがこの何年間か問われていると思います。その点で、委員から御指摘があった、被害が発生したら被害者を救済する、そういう法制度であるべきだというふうに私も強く思います。
  397. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。派遣労働者の救済措置といったことを考えていかなければいけないと私自身も思っております。  続いて、山本公述人と樽井公述人に伺いたいと思います。  政府が出しているこの改正法案では、無期雇用派遣労働者に対しては期間制限の対象外としているわけであります。このことによって、今後無期雇用派遣労働者が増えると思われるかどうか、山本公述人、樽井公述人に伺いたいと思います。
  398. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) お答えいたします。  現在、当然、私どもの会社で無期雇用の方はいらっしゃいませんので、今後、法改正になりましたら、その省令を拝見した上で検討していかなければならないというふうに思っております。
  399. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 当然、これは増やしていく方向に働く改正だというふうに思います。
  400. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。  続きまして、伊藤公述人に伺いたいと思います。  今、同じ職場で、正社員がいたり、また、御社の場合は少ないということだと思いますけれども、有期直接雇用がいたり、そしてまた派遣労働者がいたりという、同じ職場において多様な雇用形態で働く方が増えるという傾向にあるかと思いますけれども、その際の経営者側としての留意点、何に留意をされているのか、お聞かせいただけたらと思います。
  401. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) ありがとうございます。  一つは、やはり役割が違うということは明確にしておかないといけないというふうに思いますので、特に派遣社員の方につきましては決められた業務内容を逸脱しないようにということを配慮しながら、そこに留意してやっております。  ただ一方で、冒頭の陳述の中で申し上げましたけれども、やっぱり職場の一体感とか、そういったものというのも非常に大切になってきますし、モチベーションにも影響してくるというふうに思いますので、そういう意味では、働き方は違うし雇用形態も違いますけれども、例えば親睦会で飲みに行くとき、もちろん義務ではありませんけれども、一緒に誘い合わせて飲みに行ったりとか、そういったようなことは仲間として一緒にやろうというようなことは特に気を付けてやっているつもりです。
  402. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。  山本公述人に伺いたいと思います。  御社は、一九八六年七月に派遣事業許可を取得されたと、これは愛知県下で取得第一号ということでお聞きしていますけれども、非常に労働者派遣業では歴史のある企業だというふうに思っております。  そこで、お聞かせいただきたいと思うんですが、これまでの約三十年間の間におきまして、派遣先、そして労働者のニーズといったものがそれぞれ変化していると思いますけれども、どのような変化があったのか、そしてまた、それに対して御社としてはどのような対応をされていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  403. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 三十年という間に影響を受けるものといたしましては、大きく二つございます。一つは、やはり景気の変動というものに対して労働者の需要、仕事の内容というものが変わってまいりますので、それが一つの変化でございます。それからもう一つは、法律が何度か改正されておりますので、その都度対応変更しております。そういう中で、少しずつ労働者も、それから派遣先企業も、派遣の御利用についての御理解が深まってきたというふうに考えております。
  404. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。  樽井公述人に伺いたいと思います。  私自身の考えは、雇用原則、基本はやはり直接雇用であると、このように考えております。その上で伺いたいと思うんですけれども、派遣労働について、派遣労働を望んでいる方も結構いらっしゃると。例えば、ある調査だと、正社員になりたいという方と、それから今のままでいい、派遣労働のままでいいという方が大体同じぐらいであったりとか、そういうような調査もあるわけであります。  こうした望んで派遣労働をしている人もいるんだと、だから派遣労働規制は余り厳しくすべきではないのではないか、また、職業選択というか、働き方の選択の自由というものを守るべきではないかと、こういった意見もありますが、それに対して樽井公述人はどのようにお考えでしょうか。
  405. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) ありがとうございます。  派遣という働き方を望んでおられる方がおられるのは、それは事実だと思います。ただし、派遣というのはやっぱり不安定なものであるということで、私たちの社会を支えている基盤である雇用が不安定さを拡大していくようなことでいいのだろうかということをまず考える必要があるだろうと思います。  もう一つは、私たちみんなそうですけれども、働くことを積み重ねていくことによって、最初は派遣でいいやと思っていたけれども、技能を重ねていけば正社員になりたいと思うこともある、親も病気になるし子供もできる、そういうふうにどんどんと働くことと自分の生活との関連というのは変わってきます。ですから、例えば若いときには派遣でいいやと思っていた人たちが、十年、二十年たてば必ずしもそうは思わないというようなこともあるわけです。  そういう点から考えると、派遣が望んでいる人がいるじゃないかというだけではなくて、派遣という働き方が際限なく広がっていくことはいいんだろうかという観点を持つことが必要だろうというふうに思っております。
