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2015-06-17 第189回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月十七日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      豊田 俊郎君     野村 哲郎君  六月十六日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     牧山ひろえ君      林 久美子君     石上 俊雄君  六月十七日     辞任         補欠選任      紙  智子君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         風間 直樹君     理 事                 石田 昌宏君                 末松 信介君                 藤田 幸久君                 河野 義博君     委 員                 江島  潔君                 鴻池 祥肇君                 島尻安伊子君                 野村 哲郎君                 長谷川 岳君                 橋本 聖子君                 三宅 伸吾君                 山本 一太君                 石上 俊雄君                 藤本 祐司君                 牧山ひろえ君                 竹谷とし子君                 儀間 光男君                 大門実紀史君                 吉田 忠智君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    参考人        宜野湾市長    佐喜眞 淳君        静岡県立大学グ        ローバル地域セ        ンター特任教授  小川 和久君        沖縄大学人文学        部准教授        トリニティ株式        会社代表取締役        社長       樋口耕太郎君        沖縄国際大学経        済学部教授    前泊 博盛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖縄振興及び在沖縄米軍基地問題に関する件  )     ─────────────
  2. 風間直樹

    委員長風間直樹君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、豊田俊郎君、林久美子君及び尾立源幸君が委員辞任され、その補欠として野村哲郎君、石上俊雄君及び牧山ひろえ君が選任されました。  また、本日、紙智子君が委員辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。     ─────────────
  3. 風間直樹

    委員長風間直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会宜野湾市長佐喜眞淳君、静岡県立大学グローバル地域センター特任教授小川和久君、沖縄大学人文学部准教授トリニティ株式会社代表取締役社長樋口耕太郎君及び沖縄国際大学経済学部教授泊博盛君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 風間直樹

    委員長風間直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 風間直樹

    委員長風間直樹君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のうち、沖縄振興及び在沖縄米軍基地問題に関する件を議題といたします。  この際、参考人皆様に本委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人皆様からの忌憚のない御意見を賜りまして、今後の本委員会参考にいたしたいと存じますので、今日はどうぞよろしくお願いいたします。  本日の議事の進め方でありますが、まず、参考人方々からそれぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、午後二時五十分までをめどに委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人及び質疑者発言は着席のままで結構でございます。  では、まず佐喜眞参考人からお願いいたします。佐喜眞参考人
