○三宅
伸吾君 おはようございます。自由
民主党の三宅
伸吾でございます。
質問の機会をいただきまして、
鴻池委員長を始め理事、
委員の皆様、また答弁のためにお集まりを賜りました
大臣、法制
局長官の皆様、心より御礼を申し上げます。
これまでの審議で明らかになったこと、
安全保障環境が悪化する中で何らかの自衛のための
措置は必要だということの
理解は進んでいるわけでございますけれども、本
法案に対してはなかなか
理解が進んでいないということでございます。
どうしてなんだろうかとずっと考えてきたわけでございます。北朝鮮、
ミサイル・核開発でございます。薄気味悪いと感じる人が多いと思います。
中国、膨大な軍事予算を重ねております。尖閣をうかがい、南シナ海では岩礁を埋め立てたわけでございます。一党独裁、膨張主義国家でございます。不気味で怖いというふうに、
国民、思っている方は多いと思います。だから抑止力の向上が必要だということも分かっている方は増えてきていると思います。しかし、
法案にはなぜか
反対だという声が耳に届いてくるわけでございます。
脚本家の倉本聰さんという方がいらっしゃいます。八月一日付けの日経
新聞、「私の履歴書」でこのように述べておられます。「国を愛する気持ちはひと一倍だが、愛国心を強調すると右と批評される。国を守るのは大事なことだ。しかし、衆院を通過した
安保法制には
反対。
戦争の臭いがするからだ。」と倉本さんは書いておられます。
私には本
法案が
戦争のにおいは全くいたしません。ただ、やはり、私の四国香川の地元に戻りまして有権者の方とお話をしますと、倉本さんと同じような意見をおっしゃる方も一部にはいらっしゃるわけでございます。この
法案は、国の独立と
国際社会の中で
日本の名誉と信頼に関わる重要なものでございます。やはり、そのことを
国民に
理解していただいて、スムーズに成立させることが必要だと考えます。
国民の
支持を受けて
法案を成立させるための二つの条件があると私は思います。
まず第一、
国民の間で
戦争への漠然とした大きな懸念、更に言えば、この懸念の
背景には過去の軍国主義による大戦で味わった苦しみの記憶とその再発への不安があるように私には思えてなりません。だとすれば、本
法案が
戦争リスクを下げるものであること、そして
戦争、軍国主義再発の懸念がないことを
国民が
理解すれば、
国民が広く
支持する形でこの
法案を成立させることができると考えます。
もちろん、憲法の話が難しく、
政府の
説明が
国民の五臓六腑になかなかすとんと落ちていないのも、本
法案が不人気の理由だと思います。分かりやすい憲法の話も必要であります。本日の
質疑では、
戦争リスクが高まる
法案ではないこと、また、本
法案が合憲であることを確かめたいと思っているわけでございます。
まず第一の
戦争への漠然とした大きな懸念、軍国主義再発への不安が不必要であることについて
議論したいと思います。
さきの大戦、評価はいろいろございます。例えば、一九五九年の砂川事件大法廷判決、十五人の裁判官が全員一致で下した評価はこうでございます。「わが国の誤つて犯すに至つた軍国主義的
行動」と、こういうふうに最高裁大法廷は全員一致で述べております。自衛のために開戦したわけでございますけれども、終戦の決断が余りに遅過ぎたというのは、私は明らかだと思います。
振り返れば、七十年前の明日、八月六日午前八時過ぎ、広島に原爆が投下されました。続いて、九日には長崎でも無辜の尊い命が失われました。二つの都市での犠牲者数二十万人以上とされております。空襲でも東京だけで十万人など、各地の空襲でもおびただしい数の人命が失われました。沖縄の地上戦では約二十万人もが亡くなったとされております。そしてまた、本土を遠く離れたアジア太平洋
地域でも多数の軍人が戦死されました。銃弾ではなく、餓死、病死した人の数も数え切れません。その数、百万人前後とも言われております。
日本は、刀折れ矢尽き、また補給路も早々と断たれたのに、なぜ
戦争を継続したのか。早期に
戦争を終えておけば、国内での空襲、沖縄地上戦の被害者、そして外地での餓死者、病死者数はかなり減ったはずでございます。なぜ早期終戦ができなかったのか、疑問は尽きないわけでございます。
六月一日の衆議院の平安特の
委員会におきまして、
安倍総理、このように述べておられます。「大戦の結果、
日本は敗戦を迎え、多くの人々が貴重な人命を失ったわけでありますし、アジアの人々にも多くの被害を及ぼした」、「そうした結果を生み出した
日本人の政治指導者にはそれぞれ多くの責任があるのは当然のこと」と、このように
総理は述べたわけでございます。
歴史を振り返れば、様々な疑問が浮かびます。なぜ
新聞は
戦争をあおったのか、そして、なぜ
新聞の論調に一部を除く政治家は迎合したのか、行け行けどんどんの空気が支配する
状況にあってもノーと言える国家リーダーが必要だったわけです。しかし、そんな空気に支配されてからでは、実は手遅れかもしれません。ノーと言うリーダーは抹殺され、竹やりでB29に立ち向かえというような空気に拍車を掛ける新リーダーが喝采を浴びて登場する可能性も大だったのかもしれません。
さきの大戦では、
戦争相手国の惨状にも胸が痛みます。私たち一人一人が歴史を前に考えなければなりません。戦後七十年、政治社会システムは大きく変貌しましたけれども、
日本は過去の過ちを繰り返さないほどに立派になったのか、そして、周辺諸国の
状況はどうなのか、全てを総合判断し、
国民の平和な暮らしと国の独立を守るために、憲法の枠内で必要なことは断行しなければならないと考えます。
そこで、
中谷防衛大臣にお聞きをいたします。
戦前には、
中国大陸などで軍部の暴走がありました。このため、過去の誤った軍国主義が再発しないかと心配している人も少なくないわけであります。私は、さきの大戦での失敗を繰り返さないために、戦後、
我が国は何重もの制度的歯止めをつくり込んできたと考えます。過剰な
自衛権の発動を防ぐ制度的な仕組みは今回の
法案を含めきちんと整備されているのか、このことにつき、民主的統制の観点から、旧
日本軍と
自衛隊を取り巻く環境の違いなどを含め、
国民が安心でき、
政府に全幅の信頼を寄せられるような
中谷大臣の深い歴史観に基づく答弁を求めたいと思います。