  406. 行田邦子君(行田邦子)

    行田邦子君 ありがとうございます。終わります。
  407. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  本日は本当にありがとうございます。  私から、お一人お一人に対しまして質問させていただきたいと思います。  まず、伊藤公述人。先ほど、メイテックといういわゆる派遣元のところで、労務管理の難しさというものを私質問させていただきました。そこで、伊藤公述人にお伺いしたいんですけれども、やはりいかに派遣元、そして派遣先が連携をしながら労務管理を行っていくかということ、どのような工夫をなさっていらっしゃるのか、そしてその難しさについて少し教えていただきたいと思います。お願いいたします。
  408. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 労務管理につきましては、非常に重要なものだというふうに認識をしながら丁寧にやっているつもりであります。  派遣元企業のルールに従って運用されているものが結構ございます。例えば勤怠管理とか時間管理みたいなものは派遣元会社のルールに従って、派遣元会社が結んでいる三六協定に基づいて管理をされなければならないと。それを派遣先である我々の職場でしっかり管理しないといけないという難しさがありますということで、そこにつきましては、派遣元会社様としっかりコミュニケーションを取るということがもう基本だと思うんですけれども、定期的に勤務実態を、派遣先の我々の方で承認をしたものを派遣元の方にお送りをして、それでチェックをしていただいてというのを日々繰り返しながら管理をしているというのが実態でございます。
  409. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  先ほど、派遣社員の方を、平成二十三年、二百四十名正社員として雇用なさったということ、御答弁いただいたかと思うんですけれども、その理由について、そしてその二百四十名の方を正社員として雇用したことによるメリットがありましたら教えていただけますでしょうか。
  410. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 理由は、先ほども少し申し上げましたけれども、リーマンショックの後に仕事の見直しを全社的にいろいろやりまして、総合職がやっている仕事と、いわゆる業務職という言い方していますけれども、定型的、補助的業務をする職種の方々がいるんですけれども、そこの仕事のくくり方を少し見直しをしまして、その結果として補助的業務というものがかなり増えてきたということで、それに対応する業務職的な方が不足をしまして、追加で採用するということになりまして、追加で採用するに当たって、外部から採るということももちろんあるんですけれども、やっぱり社内でもう既に活躍いただいている派遣社員の方にまずは門戸を開いて、オープンで公募させていただいたというのが理由でございます。  結果的にそのメリットというのは、何と比較するかというのは非常に難しいんですけれども、単純に、外部から採用するよりは、ある一定期間その中で働いたという経験のある方ですので、そういう意味では、即戦力という意味ではいいのではないかということと、あと、我々の会社の特徴というか、三河地区の非常に田舎にありまして、一旦我々の会社に業務職のような形で入社をして、結婚して辞められて、子育てが落ち着いた段階で派遣社員として戻ってこられていたような方がおられたものですから、そういう方々、結構そういうのがかなりの確率でおられまして、そういう人たちが、またトヨタで働く時間もあるし能力もあるというようなことで帰ってこられたような方もかなりおられましたので、そういう意味では非常に我々としてもよく分かっている方々なので助かったというようなことはございました。
  411. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  では、次に山本公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。  テンプスタッフでは、勤務時間、勤務日数の短い派遣というところから主婦の方の復職を支援するというプログラムを行っていらっしゃるという旨、私記事も読ませていただきました。このような形態で派遣を希望する企業、そして働きたい女性という方々、最近増えてきているんでしょうか。大変私としては、女性が次のステップ、主婦から職場に戻るに当たりまして、この派遣というワンステップを踏むということの意味、少し考えてみたいなと思っているんですけど、いかがでしょう。
  412. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) まさしく、女性が仕事をしながらも生活をしっかりと幸せにしていくというようなところの支援というのは、派遣会社が最も力が、そして支援ができる分野だというふうに思っております。  今、企業様の産休代替といたしまして派遣社員の方を御利用いただくケースが多うございます。反対に、時短でありながら派遣で働きたいという方のために、やはり私どもは企業にそれを交渉していくという役割が大事だというふうに思っております。どうしてもフルタイム、残業ありという業務を望む会社も多うございますが、これからはそういう短い時間で仕事をしていく人も受け入れるよう交渉してまいりたいというふうに思っております。