  6. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) 改めまして、皆さんこんにちは。普天間飛行場のある宜野湾市から参りました市長佐喜眞でございます。  先般、二月にも同委員会先生方宜野湾市へお越しいただき、普天間飛行場を視察していただきましたこと、この場をお借りしまして感謝を申し上げたいと思います。  私の方から既にお手元にお配りしておりますけれども、宜野湾市が発行している、二〇一五年三月ということで、「まちのど真ん中にある普天間飛行場」という冊子をお手元の方にお配りをしていると思いますが、それに基づきながらお話をさせていただきたいと思います。  御案内のように、宜野湾市の町のど真ん中にある普天間飛行場全面返還という合意がなされて十九年目を迎えます。実は、今日は当時の新聞を私はお持ちしておりますので、少し、どういうふうな記事になったかということをお話をさせていただきたいと思います。  一九九六年四月十三日、いわゆるSACO中間報告の翌日の新聞でございます。地元でございます。普天間基地全面返還をする、橋本モンデール会談、五年ないし七年以内に日米合意し、普天間返還するということが発信されました。その一つとして、当時の大田知事は同日、記者会見をし、様々な問題があるにせよ、総理の誠意の表れであり、今後は国に全面協力をしたいとして評価をしております。そして、当時の宜野湾市民はどのような反応を起こしたかというと、願いがかなった、何十年も我慢してきたが、かいがあった、普天間基地周辺の住民は、突然伝わった全面返還の報を手放しで喜んだと。  当然、当時の市長もそうですし、特に普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校というのがございます。これはもう既にメディアとか、あるいは先生方は視察された方々もいらっしゃると思いますが、当時の第二小学校PTA会長がこのようなことをお話をされております。墜落の危険がなくなることが何といっても大きい。いわゆる返還合意、五年ないし七年という返還合意PTAという立場で、一市民という立場で喜び、そしてその実現を夢見たのが当時のSACO合意中間報告でございました。  以来、この普天間飛行場返還に向けての時間は十九年を過ぎたと、先ほど申し上げたようなとおりでございます。  今や普天間飛行場は、ページをめくっていただきたいんですけれども、三ページになりますが、市の四分の一、四百八十一ヘクタールの合わせての人口密度は、次のページになりますけれども、四千九百名・一キロ平方メートル。しかし、普天間基地を除いた中での宜野湾市の人口密度は七千二百五十四名と。十九年前の返還合意のときの八万二千名余りだった人口が、今現在、九万六千名となっております。人口もこの十九年の間に一万三千名余り人口が増え、当時と比較しますと、当然、危険度市民に与える負担というものは数段に悪くなっております。  五年ないし七年の返還から、日米ロードマップの二〇一四年という年度が新たな返還期日として日米合意されましたが、その期日すら残念ながら延長された背景の中、今は、二〇二二年、そしてその後という統合計画普天間返還が進められていると理解しております。  我々宜野湾市民願いは、今も昔も変わらず、一日も早く返還をしていただきたい、そして、日中、夜間ともなく騒音問題で苦しんでいる市民に対して、その危険性基地負担軽減というものをしっかり取り組んでいただきたいというのが宜野湾市民願いであり、宜野湾市長として、九万六千名余の市民の生命、財産を預かる市長としての何よりも責任を持ってやらなきゃならないことでございます。  残念ながら、今現在、この普天間飛行場は一センチも宜野湾市から動いてはございません。先生方お話をさせていただける機会を与えていただいたことを感謝を申し上げながらも、この問題は解決する、解決をしなければならないということを国政の場でしっかりと取り組んでいただきたいというのが、今日、私がこの場で最も訴えたいことでございます。  危険性だけではなくて、御覧のように、普天間飛行場は町のど真ん中でございますから、北から南、西から東、どこへ移動するにしても普天間飛行場を迂回するような町づくりとなってございます。これはほかの、沖縄県の他市町村にある基地ともまた違う。