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2015-04-23 第189回国会 参議院 厚生労働委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月二十三日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      井上 義行君     行田 邦子君  四月二十二日     辞任         補欠選任      西村まさみ君     江崎  孝君  四月二十三日     辞任         補欠選任      江崎  孝君     西村まさみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         丸川 珠代君     理 事                 大沼みずほ君                 羽生田 俊君                 福岡 資麿君                 津田弥太郎君                 長沢 広明君     委 員                 赤石 清美君                 石井みどり君                 木村 義雄君                 島村  大君                 高階恵美子君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                三原じゅん子君                 石橋 通宏君                 江崎  孝君                 西村まさみ君                 羽田雄一郎君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 山本 香苗君                 川田 龍平君                 小池  晃君                 行田 邦子君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        厚生労働大臣  永岡 桂子君        厚生労働大臣  山本 香苗君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        越智 隆雄君        厚生労働大臣政        務官       高階恵美子君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     佐野  太君        厚生労働大臣官        房総括審議官   宮野 甚一君        厚生労働大臣官        房情報政策・政        策評価審議官   安藤 英作君        厚生労働省医薬        食品局長     神田 裕二君        厚生労働省労働        基準局長     岡崎 淳一君        厚生労働省社会        ・援護局長    鈴木 俊彦君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    藤井 康弘君        厚生労働省保険        局長       唐澤  剛君        厚生労働省年金        局長       香取 照幸君        厚生労働省政策        統括官      石井 淳子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人に係る改革を推進するための厚生  労働省関係法律整備等に関する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、井上義行君及び西村まさみ君が委員辞任され、その補欠として行田邦子君及び江崎孝君が選任されました。     ─────────────
  3. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長岡崎淳一君外九名を政府参考人として出席求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取をしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 石橋通宏

    石橋通宏君 おはようございます。民主党・新緑風会の石橋通宏です。  議題となりました独法改革推進整備法案について、今日は我が党三人で質問させていただきますが、トップバッター質疑をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。  まず、本法律案の、塩崎厚生労働大臣目的について確認をさせていただきたいと思います。  大臣提案理由説明で、この改革法案というのは組織業務見直しということにだけ言及をされておりました。法律というのは、具体的な、中長期的な目標があって提起をされるということから考えますと、そもそも、今回それぞれの独法についていろいろな措置が提案をされているわけですが、これ、中長期的に一体どういう方向性目標を持ってこの提案がされているのか。つまり、国民にとっていかなるメリットをもたらす今回の改革であって、これを今後、この法案が成立した暁に、我々はどういう指標なりを持って今回の法案の具体的な成果を測ることができるのかということについて、正直言ってよく分からないんです。  まず、大臣、そのことを確認をさせてください。これ、どういうメリット国民にもたらす改革なんでしょうか。
  7. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) もう言うまでもなく、今回の改革法案は、平成二十五年の十二月二十四日、おととしですが、閣議決定をされました独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づいて行われるものであるわけでありますけれども、結論から申し上げれば、独法というのは元々日本にはなかった制度でありますけれども行革議論の中で出てきた。その行革議論で出てきた独立行政法人という制度について、その枠組みを、更に業務の質と効率性向上を図ると。そのためにどういう制度の改善が必要なのかということを絶えず考えていかなきゃいけないということでこの閣議決定がなされたのではないかというふうに思っております。  したがって、国民にどういうメリットがあるのかということでいけば、やっぱり独立行政法人ですから、行政を通じて国民業務の質の高いもの、そしてまた効率のいいものによって、できる限り資源は有効に使いながらその目的を達成していくということだろうと思うんですが、今回は、各々の法人が担う政策実行機能を最大限向上させるとともに、業務の質と効率向上させるための制度組織面で必要な見直しを行うという、それによって今申し上げたように国民へのメリットというのが出てくるんじゃないかと思いますけれども。  中身について、昨年の通常国会で成立をいたしました改正独立行政法人通則法、この四月から施行になりましたが、この中には、業務の特性に応じて法人中期目標管理型、そして単年度管理型、研究開発型の三つに分類をするということで、それぞれの目標管理期間中期、単年度、中長期として、さらに主務大臣法人に的確かつ明確な目標を付与し、評価するとともに、第三者機関外部から点検する仕組みを導入するということが、さっき申し上げた業務の質の向上効率性向上によって、国民へのメリットが中長期的にも出てくるということではないかというふうに私は考えております。
  8. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、全然お答えになっていない。それは、これまでやった改革がそうであって、今回提案されている具体的なこれが実際に何をもたらすのかということだけお答えをいただきたかったわけですけれども、これ、後ほどのそれぞれの独法改革中身についての質疑で具体的にもうちょっと聞いていきます。  それで、その前に、それぞれの今回の改革、じゃ、これはどう評価をされるのかということが非常に重要なわけですけれども、ちょっとお手元資料の一で、今回改めて確認をさせていただいたところ、評価スキームがこの四月一日から変更になったというふうに伺いました。これが、前年度までのところがこの資料の一の左側、古い体制、四月一日以降が新しい体制ということで大きく評価スキームが変わっております。  これまでは、厚生労働省にも評価委員会部門ごとに置かれていて、第三者委員の方々が第三者的にしっかりと独法のそれぞれの、まさに大臣先ほどちょっと言われた政策状況ですとか具体的な成果評価をしていたわけですが、新しい体制になりますと、今度は主務大臣厚生労働大臣がこの評価を担うというスキームになってしまった。  これ、果たしてどうなんでしょう。厚生労働省所管独法厚生労働大臣評価を行う、これって本当に公正中立透明性ある評価ができるのか、甚だ国民の側から見ると疑問を禁じ得ないと思うんですけれども大臣、この体制でどうやってこれ客観性第三者性を担保されるんでしょうか。
  9. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今のこの独法通則法が四月一日から新たに施行になっていますけれども、これは独立行政法人自主性及び自律性を発揮した業務運営と適切な組織規律によって政策実行機能を最大限発揮できるようにすることを目的としたものでございまして、今厚労省の話が出ましたが、厚労省に確かに独法評価委員会というのがございましたが、これを廃止をし、主務大臣評価を行う仕組みとされたわけで、これは、主務大臣による実効性一貫性のある目標設定、そして評価仕組みとすることによって、政策実施機関としての法人の役割が的確に果たされるようにするためのものということだと思います。  なお、厚生労働省としては、総務大臣が定める独立行政法人評価に関する指針、これを踏まえて、必要に応じて外部有識者の知見を、今お配りをいただいておりますけれども、このような形で活用しながら大臣が自ら評価をするという仕組みに変えるということでございます。
  10. 石橋通宏

    石橋通宏君 仕組みは図を見れば分かるので。これでどうやって客観的な透明性ある第三者的な評価ができるんですかと。  この後の質問にも絡みますけれども、これまでは第三者による評価委員会がきちんと評価を行っていたわけです。今回の新しいスキームでは意見を聞くだけになっていて、意見は確かに述べることができる、でも評価を実際にするのは大臣という、これで本当に客観的なちゃんと信頼性ある、国民の側から見たときに、評価になるのかということが甚だ疑問だということをちょっと申し述べておきたいと思います。  なぜそこに行くかというと、次の質問との関連で、次の質問に移りますけれども独法役員の配置、それからいわゆる現役出向状況ですね、これについても確認したいと思いますが、お手元資料の二それから三と併せて見ていただければ。二で、一覧表で、今回の法案に関わる独立行政法人役員状況役員報酬等々記載をさせていただいております。  それで、役員なんですけれども、これ、これまでの、大臣独法改革において、新しく役員を選出する際には原則公募制にしましょうということが言われていたはずであります。ところが、今回確認させていただいたところ、必ずしも公募制になっておりません。これは何で公募制になっていないのか、大臣、御説明いただけますか。
  11. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 私ども理解は、全ての役員ポスト公募にするというルールで来たわけではなく、むしろ、公務員OB役員に就任しているポストについて後任者を任命しようとする場合、それから新たに公務員OB役員に任命しようとする場合には公募によって後任者の選考を行うというふうに理解をしておりまして、これについては今も、私のところでいろいろ判断する際に、それはやっぱり公募でないといけないんじゃないかというときに、今のような官僚OBがなる場合とかなっている場合とか、そういう場合にやっているというふうに理解をしているところでございます。
  12. 石橋通宏

    石橋通宏君 そうすると、大臣厚生労働省所管の全ての現在独立法人では、その基準にのっとって全ての独法で適正に対象となるところについては公募が行われているということでよろしいですね。確認だけお願いします。
  13. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今申し上げたように、公務員OB役員に就任しているポストについての後任者を選ぶときとか、それから新たに公務員OB役員に任命しようというような場合には公募を必ずやっておるはずでございますから、今確認しましたが、そうなっております。
  14. 石橋通宏

    石橋通宏君 必ずなっているということで大臣確認をされましたので、これ、なっていなかったら虚偽になりますから、なっているということでよろしくお願いします。これはまた別途確認をさせていただきます。  それで、もう一つ、ここで現役出向について確認させていただきたいわけです。  今、大臣OBが就く場合には公募制でというような話もされました。しかし、ここで、役員のところに書いてありますように、現役出向というのが結構おられます。現役出向役員選出基準というのは、これ今どうなっているでしょうか。どういう基準をもって現役出向というのが行われているのか。  つまり、それぞれの独法で、厚生労働省現役出向のためにポストがちゃんと、定位置、指定席がつくられてしまっていて、そこに自動的に厚生労働省がこの人、この人といって当てはめて現役出向ということになっているのか、きちんとした公明正大な何かルールがあるのか、その確認をさせてください。
  15. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えをいたします。  役員あるいは職員現役出向でございますけれども独立行政法人理事あるいは職員任免についてはそれぞれの法人決定をしております。厚生労働省においては、それぞれの法人求めを踏まえて検討を行い、適任者がいた場合には役員あるいは職員現役出向として派遣をしているところでございます。
  16. 石橋通宏

    石橋通宏君 質問は、それぞれの法人現役出向、つまり、これ役員ですからね、今確認させていただいているのは。役員ポスト厚生労働省お願いをする、これについて、役員選出基準というのはあるわけですよね、それぞれの独法が、どういう方が役員になるべきなのかということは。なぜそれを厚生労働省出向お願いするのか、それについての明確な基準があるのかということを確認させていただいています。
  17. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) これは、それぞれの法人におきまして、役員理事担当というものは決まっております。それぞれの担当ごとに、それぞれの理事につきましては理事長人事権を持っておりますので、それぞれ適材適所検討をして、必要な場合については厚生労働省の方に現役出向の依頼があると、そういった形でございます。
  18. 石橋通宏

    石橋通宏君 ちょっとまた改めて基準をきちんと示してほしいと思うわけですけれども、なぜ一般の民間の方ではなく厚生労働省からの現役出向役員なのかということについて、これが恐らく国民皆さんから見ても一番透明性を確保したいところでしょうから、そこはちゃんと説明する基準がないとおかしいと思います。  もう一つ現役出向、今日、資料ではお配りをしておりませんけれども現役出向も多数おられます。これ、現役出向の場合はどういう基準があるんでしょうか。
  19. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 職員現役出向ということでございますと、これも特段、一般的に定められたような基準というのはございません。それぞれの、先ほどの役員と同じような形で職員任免はそれぞれの法人決定しておりますので、それぞれの法人において必要性があるというふうに御判断された場合について、私どもの方に求めがあるという形でございます。
  20. 石橋通宏

    石橋通宏君 求めがあると厚生労働省はそれに必ず応じるということですか。
  21. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) これは、個別のそれぞれの人事でございますので、例えば御要望があっても、私どもの方で人事的になかなかそのポスト出向できないというようなケースももちろんございます。
  22. 石橋通宏

    石橋通宏君 ちなみにお伺いしますが、これ、じゃ、それに応えて現役出向された場合に、現役出向された官僚の方の報酬手当というのはどういう扱いになるんでしょう。つまり、そのまま厚労省のその時々のポストを持込みでやられるのか。  ちょっと私が確認をしたいのは、じゃ、独法出向されたと。同じ仕事をされている独法プロパーの方が当然おられるはずです。独法プロパーの方と厚労省からの出向の方と、同じ仕事をしていながら給与体系が全く別で処遇も全く違うというようなことが起こっているのかどうかという確認なので、そこを明確にお答えください。
  23. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) これは原則といたしまして、その出向先ポスト、それに応じまして、当然ながら出向先法人給与規程がございますので、それに当てはめた形で報酬決定をされているという形でございます。
  24. 石橋通宏

    石橋通宏君 そうすると、ポストによっては官僚皆さん出向したら給料が下がるということもあり得るということですね。
  25. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 御指摘のようなケースもございます。
  26. 石橋通宏

    石橋通宏君 それを厚労省で補填されたりしますか。
  27. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) そういったような仕組みはございません。
  28. 石橋通宏

    石橋通宏君 そうすると、官僚皆さん出向しろと言われて、給料下がるかもしれないと言われて、嫌だと言うことはあるわけですね。
  29. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) これ、人事でございますので、適材適所を私どもの方で省内の人事と同じような形でやらさせていただいております。
  30. 石橋通宏

    石橋通宏君 人事でやられているということは、人事権ということだから嫌だということは言えないということでいいですか。
  31. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) もちろん、人事におきましては、これは、職員についてもやはり人事の希望というのはいろんな形で聴取をしております。それを踏まえて、この現役出向にかかわらず、全体の人事というものは行っております。
  32. 石橋通宏

    石橋通宏君 余り明確にお答えいただいていないですけれども。  ちょっとこの辺、現役出向の在り方についても、先ほどの役員と同じでやっぱりこの辺が一番、国民皆さんから見て、なかなか透明性信頼性を確保する上で明確な基準がないということになると疑問に思われるところだと思いますので、この辺、今後の改革の中でもしっかり対応いただけるように要請をしておきたいと思います。  その上で、昨年、障害者雇用率の水増し問題が発生をいたしました。大変本当に残念な事態だったわけですけれども、まず確認ですが、今回対象となっている独法だけに限らず厚生労働省所管の全ての独立行政法人で、現在、障害者雇用率、これは二・三%確保されているという理解でよろしいでしょうか。全ての独法不足ゼロということでよろしいですね。
  33. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 全ての法人障害者雇用率が達成されているという状況ではないというふうに聞いております。
  34. 石橋通宏

    石橋通宏君 具体的に、厚生労働省所管独法、数あるわけですけれども、どれぐらいで達成できていないんですか。
  35. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 今手元に全法人障害者雇用率数字持っておりませんけれども、例えば今回の法案対象となっております独立行政法人数字で見ますと、労働安全衛生総合研究所、これが障害者雇用率一・七二%、そして年金積立金管理運用独立行政法人、これが一・三〇%ということになっております。
  36. 石橋通宏

    石橋通宏君 資料にお示しをしているとおりでありますけれども、ただ、事前に御説明をいただいた中では、これは純雇用率でいくとこの数字になるんだけれども、いわゆる法定障害者雇用率二・三%というのは、例えば重度の方が二倍換算とか、非正規の方は〇・五とか、そういう雇用換算率があるわけで、それで出したときの不足数はゼロなので法定雇用率ということでは満たしているという説明だったと思いますが、そうじゃないんですか。
  37. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) ちょっとその点、私、確認しておりませんでしたので。恐縮です。
  38. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 例えば、私の所管安全衛生研究所のお話がありました。  実雇用率としては一・七二でありますが、小さい法人でありますので、雇わなきゃいけない人数につきましては、これは民間も同じでありますが、端数は切捨てになっております。したがいまして、雇わなければいけない人数の分はきちんと雇っているという評価でございます。
  39. 石橋通宏

    石橋通宏君 事前にいろいろ確認させていただきましたので、もう一度ちゃんと確認しますが。  ということは、法定の二・三%、これは小さいところだと端数が調整があるとかで、これだけいなければいけないという人数があって、それでいったときの不足はゼロだということで説明があったですけれども、それでよろしいですよね。  全ての厚生労働省所管独立行政法人不足数はゼロだということでよろしいですね。
  40. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 前段の部分はそのとおりでございます。  ただ、ちょっと所管全体の数字は持っておりませんので、ここに出ている法人は満たしておりますが、ちょっと、今回対象になっていない法人については資料がございませんので、申し訳ありませんが、後ほど御報告させていただきたいというふうに思います。
  41. 石橋通宏

    石橋通宏君 これ、大臣、去年あれだけ問題になった、御記憶だと思います。あれだけ問題になって、これやっぱり厚生労働省として、厚生労働省所管独立行政法人ですよ、そこでこの問題が発生して、いや、これはとんでもないということで、ちゃんと対応するといってやっていただいたわけです。  これ、問題になったのは労働者健康福祉機構ですよね。そこだけやった。で、それでよかったよかったということだったんですか、大臣。あの問題があったから、これはやっぱり厚生労働省所管の全ての独法で今どうなっているのかということを確認されて迅速に対応されたと我々は理解をしていたわけですが、そうではなかったわけですね、大臣
  42. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回、ああいう大変残念なことが起きてしまったときに、それを契機に、全独法に関して、障害者雇用政策そのもの厚生労働省所管ですから、他の政府関係機関においては分からなかったわけですね。ですから、これを抜き打ちで調査に行きますということを言いましたが。  それはまあ、そもそも厚生労働省所管のところで守るべきことを守っていなかったのに、ほかの役所にまで、所管のところまで行くなんていうわけにはまずはいかないだろうから、まずやれと。つまり、厚労省所管のところで本当にやっているかどうかをもう一回調べ直せということを私は申し付けておきまして、その結果はまだ正確には聞いていないところでございますので、それはおっしゃるとおり、まずは厚労省所管独法から法律どおりやっているかどうかをチェックするということは当然のことだというふうに考えて指示をしたところでございます。
  43. 石橋通宏

    石橋通宏君 これ、問題が発生してからどれぐらい期間たっていると思いますか。大臣、昨日指示出したんですか。そんなことないでしょう。あの問題が発生した昨年のあの段階ですぐ指示を出されたんでしょう。その報告を大臣、今受けていないと言われました。まだ受けていないんですね。それを放っておいたわけですか、大臣。  済みません、時計止めてください。
  44. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  45. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を起こしてください。
  46. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 質問通告を受けていなかったものですから、正確な資料を持っていないので、大変申し訳ないんでありますが、幾つか満たしていないところがあったという報告は一回受けていますけれども、その後、それも全部やったかどうかということについてはまだ報告を受けていないということでございますので、おっしゃるとおり、あのときすぐに私が指示したことであります。幾つかまだ満たされていないという報告を聞いて、それを正すようにして、そのまだ結果は聞いていない、こういうことであります。
  47. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、余りに残念な対応と言わざるを得ないと思います。  大臣、御自身で今認められたですね、あれだけ残念な事件、あってはいけないことが起こったと。それですぐ指示を出されて、そのまま放っておいたということですか。結局、どういう対応があったか確認はしていない、それが今現在において自信を持って大臣言えないわけでしょう。今現在、全ての独立行政法人できちんと対応して、もう不足数はありませんという御報告をこの場で、半年以上たった現在においてそれが言えないということは、指示は出したけれども、その後ちゃんとした対応をしたかどうか確認はしていないということを大臣自らお認めになったわけでしょう。そういうことでいいですか。
  48. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 繰り返し申し上げますけれども質問通告をしていただければもう少し正確なところを調べた上でお答えができたところでありますが、私が申し上げているのは、あの労福機構で起きたときに直ちに全厚労省所管のところについては調べろということを言って、幾つかそうなっていないというところが出てきましたが、これをいきなり、じゃ、その数字をすぐに満たすようにしろといっても、これは雇い入れなきゃいけないわけでありますから、それは少し時間が掛かるということで、まだ最終結果は聞いていないという意味でございまして、それは、数字は満たしていない、じゃ、満たせといって一日でできることではございませんので、そこのところは御理解を賜りたいというふうに思います。
  49. 石橋通宏

    石橋通宏君 その当該の問題になった労働者健康福祉機構はすぐに対応されたわけですよね。そういうことでよろしいですね。
  50. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 先生の資料にも出していただいておりますが、昨年の十一月七日時点でここに先生がお示しいただいている数字になっておりまして、法定雇用率を上回っております。
  51. 石橋通宏

    石橋通宏君 健康福祉機構はすぐに対応されたそうです、塩崎大臣。半年たっています。すぐにできない。でも、すぐに福祉機構はやっていただいている。どの行政法人がどれだけの不足数があるのか分かりませんが、福祉機構ですぐに対応いただけたものが、半年たっていただけないのはどういう状況なのか、それつまびらかに今できないんでしょう、大臣。要は分からないわけでしょう。  ということは、大臣、しっかりと自後の、自分がお出しになった指示に対して具体的にどういう進捗状況になっているのかというのを大臣御自身が全く把握をされていないということを今露呈されたということだと思いますが、これ、大臣、すぐに委員会に報告をいただきたいと思いますし、ちょっとここで質問通告云々かんぬん言うのはあれですけれども、通告をここにしておりますので、これで準備をしておられなかったというのは大変遺憾だということも申し上げておきたいと思います。  余りこれで時間使いたくないので、これは是非委員会に対してすぐ報告をしていただくように、委員長、お取り計らいをお願いします。
  52. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 後刻理事会で協議をさせていただきます。
  53. 石橋通宏

    石橋通宏君 その上でもう一点、この資料四の表の中で確認をしますが、今問題になったのは障害者雇用率のところです。ただ、独法で、とりわけ厚生労働省所管独法で、法令遵守ということでいうならば、そのほかにも様々厚生労働省民間にも範を示すべきいろんな取組があるというふうに思っております。大臣も思っていただいていると思います。  その中で一つ、労働契約法への対応がどうなっているのかということを今回確認をさせていただきました。大臣も御存じのとおり、改正労働契約法において、五年超有期の反復更新があった場合には、無期の労働に申込権、労働者側に発生をしますので、対応しなければならない。厚生労働省からは、民間の企業に対しては、これは是非無期転換の制度をつくってほしい、正社員雇用への転換制度をつくってほしいという指導をされているはずであります。  今回の対象となった独法でどうなっているかということを確認させていただきましたら、転換制度は全ての独法で持っておりませんという御説明でした。まず、全ての独法で転換制度はない、つまりこれまで全く対応されていないということでよろしいですね、大臣
  54. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 非正規から正社員への転換制度については、先生の配付された資料にありますとおり、ないというふうに聞いております。
  55. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、これどうされるんですか。厚労省所管独法でも今回対象となっているところ、そうでないところも含めてかなりの有期雇用、非正規の方々、雇用されております。そういう方々で五年超の反復更新をされる方、出てくるでしょう。  そういう方々のために、これ繰り返しますけれども民間には様々、正社員雇用、無期雇用転換制度制度的なものをしっかりしてくれということを言っているはずです。まず率先して独法でそういう対応をすべきだと思いますが、大臣、どういう指示を出されているでしょうか。
  56. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 正規雇用を希望する方の正規雇用化を進めていくということは、これは言うまでもなく大変重要な問題であるということは、そのとおりでございます。  一方で、独立行政法人につきましては、官の肥大化防止あるいはスリム化が求められる中で、中期計画に基づいて常勤職員数とかあるいは人件費等の節約が求められるなど、人員や予算に関しての一定の制約があるというところも事実であるわけでありまして、そのような中でそれぞれの独立行政法人の実情に応じた取組がなされることを我々としては期待をしているわけであります。  先ほど無期転換ルールのお話が出ました。これは、労働契約法第十八条のいわゆる無期転換ルールは、法人が社内制度を設けているか否かにかかわらず、同一の法人の下での有期労働契約が五年を超えた人が申し出れば、必ず無期労働契約に転換される民事上のルールということで、民事上のルールとしての適用があるというふうに理解をしております。
  57. 石橋通宏

    石橋通宏君 それは、法律上の要請はそのとおりです。だから、民間の企業に対しては、そういう法律上の要請があるので、労働者の皆さんにもちゃんと予見可能性を高めるためにも、そういう制度をきっちりと整えてくださいということを指導しているはずです、大臣。だから、独法に対してどういう指示を出しているんですかということをお伺いしているわけです。  これなかったら、じゃ、独法で今雇っている有期で、五年の前の、一斉に有期切りをするわけですか、まさに民間で問題になっている。五年たったら転換権が発生するから、大臣先ほど言われたような理由で、いや、なかなか正規には難しいですね、無期には難しいですねと言われるのであれば、そうすると、五年の前に、四年で一斉に独法で有期の方々の契約切りが起こるわけですか。そんなことしたら大変なことになりますよ、大臣。ちゃんと指示を出して、無期転換雇用制度、正社員への雇用制度、こういうものをしっかりと透明なルールをつくるべきだと思いますが、大臣、ちゃんと指示を出していただく、検討いただく、それでよろしいですか。
  58. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今お話ございましたけれども、まずは、やっぱりそれぞれの独立行政法人の実情とか今後の取組の考え方などをどう思っているのかということはよく話を聞いてみたいと思います。これは独立行政法人でありますから、大臣が命令をするという類いの法人ではないということでありますが、おっしゃるように、哲学自体はとても大事なことでございますので、是非どういうふうに考えているのかをそれぞれに聞いてみたいというふうに思います。
  59. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、矛盾が大きいなという気がするわけですよ。独法だからと今のところでは言いながら、冒頭の評価制度では、主務大臣がこれから評価しますという制度にします、それはもちろん厚労省所管ですからと。これ都合がいいですね、大臣。  これは、独法の存在意義、存在目的、そういうことから照らし合わせれば、やっぱり真っ先に法令遵守を徹底してもらう、特に労働雇用制度に関わるところはそうでしょう。それを指導するのが厚生労働大臣の役割じゃないかということを強く指摘をして、今大臣検討をするということを言われましたので、これは是非早急に指示を出して、どういうことを今後具体的にしていくのか、そのことはお願いをしておきたいと思います。  時間がなくなってきて、いろいろと本当は、ごめんなさい、質問をしたかったんですけれども、一点だけ、労働安全衛生総合研究所と健康福祉機構の統合について簡単に。  これは元々、労働安全衛生総合研究所はJILPTとの合併が決定をしていたはずです。にもかかわらず、今回急遽変更になって、要は合併の相手先が変わってしまったということになるわけですが、ここは非常に分かりにくいんですけれども、なぜJILPTではなくて今回の合併の相手先が労働安全衛生総合研究所と健康福祉機構に変わったのかということについて、それでなければ達成できなかった具体的なメリット、一点だけ簡潔に挙げてください。なぜこの合併でなければならなかったのか、簡潔にそこだけお願いします。
  60. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回、今お話しのように、労働安全衛生総合研究所労働者健康福祉機構を統合するということにいたしたのは、この労働安全衛生総合研究所と労働政策研究・研修機構の統合の場合よりも労災という労働政策の中の特化した領域に関係をしているために、親和性がより高いのではないか、統合の効果はより大きいのではないかと考えられることから、このような形にしたところでございます。
  61. 石橋通宏