  413. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  派遣で働きたいというふうに希望なさっていらっしゃる方もいらっしゃる中で一本の法律でルール化をしていくということの難しさも、私はもう最近議論していて思うんですけれども、女性派遣労働者としての復職、様々、まだまだ国として、育休の制度であったり保育所の整備であったりというものが不足しているかと思いますけど、その辺り、派遣元として何か御要望ございましたら御意見いただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
  414. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) これは私どもで解決できることではございませんが、復職したいという方は大勢いらっしゃるんですけれども、お子様を預かってくださる保育所が不足していて、結局復職できないというような方が実態は本当に多いというふうに感じておりますので、こういった社会的なインフラを整備していくということを非常に強く望んでおります。
  415. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  先ほどは伊藤公述人にいわゆる派遣先労務管理のことについてお伺いしたんですけれども、派遣元労務管理といたしまして、派遣先で心身、いわゆる健康状態を人間関係であったり様々な過重労働によって壊された皆様方というものが判明したときに、派遣先にどのような対応をお願いしていらっしゃるのか、果たしてそれがしっかりと聞き入れてもらえているのだろうか、ちょっとこの現実的なところを教えていただけますでしょうか。
  416. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 私どもでは、定期的に派遣社員のお声を聞く、それから派遣社員がお電話で、そういうカウンセリングをする電話先がありますので、そこで相談してもらうという情報を得まして、お客様には問題点を改善してもらうように努力いたしておりまして、特に大きな問題に至っていることはございません。
  417. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、次に田中公述人、お願いをいたします。  先ほどから、キャリアアップというような言葉でしたり教育訓練という言葉が出ているかと思うんですけれども、いわゆる派遣で働いていらっしゃった際に、キャリアアップというようなところで何か教育訓練を受けた記憶がありますでしょうか。  それから、もし受けるとするとどういうものが考えられるのか。これ、様々な、先ほどから出てきています職種によって、技術職であればそういったキャリアアップ、キャリアラダーが描きやすいような職種など、いろんなものがあると思うんですね。実際に現場でいろんなものを見聞きして、自分も働いていらっしゃった経験から、少しお知恵を授けていただきたいんですけど、お願いいたします。
  418. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) お答えします。  余り派遣で働いていたときはそのようなことを考えたことがないので、その辺に関してはちょっと答えるのが難しいんですけれども。
  419. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、ちょっと質問を変えまして、今キャリアアップといったような言葉だけが逆に独り歩きしているのではないのかなというような御意見もいただくんですね。そのキャリアアップというものが、先ほどの山本公述人の言葉からも、いわゆる事務系であれば、なかなかどういう訓練していいのかというのも手探りの状況。もし田中公述人が働いていらっしゃったような現場で、何かステップアップするというふうなことがあるのかどうなのか、何か教育訓練を受けたことによって安全、安心に働けるような環境がつくれるというふうなこと、何か体験から語れることがございませんでしょうか。済みません、難しい質問でごめんなさい。
  420. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) 済みません、難し過ぎてちょっとお答えができないんですけど、例えば、原告の一人なんですけど、無資格で危険な作業をやらされていた方がいらっしゃいまして、二千四百ボルトの高電圧を取り扱う耐圧試験、本来なら資格が必要なんですけど、それを三菱電機は無資格で派遣社員に処理をやらせていたというのがありました。  無資格でやらせていたのは派遣社員ですかという質問に、いえ、正社員もやっていましたという返答で、作業が日によって変わるので資格を取るのが間に合わないというふうに三菱電機の証人は答えているという実態があります。
  421. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これ大変重要なことだと私も考えておりまして、安全、安心を確保していくためにも、しっかりとした教育訓練というものをこれから私どもも働きかけていきたいと思いますので、ありがとうございました。  では、樽井公述人にお願いをしたいと思っております。  私、一番心配しておりますのが、今回、派遣の事業所というものが許可制になることによって淘汰されていくだろうという意見が一方である、しかし、一方で偽装請負が増えるんではないかというふうな懸念も持っておるんですけど、その辺り、何か御意見ございませんでしょうか。
