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2015-02-25 第189回国会 参議院 憲法審査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十七年二月二十五日(水曜日) 午後一時開会 ─────────────
委員氏名
会 長
柳本
卓治
君 幹 事
愛知
治郎
君 幹 事
高野光二郎
君 幹 事 堂故 茂君 幹 事
豊田
俊郎
君 幹 事
丸山
和也
君 幹 事
金子
洋一
君 幹 事
小西
洋之
君 幹 事
西田
実
仁君
幹 事
仁比
聡平君
阿達
雅志
君
赤池
誠章
君
石井
正弘
君
石田
昌宏
君
宇都
隆史
君
大沼みずほ
君
木村
義雄
君
北村
経夫
君
熊谷
大君
小坂
憲次
君
上月
良祐君
佐藤
正久
君 滝波 宏文君
中曽根弘文
君
中西
祐介
君
山下
雄平
君
有田
芳生
君
石橋
通宏
君
徳永
エリ
君
那谷屋正義
君
野田
国義
君
福山
哲郎
君 藤末
健三
君
前川
清成
君
牧山ひろえ
君
魚住裕一郎
君
佐々木さやか
君
矢倉
克夫
君
儀間
光男
君
清水
貴之
君
吉良よし子
君
田中
茂君
江口
克彦
君
渡辺美知太郎
君
福島みずほ
君 ─────────────
委員
の
異動
一月二十六日
辞任
補欠選任
熊谷
大君
主濱 了君 二月二十四日
辞任
補欠選任
魚住裕一郎
君
河野
義博
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
柳本
卓治
君 幹 事
愛知
治郎
君
高野光二郎
君 堂故 茂君
豊田
俊郎
君
丸山
和也
君
金子
洋一
君
小西
洋之
君
西田
実
仁君
儀間
光男
君
仁比
聡平君 委 員
阿達
雅志
君
赤池
誠章
君
石井
正弘
君
石田
昌宏
君
宇都
隆史
君
大沼みずほ
君
木村
義雄
君
北村
経夫
君
小坂
憲次
君
上月
良祐君
佐藤
正久
君
中曽根弘文
君
中西
祐介
君
山下
雄平
君
有田
芳生
君
石橋
通宏
君
徳永
エリ
君
那谷屋正義
君
野田
国義
君
福山
哲郎
君 藤末
健三
君
前川
清成
君
牧山ひろえ
君
河野
義博
君
佐々木さやか
君
矢倉
克夫
君
清水
貴之
君
吉良よし子
君
田中
茂君
江口
克彦
君
渡辺美知太郎
君
福島みずほ
君 主濱 了君
事務局側
憲法審査会事務
局長
情野
秀樹君 ───────────── 本日の
会議
に付した
案件
○
幹事補欠選任
の件 ○
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する基 本
法制
に関する
調査
(
海外派遣議員
の
報告
) (
ドイツ連邦共和国
、
イタリア共和国
及び
英国
における
憲法事情
、
憲法改正
の
動向
及び
国民投
票制度
の
制度内容
・
運用状況等
について) ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ─────────────
柳本卓治
1
○
会長
(
柳本卓治
君) ただいまから
憲法審査会
を開会いたします。
幹事
の
補欠選任
についてお諮りをいたします。
委員
の
異動
に伴い現在
幹事
が一名欠員となっておりますので、その
補欠選任
を行いたいと存じます。
幹事
の
選任
につきましては、先例により、
会長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
柳本卓治
2
○
会長
(
柳本卓治
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
幹事
に
儀間光男
君を指名いたします。 ─────────────
柳本卓治
3
○
会長
(
柳本卓治
君)
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する
調査
を議題といたします。 先般、本院から、
ドイツ連邦共和国
、
イタリア共和国
及び
英国
における
憲法事情
、
憲法改正
の
動向
及び
国民投票制度
の
制度内容
・
運用状況
に関する
実情調査
並びに
各国
の
政治経済事情等視察
のため、本
審査会委員
を
中心
に
議員団
を構成した
海外派遣
が行われました。 同
議員派遣
につきまして、本
審査会
の
調査
に資するため、
海外派遣議員
から
報告
を聴取いたします。 まず、
団長
を務めさせていただいた私から
便宜概略
を
報告
いたしました後、副
団長
を務めていただいた
金子洋一
君から具体的な
調査内容
について概要を
報告
いたします。 それでは、着席のままで失礼いたします。
平成
二十六年度
重要事項調査議員団
第三班は、
ドイツ連邦共和国
、
イタリア共和国
及び
英国
における
憲法事情
、
憲法改正
の
動向
及び
国民投票制度
の
制度内容
・
運用状況
に関する
実情調査
並びに
各国
の
政治経済事情等視察
のため、去る一月十三日から二十一日までの九日間、
ドイツ連邦共和国
、
イタリア共和国
及び
英国
を訪問いたしました。
派遣議員
は、
金子洋一
君、
小坂憲次
君、
河野義博
君、
吉良よし子
さん及び私、
柳本卓治
の五名であります。 各
訪問国
の
選定理由
は、
ドイツ
につきましては、強い
連邦制
を取り、
憲法裁判所等
、
我が国
と異なる
憲法保障
の
制度
が採用されていることに目を向けるものであります。
イタリア
につきましては、まさに今、
憲法改正
、特に
統治機構改革
のさなかにありまして、その
最新情報
を得ることを
目的
といたしました。
英国
につきましては、
不文憲法
の国ですが、近時、
実質的意味
での
憲法
が
改正
されており、それらについて
調査
することを
目的
としたものであります。
派遣メンバー
で
事前
に
調査項目
を定めましたが、その主な
内容
を申し上げますと、
環境保護規定
の
運用状況
、
緊急事態
に対する
議会統制
、
財政均衡条項
の
実効性確保手段
、
憲法裁判所
による
抽象的違憲審査
の
運用状況
、
議会
の
行政監督機能
、
上院改革
の経過と展望などです。
派遣団
は十三日に
東京
を立ち、
ロンドン経由
で
ドイツ
・
ベルリン
に到着しました。
ドイツ
では、
連邦議会
、
連邦参議院
、
連邦憲法裁判所
を訪問し、その後、十五日夜にローマに入りました。
イタリア
では、
憲法裁判所
、
議会下院
、
内務省
を訪問し、十八日に
最後
の
訪問国
である
英国
・
ロンドン
に到着しました。
英国
では、最高
裁判所
、
議会両院
を訪問したほか、
法曹関係者
、
憲法学者
と
会談
し、二十一日に
東京
に帰着いたしました。
訪問先
では、
事前
に示しておいた
調査項目
について
説明
を聴取し、それに対して
団員
から
疑問点
をただすという形式で
会談
を進めるとともに、あわせて、議事堂や
裁判所
の
法廷
を見学し、
英国上院
では、ちょうど開かれた本
会議
を傍聴する
機会
に恵まれました。
英国上院
におきまして、フランセス・デ=
スーザ議長
にお会いしました。デ=
スーザ議長
は、昨年、
我が国
を訪問され、
参議院
でも
山崎議長
、輿石副
議長
と
会談
されました。今回の懇談の中で、デ=
スーザ議長
は、昨年の訪日の際のお礼を述べられた上で、
日本
と
英国
の
国会議員
の間には
両院議員
から成る
友好議員連盟
が存在しているが、別途、
上院
間の
関係
を強化するための方法を模索したいとの
意向
を示されました。 また、
上院
副
議長
のジョン・スーウェル氏から昼食の招待を受け、懇談する
機会
がありました。 本
議員派遣
は、昨年夏以来の
懸案事項
でありながら、
災害
や
衆議院解散等
の
事情
によりまして、
派遣
時期を
厳寒期
である一月に設定せざるを得ませんでした。パリにおける
テロ事件
直後で一部には
厳戒態勢
もしかれておりましたが、幸いにも気候に恵まれ、無事に
任務
を果たしてまいりました。
団員ごと
に立場を異にしておりましたが、それぞれの
問題意識
で
各国要人
との
会談
に臨み、所期の成果を収めるとともに、認識を共有できる
部分
も多々あったかと存じております。 今回の
調査
におきましては、
会談
に快く応じてくださった
各国
の要職にある方々、クリスマス、年末年始を挟んだ短い
準備期間
であったにもかかわらず、御協力いただきました外務省並びに
在外公館
を始めとする
関係各位
に対し、心より感謝申し上げ、
報告
を終わります。
金子洋一
君。
金子洋一
4
○
金子洋一
君 ただいま
柳本会長
から
概略報告
のありました
議員派遣
について、副団長を務めさせていただいた私から、具体的な
調査内容
を報告させていただきます。 訪問した
ドイツ
、
イタリア
、
英国
の三か国は、
EU加盟
の
ヨーロッパ先進国
という
意味
では共通しておりますが、
憲法
との
関係
ではそれぞれ特色が見られます。そのキーワードとなるのが、
ドイツ
は
連邦国家
であること、
イタリア
はまさに
憲法改正
の渦中にあること、
英国
は
不文憲法
の国であることであります。 それでは、
調査日程
の順に、具体的な
調査内容
を報告いたします。 まず、最初の
訪問国
である
ドイツ連邦共和国
ですが、同国の
憲法
は、「
ドイツ連邦共和国基本法
」と名付けられております。これは、制定時の
西ドイツ
にとって、東西再統一後に新
憲法
を採択することを念頭に置いたことによるものでありましたが、実際には、一九九〇年の東
西ドイツ
の再統一は、東側の州が
西ドイツ
に編入されるという形で実現したため、今も
基本法
の名前のまま通用しております。 最初に
ベルリン
において、
連邦議会
を訪問し、
事務局関係者
から、これまでの
基本法改正
の経緯やその後の
状況
について話を伺いました。 まず、
財政均衡条項
についてですが、当地では「
債務ブレーキ
」という呼び方が用いられていました。
基本法
第百九条及び第百十五条の
財政均衡条項
は二〇〇九年に
改正
されたもので、
均衡財政
を義務付け、
赤字国債
の発行を法的に禁止するものの、一年
当たりGDP
の〇・三五%の
累積債務
の増加は例外的に認めるというものです。
国民
の間には、国の借金が増えると
社会保障制度
