○
小西洋之君 ありがとうございました。明確な
答弁をいただきました。
つまり、安倍
内閣は、安倍政権は、
衆議院の安保の特別
委員会に行って
説明を変えたというか、昨日、安倍総理のインタビューが報道でも流れていましたけれども、
砂川判決に示されている
最高裁の法理にのっとっているからいいんだみたいなことを言い始めたんですけれども、
砂川判決が示している法理というのはこの三つに分割したうちの基本的な
論理①なんですね。
で、問題なのは、
基本的論理②の方なんですね。基本的な
論理の②、皆さんの四ページのお手元の
資料の「外国の
武力攻撃」という線を引いていますけれども、ここの「外国の
武力攻撃」という言葉を同盟国などに対するというふうに読み替えて、ここに限定的な
集団的自衛権が書かれているというふうに言っているんですね。だから、
砂川判決で示している基本的な
論理、法理と、皆さんが主張の限定的な
集団的自衛権が実は昭和四十七年
見解に書かれていたんだというのは、主張はかみ合っていないんですね。なぜならば、限定的な
集団的自衛権の
行使が法理として書かれているのは、書かれていると皆さんが言っているのは、基本的な
論理②の部分ですから、
砂川判決はこういう基本的な
論理②の内容に至るようなことまで一言も言っていないんですね。
じゃ、そのことをちょっと皆様と確認をさせていただきたいと思いますが、このお配りした
資料のマジックの三ページを御覧いただけますか。失礼しました、五ページ、六ページですね。
これは、
砂川判決の条文です。私もこの問題をずっと
国会で取り上げたかったんですけれども、解釈改憲が違憲であるというもう本丸の証明に皆さん、
政府が
答弁拒否をするので、なかなかできなかったんですが、実は、あえて言います、
自民党の高村先生を始めとする方々は、
砂川判決に
集団的自衛権は読めるというふうに言っていますけれども、暴論です。法令解釈というものを逸脱した暴論です。そのことを今から御
説明をさせていただきます。
この
砂川判決、
判決文そのものです。左のページを御覧いただけますか。
「そもそも
憲法九条は、」というふうに線を引っ張っていますね。「そもそも
憲法九条は、」、飛ばしていただいて、「わが
憲法の特色である平和主義を具体化した規定である。」と。
憲法九条というのは
憲法前文の平和主義がダイヤモンドのように結晶した、具体化した条文であると。単なる平和主義という、
憲法前文の平和主義は九条の解釈の指針ではないと。もう平和主義が形を変え、具体化したものが九条なんだというのは、この
最高裁の
判決を引いて
政府が
憲法解釈として言っているんですね。
その下の方ですね、ここからです。「同条は、」というのは、これ九条のことです。その上は、九条の第一項と第二項の条文をそのままひたすら
説明をしています。「同条は、」、つまり九条ですね、「いわゆる戦争を放棄し、」、「戦力の保持を禁止しているのであるが、しかしもちろんこれによりわが国が主権国として持つ固有の
自衛権は何ら否定されたものではなく、わが
憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではない」というふうにしていますね。
ここで言われていることは、固有の
自衛権は持つと。持つ。ただし、ここからです、我が
憲法の平和主義は無防備、無抵抗を定めたものでないと言っているんです。
今度、右上に行っていただけますか。線を引いてあるところですね。これ、全世界の平和的生存権ですね。
戦争を放棄し、戦力の保持を禁止してと書いているんだけれども、全世界の
国民とともにひとしく
日本国民も恐怖と欠乏から免れて平和のうちに生存する
権利を有することを確認するので、よって、
我が国は、
自国の平和と安全を維持しその
存立を全うするために必要な
自衛のための
措置をとり得ることは、
国家固有の
権能の
行使として当然のことと言わなければならないというふうにしているんですね。
高村先生あるいは安倍
内閣もそれをにおわせるような
答弁を安保の特別
委員会でやられていますけれども、ここの部分ですね、「
自国の平和と安全を維持しその
存立を全うするために必要な
自衛のための
措置」。確かに、これ昭和四十七年
見解と本当によく似た言葉です。
で、この「必要な
自衛のための
措置」ですね、「必要な
自衛のための
措置」。ここは、「
自衛のための
措置」としか書いていないんだから、個別的
自衛権も
集団的自衛権とも言っていないんだから、
集団的自衛権もここで
概念に含まれるというふうなことを高村先生おっしゃっているんですけれども、ただし、さっきの左下のページ戻っていただけますか。
ここの
議論のスタートは、「わが
憲法の平和主義は、」、次ですよ、「無防備、無抵抗を定めたものではない」と、ここから始まっているんですよ。無防備、無抵抗。つまり、
日本に対する侵略に対して、無防備、無抵抗を定めたものではないと、ここから出発しているんですよ。ここから出発して導かれている「必要な
自衛のための
措置」という文言が、法理として
他国防衛の
集団的自衛権なんて含むわけがないじゃないですか。もう、これだけで終わりですよ、これだけで。もう国語の問題ですよ、これ。中学校の国語の試験に出してもいいと思いますよ。この
砂川判決に