    石橋通宏君 最初はJILPTだったのが、突然変わってそういう理由を付けてきたのがよく分からないわけです。  今回、労働安全衛生総合研究所と健康福祉機構、じゃ、合併して具体的にどのような事業計画になって、なぜ統合しなければ具体的なメリットが実現できないのか示してくれと言ったら、それはこれから検討しますというふうに言われてしまいました。こんな統合あるのかなというふうに思うわけです。全く国民に対しても説明責任が果たせない統合であって、よく分からないということだけ御指摘をしておきたいと思います。  それでは最後に、今日ちょっと直前の通告になって申し訳ありませんでしたが、一点だけ別件で確認をさせていただきたいと思います。  塩崎厚生労働大臣、四月の二十日に日本経済研究センター会員会社社長朝食会に出席されましたか。イエス、ノーだけお答えください。
  62. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 月曜日に行ってまいって、講演をしたところでございます。
  63. 石橋通宏

    石橋通宏君 これは大臣のホームページにも載っておりますし、この研究センターのホームページにも載っております。社会保障改革の展望というテーマでお話しになったと。社会保障改革の展望というテーマなんですが、そこで高度プロフェッショナル制度について何かお話をされていますか。これもイエス、ノーで結構です。
  64. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 話の大半は社会保障制度、とりわけ医療制度改革でございました。保険制度、医療保険制度でございましたが、最後に少しお話をしたような記憶がございます。
  65. 石橋通宏

    石橋通宏君 その記憶があるという、記憶が曖昧なのかどうか分かりませんけれども、そのときに、高度プロフェッショナル制度に関して、そこにおられた社長さん方に何かお願いをされましたか。
  66. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) さっきも申し上げたように、社会保障制度のことが大半だったものですから、何を言ったか、最後の方に、全く労働政策に触れないのもいかがかなと、テーマは社会保障になっていましたが、ということでお話をしましたので、何を私が申し上げたかよく分かりませんが、少なくとも私は多分、多分ですね、この制度については今国会でしっかりと通したいというふうに申し上げたと思います。
  67. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣確認ですが、原稿なしでしゃべられている、記憶にないわけで、原稿なしでこれはしゃべられているわけですか。全ての社会保障制度、これは原稿なしでしゃべられたので記憶にないんですか。
  68. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 余り厚生労働省はそういうことはやってくれないので、自分でいつも考えて原稿なしでしゃべっています。
  69. 石橋通宏

    石橋通宏君 逆に言えば、大臣、自分でおしゃべりになったということは自分のお考えでしゃべられたということで、今確認をさせていただきました。  大臣、この講演の中で、高度プロフェッショナル制度について、これは小さく産んで大きく育てるという発想に基づくものだという発言をされていますか。
  70. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) そのようなことは一切言っておりません。
  71. 石橋通宏

    石橋通宏君 確認しますと、一切言っておらないと。小さく産んで大きく育てるということを言っておらないということで今答弁されましたので、この答弁、確認しておきたいと思います。  その上で、小さく産んで大きく育てたいので、経団連の社長の皆さん、ここにおられるのが経団連か分かりませんが、社長の皆さんに、対象が少な過ぎるからというのを今の段階で余りがやがや言わないでくれというような要請をされていませんか。
  72. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 私が小さく産んで大きく育てたいと言っているわけではないということは明らかであって、それは私の考えだからそのように言っているので、経済界がそのように言う人がいるので、むしろ私たちは、いささか国会の審議にも余りいい影響を与えないという意味合いのことを私は申し上げたような気がいたします。
  73. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 石橋通宏君、時間でございますので。
  74. 石橋通宏

    石橋通宏君 時間が参りましたので終わりにしますけれども、ちょっとここでの発言、大変気になる部分ですので、今後もうちょっと深掘りをさせていただくことを最後に申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  75. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。  今回の独立行政法人改革法案に関しまして、年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFに焦点を当てて質問させていただきたいと思います。  GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金約百三十兆円以上を運用する大きなファンドです。GPIFは、国民の大切な年金の支払原資である年金積立金を運用するという重要な役割を担っております。現行のGPIFにおける体制は、理事長一人が基本ポートフォリオなどに係る最終的な意思決定と執行を行っています。  このように、現在のガバナンス体制が独任制であり、理事長任免権は政府が握っておりますので、百三十兆円以上の運用が事実上は政府の思いのままになってしまう、つまり政府による株価維持策、いわゆるPKOが行われやすい体制だと言われております。そして懸念が持たれています。年金部会の下に設置された年金積立金の管理運用に係る法人のガバナンスの在り方検討作業班の報告においても同様の点について懸念が示されております。独任制から複数の理事による合議制への移行が望ましいというふうに言っております。  塩崎大臣は、基本ポートフォリオなど運用の見直しとそしてガバナンス強化を車の両輪として行う旨、繰り返し今まで発言されているんですね。大臣、車の両輪という御認識は今でも変わらずお持ちでしょうか。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
  76. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 車の両輪という今の御指摘でございますけれども、これは、例えば改訂日本再興戦略の中でも、GPIFのガバナンス体制の強化については、基本ポートフォリオの見直しと併せてガバナンス体制の強化を図る必要があるというふうにされているわけでございまして、そういう意味では、ある意味、車の両輪ということは政府としても申し上げてきていることであるわけでございまして、実際、十月に基本ポートフォリオを発表した際に、GPIFの方から、当面の必要なガバナンス体制の強化というものが、この建議が運用委員会からあって、それにのっとって当面の必要なガバナンス体制の強化策というものを発表されたというふうに理解をしているところでございます。
  77. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大臣は、この御認識を基にして、当初、今国会においてGPIFのガバナンス強化のための法案の提出を目指すとされておりました。しかし、ガバナンス強化のためのGPIFの組織改革に関しては、法案化も含め今後の検討スケジュールは明らかになっていないんですね。民主党から事前質問に対しても答えていただけていないんです。  車の両輪の一つだったはずのガバナンス改革は何で消えたんでしょうか、大臣
  78. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生、今、消えたのではないかということでありますけれども、決して消えているわけではなくて、実際のところ、社会保障審議会の年金部会、ここにおいて法改正の必要も含めて御議論をいただいておりまして、その議論の内容を今後踏まえてどうするかということは検討するということになっているはずでございます。
  79. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 去年の十月には基本ポートフォリオの大幅な変更が行われました。そして年金財政のリスクが高まったとも言われております。しかし、今回の改正案では、理事の追加、それから法律上の主たる事務所の所在地の変更にとどまっております。  ガバナンス改革として極めて不十分で、一時しのぎの間に合わせにすぎないように思えるんですけれども塩崎大臣は、基本ポートフォリオの見直しとガバナンス強化、これを車の両輪として行うとしておきながら、ガバナンスの強化に先立ってこのような基本ポートフォリオの大幅な変更が行われるということは大きな問題ではないでしょうか。厚労大臣の見解をお願いします。
  80. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 物にはやっぱりプロセスというのも大事でございまして、いろいろな議論がなされ、今回御審議をいただいております独法の改正法案についても、これは先ほど来お話が出ているように一昨年の十二月に独法改革として示されたもので、今回は、理事を一名、GPIFに関しては増やさせていただき、また、神奈川ではなくて東京にその本拠地を置くということをまず変更をさせていただくということをお願いしているわけでございます。  先ほど申し上げたように、基本ポートフォリオの改革とそれからガバナンスの改革を併せて実行すべきというのは政府閣議決定された方針であるわけで、それにのっとって今回、今お話があったように、十月の末に大幅な基本ポートフォリオの見直しが行われた際に、GPIFの中で当面でき得ることとして、例えば、二つ柱があって、内部統制の強化、それとリスク管理体制の強化というのを行ったわけでありまして、その中で、このGPIFを監視する運用委員会に新たにガバナンス会議というのを設ける。実は、これはもう世界的には常識と言ってもいいぐらい、投資の原則というものを持って、そしてまた所属する職員の行動規範というのがあるのが普通でありましたが、それが今までなかった。これを初めて、投資原則と行動規範はもう既に発表されましたけれども議論をGPIFの中で重ねた上でこれを策定をしたところでありますし、それから執行部においてもコンプライアンスオフィサーを新設をする。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕  一方で、リスク管理体制の強化というのはやはり専門性が高くなければいけないので、今までもう少し強化をすべきという提言もありました、マクロ経済分析とか、それから市場へのどういう予測を持って臨むべきかといったような体制についても人材的に強化をするということをやっております。さらには、運用資産と年金給付の両面を一体的に分析をするリスク管理のツールというのを導入するとか、さらには、専門人材がやはりいなければ高度な資産運用というのはできませんので、きっちりリスク管理ができるような人材を採用していくと。  こういうようなことをやっているわけでありますので、ポートフォリオの改革とガバナンスの改革は両々相まって今進んでいるというふうに思っておりますし、さらに、今御紹介をいただきましたけれども、年金部会の中で議論がございまして、先ほどありましたように、一月の二十三日だったと思いますが、ガバナンスに関する検討作業班の報告が行われて、一つの言ってみれば提案がなされているということで、更にこれを深めていただきたいと私どもお願いをしているところでございます。
  81. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 では、今回の法改正を含む現行体制で十分ガバナンスは利くとお考えなんでしょうか。今大臣、プロセスというお言葉を言っておりましたけれども大臣の現段階での御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  82. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは不断の見直しが当然必要なことであって、ですからこそ、今、年金部会で深い議論をしていただいているわけでございまして、今回の法改正は、おととしの十二月の閣議決定で決まった独法改革、専門人材を増やすということを含めたその決定に従って行っているものであって、決してこの改革に終わりはないというふうに私は思っております。
  83. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 安倍政権はGPIFのガバナンスに関する新法を提出するかどうかを明確にしていないんですね。ガバナンス改革が行われるめどは立っておりません。当局は片方の車輪しか、車でどこまで走り続けるおつもりなのかということをすごく心配になっております。  とにかく、同一会期に同じ法案に関し二回法案を提出するという話は私は聞いたことないんですけれども、今回の会期中にGPIFのガバナンスに関する改正を本当に考えていらっしゃるならば、今回の改正法とは切り離して、GPIF関係で一体にして、そして整理をしてから改めて提出するべきだと思うんですね。  最も重要な、運用の見直し決定よりも前に検討されるべきガバナンス強化がこれから始まるというふうに今おっしゃっています。道半ばとかおっしゃっていましたけれども、ちょっとちぐはぐな気がするんですが、ガバナンスに関して申し上げますと、OECDもGPIFのガバナンスについて懸念を示しております。レポートやガイドラインを示しています。その中には多数の項目が提案されているんですけれども、少なくとも、年間事業計画、予算、年次報告を国会承認とすることなどは早急に実現すべきと私は考えています。年金は国民の重要な資産なのですから、当然、国民の代表たる国会への報告義務を課すべきであって、今までそうしていなかったことが逆に私はおかしいと思っております。  過去の審議でこの件は何度か提起されていますけれども、今のところ、当局から前向きな御答弁は出ていないんですね。GPIFの運用などについて国会への報告義務を課す、このことに消極的な理由はなぜなんでしょうか。大臣お答えください。
  84. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 積極的、消極的ということは、私どもとしては中立の立場で、必要なものはやらなきゃいけないと思っているわけでありまして、決してガバナンス改革が遅れているということを言っているわけではなくて、さっき申し上げたように、GPIFで今の枠内でできることは去年の十月のポートフォリオの際に、先ほど申し上げたように、今までなかったようなガバナンス強化というものを明確に打ち出して、やれることは全てやるということでやっていただいていると私は理解をしているわけでございます。それで実際に、この行動規範にしても、あるいは投資原則にしても、もう既にこれは世に明らかにしているわけであります。  それから、年金部会では議論が続いているわけでありまして、今御指摘がございましたけれども、国会への報告の問題について今お話がございましたが、これについても、結論的に言うと年金部会の方で議論をされる問題で、既に一月二十三日のあの議論の過程の中でも多分やられているんではないかなと、私はつぶさにずっといたわけじゃないので分かりませんけれども、多分それも含めて議論をされたと理解しております。  国会承認について後ろ向きとか消極的とかいうような御指摘を頂戴しましたけれども、そんなことは決してなくて、実績を見てみればそれは明らかでございまして、GPIFの業務運営については情報公開を徹底することによってやはり透明性を高めて、国民からお預かりしている年金の掛金でありますから、当然信頼を得られるように努力をしなければいけないということで、GPIFにおいて中期計画で運用の基本的な方針を定めて公表しているということがまず第一点。  それから、運用状況についても、年一回これは公表をする業務概況書というのがありますけれども、そこに運用状況についてはつぶさに、たしか個別の会社の名前も含めて、利回りなども含めて掲載をしているというふうに理解をしておりますし、それから四半期ごとにもこれは公表しております。  それから、厚生労働省のサイドにあっても、毎年、年金積立金の運用が年金財政にどう影響を与えるのかということも検証した上で公表をしているわけでありますし、国会においても必要に応じてGPIFの理事長が出てきて答弁をする、質問に答えるという形で国会への報告というものは事実上なされているわけでございますので、そういう形での国会で質問に答えることについて消極的とか、そういうことは全くございませんので、御理解を賜れればというふうに思います。  いずれにしても、国会に対するどういうようなディスクローズをするのか、あるいは説明をするのか、その説明責任の果たし方を含めて年金部会で私は議論をしていただいているものだというふうに理解をしているところでございます。
  85. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 さっきのお話になりますけれども、何ででは整理してからにしないんでしょうか。議論中というふうにおっしゃっておりますけれども、そういったことが続くとなかなか決まらないと思いますし、決まらないというか、タイミングとしては、今整理中なんだ、何で整理してから提出しないんでしょうか。
  86. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 既に独法としてのやるべきことはおととしの年末に決まっているわけでございまして、ですからこそ、これは各省共に今国会に法律を出しているわけで、私どもも、閣議決定されたことについてその閣議決定どおり責任を果たすということで今回の独法法案を御審議を賜っていると、こういうことでございまして、それとまた同時に、再興戦略の中では、法改正を含めて議論しろと、こういうふうに閣議決定されているものですから、それを受けて年金部会の方で議論をいただいていると、こういうことの整理だと思います。
  87. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 この一月から理事兼CIOという要職に就かれた水野氏、この方は、衆議院の民主党厚労から再三の要請にもかかわらず国会に来ていただけていないんですね。百三十兆円もの国民の財産の運用責任者なんですから、少なくともCIOは厚労委員会に来ていただいて、自分の運用方針ですとか結果報告を堂々と説明する、それから疑問や質問に答えるべきだと思うんです。それについて消極的ということは、年金運用自体を国民の関心から遠ざけようとしているんじゃないかというふうに懸念いたします。  続きまして、ポートフォリオの変更についてお伺いしたいと思います。  GPIFの運用資産額は、平成二十六年度第三・四半期末現在で約百三十七兆円であり、世界最大の投資機関と言われております。先ほど申し上げましたとおり、基本ポートフォリオについては大幅な変更がなされており、国内債券の比率が六〇%だったのが三五%へ大幅に引き下げられた。その一方で、国内株式につきましては一二%から二五%、そして外国の株式については一二%から二五%へ引上げが行われたということですが、それを合計すると、株の投資が五〇%近くなんですね。  実は、これだけではなくて、国内株式にプラスマイナス九%、外国株式に関しましてはプラスマイナス八%など、許容乖離幅が付けられているんです。つまり、この枠を上限いっぱいまで活用すれば、国内株式の割合が三四%になることがあり得る。それから、外国株式の割合の場合は、プラスマイナス八%ですから三三%になることがあり得るということですね。  これは懸念ではありませんけれども、改定前のポートフォリオでも、二〇一四年の九月末段階でGPIFは年金積立金全体の一七・七九%を国内株に投資していました。当時、基本ポートフォリオでの国内株式は一二%とされていたんですけれども、今お話しした乖離許容幅としてプラスマイナス六%が認められていました。ですが、既にその上限ぎりぎりになっていたんです。  配付資料を御覧ください。配付資料の下のところを見ますと、一五・一七%、六月末、ここからずっとこのペースで上がっていっているんですね。こちらの資料を御覧いただければお分かりのように、国内株式の比率が乖離許容幅も加えて上限ぎりぎりで、このままではもうこれ以上国内株式の比率が増やせないというタイミングで、ここでポートフォリオの変更が行われている。ですから、一二%とされていて乖離幅がプラスマイナス六%ですから、一八%の手前ぐらいの一七・七九%、ここでもう限界ということで、このペースで増えていくとですね、実際に十二月末に一九・八%になっております。このように、余り語られておりませんけれども、非常にリスクの高い状況になっております。  今回のポートフォリオの変更は、間違った意味での政治主導とも言えるものでした。  安倍首相は、去年の一月、ダボス会議で、世界経済フォーラム年次会議での基調講演でこういうふうに言っております。成長持続へGPIFを改革するですとか、また、ポートフォリオの見直しを行い、それが成長への投資に貢献する、成長への投資という言葉を使っています、などとアピールしています。  それに先立ってポートフォリオの見直しを提唱した有識者会議があるんですけれども、二〇一三年十一月の政府の公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等有識者会議という有識者会議なんですけど、この提言も、そもそも有識者会議自体が二〇一三年五月の政府の成長戦略、日本再興戦略を受けて設けられたものなんですね。  これらの経験から、ポートフォリオなど運用見直しが成長戦略の一環となっております。これが明らかです。あるいは、成長戦略ですらなく、単に株価を上げるための道具とも見受けられる状況だと思うんです。  年金運用の本来の目的は、予定された給付額を、当然ですけれども、確実に確保すること、確実に皆さんに支給すること、これがもう当たり前なんですけれども、今回のポートフォリオの変更というのはこの目的に沿ったものだと断言できますでしょうか。株価維持ですとか株価アップの目的は全くないと断言できますでしょうか、大臣
  88. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) もう釈迦に説法ではございますけれども厚生年金保険法の第七十九条の二には、年金の積立金に関しても、年金の運用の目的として、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものだと、こういうふうに定められているわけでございまして、それにのっとって、このGPIFに積立金を寄託してそれを実現すると、こういうふうになっているわけでございます。  今先生からお示しいただいた様々な御懸念でございますけれども、年金の積立金の運用というのは、専ら、今申し上げたように、被保険者の利益のために一番大事なことは、やはり約束したとおりの年金を支払うということ、これが一番大事で、これが目的と言ってもいいと思うんです。  御案内のように、年金の仕組みというのは、保険料とそれから運用収益と、そして特に国民年金の場合には公費、税金が入っていると。この三つの組合せで払われるわけで、それを見通した上でどういう運用をすべきかということを考えてもらっているのがGPIFであり、それを承認をしているのが厚生労働大臣。最終的には、ですから厚生労働大臣が運用を含めて年金全体に対して責任を負っているということでございまして、そうなると、この運用に関しても、将来の安定的な年金給付に向けて、そしてもう一つ大事なことは、経済の中で運用しているわけでありますから、今、株はリスクだとおっしゃいますが、リスクのない投資先というものはないわけであって、国債も金利変動リスクは大きくあるわけであって、それは同じことでございまして、デフレ脱却後の経済・運用環境に対応するということも大事であり、それから、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保するということが必要なわけでございます。  御指摘のとおり、年金積立金の運用において、将来の年金給付をしっかり確保することが重要であって、そのためには年金財政上必要とされる積立金額を下回るリスクをできる限り抑制することが重要であって、今回の変更後の基本ポートフォリオは、デフレ脱却、そして適度なインフレ環境への移行など長期的な経済・運用環境の変化、これはもう既に起きているわけでありますから、これに即して株式を含めた分散投資を進めた結果、単年度の収益率の振れ幅は大きくはなるわけでありますけれども、年金財政上必要な積立金を下回るリスクは少なくなったと、こういうふうに理解をしているわけであります。  年金積立金の運用については、先ほど申し上げたように、専ら被保険者の利益のためであって、株価維持を目的としたものでは決してないということでございます。
  89. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 すごく厳しい、建前としての御答弁だったと思います。  先ほども申し上げたとおり、安倍首相は、ダボスの基調講演の中で、成長持続へGPIFを改革するですとか、ポートフォリオの見直しを行い、それが成長への投資に貢献するというふうにはっきりキーワードを言っちゃっているんですよね。そもそも成長戦略として位置付けている日本再興戦略の中に規定されていること自体が真の狙いを表しているのではないかと思うんです。  そもそも基本ポートフォリオは、GPIFの運用委員会が政治的な圧力とは独立してつくるものであり、最終的に、年金関係法律の条文を読みますが、積立金の運用は、専ら被保険者のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うために理事長決定するものというふうにあるんですね。一国の総理が外国の会議で声高らかに宣言してしまう、運用委員会理事長に政治的な圧力を掛けていること自体、ガバナンス違反で、かつ法律違反の可能性さえあり、極めて大きな問題だと感じております。  本年一月に出された我が党の長妻衆議院議員の質問主意書に対する答弁書におきましては、見直し後の基本ポートフォリオをリーマン・ショックがあった平成二十年度状況に当てはめた場合の収益率はマイナス二一・二%であり、同年度の収益額は約マイナス二十六・二兆円と試算されています。ちなみに、実際は、当時国債中心の運用だったため、九兆三千億円の損失にとどまっています。ですから、もしもポートフォリオを変えた場合と変えなかった場合、その差は実に十六・九兆円なんですね。  このような巨額な損失が発生するリスクに対しどのように対応するのか、また、巨額な損失が発生した場合についてどのように対応するのか。国民の大切な年金ですから、これを運用していることから、国民に対して説明がやっぱり求められていると思うんですが、まず、このような運用失敗の責任は一体誰がどのようにして取るんでしょうか。
  90. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 責任の問題は、さっき申し上げたとおり、全て最終的には年金全体についても運用についても厚生労働大臣が責任を負うという形でございます。  それで、今、長妻代議士の質問主意書の話がございましたけれども、先ほど先生も正しく引用していただきましたけれども、やっぱり年金というのは長期的に見ないといけないものでございまして、例えばリーマン・ショックのお話が出ました。確かに、さっき私も申し上げたように、単年度の振れというのは大きくなるんです。いわゆる標準偏差というのは大きくなるわけですけれども、大事なことは、長期的に見て年金をちゃんと約束どおり払えるかどうか、つまり年金財政上必要な資金をちゃんと得られるかどうかというリスク、それを下回るリスクが最小限でないと駄目だというのが年金にとって最も大事なことでございます。  ちなみに、リーマン・ショックを含む過去十年間で、平成十六年から二十五年までの計算をしてみますと、先ほどお話がありました旧ポートフォリオは国内債券、国債中心だとおっしゃいましたが、必ずしも中心といっても全部が全部国債じゃないんですけれども、実際の利回りでは三・二でありましたが、今回の新しいポートフォリオでもしこの十年間運用したとするとというのをシミュレーションしてみると、一・一%高く回っているわけで、四・三%になっています。  ちなみに、もし、先ほど私が国債はリスクがあるんだということを、そんなはずがないということが少し出ていたようですけれども、これは民主党の、御党の大久保先生もはっきり言っておられることであって、当然国債のリスクというのは大きいところがあって、だからこそ、銀行が国債を持ち過ぎると、じゃ、金利変動があったときどうするんだというのがしょっちゅう出ていた話で、実際申し上げますと、新しいポートフォリオだと四・三に回るんです。  つまり、一・一%ポイント旧来のポートフォリオよりも高く回るということで、それは取りも直さず年金の支払がより確実になるということで、ちなみに、これをもし全額国内債券で回したらどうなるか。これでいくと一・八六、先生、一・八六ですから、国債で回したら。そうすると、年金のお約束どおりのものを支払えないこともあり得るということでありますから、そういう点を少し長く考えていただくことが重要だということであります。
  91. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 これ、皆さんの年金で、将来これで暮らすわけですから、どこまで国民がリスクを許容するのかという大事な問題がありますので、それを念頭によろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  92. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  本日は、この独法法案議題であります。衆議院の厚労委におきましてやや異例な形で審議が行われて、審議日数は二日間ということで、たっぷりやったのかなと思ったら、審議時間は僅か四時間十分ということでございます。加えて、委員会の採決の際には、民主党、維新、共産党という三党が法案の反対討論を行うという大変な、異例な状況でございました。  参議院においては、審議日数は今日一日ということでありますが、審議時間は衆議院を上回る六時間を確保することができたわけでありますし、既に各委員から重要な論点に関して質問が行われているところであります。私は、会派のラストバッターとして、特に福祉医療機構と勤労者退職金共済機構に絞って質問をしたいというふうに思います。  まず、この福祉医療機構についてでありますが、今回の法案では、この機構が行う福祉貸付事業及び医療貸付事業に対する金融庁検査が導入されるわけであります。具体的に検査は何人の職員が何日程度行うのか、これ大変重要な点であります。そして、初回の検査が行われるおおむねの時期、それから二回目以降の検査がどの程度の間隔で行われるのか。越智政務官、来ていただいております。お答えください。
  93. 越智隆雄

    大臣政務官(越智隆雄君) 津田委員からの御質問お答えをさせていただきます。  金融検査の実施に当たりましては、被検査機関の規模、特性や検証範囲などを勘案した上で適切な人員及び立入り日数を確保するよう努めているところでございます。したがいまして、福祉医療機構に対する検査においてどの程度の人員や日数を確保するかについてはあらかじめ申し上げることができるわけではございません。  なお、過去に実施した他の独立行政法人に対する検査について事実関係を申し上げますと、検査官は平均で十名程度、立入り期間は約一か月となっております。また、初回検査の実施時期や検査の間隔については当該法人を監督している主務省の意向を踏まえた上で判断するものでございまして、現時点で確たることは申し上げられないということでございます。
  94. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  この法律の趣旨に沿ってしっかりとした検査を行うためには、当然に、金融庁の人的体制の強化、これは大変不可欠であります。今回、四つの独法に対して新たな検査を行うということにもかかわらず、金融庁に対して認められた職員の増員が僅か一名というふうに聞いておるわけでございます。  本来、金融庁の任務というのは、民間の金融機関を中心としたところの検査、これが大事な仕事だと思うんですが、そちらの方に悪影響が及ぶのではないかということを懸念をするんですが、余計なお世話でしょうか。
  95. 越智隆雄