を守れなくなるとの
危機感
があり、
国庫債務
の膨張を放置しないことは、下から湧き上がって形成された
政治的コンセンサス
であり、それを基に
基本法改正
が実現したことが紹介されておりました。その後、
ドイツ
の
国家財政
は、二〇一四年に、一九六九年以来初めて黒字に転じたと伺いましたが、これが
ギリシャ危機
以降の
ユーロ安
による
ドイツ
の輸出の好調を背景にしたものであることも否定はされませんでした。 次に、
環境保護規定
に移らせていただきます。
基本法
第二十条aでは、「国は、来るべき世代に対する責任を果たすためにも、
憲法的秩序
の枠内において立法を通じて、また、
法律
及び法の基準に従って
執行権
及び裁判を通じて、
自然的生存基盤
及び動物を保護する。」と規定されています。これは一九九四年に導入されたもので、「動物」の語がここに加わっていることが特徴的であると
説明
されていました。
基本法
の規定として置かれたことによって、国や
立法者
はそれに見合った考慮を払うことが求められるものの、それを、いつ、どのように遂行するかは規定されていないため、その
意味
で
立法者
には裁量があるとされております。 次に、
緊急事態条項
に移ります。
緊急事態
への対処が
基本法
に規定されるに当たっては、非常に大きな反対があったものの、
改正
後には議論は収まり、今問題視されているのは、
連邦軍
が国内のテロに対処することの是非のような、国内での
個別テーマ
となっているとのことでした。
ドイツ基本法
においては、
緊急事態条項
は、
内的緊急事態
と
外的緊急事態
に区別して規定されておりますが、その背景にも
連邦制
があり、例えば、
自然災害
のような
内的事態
では、
州単位
で規定されている
警察権等
の越境が必要となってくることが挙げられておりました。 このような
事態
に対して
議会
がどのように関与するかにつきましては、
外的事態
については立法府の関与が大きいが、
内的緊急事態
には、それを
緊急事態
と認めることや終息させるのに
議会
の関与は必要ないとの
制度
になっており、それに対する批判も見られるとのことでした。
連邦議会
におきましては、
予算委員長
である
ゲジネ・レッチュ女史
、司法・
消費者保護委員長
である
レナーテ・キューナスト女史
とそれぞれ
意見交換
の場を持つことができました。お二人とも女性で、かつ
野党出身
の
議員
でした。
野党議員
が
下院
の
予算委員長
であるということは、
我が国
では考えにくいことですが、
ドイツ
の伝統であるとのお話でした。
レッチュ予算委員長
からは、彼女の所属している
左派党
は
債務ブレーキ
に反対し、むしろ、税収を増やすための
税制改正
を考えるべきであるとの主張が述べられました。
キューナスト司法
・
消費者保護委員長
からは、彼女が緑の党の所属であることも
関係
していると思われますが、
環境保護
を
基本法
に規定することによって、それが国の目標として設定され、環境と相対する
権利主体
に対抗する措置が可能となったことが強調されておりました。
基本法
の
環境保護規定
を基に、
環境保護政策
が国の任務であるとの
正当性
が得られることも強く述べておられました。 続いて私
たち
は、
ドイツ連邦参議院
を訪問しました。
連邦参議院
は、その構成が
各州政府
の代表から成り、その
表決態度
は州からの指示に基づくものであるという点において、通常の
二院制
における第二院ではないとされております。
各州
の
表決態度
は統一して表示しなければ無効であるとのことで、それは
憲法裁判所
の
判決
においても示されており、逆に、
州政府
の指示に反する
表決態度
でも、州の
投票
が統一して行使されれば無効でないとの
説明
を受けました。
各州
が保持している
表決権
の数の基準は
基本法
に規定されていますが、それが
各州
一票とする考えと
人口比例
の考えの中間を取って決められたものであるとの
説明
がありました。
我が国
での
法律
の
規定事項
が
基本法
に規定されていることになります。 また、
各州
の態度が
州政府
の指示によるものであることから、
連邦参議院
での
審議
にどれほどの意義があるのか疑問に感じていたところですが、
州政府
からの指示は必ずしも確定的なものばかりではなく、
連邦参議院
の本会議に先立って開かれる
シェルパ会議
において州の間での探り合いによって調整される
可能性
もあるとのことでした。 日を改め、私
たち
は
ドイツ連邦憲法裁判所
を訪問いたしました。この
裁判所
は、
首都ベルリン
ではなく、
ドイツ南西部
のカールスルーエという都市に所在しています。この町は
コンパクトシティー
のモデルともなっており、電流、電圧の異なる
近郊電車
と市電が相互乗り入れする等の様子をバスの中から見ることができました。
連邦憲法裁判所
では、
ペーター・フーバー裁判官
からお話を伺いました。
我が国
のように
司法裁判所
が事件を処理する上で
違憲審査権
を行使するのとは異なり、
憲法裁判所
は、具体的な
訴訟事件
を離れて抽象的に
法令等
の
違憲審査
を行う権限を与えられています。その
抽象的違憲審査
の
運用状況
と
憲法裁判所判事
の
民主的正統性
に対する意識が私
たち
の主な関心事でした。
法律
に対する
抽象的判断
を求められた場合の
運用
については、事例や資料が足りないときには、それらが出そろうまで
判決
を控えることもあるとのことで、また、
法律
を
違憲
と
判断
した場合でも、直ちに無効とするのではなく、
議会
に対して期限を設けて改善を求めるというような工夫により、
具体性
を備えた妥当な
判断
を追求しているとのことでした。 また、
憲法裁判所
の
裁判官
は、
議会
で選ばれ、政党に所属することがあるものの、
裁判官
となった以上、一
党一派
に偏した
判断
をするようなことはなく、アンケートでは、
国民
の九〇%に上る信頼を得ているとの紹介がありました。
派遣
三日目、私
たち
は
ドイツ
を立って
イタリア共和国
に移動しました。 同国の最近の政治の動きは急で、政権の交代が相次ぎ、現在の首相は民主党のマッテオ・レンツィ氏ですが、その下で、
憲法改正
、特に
統治機構改革
が進められている最中です。また、私
たち
が
イタリア
を訪れる直前に、
ジョルジョ・ナポリターノ大統領
が辞任し、その後任を選定する最中という
状況下
での
調査
となりました。
イタリア
で最初に訪問した
憲法裁判所
では、副長官のジョルジョ・ラッタンツィ氏から話を伺いました。
イタリア憲法裁判所
も
抽象的違憲判断
を行う点で、
ドイツ
と共通しているのですが、その
運用
において、具体的・
付随的違憲審査
とどれほどの差があるのかという点が私
たち
の関心の中心でした。 ラッタンツィ副長官からは、
憲法裁判所
の
違憲判決
は対世効を有し、
法律
に欠けている部分を補う
追加的違憲判決
を下した場合には、それによって
判決内容
が
法律
に置き換わるという強い権限を持っていると伺いました。
我が国
であれば、
立法権
の侵害であるとの批判が予想されるものです。 また、
イタリア
では、緊急の必要があるときに政府が自らの責任で
緊急措置令
を発することができますが、これに対しては
議会
が
承認権
を持ち、
憲法裁判所
は、
法律
に転換した後でなければ
違憲審査
を行えないとのことでした。 続いて私
たち
は、
議会下院
を訪れ、
憲法問題委員会
の副
委員長
である
ロベルタ・アゴスティーニ女史
に話を伺いました。 最近の
イタリア
の
統治機構改革
は動きが速く、
我が国
にも詳細な紹介がなされておらず、
憲法改正
が現在どのように進行しているのかが関心の的でした。
下院
で
審議
中の
憲法改正案
は四十条にも及ぶ大規模なもので、その大きな
改正点
は、①対等な
二院制
の
改革
と
②地方制度改革
であるとのことでした。
議会
に
関係
する主な
改正点
としては、
上院議員
の定数を大幅に削減し、
地方代表色
を強く打ち出すこと、重要な案件については
議会
に対して六十日以内に
審議
を終わらせることを政府が要請できるようにして
法案審議
の
迅速化
を図ることが挙げられていました。 既に
上院
では一度可決されたとのことで、
議員
自らの身分に関して大きな変革をもたらす
改正案
が、比較的短期間で可決されたという点に驚きを覚えたところです。 しかし、
下院
での
審議
は難航しており、三十を超える
修正案
が出される中、それらを一つずつ処理していくことになるとのことでした。
イタリア
では、
憲法改正
には
上下両院
がそれぞれ間を空けて二度議決することが必要で、かつ二回目の議決で三分の二以上の賛成がなければ
国民投票
が必要となるそうですが、アゴスティーニ副
委員長
は、たとえ三分の二を取ったとしても
国民投票
が必要だと考えるとの
個人的所見
を述べておられました。 続いて私
たち
は、
イタリア内務省
を訪れ、
選挙局関係者
から話を伺いました。 最初に、
選挙法
について
憲法裁判所
で
違憲判決
が出ていることが紹介されました。
上下両院
の選挙に関し、①最大得票した政党に五割を超える議席を保証する「多数
派プレミアム制
」と
②拘束名簿式
の
比例代表制
について、いずれも
国民
の意向が議席に反映されないとの理由で
憲法
に反するとの
判断
が下ったものです。 話題の中心は、
国民投票
についてのものでした。
イタリア
では
国民投票
が多用されており、その主な種類は、
憲法改正
のための
国民投票
と
法律廃止
のための
国民投票
です。
説明
の中で、
最低投票率
に話が及びました。近時は、
国民投票
に対する関心が高くなく、話題を呼んだ二〇一一年の
原子力発電
の再開の是非を問う
国民投票
でも、
投票率
は五四%でした。
法律廃止
のための
国民投票
には
最低投票率
が定められており、
最低投票率
を割ることが少なくないと紹介されていました。
最低投票率
を定めると、
ボイコット運動
が必然的に行われるものの、そのような運動の是非がどのように受け止められているかを質問したところ、そもそも、そのような
問題意識
を持っていないような印象を受けました。 最後に
英国
に渡り、
調査
を締めくくりました。 まず、
英国在住
の
藤田明日香弁護士
にお会いし、
英国憲法
の特質について
意見交換
を行いました。日本人として活動されている、ごく少数の
法廷弁護士