集団的自衛権って含まれて、
他国防衛というのを読んでいいのかって。もうそんなことやったら、
日本の国語が崩壊しますけどね。
更に駄目押しをさせていただきます。次のページをおめくりいただけますか。
この
砂川判決の補足意見ですね。
判決の主文でない補足意見に、当時の
最高裁長官の田中耕太郎さんという方の補足意見、有名な言葉ですけれども、
自衛はすなわち他衛、他衛はすなわち
自衛という
関係があるのみだというふうに言っているんですね。これを引いて、
集団的自衛権、
自衛というのは他衛で、他衛というのは
自衛なんだから、この
自衛のための
措置というのはそういう
意味でも含まれるんじゃないかと言っているんですけれども、全く違うと言っているもっと明確な、同じ補足意見があるんですね。
田中耕太郎さんは
最高裁長官で、この今、六ページですね、この石坂さんは普通の
最高裁判事ですけれども、補足意見としての法的重みは全く同じです、全く同じ。その方が言っているのは、よろしいですか、これ
自衛隊は持てると。いや、何らかの実力
組織は持てる。
我が国に急迫不正の侵害があったときに、それに
対処することは
憲法上認められる。よって、そういう
自衛隊は持てるというふうに言っているんですね。
ちょっと時間があれですので、右のページの、三十二と小さく書いたページの一番下の下線を御覧いただけますか。
「
自衛権行使のため有効適切なる
手段を、国家が予め
組織整備することも亦、法的に可能であるとせざるを得ない。」。
砂川判決は、個別的
自衛権が
日本にあるとも
集団的自衛権があるとも、また
自衛隊が合憲であるとも言っていないというのが
政府の
砂川判決に対する評価であり、学界もそうした評価をなされているところでございます。そこに田中
最高裁長官のあの訳の分からないくだりがあったので、そういうことを政治的に、
集団的自衛権が認められているんだということを高村さんなどは言っているんですけれども。
ここの石坂さんのこの言葉というのは、この左に書いていますけど、「
自衛権は、急迫不正の侵害に対し已むを得ざる場合、」ということが書いてあるし、さらに、その上に、いわゆる竹やりみたいなのではなくてちゃんとしたものを、さっきも御覧いただいた三十二ページの、さっき私が読み上げた下線のすぐ上の線を引いていない部分ですね、その
防衛手段について、「原始的或は粗笨なる武器に類するものゝ名を挙げ、かゝる器具のみは、機に臨み変に応じ
国民それぞれの工夫において、その使用を許さるゝが如く論ずる者もないではないけれども、」、つまり、竹やりみたいな戦いだったら許されるんじゃないかみたいな
議論もあるけど、そうじゃないと。ちゃんとした
組織を
整備する、実力
組織を
整備する、つまり
自衛隊は合憲であるというふうに言っているわけですね。ただ、
自衛隊が合憲であるその前提として、あくまで
我が国の個別的
自衛権、法的な個別的
自衛権のことしか言っていないんですね。
さらに、こういう
資料はもう付けませんでしたけれども、よろしいですか、田中
最高裁長官のさっきの話ですね。
自国を守ることは同時に
他国を守ることになりという言葉なんですけれども、こういうふうに書いているんですね、そのスタートとして。さらに一国の
自衛は国際社会における道義的義務でもあると言っているんですね。一国の
自衛は国際社会における道義的義務でもある、なので、
自衛はすなわち他衛、他衛はすなわち
自衛というのは、私は理解できませんけど、
論理を言っているんですけど、ポイントは道義的義務なんですよ。法的な義務なんて言っていないわけですよ。法的なことは何も言っていないわけですよ。
国際法上認められている個別的
自衛権や
集団的自衛権、あるいは
我が国の
憲法との
関係で、法的な
論理じゃないんですよ、これ。単なる道義的な政治論を奔放に述べていらっしゃる。
この田中
最高裁長官は、この
砂川判決の前に、その
判決の出す時期とその内容についてアメリカ
政府に
説明をしていたという、戦後司法権の最大の汚点を残した方であり、また、
最高裁の年始の訓示に当たって、共産主義を防ぐための司法権を頑張るぞというようなことを何度か訓示されて、
憲法において私有財産制を持っていますから共産主義は
我が国の
憲法では許されないんですけれども、ただ、そういうことを
最高裁長官が言うんですかということですよね。そういう人物であるという評価を受けている方なんですけれども。
なので、済みません、ちょっと時間が参ってきたので、
中谷大臣に、あと岸田
大臣に申し上げたいことは、もう二度と
衆議院の安保の特別
委員会で、
砂川判決と軌を一にしたものであると、よって昭和四十七年
見解は
砂川判決の法理を認めているものなので限定的な
集団的自衛権、これは認められるんだと、そのような
答弁はなさらない、そういう
答弁は
国民を惑わす、非常に、あえて申し上げます、ひきょうなやり方の
答弁だと思います。
両
大臣は立派な方々ですので、
大臣が考えられたことではないんだと思います。官僚の方々が何とかしてこれを実現しようというので、誤った官僚の方々ですね、狂信的な官僚集団というふうに私は申し上げていますけれども、
大臣は見識に基づいた
答弁をいただくということでよろしいですか。もう簡潔で結構ですので、よろしいでしょうか。