    大臣政務官(越智隆雄君) 御心配ありがとうございます。  金融庁としましては、厳しい定員状況の中、毎年度定員要求におきまして必要な定員の確保に努めているところでございます。  一方、金融検査の実施に当たりましては、当局の組織、人員に制約がある中で必要な役割を果たしていくために、重要なリスクにできるだけ焦点を当てた効率的、効果的な検証を行うよう努めているところでございます。  今後とも、限られた人員でございますけれども、最大限の効果を発揮できるように、検査の質の向上を図るとともに、必要な定員を確保してまいりたいというふうに考えております。
  96. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ちょっと金融庁を応援したんですから、しっかりやっていただきたいと思います。  さて、福祉医療機構に関するもう一つの法改正事項でありますが、回収した年金住宅融資等債権、これの元本部分について、これまでは年一回であった。今後は、年複数回、定期的に国庫に納付するということになるわけであります。  この法改正の発端は、民主党政権下の平成二十四年三月に公明党の竹谷とし子参議院議員が行った二度の国会質問であることは御案内のとおりであります。実は私はその当時政務官で、まさに厚労省の三役の一員であったわけであります。そのときの答弁としては、小宮山大臣も辻副大臣も竹谷議員の質問に対して、事務方が作成した答弁ペーパーどおり、年に一回しかできない、困難である、その実現は容易ではないという答弁をしているわけであります。最終的には総理入りの財金委員会で野田総理が、是非研究するようというふうに指示をしたと思います。役人用語で研究というのは何もやらないという、大体そういうふうに言われているわけであります。当時、参議院は与野党のねじれ状態でありまして、その程度の答弁で竹谷先生を怒らせないということで、役所の常識からすれば、この研究が実現に至る可能性というのは、これは極めて低いわけです。  大臣にお伺いしたいのは、今回の件、これ全く大きく変更されたわけでありますが、この変更に対してどのくらいの議論を行って、どういう論理構成でこの平成二十四年当時の方針を変更したんでしょうか。
  97. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 福祉医療機構の承継年金住宅融資等債権管理回収業務、これにおける国庫納付の年複数回化につきましては、平成二十四年、今お話がございましたように、予算委員会などにおいて公明党の竹谷とし子議員からの指摘を受けて、当時の野田総理が、会計処理や事務的な問題で困難な問題があるけれども、是非検討するようにという指示があったわけでありまして、このため、厚生労働省において、財務省など関係府省とも相談をしつつ、現行制度では毎事業年度終了後損益計算を行って元本部分と利息部分をまとめて年一回翌事業年度に行っている国庫納付を、法律改正を行うことによって、利益に当たらない元本部分については利息部分と切り離し対応をすれば毎年の損益にかかわらず国庫納付が可能となる旨、調整をしたわけでございます。  この結果を受けて、それを踏まえて、平成二十五年十月に行政改革推進会議独立行政法人改革等に関する分科会第二ワーキンググループというところで御議論いただきまして、独立行政法人改革等に関する基本的な方針、これは平成二十五年の十二月二十四日に閣議決定されたわけでありますけど、ここに当該措置が盛り込まれて、今般審議をお願いしているものでございます。  その間、各府省との協議も含め鋭意検討を続けたが、具体的な時間数については特に把握をしておりませんので、お許しを賜れればと思います。
  98. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これだけもう天と地のひっくり返るような方針転換でありますから、本当に大臣、事務方には十分注意をされるように申し上げておきたいと思います。  現行制度においては、福祉医療機構が回収した元本償還分、年一回七月にまとめて年金特別会計に納付されるわけでありますが、それまでの間は福祉医療機構が元本保証の譲渡性預金、大口定期預金及び国債による短期の堅実な、堅実な運用を行っているわけであります。今回の法改正で、年金総額で千数百億、これが三か月に一回年金特別会計に納付をされるわけです。その後は先ほども議題になりましたGPIFの行う年金積立金の運用に完全に溶け込んでいくんです。溶け込んでいく。今回の法改正の背景には、株価つり上げのためにGPIFの運用資金を少しでも増額をしたいという安倍政権の思惑が透けて見えるということを指摘をしておきたいというふうに思います。  もう一点。貸金業法では、年金証書等の引渡しや提供を求め、保管する行為は禁止をされております。公的年金を担保とした資金の貸付けも罰則付きで禁止されているんです、貸金業法は。一方で、高齢者が闇金などの高金利金融に手を出すことを避けるために、福祉医療機構が行う年金担保融資などが数少ない例外として認められてきたわけであります。  しかし、この年金担保融資は年金からの天引きで回収されちゃうんですね。そのために、近い将来の生活費を食い潰す。結果として生活保護に陥りやすいということで、全国知事会が廃止を求めておりますし、日弁連も廃止の意見書を提出をしておるわけでありまして、平成二十二年、民主党政権下で廃止の閣議決定をしたわけであります。その後の自公政権においても、平成二十五年三月の独立行政法人評価委員会の部会で厚生労働省平成二十八年度に廃止時期を判断するということで、現在工程表の作成が行われている段階であるというふうに承知をいたしております。  ポイントは二点です。  一つは、平成二十八年度に示される年金担保貸付けの廃止時期というのはおおむね何年後を想定しているのかどうかということが一点。極端に言えば、十年先とか二十年先というのは、これは単なる先送りにしかすぎないわけであります。これ、当然、おおよその廃止時期をお示しいただきたいと思います。もう一点。この制度廃止の大前提として、闇金などに高齢者が手を出すことがないように、年金担保貸付けの代替制度、これをしっかりつくっていかなければならないと考えるんですが、その点について、永岡副大臣からまとめて御答弁ください。
  99. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 津田委員御指摘のとおり、年金担保の貸付事業につきましては、平成二十二年の十二月七日に閣議決定をされておりまして、廃止することが決まっております。それにつきまして、ずっとそれに沿った取組を今しているところでございます。  具体的なこの事業の主たる代替措置であります生活福祉資金の貸付制度におきましては、この事業をそのまま代替するということは、予算規模でありますとかまた実施体制などから大変難しくなっておりまして、平成二十五年の三月に公表いたしました年金担保の貸付事業の廃止計画におきましては、貸付限度の額ですね、これを縮減を実施いたしました上で、それに伴います生活福祉資金の貸付制度の利用者の増加状況、これを見極めながら必要な措置を講じることとしております。  また、昨年の十二月には更なる縮減を図っておりまして、これらの措置によります生活福祉資金の貸付制度がどのぐらい使われているか、その増加状況などを踏まえましてこの制度の対応を図る必要があることから、独立行政法人の福祉医療機構、中期目標期間の最終年度の前年、これは平成二十八年には事業の廃止時期を判断することとしております。  先生御質問の廃止時期、これはいつかということでございますが、十年、二十年後ではなくて、今一生懸命、次期の中期目標にこの事業を盛り込むかどうかということも含めまして、年金局、社会局で調整をしているところでございますので、具体的な時期は、申し訳ございませんが、申し上げることができないという状態でございます。
  100. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 十年先、二十年先ではないということ、ということは、常識的に言えば、三年とか五年とかというところが大体常識の線だと思うんですね。同時に、そのときには、それに代わる代替制度も併せて、今、永岡副大臣がおっしゃったように、もちろん今までと同じような、年金貸付けと同じような形にはいかないと思います、規模的にも。ただ、やっぱりそこはきちっとありますよということを提示をしないと、これは高齢者は本当に悲惨な状況になっていくわけでありますので、そのことをしっかり進めていただくようお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、勤労者退職金共済機構についてお伺いをしたいと思います。  今回の法改正事項として、この勤退共の資産運用業務のリスク管理体制を強化するために資産運用委員会が設置をされることになっておるわけでありますが、これまでの機構による運用と比べて具体的にどのような違いが現れるかについて、大臣お答えください。
  101. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 現在、勤労者退職金共済機構におきましては、理事長が任命をする外部有識者、これによって構成される委員会が機構の内規に基づいて資産運用の助言、評価を行っているところでございます。  これに対して、今般新設をいたします資産運用委員会、これは厚生労働大臣委員を任命することによりまして、勤労者退職金共済機構からの独立性の高い第三者である金融、経済等の専門家が資産運用の議論を行うということになるわけでございます。  加えて、今回の法改正後は、法律によって資産運用の基本方針を作成、そして変更する場合には資産運用委員会の議を経なければならないということ、さらに、資産運用業務状況を監視をするということとされまして、外部有識者によって構成される委員会の権限が強化をされているところでございます。  したがって、資産運用委員会の設置後は、現在よりもチェック体制が強化されるものというふうに考えているところでございます。
  102. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 この法案が成立すると、今年の十月一日に資産運用委員会が設置される予定ということであります。  そこで、事実関係のみお答えをいただきたいと思うんですけれども、この資産運用委員会では、機構の資産運用の基本ポートフォリオについて審議を行うわけです。今大臣おっしゃいました。この基本ポートフォリオについて、資産運用委員会が設置された翌週、あるいは翌月にもつくることができるということで間違いないでしょうか。そこには株式比率の上限に制限が設けられていないというふうに事前のレクでは伺っておるんですが、高階政務官、イエス、ノーでお答えください。
  103. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) あらかじめ資産運用委員会の議を得た上でといったような所要の手続を経ていること、あるいは資産運用は安全かつ効率的に、上限設定はしてございませんけれども、安全かつ効率的に行うことを大前提としておりますので、それを前提とした上でイエスというお答えになろうかと存じます。
  104. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 現在、GPIFの基本ポートフォリオで定める資産構成割合は、国内株式二五%、外国株式二五%ということになっているわけでありますが、勤労者退職金共済機構についても制度上は同様の株式比率、あるいは極端な話でいえば全てを株式で運用するということも可能であり、そうした基本ポートフォリオの作成が法案成立の翌月にも可能となってくる。今、高階政務官、イエスというふうにおっしゃいました。私はそのようなことがあっていいとは思わないわけでありまして、まあ多分ないですよね、それは、と思うんです。  ただ、改めてお伺いをしたいんですが、この機構の行う一般の中小企業退職金共済におけるポートフォリオとGPIFのポートフォリオとの決定的な違いというのは、大臣、何でしょう。
  105. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 現在、中小企業退職金共済制度の資産運用における基本ポートフォリオとGPIFの基本ポートフォリオを比べた場合に、例えば国内債券、国債などですね、この比率について違いがございます。これは、中小企業退職金共済制度の予定運用利回りというのは一・〇%でございます。これに対しまして、公的年金制度における運用目標の利回りというのは名目賃金上昇率プラス一・七%となっておりまして、それぞれの制度で資産運用において求められる水準が異なるということから、基本ポートフォリオも異なっているというものでございます。
  106. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこが大事なところなんですよ。すごく大事なところなんです。  この中退共の運用利回りは政令で決められているわけですね。今、大臣おっしゃいました。少なくとも五年に一回財政検証を行うことにされておりまして、恐らく次回は平成二十九年、そうした場がセットされることになると思うわけであります。私は、中小企業退職金共済制度というのは、中小企業に働く者にとってまさに老後の生活保障に極めて重要な役割を果たしているというふうに思うわけであります。そうだとすれば、今後においてもリスクの高い運用というものは行っていくべきではないというふうに考えるわけであります。  大臣にお伺いしたいと思います。  この中退共の運用利回りについては、将来においても労使の意思を無視して変更されるということは現実問題として起こり得ない、そういう理解と約束をしていただけますか。
  107. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この中退共の予定運用利回りというのは少なくとも五年ごとに検証することとされておりまして、現在の予定運用利回り、先ほどの一・〇%は、平成二十四年度の財政検証の結果、労働政策審議会中小企業退職金共済部会の取りまとめにおいて、直ちに見直す必要のない適切な水準というふうにされたものでございまして、次回の財政検証の際には、労政審において、その時点における資産運用状況等を踏まえて予定運用利回りの見直し議論されることになりますけれども、審議会の公労使の委員の御意見を無視して部会意見を取りまとめることは現実的ではないというふうに考えておりまして、委員の皆様の御意見を踏まえて予定運用利回りを決定してまいりたいというふうに考えております。
  108. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  続けて大臣にお伺いしたいと思います。  この法改正が成立しますと、この勤労者退職金共済機構に資産運用委員会が設置されると。そのメンバーは外部委員五人以内ということでございます。したがって、一般の中小企業退職金制度は、中小零細企業においては個々の企業が独力で退職金制度を確立することが困難であるということから、中小企業の事業主が掛金を拠出をして、国が掛金負担軽減措置を行いながら、中小零細の従業員に対して機構から直接退職金を支給する制度、ここが大事なんですね、機構から直接退職金を支給するというところが非常に大事なところで、この制度のいいところなんですね。すなわち、企業が万一倒産したとしても退職金を払えるようにする、いわゆる外部保全をする制度なのであります。  こういう制度の在り方を考えたときに、資産運用委員会のメンバーとして最もふさわしいのは、掛金拠出者である中小企業事業主と退職金の受給者たる労働者、その双方の代表であるべきだと私は考えるわけであります。大臣大臣が任命権者となっているこの資産運用委員会委員、最大の利害関係者たる労使代表を選んでいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  109. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 資産運用委員会委員の人選は今後検討することになるわけでありますけれども、中小企業の働く方に退職金を、今お話しのとおり、確実にお支払いするという中小企業退職金共済制度の趣旨それから目的、これを踏まえて、経済、金融等の専門知識に基づき適切に御議論いただけるような方を委員として任命するということが求められているというふうに考えておるところでございます。
  110. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 訳の分からない答弁ですが、津田委員のおっしゃるとおりですというふうに言っていただければいいんですけど、もう一回どうですか。
  111. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今申し上げたように、金融経済情勢を踏まえた議論ができる専門家ということが大前提かと思いますけれども、そういう意味では、中小企業で働く方の考えとか立場とか実態について十分理解のある方に議論に参加してもらうということが私も大事だというふうに考えておりますので、そのような観点も含めて適切に対応してまいりたいというふうに思います。
  112. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 中小企業にもそこで働く労働者にも金融、経済に詳しい人はたくさんおりますので、是非そういう方を選んでいただきたいと思います。  この中小企業退職金共済という制度、中小零細企業で働く労働者にとって、老後の生活保障という点で本当に、何回も申し上げますけれども、極めて私は有意義な制度であるというふうに思っているんです。一方で、労働者にとって同様に老後の生活保障という点で重要なのは、厚生年金基金というのがあるわけでございますが、残念ながら、二〇〇三年から四年にかけて厚年基金は解散ラッシュを迎え、受皿として他の制度に移行することができずに、中小企業の労働者が著しい不利益を生じてしまった例がございました。  御案内のとおり、二年前の通常国会厚生年金の、厚年基金の方ですね、解散を促す法改正を行ったわけでありますから、当然、私は、この受皿として中退共に積極的な誘導をすべきだというふうに考えるわけであります。これ、ほかの制度もありますから、厚生労働省としてどこまでお勧めとして言い切れるかどうかというのは限界があることも分かるわけでありますが、厚年基金の解散の対象となっている業界団体の集まり、あるいは中小企業の経営者が数多く集まる場において、是非、この基金の解散の受皿として、中小企業退職金共済、中退共、これを公的な制度としてすばらしい制度であるということを厚労省がもっと積極的に周知をしていただきたいというふうに思うんですが、高階政務官、頑張ってくれますか。
  113. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 頑張ります。  解散する厚生年金基金の方から中退共へ資産移換をするというこのことについては、私どもも丁寧な説明の機会をということでいろいろな事業をさせていただいているところですが、例えば平成二十六年度におきましては、厚生年金基金が開催した加入企業への説明会に勤退共の職員が二十一回出席させていただいておりまして、こうした場で説明を行っているところです。また、勤退共自身も中小企業退職金共済制度説明会を開催して周知を図るほか、厚生年金基金事務局への訪問あるいは資料の提供などをさせていただいております。  いずれにいたしましても、制度を利用なさる方々へいち早く周知するということ、大切なことと考えておりますので、今後とも、解散する厚生年金基金に加入しておられる中小企業事業主の方へ、中退共、この制度への資産移換の仕組みを御理解いただけるように、御指導いただいた点も含めまして徹底してまいりたいと思います。
  114. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ほかにもたくさん聞きたいことがあるんですけれども、今回の法改正の対象となっている労働者健康福祉機構、私の出身母体でも大変評価をしている未払賃金の立替払事業なども行っているわけであります。この事業について、今回の二つの法人の統合以降も労働者とその家族の生活の安定を図るために、引き続き着実に実施することを塩崎大臣に是非お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  115. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 川田委員におかれましては、着席のまま御発言いただいて結構です。
  116. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。川田龍平です。  独法改革推進法案に関して、年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFについて質問いたします。  年金積立金については、昨年十月、運用資産の構成割合が定めた基本ポートフォリオが見直されました。先ほどから委員質疑にもありましたけれども、国内及び外国株式の比率は大幅に引き上げられ、その比率は五〇%となり、一方で、国内債券の比率は六〇%から三五%へと引き下げられました。この年金積立金管理運用独立行政法人法では、年金積立金の運用は安全かつ効率的に行わなければならないとされています。  現在、株式相場は好調ですが、長期的な観点から、このような株式比率が高い基本ポートフォリオによる運用が果たして安全と言えるのでしょうか。国民の大切な年金積立金を過度なリスクにさらしていないか、運用におけるリスクの考え方を含めて大臣の見解を伺います。
  117. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど来、議論が少しございましたけれども、年金積立金の運用というのは、将来の安定的な年金給付を確保するというのが一番大事なことでございまして、一方で、デフレからの脱却ということを言っておりますけれども、デフレ脱却後の緩やかなインフレの下での経済・運用環境、これに対応しないといけない。さらには、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保するということが必要だということでございまして、この場合のリスクというのは、いろいろ議論があるわけでありますが、実はこれ、リスクにはいろいろなものがあって、多面的かつ長期的な観点で考える必要がございます。  将来の年金給付をしっかり確保するためには、年金財政上必要とされる積立金額を下回るリスクをできる限り抑制するということが重要でございまして、今回の変更後の基本ポートフォリオというのは、デフレ脱却、適度なインフレ環境への移行など、長期的な経済・運用環境の変化に即して株式などの分散投資を進めたものでございます。  その結果、単年度の収益率の振れ幅は大きくなって、この振れ幅のことをリスクと言う場合ももちろんありますけれども、我々、年金を預かる者としては、年金財政上必要な積立金を下回るリスクというのは、この振れ幅は大きくなった一方で、少なくなったというふうに理解をしているところでございます。
  118. 川田龍平

    ○川田龍平君 このGPIFの運用資産額は百三十兆円を超えており、その資金量の大きさが株式市場等に与える影響は大きいものがあります。GPIFが保有する株式を売却することになれば株式相場の下落の引き金になるなど、株式市場に悪影響を与えるおそれがあるのではないでしょうか。  一方、官製相場が問題視されている中で、株価の下支えをしていると言われるGPIFが株式相場の下落を恐れる余り株式を売却する機会を逃した結果、本来得られるであろう利益を失ってしまうのではないかとの懸念もありますが、大臣の見解を伺います。
  119. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 年金積立金の運用につきましては、GPIF法の第二十条というところに、市場その他の民間活動に与える影響に留意をする旨定められておりまして、基本ポートフォリオに基づいて年金財政を踏まえて、GPIFにおいて、市場への影響に留意をしながら、被保険者の利益となるように資金の回収及び各資産への資金配分が行われているものだというふうに承知をしているところでございまして、さらに、必要に応じて、基本ポートフォリオの乖離許容幅の中で市場環境の適切な見通しを踏まえて機動的な運用ができるということとされておりまして、受託者責任を果たすべくGPIFで適切に対応をされているものというふうに理解をしているところでございます。
  120. 川田龍平

    ○川田龍平君 株価の変動というのは当然ながら予測困難であり、株価が下落した場合に迅速に対応できるようにしておくことが必要だと思います。現在のポートフォリオでも乖離許容幅が設けられていますので、先ほどの答弁にありましたように、ある程度柔軟な対応ができるとは承知していますが、しかし、もしリーマン・ショックと同規模の金融危機が起きた場合に、柔軟な基本ポートフォリオの見直しなどが果たして可能なのでしょうか。
  121. 香取照幸

    政府参考人(香取照幸君) 積立金の管理につきましては、お話ありましたように、長期的な観点から運用を行うということになっております。したがいまして、長期の経済状況等を勘案してポートフォリオを定めまして、それに沿って運用するという考え方です。  他方、短期的に見ますと、経済変動等もありますし、株価変動、金利変動等々がありますので、例えば全く売り買いが行われない状態でも資産運用の構成割合は変わっていくということになります。そうしますと、全く乖離許容幅のない運用ですと非常に細かく売り買いをしなければならないといった状態が起きますので、一定の乖離幅を設けましてその中で機動的な運用を行う、あるいは、市場変動が行っても、そういう意味でいうと、売り買いを行わないでポートを維持するということが行われることになります。それは基本的には中期の運用なので、五年ごとに全体を見直してポートの見直しを行うというのが基本的な考え方でございますが、お話ありましたように、大きな経済変動がありますと、ポートが維持できなくなる、ポートを維持するとかえって不利益を被るということが生じます。  中期計画の中では、市場動向を踏まえた適切なリスク管理等を行う、定期的に基本ポートフォリオの検証を行うほか、策定時に想定した運用環境が現実から乖離している等必要があると認められる場合は見直し検討を行うということになっております。  したがいまして、五年の期間の間の中でも、想定した運用環境から大きく乖離するような市場環境等が生じた場合には基本ポートの見直しを行うということになります。この場合は、通常と同様に、運用委員会の審議を経た上で基本ポートフォリオの見直しを行い、中期計画の変更という形で私どもに認可申請が来て、大臣の認可を得た上でポートの見直しを行うということになります。
  122. 川田龍平

    ○川田龍平君 次に、聖マリアンナ医大病院の精神保健指定医二十人の不正問題について、前回に続いて質問します。  一九八四年の宇都宮病院事件をきっかけに精神衛生法が改正され、精神保健福祉法となったわけですが、その施行前後に、精神保健指定医制度の創設に対する激しい反対論が日本精神神経学会や当事者団体、法律家らにより主張されました。特に日本精神神経学会は、一九八五年に評議員会で、精神保健指定医制度に反対する特別決議を全会一致で採択したほどです。  今回、まさに当時懸念されていたことが起こってしまったわけです。前回も指摘したように、精神疾患のあらゆる症例を網羅した非自発的入院の症例を八つも経験していることを求めている指定医制度は、本来入院させなくてもよい患者を入院させている可能性があり、欧米に比べて極端に多い精神科入院患者数及び精神科病床数を減らすことができない大きな要因となっているのではないでしょうか。この指定の在り方だけではなく、精神保健福祉法における指定医の位置付けを根本から抜本的に見直す必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  123. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回の事件は本当に残念でならないことが起きたというふうに思っております。そういう意味では、精神保健指定医制度国民からの信頼というものを回復をしないといけないなというふうに思っております。  精神保健指定医は、患者の人権を尊重して、そして個人の尊厳にも配慮した医療を提供する上で重要な役割を担うものであって、そのような形で制度がつくられたわけでありますので、患者の診療に関するケースレポートの提出も、こうした役割を果たす上で必要な資質を備えることを確認するために必要な手続だというふうに考えているわけであります。  今回の事案に焦点を当ててみると、まず第一に、この大学自体の、大学病院のガバナンスの問題にこれは課題がありと。そしてまた、病院を監督する厚生労働省側もそのチェックの機能に課題があるなと。さらには、関係審議会、これ、審議会が指定医を指定するわけでありますから、これについてのチェック機能というものにも課題があるんではないかというふうに思っておりまして、この再発防止策を徹底することで精神保健指定医制度というものに対する国民の信頼を回復できるように努めなければならないというふうに思っております。
  124. 川田龍平

    ○川田龍平君 これ通告しておりませんが、精神療法的な対応をした経験など、もっと患者に優しい対応についての症例報告を要件とする国もあると聞いていますが、海外でも、指定に当たって、指定医に該当する資格について、このような多数の非自発的な入院の症例報告を要件としている国はあるんでしょうか。
  125. 藤井康弘

    政府参考人(藤井康弘君) 申し訳ございません、通告がなかった件でございまして、今現在、私ども、把握をしてございませんので、そこも勉強してまいりたいと考えております。
  126. 川田龍平

    ○川田龍平君 これを機に、海外にも是非調査に行っていただきたいと思っております。  保険診療においては、指定医の方が非指定医よりも割高な償還がなされることになっています。保険診療費の返還及び保険医療機関の取消しも検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  127. 唐澤剛

    政府参考人唐澤剛君) これ、指導監査の案件になりますので、個別の案件についてはお答えできないわけでございますけれども、一般論として申し上げさせていただければ、算定要件を欠く、満たさない不適切な診療報酬の請求というものがあれば、これは事実関係を調査をして、そしてその結果を踏まえて、関係法令に照らして、返還も含めて適切に対処するということにさせていただいているところでございます。
  128. 川田龍平

    ○川田龍平君 前回、私が聖マリアンナ医科大学が実施している治験について、この継続の適否の調査をしないのかと尋ねたところ、局長答弁は、直ちに中止するものではないとはぐらかす内容でした。直ちに中止しろと言っているわけではありませんが、この継続の適否を調査しないのか、これについての答弁をいただきたいと思います。
  129. 神田裕二

    政府参考人(神田裕二君) 前回の委員の御質問に対しまして、治験における被験者の安全性の確保でありますとかデータの信頼性保証については、医薬品医療機器法に基づいて必要な措置を講ずる旨の御答弁をさせていただいたところでございます。  既に、聖マリアンナ医科大学の神経精神科で現在実施中の治験につきましては、PMDAに届出されております治験の計画で、精神保健指定医であることが治験担当の医師の要件になっているものが明記されているものがないということは既に確認をしているところでございます。さらに、これに加えまして、念のため、今般の指定取消処分を受けた医師が参加していた治験があるかどうかについても現在調査中でございます。また、これらの医師が参加している治験で、被験者の安全確保に問題がないかどうかについても調査をすることとしておりまして、必要があれば、治験の担当医師の変更を指示することも含めて適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 川田龍平

    ○川田龍平君 虚偽申告をする医師であれば、治験でも副作用を隠すとか、そういった可能性もあるのではないでしょうか。調査は必要ないということであれば、うそをつくような人が治験をしても構わないと、日本の治験制度というのはそのようなものだと世界から理解されてもよいのでしょうか。  やはり前回の答弁でも、ほかの指定医の不正についても調べるとのことでしたけれども、ほかの指定医の不正について調べるという方法を聞いたところ、症例報告をデータベース化して重複を調査することしか考えていないとのことでした。  しかしながら、一万五千人分の症例報告のデータベース化というのはかなりの日数が掛かることが予想されます。私は、今回の件は氷山の一角だと思っており、その証拠も厚労省には示しているところです。全国で人権侵害のおそれは放置しないよう、全ての指定医に注意喚起を行って、不適切な症例報告を提出していないかどうか、自主的なチェックを要請してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 藤井康弘

    政府参考人(藤井康弘君) もちろん私ども、他の精神保健指定医につきましても、改めてこの制度の趣旨等を周知をしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、御提案の自主申告といいますか自己申告をさせてはどうかというふうな方法につきましては、適切な申請を行った方々も含む全ての指定医に網羅的に調査をするということがどうかという観点もございますけれども、何よりもやはり、不適切な申請を行ったかどうかということを自己申告させるということに調査の結果に対する信頼性が保てるのかどうかというふうな観点から考えますと、やはり実効性におきまして課題があるのかなと考えるところでございます。  したがいまして、やはり私ども厚生労働省といたしましては、同様の不適切な事案がほかにも発生していないかどうかを調査をするために、ケースレポートの各症例をデータベース化することによりまして調査をしていきたいと考えております。  できる限り早く対応する必要があるということも私ども認識をしておりますので、速やかにデータベースを構築いたしまして厳正に対応してまいりたいと考えております。
  132. 川田龍平