の一人で、日本、
英国
いずれの
法制度
にも精通されている方です。
藤田弁護士
は、
マグナカルタ
以降の
英国憲法
の歴史を説き起こし、その二大原則である
議会主義
と法の支配の
説明
をされました。
英国
は
不文憲法
の国ですが、実際には、
法律
の形で
実質的意味
の
憲法
が存在しています。それらは、
議会主権
の下では過半数の賛成で
改正
することができ、その
意味
では
軟性憲法
でもあるのですが、
英国
においては、多くの慣習、判例が存在し、それらとの
関係
を調整する必要があることから、一発
改正
というものは考えにくく、大きな変革は容易ではないと述べておられました。 次に、
憲法学者
で
ロンドン・メトロポリタン大学教授
のピーター・レイランド氏に話を伺いました。
英国
における
憲法
の
成文化
に向けての動向については、従来から
成文憲法化
の主張がなされてきたが、その実現は困難であるとの見方が示されました。
成文化
の
主張内容
が多様で、収束しそうになく、また、
実質的憲法
を形成している慣習には様々なものがあり、それを全て
成文化
することは技術的に困難であるとの理由です。
不文憲法
であることによる
国民
に対する
憲法教育
の困難さについての質問に対しては、
マグナカルタ
以来の
法制度
が生きていることが前提であるものの、成文法がないことによる困難さが深刻であることも否定されませんでした。 また、
貴族院改革
の
方向性
につきまして、
レイランド教授
は、
上院改革
が頓挫しているのは
議会
の中で反対があるだけでなく、これまでに提案された
改革内容
に欠陥が多かったことによるとされ、今後の
方向性
として、労働党の提案のように
上院
に
地域代表色
を出すというものもあるが、仮に
改革
が進んでも、
上院
としては、
下院
の
判断
の再検討、見直しの役割を担うにすぎず、より強い権限を持つこととはならないだろうと予測されていました。 次いで、最高
裁判所
を訪問し、事務局長から最高
裁判所
の位置付け等について話を伺いました。
英国
では、従来から貴族院が最高
裁判所
の機能を担ってきましたが、二〇〇九年、最高
裁判所
が設置され、権力分立の徹底が図られました。 この貴族院からの最高
裁判所
の独立は、司法の権限を政治から分離させるための試みとのことでしたが、実質的には大きな変化はないと言えること、最高
裁判所
判事を選考する選考
委員
会は
議会
から独立しており、政党政治は選考に関わらないこと等が紹介されました。 翌日、私
たち
は
英国
議会
を訪問しました。 今年は、
英国
議会
の起源とされる「諮問
議会
」が召集されてから七百五十年の記念の年であり、私
たち
が
議会
を訪問した一月二十日は、まさにその日に当たり、議事堂のホールでは記念のイベントが催されておりました。
上下両院
においては、最近の
実質的意味
における
憲法
の
改正
や
上院
の委任立法統制、
貴族院改革
についての話を伺いました。 まず、二〇一三年王位継承法については、保守党の
下院
議員
であるジェイコブ・リースモッグ氏と
意見交換
を行いました。同法は、王位継承権を男女平等とすることを目的として制定されたものです。同
議員
は、必要に迫られて同法が成立したが、立案段階を含め、細目にわたる検討がなされたわけではなく、拙速な立法であったとの所感が述べられました。具体的には、①貴族階級のタイトルや財産の継承に触れていないこと、②王位継承と領地継承が分かれているという背景が顧慮されなかったこと、③王家とカトリックの
関係
が未決であることの問題が指摘されました。 王権に関する慣習を明文化することについては、そのような意見がないわけではないが、主流とはなっていないことが示されました。 次に、委任立法統制について、ロバート・イームズ氏ら三名の
上院議員
から話を伺いました。
英国
議会
では、行政監督が主に
上院
の役割とされており、その委任立法の内容についての
議会
によるチェックは
我が国
でも注目を集めております。そこでは、
議会
が制定する
法律
を第一次立法と呼ぶのに対し、委任立法は第二次立法と呼ばれ、その根拠は第一次立法で明確にしておくことが必要とされています。その上で、策定された第二次立法について、
上院
の
委員
会が精査するという仕組みが採用されています。 イームズ
上院議員
らからは、
上院
の第二次立法監視
委員
会は他の
議員
に対して答弁義務を負うこと、第二次立法の審査は政党に
関係
なく
委員
会の任務として行っていること等が述べられ、本院の行政監視
委員
会に通じるものがあると感じたところでもあります。 なお、実際には、
上院
が第二次立法の審査を政府や
下院
に対する対抗手段、すなわち遅延戦術として用いることもあると紹介されたことも付け加えておきます。 続いて、二〇一一年
議会
任期固定法について、労働党のファビアン・ハミルトン
下院
議員
から話を伺いました。 この
法律
は、
下院
の総選挙の期日を五年ごとの五月の第一木曜日に固定するもので、首相の解散権が制限を受けることとなります。 ハミルトン
議員
からは、
議会
任期が固定されることによって選挙時期の予測が可能となったが、選挙運動の期間が長くなることによる疲弊も見られるとの話を伺いました。与党提出の不信任案を可決することで、首相は、言わば自由に解散権を行使できるのではないかと考えましたが、同
議員
は、与党
議員
が自らの同僚に対して不信任案を出すことはあり得ないと答えていました。 同
議員
からは、
貴族院改革
の展望についても話を伺いましたが、
国民
は貴族院の
改革
に関心がなく、下から
改革
の機運が盛り上がることはないこと、一代貴族の選出方法に透明性のないことが紹介され、同
議員
は、選考
委員
会のメンバーも知らないとのことでした。
上院
で政党に属さずに活動するクロスベンチャーと呼ばれる
議員
が重要な役割を果たしているが、
国民
の関心は、そのことにも及んでいないとのことでした。 以上が
派遣
調査
の概要です。今回の
派遣
は日程が少々タイトでしたが、充実した
調査
を行うことができたとの感想は、全ての団員の共有するところだと思います。九日間にわたる活動で所期の成果を収めることができたのも、快く面談に応じていただいた
各国要人
の方々を始め、外務省や
在外公館
等、様々な方の御協力のたまものであると存じます。 ここにお礼を申し上げて、報告を終わります。
柳本卓治
5
○
会長
(
柳本卓治
君) 本
議員派遣
につきましては、議院運営
委員
会に
報告
書を提出することとなっておりますので、御参照いただければと存じます。 次に、他の
派遣議員
の方々からも御発言をいただきたいと存じます。 なお、発言は着席のままで結構でございます。
小坂憲次
君。
小坂憲次
6
○
小坂憲次
君
審査会
長、ありがとうございます。 先ほど
審査会
長並びに
金子
副
団長
の方から御
報告
がありました。 私の方からは、まず
最初
におわびを申し上げなきゃいけないのは、本来、この
派遣
は、昨年の八月、私の
審査会
長としての
責任
においてなすべきでございましたけれども、当時、
災害
が起こりまして、大変大きな広島の
災害
、また現地のイギリスが夏休みということがあって、それだけならよかったのですが、
議会
の修復ということで工事が行われているということもありましたので、そういう
状況
が判明したところで、これを延期させていただきました。しかし、その後、延期をした十二月が今度は
選挙
ということになりまして年を越したわけでございまして、
柳本会長
の下で
派遣
を実現できたことは誠によかったと思っております。 ただいま御
報告
がありましたこと以外に何か付け加えることがあるかなと思って書いてまいりましたけれども、かなりの
部分
、
金子
副
団長
の御
報告
の中にカバーされております。 若干の私の気付いたところを申し上げますと、まず
ドイツ
でございますけれども、
ドイツ
の
基本法
の中には
財政均衡条項
というのがございます。この
財政均衡条項
というのは、
我が国
もそうでありますが、最近いずれの国にも見られる
状況
として、歳出が膨張していくという傾向がある。これに歯止めを掛けるということで、
ドイツ
では景気が良いにもかかわらず新規債務が膨らんでいるといったことを受け止めて、
国民
の声に従ってこのような条項が入ったと。しかし、
憲法
はあらゆる
状況下
においても通用する必要性があるわけでありまして、そういった長期的な視点からすると、景気の調整局面においてはいろいろな
状況
があるわけですから、
財政均衡条項
が本当に厳格に守られるのかという疑問があります。
ドイツ基本法
では、対GDP比で〇・三五%の新規債務は例外的に認められるとされておるわけですが、この〇・三五%は必ずしもリジッドに
運用
されていることではないようでありますけれども、
我が国
のように、財政法に
規定
をされていることによって、毎年、
法律
によって公債発行特例法、特例という形で対処できるという
我が国
のやり方との違いを、これを
考え
ると、
法律
ではなくて、いわゆる
憲法
にこういったことを盛り込むことが財政を動かす上での柔軟性という観点から適しているのかなというふうな疑問を持ったところであります。 また、
ドイツ
の
連邦参議院
でございますけれども、まあ
連邦参議院
が特異な第
二院
というふうに思って見てまいりましたけれども、先ほど御
説明
がありましたように、州
代表
で構成されるということでありながら、必ずしもその人口比に、一つの方程式に従って配分されるということではなくて、かなり大ざっぱにそれが決められているという点からすると、アメリカの州二人というような、そういった州
代表
制というものとはちょっと比較すると何となく中途半端な違和感を持ったところであります。また、こういった細かいことまでも
憲法
で定めてしまうということにも驚いたところでございます。 また、こういった
議員
の
投票
行動というのは
各州
の
指示
に基づいているということでありましたけれども、その
指示
は、それに逆らってその
議員
が
投票
した場合、それは無効かというと、直ちに無効にならないということでありまして、こういったことも詳細に聞いてまいりますと、州の意思決定の過程というものが必ずしも透明性がないということ。で、その
部分
は州の閣議で、
州政府
の閣議で決定されるということがあるんですが、一方、その