まさに宜野湾市の町のど真ん中にあるがゆえに、SACO合意というものが、橋本当時の総理、そしてクリントン大統領の中での、世界一危険だと言われている普天間飛行場が町のど真ん中にあるがゆえに返還しなければならないというのが普天間飛行場全面返還原点であるということをお忘れになってはならないと私は思っております。  是非そのような視点で、もう十九年もたってしまった、あと二〇二二年までは更に七年、八年掛かってまいります。その間の危険性除去というものもやはり政府国会としてしっかりと考えていただきながら、市民に不安やあるいは苦痛や、あるいはまた経済的負担を与えないようなことを考えていただきたいということを是非お願いもしていただきたいと思います。考えるだけではなくて、やはりしっかりと市民が実感できる基地負担軽減危険性除去、我々は今、計画的な町づくりもできないような狭隘な宜野湾市となってまいりました。  政府おかげをもちまして、三月三十一日に西普天間住宅地区返還をされました。五十一ヘクタールでございますけれども、私は、その五十一ヘクタールの跡地が、今後、四百八十一ヘクタールの普天間飛行場跡地へとつながっていくものだと理解をし、そして、政府においても、あるいは国会議員先生方におかれましても、是非西普天間住宅地区が今後の跡地モデル地区となるように、私どもが今考えている国際医療拠点というものをしっかりと実現できるように、そして、それがひいては沖縄の未来にとっても、あるいは日本全体の振興にとっても私は寄与するものだと。  今後、この跡地に対しては全力で取り組んでいきたいと思っておりますし、そのためにも、沖縄北方特別委員会先生方を始め、国政の場で御尽力を賜っています先生方のお力添えが必要であるということを重ねて申し上げて、私のお話を閉じさせていただきます。  以上でございます。
  7. 風間直樹

    委員長風間直樹君) ありがとうございました。  次に、小川参考人にお願いします。小川参考人
  8. 小川和久

    参考人小川和久君) ありがとうございます。御紹介いただきました小川でございます。  本日は、意見陳述機会をいただきまして、誠に光栄に存じます。  私自身は、一九九六年四月の普天間飛行場返還合意のときの自民党側の当事者の一人でございます。それ以来、折に触れて直接実務に関わってまいりまして、それなりの考えを提示してまいりました。ただ、今日は十分間という意見陳述の時間ですので、お手元にお配りしたレジュメのうちの、与野党を挙げて確認をしていただきたいことについてのみ、まず申し上げたいと思います。  このレジュメの(2)、政府与野党が取り組むべき問題解決の手順の1)、原点に戻り、直ちに普天間危険性除去する、これをやれば、とにかく国会に対する沖縄県民の信頼は相当回復されると思います。しかし、私自身が関わってとにかく十九年、本当に危険の除去と言いながら何も行われていない、こんなばかなことがあるかというのが私の率直な気持ちであります。  移設先が決まり、その飛行場ができ上がったら普天間を閉じるなんて、そんなばかなことはないんです。私も、軍事専門家の一員ですし、元々陸上自衛隊のヘリコプターの部隊出身ですし、米軍の第一〇一空中強襲師団パイロットたちとも話をしても、こんなもの簡単にできなくて国なんか守れないよというレベルの話なんです。それを何にもやっていない。だから、これは辺野古になろうとどこになろうと構わないんですが、これをやるということが原点に戻るということであるということを与野党を挙げて確認をしていただきたい。それがないところでは、やはり、これは机上の空論ばかりにすぎないということを申し上げざるを得ないわけであります。  それから、これは(2)の3)、沖縄県民と以下の二点について確認を行うことと書いていますが、これは二つの点について、はっきりみんなで確認をしようよということをやらなきゃいけない。この①でありますが、沖縄県民米軍基地問題から解放されるための選択肢、これについて確認をするという話なんです。分離独立をする、あるいはアメリカの一部に沖縄県が自らなっていくという選択肢も理屈の上では成り立ちます。三つ目は、日本国沖縄県としてベスト答案を書いていくという選択肢であります。  一、二については、これはリアリティーがありません。大田昌秀さんが現職の知事当時、私、よく話をしていたんですが、やっぱり沖縄県民にはとにかく血を流す勇気がなかったという言い方を大田さんはされた。とにかく、分離独立といっても、独立宣言をすれば済むというわけじゃなくて、場合によっては内戦だって独立戦争だってあるということを前提にしなきゃいけない。リスクが大き過ぎる、だから選ばなかったということなんです。残ってくる選択肢は、日本国沖縄県としてベスト答案を書くことしかないじゃないですか。