    ○川田龍平君 早急に取り組んでいただきたいと思います。  それから、前回も触れたんですけれども、戦時中の人体実験への反省と医の倫理について伺います。  先日、京都で行われた同趣旨のシンポジウムで御一緒になった健保連の大阪中央病院の平岡諦先生から、一九四九年の日本学術会議の発足に当たり、戦時中の我が国の科学者の態度を特に反省する必要はないと多数決で決まった、特に医学部門の人たちは一致して強く戦時中の反省を必要としないと主張した、その理由は、戦争に科学者が協力したのは旧憲法によって協力したのであるから当然のことであるという話を伺いました。帰京後、その出典を探ったところ、一九六九年に武谷三男氏が著した「科学と技術」という書物にまさにそのとおりの記載を見付けました。  結局のところ、日本の医学界と政府の無反省な姿勢が薬害や研究不正を引き起こし続けていると私は考えているわけですが、今日は、この資料でお示しいたしました九州大学における人体実験について伺いたいと思います。  この配付資料、御覧いただきたいと思うんですが、右下の方に九大の生体解剖事件についても書いてありますが、戦争末期に米国人捕虜に対する生体解剖実験が九州帝国大学医学部で行われたとされる資料が、九大医学部のキャンパス内にこの四月に開設されました医学資料館に展示をされました。私も近いうちに是非訪れたいと思っていますが、これまでタブー視されていた戦時中の人体実験を公式に認めるという高く評価すべき取組だと思います。  この際、文部科学省としても、この史実を公式に認め、反省の見解を示すべきではないかと考えますが、文科省、いかがでしょうか。
  133. 佐野太

    政府参考人(佐野太君) 昭和二十年にあったとされますいわゆる生体解剖事件についてでございますが、九州大学に確認しましたところ、当時の医学部におきまして、捕虜となった米国人兵士に対し生体実験が行われ、死に至らしめた事件であるというふうに聞いてございます。このことにつきまして、昭和二十三年に九州大学は反省と決意の会を開催いたしまして、医学研究及び研究の在り方について反省し、医師として人間の生命及び身体の尊厳についての認識を深くするといったことなどを決意したことが昭和四十二年の九州大学五十年史に記載されているところでございます。  文部科学省といたしましては、いわゆる生体解剖事件が当時の九州大学の認識のとおりであったとすれば、遺憾なことであると考えております。  なお、本年四月四日に九州大学が医学歴史館を開館するに当たりまして、その一か月前の三月四日に九州大学医学部教授会におきまして、昭和二十三年の反省と決意の会で決意された医師としてのモラルと医学者としての研究倫理を再認識し、今後もこの決意を引き継ぐことを固く誓うことなどが決議されたと承知してございます。  いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、全ての大学の医師が生命の尊厳と医療と医学研究における倫理について深い認識を有し、教育研究及び診療に携わるべきであると認識してございます。
  134. 川田龍平

    ○川田龍平君 この新聞記事、御覧いただきたいんですけれども、中二段の左から七行目ぐらいのところにありますが、事件は本学部としては直接関係がないという記述のところなんですけれども、ここは、この新聞記事では関係がないということで終わっているんですが、実は、事件は本学部として直接関係ないが、学部内で起こった事件でもあるから、判決発表があったこの際、学部の反省と決意の会を開催し、職員、学生の反省の決意を促したいという医学部長の提議がなされ、可決したということで、その後、先ほど答弁にあった反省と決意の会というものが一週間後に開かれて、教授会から一週間後に、九月十五日の午後二時に医学部の中央講堂で、学部、附属医院、専門部共同主催の下、職員、学生生徒、看護婦等の出席求めてこの会が開催されたということです。  その決意内容、先ほど読んでいただいたところから少し省略されている部分があるんですけれども、医学研究及び研究の在り方について反省し、我々医師として生命及び身体の尊厳についての認識を一層深くするとともに、その天職を守り抜くためには、たとえ国家の権力または軍部の圧力が加わっても絶対にこれに服従しないということを決意したとあります。こういった決意をしているということが九州大学として、九州大学の五十年史や七十五年史にも記載されていて、しかし、残念ながらこういった決意というのは、医学界全体または日本政府では広く共有されてこなかったのではないかというふうに思います。  薬害根絶のためにも、過去の非倫理的な人体実験の史実を認めて国としても医学界としてもきちんと反省をした上で、たとえ合法であっても非倫理的な人体実験を行ってはいけないという医の倫理を確立して、一方で被験者保護の必要な法制度を構築すべきだと考えて、九大で行われたこの人体実験について大臣質問通告を昨日したのですが、大臣も事務方も、事実確認から始めないと分からないので、一日じゃちょっと答弁原稿が作れないと言われたので、勘弁してほしいと言われましたので、これはもう次回ですね、前回申し上げたとおり、非自発的な精神障害者の入院、そしてそれに相次ぐ臨床研究の不正や患者の人権を無視した医の倫理問題を解決するためには、この戦後七十年の節目にやっぱり過去の医学界による重大な人権侵害に対する深い反省が不可欠だと考えています。  大臣、これは大変重要な見解をいただきたいので、しっかり勉強していただいて、連休明けのこの委員会で是非この見解をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。もし今日あればですけれども、ゴールデンウイーク明け後の委員会において是非答弁いただきたいと思います。  次に移ります。  それで、今年から、製薬企業による医師への資金提供についての自主的な情報公開というのが始まりました。今日の理事会でもお話がありましたけれども、これを基に行った調査で、薬事関係の審議会委員を務める医師八人が二〇一四年度に製薬会社から受け取った講演料などを過少申告していた可能性が二十一日に報道されました。このうちの二件では、受取額が規定の上限を超えた委員が議決に加わっていたとのことです。  私は、昨年の五月にこの利益相反の問題を行政監視委員会質問いたしましたが、今年の三月末にようやく薬事分科会で参加規程の見直しが行われたようですので、その取組について伺います。また、今回の報道を受けて、ほかの委員についても虚偽申告や申告漏れがないか、至急調査すべきではないかと考えますが、大臣の見解を伺います。
  135. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 昨年の五月の行政監視委員会で川田議員から、評価委員会が少なくとも年一回開催するよう定められているにもかかわらず、平成二十二年以降開催されていないという指摘を頂戴をいたしました。評価委員会につきましては、昨年度に二回開催をし、委員の申告が正確に行われているかという点について厚生労働省が企業に確認求める取組を開始するなどの規程や運用の見直しを行ったところでございます。  また、昨年度開催をされました薬事分科会の一部の会議で製薬企業が公表した講演料等の金額と委員の申告内容にそごがあるとの指摘があって、厚生労働省において、三月半ばから、全ての委員の申告内容について申告漏れがないか、委員確認して報告いただくとともに、同様に、企業から報告いただいた情報と突き合わせて調査をしているところでございます。この調査結果や規程の見直しを踏まえて、薬事分科会の全委員に対して改めて規程の内容を周知し、適正な申告の徹底を図ることで審議の信頼性を高めるよう努めてまいりたいというふうに考えます。
  136. 川田龍平

    ○川田龍平君 医の倫理についてしっかりと、やっぱりこの一連のいろんな問題と事件が起こっていますので、是非しっかりやっていただきたいと思います。  特に、群馬大学と千葉県がんセンターで腹腔鏡手術による死亡例が相次いだ件でも、それぞれにおいて設けられた検証委員会が三月に報告書を公表しています。この二つの報告書は、その目的から検証範囲、また書かれている内容もレベルも全く違う、天と地ほども違うと江戸川大学の隈本教授が分析していますが、大臣は、この件についてどのように受け止めていますでしょうか。
  137. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 医療における安全対策を推進する観点からは、御指摘のとおり、個々の医療従事者の責任追及に終始するのではなくて、第三者の視点も踏まえながら要因分析を十分に行う、そして適切な再発防止策を講じていくことが極めて重要だというふうに考えております。  群馬大学附属病院については、現在、社会保障審議会医療分科会において、特定機能病院の承認取消しも含めてその安全管理体制等の在り方、さらには再発防止策が十分かどうかも含めて審議を行っているところでございまして、厚生労働省から事案発生後の調査委員会に係る事実関係についても同分科会に報告をし、その点も踏まえた審議をお願いしているところでございます。  厚生労働省としては、要因分析や再発防止策の在り方を含めて、同分科会の審議結果を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えます。
  138. 川田龍平

    ○川田龍平君 終わります。是非、ゴールデンウイーク明けにまた引き続きこの問題をやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  139. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  140. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、江崎孝君が委員辞任され、その補欠として西村まさみ君が選任されました。     ─────────────
  141. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 休憩前に引き続き、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  142. 島村大

    ○島村大君 自由民主党の島村大でございます。  午前中から野党の皆様方の大変な有意義な御質問がありまして、午後も、食事の後、少し皆様方お疲れだと思いますが、前向きな御回答をいただければ有り難いと思っていますので、質問をさせていただきたいと思います。  今回の本法案平成二十五年十二月二十四日に閣議決定されました独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づき必要な法整備を行っております。この閣議決定では、独立行政法人制度を導入した本来の趣旨、すなわち国の政策を実現する実施機関としてあるべき姿が示されております。独法は、自主的な戦略的な創意工夫をもって業務効率化を図り、国から与えられた使命に最大限に果たす、そのような役割を果たしているのが独法だと言われています。この本法案を大変有意義なものと私も認識しつつ、ただ、より良い改革をもっともっとしていただきたいと思いまして、気持ちを込めて質問させていただきたいと思います。  今回、労働安全衛生総合研究所労働者健康福祉機構、本当に長くて言いづらいんですけど、の統合について、それぞれ今までの役割と業務、それからこのような業績があるんだということを是非ともここで改めて言っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  143. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 二つの法人につきまして御質問がございました。  まず、労働安全衛生総合研究所でございますが、ここは労働災害でありますとか職業性疾病に関します様々な調査研究を行っている研究機関でございます。最近でありますと、例えば足場からの墜落の防止というようなことでありますとか、あるいは土砂崩壊に伴います労働災害の防止等々の研究を行ったり、あるいは介護労働者の方の腰痛の防止というような関係の調査研究を行ったりしております。これらの研究成果につきましては、労働安全衛生関係の各省令でございますとかあるいは技術基準等の制定、改廃の際に、その研究成果が生かされているということでございます。  また、当該研究所におきましては、いろんな事故等が起きた際に、専門的な立場から調査を行うというようなこともやっております。例えば、最近ですと、印刷業務、印刷会社におきます胆管がんの発生が問題になりましたが、この関係での胆管がんに関します調査を行ったり、あるいは事故という関係でありますと、平成二十四年にありました、海底シールドトンネルの建設工事におきまして水没事故が起きたわけでありますが、その原因の調査等々を行っているということであります。平成二十五年度で申しますと、調査研究結果が関係法令、基準等の見直しに活用された例が十八件、それから災害調査等を行った件数が十七件というふうになっております。  また、労働者健康福祉機構でございますが、これは先生御承知のように、まず労災病院を三十運営しておりますので、そこでの様々な治療等を行っているわけでありますが、それ以外にも、例えばメンタルヘルスに関します研究を行いまして、企業の復職可否の判断を行うための客観的な評価基準を作成したりとか、あるいは、アスベストの関係につきまして、病歴、職歴等のデータを分析して、石綿に暴露した場合の中皮腫の発生症例ということが約八五%あるというような事実関係を明確にしたりというようなことを行っていると。そしてまた、そういったようなものを活用いたしまして、産業保健センター等で企業等の相談に応じたり、様々なそういう活動をしているということでございます。
  144. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  ここまでは委員の先生方はもちろん御存じだと思いますし、国民の方々が是非とも再度御理解していただきたいことだと思っています。  今ありましたように、いろんな研究テーマがあったと思うんですけれども、ここで、この研究テーマをどのように例えば労働安全衛生総合研究所は決めているのか、そこをひとつ教えていただきたいと思います。
  145. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 労働安全衛生総合研究所でございますが、基本的な業務につきましては、厚生労働大臣中期目標を示しています。その中で、労働災害の状況でありますとか、その時々の政策課題を踏まえた研究所の実施すべき研究の基本的な方向性を示しております。  現在の中期目標におきましては、労働者の働き方が変化することに伴う職場のストレス、長時間労働、あるいは交代制勤務等がメンタルヘルスなどの健康に及ぼす影響について研究をするようにというようなことでありますとか、技術革新等によって新たに産業現場で取り扱われることになるような新材料、新技術に起因するような労働災害の予防についての研究、そういったことなどを重点として示していると。それを踏まえまして、毎年の研究テーマは研究所の方で設定して研究していると、こういうような仕組みになっております。
  146. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  今局長からもお話がありましたように、この研究テーマに関しましては、まずは主務大臣であります、今回これは厚労大臣だと思いますけれども中期目標を立てまして、それからそれぞれの独法理事長中期計画を立てて、それから内部と外部評価を受けるということが今の仕組みだと言われています。  一つの例としまして、平成二十三年に、そのときの厚労大臣が細川厚労大臣だったんですけれども、第二期中期目標として、我が国の労働災害は長期的に減少傾向にあるものの、今なお年間五十四万人の労働者が被災し、千人を超える尊い生命が失われている。また、職業性疾病も後を絶たず、特に強いストレスを感じる労働者が六割に達し、過労死や精神疾患による労災認定の水準も高い水準にあると言われています。  このような中で、労働災害防止対策やメンタル対策について、我が国の中長期的な最重要戦略と位置付けられておりということを書いてあります。これがどんどんどんどん書いてあるんですけれども、これに関しまして大臣目標を立てまして、理事長がこれに関しての中長期の計画を立てていただいています。  これに関しまして、評価が、平成二十七年三月に平成二十六年度分の外部評価として報告書が出されております。これはこのとおりに確かになされているんですけれども、今お話ししましたように、二つの大きな重要対策の問題として、その一つがメンタルヘルスに対しての重要対策だと言われています。  このメンタルに関しましては、労働者の心理的、社会的ストレスと抑うつ症状との関連及び対策に関する研究ということで、平成二十四年度から二十六年度の内部評価、また外部評価の報告書がなされているんですけれども、この重要な対策の一つだと言われていますメンタルヘルスに対しまして、この評価が、違う研究テーマから比べますと非常に残念ながら評価が低いと。これに関しまして、どうしても予算上が、非常にこれだけ重要だと言われている割には年間六百万とか四百万とか七百万ぐらいの研究しか予算が組まれていないと。また、聞くところによりますと、どうしてもメンバーが足りないと。それによりまして、五点満点中二点台という評価が残念ながら起きていると。  こういう、これだけ重要テーマだと言われているところの評価が二点台だということは非常に寂しいと思いますし、なぜこれをもっと重要視して重点的にできないのかということをひとつお聞きしたいのと、今回、せっかく統合されるわけですから、統合することによってもっと臨床研究も入ってくるわけですし、そういうことを含めまして、今後はもっと予算を付けられないかとか、そういうことに関しまして、できたらお話を聞きたいと思います。
  147. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 先生御指摘のように、現下の重要な課題でありますメンタルヘルスの関係の調査の評価結果が低かったということにつきましては、反省しなきゃいけないというふうに思っております。  やはり、この研究、それなりにしっかりとした予算とともに体制を組んでやっていく必要があるだろうというふうに考えているところであります。今回も、この研究所とそれから労働者健康福祉機構が統合するということを予定しておりますが、労災病院におきます様々なデータも活用しながらこの研究を深めていくというのが非常に重要ではないかというふうに考えているところでございます。  したがいまして、今までのその評価が低かったということを反省しながら、むしろ今回の統合を契機としまして、この問題につきましてはしっかりと研究できるような体制を整えてまいりたいというふうに考えております。
  148. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  是非ともこの基礎的な研究、疫学的な研究も含めまして、それから臨床的な研究、それから診断、予防と、その一連で今回は統合すればできるようになるわけですから、是非ともこれは今最重要課題だと思われますので頑張っていただき、この外部評価が二点台ということは、せめて、寂しいですから、満点になるように御努力していただきたいと思いますし、研究所の方にも期待をしたいと思います。  話が少し、その関連なんですけれども、結局、統合するメリットとして、一つは今お話ししましたけれども、是非とも今回のその研究所と機構が統合したことによってのメリット、それから国民にとって本当にどういうメリットがあるかということを是非とも教えていただきたいと思います。お願いします。
  149. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 今、新法人、労働者健康安全機構の役割、また国民にとってどういうメリットがあるのかというお問合せでございますが、今般の両法人の統合をすることによりまして、我々としましては、労災病院におけます治療や病歴、職歴に関するデータを収集いたしまして、その収集したデータを活用した基礎研究、応用研究を進めていくと。そして、その結果、研究成果を事業場へ提供して労働災害の予防や職場復帰支援に役立たせるといったメリットがあると考えております。  すなわち、先ほどおっしゃっていただきましたけれども、予防だとか、例えば治療だとか、職場復帰支援というものを個別にやるんじゃなくて、総合的に一体的に展開する体制を構築することが可能となりまして、より一層労働災害の減少に資することになるんじゃないかと考えております。  例えば、今統合に向けまして検討しているんですけれども、化学物質による被害のおそれを把握した場合に、例えば労災病院が持っているデータというものを基にして、調査対象をより精査して選定していくことができますので、その上で被災者へのヒアリング等詳細な調査を実施することができますので、原因物質の特定や発生原因の解明を行うことがよりいいものになると思っておりますし、また近年、労働災害に占める割合が高まっている転倒災害につきましても、その減少に資するような調査ができないかといったことを検討させていただいております。  今御指摘いただきました調査研究につきましてもちょっと工夫をさせていただこうと思っておりまして、これまで両法人が行ってきた労働災害及び職業性疾病の予防等に資する調査研究が、後退することがないというよりもっと拡充してしっかり十分できるような体制を我々もしっかりと確保してまいりたいと思っておりますし、また、統合による効果を最大限発揮できますように、新法人におきます調査研究の企画や連携を統括する組織というものを新たに設置をさせていただくことを今検討しております。  統合後の新法人におきまして、しっかり国民の皆様方にメリットを感じていただけるようなものにしてまいりたいと考えておりますので、是非応援もよろしくお願いいたします。
  150. 島村大

    ○島村大君 本当に今心強いお話をいただきまして、本当にうれしく思っています。是非とも、やはり最終的には国民また労働者にとってメリットがなかったら何の意味もないと思いますので、是非そこはお願いしたいところでございます。  ちょっと、ごめんなさい、話が少し戻るんですけれども、この研究テーマで、先ほどお話ししましたように、目標から計画、そして外部評価を受けるということなんですけれども、この目標を決めるのが担当大臣だということですけれども担当大臣が全てを決めるわけではなく、多分、有識者の方々とか、分科会なり委員会なりが、それぞれの方々が意見を持ち合って、それから最終的には大臣に答申すると思うんですけど、その委員というのはどのように決めているかを教えていただきたいんですけど、どうでしょうか。
  151. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 大臣中期目標をお示しして、それで中期計画ができていくという関係でございます。その際、大臣中期目標を定める際に、特にこういう手続ということではありませんが、常にあります政策の課題を意識しつつ考えていくということであります。  しかしながら、やはりどういうことが問題になっているかということにつきましては、大臣がそれを定めるに際しまして、私どもとしても労使とか専門家の意見を十分に聞くような形でやっていく必要があるだろうというふうに認識しておりますし、今回この法律、成立させていただけますと新たな法人が発足するわけでありますので、その際の中期目標の示し方につきましても、専門家を含めていろんな声をお聞きしながら、新たな目標を定めていきたいというふうに考えております。
  152. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  そこはよく分かるんですけど、例えば、今、日本で中小企業の数というのは、九九%以上が中小企業ではないかと言われております。従業員数でいけば約七割から八割は中小企業に勤めている方だと。  ということは、何が言いたいかというと、ほぼ中小企業の方が日本は多いと。例えば、委員会とか分科会のメンバーを見ますと、よく皆様方が言うのは、三者構成になっていると、公益代表、それから労働者代表、使用者代表。この三者代表というのは分かるんですけど、その中の方々を見ると、本当に著名な優秀な方々と思うんですけど、特に使用者側、また労働者側の方々の中を見ますと、やはり大手の労働組合の幹部の方、それで、使用者も大会社の方々がほとんど、中小企業の代表者というのは確かに入っていますけど、一名か二名だと。  ということは、今言いましたように、日本の中小企業がこれだけ多いのに、なぜいつもいつもそういう大手の方々の話合いが大きな話になって、中小企業の方々、又はこの今言われております労災に関しましては、やはり一つは、今はもう介護の問題とか、今日、高階政務官もいますけど、医療の面まで、看護師さんの問題とか、いろいろと医療関係者も私はこの労働関係に関しましては大きな問題点があると思うんです。でも、その代表者は一人もいないわけです。  ですから、そういう観点からは、やはり今回は、例えばそういう労働関係に関しまして、介護とか医療関係も含めて委員会をつくるとか、そういう考えはないんでしょうか。是非とも御答弁いただきたいと思います。
  153. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 審議会あるいはその下にあります分科会の委員構成につきましては、全体として公労使の三者構成という中で、それぞれの立場の方々をどうやって選んでいくかということだろうというふうに思います。  使用者側の代表の皆様方につきましては、経営者の団体と御相談しながら選任をしていっているということでございまして、そういう中では、大企業が中心であります日本経団連だけではなくて、日本商工会議所でありますとか中小企業団体中央会でありますとか、そういうところからも委員の御推薦をいただきながらやっているということでございます。  しかしながら、どうしても幅広いいろんな業種がある中で全てを反映するのはなかなか難しいという状況でありますので、審議会の構成をどう考えるかということとは別に、今回先生からも御指摘がありましたけれども、やはりそういういろんな業種とか、特に小さい企業の状況も踏まえたしっかりとした目標を定めていくということが重要だというのは私どももそう思っていますので、いろんな形でそういう企業の、あるいは業界の意見も反映できるような努力をしていきたいというふうに考えております。
  154. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  是非とも、医療関係、介護関係の方々も入れていただければと思っております。  ちょっと時間も押していますので、ちょっと先に行かせていただきます。  次は、労働者の健康確保に関しまして、よく薬師寺委員からもお話がありますように、産業医の問題、それから産業医ともう一ついつも忘れられているのが産業歯科医ということもあるんです。これは、労働安全衛生法の中に産業医という位置付けとそれから産業歯科医という言葉がしっかりと位置付けられています。  ですが、残念ながら、産業歯科医に関しましては、いわゆる酸ですよね、酸に関しまして、要するに工場とかで強い酸とかアルカリを使っているところに関しましては産業歯科医師のしっかりと意見を聞く、それから健診をしろということになっているんですけど、それ以上の、例えば先ほどからお話ししておりますメンタルヘルスに関しまして、今、メンタルヘルスといわゆる口腔の関係、顎関節症とかいわゆるその辺がすごく言われているんですけど、まずはこのメンタルヘルスについての、今の大きな課題となっています、これを、今度の新しく統合されました労働者健康安全機構がどのように取り組んでいくか、まずは教えていただきたいと思います。
  155. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) まずは、こちらの方から答えさせていただきたいと思います。  メンタルヘルス、もう大変重要だと思っておりまして、もう既に御承知だと思いますが、元々の労働安全衛生総合研究所におきましても、先ほど、メンタルヘルスに関する調査研究、中期計画において主要な研究テーマの一つとして位置付けていることは御指摘いただきましたけれども、そのほかにも、昨年十一月には、過労死等防止対策推進法の施行を受けまして過労死等調査研究センターというものを立ち上げさせていただき、自殺や精神疾患を含めた労災請求事案の事例分析や発生要因に関する研究に着手をさせていただいております。  また、もう一つの労働健康福祉機構におきましては、事業場におけますメンタルヘルス対策を支援するために、全国の産業保健総合支援センターにおけます事業者や産業保健スタッフに対する相談支援を行っておりますが、この六月からは、ストレスチェック制度を導入した小規模事業場に対する助成なども行わせていただくこととなっております。  これが統合した後どうなるかということでございますが、こうしたメンタルヘルスに関する取組を更に進めるとともに、過労死等調査研究センターの研究におきまして、労災病院が保有する病職歴調査データを活用するとともに、産業保健総合支援センターにおきまして、調査研究成果の事業者への普及や成果を踏まえた支援を実施するなど今まで以上の連携を図ることによりまして、メンタルヘルス対策の強化をしっかりと図ってまいりたいと考えております。
  156. 島村大

    ○島村大君 是非とも、今回の統合の一つの大きなメリットとなると思いますので、そこは是非とも進めていただきたいと思います。  今お話ししましたように、メンタルヘルスと顎関節症に関しましては深い関わりがあるということは政府の方も御理解していただいていると思います。全身疾患と口腔の関係とか、今職場における産業歯科医としての活用範囲を更に広げられる、また広げるべきではないかと思っているんですけど、これ、なぜかといいますと、私も現場で二十五年診療していまして、自分の診療室が約六千人いるビルでオフィス街の中なんですけど、二十五年前はいわゆる向精神薬とかそういう薬を飲んでいる方というのは非常に少なかったんですよ。最近は、やはり我々もお薬何を飲んでいるかということでお聞きしますので、この薬、この薬と言われるんですけど、その中で割合が非常に向精神薬が増えたと。  これだけ増えるのは、ある意味ではこれだけ社会が難しくなっている、それからいろんな問題があると思うんですけど、やはりこれは労働環境の問題とか、そこはやはり我々もしっかりとその中を理解して、それこそ、そこがいわゆる産業医の出番ですし、一番難しいところだと思うんですけど、いわゆる医療面だけではなく、会社のことを知る、それから法律的なこともよく理解した方々がこれをタッチしなくちゃいけないと思うんですけど、ただ、産業医だけではやはり非常に難しい。  我々も、そういう患者さんが、向精神薬を飲んでいる方というのは、やはり飲み出しちゃうとなかなかもう止められない、なかなか復帰するのも難しいという方がいますので、やはり飲まない前にどうにかならないのかというのを我々も非常に感じていますので、我々歯科医師、産業歯科医師としてもどのように関われるかということを非常に今我々も考えていますので、そこを是非とも御意見をお伺いできればと思うんですけど、どうでしょうか。
  157. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 先ほど来御指摘いただいておりますとおり、ストレス負荷によって心身に様々な影響が出てくる、あるいは内服する薬によって唾液の分泌が下がってくるとか、様々なことが考えられると思います。  先ほど御指摘のありました顎関節症、これはストレス関連疾患ということで広く知られているものでございますので、この度、私どもの方で今準備させていただいているストレスチェックを実施していくためのマニュアル、この中にも医師等の面接指導においてその状況確認することをしっかり徹底していただくように記載をしているところでございます。  また、昨年法改正をしていただくときに、石井委員長の下で附帯も付けていただきました。その中には、業務と歯科疾患との関連についてしっかりと検討していくといったような中身も記載されてございましたので、昨年の十月から三か年の計画で業務と歯科疾患のことについて知見を集積するという作業を始めさせていただいているところでございます。  今後の労働者の健康の確保、安全、こういった観点から、より一層歯科の健康についてもお取組が進んでいけるように私ども検討をさせていただきたいと思っておりますので、今後ともお知恵をよろしくお願いいたします。
  158. 島村大