議員
は現場におるわけですから、現場の議論を聞いてその自分の
指示
を変えたいと思うことはあるわけでございますから、そういった場合にはそれに従って行動するということもあり得る。しかし、それは必ずしも無効ではないが、いろいろな形で最終的には
州政府
の閣議決定されたものが反映していくということになると、
審議
というものが、先ほど
金子
さんの
報告
にもあったように、ここで議論をするということがどれほどの意義があるのかなという疑問を持ったところであります。 また、
イタリア
についてでありますが、
イタリア
の
二院制
については、いわゆる双子の
二院制
と呼ばれておりますけれども、権能、
議員
の選出方法等もほぼ同じ。で、
政府
は
上院
の信任も必要ということで、
上院
についても解散が認められている、可能であると。その場合に
上下両院
が同時に解散されるということなんだそうですが、
我が国
には
参議院
の緊急
制度
も設けられておりますけれども、このような場合、
緊急事態
になったらどのようにするのかなと、
国民
の意思はどのように反映されるんだろうかというふうに思いましたが。 また同時に、現在行われている
二院制
改革
については、
上院
の
権限
を縮小させて
下院
の優越、そして
上院
にはむしろ地方
代表
的な性格を持たせる、このような現在の取組
状況
を御
説明
いただきましたが、これも政権をより安定させようという試みかなと、こういうふうに感じたところでありますが、これは
我が国
の在り方というものも
関係
してくると思いますので、彼らの決定後の推移というものをしっかり見守ってまいりたい、いろいろ参考にすることはあるのかなと思った次第でございます。
最後
に行ったイギリスでございますけれども、いわゆる
慣習
法の国として
不文憲法
ということでありますけれども、先ほどの御指摘もありましたように、
憲法教育
にはやっぱり書いたものが必要じゃないかなということで、やはり
国民
に
憲法
というものをしっかり理解してもらうための教育という観点からすると、成文
憲法
も必要ではないかという気がいたしましたし、またそういった必要性も感じているようでございました。 また、お会いした方々から聞いたいわゆるヨーロッパ人権条約に従って、いろいろな
法律
がこの人権条約に反するかどうか、これを最高裁の
判決
によって審査されているということを聞きましたが、条約が
法律
の上位にあるような印象を受けて、この条約が成文
憲法
のような役割を果たすのには何となく違和感を覚えたところでございます。 また、更に面白いと思ったのは、こういった在り方、人権条約に照らして最高裁が審査するというようなやり方については、やはり拒否反応というものが保守党の中にもあって、保守党の中からは人権条約から抜けようといった意見も出ているというふうにお聞きしたところでございます。 あとは
貴族院改革
でありますが、私もイギリスに住んでおりまして、そのときにも、まあ貴族院というのは
議席
が、全員が出たらとても議場に入れるような
議席
ではありませんし、また、新興貴族が次々とその貴族院にメンバーになっていく、名誉職のような立場で、
審議
には誰が参加するんだろうかと、そんな思いでおりましたが、今回行ってみると、いろいろと更に疑問が膨らんだりもいたしました。 特に、お会いした
下院
の方々からいろいろ意見を聞いても、
貴族院改革
について余り熱心でないなという印象を受けましたし、また
国民
全体も、私が感じていたようなことと若干ダブりますが、貴族院というものに対しての
関心
が若干薄いのかなという気もいたしました。 私は、お会いした
上院
の方との
お話
の中で、
貴族院改革
は、出てこない人、いわゆる名誉職としてそのタイトルだけあればいいという人
たち
と、それから実際に出て
審議
に参加するという常時国会に出てくるという人とのステータスで二つに分けられたらいかがなものかと。そして、
議席
にちゃんと座れる人数をいわゆる常時出席される
上院
として認定をし、また、名誉職で俺はいいんだと言われているような方については、やはり直ちにその貴族院としてのタイトルを剥奪するというのは問題があるのでしょうから、そこはそれで立場だけは残して、そういうような
改革
の
方向性
というのはいかがなものかと
お話
ししましたら、まあそういうのも一つの案かもしれないなとおっしゃっておりました。 この辺で私の意見は終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
柳本卓治
7
○
会長
(
柳本卓治
君) 次に、
河野義博
君。
河野義博
8
○
河野義博
君 公明党の
河野義博
でございます。 今回、
調査
団のメンバーとして
派遣
をさせていただいたこと、心から感謝と御礼を申し上げます。 まず初めに、最も私が今回の
派遣
で印象的だったこと、これ
ドイツ
で
憲法改正
に関して伺ったことですけれども、
ドイツ
では戦後、
憲法改正
を五十九回行われておりまして、六十回近く、毎年、一年に一度
改正
が行われているような国でございました。
我が国
と同じく硬性
憲法
の国でありまして、
連邦議会
の三分の二、
連邦参議院
の三分の二のそれぞれ可決を必要といたしますけれども、あくまで民意の発露として、
国民
が必要としているから、
国民
の議論を基に、
国民
的な議論を喚起した上で
改正
がなされてきたという点、非常に今興味深く
関心
を持ち勉強させていただきました。 その上で、
各国
、三か国回らせていただきましたので、
我が国
の
立法
府に関しましても示唆に富むと思われますトピックを抽出いたしまして、極力、
小坂
先生、
金子
先生と重複しないように
報告
をさせていただけたらと思います。 まず、
ドイツ
でございます。 債務抑制
規定
が導入をされまして、二〇〇九年に導入をされ、連邦
政府
は二〇一六年までに財政赤字をGDPの〇・三五%以内とすることが義務付けられました。その結果、計画を前倒しして、二〇一五年の予算は新規借入れを伴わない財政均衡を一九六九年以来達成をしたということ、これは
金子
先生から御
報告
のとおりでございますけれども、これも
国民
的な世論として、国債は
国民
の税の未払なんだと、今の借金は将来の税金なんだという
国民
的議論の高まりによって
憲法
の中に導入されたという点が非常に
関心
を持って聞かせていただきました。 もう一つは、
ドイツ
に
緊急事態
法という条項が
ドイツ
憲法
の中にございます。これは、ワイマール
憲法
下の反省に立ちまして、平時から戦時に至る危機段階を細分化をいたしまして、各段階に応じて
政府
がとり得る非常
事態
の
措置
を
憲法
に定めているんですけれども、この点は、
議会
が
政府
の非常
措置
を実効的に統制をして濫用防止はしっかりとできているといった点が非常に
関心
を持って勉強させていただきました。 一方で、
イタリア
に渡りましてちょっと驚きを持って聞いておりましたのが
イタリア
の
緊急事態
法でございまして、
イタリア
も同様に、
政府
が緊急時に限って
法律
と同様の効力を有する命令を発することができるわけですが、これは緊急命令でございますので、公布後六十日以内に国会が承認をして
法律
に転換をする義務がございまして、
法律
に転換されない場合は失効されるんですけれども、
イタリア
は御案内のとおり完全な
二院制
でございまして、なかなか決められない
政治
が続いております。このことによりまして、国会ではなかなか
法律
が決められないということで、緊急命令によって経済対策などが度々行われているということを伺ってまいりました。 帰国をいたしまして
調査
をしてみますと、緊急政令を発せられましてそれが
法律
に転換される割合というのが約三割、三〇%の緊急政令が実際に
法律
になっているということで、恒常的な暫定
措置
として今まで使われていると。この点
改革
が必要だという点は
イタリア
の方からも伺ってまいりましたので、
我が国
も仮に
緊急事態
に対応するのであれば、こういった点も参考にしながら進めていくべきだなと感じました。
最後
に、イギリスでございます。 行政監視機構として、
上院
の役割として、
下院
から送られてきた
法律
を徹底的に審査をする二次
立法
の
委員
会が設置されていることも
金子
先生から御
報告
がございました。
政党
に
関係
なく
議員
が詳細な審査を行っているという点、これは二次
立法
、
我が国
でいうと政省令に当たると思いますけれども、政省令も国会がつぶさに監視をして
立法
統制をしているという点、示唆に富むなと感じて帰ってまいりました。
最後
に、今回の
派遣
に当たりまして、様々御協力をいただいた
関係各位
に心から御礼を申し上げまして、私の御
報告
とさせていただきます。 ありがとうございました。
柳本卓治
9
○
会長
(
柳本卓治
君) 次に、
吉良よし子
さん。
吉良よし子
10
○
吉良よし子
君
日本
共産党の
吉良よし子
です。 私が今回の
派遣
に当たって最も印象に残ったのは、
ドイツ
のレナーテ・
キューナスト司法
・
消費者保護委員長
の言葉です。彼女は、いろいろな
お話
の中で、
憲法
は解釈によって変えるものではないとおっしゃいました。この発言に照らせば、
日本
の集団的自衛権の容認のように、
憲法
九条の下ではできないというこれまでの歴代
政府
の解釈を百八十度変えるという解釈による改憲というのは、ほかの立憲主義国家から見ても異様な
事態
であるとの認識を新たにしました。 もう一つ印象に残ったのは、訪問した国々の
憲法
において、とりわけ人権については国際法など国際社会の到達を反映させたものにしているということです。 今回訪問した
ドイツ
、
イタリア
、イギリスは全て
EU加盟
国ですから、
立法
や
違憲
判断
の過程でEU条約等に配慮しているとの旨の発言は
各国
でありました。事実、
憲法改正
を繰り返している
ドイツ
の
改正
内容
を調べますと、EU法などの条約批准に伴うものもあります。 では、
国内
の法
改正
や
違憲
判断
に当たり国際法やEU条約などに配慮しているのはEUに加盟しているからなのかといえば、それだけが
理由
とは言えません。例えば、
不文憲法
の国イギリスの最高
裁判所
において、とりわけ人権に関わって、
国内
の
議会
法の妥当性についてEU人権条約など国際法に照らして
判断
を下すという
お話
がありました。それは先ほど
