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松田公太君
日本を元気にする会・無所属会の
松田公太です。
おとといも
お話をさせていただきましたが、私は、
日本が
電力自由化で目指すべきは、
法的分離ではなくて所有権分離だと思っております。今日は、欧州、特にドイツ等も引き合いに議論をさせていただきたいというふうに思っております。
私、二年前の五月に
エネルギー市場の視察でドイツを回らせていただきましたが、その先進性に驚きまして、また大変学ぶことが多かったなというふうに思いました。ドイツは御
案内のとおり、福島原発事故を受けまして二〇一一年の七月に原子力法の改正を行いまして、二〇二二年脱原発を明確な目標として掲げているわけです。現在は既に十七基のうちの八基を停止しまして、残るところ九基という
状況になっております。また、脱原発に関してもすばらしいなというふうに思うんですけれども、自然
エネルギーに対する取組も、これもまた大変なものだなというふうに感じております。
ドイツ視察の前年に、EU視察のブリュッセルでお会いしたドイツの議員や
エネルギー省の官僚たちは、元々の目標である二〇二〇年の総発電量に占める自然
エネルギー比率、これ三五%なわけですけれども、この達成は当たり前なんだと、四〇%を目指すんだというふうに言っておりました。そして、二〇五〇年に向けた目標というのは何と八〇%なんですね。その信念と今の制度というものをしっかりと持続してもらえれば、これも私は間違いなく達成できるような数字かなというふうに感じております。
そういうことで、今ドイツは、
エネルギーヴェンデ、
エネルギーの
改革ですね、また
電力自由化の優等生というふうに言われるわけですけれども、実は、皆さんもこれ御存じかもしれませんが、最初は違っていたんですよね。例えば、一九九八年に、今の
日本と同じように、一般家庭も
電力会社を選べるように小売、これを
自由化一部していったわけですけれども、そのときは、ほかのEU加盟国がもう既にEU
電力指令によって進めていた発送電の分離、これをドイツの大手の
電力会社が実は抵抗しまして、これはなかなか進まなかったんです。結局何が起こったかというと、同じその
電力会社の
グループ内の発電
会社が有利な
託送料金、これを得るような、そういう
状況が続いて、せっかく
電力自由化が進んだにもかかわらず、約百社
新規参入があったんですけれども、そのほとんどが難しいということで経営難に追い込まれまして、現在は、たしか残っているのは四社か五社だったというふうに思っております。
その結果何が起こったかといいますと、これは午前中の加藤
委員の
お話にもありましたけれども、寡占化なんです。
電力料金が高止まりしてしまったという現状なんですね。その頃のドイツは、EUと比較しても平均で約三割近く高い
電力料金が設定されておりました。しかし、次の変化が訪れたのが二〇〇五年だったんです。欧州
委員会で何が起こったかといいますと、ドイツの
電力自由化に対する遅れ、これが非常に問題だということで、
自由競争促進
委員会から、発送電の分離が進まなければ
発電事業者が送電
事業に参加することを禁止しますよというような強硬な姿勢を打ち出したわけですね。それによってやっと、ちょっと腰が重かった、当時は、メルケルさんも動き出して、完全な所有権分離までは行かないものの、送電網の所有権のマイノリティーを大手
電力に残したままですけれども、送電
ビジネスは別
会社に任せるという、いわゆるISO方式ですね、これに移行するということで当時は話が進められていました。
しかし、その直後に、ドイツの最大手のエーオンという
会社が、
電力のエーオンですね、こちらが、理由は様々あったと思うんですけれども、
一つではないと思うんですが、一説によりますと、欧州
委員会から独占禁止法とかカルテル防止法で調査が入っていたということもありますけれども、そのような経緯を経て、やっぱり送電網は完全に売却してしまおうということで、送電網の完全な売却を決断したというのが実態なんです。
その後、これはドイツの
電力政策、これは脱原発にかじを切ったということが
影響しているんだと思うんですけれども、送電網の売却を決断する
会社というのがもう次から次へと続きまして、現状は、送電網を所有していた、当時は六
電力会社があったわけですが、今は四大
電力ですけれども、そのうちの二社が完全に所有権を分離しまして、もう一社も既にマイノリティーのごく僅かのホルダーになっておりまして、これも近々全額売却する方向になっているということですね。
話が長くなってしまいましたけれども、その
電力自由化、所有権分離によってドイツには非常にフェアな環境が生まれたと思うんですね。そして、今現在でも既に二七%が再生可能
エネルギーというすばらしい
状況を生み出すことになったわけです。現在のドイツの原発の比率というのは一六%ですから、もう既に自然
エネルギーが原発の
エネルギーを上回っているわけです。
そこで、
宮沢大臣にお聞きしたいんですけれども、やはりこのようなドイツの事例からも分かっていただけるんじゃないかなと思いますが、やはり中立性また透明性の観点から、
電力自由化におきましては
法的分離ではなくて所有権分離、これを目指すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。