    ○島村大君 前向きな答弁、本当にありがとうございます。  今状況としましては、皆さん、顎の不調、よく言われていますのが、米国の歯科研究会で調べますと、約、米国の一千万人ぐらいがいるんじゃないかと言われています。また、日本では日本顎関節学会という学会がありまして、そこの調査では成人の半数ぐらいが顎の不調があると言われています。  この不調を、皆様方、ここでやってくれというのもあれなので、もしよかったら部屋に帰りましたらやってほしいんですけど、口を大きく開けていただいて閉じていただいて、そのときに音がするとか痛いとかスムーズに開かないとか全然開かないとか、いろんな方がいると思います。もうこれは完全に顎の不調ですから、こういう方々が成人は二人に一人ぐらいいるんじゃないかと言われる。それほど多いですから、皆様方、これをこのまま放置しますと、いわゆるストレス性がこれは大きいわけですから、やはり、私もそうですけど、ストレスを感じるときにはたまに音がするんです。体調のいいときにはそういうことがないわけです。ですから、やはりそういうことをしっかりと、今政務官からお話がありましたように、今研究をしていただいているということなので、そこは前向きに是非とも進めていただきたいと思っています。  で、かみ合わせがなぜ大切かということを簡単に今、あと二、三分ありますので、ここで示させていただいていいですか。(発言する者あり)よろしいですか。  ちょっといいですか。普通にかんでいただいて、ここ、これ、こうぎゅっとかんでいるわけですよ。閉じているわけですね。かんでいるときには、これは開かないわけですよ、力を。それが、こうやって横に、この顎を、どっちでもいいですよ、横に動かしていただいて、そうすると、すっと開くんですよ。力がなくても開くんですよ。だから、かみ合わせというのはこれだけ違うということです。  これも皆さん是非やっていただきたいんですが、そういうことで、このかみ合わせというのがそこのストレス、要するにもう、ストレスがある方という方はどこでかんでいいかも分からなくなっちゃうわけで、そういう方もたくさんいますので、是非とも、向精神薬を飲む前の状況をしっかりと、どういうふうに対応していったらいいかということの一つとして、そういうかみ合わせもありますので、是非とも委員の先生方、また政府関係者の方も、今知見を調べさせていただいていますけど、業務と歯科疾患に関して前向きにこれが進むようにお願いします。  じゃ、最後に一点だけ。  産業歯科医の活用方法を検討する際に、今、歯科口腔保健推進室ということが決められまして、今訓令でできているんですけど、その省内関係の連携を図るべきだと思いますが、その点に関しまして、最後、教えていただければと思います。
  159. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 実務上の連携というだけでなく、実質的に労働衛生を所管しております部局の職員一名を医政局の歯科口腔保健推進室に併任をさせておりまして、実際の仕事上も席を行き来する形で連携をさせていただくというふうなことを取組としてさせていただいておりますが、今後とも、職場における歯科口腔保健の推進のために省内関係部局との連携を図ってまいりたいと思います。
  160. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございました。  これで終わりにします。
  161. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明です。  昨年の独立行政法人改革で、各独立行政法人が担う政策実施機能を最大限向上させるということと、業務の質と効率向上させると、こういう趣旨の下、制度全般にわたる法改正が昨年行われました。これも平成二十五年十二月二十四日の閣議決定に基づいて行われたものであり、今回の厚生労働省所管独立行政法人に係る見直しもこの閣議決定に基づき行われることとなっておりますので、今般の改正がこの改革の趣旨に沿ったものであるか、何点か確認をさせていただきます。午前中からの質疑もございまして若干重複する部分もありますが、我が会派としても確認させていただくということでございますので、御容赦いただきたいと思います。  一つは、労働者健康福祉機構そして労働安全衛生総合研究所関係でございますが、あの平成二十五年十二月二十四日の閣議決定では、独法は現行の百を八十七に再編すると、こういうことになっておりまして、今回のこの二つの統合をして、独立行政法人労働者健康安全機構、仮称というふうに聞いておりますけれども、統合するということもこの改革一つでございます。とはいえ、単なる法人の数合わせになってはいけないということでございますので、統合したことによる相乗効果ということが必要でございます。  まず、今般、この労働安全衛生総合研究所労働者健康福祉機構、これの統合によってどういう効果を期待しているのか、見解を伺いたいと思います。
  162. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 今御指摘いただきました両法人の統合によりましてどのような効果が期待できるかということでございますが、今、島村先生の方にもお答えさせていただいたところでありますけれども、決して数合わせではなくて、相乗効果が出るようなことを我々としては考えております。  先ほどちょっと申し上げさせていただきましたとおり、労災病院におきます治療や病歴及び職歴に関するデータの収集、これを活用いたしまして基礎研究、応用研究をしっかりとやっていくと。そして、その研究成果を、事業場への提供により、労働災害の予防や職場復帰に役立てていくということをしっかりとやってまいりたいと思っております。すなわち、予防、治療、職場復帰支援を一体的に展開する体制を構築すると、このことによりまして、より一層労働災害を減少させていくといった効果を私たちとしては期待しているところでございます。
  163. 長沢広明

    ○長沢広明君 今日、質問、ちょっと削ったり合わせたり順番変えたりしますが、よろしくお願いしたいと思います。  この二つの統合で、新しい法人業務として化学物質の有害性調査を新しく付け加えるということです。新法人業務としてこの化学物質の有害性調査を位置付けることの理由と、あわせて、こういう労働者の健康被害を防止するための業務ということは欠かせないものであるということは分かりますが、統合プラス新たにまた更に業務をこの法人の中に抱える、新法人の中に抱えるということになりますので、改正によってこの独法自体が新たに業務を行うということについては、やっぱりコスト意識ということをきちんと持って臨んでいただきたいというふうに思いますが、見解を伺いたいと思います。
  164. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 御指摘の業務、化学物質のがん原性の調査を行っております。発がん性が疑われます化学物質につきまして順次調査対象にしているわけでありますが、準備期間を入れますと五年程度の長期間の仕事になります。現在は毎年ごとの委託という形でやっておりますが、やはりこういう比較的長く時間の掛かるものにつきましては、独立行政法人のようなしっかりとしたところで中長期的な視野からしっかりと調査研究をしていく必要があるだろうと、そういうことで、毎年ごとの委託事業ではなくてこの独立行政法人業務としてしっかりやっていくと。その際には、先生から御指摘がありますように、コスト意識というのは非常に重要だというふうに思っています。  私どもとしては、単年度ごとですとやや重複があったりというようなところも、中期的に独法仕事としてやっていくということであれば、そこのところでコスト削減もできるのではないかというふうに思っていますので、そういったコスト意識を持って、かつしっかりとした調査を行うと、こういうことでやっていくように努力したいというふうに考えております。
  165. 長沢広明

    ○長沢広明君 業務の質の向上そして効率化というこの改革の趣旨に沿ったものであるということを確認をさせていただいたわけですけれども、そのとおりしっかり進めていただきたいというふうに思います。  先般、国内の製薬会社七十二社が、二〇一三年度に医師へ払った講演料や原稿料を公表したと話題になっております。新聞の集計によりますと、各製薬会社が公表しているものを新聞が集計したわけですね。すると、延べ十万人の医師に計三十五万件の講演などで総額約三百億円が支払われていたと。一千万円を超えた人が百八十四人いらっしゃったと。最高額は二百四十件の講演料などで四千七百万円だったということです。  医師個人が製薬業界から受け取った金銭の全容というのがこういう形で明らかになるのは初めてというふうに聞いておりますが、では、労災病院や国立病院における医師の原稿料や講演料の実態というのはどうなっているのか、またどういうルールでこうした報酬を受け取っているのか、これについてできれば御説明いただきたいと思います。
  166. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 労災病院及び国立高度専門医療研究センターを含む国立病院機構等の医師に支払った平成二十五年度の講演料や原稿料等につきまして製薬会社七十二社が公表したデータを集計して抜き出させていただきましたところ、一千万円以上受け取った者は労災病院においてはおりませんでしたが、国立病院機構等におきましては二名、五百万円以上一千万円未満受け取った者は労災病院は二名、国立病院機構等は十六名、三百万円以上五百万円未満受け取った者は労災病院は五名、国立病院機構等は三十三名となっております。  また、製薬会社から医師に支払われる講演料等の報酬につきましては、労災病院は役職員倫理規程第十条に、また国立病院機構等は職員倫理規程第六条等の規定に基づきましてあらかじめ承認を得て受領していると伺っておりますが、国立病院機構等におきましては原則勤務時間外で行うという形になっております。
  167. 長沢広明

    ○長沢広明君 今、労災病院、国立病院共に規定に基づいてあらかじめ承認を得て受領していると。国立病院においては時間外ということになっております。  労福機構において、医師の勤務時間内の講演等もあり得るのではないかというふうに思います。職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないと判断される場合、勤務時間内でも承認されるということだというふうに聞いておりますが、国立病院は時間外だと、しかし労災病院の方は時間内でもあり得ると、承認されることがあるということで、そうすると、そもそも勤務時間内に講演を行って講演料を受け取るというのは、見方によっては給料と講演料の二重取りというふうにも見れるわけです。  そういう意味では、国民の疑惑や不信を招くおそれがあるのではないかというふうに思いますが、こういう国民の不信を招かぬように厚労省としては早急に対応すべきだと、こういうふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
  168. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 学会の参加につきましては、労災病院が地域において中核的役割を担っていることや医師個人の知識の向上に寄与することなどから勤務扱いとしているところでございますけれども、製薬会社から報酬を受けて行われる講演等が含まれている場合がございます。  労働者健康福祉機構におきましては、勤務時間内に講演等を行う場合であって業務として取り扱い年休を取得しない場合、報酬を受領することについて禁止する措置を行っていないことから、報酬を受領し給与の減額も行わない事例が一部存在している、今御指摘いただいたような事例が一部存在していると伺っております。  講演等に要しました時間につきましては、講演料等と給与が二重に支給されることは適切でないと私どもは考えておりまして、労働者健康福祉機構に対しまして、他の独立行政法人等の事例を参考に早急に適切な措置を講ずるように求めていきたいと考えております。
  169. 長沢広明

    ○長沢広明君 適切ではないというふうに厚労省としても判断すると、しっかり適切な措置をとるように言っていくということで、今回のこの改革見直しに合わせて、国民に疑惑を不信を招くようなことのないようにしっかりと対応をしてもらいたいということを申し添えておきます。  続いて、勤労者退職金共済機構の関係で伺いたいと思いますが、中小企業退職金共済制度、津田先生の方からも先ほど様々な御質問がございました。  独自に退職金制度を設けることが困難な中小企業に勤めている従業員であっても、退職時に確実に退職金の支払を受けることができるという大変大事な制度でございます。加入している従業員約六百三十万人の退職後の生活の安定には重要な役割を果たしていると言っていいと思います。  初め、確認しますけれども、中小企業のうち、では独自の退職金制度がなくて、中小企業退職金共済制度にも加入していない企業というのは現在どのぐらいの数が存在するのでしょうか。また、あわせて、この制度に、そういうところはもう加入してもらった方がいいわけですね、働いている方にとっては。そういう加入を促すということをどのぐらいやっておられるのか、それについて伺いたいと思います。
  170. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 平成二十五年度の就労条件総合調査というのがございます。退職金の給付制度、中退金を含めてそういう制度がない企業の割合でありますが、従業員規模が三十から九十九人で二八%、従業員規模が百から二百九十九人で一八%という状況でございます。  先生御指摘のように、やはり退職者の生活ということ等を考えた場合に、退職金制度があることは望ましいというのは先生御指摘のとおりでございます。中小企業退職金共済制度の加入促進ということはしっかりやっていかなきゃいけないということでありまして、パンフレット、ポスター、テレビCM、動画サイト等々、いろんなものを活用した周知でありますとか、あるいは都道府県とか中小企業の事業主団体等と連携しながら、そういうところでのいろんな集まりの際に加入を勧奨する、そういったいろんな取組をやっているところでございまして、今後ともしっかりとやらせるようにしたいというふうに考えております。
  171. 長沢広明

    ○長沢広明君 是非、積極的に働きかけを進めてもらいたいと思います。中小企業従業員が安心して働くためには、退職後の生活の資金がある程度保障されるということは非常に大事なことでございますので、しっかり進めてもらいたいと思います。  この機構は、退職金の支払原資約五・二兆円を用いて資産運用を行ってきたということですけれども、過去には長い期間、累積欠損金を抱えていた時期がございます。この中小企業退職金共済制度において、累積欠損金は、平成二十年度末、約三千五百億まで積み上がった、それが平成二十四年度には解消されたと、こういうふうに聞いているんですけれども、この累積欠損金を縮減するためにどういう施策を取ってやってきたのか、確認させてください。
  172. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 累積欠損金解消計画というものを定めまして、いろんな取組を行いました。基本ポートフォリオを作成して、その維持管理、資産運用の実績等の適切な評価を行うというような、資産運用をしっかりやるというようなことでありますとか、あるいは積極的に加入勧奨を進めまして、全体としての資産運用額を増加させるということでありますとか、あるいは事務の効率化によります経費の削減、こういったことはやってきたわけであります。  ただ、結局、大きな効果がありましたのは、資産運用環境が好転したということもございまして、努力の結果とそういう外的要因と両方が相まちまして、二十四年度末には累積欠損金が解消したと、こういう状況でございます。
  173. 長沢広明

    ○長沢広明君 中小企業で働く人にとって大切な退職金の制度でありますから、この退職金の支払原資に欠損が生じることのないように、今後、安全かつ効率的な資産運用が求められるというふうに思います。  そこで、今回の改正内容に盛り込まれた資産運用委員会、これも先ほど来何度か質疑の中に出てきておりますが、改めて確認をしますが、この資産運用委員会を設置することで、今申し上げました支払原資に欠損金が生じたりすることのないよう、安全かつ効率的に資産運用を行うということが大事だという角度から、この資産運用委員会の設置でどういう効果を期待しているのか、確認させていただきたいと思います。
  174. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回の独立行政法人改革では、独立行政法人勤労者退職金共済機構について、実効性あるリスク管理体制を整備するということが求められたところでございまして、このため、勤労者退職金共済機構に金融や経済の専門家等から厚生労働大臣が任命する委員によって構成されます資産運用委員会を設置をする、機構からの独立性の高い第三者である専門家が資産運用の基本ポートフォリオの議論や資産運用状況の監視などを行うこととしておりまして、外部有識者により構成をされる委員会の権限が強化をされるという格好になるわけでございます。  したがって、資産運用委員会の設置後は、機構の資産運用に対するチェック体制というものが強化をされるものというふうに考えているところでございます。
  175. 長沢広明

    ○長沢広明君 ちょっと確認ですけれども、その基本ポートフォリオを変更することが前提、そういう予定なのかということをちょっと確認させてもらっていいですか。
  176. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 中小企業退職金共済制度におきましては、現在、予定運用利回り一%で考えていると。そういう状況の下で、現時点におきまして基本ポートフォリオを変更するという予定はないところでございます。
  177. 長沢広明

    ○長沢広明君 今話が出ているとおり、退職金の支払原資を安定的、しかも効率的に運用するということでチェックが利くようになると、こういう先ほど大臣の答弁もありましたけれども、支払原資の運用についてはやはり高度な専門性ということが求められるわけで、この運用を担当する職員の専門性ということも高めていかないといけないというふうに思いますが、その点について何か取組を考えているのか、伺いたいと思います。
  178. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 勤労者退職金共済機構におきましては、やはり担当職員の専門性を高めるというのは重要だろうということで、各種のセミナー等へ参加させるというような取組とともに、民間金融機関で資産運用の経験のある職員出向で受け入れるというような両方の取組の中で専門性を高める努力をしているところでございます。
  179. 長沢広明

    ○長沢広明君 何かちょっと足りないような気がしますので、もう少し力を入れてやってもらいたいと思いますが。  退職金は、従業員の退職後の生活の安定に大事だということで、確実に支給されることが必要です。今回の改正内容の一つとして、勤労者退職金共済機構が退職金を支給する際、住民基本台帳ネットワークを活用することができるようにすると、こういうことがありますが、この改正をした趣旨を確認させてください。
  180. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 中小企業退職金共済制度につきましては、事業主が拠出してためていくということでありますが、その際に、企業から十分に、あなたは退職金共済に入っていますということがどうも周知されていない場合がある。そうしますと、退職した時点で請求がなされない場合があるということがございます。そういう中で、住所等が不明になって受給申請の勧奨をなかなかできないケースがございます。  そういったことを防ぐためには、やはり転居先がしっかりと把握できるということが必要だということでありますので、今回、住基ネットを使えるような形にして、転居先が分からない方々、今まで分からなかった方々にもしっかりと受給できるようにしていくと、そういう取組のために今回改正をお願いしているところでございます。
  181. 長沢広明

    ○長沢広明君 大事なことだと思いますが、その前に御本人たちにこの共済制度に加入していますということをやっぱり事業者がちゃんと伝えるように呼びかけていくことも大事ですので、その点もよろしくお願いしたいと思います。  福祉医療機構関係でお伺いをしたいと思います。  我が国は、高齢化ということに直面をして、医療や介護の提供体制の整備が急務だということは当委員会ではもう重ねて何度も議論をされてきていることでございます。その一方で、少子化対策ということも大事で、仕事と子育ての両立をしやすい環境の整備とか、こういう取組については本年度の予算においてもしっかり取組をさせていただくということで進めておりますし、保育所の整備、保育所入所待機児童解消では、二〇一七年までに約四十万人分の保育の受皿を目指すという待機児童解消加速化プランを推進をしていくと。  こういう社会を、安心して暮らすことができる社会を構築するという意味では、医療や福祉サービスの基盤整備は非常に大切な時期を我が国は迎えていると。福祉・医療分野で、その意味では政策金融を担う福祉医療機構の役割というのは重要になってきているというふうに思います。  福祉医療機構では、民間の社会福祉施設や医療施設に対する融資事業、また経営診断、経営指導、それから保健福祉情報サービス等様々な事業を一体的に行っておりますが、これらの様々な事業を機構で一体的に行う意義、そしてあわせて、これからこの福祉医療機構が取り組むべき課題ということをどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
  182. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、長沢先生から御指摘ございましたように、この福祉医療機構においても、国民に対して、やはりもう少しトータルな理解をしていただくということは大変大事かなというふうに思うところでございまして、この機構については、介護基盤の緊急整備、あるいは待機児童解消に向けた保育所の整備、そして福祉施設や医療施設の耐震化の整備など、国の施策に即して重点的に取り組むべきものについて政策的な融資を実施することによって、福祉施設や医療施設の基盤整備、そしてまた安定経営を支援をしていくということが取り組むべき課題と思っているわけでございます。  施設整備については、例えば福祉施設や医療施設の耐震化整備の融資について利率などの優遇措置を講じているわけでございますし、また、国の待機児童解消加速化プランを推進するために、保育所についても融資率を引き上げるとともに、平成二十七年度からは小規模保育事業や放課後児童クラブについても融資対象法人の拡充などを行っているわけでございます。  また、福祉医療機構においては、こうした融資と併せて、経営支援あるいは退職手当共済制度や福祉、医療に関する情報の提供全般にわたって様々な事業を実施をしているわけでございまして、こういうことによって、事業者に対して、資金面だけではなくて経営手法などについてワンストップでトータルな支援をしていくという、そういうことをやるということ。  そしてまた、融資業務や退職手当共済制度で得られましたデータを、今度それを経営指導に活用するなど業務間の連携による相乗効果も発揮をすることなどによって、財政基盤の脆弱な事業者に対する効果的かつ切れ目のない支援を包括的に行っているところでございます。  厚労省としては、この福祉医療機構の適正な運営を確保することによって、資金を必要とする社会福祉法人などに対して支援が適切に行われるように注意をしてまいりたいというふうに思いますし、それにまた努めていきたいというふうに思っております。
  183. 長沢広明

    ○長沢広明君 公益性の高い事業、なかなか民間金融で対応してもらえないような公益性の高い事業について融資を行うという、そういう大事な事業でもあり、その一方で、財務の健全性とか適正な業務運営を確保ということも両方しっかり図っていかなければいけないということを考えた今回の改正ということだというふうに思います。  もう一つ、先ほど津田先生からも御指摘をいただきました、承継債権回収の、いわゆる住宅ローンですね、回収の国庫納付について、過去に年金保険料を納めた方に対して住宅ローンとして貸付けをし、それを福祉医療機構で回収して、年に一度国庫に納付してきたと。今回の改正内容は、回収した元本について福祉医療機構からの国庫納付の回数を年一回から年複数回にするということが柱になっております。  これは、津田先生が挙げてくださいましたとおり、我が党の竹谷とし子議員が二〇一二年の予算委員会と財政金融委員会で御指摘をしました。その指摘内容はこういうことでした。  いわゆる政府内に滞留する余剰資金を活用すべきであるというのが大きな考え方で、その中の一つに福祉医療機構の承継債権管理回収勘定というのがあると。その当時、残高二兆円を切ったと。回収したものは年金特会に戻すと、こういうことになっているけれども、これ戻すのが年一回、七月に国庫に納付することになっていると。つまり、一年間は短期で回していると。これが、例えば現金、預金、有価証券合わせると四千億円弱あったと。こういうものが短期で回されている。その間、年間の金利というものが数億円になると。したがって、年一回じゃなくて早く年金特会に返せば、その分、年金特会の方で、年金の方で長期で運用にその分回せると。そうすると、金利だけで数億円、年金財政の改善あるいは年金財政にプラスに働くと。だから、一年とやっておく理由がないはずだと。何回かに、複数にした方がいいんじゃないかと。毎月やってもいいんだぐらいのことを竹谷議員が言わせていただいた経緯が過去にございます。  今回、年一回から年複数回にしたということとするというこの改正ですが、この改正によってどういう効果を期待しているか、伺いたいと思います。
  184. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 今まさしく御指摘いただいたように、年金財政の改善に寄与するものだと、私たちはその効果を見込んでいるところでございます。  具体的に、過去の元本の国庫納付の回数を仮に年四回という形で試算をさせていただきましたところ、結果といたしまして、効果額というのはおおよそ十億円程度という形で出ております。
  185. 長沢広明

    ○長沢広明君 そういう面でも、今回の改正、評価をしたいというふうに思います。  今回、ちょっと時間がないので、これ最後の質問にします。  福祉医療機構、先ほど申し上げたとおり、公益性の高い事業に融資を行うと。ただ、それについて財務の健全性とか適正な業務運営を確保することは大事だということで、今回、金融機関のリスク管理に専門性を有する金融庁検査を導入するということでございます。  それで、この金融庁検査を導入することで、どういう内容の検査が行われてどういう効果が期待できるのかということと、あわせて、金融庁検査を導入することで社会福祉施設や医療機関に対する融資の方針について変化があるのか、変更される予定があるのか、それについて伺いたいと思います。
  186. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。  今般の金融庁検査でございますけれども、これ、対象となります独立行政法人のリスク管理、具体的には債務者の方々の返済能力の評価、あるいは債務者の経営悪化を防止するための支援、こうしたことについての福祉医療機構における体制の整備状況、これを検証するものだというふうに承知をしております。こうした検証を通じまして適正なリスク管理が確保されますので、福祉医療機構の経営基盤の強化が図られまして、結果的に福祉施設あるいは医療機関に対して継続的に安定した融資が可能になるだろうというふうに効果を考えてございます。  それから、この金融庁検査でございますけれども、今申し上げましたように、リスク管理に関する体制の整備状況についての検証でございますので、個々の貸付けについての判断の是非にまで立ち入ることはないというふうに承知をいたしております。  それから、検査の結果を受けまして、貸付けの審査あるいは債権管理などをどのように行っていくか。これにつきましては、福祉・医療政策の推進を担います厚生労働省政策的に判断をしていくものであるというふうに承知をいたしております。  したがいまして、厚生労働省といたしましては、金融庁検査を導入した暁におきましても、福祉・医療分野に必要な政策融資が引き続き的確に実施されるようにしてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  187. 長沢広明

    ○長沢広明君 基本的に変化はないということでございますので、特にこの四月一日からは子ども・子育て支援新制度もスタートをし、小規模保育とか事業所内保育とか様々な保育のパターンも増え、学童保育クラブも全国で三十万人目標で増やしていくとか、子育て支援も拡大をしなきゃならないという非常に大事な局面でありますので、そういうことについては非常に大事な役割を担う融資でございます。金融庁検査が入るということで萎縮したりすることのないように、政策的に必要なものをしっかり進めていく、そういう独法としての役割を果たすよう後押しをすべきであるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  188. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  法案に入る前に聞きたいことがあります。  労働者派遣法が改正されずに平成二十七年十月一日を迎えた場合の問題、いわゆる十・一問題という文書があります。大臣、これは厚労省が作ったものでしょうか。
  189. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 厚労省が作ったものでございます。
  190. 小池晃

    ○小池晃君 これ、重大だと思うんですね。  この文書には、違法派遣があった場合のみなし雇用規定が十月に施行される前に法律を変えようという意図がもうあからさまに書かれています。  経済界等の懸念ということがまず冒頭にあって、現行のまま労働契約申込みみなし制度施行されることを避けたいという懸念に応えるという形で、例えば十月一日に施行されなければ訴訟が乱発するおそれがあるとか、派遣事業者に大打撃になるなどと書かれているんですね、これ。違法派遣どうなくすかという話、全く出てきませんよ、この文書の中に。  違法をなくすために法律を変えようというのでは、これは労働行政が違法派遣の合法化に手を貸しているということになるじゃないですか。これ、派遣業界の支援団体じゃないですか。大臣、こんなことが許されるんですか。
  191. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、これは事務方が作ったものでございまして、作成当時は私は承知をしておりませんでしたけれども、これはもう衆議院の方では委員会などでも配られておりましたものでございます。  仕組みが分からない方がおられるかも分かりませんけれども、この十月一日に、この労働者派遣法については、期間制限違反を含む一定の違反派遣を受け入れた派遣先について、派遣で働く方に直接雇用の契約を申し込んだものとみなす、いわゆる労働契約申込みみなし制度施行が予定をされているわけでございまして、一方で、現行の期間制限につきましては、いわゆる専門二十六業務に該当するか否かが分かりにくく、派遣先が意図せずに違法派遣を受け入れてみなし制度が適用されてしまうリスクを回避するために、派遣先が派遣で働く方の受入れを十月一日より前に停止をし、派遣で働く方の雇い止めが生じる可能性があると考えているところでございまして、専門二十六業務に該当するかどうかによって派遣期間の取扱いが大きく変わる期間制限については、これは民主党政権下の平成二十四年の改正法案の成立時に与野党間で共有をされておりまして、自公民の三党から分かりやすい制度となるよう検討すべしという旨の附帯決議がなされておるところでございまして、今回の改正法案は、この附帯決議を踏まえて、雇用の現場の混乱を避けるために、全ての業務についてより分かりやすい期間制限を課すものであって、法違反を合法化するというような御指摘は当たらないものだと考えているところでございます。
  192. 小池晃

    ○小池晃君 いや、この文書の中には、違法派遣どうなくすのか、労働行政の役割って全く書かれていないんですよ。こうなってしまうから法律をそれまでに変えるというだけのことしか書いていない。  しかも、これ、私はもらっていませんよ。一部の議員にしか配られていないと聞いていますけど、与党にしか配らなかったということなんですか、これは。
  193. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) このペーパーは、事務方から聞いている限りでは、法案施行日のいわゆる補足資料として作成をしたものであって、施行日の詳細な説明が必要となった際に必要に応じて使用してきているものだというふうに聞いております。
  194. 小池晃

    ○小池晃君 いや、必要に応じてといったって、私たち、これ全くもらっていませんよ。何度も説明求めて、レクも何度もやっていますけど、与党にしか配っていないんでしょう。
  195. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今申し上げたように、説明に回ったときに、必要に応じて、問いかけなどの必要に応じて使用してきたものだというふうに私は聞いているわけでございます。
  196. 小池晃