小坂
先生のおっしゃったようなことです。 一方で、イギリスにおいては、五月の総
選挙
を前にEUからの脱退も議論されております。そこで、もしEUから脱退した場合にはイギリスにおいて規範となる法がなくなってしまうのかという点を伺ったところ、それはどうなるか実際にやってみないと分かりませんが、たとえEUから脱退したとしても、その他の人権をうたう国際法はいろいろとあり、それらが
判断
の
基準
になり得るとの回答がありました。つまり、EUに加盟しているかどうかにかかわらず、とりわけ人権に関しては国際法や国際社会の到達点というものを
国内
法にも反映させるという姿勢が貫かれていると
考え
られます。 現在、
日本
においても、
日本国憲法
九十七条に「この
憲法
が
日本
国民
に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の
国民
に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」とあります。これを読めば、今の
日本国憲法
は国際社会の到達というものをしっかりと取り入れていることが分かります。 こうした点からも、
日本国憲法
は決して古いものではないこと、むしろ現在の国際社会の到達にも合致する生きた
憲法
になっていることを誇るべきだと、今回の
派遣
で再認識いたしました。 また、
最後
になりますが、
金子
副
団長
からの御
報告
もありましたように、
イタリア
の
国民投票
の
最低投票率
について、
ボイコット運動
があるのではないかという点について
問題意識
はないという
お話
がありました。その
背景
には、
国民
的
関心
が高い事項であれば
最低投票率
を超えると、だから
ボイコット運動
というのは問題にならないという話も印象に残りました。そのことも付け加えさせていただき、私からの御
報告
といたします。 ありがとうございました。
柳本卓治
11
○
会長
(
柳本卓治
君) 以上で
海外派遣議員
の
報告
は終了いたしました。 これより、
ドイツ連邦共和国
、
イタリア共和国
及び
英国
における
憲法事情
、
憲法改正
の
動向
及び
国民投票制度
の
制度内容
・
運用状況等
について、発言希望に基づき、
会長
の指名により
委員
間の
意見交換
を行います。 発言を希望される方は、お手元に配付した資料のとおり、机上の氏名標を立てていただき、
会長
の指名を受けた後、御発言を願います。 発言に対して所感又は回答を求める場合は、必要に応じ
委員
名を明示願います。 また、所感又は回答を述べようとする
委員
は、挙手願います。 多くの
委員
が発言の
機会
を得られますよう、一回の発言時間は各三分以内といたします。発言の経過
状況
をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。発言を終わった方は、氏名標を横にお戻しください。 なお、御発言はいずれも着席のままで結構でございます。 それでは、発言を希望する方は氏名標を立ててください。
赤池
誠章
君。
赤池誠章
12
○
赤池
誠章
君 発言の
機会
をいただきまして、ありがとうございます。自民党の
赤池
誠章
です。 今回の諸外国の視察の
報告
を聞かせていただきました。私の
関心
は、前回のときにも発言をさせていただきましたが、
憲法教育
、参政権教育というものがどうあるべきかということでございました。その辺、もう少し諸外国の事例、もし
派遣
委員
の先生方の中でありましたら、また
是非
教えていただきたいなというふうに思っているところであります。 御承知のとおり、
憲法改正
国民投票
法が制定をされまして、
投票
権年齢が十八歳という形に引き下げられたわけであります。公職
選挙法
においても十八歳にという議論も進んでいるというふうに聞いておりまして、改めて
憲法教育
、そしてその大前提であります
政治
的教養、
政治
教育がどうあるべきかということは、本
憲法審査会
でも、それぞれの先生方からの意見、また有識者の先生方からの意見も聞いているところであります。 御承知のとおり、教育
基本法
の第十四条第一項の中には、「良識ある公民として必要な
政治
的教養は、教育上尊重されなければならない。」ということが教育
基本法
に位置付けられているわけであります。 学校においては、その
基本法
を踏まえて、学習指導要領の中に
憲法
の基本的な
考え
方や
我が国
の民主
政治
や
議会
の仕組み、
政治
参加の重要性や
選挙
の意義について指導が行われるということで、それぞれ小学校社会科、中学校社会科、高等学校の公民科の中で、発達段階に応じて学校の中で教えられているわけであります。 こういった形の中で、
憲法改正
国民投票
法が十八歳以上となったときには、今までも当然でありますが、より以上の新たなる有権者、若い方々の
政治
、
選挙
への
関心
を引き出して、
政治
参加を含めて主体的に社会生活を営む知識や実践力、
態度
を育むということが大変重要になってくるわけであります。 御承知のとおり、昨年十一月に中央教育審
議会
におきまして学習指導要領の改訂の諮問が文部科学大臣からなされました。これは、
選挙
年齢や
憲法改正
の
国民投票
十八歳ということを踏まえて、高等学校において主体的に社会参画の力を育む新科目を設置するということが諮問をされておりまして、今後具体的な検討が中教審で行われるわけであります。 そういう中で、来年もし仮に十八歳
選挙
権ということになれば、総務省や文科省におきましても副読本を作って、それで高等学校でその先駆けとして、前触れとしてしっかり教えなければいけないという議論が進んでいるということも承知をしているところであります。 その中で、私、改めて、戦後いわゆる現行
憲法
がGHQの占領下で
国民
に与えられたという、そういった戦後から民主主義が始まったという
考え
方ではなく、明治維新の五箇条の御誓文、立憲政体の詔や、様々な、大
日本
帝国
憲法
を含めて、また大正デモクラシーの時代の中で、我々先人の方々が大変な努力の中で参政権、護憲
運動
や普選
運動
などでつかみ取ってきたという、このような近代の歴史をしっかり我々は、改めて学校そして私
たち
もかみしめる必要があるのではないかというふうに感じている次第であります。 大正デモクラシーといいますと、民本主義の吉野作造先生が有名であります。吉野作造先生の本を今回改めて読ませていただきましたが、憲政の常道というのは、
制度
や
運用
はもちろんでありますが、やっぱりその大前提としては
国民
の知徳、
国民
の教養が大事である。教育の重要性を説かれ、そしてそれから生み出される我々選良が、単なる
国民
におもねるだけではなくて、そのリーダー、精神的指導者たるべしということを序論で明記されていたことが大変印象でございました。やはり、普遍的に今でも通じることがたくさんある。 そういったことを我々が学び、また学校教育の中できちっとした先人の歴史を学ぶことが、単に参政権というのが与えられたものではなく、まさに先人からの相続財産だというような視点からしっかりつかみ取ることによって、
選挙
に対する
意識
、主体性というものが生み出されていくのではないかと思っております。 その中で、
最後
に一つ提案がございます。本
参議院
は、今までも子ども国会という形で何度か開催をされているということを聞いているわけであります。
是非
、
参議院
が先導して、子ども国会は小学生が対象でありますが、若干ちょっと上げまして中高生対象にしても、
是非
、子ども国会、若者国会というもので、それぞれ今見学がなされているわけでありますが、実際、
政治
というものがどういうものか、そのような体験活動も
参議院
が率先して行うべきではないかと提案をさせていただきまして、私の発言を終えさせていただきます。 ありがとうございました。
柳本卓治
13
○
会長
(
柳本卓治
君) 藤末
健三
君。
藤末健三
14
○藤末
健三
君 民主党の藤末でございます。 私は、三点、意見と申しますか、もし行かれた方、視察された方で御意見があれば伺いたいということを三点申し上げたいと思います。 一つは、
ドイツ
の
基本法
でございますけれど、
ドイツ
の
基本法
は非常に修正、変更されている、
改正
されているということでございましたが、私の記憶によると、一条の例えば人間の尊厳の保障とかいう基本的なところは三分の二であっても修正できないということをお聞きしていますが、もしその点につきまして御存じの方がおられたら、ちょっと教えていただきたいというのがまず一つございます。 そして、もう二つございますのは、やっぱりこの
憲法
におけます議論の中で九条の議論がございます。
我が国
の九条は、一項で「
日本
国民
は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、そして、二項として「前項の
目的
を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」ということを書いてございますが、
イタリア
も同様にこういうのがございまして、例えば
イタリア
の
憲法
十一条には、
イタリア
は、他の人民の自由を侵害する手段及び国際紛争を解決する方法としての戦争は否認するということ。そして、
ドイツ基本法
は二十六条におきまして、諸
国民
の平和的共同生活を妨げ、特に侵略戦争の遂行を準備するのに役立ち、かつ、そのような意図を持ってなされる行為は
違憲
である、このような行為を処罰するものとするというふうに書かれておりまして、このような平和条項に対する御意見があれば伺いたいというのがございます。 そして、三番目にございますのは、この
報告
の中にもございましたように、
違憲
判断
をどのように行うかということで、
各国
におきまして、
ドイツ
、
イタリア
、
憲法裁判所
があり、抽象的な
案件
であっても
違憲
判断
を行えるという
状況
でございますが、
我が国
は具体的な
案件
がなければ
違憲
の裁判も起こせないという
状況
でございますが、その点につきまして御意見があればお願いしたいと思います。 以上でございます。
柳本卓治
15
○
会長
(
柳本卓治
君)
山下
雄平
君。
山下雄平
16
○
山下
雄平
君 自由民主党の
山下
雄平
です。 私は、七百五十年とも言われる
議会
制の歴史を持つ
英国
について意見、そしてまたお伺いしたいと思っております。
