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衆議院議員(
井坂信彦君) ただいま議題となりました
労働者の職務に応じた待遇の
確保等のための施策の推進に関する
法律案につきまして、
提出者を代表して
趣旨説明を行います。
我が国では、いわゆるバブル経済の崩壊により、景気が長期にわたり低迷する中で、非正規
労働者は増加傾向にあります。
現在、役員を除く雇用者に占める非正規
労働者の割合は三分の一を超え、その賃金は正規
労働者の賃金の約六割の水準にとどまっている
状況にあります。
非正規
労働者については、第一に、景気が低迷すると正規
労働者に比べて雇用調整の
対象となりやすく、雇用が不安定であること、第二に、正規
労働者に比べて賃金水準が低く、継続勤務による賃金上昇の機会も少ないなど、経済的自立が困難であること、第三に、正規
労働者に比べて職業能力開発の機会が少ないことから、技能の蓄積や能力の向上の見通しが立たず、正社員への転換も困難であることなどの問題点が
指摘されています。加えて、このような非正規
労働者と正規
労働者の待遇や雇用の安定性についての格差が社会における格差の固定化につながるのではないかと
懸念されております。
そこで、我々
提出者は、格差の固定化につながる
状況を是正する
趣旨から、
労働者の職務に応じた待遇の
確保等のための施策を重点的に推進し、もって
労働者がその雇用形態にかかわらず充実した職業
生活を営むことができる社会の実現に資するために、本
法律案を
提出いたしました。
以下、本
法律案の概要を御
説明いたします。
第一に、
労働者の職務に応じた待遇の
確保等のための施策は、
労働者が、その雇用形態にかかわらずその従事する職務に応じた待遇を受けることができるようにすること等を旨として行われなければならないことを基本理念とすることとしております。
第二に、国は、この基本理念にのっとり、
労働者の職務に応じた待遇の
確保等のための施策を策定し、及び実施する責務を有することとしております。
第三に、国は、
労働者の雇用形態による職務及び待遇の相違の実態等について
調査研究を行うものとすることとしております。
第四に、国は、雇用形態による待遇の相違が不合理なものとならないようにするため、事業主が行う正規
労働者及び正規
労働者以外の
労働者の待遇に係る制度の共通化の推進その他の必要な施策を講ずるものとすることとしております。
第五に、政府は、派遣
労働者について、派遣元事業主及び派遣先に対し派遣
労働者の待遇についての規制等の措置を講ずることにより、派遣先に雇用される
労働者との間においてその職務に応じた待遇の均等の実現を図るものとし、このために必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内に講ずるものとすることとしております。
以上がこの
法律案の
趣旨及びその概要であります。
次に、本
法律案の衆議院における修正部分につきまして、御
説明申し上げます。
修正の要旨は、第一に、「正規
労働者」を「通常の
労働者」とすること。
第二に、
調査研究の
対象として、雇用形態による教育訓練の相違の実態が含まれることを明記すること。
第三に、派遣
労働者について、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生
施設の利用その他の待遇についての規制等の措置を講ずることにより、派遣先に雇用される
労働者との間においてその業務の内容及び
責任の程度その他の
事情に応じた均等な待遇及び均衡の取れた待遇の実現を図るものとし、三年以内に法制上の措置を含む必要な措置等を講ずるものとすること。
第四に、雇用環境の整備のための必要な施策として、
労働者の就業形態の設定の多様化を規定すること。
第五に、雇用環境の整備のための施策を講ずるに当たっての配慮事項として、通常の
労働者以外の
労働者の雇用管理の改善促進を規定すること。
以上であります。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
ありがとうございます。