  422. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 今回の改正によって偽装請負に直接つながるかどうかというのは、ちょっと一つの懸念なのかなというふうに思います。  どちらかというと、偽装請負というのは、常にそれが発生するような余地があるというのがもう派遣の制度的な性質なんですね。ですから、これについては、偽装請負が生まれるんではないだろうかということで、やっぱり監督する行政というのが必ず必要だというふうに思います。  そういう意味では、今回許可制にすることによって増えるということではないんではないだろうかというふうに私は思っております。
  423. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  先ほど労務管理のことも派遣元派遣先の方にもお尋ねいたしましたけれども、やはり派遣先企業派遣労働者と直接雇用を結んでいないということによって様々な弊害が生まれるんではないのかなということ、これまた私、大変懸念しているところでございます。  派遣先企業がどのような責任逃れというものを、今まで何か裁判の事例などでも経験なさったのか、少し何か経験から教えていただけることございましたらお願いいたします。
  424. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) まず、偽装請負と言われるような、実際は派遣であるにもかかわらず請負契約の形を取る、あるいは期間制限を逸脱している、そういう中で、本来であれば雇用の申込みをする義務があるにもかかわらずそれを行わない。では、行政指導が有効な機能を果たさないので裁判に求めていくというふうになれば、派遣法規定はあくまでも行政規定であって司法上の効力はない。そこで、黙示の労働契約が認められるかどうかという非常に難しい論点になって、裁判所はそれを認めていかない、なかなか認めないというような例が多く出ております。  それ以外にも、実は、団体交渉を派遣先に対して求めたところ、派遣先が団体交渉に応じない、少なくとも多分、安全配慮義務だとかそういうのについては派遣先も団交に応じる義務があるだろうと思うのですけれども、なかなか応じない、それがなかなか救済策に進んでいかないというような事例もございます。  ですので、そういう点について、きちっとそういう弊害があるということを理解した上で、法律的な解決ができないかということも御検討いただきたいところだなというふうに思っております。
  425. 薬師寺みちよ君(薬師寺みちよ)

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  もう時間となりましたので終わらせていただきますけれども、本当に我々、会館におりまして、どうしてもこういった現場の皆様方の声を聞く機会というよりも机上の空論になりがちだということを、今日いろんな意見からまた我々も反省をしながら、議論を続けていきたいと思っておりますので、御協力よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  426. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は、四人の公述人、本当にありがとうございます。  名古屋は、リーマンショックの後の派遣切りの後に、派遣切り現場、それから雇用促進住宅、ハローワークなどに行き、また名古屋の自立支援センターなどを見学をしました。そういう中で、派遣法のこの改正法案議論され、公述人の皆さんから貴重な御意見をいただくことに本当に感無量です。よろしくお願いします。  まず、山本公述人にお聞きをいたします。  まず、女性が多いということで、産休、育休などの女性の取得率がもし分かりましたら教えていただけるでしょうか。  それから二点目、現場でどのような問題が起きているのか、もし御社で裁判例などありましたら教えてください。  三点目は、やはりいろいろ聞くと、事前面接は禁止されているわけですが、事前面接が実際上は解禁されているとか、ほかでもありますが、セクハラ、パワハラなどがとても起きやすくて、立場が弱いですから、派遣元派遣先になかなか言ってくれないとか、言うとトラブルメーカーみたいになって後から仕事を回してもらえなくなるという例なども聞くんですが、その三点について教えてください。
  427. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 御質問ありがとうございます。  まず、派遣労働者の産休、育休取得者の実績、復職実績でございますが、七月十六日現在、産休、育休取得中が百九十二名でございます。そして、直近一年間の復帰者が二十八名、一四・六%でございます。今後、産休、育休取得予定で申請が上がっていらっしゃる方が三十五名でございます。  二つ目の御質問に関しましては、事前面接……
  428. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 裁判例です。
  429. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 裁判例に関しましては、当社の場合はございません。  それから、事前面接に関する考え方といたしまして、こちらは、事前に派遣で働いていただく労働者の方に現場を見ていただくというようなことは場合によっては実施しております。ただ、面接で派遣先がお断りになるということはまずございません。御本人がお断りになることはございます。  あと、セクハラ、パワハラに関しまして、こちらの対策といたしましては、やはり私たちが常に巡回しておりまして、御本人、派遣社員の方からいろいろ悩み、問題、課題などをお聞きして、その都度企業の方にそういう問題があれば対策を、改善をお願いしていくということでございますが、最近の事例としては特に大きな問題は聞いておりません。