英国
の
上院
、貴族院は、皆さんも御存じのとおり、任命制で公選制ではありませんけれども、現在のキャメロン政権は公選制を掲げました。しかし、現在、
選挙
制度
改革
の各党の思惑なども絡み、
上院改革
は頓挫している状態だというふうに聞いております。
派遣
報告
を聞く限り、
上院
の
改革
の
方向性
、
上院
に公選制を導入したいという
方向性
は堅持されているんだろうと思います。欧州の中では、デンマークのように
二院制
から一院制に変わった国もありますけれども、
派遣団
の皆様が訪れられたイギリスや
イタリア
、
ドイツ
など大きな国は
二院制
を堅持しております。 イギリスのように公選制ではない
上院
についても公選制を目指す
動き
が出ております。そのことを
考え
ると、
日本
のこの衆参共に
選挙
によって
議員
が選ばれるという
制度
というのは、規模の大きな国、人口の大きく、そして経済の大きな国では、多様な民意を反映させるためには非常に理にかなった
制度
ではないのかなというふうに私は感じております。
日本
の
参議院
のもう一つの意義というのは、私は、
参議院
は任期が六年で、そして解散がないということで、長期的な視野を持って議論ができる、これが
日本
の
参議院
の意義だと思いますけれども、先ほどの
金子
副
団長
の話に出てきました、イギリスが
下院
の総
選挙
を五年ごとに
法律
で
規定
するということは、またこういった
日本
の
参議院
と同じように長期的な視野で議論をする狙いがあるのではないかなというふうに感じましたけれども、一方で、総
選挙
を五年ごとにというふうに
規定
することによって、おっしゃったように、内閣総理大臣の解散権を縛ることになると思うんですけれども、そうすることで
立法
と内閣の抑止と均衡のバランスをどのように保っていかれるというふうにイギリスの中では
考え
ていらっしゃるのか、お聞かせいただければなというふうに感じております。
日本
のように
立法
府が強い、そして内閣の方が弱いというふうな、いや、
日本
よりもイギリスというのは
議会
が弱いからこそ、内閣の力を一定程度、解散権を縛ることによって抑止と均衡のバランスをイギリスは保たなければならないということでこういった
改革
に踏み込まれたんでしょうか。もし分かればお聞かせください。
柳本卓治
17
○
会長
(
柳本卓治
君)
西田
実
仁君
。
西田実仁
18
○
西田
実
仁君
公明党の
西田
実仁でございます。
派遣
の皆様方、大変にお疲れさまでした。また、御
報告
ありがとうございます。 私の方からは、特にイギリスにおきます行政監督としての
上院
の役割の御
報告
をいただきましたが、この点についてお聞きしたいというように思ってございます。 一言で申し上げますと、この
上院
が、ここにあるように、
日本
でいえば政省令等の第二次
立法
ですね、これをチェックをしていくという機能を持っているということでございました。その際、これはいわゆる
議会
拒否権ということだと思いますけれども、この
議会
拒否権を有効に機能させるためにどのような工夫がなされているのかということについて私は非常に
関心
を持っております。 すなわち、
上院
が第二次
立法
を審査するに当たっての仕組みでございます。例えば、
上院
におきます審査に資する
調査
スタッフ等がどのように、どのぐらいの人数で整備されているのか、また、一次
立法
を全て
上院
において二次
立法
として審査をするのか、その
審議
時間はどのぐらいなのか、そうしたことについての
制度
的な担保がどのようになされているのかということについて、より詳細に知りたいというふうにお聞きしながら思いました。 また一方で、この御
報告
も先ほど
金子
副
団長
からもいただきましたけれども、これが遅延戦術とか対抗手段というふうに
下院
や
政府
に対しての道具としても使われるという御
紹介
もございました。そういう
意味
では、いわゆる決められない
政治
ということとこの
議会
拒否権ということについてどういう
関係
なのかを知りたいというふうに思いました。 と申しますのも、
憲法
に非常
事態
条項ということがかつて議論もされましたが、この議論においては、権力による不当な人権侵害を防ぐための
議会
拒否権をいかに有効に機能させるかということが大変重要な論点になってくるというふうに思っているからでございます。
災害
対策
基本法
にも既に百九条の第四項には、この
議会
拒否権というのが既に
日本
にも使われてはおりませんが定められておりまして、今後こうした、特に
参議院
としての役割としての
議会
拒否権、
憲法保障
機能ということについての参考に
是非
したいと思って発言をさせていただきました。 以上です。
柳本卓治
19
○
会長
(
柳本卓治
君)
阿達
雅志
君。
阿達雅志
20
○
阿達
雅志
君 自由民主党の
阿達
雅志
でございます。
調査
団の皆様、
実情調査
お疲れさまでございました。
日本
では、その制定の経緯から、アメリカ合衆国
憲法
については勉強する
機会
が非常に多いわけでございますが、ヨーロッパ
各国
の
憲法
というのはなかなかこういう形で
運用
まで含めて話を聞く
機会
がないものですから、今回の御
報告
、そういう
意味
で非常に興味深く聞かせていただきました。
憲法改正
という面でいきますと、
ドイツ
にしても、
国民投票
がないという点では若干軟性なんでしょうけれども、基本的には硬性
憲法
に当たると。
イタリア
も硬性
憲法
でございますし、非成文
憲法
であるイギリスというのがそれぞれちょっと対比があるわけですけれども、そういう中で、それぞれの国において
憲法改正
が非常にダイナミックに行われているということは、私としては非常に印象的でございました。 また、
ドイツ
、
イタリア
が抽象的
憲法
訴訟を認めているのに対して、
英国
の場合というのはそもそも成文
憲法
がなくて、
憲法
規範はコモンローの下で
裁判所
が定め、個人の権利に直接結び付いている、そういう点でも、これは
憲法
規範あるいは
憲法保障
の
考え
方に世界
各国
で非常に大きな違いがあるのではないか、そういうように思いました。 こういう連邦と州の
関係
、あるいは
二院制
の在り方、
司法
権の在り方とかいう統治機構は、これはもちろん
各国
の歴史的、文化的違いがあるわけですけれども、ただ、それに加えましても、やはりその
憲法
の中にどういう条項を入れるかというところで、先ほど
小坂
先生の御指摘もありましたけれども、
財政均衡条項
、
環境保護規定
、
緊急事態条項
など、時代の変化に即して非常にいろいろな
規定
が
憲法
規範の中に組み込まれていっている、これが今のどうも世界の
状況
ではないかというふうに思いました。 そういう点からいきますと、どうも昔私どもが学校で習ったような、
憲法
というのは何か一つということではなくて、現代
憲法
というのは非常に多彩であって、法による統治という点を除いては近代
憲法
のような共通原則を読み取るということは非常に困難なのではないかと、むしろ社会情勢に応じていろいろなところへ変えていくものではないかと、こういう印象を受けたわけでございます。 その現代
憲法
の多様性を今回の
調査
は裏付けたのではないかというふうに思うのですが、その辺りについて、
調査
団の皆様、何か御感想があれば
是非
お聞かせをいただきたいと思います。 以上です。
柳本卓治
21
○
会長
(
柳本卓治
君)
牧山ひろえ
さん。
牧山ひろえ
22
○
牧山ひろえ
君 民主党の
牧山ひろえ
です。 まずは、
調査
団の皆様方、お疲れさまでした。ありがとうございます。 御
報告
にもありましたけれども、
ドイツ
の
憲法
に当たる
ドイツ連邦共和国基本法
は、その柱となる
憲法
原則につきましては、あらゆる
改正
は認められないと明確に
規定
されております。具体的には、基本権、人間の尊厳、民主主義的統治形態、
連邦制
と社会国家といった原則は、後に
基本法
が
改正
されたとしても、あるいは全く新しい
憲法
が制定されたとしても、これを侵害することは許されないとされています。 先ほど藤末先生も触れられておりましたけれども、
基本法
の永久条項などと表現したりしますけれども、これはワイマール
憲法
がナチスの台頭を許したという歴史を教訓として生かしているものと思われます。憲
法制度
や
憲法
秩序を構築するのに歴史への反省を基礎とするこういった姿勢は、
日本
も参考にするべきではないでしょうか。 また、
ドイツ
では、
国民
は誰でも法令、行政行為、
裁判所
の
判決
について
違憲
と
考え
るものを
憲法裁判所
に持ち込むことができ、そして
基本法
にそれも定められております。いわゆる
憲法
異議
と言われる
制度
なんですけれども、もちろん、通常の裁判上の救済手段を全て尽くしているといったようなことなどが前提となりますので全く無制限というわけじゃないんですけれども、毎年何千人もの
国民
が
憲法
異議
を申し立てているという事実があります。このような、
国民
一人一人が
憲法
に則して直接問いかけられる
制度
は、
憲法
を生きたものとして機能させる上で非常に大きな役割を果たしているんではないかと
考え
ております。 私
たち
も、
憲法
を変えるとか変えないということだけではなくて、
憲法
の理想をどう反映させていくかということも含めて議論を進めていくべきだと思います。 ありがとうございました。
柳本卓治
23
○
会長
(
柳本卓治
君)
福島みずほ
さん。
福島みずほ
24
○
福島みずほ
君 ありがとうございます。社民党の
福島みずほ
です。 二点申し上げたいと思います。あるいは、
派遣
された吉良
委員
の方からでも意見があればと思います。 一つは、立憲主義についてです。 EU、ヨーロッパにおける
憲法
は、いずれも立憲主義に立脚をしています。イギリスはヒトニヒトゴト(一二一五)
マグナカルタ
から
憲法
が発生しているわけですし、国家権力を縛るものが
憲法
であるというのが世界の、あるいはとりわけヨーロッパ、EUにおける
憲法
です。一度、愛国心を
憲法
に
規定
している国があるかということを調べたことがありまして、中国など限られた国は愛国心を
憲法
に
規定
しておりますが、ほとんどの国で愛国心を
規定
している
憲法
はありません。 かように、
国民
を縛るのではなく、
国民
に
憲法
