○平木大作君 今御
答弁いただきましたとおり、ある意味、
議論の出発点の時点で
総理に明確にこの法的安定性といったものを重視していくんだということを方針付けていただいたということが、ある意味、今回の法案、まとめる作業ができたということの
一つの大きなポイントであったというふうに思っております。
やはり与党間、自民党と公明党の間でもいろんな考え方の違いが当然あります。その中で、
議論百出だったわけでありますけれども、最後は、
議論の出発点で
総理が明確にこの法的安定性を重視するんだ、こう明言いただいたから、こういう
一つの案に収れんをすることができたわけでございます。
この点に関しては衆議院における
議論でも確認をされておりますので、念のため紹介させていただきます。この資料の二を見ていただきたいんですけれども、これは、七月の六日に衆議院の参考人質疑で来ていただきました慶應義塾大学の細谷雄一先生、細谷先生はまさに
安保法制懇のメンバーであった、このメンバーとして、集団的自衛権、フルサイズで法整備するべきじゃないかという提案書を書かれた方なわけですけれども、この方が質疑の中でこのように
答弁されております。
与党
協議の中で、徹底して今までの内閣法制局の見解、あるいは
憲法の枠組みの中から可能なところのみを抽出して、大幅に我々の提言を削って残った、つまりは従来の
憲法解釈の枠内での法的安定性を守れる枠内で、昨年の七月一日の閣議決定になったわけでございます。したがって、
安保法制懇報告書と七月一日の閣議決定では、内容が大きく異なるということです。さらに、その後、半年以上の様々な検討作業を経まして、今回、このような法案が提出されたわけですが、昨年の閣議決定から見ても更に、私から申しますと慎重な、つまり、徹底して内閣法制局の従来の見解の枠を出さないような慎重な結論であったと思いますと。「それは、」ということで、どちらかというと違う提言をされたこの
安保法制懇の一員としては残念なところもあるんだけれどということを述べられた上で、「法的安定性というものを最大限重視したということを考えれば、好ましい結果ではなかったかなと思っております。」ということを述べられているわけでございます。
今回のこの法案整備、この法案の
方向性とはある意味違う
方向性を訴えられていた方も、最後は、この法的安定性をやっぱり重視したことが大事だったんだということを認められているわけでございます。
この法的安定性の
議論、ちょっと私も実際に
議論の中身に入っていきたいというふうに思っているんです。
先ほども
総理からの
答弁の中に、この基本的な論理を維持したんだということがございました。資料の三、
パネルを御覧いただきたいんですけれども、今日の
議論の中でも出てきました。この基本的な論理というのは、昭和四十七年の
政府見解で示されております。ここをしっかりと維持しているということなわけですね。
論理Ⅰ、ここについては、この昭和四十七年の見解の中の論理Ⅰ、それは、戦争の放棄あるいは戦力の不保持、これを求める
憲法九条、そして平和的生存権を確認した前文、さらには生命、自由及び
幸福追求の権利の尊重をうたった十三条、これの整合的な解釈として、結論の部分だけ書かせていただいておりますけれども、
憲法は、自国の平和と安全を維持しその
存立を全うするための必要な自衛の措置は禁じていないんだということ、これをまず
一つ目の論理として打ち出したわけであります。
そして、ただしということで、この自衛のための措置というのは決して無制限ではないんだ、しっかりと限定された
要件の下でのみ
行使できるんだということで、基本的な論理Ⅱのところで、
三つの条件、
要件を定義しているわけであります。それは、
外国の
武力攻撃によって
国民の生命、自由及び
幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の
事態に対処する、そして二つ目が、
国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置である、そして
三つ目が、右の
事態、これはこの①の下線部のところですけれども、これを排除するためとられるべき必要最小限度の範囲じゃなければいけないと、こういう論理になっているわけであります。
この二つの論理、これはしっかりと今回も維持をしている。そして、この昭和四十七年の
政府見解というのは、「そうだとすれば」という言葉を受けて、つまり、この論理Ⅰと論理Ⅱの必然的な結果として以下の結論が求められる。「そうだとすれば」以下の結論というのは何かというと、
一つ目が、
我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られるんだということ、これはまさに個別的自衛権の定義そのものでありますので、つまり、ここで個別的自衛権に限られるんだ、限定されるんだとしたから、したがって、それ以外の部分、つまり他国に加えられた
武力攻撃を阻止する、それを内容とするいわゆる集団的自衛権の
行使は許されないんだ、集団的自衛権は全て
行使できないんだ、昭和四十七年の時点ではこういう整理をしたわけであります。
ここでちょっと内閣法制局にお伺いしたいんですけれども、この当時の
政府、この上の論理Ⅰと論理Ⅱ、これを受けて、一体当時の
政府、どのような認識に基づいてこの最終的な結論、集団的自衛権の
行使は認められないという結論に至ったのか、赤三角です、下向きの赤三角で、まさにこの上の論理と下の結論、これをどういうふうに結び付けられたのか、その認識についてお伺いしたいと思います。