  430. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 樽井公述人にお聞きをいたします。  安倍総理は本会議で、正社員の道を開くものだと答弁をされているんですが、これは明らかなミスリードだと考えます。この法案の最大の問題点の一つは、正社員への道が権利として保障されていないということにあると思いますが、いかがでしょうか。
  431. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) この法律正社員への道を保障しているのは四つぐらいあるわけですけれども、四番目は今後厚生労働省令で決めるということですから、まだ何も分かりません。それ以外でいえば、派遣先正社員を要請するということですから、それがどうなるかというのは、要請しただけで終わってしまいます。新しい派遣先を見付けるというのもごく一般的な話ですし、派遣会社が自分のところで正社員化するというのにも限界があります。  さらに、キャリアアップ正社員化の道になるということについては、これはちょっと因果関係上そう簡単にはいかないだろうと思います。少なくとも、派遣労働者の多くがキャリアアップがされていないから正社員になっていないというような現状認識だとすれば、それは大きな誤りだろうと思います。
  432. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 厚生労働大臣はよく、三年置きにキャリアを見直す機会になるのでいいのではないかとおっしゃるんですが、三年置きに自分が死刑判決を受けるんじゃないかと思わなければ生きていけないというのは、とてつもなく精神的にも不安定だと思うんですね。  今日、切々と田中公述人は御自身の経験を言っていただきましたが、いかがでしょうか。
  433. 公述人(田中千秋君)(田中千秋)

    公述人田中千秋君) お答えします。  今おっしゃられたように、三年ごとに置き換えれば使い続けられるというのはやはり怖いものがありますし、やはり三年ではなくて、もうその前に仕事がなくなれば使い捨てられる不安があるのが派遣労働者なので、その辺はやっぱり怖い法案だと思います。
  434. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 この法案は生涯派遣を可能とするものだと思い、私自身、社民党は反対をしているんですが、ただ、生涯派遣で雇ってくれるんだろうか、むしろ若年定年制が出てくるんじゃないか、今以上にと思っているんですね。女と畳は新しい方がいいではありませんが、若年定年制というのは、実際現場の声を聞くと、三十代超える、四十代超える、五十代超えるとやっぱり仕事の紹介がなかなかなくなるとか、職場が本当に狭くなるとか、仕事が回ってこない、そんな声をよく聞くんですね。  この若年定年制、実際は法律上はないけれども、女性にとって、五四%が非正規雇用ですが、女性たちにとってとりわけ若年定年制的に作用する、生涯派遣どころか、ある年齢になると仕事が回ってこない、つまり下流老人予備軍だとかおっしゃる方もいるんですね。将来が見通せない、自分の四十代、五十代の先が分からないという声をよく聞きますが、この点について樽井公述人山本公述人、いかがでしょうか。
  435. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 先ほど伊藤公述人から、トヨタでも三年間で、いろいろな配置転換等がありますよと、癒着なんかを防止するというような話がありました。これが、派遣労働者にとっては三年で派遣先がなくなるかもしれないというような、そういう恐ろしさというのをずっと持ち続けている。だからこそ、派遣というような働き方を長期化させるんではなくて正社員化を進めていかないといけないんだという、そういうふうにしていかないといけないというふうに思っています。
  436. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 年齢の問題というのは確かに心配なところではございますけれども、当社におきましては、五十代、六十代の方のパーセンテージが今六・一%なんです。二年前は四・五%でございましたので、一・六ポイント上昇している次第でございます。  派遣というのは職務の遂行というのが御本人に求められているものでございますので、仕事に対する知識ですとかスキルがあればそれを生かせる働き方ができると思いますし、私どももそれを支援するということが大事だというふうに考えております。
  437. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 例えば、受付嬢だと、嬢だからもうあなたは嬢じゃないと言われた例とか、山本公述人にお聞きをしたいんですが、女性が年齢を重ねることで派遣として仕事が少なくなる実態や、例えばなかなか仕事が回ってこない、相手方から拒否されるというような、そういう実態は今まで経験したことはおありでしょうか。
  438. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 年齢というものを私どもの会社で特に意識しているということはございません。そして、企業からも、今は雇用機会均等法等がございますので、年齢でオファーが来るということもございませんので、そういう点は職務内容でお仕事を紹介するということに心掛けております。