    ○小池晃君 これはおかしいですね、やっぱり。事務方に聞いたら、問題意識を持った議員には説明のときに出したと。問題意識持っていますよ、私だって。でも、一切そういう説明受けていないわけですよ。  だから、そういう点でいえば、こういうやり方して派遣法議論してくださいといったって、議論のもう前提が崩れますよ、これは。こんな法案はもう議論できません。こんなやり方許されないと私は思いますが、いかがですか。
  197. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、施行日の説明をする際の補足説明資料として使っているわけで、実際、維新の党の方からは、配付資料として出てきているということは、多分、事務方が説明をしたときに、必要に応じて御説明に使わせてもらったということなんだろうと思うんで、特に与党にしか配らぬとかなんとかいうことではないんではないかと私は思います。
  198. 小池晃

    ○小池晃君 維新の川田議員は見たことないとおっしゃっていますよ。だから、結局与党にしか配っていないじゃないですか。こういうやり方じゃ駄目だと。やっぱり、こんなやり方で議論進めることできませんから、もう派遣法は改めて撤回するしかないということを申し上げておきたいと思います。  ちょっと、いつまでもこれやるわけにいかないんで、法案。  中小企業退職金共済制度の問題ですが、中小企業のための国の退職金制度で、これは外部制度で使用者が退職金規定を設けている場合は、これも賃金になるわけですね。法案では、これは大臣が勤労者退職金共済機構の資産運用委員会を選任すると。同機構の資産運用は、五兆円規模と大きいわけです。機構には、退職金を目減りさせることなく確実に保障することが求められますが、お配りしている資料にあるように、今度の改定によって資産運用委員会が強化されるというんですけど、この資産運用委員会というのは、資産運用の方針を決めるとともに運用状況の監視を行うと。運用方針を決める委員会が、その方針に基づく運用状況を監視すると。一つ委員会で運用と監視、両方できるんですか。公正な運営ができるんでしょうか。
  199. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 今回の資産運用委員会につきましては、むしろ、その方針とそれがうまくいっているかどうか、一体として専門的立場からしっかりと見ていただく、それに伴って機構がしっかりやっていくと、こういう考え方でございますので、相反するものを一緒というよりは、専門性があるものを一緒にやるという考え方に立っているということでございます。
  200. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だって、方針を決めることと監視することは相反するでしょう。それを一つ委員会でやったら、これはもうお手盛りということになるんじゃないかと。甚だ疑問です、この仕組み。  それから、今回の改正によってリスク管理体制強化するというわけですが、それを機に預託金運用は一体どこに向かうのか。先ほどからも議論ありますが、これGPIFのように株式運用比率を高めようとしているんじゃないだろうかという疑問を持つわけです。  労働者の賃金である退職金に大きな損失出すことなど決して許されないと思います。そうした懸念に厚労省はどうお答えになりますか。
  201. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 先ほど長沢先生にもお答えいたしましたけれども、中小企業退職金共済制度、予定利回り、今は一%ということで運用しております。そういう前提の下で現下の状況を考えますと、基本ポートフォリオを直ちに変えるというようなことを考えているということではございません。
  202. 小池晃

    ○小池晃君 大臣に聞きます。  今回の法整備における運用委員会に対するチェック機能、これ極めて不十分ではないだろうかと。先ほども議論ありましたけれども、納付する事業主あるいは受給する労働者の代表が、委員会の人選あるいは運用に対して異議を申し立てるような仕組みが私は必要だったんではないかと思いますが、いかがですか。
  203. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今般の改正で資産運用委員会を設置するということにしておるわけでございますけれども、これは勤労者退職金共済機構からの独立性の高い第三者である金融、経済等の専門家が、その専門知識に基づいての議論や監視を行うということによって資産運用におけるリスク管理体制を強化しようということで、その目的のためにつくるものでございます。  この資産運用委員会の運営を含めて、勤労者退職金共済機構の資産運用については、中小企業退職金共済制度制度の趣旨に基づいて掛金を拠出している事業主や退職金を受給する労働者といった制度利用者のために安全かつ効率的に行う必要があるということから、今後とも機構に対して適切に資産運用を行うように求めてまいりたいというふうに考えております。
  204. 小池晃

    ○小池晃君 先ほどからそうおっしゃるんだけれども、これ結局、勤退共の運用とか委員の人選について異議申立てをできるような仕組みもないわけですよね。金融、経済の専門家という話はあったけれども、労働者代表、使用者代表が意見を反映させる保証はないわけです。  中小企業の退職金は大企業に比べても低水準で、絶対目減りすることなく確実に保障することが必要なわけで、やはりきちっと労使が監視できる仕組みをつくることが私は前提として必要だというふうに思いますし、株式運用に拡大するようなことはあってはならないということを重ねて強調したいというふうに思うんです。  その上で、年金の株式運用の拡大について聞きますが、安倍政権は、先ほどからも議論があるように、株式運用比率を大幅に引き上げまして、結局、二五%プラマイ九%だから最大三四%まで国内株運用を可能にしたわけであります。昨年十二月末の時点で国内株式運用一九・八%までになって二十七兆円に上っていますし、この一—三月にも大分買ったんではないかと言われていますから、更に膨らんでいるだろうと。  やっぱり、先ほどから議論があるように、国民の大切な財産である年金資金を投機にさらしていいんだろうかと。株というのは上がるときもあれば下がるときもあるわけで、これはリスクがあるわけですよ。例えば、三月十三日の衆議院の財務金融委員会で麻生財務大臣は、「株の比率が高まったらその分だけ危なくなるじゃないかというのは正しいですよ。」と。これは普通に考えたらそうなんですよ。それで、運用利回りよりも下回るリスクがあると先ほどからおっしゃるけれども、振れ幅のリスクは大きいでしょう、株の方が。そのことはお認めになりますか。
  205. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 麻生大臣がおっしゃったのは、今のまさに振れ幅というか標準偏差、その単年度で見た幅というのは、振れは、それは確かに株は広いというふうに一般的に言われております。
  206. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だから危険だと言っているわけですよ。  それで、先ほどあったように、中退共はリスク運用しないと言ったでしょう。何でですか。おかしいじゃないですか。中退共の退職金はやっぱりリスクさらしちゃいけないからと。いや、年金は株式比率引き上げる。どう説明するんですか。
  207. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) それは、先ほど私からも申し上げましたけれども、中退共の場合の運用利回りは一・〇ということでありますが、一方で、年金は長期的に回っていくために、回っていくというのは、つまり約束どおりの年金を支払うというためには、名目賃金上昇率プラス一・七というのが必要であるということになっているわけでありますから、そこから見ても明らかに、名目賃金上昇率を大体想定していただければ分かるように、全く求められている利回りが違うわけでありまして、そしてまた経済情勢も変わっているわけですから、それに応じたポートフォリオの組み方というのをやらないと、まさに一番大事な年金を約束どおり払うということにそごを来してしまうのは最もいけないことですから、それをきっちりと守っていくためにも、分散投資を通じて、年金財政にとって必要な利回りを得ていくというために新たなポートフォリオを組んだと、こういうことだというふうに私たちは考えております。
  208. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だから、私が聞いているのは、だって、年金だって大切だけど中小企業の退職金だって大切なわけでしょう。中小企業の退職金は、私いろいろ説明聞いたら、リスクにやっぱりさらしちゃいけないから、だから株式運用はしませんと説明しましたよ。一%だというのと運用利回り目標というのは勝手にそちらが決めただけの話じゃないですか。どっちだって老後の生活にとって必要な年金、中小企業の退職金、やっぱり振れ幅の大きいものにさらしちゃいけないというのは同じじゃないですか。何で年金だけは株式運用を拡大するんですか。
  209. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 株だけにリスクがあるかのようにお話をされる方が多いわけでありますけど、それは全く事実と反しておりまして、これ国債……
  210. 小池晃

    ○小池晃君 だって、振れ幅が大きいと言ったじゃない。
  211. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 振れ幅と、リスクにはいろんなものがあります。多面的かつ長期的な観点で考える必要があるのが年金の運用でございまして、将来の年金の給付を確保するためには年金財政上必要とされる、先ほど来申し上げておりますけれども、積立額を下回るリスクをできるだけ抑制するということが大事なので、将来の、今お話を申し上げたような安定的な年金給付。それから、経済情勢がすっかり変わっているわけでありますから、前提をこのデフレ脱却後の経済、運用環境に対応し、なおかつ今申し上げたような、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保するということを満たすために今回の変更後の基本ポートフォリオを組んでいるわけでありまして、デフレ脱却、適度なインフレ環境への移行、長期的な経済、運用環境の変化、こういったものに見合ってこの分散投資を進めてきたものであって、この結果、おっしゃるように単年度の収益率のぶれ幅というのは大きくなったわけであります。しかし、年金財政上必要な積立金を下回るリスクは今度小さくなったということでありますから、年金にとって一番大事なものについてしっかりと守りながら運用をしていくという新しい方針を組んでいるということでございますので、御理解を賜れればと思います。
  212. 小池晃

    ○小池晃君 振れ幅が大きいというのはリスクが大きいということなんですよ。  それで、何だか本当に年金、運用成績良くなった良くなったと胸張るんだけれども、これ、二枚目の資料を見ていただきたいんですけど、これは二〇〇八年度、GPIFは国内株式で十兆四千億円損失出したわけですね。良くなった良くなったと胸を張られるけれども、結局、今の到達というのは、このグラフにあるように過去の損失分取り戻した程度じゃないですか。  ちょっと確認しますけれども局長、GPIF発足以来の国内株式の累積運用実績、述べてください。
  213. 香取照幸

    政府参考人(香取照幸君) 自主運用開始、平成十三年でございます。平成十三年から平成二十五年度末……
  214. 小池晃

    ○小池晃君 GPIF後でいい。
  215. 香取照幸

    政府参考人(香取照幸君) はい。  国内株式の累積収益額は、GPIFですが、五兆八千八百四十二億円のプラスでございます。
  216. 小池晃

    ○小池晃君 GPIF発足後と言ったじゃないですか。ちゃんと言ってください。
  217. 香取照幸

    政府参考人(香取照幸君) 十八年以降ですと、株式の収益額は二兆三千二百四十八億円のプラスでございます。
  218. 小池晃

    ○小池晃君 一昨年度末でいうとマイナス一兆五千九百五十七億円です。ようやくこの間の損失を取り戻したというのが今の水準だと。  ちなみに、運用に当たって運用受託機関に払った手数料、総額幾らですか。
  219. 香取照幸

    政府参考人(香取照幸君) 二十五年度数字になりますが、GPIFの資産管理機関及び運用受託機関に対する管理運用委託手数料の総額は二百五十二億九千八百四十万円でございます。これは、運用資産額に対する手数料率は〇・〇二%でございまして、これは世界最低水準でございます。
  220. 小池晃

    ○小池晃君 年金資金の株式運用の問題、先ほどリスクのことを大臣とも議論しましたけれども、そもそもやっぱり経済から見てどうなのかと。結局やっぱりバブルをあおる禁じ手なんじゃないかと私は思います、これは。  この間、株価は日本経済の実態とはどんどん懸け離れております。GDP、二期連続マイナスですよね。働く人の給与は、実質賃金が二十二か月連続マイナスですよね。ところが、株価だけは十五年ぶりの高値になっている。マスメディアはこういうふうに報道しています。四月三日の日経、「公的資金、株買い越し最大」、十一日の朝日、「公的マネー、株高下支え」、東京新聞、年金など「「五頭のクジラ」が買い支え」。  大臣、いいか悪いかじゃないですよ、いいか悪いかじゃないですけど、今のこの株高というのは公的資金が買い支えている官製相場だという認識はお持ちですよね。
  221. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 株式市場は株式市場で成り立っているのであって、このGPIF、年金積立金の管理運用というのは厚生年金保険法などに基づいて専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うものとしてやっているものであって、今回の基本ポートフォリオの見直しでも、それから今までずっと運用してきていることについても、株価操作を目的としているわけでもないし、また、今ある相場がGPIFで成り立っているというようなことでも、そういう断定は私はできないというふうに思います。
  222. 小池晃

    ○小池晃君 いや、官製相場だってみんな言っていますよ。常識じゃないですか。だから、それはいいか悪いかは別ですよ。それを目的としてやったんじゃないとおっしゃるかもしれないけど、結果としてGPIFやあるいは日銀、公的な資金が入って今の株高支えている、これは現象としてそのぐらい認めてくれないと。
  223. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生、それは株式市場というのは何なのかということをよくお考えをいただいたら、そういう答えにはなかなかならないと。そういう小手先のことで決まる、単純なほど浅いのが株式市場ではないわけであって、株価というのは何なのかということも極めて本質的な問題で、これは言ってみれば企業の将来価値の現在値みたいなもので、それをどう市場が見るかということで決まることが基本だというふうに思っていますので、官製相場というようなことにはなっていないと私は思っています。
  224. 小池晃

    ○小池晃君 これだけ巨額の公的資金を投入している当事者、責任者がそういう認識持たないでいいんですか。私は、むしろその発言は本当に危険だと思いますよ。そういうやっぱり危険なことをやっているんだという認識なしにこんなことをやっていいんですか。結局、官製相場でバブルというふうにみんな見ているわけだし、これ、もしはじけたらば、大変な被害を受けるのは国民ですよ。そういう認識持って、少なくとも私は絶対こんなことやっちゃいけないと思う。  ただ、それを目的としているわけじゃないと盛んに言い訳するけど、やっぱり自分がやっていることの重大さに認識持たないと。これだけの多額のお金を使いながら、そういうことを否定するというのは、私はそれこそ浅いと思いますよ。
  225. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これはもう基本でありますけれども、これはGPIF法にも書いてあるとおり、年金積立金の運用が市場その他の民間活動に与える影響に留意をしなければならないということが書いてあるわけですから、当然のことながらGPIFもそのことを留意をしながら日々の運用に当たっているはずでございますし、我々としても基本的なスタンスは全くそのとおりであって、絶えず民間に、今申し上げたような、与える影響には留意をしながら運用をするということはもう当然のことでありますから、そのことはよく理解をした上で運用を行っているということでございます。
  226. 小池晃

    ○小池晃君 今のお話は、巨額の資金を入れているということはよく理解しているということですよね。だから、やっぱりそういうことをやって、結局これで自らの政権維持、アベノミクス神話の維持のために、私は、年金資金を使う、国民の財産、これを使う、そして日本経済を危険にさらすというのは本当にやってはいけないことだというふうに思います。今度の法案はリスク運用拡大を目的とした法整備ですから、この点でもこれはもう断じて容認できないというふうに思います。  ちょっと時間がなくなってきちゃったんですけど、この法案労働者健康福祉機構労働安全衛生総合研究所の統合の問題について聞きたいんですが。  ちょっと厚労省、聞きますけど、この統合で独立行政法人としての自主性がより制約されたり、あるいは合理化の名目で職員の過密労働が深刻化したり労働条件の低下につながる、そういうことないですね。
  227. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 引き続き独立行政法人でございますので、独立行政法人として基本的に自主的に理事長の下で運営される、そういうことは変わりませんし、今回のことでいろんなコスト削減等々は図る必要はあるとは思いますが、それを労働過重という形で実現するということを意図しているということもありません。
  228. 小池晃

    ○小池晃君 二〇一二年に全国労災病院労働組合が、労働者健康福祉機構厚労省を不当労働行為で神奈川県の地方労働委員会に訴えました。理由は、健康福祉機構が独立行政法人における役職員の給与の見直しについてという厚生労働省の要請を理由にして、既に給与規程に定められた労災病院職員の一時金を一方的に減額して支給したというものです。これで、地労委の決定出ています。それで、中労委でも争われて、和解になりました。  これ、簡潔に、どういう結論だったか言ってください。
  229. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 神奈川地労委につきましては、法人が団体交渉について十分な交渉期限を設けるとともに、必要な説明を行うなどの誠意を持って対応しなければいけないということ、そして、その旨、不当労働行為であると認定された旨の文書を組合に手交しなければいけないと、こういう判断が出されました。その後、中労委につきましては、おっしゃるように和解でございますが、機構が解決金を支払うということで、その解決金の支払をもって申立てを取り下げると、こういう和解が成立したということでございます。
  230. 小池晃

    ○小池晃君 厚労省の労働基準局が所管独法である労働者健康福祉機構に一時金を引き下げるように要請をした。それで、機構は一方的に一時金の引下げを強行した。機構は、地労委で、そうしなければ機構廃止を厚労省から命じられると主張して正当性を主張した。地労委では、これ認められずに不誠実団交、組合への支配介入ということで、中労委でもこれを基に和解したんです。  大臣厚労省、よりにもよって労働基準所管独法で起こった不当労働行為が労働委員会の場で断罪され、しかも機構側の主張の根拠は労働基準局発出の要請なんですよ。これ、ひどいと思いませんか。こんなことがあっていいんですか。
  231. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 塩崎厚生労働大臣、時間でございますので簡潔にお願いします。
  232. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回の事案は既に中央労働委員会において和解が成立をしておりまして、和解成立前の一方の当事者の主張もあったり、今のような御説明がございますが、これは個別のことでもございますし、また和解が成立をしておりますので、コメントは差し控えたいというふうに思います。
  233. 小池晃

    ○小池晃君 終わります。
  234. 行田邦子

    行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いします。  今日は、独法改革推進法案ということですけれども、私自身の考えとしては、独法が担わずとも民間ができることは極力民間へと、そしてまた、独法の事務事業の見直し、そして業務効率化というのはこれはたゆまぬ努力が必要で、また、独法組織制度見直しということは、これは不断の改革が必要であるというふうに考えております。  そのような考えでありますが、昨年の通常国会での独法通則法につきましては、政府が示している独法改革の基本的な方針、大枠で私は賛成でございますので、法案にも賛成をさせていただきました。そして、一昨年の十二月に閣議決定された独法改革の基本的な方針にのっとりまして制度見直しが行われ、今実行されているということです。ここで、見直しの中の一つ変化として、私は独法主務大臣の監督責任が非常に重くなったというふうに考えています。主務大臣がこれまでどおり目標を設定するだけではなくて、これまで主務大臣が業績評価を直接していなかったものが業績評価もすると。主務大臣の下、責任を持ってPDCAサイクルを回していくということだけではなくて、主務大臣から法人への是正命令や業務改善命令も導入されたということです。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕  厚労大臣にまず伺いたいと思います。主務大臣のこうした監督責任が重くなったわけですが、御所見を伺いたいと思います。
  235. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 元々、独法というのは平成十三年に導入をされたもので、行政における企画立案部門と実施部門を分離をする、そして企画立案部門の能力を向上させる一方で、実施部門に法人格を与えて、主務大臣による目標管理の下で一定の運営の裁量を与えることによって政策実施機能を向上させることを目的として導入をされたと、これが原点だというふうに思います。  今御指摘いただいた、この四月一日から施行になっております通則法は、独法自主性及び自律性を発揮した業務運営と適切な組織規律によって、自らのですね、政策実施機能を最大限発揮できるようにすることを目的としたわけでありますので、この通則法で、委員御指摘のとおり、法人目標指示する主務大臣を新たに評価主体に位置付けるということで、目標評価一貫性実効性を高めて政策のPDCAサイクルを強化すると。それから、主務大臣による是正命令、業務改善命令を指導するとともに、監事の権限を明確化することによって法人のガバナンスを強化するということとなったわけでございます。  今後、主務大臣として権限を適切に行使をする中で、独法がその政策実施機能を最大限発揮するように努めていかなければならないと思っておりますし、さっきも申し上げたように、元々、独法を導入する原点は、元々一つだったものを企画立案と実施と分けて、それを一体的にきちっとした実施を確保していくということが大事なので、先生御指摘のとおり、今回のことについては、私は大臣が責任を持つということは筋の通ったことだというふうに思っております。
  236. 行田邦子

    行田邦子君 現在九十八、法改正後は八十七となる独法のうち、厚労省所管は今十八、そして今度十七になる予定ですけれども、と多いわけです。そしてまた、総予算でいうと、独法全体は五十六・二兆円ということですが、そのうち十七・七兆円、三割強が厚労省所管独法法人が占めるということですので、大臣の責任非常に重いと思いますので、しっかりと統廃合といったことも含めて厳しいチェックをしていただきたいと思っております。  そして、もう一点伺いたいと思います。政府参考人に伺います。  運営費交付金についてなんですけれども、運営費交付金について様々な議論があって、またこれを削減していくという議論もありますが、私が今日伺いたいのは、この運営費交付金のそもそもの制度の問題点なんですけれども独法は自己収入を増やしなさい、また経費削減をしなさいと常日頃から言われています。それを努力してやると、結局は運営費交付金が減らされてしまうという矛盾した制度になってしまっているという非常に悩ましい問題ではあるんですが、インセンティブは働かないということが言われています。  そこで、弾力的な運用へと見直しがなされたわけでありますけれども平成二十七年度の予算編成において、インセンティブが働く改善がどのように厚労省所管独法で見られたのでしょうか。
  237. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えをいたします。  平成二十五年に閣議決定をされました独立行政法人改革等に関する基本的な方針では、「法人の主体的な経営努力を促進するインセンティブが機能するよう運用を改善する。」とされ、例えば「法人の増収意欲を増加させるため、自己収入の増加が見込まれる場合には、運営費交付金の要求時に、自己収入の増加見込額を充てて行う新規業務の経費を見込んで要求できるものとし、これにより、当該経費に充てる額を運営費交付金の要求額の算定に当たり減額しないこととする。」等とされているところでございます。  平成二十七年度における各独立行政法人の運営費交付金の予算編成におきましては、例えば、各法人は、出版物の販売促進等による自己収入の増加、一般競争入札の促進等による支出の節減化努力等に努める一方で、ほぼ前年度並みの運営費交付金の額を確保をしております。  引き続き、これら法人の主体的な経営努力を踏まえ、適切に算定をしてまいりたいというふうに考えております。
  238. 行田邦子

    行田邦子君 私は、全体的な議論としては運営費交付金は減った方がいいとは思いますけれども、一方で、各独法のモチベーション、自己収入を増やすとか経費削減をするというモチベーションを損なわないような運用をお願いしたいと思っております。  そして、ここから先は勤労者退職金共済機構の中小企業退職金共済制度について伺いたいと思います。午前中から何度か議論がなされていますが、多少重なることを御了承いただきたいと思います。  この中小企業退職金共済制度、中退共なんですが、これは独自では退職金制度を設けることが困難な中小企業が相互共済という形で掛金を出し合って、そして、公的な退職金制度ということであります。私は、これは非常に優れた制度だというふうに思っておりますけれども、ところが数字を見ますと、一般の中退共の加入率が平成二十四年度で一〇・三%、これは人数ベースですけれども、労働者ベースですけれども、と非常に低くなってしまっているのが残念だと思っております。  そして、政務官に伺いたいと思います。  平成二十四年度の調査では、さらに中退共の加入率を主な産業別に見ると、サービス業が七・八%と非常に低くなってしまっています。サービス業というのは中小企業の常用雇用者の三割以上、そしてまた一千万人を超える方々がサービス業に従事をしているわけであります。  雇用者それから企業数で見ても、多くの割合を占めるのがサービス業でありますけれども制度の安定運用を考えると加入者を増やすことが当然重要でありますが、サービス業の事業主に対して制度のPRをもっと積極的に行うべきではないでしょうか。
  239. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 御指摘のとおり、中小企業の事業主が掛金を拠出して、その企業で働く方に退職金を支給するという仕組みでございますので、きちっと加入促進を図っていくということが課題かと考えております。特に、サービス業あるいは商業、こういった分野の方々に対しては御指摘いただいたような加入率の低い状況となっておりますので、ここが大きな課題であると考えております。  勤労者退職金共済機構におきましては、これまでも商業あるいはサービス業などの制度の加入が進んでいないこうした分野の業種に対して重点的な加入勧奨を行っておりまして、例えば平成二十五年度ですが、このときにはフランチャイズ企業や商店街に加入している企業を対象といたしまして、業界団体への働きかけ、個別企業、団体への訪問、あるいは業界誌への記事の掲載を行ったところでございます。  今後とも、サービス業の事業主の方に対しまして、中小企業退職金共済制度、中退共制度の利用を積極的にPRしてまいりたいと考えております。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
  240. 行田邦子

    行田邦子君 そして、先ほどからも質問がありましたけれども、私からも質問させていただきます。  この機構の中に資産運用業務のリスク管理体制を強化するための資産運用委員会が新たに設置することとなっています。今までは、助言をするALM委員会と、それから評価をする資産運用評価委員会と分かれていたわけですけれども、これが一元化されると。そして、五人以内とされている委員厚生労働大臣が任命するとなっています。  そこで、任命権者である大臣に伺いたいと思います。  私は、これはリスク管理の体制強化ということであれば、これは高度な知識や経験を持つ金融や経済の専門家が選任されること、これはもちろん重要だとは思っていますけれども、一方で、この中退共というのは掛金は全て事業主が拠出をしているわけであります。この事業主、そしてまた労働者、加入者の意見が十分に反映される人選をすべきではないかと考えますが、大臣はいかがでしょうか。
  241. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これも何度かお話を申し上げましたけれども、この資産運用委員会委員の人選というのは今後検討することになっておりまして、中小企業の働く方に退職金を確実にお支払いをするということが使命でありますから、この中小企業退職金共済制度そのものの趣旨、目的を踏まえて、なおかつ経済、金融等の専門知識に基づいて適切に議論の上でアドバイスをちゃんといただける、そしてこの運用に当たっていただけるような、そういう方に委員として任命をすることが求められるというふうに考えております。  また、資金運用委員会の運営を含めて、機構の資産運用については、掛金を拠出している事業主や、それから退職金を受給をされることになる働く方々のために安全かつ効率的に行うことが求められておりますので、それにふさわしい方になっていただくということが大事かなというふうに思っております。
  242. 行田邦子

    行田邦子君 リスク管理体制の強化のはずがリスクが高まってしまうということでは制度の趣旨に反しますので、是非、掛金を拠出する事業主、そしてまた加入者の意見が反映できるような人選をお願いしたいというふうに思っております。  次の質問ですが、政府参考人に伺います。  退職金未請求者が数字を見ますと案外と多いです。二年経過後で一・五九%、五年経過して一・五%ということであります。  そこで、この度のこの改正法案には住基ネットの住所情報を活用して退職金の請求勧奨を強化することになっているわけでありますけれども、そこで伺いたいと思うんですけれども、現在、退職後の請求勧奨通知の郵送というのはどのぐらい返送されるんでしょうか、返送率を伺いたいと思います。そして、住基ネット活用によりどの程度これが改善される見込みなのか。そしてあわせて、この住基ネットの住所情報の活用というのは、建設業退職金共済制度、建退共など特定業種退職金共済についても適用されるのか、お伺いします。
  243. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 平成二十六年度数字でありますが、退職金の請求勧奨を行った対象者が二万三千四百七十五人、このうち住所不明で返送されてきた方が千二百八十八人、比率としましては五・五%でございました。  住基ネットの活用によりまして、基本的にはこの五・五%に当たる方々の住所が確認できるようになるだろうというふうに見込んでおりますので、そこでしっかりと対応していきたいというふうに考えております。  また、これは中退共だけではなくて、この機構として住基ネットを活用できるという制度でありますので、当然のことながら建退共でも活用が可能ということでありますので、そちらの方についてもしっかりと取り組むようにしていきたいというふうに考えております。
  244. 行田邦子