尊重擁護義務があるのではなく国家権力を縛るものだというのは、イギリスでも
イタリア
でも
ドイツ
でも当たり前だと思いますし、EUの
憲法
はそれに立脚をしております。そういう
考え
方についての議論というのはあったのでしょうか。 それから二点目は、ヨーロッパはヨーロッパ人権
裁判所
があり、カウンシル・オブ・ヨーロップ、ヨーロッパ評
議会
があります。
日本
はオブザーバーステータスをカウンシル・オブ・ヨーロップ、ヨーロッパ評
議会
に持っておりますので、死刑を廃止しなければ入れないということで、オブザーバーステータスを持っている
日本
の
国会議員
としてヨーロッパ評
議会
で発言をしたことがあります。 何が言いたいかといいますと、
憲法
の人権擁護もさることながら、他方、様々な条約で選択議定書をほとんどの国が、とりわけヨーロッパは批准しておりますし、また国連に申し立てる、あるいはヨーロッパ人権
裁判所
に申し立てる、あるいはカウンシル・オブ・ヨーロップやいろんなところで人権や社会保障の議論をするという、そういうコンセンサスがあるというのは非常にすばらしいというか、様々な形で人権が保障されると思っております。そういうことへの何か言及やそういうのが、もし知見がありましたら教えてください。
柳本卓治
25
○
会長
(
柳本卓治
君)
丸山
和也
君。
丸山和也
26
○
丸山
和也
君 自民党の
丸山
和也
です。
派遣団
の一行の皆さん、御苦労さまでございました。 私は、一点だけ絞ってお聞きしたいし、また意見も述べたいと思っているんですが、いわゆる
憲法
というのは法の中の一番大事なもう
法律
であることは間違いないんですけれども、いわゆる
憲法裁判所
といいますか、
日本
には
憲法裁判所
というのはないんですけれども、いわゆる
違憲審査
といいますか、こういうことの重要性について、
各国
どの程度実際違いがあるのか。
日本
を見ますと、ほとんど
日本
の
司法
というのは死んでいるんですね、まあ死んでいるという言葉はあれですけれども。ずっとやってきていまして、お飾りのようなもので、最近、一票の格差辺りで少し元気を出していますけど、極めて消極
司法
。特に、若干
政治
的な問題が絡むと
違憲審査
なんてまずやらないというふうなことで、非常に
日本
の
司法
というのは自らを絞めているということがありまして、やっぱり法治国家としてやや情けない
状況
じゃないかと私は常々思っているんですけれども。 いわゆる
ドイツ
にしろ
イタリア
にしろ、イギリスもそうですけれども、特に
ドイツ
、
イタリア
で
憲法裁判所
があるということなんですが、これがどの程度重視されているか、機能しているか、あるいはここでどの程度の数のといいますか、量的にそういう審査がなされているのか、こういうことも非常に興味がありますし、それから、とりわけ
イタリア
のように、
ドイツ
と比べて、
違憲
だという
判断
が下された場合、原則としてそれは無効だと、
法律
がですね、であるし、さらに、法のカバーしていない
部分
について
判断
が下された場合は、それは
立法
的、
法律
的効力を持つというようなことまで
報告
されているんですけれども、こういう非常に積極的な
憲法
判断
がされている
状況
を
国民
はどう捉えているかということもお聞きしたい。 それから、イギリスで、今度は貴族院から
憲法裁判所
というのは分離、分離といいますか、独立して生まれたように書かれているんですが、この
理由
が、
政治
との独立を目指したものであるというふうに
理由
は
報告
されているんですが、実態は変わらないということはどういう
意味
なのか。要するに、
政治
と余り切り離されていないという
意味
なのか、独立して、以前も余り問題がなかったのかという、ちょっと
報告
が、これどういう
意味
なのか、実態は、できたけれどもイギリスでは余り変わっていないということはどういう
意味
なのかということをお聞きしたい。 そして、一番の
関心
は、
最初
に言いましたように、やっぱり
憲法
裁判の機能というものがそれぞれの国においてどの程度重要性を持っているのか、また期待されているのか、そこらを
是非
お聞きしたいと思っております。 以上です。
柳本卓治
27
○
会長
(
柳本卓治
君)
仁比
聡平君。
仁比聡平
28
○
仁比
聡平君
日本
共産党の
仁比
聡平でございます。 感想をまず二つ。一つは、
環境保護規定
の問題や
緊急事態
に関する御
報告
を伺っておりまして、
我が国
において
憲法
改定問題としてのそのような議論の必要性はやはり存在しないという感想を持ちました。もう一つは、
上院改革
の
各国
の様子を伺って、改めて
我が国
における
二院制
が大変良くできているという感想も持ちました。
参議院
が、全
国民
の
代表
、国権の最高機関として、とりわけ
審議
の原理を徹底して尽くしてこの
憲法
の要請に応えることこそが今求められているというふうに思います。 一つ質問なんですけれども、御
報告
を担当された
金子
幹事
にでもお伺いしたいと思うんですが、
国民投票制度
に当たっての
最低投票率
の問題です。
イタリア
では
法律
の廃止について五〇%の
最低投票率
が定められているわけですけれども、
派遣議員
団の、この
最低投票率
の定めが
ボイコット運動
につながるのではないか、
運動
の
是非
についてどのような議論がなされているかといった問いに対して、そもそもそのような
問題意識
はないといった印象を皆さん持たれたということでした。それは、つまり、五〇%という
最低投票率
が定められていることに何か弊害があるかというと、そうした
問題意識
は
イタリア
にはないという、そういうことだろうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
柳本卓治
29
○
会長
(
柳本卓治
君) 主濱了君。
主濱了
30
○主濱了君 御指名ありがとうございます。 先ほど、
憲法審査会
の
幹事
会の方に出席をいたしまして、中座をいたしました。申し訳ございません。 その中で
お話
があったかもしれませんが、私も一点お伺いをしたいなというふうに思います。 これは、
憲法
の
改正
限界、
憲法改正
をここで議論するわけですが、その
憲法
の
改正
に関して限界はあるのかないのか。
日本国憲法
には三つの原則、あるいは四つとも言われておりますが、そういうふうな原則があるわけであります。そういうふうな原則を超えてまで
憲法
を
改正
できるのかどうか、こういったような点について、例えば、先ほどは牧山先生から
お話
がちょっと出ましたけれども、
ドイツ
憲法
の中では七十九条三項でこの
改正
限界と言われるものがもう明記をされていると、こういったようなことでありますけれども。 私は、やはりこの
憲法
の
改正
限界というのは、これはあってしかるべきだ、じゃないと、もう
憲法
がどこまでも変わっていく、その国が変わっていくことになってしまうのじゃないかなというふうに思うわけでありますが、この辺についての議論、
ドイツ
にしろ、それからイギリスにしろ、この辺の議論があったのかどうかちょっと伺わせていただきたいなというふうに思います。 以上です。
柳本卓治
31
○
会長
(
柳本卓治
君)
小西
洋之
君。
小西洋之
32
○
小西
洋之
君 発言をお許しいただきまして、ありがとうございます。 初めに、
団長
始め皆様の御
報告
に心より感謝を申し上げさせていただきます。大変多くのことを学ばさせていただきました。 所感として申し上げさせていただきます。 一つは、
各国
によって、なるほど、
憲法
の作り方が相当違っているということでございます。ただ、私の知る限り、
ドイツ
の
基本法
でございますけれども、郵便の
制度
ですとか、あるいは運輸行政についてですとか、あるいは銀行の
制度
について、つまり
我が国
でいえば
法律
で
規定
しているようなことまで盛りだくさんに
規定
されているのが
ドイツ
の
憲法
でございます。また、
イタリア
の
憲法
も
我が国
でいうところの公職
選挙法
やあるいは地方自治法で定めているようなことまで書いてあって、ほとんどの過去の
イタリア
の
憲法改正
、今回のテーマはまさに
二院制
の
議員
定数等まで変えるということですので
日本国憲法
の
憲法
事項に当たるような
改正
だと思いますけれども、過去の
イタリア
の
改正
、もうほとんどが
我が国
でいうところの
法律
事項の
改正
であると。ですので、ほかの国が
憲法
を変えているからといって
我が国
は変えた方がいいんじゃないかという議論というのは私は間違っているんだというふうに思います。 むしろ、多くの
委員
の先生方がおっしゃっておりますように、
憲法
とは何か、変えていいものと変えていけないものがあると。つまり、
憲法
というのは
国民
の自由や権利を保障して、そのために国家権力を制限する。つまり、この近代立憲主義以外の条項を
憲法
に書いてはいけない。書いた瞬間にもう
憲法
が
憲法
でなくなってしまうというのがこの世界の近代立憲主義の共通の
考え
方でございます。 これは、一七八九年のフランスの人権宣言の中にも、そうした
国民
の権利保障の機能を欠くものは
憲法
と呼ぶに値しないというふうに宣言をされておりまして、現に今もフランスの
憲法
、フランスの人権保障の
規定
はこの二百年前のフランス人権宣言の
規定
がそのまま用いられているところでございます。もう二百年たったから、あるいは今後、二百年たつから、じゃ、フランス人権宣言を破棄するのかということと
日本国憲法
の人権
規定
を見直すのかということは、私は
憲法
論的にもあるいは
政治
的に見ても同じようなことではないかというふうに
考え
ました次第でございます。
最後
に、
憲法
とは何かで、やはりこの国会で議論させていただかなきゃいけませんのは昨年七月一日の集団的自衛権行使を始めとするその解釈改憲の問題でございます。
憲法
の前文がございまして、このように書いてございます。「
日本
国民
は、」「
政府
の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が
国民
に存することを宣言し、この
憲法
を確定する。」と書いてあります。すなわち、
日本
国民
の
国民
主権はただの
国民
主権ではないわけでございます。過去の
政府
が行ったような、国家機関、これは国会も含みます、そうした戦争を勝手に起こさせないために天皇主権の国から