  439. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 二十六業種だからというので始まった派遣法が、二十六業種の区別がよく分からないからというので撤廃され、専門職も一般職になだれ込んでいくことでむしろ単価が低くなったりするのではないかという懸念もあるんですが、それについて樽井公述人、いかがでしょうか。
  440. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 今御指摘のように、本当に専門の最初十三業種だったわけですけれども、それだけ認めるというところから始まって、今これをなくして全て一般化してしまおうというような形になるわけです。こうなると本当に派遣が際限なく広がってしまうということになると思います。それが単価に影響するかどうか、これはちょっと私の立場では分からないところがありますが、一般的にはそれは考えられることではないかなと思います。
  441. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 二十六業種の専門職の人たちの中で、現に、法律改正されるし次回の更新はないよと言われて派遣切りに遭ったという人たちにも会ってきているんですね。先ほどから二十六業種ということで、もしよろしければ、伊藤公述人山本公述人、今現に、こういうことが議論されている中で、二十六業種の人たち更新拒絶やそういう問題というのは起こっているんでしょうか。いかがでしょうか。
  442. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 拒絶というのは、御本人から続けたいけれども、企業側から拒絶しているというケースということですか。
  443. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 というか、会社の方から、あなたは次回はないですよと言われるというケースです。
  444. 公述人(伊藤正章君)(伊藤正章)

    公述人伊藤正章君) 基本的に、契約満了後、別の方に来ていただくケースというのは、人を指定してお願いをしているわけではなくて、こういう方をお願いしますということで派遣会社さんにお願いしているものですから、その方に対して、あなたはありませんとか、そういうことを言うことはございません。
  445. 公述人(山本光子君)(山本光子)

    公述人山本光子君) 当社におきましては、政令二十六業務より自由化業務の方が人数が多うございます。また、三年以上勤務してくださっている方については大体一割ぐらいしかいらっしゃらなくて、今、一年未満が四五・三%ということで、一番多うございます。  ですから、今後、政令二十六業務が三年になることによって失職するようなことがないよう、これから御本人の希望などを聞きながら、次のお仕事を紹介するか、あるいは派遣先への直接雇用をお願いするか、あるいは当社が無期雇用するかという選択肢がございますので、そういう中で検討してまいりたいというふうに思っております。
  446. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 今回の派遣法改正の中で、とりわけ女性たちが、派遣会社における無期雇用か、あるいは一生派遣のままで、どこか銀行やいろんなところで一生派遣のままで働き続けるということがとても増えて、正社員になれない女性というのがとても増えてしまうんではないかという危惧を大変持っております。  樽井公述人にお聞きをいたします。  派遣会社で無期雇用だったとしても、派遣先から派遣切り、経営状態が悪くなったのであなたを派遣切りにしますとなったときに、それは基本的には休業手当の問題になると思うんですが、休業手当は六〇%しかありません。六〇%ではなかなか生活がしづらいという問題があります。それから、派遣元の会社が派遣先の、例えば二時間ぐらい通勤するところやいろんなところを紹介して、いや、私はそんな遠いところには通勤、子供ちっちゃいし、できませんと拒否すれば、休業手当すら受けられなくなってしまうんではないか。つまり、先ほど樽井公述人もおっしゃいましたが、必ずしも無期雇用だからといって安定していない、これについていかがでしょうか。
  447. 公述人(樽井直樹君)(樽井直樹)

    公述人樽井直樹君) 結局、派遣切りが起こるときに関して言えば、無期雇用方々派遣元からの解雇ということが生じ得ます。それに対して、御紹介したように、派遣会社というのは大量の派遣切りを受けたときにはなかなか対応できない、体力的にというところが正直あるようなんですね。ですので、無期雇用だから派遣先がなくなっても派遣元がちゃんとやるだろうというふうに期待するということはできないはずだというふうに思います。
  448. 福島みずほ君(福島みずほ)

    福島みずほ君 常用代替防止というのが派遣法の要中の要です。しかし、常用代替防止を実質的には潜脱をして、派遣会社で無期雇用か、一生派遣のままで働き続けるという点で極めて問題だと思います。  時間が参りましたので、四人の公述人の皆さん、本当にありがとうございました。
  449. 団長(丸川珠代君)(丸川珠代)

    ○団長(丸川珠代君) 以上をもちまして公述人に対する質疑終了いたしました。  この際、公述人方々に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして大変有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  また、本公聴会の開催に当たりまして様々御尽力を賜りました関係者の皆様方に、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。  これにて参議院厚生労働委員会名古屋地方公聴会を閉会いたします。    〔午後三時四十分閉会〕