    行田邦子君 住基ネットの住所情報の活用というのは、そもそも事務の効率化ということで決められたわけでありますが、それだけではなく、是非加入労働者の利益確保という視点でもしっかりと活用していただきたいと思います。  また、この度のこの中退共制度の改正の議論の中で、制度間のポータビリティーの拡充ということが盛り込まれております。  そこで、私が伺いたいのは、建退共についてなんですけれども政府参考人に伺いたいと思います。  特に、建設業の労働現場の特殊性に配慮するべきだというふうに思っております。例えば、一人親方は、一人でも従業員を雇用するとこれは事業主になってしまいますので、建退共を継続できないので、建退共を脱退して、そして同様の退職金共済である小規模企業共済に加入をし直さなければいけなくなります。今度また一人親方に戻ったらば、小規模企業共済を脱退して建退共に加入し直さなければならなくなります。これでは制度を利用しづらいという声がありますが、いかがでしょうか。
  245. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 中小企業退職金共済制度、そして建設業を含めてでございますが、基本的には労働者の方のためということでありますので、建設業の一人親方の方につきまして、類似の状況があるということで、御自分一人の場合には加入ができるという形になっていますが、労働者の方を雇用してということになりますと、なかなか労働者という扱いは難しいんではないかというふうに考えています。やっぱり、制度の趣旨からすると厳しい面があるというふうに考えております。  ただ一方では、一時的にどなたかを手伝いに雇うというような場合もありますので、そういった場合については、実態に合わせて一時的に、その期間中の積立てはできないものの、脱退は求めないと、そういうできるだけ柔軟な運用は行っているということでございます。
  246. 行田邦子

    行田邦子君 一時的に雇っている、雇主になるということであれば、これは直ちに脱退しなくてもいいという柔軟な運用をしているという答弁でありましたけれども、どうも現場ではそのことが周知徹底されていないようでありますので、是非、関係団体等を通じて周知徹底していただきたいと思っております。  そしてさらに、質問を続けますけれども、建設現場や景気動向の変化などによって一人親方から事業主へ、また一人親方へと立場が変わる、これが建設業界の特殊性、実態だと思っていますけれども、そこで、現場労働者としての一定の労働性が認められる零細事業主も建退共に加入できるように改善できないでしょうか。
  247. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 今し方、局長からも説明させていただいたところですが、建退共において建設業界の実態に合わせた運用を実施していただいているところでございまして、建退共は中小企業の従業員の福祉の増進のための制度という趣旨でございますので、従業員を雇用する中小零細企業の事業主まで対象を拡大するということは困難であると考えております。
  248. 行田邦子

    行田邦子君 労政審の分科会の議論の中でも、労働市場の流動性は被用者間だけの問題ではない、自営業者と被用者の移動もあると、このような意見が出されています。これは、特に私は建設業界においては言えると思いますので、なかなか難しい問題とは思いますけれども、今後の検討として、ポータビリティーの拡充という視点で検討お願いしたいというふうに思っております。  そこで、次の質問なんですけれども、これも高階政務官に伺いたいと思います。  建退共の加入なんですが、今労働者ベースで三六%ということでありますけれども、これを更に増やしていくためには建設業界内で制度の認知を得る必要があると考えています。特に、これは労働者に対する周知だけではなくて、証紙を購入する元請業者、また証紙を適切に配付する義務のある一次下請業者などに対して制度の周知を徹底させて確実に購入した証紙を配付させることが必要だと思っております。元請、一次下請に当たる大規模・中規模事業者への認知、理解促進についてどのような策を講じていますでしょうか。
  249. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 理解の促進とともに、下請業者や一次下請業者から確実に購入したその証紙を配付していただく。このための取組といたしましては、公共工事を発注する行政機関に対しまして制度の適切な運用方法を周知するリーフレットを送付させていただいておりまして、また、都道府県や市町村が開催する建設会社を対象とした会議に機構、勤労者退職金共済機構のことでございますが、この職員出席させていただきまして内容について御説明を申し上げるなど、こういった取組をさせていただいております。この取組を通じまして、公共事業の発注者と連携をしながら周知徹底に努めさせていただきたいと存じます。  また、機構が加入企業に対しまして建設業退職金共済制度の加入証明書を発行する際には、証紙を適切に下請に交付していただく、この指導をしているところでございまして、今後とも、大規模・中規模事業者への制度理解促進に取組を進めてまいりたいと思います。
  250. 行田邦子

    行田邦子君 是非、公共事業などの発注者側に対しての啓蒙、周知徹底だけではなくて、元請、また一次下請、そして、建設業界というのは多層構造になっていますから、二次、三次下請に対しても徹底していただきたいというふうに思っております。  やはり、建設現場で働く労働者の職人の皆さんの話を聞くと、なかなか、元請では証紙は購入しているはずだけれども回って来ないというような声も多く聞かれますので、是非、制度の安定運用という視点でも検討お願いしたいと思っております。  それでは、次の質問なんですけれども、この建退共について更に伺いたいと思うんですけれども、今日はちょっと見本がありませんが、手帳に証紙を貼るという方法です。一日働いたらば一枚の証紙を貼ると、こういう労働者の職人の皆様が手帳を持って貼るという方法なんですけれども、これ、いささかIT化の時代においては古く感じるわけであります。  事務の効率化ということが議論をされているわけでありますし、また加入者の利益確保、確実にその退職金を受け取れるという利益確保のためにも何かほかに方法はないのかなと考えますが、政府参考人、いかがでしょうか。
  251. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 依然としてその手帳に証紙を貼る方式でございます。  かつて約十年ぐらい前には、一度、ICカードが導入できないかという検討を行った事実はございます。ただ、その時点では、対象企業が中小零細企業が多いというようなこと等もある中で、なかなかそのシステム化のコストの負担ができないというようなことで、その時点では困難であるという一応の結論が出たところでございます。  しかしながら、IT技術そのものは日々進展しておりますので、また現在の時点の中でよりコストが安く、かつ、ちゃんとその退職金の支給ができるようなことが何かできないか、それにつきましてはまた技術の進展に応じて検討していきたいというふうに考えております。
  252. 行田邦子

    行田邦子君 元々、この根っこにある問題というのは、建設業界の発注者から元請、一次、二次、三次と、そして現場の職人さんという、この多層構造にあるというふうに私は考えているんですけれども、そこで労務単価が引き上げられてもなかなかそれが末端に反映しないという、まあ構造的な問題もあると思ってはいますけれども、是非、すぐにということではなくても、何か職人の、加入者の皆さんの利益確保のために、もっと効率的な方法がないのかという検討お願いしたいというふうに思っております。  それでは、最後の質問は政務官に伺いたいと思います。  建退共など特定業種退職金共済制度における退職金不支給期間の短縮についてです。この法案について盛り込まれているわけでありますけれども、二十四か月未満から十二か月未満へと短縮されることになっています。このような結論に至るまでにどのような議論検討がなされたのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  253. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 退職金の不支給期間の短縮につきましては、昨年度の労政審における特定業種退職金共済制度、この財政検証、五年に一度少なくとも行われるということになっておりますが、この財政検証の中で検討されてまいっております。また、業界団体の会議におきましても議論が行われたものと承知しております。  昨年十二月の労政審中小企業退職金共済部会におきまして、建設業退職金共済制度の財政検証結果が取りまとめられました。具体的には、長期勤続者に対する給付水準を高めるために予定運用利回りを二・七%から三%に引き上げる、このこととともに、制度の魅力を向上させるため、退職金が支給されない掛金納付期間を十二か月未満へ短縮するという決定がされております。  こうした制度改正によりまして、建設業の退職金共済制度が建設業内における人材確保と定着の促進に資するよう、周知、広報や加入促進に取り組んでまいりたいと思います。
  254. 行田邦子

    行田邦子君 これを短縮されたというのは、非常に加入対象者にとっては有り難いことだというふうに思っております。  今日は、時間を割きまして中退共について質問させていただきましたけれども、私は、中退共というのは国庫からの支出というのが極めて少なく、非常に優れた制度だというふうに思っておりますので、制度の周知徹底、そしてPR、そしてより多くの方に加入していただいて安定した制度運用を行っていただくことをお願いを申し上げて、質問を終わります。
  255. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  今回の法改正の趣旨は、独法組織業務見直しを進めることだと私は理解をいたしております。その中で、島村委員からも先ほど、労働安全衛生総合研究所と労働者保健福祉機構というものを統合いたしまして、この度、労働者健康安全機構というものになる、そのためのメリットも副大臣から答弁をいただいた。でも、私自身はかなりこの部分に関しまして疑問を呈しておりますので、集中して労災病院について質問させていただきたいと思います。  まず大臣、労働災害に対して労災病院、どのような機能を現在担っているのか、教えていただけますでしょうか。
  256. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 労災病院におきましては、脊損あるいはアスベスト関連疾患など労災疾病に対する高度専門的な医療の提供を行っているわけであります。そして、労災疾病に関する臨床研究の推進も行い、また、勤労者の早期復帰支援のモデル的医療の提供など、労災病院の専門的知見、設備を生かした取組を各種行っているところでございます。  また、労災病院の医師は、労災認定に係る専門的な知見に基づく意見書の作成、そしてアスベスト関連疾患の労災認定のための検査の実施など、労災補償制度を医療面から支えるという大事な役割も担っているというふうに理解をしております。
  257. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今、様々な機能をお話しいただいたところでございますけれども、私も、労働者健康福祉機構のホームページに出ておりますその役割というものを確認をさせていただきました。それには二点ございます。  まず一点目。予防から治療、リハビリテーション、職場復帰に至る一貫した高度専門的医療の提供ということがございました。具体的にどういうことを示すのか、また貢献できているということがしっかりと評価なされているのか、それは労災病院でないとできないことなのかということについて、局長、お知らせいただけますでしょうか。
  258. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 労災病院につきましては、地域の医療機関として機能しているという部分もあるわけでありますが、そういう中で、今大臣からも申し上げました脊髄損傷の方とかアスベストの関係とか職場での労働災害、あるいは職業性疾病に係るような部分につきましては、より専門性の高い高度な医療を提供しているというふうに考えております。  それは、ただ医療を提供するというだけではなくて、そこで蓄積し、あるいは治療している中で蓄積した様々な知見を用いまして、職業性疾病の防止のためのいろんな啓発活動を行っている、あるいはメンタルヘルス等につきましては、産業保健総合支援センター等を通じまして、産業医の皆様方とかあるいは企業へのいろんな相談、指導を行っているというようなことをやっているということであります。  そしてまた、職場復帰という観点でいきますと、いろんなメンタルの関係の方、あるいはがん等の治療の方々につきまして、職場復帰を含めたいろんなプロジェクトもやっている。これは、別に労災病院じゃなきゃできないというよりは、労災病院におきましてモデル的にそういったことをやりまして、ほかでもそういうことをやっていく、その普及のためにも必要な対応をしているんではないかというふうに考えております。
  259. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  二点目。職場における健康確保のための活動の支援というものは具体的にどのようなものなのか、また、それがしっかりと貢献できているという評価というものが行われているのか、それは労災病院でないとできないでしょうか。局長、もう一度教えていただけますでしょうか。
  260. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 職場における健康確保のための活動支援につきましては、特にメーンとして活動しているのは産業保健総合支援センターでございます。これは体制が変わったばかりというところもありますけれども、全国におきまして都道府県ごとにセンターを設置しまして、産業保健スタッフの方々への専門的な研修でありますとか、労働者の健康管理に関します相談の対応を行っているということでございます。また、全国三百五十か所の産業保健総合支援センターの地域窓口、地域産業保健センター、こういったところへのいろんな支援も行っていると。そういうことを通じまして、職場におけます健康確保が行われるような支援を行っているということでございます。
  261. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私も、今回これを議論するに当たりまして、全国の労災病院のホームページも確認をさせていただきました。先ほど山本大臣からもメンタルヘルスが大事だというお話ございましたけれども、横浜労災病院におきましては、労働者心の電話相談業務終了のお知らせというものがございます。もう本当にこれは情けない話で、我々がここで議論をして高尚なものを立てても、結局現場が付いていっていない。どこの病院にも治療就労両立支援センターというものがございますけれども、ほとんどのところをクリックしてみましても、いわゆる生活習慣病予防の保健指導を行っていますと。これではどこでもやれる話なんですよね。  ですから、しっかりとこれを、先ほどのメンタルヘルスの問題では、東京労災病院におきましては就労者メンタルヘルス研究センターと、もう本当に様々な書籍もここから出していただいたり、脊損についてもそうです、アスベストについてもそうです、高い専門性を持っていただいているところはとてもいいと思うんですが、そうでないところが多いので、私は、もう今日しっかりとこの点につきましても議論をさせていただきたいと思っております。  では、政務官にお伺いしたいんですけれども、皆様方にも資料をお配りしております。資料三、これまた後から使用してみたいと思うんですけれども平成十六年から十九年にかけまして三十七病院から三十病院に再編をされました。労災病院の機能を果たすために、現在の三十という病院数、今後も必要なものなのかどうなのか、教えていただけますでしょうか。
  262. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 三十七から三十へ数を減らしてきたということでございますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、労災疾患に対する高度専門的な対応をしっかりしていくということと、労災認定制度、この運用をしていくといったような専門的な側面と、それから、病院の設置に関しましては、産業構造が異なる地域に地元の意見を聞きながら設置をしてきたという経緯もありまして、各地域における様々な症例の集積を行っていくということもまたこの分野の診断、治療に貢献していくという、そういう側面がございます。  したがいまして、今三十という数が本当に適切なのかという御指摘でございますけれども、今後、労災病院グループとして一定の病院数を確保しつつ、業務面あるいは収支面においてしっかりと相互補完しつつ、中身を精査しながら進めていくということになろうかと存じます。  また積極的な御意見お願いできればと思います。
  263. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。ちょっと積極的に今日は攻めていきたいと思いますので、お願い申し上げます。  実は、この労災、昔は労災病院の方に運び込むことが多かったと思うんですけれども、現在は労災保険の指定医療機関というもので無償で治療を受けることができるために、私どもも労災だなと思われたときにはそのような指定医療機関、近くの医療機関に運び込むというのが、もうほとんどの場合、そのようにさせていただいているところでございます。  現在、この指定医療機関、全国で四万千三百七十四ございます。ですから、労災病院じゃなくて、多くの患者様方が軽い症例であればそのようなところでケアされている場合も多いかと思いますけれども、この労災病院、見ていましても、全国津々浦々というわけではなく、大きな穴が空いているということもございます。必要なところだけに病院が配置がされているのか。例えば、産業医が少ない、産業医が多い、いろんな事情があるかと思いますけれども局長、いかがでしょうか。
  264. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 労働災害を被った場合の治療そのものにつきましては、より近くより適切な治療ができるというところを含めて体制を組んでいると。先生から御指摘がありましたように、約四万の指定病院もあるということでございます。これは、適切に迅速に治療するというためにはそういう体制が必要だろうというふうに考えているということでございます。  一方で、労災病院でございますが、これはそれぞれの時期の産業構造とかそういったことを踏まえながら設置してきたという事実もございますし、先ほど政務官からありましたように、そういう状況の中で一部統廃合をしてきたという事実もあります。  したがいまして、これは、全ての労災患者さんの治療をするというよりは、そういう産業構造等の中で、より適切なところにより専門性の高いものを設置するという考え方でできてきているということであります。  したがいまして、個々の労災患者さんの治療をどういうネットワークでやるかということと、それから労災病院の病院としての専門性の高いものをどういうふうに機能させていくかと、その二つは少し分けて考えていく必要があるかなというふうに考えているところでございます。
  265. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私もそのとおりだと思います。ですから、両輪できっちりと歩んでいかなければなりませんが、それが今の労災病院のこの三十という数、この配置でいいのかということは大いに疑問が残るところでございます。  では、資料一を御覧いただきたいと思います。  これは、死傷災害の発生状況の推移ということを示しておりますけれども、本当に、以前、もう昭和四十八年から比べると、格段これは低下していることが分かっております。このように労働災害というものは減ってきている、これは世界的にも日本がかなり安全性が高いということも言われているゆえんなんですけれども、この減少に労災病院というのは貢献しているのかということを分析なさったことはございますか。大臣、いかがでしょうか。
  266. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) さっき、冒頭に御質問があったときに、どういうことをやっているのかということをお話し申し上げましたけれども、やはり労災補償制度への貢献などが多く、労働災害の減少という言ってみれば予防的なところの話というよりは、労働災害の認定とか治療とか、言ってみれば労災が起きてしまってからの事後的な対応というのがやはり重点として今日まで来ているということで、したがって、労働災害の発生の減少に今までの病院でしっかり寄与しているかというと、必ずしも一対一対応ではないかも分からぬと。  ただ、このため、今のようなことで、今般の労働者健康福祉機構労働安全衛生総合研究所の統合によって、労災病院における治療、それから病歴及び職歴に関するデータの収集、そしてまた収集したデータを活用した基礎研究、応用研究、それから研究成果の事業場への提供、職場に提供していくことによって、労働災害の予防とか、あるいは職場復帰を支援をするといった事前的な予防、そしてまた治療、職場復帰支援、こういった総合的な展開ができる体制の構築を今回の統合によって可能として、労働災害の結果として減少に資することができるようなものになるものであって、そのような統合の効果が果たされるようにしていかなければいかぬなというふうに考えておるところでございます。
  267. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  この減少に寄与しているかどうかというのはちょっと分かりにくい説明だったかと思うんですけれども、これ、皆さん見ていただいて分かりますように、製造業、建築業というものが事故が多かった。  でも、日本は、労働安全衛生法によって安全衛生管理体制が大変よく確立をしている、労働者自身の意識が大変高い国であるというふうに言われております。あと、労働制限による危険有害業務の規制というものが他国に比べて大変きついということも言われております。  ですから、直接すぐに減少に結び付かないということもあり、事業仕分でもかなり様々な視点で労災病院について指摘がなされたかと思います。かつ、今回、国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会というものも受け、かなり改善が進んだというふうに私は認識しておりますけれども局長、どのような改善が行われたのか、教えていただけますでしょうか。
  268. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 事業仕分等の中で、労災病院につきましてもいろんな効率化等が求められております。そういう中で、一つは、個々のそれぞれの労災病院につきまして、それぞれごとに総合的な検討を行い必要な医療体制検討をする、それによりまして病床数の見直し等を行うというようなことになっておりますが、こういったことについてはしっかりと対応してきているということでございます。  また、一部の業務及び施設の廃止というようなことも指摘されておりますが、例えば労災リハビリテーション作業所等を、この機構、運用しておりましたが、これは順次廃止という結論になっておりまして、これにつきましては今順次廃止してきておりまして、今年度末には全体廃止されるということになっております。  また、経費削減ということにつきましてもそれぞれ取り組んでおりまして、運営費交付金につきましても二十三億円の削減というようなことを実施しているということでございます。  いずれにしましても、こういういろんな見直しの中で、必要な機能を残しつつ、いろんな効率化を図っているという状況でございます。
  269. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  効率化を図るというよりも、労災病院としてのスペシャリティーを伸ばしていく方向で本来は改革を進めなければならなかったんじゃないかと私は考えます。  そのデータの一つといたしまして、資料二を準備をさせていただきました。これ、なかなか厚労省の方からも皆様方の御協力が得られず、数値がそこを埋められなかったところが、ようやく今朝になって回答いただいたものでございます。  全国の労災病院における入院・外来労災患者の割合を示したものでございます。これを見ていただきまして、不明と書いてあるところがようやく、平成二十一年度四・四、平成二十二年度四・二、平成二十三年四・三、平成二十四、四・一、四・一。ですから、全患者数に占める割合がもう四%しかないという、こういう状況です。  以前、労災病院の入院患者数に占める割合を見たときに、昭和三十二年であれば五二・三%、半数以上が労災の皆様方で占められていたものが、もう既にこれだけ減少してきている。これ、本当に労働者健康安全機構がこの三十という病院を運営していく必要があるのか、労災病院の存在意義というものが今問われていると思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  270. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) なかなか数字としては大きいとは言えない数字ではありますけれども、労災病院の受診者に占めるこの割合が、確かに先ほどの資料一にもありましたが、全体としては低下をしておるわけでありますが、一般の病院との比較でいきますと労災患者の比率はやはり高く、脊損、アスベスト関連、あるいは労災疾病に対する高度な専門的な医療の提供というのは引き続き重要ではないかというふうに思うわけでありまして、こうした専門的な医療を提供している労災病院の果たす役割は大きいはずだというふうに考えるわけであります。  また、労災病院の専門的な医師に関しても、国の労災補償制度の運営におきまして、労災疾病の早期診断、治療とか医学的知見に基づく意見書の作成などで幅広く労災補償行政に貢献をしているわけで、労災補償制度を医療面から支える重要な役割を担っていることは冒頭でも申し上げたとおりでございます。  こういうことで、機能自体に重要性というのは引き続きあるわけであって、この労災医療を推進するための基盤としての労災病院というのは、その存在意義自体は引き続きあるというふうに考えているわけでありますが、今お話もこちらからも申し上げたように、専門的な医療を提供している労災病院の果たす役割というのはやっぱり大きいということであれば、その専門性をどこまでしっかり確立をしていくのかということが大事なので、今回の統合もそういう方向で生かされることが大事ではないかというふうに思うところでございます。
  271. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  でも、先ほど私もお示しさせていただいたように、メンタルケアが大事だといってメンタルケアの窓口を閉めたり、就労支援をやっていくといいながら結局は生活習慣病の予防をやっていたり、これが現実なんですよ。この現実をわきまえながら我々も議論をしていかなければいけないというところで、もう一つ資料三を御覧いただきたいと思います。  私も、いろんなホームページを検索いたしておりましたら、労災病院の病院長の談話というものがございました。労災病院も役割が変化をしてきているよねということです。古典的な労災患者を重要視して診療に当たる時代は終わった、地域密着型の地域医療を担っていくんだというふうな談話が労災病院の病院長から出ていたんですね。  これで、資料三を御覧いただいたら分かるように、地域医療支援病院がもう二十五、地域がん診療連携拠点病院が十一で、それに準じる病院がもう十、高々と、がん拠点病院ですというものでしたり地域医療支援病院ですとうたっているホームページが多いんですね。労災病院ですというのはどこを探したら見付かるんだ、労働災害をうちはやっていますということをもっとうたってほしいんですけど、でも、現実これでないともう生き残っていけないということも一つあろうかと思います。  実際、平成二十五年度、十二月十六日に、総務省のこれは政策評価独立行政法人評価委員会も同じことを示しているかと思います。労災患者比率は四%まで低下して、量的にはその役割が縮小している現状にあり、地域の実情に応じた医療を的確に提供するものではないかということでございます。  労災病院は、既に地域の医療を担うことが主たる目的となっているのではないか。今こそやっぱり方向性というものを見直す必要性があるというふうに考えますけれども、政務官いかがでしょうか。
  272. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 各地域の要請に応じて地域医療も担わなければいけないという実態にあるということを、今先生御指摘いただいたとおりの状況に今、各労災病院の状況は置かれているのかもしれないなというふうなことは感じつつ、その一方で、やはり、例えば呼吸器系、それから整形外科、こういった中では労災疾病を始めとするような勤労者の職業生活を脅かしていく疾病、これへの専門的な対応というのが欠かせない、これは御理解いただけると思います。  そういう観点からいたしますと、例えば、そういう疾病に関する情報の集積、発信であるとか、労災病院ならではのノウハウをもうちょっとPRしていく、こういう側面も重要なんだという御指摘をいただいたものと理解をしております。  労働医療を推進するための基盤としてのこれからの労災病院の役割、大いに期待していただけるよう、改善あるいは不断の見直しをしていけるように、少し労災病院の状況どもお伺いする中で検討させていただきたいというふうに思います。
  273. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  昨年度、我々も医療・介護総合法案議論をさせていただいたところでございます。その中でも、地域医療構想というものを立てていく上で、この労災病院がどういう位置付けになっていくのかということ、大切な問題なんですね。ですから、地域医療に貢献する病院なのであれば、決してその三十という病院を今回統合されます労働者健康安全機構がこれから運営していく必要はなくなっていくわけです。ですから、専門性が高いところは残せばいい。しかし、それを切り分けて、地域医療なら地域医療のための病院だとして一度手放すという判断ももう必要なときなんじゃないかと、私はこれ、今日はいろいろ調べまして思った次第でございます。  先ほども大臣からも、基礎から臨床まで一連の流れで様々な研究を行っていくと言っておりますけれども、結局、臨床の部分もこれ、もう今全くバランスが取れていないんですね。ほとんどの患者様は指定病院の方に行かれてしまって、実際に労災病院に残っていらっしゃる患者様方は、大変専門性が高く、ケアと医療が必要な方だけですよね。  ですから、そういうところは残せばいいけれども、それ以外の部分は地域の皆様方にやっぱり貢献できるような形で再編をしていくべきではないかと私考えておりますけれども大臣、通告はいたしておりませんが、ちょっと今までのこの議論の流れを受けまして、感想でも結構です、今後の労災病院についてということでお一言いただけますでしょうか。
  274. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 働く場所で災害があり得る、労災があり得るのは全国どこでもあるわけでありますから、どこでもやっぱり労災を専門的に受けられるという医療があること自体はとても大事であるわけで、それを本来の業務としてこの労災病院が担わなきゃいけないと。それが、しかし、少し希薄化していないかという御指摘だろうというふうに思いますし、恐らくそれを指摘されるということは、地域医療の中でも組み込まれていること自体はそう悪い話ではないわけであって、それがなくなっちゃったらその地域の医療に、やはり医療としての提供する力がなくなるということで、それはそれであれなんですけれども、問題は、労災に関しての専門性を持ち続けた中で、他の医療機関と違う、差別化するだけの専門性をきちっと持った上でやっていけということではないのかなと私は思いました。  もちろん、組織体として三十要るか要らないか、そういうことはもちろん議論としてはあると思いますが、大事なことはやはりほかの病院ではなかなかできない専門性を持っている病院として専門病院があることで、それは四%しかいない、五%しかいないとしても、その専門性があるということで値打ちがあるので、それを持っていないまま労災だと言ってみても始まらないということはそのとおりだと思うので、先生の今日の貴重な問題提起は正面から受けて考えなきゃいけないなというふうに思います。
  275. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。今後の検討に期待をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  以上で質問を終わらせていただきます。
  276. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、二〇一四年六月、日本再興戦略二〇一四で、GPIFについて、基本ポートフォリオの適切な見直しが書き込まれました。私もそのときのことをよく覚えておりますが、当時、自民党政調会長代理としてまとめに当たった塩崎さんは、どういう意味でこの日本再興戦略の中に基本ポートフォリオの適切な見直しを書き込まれたんでしょうか。
  277. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) おととしの再興戦略でしたね。このときの我々の提案あるいは政府提案は、GPIFのことだけを言っているわけではなくて、押しなべて公的・準公的資金の政府によるあるいは準政府による運用、そしてまたリスク管理体制が十分ではないんじゃないだろうかという問題意識であったというふうに記憶をしております。それは、もちろんGPIFが一つであり、共済もそうでありますし、その他、国立大学の余裕資金の運用の問題についても同様に指摘をしているというふうに思いますが、そういうところでの運用管理それからリスク管理の高度化を図るべしということを提案をしたというふうに記憶をしております。  それを受けて再興戦略ができ、そして再興戦略の中で有識者会議をつくるということが提案をされて、実際その報告書が二十五年の十一月に出ておりますけれども、その有識者会議の名称も公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議ということでございました。
  278. 福島みずほ