国民
主権の国に改めるのだということを宣言するわけでございます。 とするならば、
国民
主権の究極の行使は
憲法改正
の
国民投票
でございますので、
憲法改正
の
国民投票
なき新しい戦争を
日本国憲法
の上に許容する、つまり集団的自衛権の行使を可能にするということは、この
憲法
前文の
規定
に真っ向から違反するわけでございます。 そして、この
憲法
の前文の
規定
はただの文句ではございませんで、
憲法
九条の解釈指針であり、さらに
憲法
九条そのものがこの
憲法
前文に書かれた、あと二つあるんですけれども、全世界の
国民
の平和的生存権の保障の
規定
もございますけれども、そうした三つの平和主義の
考え
方が具体化したもの、つまり、
憲法
九条というのは
憲法
前文がダイヤモンドのように結晶したものだというのがこの国会の下で確立してきた
政府
の
憲法
解釈でございます。 つまり、集団的自衛権の行使というのは、もう
日本国憲法
からどう
考え
ても
憲法
違反であり、七月一日の閣議決定は
違憲
無効のものであるということを確認をさせていただきたいと思います。 今申し上げましたこと、
日本
国が平和国家であり、平和主義の国であるということは、小学生も中学生もみんな義務教育で習っております。我々は、子供
たち
を始めとする、その命と尊厳、人権を守ると同時に、彼らにちゃんと代議制の下の
国民
代表
として
説明
責任
を果たさなければいけません。その先頭にこの
憲法審査会
が、
柳本会長
の下、我々がしっかり頑張ることを申し上げまして、私からの所感とさせていただきます。 ありがとうございました。
柳本卓治
33
○
会長
(
柳本卓治
君) どうもありがとうございます。 ほかに御質問ございますか。 ただいま十一名の
委員
から所感並びに御質問がございました。貴重な発言であったと思います。この御質問、御所見に対しまして
派遣
委員
から所信なり御回答をお願いを申し上げたいと思います。随時お願いいたします。
金子洋一
君。
金子洋一
34
○
金子洋一
君 どうもありがとうございます。 私どもの出張では、例えば
ドイツ
ではこの項目についてどう
考え
るかということをまさに担当の方にお尋ねをしておりましたので、先生方からの非常に抽象度の高いと申しましょうか、言わば大戦略的な観点からの御質問には十分お答えはできないと思うんですが、一つ二つ私なりにお答えをさせていただくといたしますと、まず
ドイツ
において、例えば
連邦制
とかそういったような、永久条項以外のものは変えられるけれども、そういった永久条項は変えられないというのが明確にこれは先方の御
説明
の中にもありました。 それを踏まえて
我が国
にちょっと引き付けてまいりますと、まさに
我が国
のコンスティテューションとでも申しましょうか、そういったものについては恐らく変えることはできないんではないかなというように受け止めております。 さらに、イギリスにおいてヨーロッパの人権条約が余りにも頭越しに
国内
の
法律
を
規定
し過ぎるというような、非常な、これは保守党も、与野党を超えてそういったコメントがあったように思っております。この点についてやはりヨーロッパ大陸とイギリスというところでは随分と物の受け止め方が違ったというところがあるんだろうと思っております。 その点、
我が国
でもやはり外国の、外国のと申し上げますか、海外の条約で決められたものが直ちに
我が国
でそれが
法律
化されるべきものなのかどうかというのは、やはり
国民
からの意見を広く聞かなければならないのではないかなというような感じを受けたところでございます。 以上です。
柳本卓治
35
○
会長
(
柳本卓治
君)
小坂憲次
君。
小坂憲次
36
○
小坂憲次
君
会長
の御指名もありますので若干のお答えをしたいと思いますが、今、
金子
さんの方から、
金子
副
団長
の方からお答えがありましたように、私どもは基本的に
事前
に相手方にお渡しをした質問条項に基づいてお答えをいただいたことに対して質疑を行ったものですから、ただいまそれぞれ御披瀝のありましたような点について、残念ながら、私ども、
憲法学者
のようにその国の
憲法
を研究して、そしてそれに対して
調査
をしてきたわけではないものですから、必ずしも的確なお答えができるとは思いません。 しかし、それぞれの御意見の中にありましたように、とりわけ、そうですね、
阿達
さんの御意見だったかと思いますが、それぞれ近代的な、近代社会に合わせる形でそれぞれの国が
憲法改正
についていろいろな議論をし、またそれに対応しようとして努力をしているという姿はそれぞれにあったように思います。それが
二院制
改革
であったり、
貴族院改革
であったり、いろいろな形で、
国民
の中にある現行の
制度
に対する社会の変化に対応していないんではないかという形での意見に対応しようと努力している姿だと、このように感じたところでございますが。
仁比
さんの御指摘がありましたように、
環境
権だとか、あるいは
上院改革
というような、そういった
動き
について、あるいは
国民投票
の最低得票の
基準
とか在り方とかというものについては、
我が国
は
我が国
独自としての議論を更に進めていくべきであろうと、こう感じたところでございます。 いずれにしても、今回の
調査
を通じて、大ざっぱに申し上げれば、
我が国
の
憲法
の姿、全体的に見れば非常にバランスの取れたものであり、この
我が国
の
二院制
の
運用
の実態というものも、
各国
の悩んでいる
状況
からすれば、比較的
我が国
としての特色ある
運用
をしているのではないか、そういう印象を持ったところでございます。
柳本卓治
37
○
会長
(
柳本卓治
君)
河野義博
君。
河野義博
38
○
河野義博
君
立法
監視
委員
会に関して御質問がございました。
委員
会のスタッフィング並びに
審議
時間に関してはちょっと答えを持ち合わせておりませんけれども、対象範囲は一次
立法
に記載をされた、二次
立法
を伴うと記載されたものに関しては全て審査を行うと。かつ、どういった工夫がなされているかという点に関しましては、この
委員
会に所属する
議員
は、
政党
に
関係
なく
議員
が活動すると、そういうふうな工夫が加えられているということを学んでまいりましたことを御
報告
させていただきたいと思います。 ありがとうございました。
柳本卓治
39
○
会長
(
柳本卓治
君)
吉良よし子
さん。
吉良よし子
40
○
吉良よし子
君 立憲主義についての質問などもありましたので、私の方から一言言わせていただきますと、具体的には、先ほど先生方がおっしゃったように、立憲主義を議題にするということはなかったのではありますが、しかしやはり
国民
を縛るものだという、
憲法
が
国民
を縛るものだというよりは、
国民
が主体となるものであるということは前提となっているような印象を受けました。 例えば、
イタリア
でも
憲法改正
について相当長い間議論がなされている中で、その
委員長
自身もやはり
国民投票
が必要だとおっしゃるだとか、またイギリスにおいても
上院改革
が進まないのは
国民
の
関心
が低いためだとか、そういう
お話
がありまして、やはり
憲法
を変える主体は
国民
であって、その
関心
が低ければ変える必要はないと、そういう
意識
でした。 とりわけ印象的だったのは
ドイツ
なんですけれども、
ドイツ
で、先ほど私は、
司法
委員長
が
憲法
は解釈によって変えるものではないとおっしゃったと言いましたが、それも立憲主義に関わる
お話
だと思いますし、印象に残ったのは、
政府
関係
者や
議員
の皆さんなど懇談された方が必ず手元に
憲法
の法典を書いた冊子を手元に持って、それを見ながら
お話
、
説明
をしてくださったということで、やはり
憲法
を守るべきなのは、そういう
政府
関係
者であったり
議員
であったり、そうした権力を持っている側であってと、そういう
意識
があるのではないかなという印象を受けたということを
お話
しさせていただきます。 また、人権についての国際的なコンセンサスという
お話
ですが、先ほども私から御
報告
したとおり、やはりEU人権条約であったり、そうしたものにかなり配慮しているというような様子は見られましたし、とりわけイギリスなどにおいてはそういう国際的な人権
意識
が
国民
の中に浸透していると、だからこそそこに配慮する必要があるんだというような
お話
もあったかに思っております。ですから、たとえEUから脱退したとしても、国際法に照らしてというのと同時に、それに準拠するような
国内
の人権法も作るべきではないかという議論もされているという
お話
があったやに思っております。 以上でございます。
柳本卓治
41
○
会長
(
柳本卓治
君) ありがとうございます。
委員
各位から御質問がございました。回答の方につきましては、全面的にお答えする場面ができ得なかったかも分かりませんけれども、しかし、詳細につきましては、後日、
海外派遣
の面談記録として各
委員
の皆様方に冊子を配付いたしまして、御疑問の点、問題点については御
報告
できると思いますので、よろしく御理解をしていただきたいと思います。 他に御発言はございませんか。──他に御意見もないようですから、
委員
間の
意見交換
は終了いたします。 本日の
調査
はこの程度にとどめます。 ─────────────
柳本卓治
42
○
会長
(
柳本卓治
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りをいたします。
日本国憲法
及び
日本国憲法
に密接に関連する
基本法制
に関する
調査
のうち、
憲法
とは何かについて、来る三月四日午後一時に
参考人
の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
柳本卓治
43
○
会長
(
柳本卓治
君) 御
異議
ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを
会長
に御一任願いたいと存じます。御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
柳本卓治
44
○
会長
(
柳本卓治
君) 御
異議
ないと認めます。さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十六分散会