    福島みずほ君 年金の財政をどうするかという観点からこういうことが提案されているなら分かるんですが、最大の違和感は、日本再興戦略の中にポートフォリオの見直しが入っているからなんです。結局、これおかしいんじゃないですか。どうですか。
  279. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは、政府が保有をする資産、資金というのは当然これは国民のものでございますから、それを高度化をして、しっかり運用とリスク管理をしてくれと、こういうことでございました。
  280. 福島みずほ

    福島みずほ君 年金財政をどう安定させるか、どうやって保障するかというのは分かるんです。しかし、戦略として再興戦略の中に位置付けられたら、投機だったり手段だったりするじゃないですか。それは間違っているよということなんですよね。そういう観点から年金の貴重な積立金を使ってはならない。そもそもこのボタンの最大の掛け違いは、日本再興戦略の中に位置付けて、この金を株に使ってやれという、これは間違っていますよ。  塩崎大臣厚生労働大臣に就任をされました去年の九月二日、ポートフォリオの見直しをばんと記者会見で冒頭おっしゃって、株が二百円ほど近く上がりました。厚生労働の点で見識を発表すべきであって、ポートフォリオの見直しで株価が上がった、これってどう思われますか。
  281. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ポートフォリオの見直しにつきましては、田村前大臣の時代に、六月だったと思いますが、既に総理からの御指示があって、この見直しをしっかりやるようにということでございましたので、そういうことでその一環として申し上げたということであり、それから、先ほどおっしゃいましたけれども、リスク管理等の高度化と言っているのであって、年金の資金で何か金もうけせいみたいな話は全く当たらない話であって、また、年金は厚生年金法、国民年金法できちっとした法的な枠組みはしっかりとあるわけでありますので、その中で安全かつ効率的な運用をするべしということでありますので、それにのっとってやるというのが厚生労働大臣としてのやるべきこと、その中で、総理の指示があったから、それについて触れたということでございます。
  282. 福島みずほ

    福島みずほ君 年金財政を、どうやって国民皆さんの年金を守るかという発想の下に提案されているんだったらいいんです。しかし、全体の国家戦略の中でどうやってやるかという、日本再興戦略、例えば労働法制の規制緩和やいろんなものがオンパレードしてある中にポートフォリオの見直しがあって、それをやるというのが間違いであるというふうに思っております。そもそもこんなやり方でやっていいのかと。  それで、次に、塩崎大臣がかねてより主張されていらしたガバナンスの強化は、今回の法案でどう位置付けられているんでしょうか。
  283. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは、もう今朝ほどから何度か申し上げておるところでございますけれども、GPIFは、独立行政法人改革等に関する基本的な方針において、本年四月から中期目標管理型の独立行政法人に位置付けられて、今回の法改正では、閣議決定がございましたが、これに基づいて、新しい中期目標期間の開始とともに、独立行政法人のままでも迅速かつ着実に実施すべき措置を講ずるものとして、理事を追加、そして本拠地を東京にするということを明記したということであります。  他方で、法人形態変更も含めたGPIFのガバナンス体制強化については、日本再興戦略改訂二〇一四を踏まえて、社会保障審議会年金部会において法改正の必要性も含めて御議論をいただいておりまして、そこでの議論の内容を踏まえて検討してまいることになるわけでございまして、今回の法改正においては、先ほど申し上げたとおりのことでございまして、ガバナンス体制の強化については不断の取組というのが必要であって、できることからしっかりと取り組んでいくというのが絶えず必要とされる姿勢ではないかというふうに思います。
  284. 福島みずほ

    福島みずほ君 今この法案出していて、ガバナンスの強化だといいながら、別のところのもうガバナンスの強化について議論している。  大臣は、今回の法案では、大臣の見解ではガバナンスの強化は不十分だと思っていらっしゃるんでしょうか。
  285. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 不断の見直しが必要だということはいつも考えておりますが、去年の十月のポートフォリオの見直しのときには、GPIF自身もでき得る限りのガバナンスの強化策を既に発表していて、一つは内部統制の強化、もう一つはリスク管理体制の強化。それぞれ今まで一度もやったことなかったことをたくさんお決めになって、それを実行に今順々に移していて、例えばガバナンス会議を設置する、投資原則、行動規範を作って、もうこれも実際にできております、コンプライアンスオフィサーを新設をする、あるいはリスク管理体制としても、マクロ経済分析をもっと強化する中で、経済情勢がどういう変化があっても耐えられるだけの運用をしっかりやるために人をそろえるとか、あるいはノウハウも高める、運用資産と年金給付の一体的な分析、専門人材を増やすと、これも当然のことで、これも全て年金の確実な支払につながるようにするということでガバナンスを強化をしているわけであります。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕  したがって、私は、できるところからどんどんやっていくべきであって、そのためには議論が必要で、議論は今、年金部会でも行われているということでございます。
  286. 福島みずほ

    福島みずほ君 普通、政府が出すときは、これで十分でございますと言うのに、そうでなくて、また議論をしていると言うのは非常に変だというふうに思いますが。  運用に失敗して損失が生じた場合、その責任は誰がどのような形で取るんでしょうか。
  287. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 年金積立金の運用というのは長期的な視点から評価するものであって、その責任は年金制度所管している厚生労働省が負うことになり、その長である大臣が最終的には負うということでございまして、また、公的年金制度については、将来の保険料水準を固定した上で、おおむね百年程度の財政均衡期間を通じての年金財政の均衡が保てるように年金額の水準を将来に向けて調整していく仕組みとなっておりますけれども、この仕組みにおいて、一般論としては、人口構造、就業構造等の長期間の動向と同様に、年金積立金の運用実績が将来の年金額の水準に影響を与えることはあり得るわけであって、この場合における運用実績は長期間の動向によって判断されるものであります。今でも、大体年間の年金支給額の十数%はこのGPIFから出てきているものだというふうに私は理解をしております。  年金額というのは、物価又は賃金の変動に応じて改定される仕組みとなっておりますから、単年度の運用実績を理由として年金額が改定するものでもないわけでありますから、しっかりとしたこの運用をやるということがしっかりとした年金の約束どおりの支払につながると、こういうことだと思います。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 損失への対応は、五年ごとに行う財政検証で判断するということでよろしいですね。
  289. 香取照幸

    政府参考人(香取照幸君) 今大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、年金の長期的な財政に影響を与えるのは、もちろん運用もございますが、その時々の経済情勢でありますとか、あるいは被保険者の数、人口等々、様々な経済変動がございます。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕  そういうこともありまして、五年に一度、経済前提あるいは人口等、あるいはその間の運用実績等々も踏まえた見直しを行うということでございますので、その意味では、元々運用は将来の給付を確保するために運用を行っているわけでございますので、そういったもろもろの経済諸情勢の変化あるいは年金制度を支える様々な制度の変化を、全体を五年ごとにそれを反映させて見直しを行うと、基本的にはそういう法律上の構成になってございます。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 五年ごとに財政検証で判断するということですが、厚生労働大臣、これ損失が生じた場合、厚生労働大臣としてどう責任取れるんですか。
  291. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) そもそも年金の運用というのは長期で行うものであって、その長期間の間に安全かつ効率的に運用していくというのが厚生労働大臣にも課せられた使命であるわけでありまして、そのような基本姿勢を貫いていくことが大事であって、最終的には年金の支払を約束どおりしていくということが私の責務であって、責任はそこにあるというふうに考えるわけであります。したがって、安全かつ効率的に運用をされることがなされていることを絶えず確認をしていくというのが私の責任だと思います。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 五年後に塩崎大臣厚生労働大臣で、この損失に責任を取るとなるかもしれませんが、責任取れないでしょう。
  293. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今申し上げているように、安全かつ効率的にやっていくということを旨として日々これを実行していくということであって、それは、責任はそこにあるわけでありますので、そうなるためにどういうことをやるのが必要なのかということを絶えず考えてやっているところでございます。
  294. 福島みずほ

    福島みずほ君 百三十兆円の年金や、それから今度は国家公務員共済、三つの共済などが全部入るわけですが、例えばこれが八十兆円になって年金が本当に目減りするというような事態が起きて、実は責任取れないんですよ。だから私たちは反対をしていると。  ガバナンスとポートフォリオの関係について、理事長とCIOの意見が異なった場合、どうなるんでしょうか。
  295. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 独立行政法人というのは、いわゆる独任制と呼ばれていて、これはその法人の長が法人を代表してその業務を総理するということに法律上もなっておりますので、これは最終的には理事長が責任を、最終決断をするというのが独立行政法人の基本でございます。
  296. 福島みずほ

    福島みずほ君 民間企業でないのにCIOというのも変だなとは思いますが、CIOの水野弘道さんに対する大臣評価はいかがでしょうか。
  297. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) まず第一に、これは厚生労働大臣が任命しているわけではなくて、理事長たる三谷理事長が任命をされたということでございます。  彼は、水野さんは、政府の中にあっても幾つか仕事をされてきている方でもございます。また、民間の資産運用の任にも当たったことがある方だというふうに聞いております。
  298. 福島みずほ

    福島みずほ君 評価はいかがでしょうか。
  299. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) そういう経歴を積んでこられた力量のある方だというふうに聞いております。
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 独法改革効率化、スリム化を基本に行われている中で、GPIFのみが理事長の年俸が六四%引き上げられ、千八百九十四万円から三千百万円になります。また、これCIOもほぼ同じ金額、三千万円と聞いておりますが、いかがでしょうか。
  301. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) このGPIFの役職員の給与につきましては、平成二十五年十二月に閣議決定をされた、まあ閣議決定というのは今回の法律改正のもとになる閣議決定でございますけれども独立行政法人改革等に関する基本的な方針、ここにおいて、高度で専門的な人材確保ができるよう、給与水準の弾力化を検討することとされておりまして、本法人給与体系の改定が求められていたわけであります。  このため、GPIFにおいて、第三者的な観点から市場の報酬水準というのを勘案して改正を行うよう、専門のコンサルティング会社を活用いたしまして、その提言に即して平成二十六年十二月、昨年の十二月に給与体系見直したというふうに承知をしております。  具体的には、金融機関報酬水準についての客観的なデータなどを踏まえた上で設定されたものだと理解をしておりまして、なお、改定された役員給与規程につきましては、独立行政法人通則法の規定に基づいて、厚生労働省独立行政法人評価委員会、ここで御審議をいただいて、平成二十七年一月十三日に評価委員会として意見はないとの回答をいただいているところでございます。
  302. 福島みずほ

    福島みずほ君 三千百万円、要するに六四%上がり、CIOもほぼ同じ金額ということでよろしいですね。
  303. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 理事長は三千百万円、それから理事兼CIOは三千万円となっております。
  304. 福島みずほ

    福島みずほ君 一連の独法改革において、理事長の年俸が六四%上がるという例はありません。極めて異例であって、GPIFが公的使命遂行から外れ、マネーゲームへ参入するという危険性を象徴しているのではないでしょうか。  それで、二〇一四年七月に基本指針が発表されてから今年三月にモデルポートフォリオが出るまで八か月掛かっております。その結果、GPIFのポートフォリオ変更が先行し、三共済、国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済のポートフォリオがGPIFのポートフォリオを追従する形になったのではないですか。
  305. 香取照幸

    政府参考人(香取照幸君) GPIFの基本ポートフォリオの見直しに関しましては、これも今朝ほどから大臣からも御答弁申し上げていますが、現在のデフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行といった経済状況の変化を踏まえて、厚生労働省としては昨年六月に、御案内のように、年金の財政検証を行いました。その財政検証の結果、長期的な年金財政を確保するための運用の在り方ということでポートフォリオの見直しということを決めたわけでございますが、その意味で申し上げますと、基本的には、今度の中期目標の期間がこの四月に始まるわけでございますけれども、そういった経済状況の変化を踏まえて機動的に対応するということで、その始期の前に前倒しをして行ったということでございます。  他方、モデルポートフォリオでございますが、これは被用者年金の一元化が行われまして、それに伴いまして、年金の積立金、それぞれ各共済がお持ちになっている積立金の運用は基本的には同じ考え方、同じルールで考えましょうということで、そのためのモデルポートフォリオを策定するという作業をいたしました。  この一元化法の施行は本年十月一日でございますので、それに対して十月一日からの施行に間に合うように準備を行って進めるということで、管理運用主体が、私どもがお示しをした積立金の基本指針に基づいて議論をしてそのモデルポートフォリオを決めたと。これが本年の三月二十日ということで、その意味では十月一日を頭に置いて三月に策定をしたと、そういう時系列関係でございます。
  306. 福島みずほ

    福島みずほ君 この厚生年金のポートフォリオの変更に伴って、債券、国債などを売り、そして株を買うということをやったわけですが、その際、日銀の緩和で日銀がその国債を買うということがありました。これは、日銀は今も株も買っているし国債も買っているわけですが、これって偶然なんですか、それとも出来レースとして行われたんですか。
  307. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 当然のことながら偶然でございます。
  308. 福島みずほ

    福島みずほ君 すばらしい偶然というか、こういうのあるんでしょうか。ポートフォリオを変更するに当たって、結局、日銀がたくさん国債を買ったわけですね。でも、日銀もたくさん持っている、こんなことでいいんだろうかというふうに思います。  東京証券取引所から発表されている統計により投資主体別の株式の売買状況を見ると、個人は二〇一三年以降売り越し、売却額が購入額よりも多い傾向が続いております。また、外国人は二〇一三年には十五兆千百九十六億円の買い越しであったものの、二〇一四年になると買い越し額を八千五百二十六億円へと縮小させ、二〇一五年一月には八千九百三十二億円の売り越しを記録しております。  じゃ、誰が買っているのか。個人が売り越し、外国人による購入の勢いも弱まっています。株式市場における買手としての存在感を高めているのが信託銀行です。二〇一四年以降に鮮明化している信託銀行の売り越し基調に各種の公的資金に基づく株式の購入が少なからぬ影響を及ぼしていると。結局、GPIFによる株式購入は、これは信託銀行の売買動向に反映をされております。GPIFは株式の売買を自ら行うのではなく、信託銀行の口座を通じて売買の注文を出している。つまり、個人が買っているわけでもない、外国人だって弱くなっている、誰が買っているのか。まさにここなんですよね。  五頭の鯨と言われますが、これの厚生年金、それから三つの共済、それからあと、かんぽとゆうちょが出てくると。結局、全然アメリカの株とも連動しないし、いろんなものとも連動しない、エコノミストからいえば一切説明ができない株の動向である。これは、結局、日銀やいろんなものと、本当にこれ、一つの何か劇をやっているというか、一つの買い支えをやって官製相場をつくっているんじゃないか。  この官製相場については、いずれ底が割れるがどうなるのかという質問に、官房長官は、まあそうだと記者会見で言っているわけで、こういう官製相場をやっている限り、いずれ底が必ず割れる。だって、もう買手が決まっているわけで、個人投資家も外国人も出てこなければ、いずれ底が割れる。そうしたら、こんな年金つぎ込んで失敗してどうなるのか。国民の年金、守るべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
  309. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほども官製相場というお言葉が出ましたが、株価というのは何で決まるのかということを考えてみると、どこの国も年金資産で決まるなんという国はないわけで、経済学の授業でもそういうことは教えてくれないわけであって、それはGPIFといえども、先ほど来お話が出ているように、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、この四つを市場動向も見ながら、そしてまた年金の財政を見ながら運用をして専門家がやっているわけでありまして、何か株価を引き上げるためとかそんなことではなくて、もう専らこれは年金を受け取る被保険者のために考えて運用をお願いをしている。これは寄託をしているわけですから、厚生労働大臣が、ということでやってもらっているので、それは、GPIFがどういう投資をしたりしているのかは我々はつぶさには日々追っかけているわけではございませんで、大きな枠をこうやって基本ポートフォリオとして認可をしているという中で、あとは、その法律にのっとってやってもらうという、コンプライアンス意識をしっかり持ってやってもらっているということでありますので、そもそも、それよりも、株価を上げたいともし政権が思うならば、やっぱりそこの経済をどう強くするかということが一番大事なことであって、これは、為替相場を円安にしよう、円高にしようといって介入をしても、とてもじゃないけども市場には勝てないということはもう明らかですから、それは株価でも同じことであって、そんなことで株価が上行ったり下行ったりするような浅い国ではないということを日本の経済についても自信を持っていた方が私はいいと思いますし、その根っこの企業がどういうふうに、産業をどう強くするかというところをやっているのがアベノミクスだということを御理解を賜ると有り難いと思います。
  310. 福島みずほ

    福島みずほ君 日銀は、今年に入ってから上場投資信託を五千億円近く購入。株価が下がる局面で買うことが多く、下落を和らげることで投資家に安心感を与えているというふうに言われています。  大臣は今、浅い国ではないと言ったけれども、浅い国になっていっているんじゃないですか。大臣おっしゃったとおり、実質経済強くすることが必要ですよね。実質経済強くするのは、経済産業省もそうですが、厚生労働大臣としては、雇用を守り厚生を守るというのが筋じゃないですか。結局これ、見せかけの、見せかけというか、株価の値上げをするためにポートフォリオを変更し、もう本当に株をどんどん買って……
  311. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 福島委員、恐縮です。
  312. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります、はい。  株価を上げることで、国民の年金をつぎ込むことには大反対です。  こんなやり方はやめて、手堅く厚生労働省はやってくれということを申し上げ、質問を終わります。
  313. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  314. 石橋通宏

    石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。  私は、会派を代表し、ただいま議題となりました独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。  問題は多岐にわたりますけれども、以下、特徴的な三つの問題を挙げて、反対の理由といたします。  第一に、本法律案提案している独法改革は、一体何を実現するためにやるのか明確に示されておらず、国民へのメリットが見えません。目的が総経費の削減なのか、組織効率化なのか、機能の強化なのか、本日の質疑を通じても明確な回答は得られず、これでは、今回の改革成果を将来いかなる判断基準や指標をもって検証すればいいのかも分かりません。結局は、独法改革に取り組んでいる姿勢を見せるという政府のアリバイづくりと、政府にとって都合のいい政策目標を達成する手段にすぎないのではないかという懸念を抱かずにはおれません。  第二に、労働安全衛生総合研究所労働者健康福祉機構の統合については、新組織となる労働者健康安全機構の具体的な事業計画も示されておらず、統合の是非を合理的に判断することができません。これまで両組織が担ってきた機能の何が維持強化をされ、何が合理化されるのか。特に、労働災害の防止に係る研究や未払賃金の立替え事業などの重要性に鑑みれば、新機構の具体的な姿や事業の計画が示されないまま統合だけを先行させようとするのは重大な問題であると指摘せざるを得ません。  第三に、GPIFに係る問題です。塩崎厚生労働大臣は、昨年十月、年金積立金を運用する基本ポートフォリオを見直し、国内株式と海外株式の比率をそれぞれ倍増させて、二五%に引き上げることを認可をいたしました。これまでのローリスクの国内債券中心の運用から、ハイリスクの株式や海外金融商品の比重を大幅に高めた運用へとかじを切ったことで、今後、二〇〇八年のリーマン・ショックのような金融経済危機が発生した場合には、国民の貴重な財産である年金積立金が大きく毀損し、年金の受給権が侵害される事態になりかねません。  最大の問題は、国民の貴重な財産である年金積立金を、成長戦略の延長線上で株価対策に投じ、被保険者にきちんとした説明もないままにリスクにさらしていることです。  塩崎厚生労働大臣は、大臣就任以来、GPIFの運用の見直しとガバナンス改革は車の両輪であると事あるごとに発言してきたはずです。では、そのガバナンス改革はどこに行ってしまったんでしょうか。実質的なガバナンス強化が含まれていない本法案には到底賛成することはできません。  最後に、国民の将来の生活の安心を確保するための貴重な年金積立金等を守るためには、GPIFなどにおいて労使の意思が確実に反映できる体制を構築することなど、ガバナンス改革を早期に実施、確保する必要があることを強く訴え、私の反対討論を終わります。  以上です。
  315. 小池晃

    ○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案に反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、本法案が、昨年成立した独立行政法人通則法に基づく厚労省所管法人の整備法だからです。  我が党は、独立行政法人自主性自律性を損ない、公的サービスを後退させ、職員雇用の安定を脅かすものとして通則法に反対しましたが、厚労省における整備法である本法案にも当然反対するものです。  第二に、年金積立金管理運用独立行政法人に積立金運用の専門理事を配置することは、投機的な株式運用を進めることを目的とするものだからです。  年金積立金は、国民が払った保険料が原資です。投機的運用で損失が出れば、そのツケは年金削減や保険料の引上げとなって国民に押し付けられることは避けられません。安倍政権の株高演出のために年金資金を流用することなど、言語道断と言わねばなりません。  第三に、労働安全衛生総合研究所労働者健康福祉機構が、統合を機に、より一層の合理化、効率化を迫られることです。  第三期中期目標では、個別病院単位に財務状況を公表するなど、今回の統合を機に合理化、効率化が強いられており、独立行政法人としての自主性が更に制約され、本来の役割の発揮が困難になってしまいます。また、法人職員の過密労働の増加や労働条件低下につながる懸念が大きく、容認できません。  労働者の健康をめぐる状況は、重大労災事故の高止まり、長時間過密労働による精神疾患を含む健康障害、過労死、過労自殺、アスベスト健康被害や化学物質の暴露によるがんの発生など極めて深刻であり、二つの法人のそれぞれの機能を一層拡充することこそ必要です。  第四に、勤労者退職金共済制度について、リスク管理体制強化といいながら、運用の基本方針の審議も、運用業務の事後評価も、大臣が任命した一つの資産運用委員会が担うことになり、積み立てる側の労使から人選や決定異議を申し立てる仕組みがないことです。  勤労者退職金共済制度は、中小企業のための国の退職金制度であり、リスクの高い投機的な運用がされることがあってはならず、これを回避するための担保がないと言わざるを得ません。  以上、反対の理由を述べ、討論とします。
  316. 福島みずほ

    福島みずほ君 福島みずほです。  私は、社会民主党・護憲連合を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案について、反対の立場から討論をいたします。  本法案に反対する第一の理由は、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFに関して大きな問題があるからです。  昨秋、安倍政権の成長戦略に基づき、GPIFは、厚生年金と国民年金分の株式運用基準を大幅に変更しました。新基準で国内外の株式比率を倍増し、全体で五割に引上げを行う一方、比較的安全とされ、それまで六割を占めていた国内債券を三五%まで下げました。十分な説明国民になされないまま、国民に対して年金受給額削減、保険料の引上げという大きなリスクを背負わされたことは大きな問題です。  塩崎厚生労働大臣は、大臣就任前から、運用基準見直しとともにリスクをコントロールできる組織改革が必要だとおっしゃってきましたが、本法案の内容は、リスクを回避するための組織改革とは言えません。新たに運用の専門理事を配置することは、逆に株式運用を進めるための体制を整えることにほかならないのです。巨額の年金積立金を株式市場に投じ、安定運用の原則を踏み外すことは断じて容認できません。  第二の理由は、労働安全衛生総合研究所労働者健康福祉機構の両法人を統合し、新法人とすることです。  労働者健康福祉機構職員数は一万五千人に対し、労働安全衛生総合研究所は百人程度にすぎません。両法人の統合を機に合理化が迫られ、労働安全衛生総合研究所が行っている事業場における災害の予防、労働者の健康の保持増進、職業性疾病の原因、診断、予防などに関する総合的な調査研究の予算や人員の確保が難しくなれば、労働者の健康、安全を守るという役割が後退しかねません。  長時間過密労働による労働災害、そして心身の健康障害、過労死、過労自殺が増加している現実を見れば、両法人の機能を一層強化し、連携を図るべきであって、安易な統合を行うことは避けるべきです。  以上、私の反対討論を終わります。
  317. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  318. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、津田君から発言を求められておりますので、これを許します。津田弥太郎君。
  319. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私は、ただいま可決されました独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本を元気にする会・無所属会及び無所属クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出します。  案文を朗読します。     独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、独立行政法人労働安全衛生総合研究所及び独立行政法人労働者健康福祉機構の統合に当たっては、管理部門等の組織効率化に努めるとともに、労働者の健康をめぐり諸課題が発生していることから、労働安全衛生総合研究所の労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と労災病院が持つ臨床研究機能との一体化による研究の充実など、統合による相乗効果を最大限発揮できるよう有効な措置を講ずること。なお、労災病院については、事業の適正化や独立行政法人国立病院機構との連携について引き続き取り組むこと。また、労働安全衛生総合研究所の調査研究業務については、両法人の統合により後退することがないよう十分な体制を維持するため必要な措置を講ずること。さらに、労働者健康福祉機構が行っている未払賃金の立替払事業については、労働者とその家族の生活の安定を図るため、引き続き着実に実施すること。  二、独立行政法人勤労者退職金共済機構については、中小企業退職金共済制度が中小企業従業員の老後の生活保障に重要な役割を果たしていることに鑑み、退職金の支払原資となる資産を安全かつ効率的に運用することが求められていることから、新たに設置する資産運用委員会委員として、経済・金融等の専門知識を有しつつ労使の考えを代表して議論を行う者を参画させるとともに、同委員会がリスク管理機能を十分に発揮できるよう必要な措置を講ずること。また、中小企業退職金共済制度の更なる普及のため、広報活動等の取組の強化を図ること。  三、独立行政法人福祉医療機構については、少子高齢化が進み福祉や医療が果たす役割に対する期待が高まる中、同機構が福祉及び医療の分野における政策金融機関としての役割を担っていることに鑑み、資金を必要とする社会福祉法人等に対する融資が適切に行われるように努めるとともに、金融庁検査の導入に当たっては、金融庁における必要な体制整備等、検査の実効性を確保する措置を講ずること。また、廃止することが閣議決定されている年金担保貸付事業については、必要な代替措置を講じた上で廃止すること。  四、独立行政法人労働政策研究・研修機構については、労働政策についての調査研究及びその成果を活用し厚生労働省職員等に対する研修を実施していることに鑑み、効果的かつ効率的な事業運営や機能強化に努めること。  五、年金積立金管理運用独立行政法人については、年金積立金が将来の年金給付の貴重な財源であることから、安全かつ効率的な運用に万全を期すため、ガバナンス体制の強化に向けた検討を進め、必要な措置を講ずること。また、基本ポートフォリオの変更に当たっては、株式市場及び債券市場に与える影響に配慮すること。  六、独立行政法人勤労者退職金共済機構及び年金積立金管理運用独立行政法人における資産運用については、職員の専門性向上など運用体制の強化に努めるとともに、職員のコンプライアンスの徹底及び運用責任の明確化をより一層進めること。  七、各独立行政法人役員等の人選に際しては、当該分野に関する専門的知識を有することを重視するとともに、選任の過程における公正性及び透明性の確保に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  320. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいま津田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  321. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 多数と認めます。よって、津田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩崎厚生労働大臣
  322. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  323. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  324. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会