ところが、ほかに何かいい選択肢があるかのような明確でない前提議論が行われている。非常におかしいということなんです。  それから、いま一つ、3)の②でありますが、日本国沖縄県としての立場を選んで、それを受けて、日米同盟武装中立かということを確認しなきゃいけないという話なんです。日本国の安全を保つための選択肢二つしかありません。一つは、今のように強力な同盟国の力を活用しながら費用効果に優れた安全策を講じること。いま一つは、これはどこの国とも組まない、自らの軍事力によって一定水準の安全を確保する道、武装中立であります。どっちなのですかという話なんです。非武装中立というのは、これは実務家としてはあり得ない話だということを申し上げざるを得ない。  日米同盟を選んでいるということは、五兆円以内の防衛費範囲内で世界最高レベルの安全が確保されているという意味で費用効果に優れている。アメリカの属国のように見られているというのは、ひとえに日本側国際政治を歩んでいくための取組がない結果であるということなんです。ですから、そこのところをちゃんとしていく。  どこの国とも組まない、武装中立をやるのであれば、それなり負担に耐える覚悟があるのかという話なんです。これは私が勝手に言っているんじゃないです。防衛大学校の二人の教授が三年前に日米同盟のコストについて試算をしました。これは本になって出ておりますが、今のレベルの安全を独力で保とうとすると、年間の防衛費は二十三兆円レベル。これも一年じゃ済まない、十年か二十年続けてやっと防衛費を圧縮できるかどうかという段階です。その間、その負担に耐える覚悟日本人にあるのか、そこから入っていく。  沖縄基地問題もそうであります。ですから、やはり日本国沖縄県としてベスト答案を書く。日米同盟を選択しながら、そこで生ずる問題を全て日本国民を挙げてゼロに近づけていく、また沖縄県民負担というものを日本国民がひとしく分担をする、それをやらなければならないだろうということなんです。  これに関連する確認事項としてはあと二つありますけれども、一つは、整理統合、縮小が可能な米軍基地、これについてやはりちゃんと整理をする。また、沖縄から動かせない米軍基地についても整理をして確認をするということなんです。何でもかんでもどこかに持っていけると思っているようじゃ、これは平和を実現していくために自ら軍事問題をコントロールするという姿勢に欠けます。  それからもう一つ確認しなきゃいけないというのは、海兵隊地上部隊抑止効果を認識するということなんです。日本議論というのは、海兵隊は外国に出ていって戦う部隊だから日本の安全のために役に立っていないとか、たわ言みたいな話ばかりですが、抑止力というのは、日米同盟がすなわち日本にとっての抑止力なんです。日本列島に何か所米軍基地があるんですか。八十四か所です。これ全部公表されているんですよ。国会議員、全部メモなしでしゃべれなきゃいけない話ですから。あと日米共同使用施設(b)になっているのが五十か所ある。百三十四か所が米軍基地であると言ってもいいぐらいです。これを日本列島に乗せて、その日本列島から米軍アフリカ南端喜望峰までの範囲で展開していっている。これを支えられる国はほかにないんです。その中で日本抑止力について語ることができる。  これは、ほかの国が支えることのできない、提供することのできない戦略的根拠地であり、アメリカ本土に近い位置付けにある。これに手を出せばアメリカのげきりんに触れるということは、これは中国もロシアもみんな分かっている。だから日本の安全が確保されるという話なんです。そういう中で、陸軍、海軍、海兵隊、空軍、それぞれが基地を置き、抑止力を発揮している。  沖縄海兵隊について言いますと、特に地上部隊はウエートでいうと七割から八割を台湾海峡日本の尖閣諸島辺りに置いております。中国台湾を武力で解放する選択肢というのはほとんどないんです。アメリカ国防総省報告書にも出ている。  ただ、最後まで油断できないのは中国斬首戦と呼んでいる選択肢、首を斬り落とす戦い。これは、弾道ミサイルなどで台湾政治経済軍事の中枢をたたき、半日とか一日の短い時間の間にかいらい政権を樹立する。中国国連安保理常任理事国である関係国際社会が介入できない間にどんどんそれが既成事実化していく。これが一番アメリカにとってもリアリティーを感じざるを得ない選択肢であります。  ただ、その中国斬首戦に対して唯一の抑止力として有効性を持っているのが沖縄海兵隊地上部隊なんです。沖縄海兵隊地上部隊は、台湾海峡の紛争において投入できる部隊は一回に一千人にすぎませんが、この一千人と衝突することはアメリカ合衆国との全面戦争を意味する。だから中国はためらわざるを得ない。ためらわせるから抑止力なんです。そういう議論すら整理できていない日本議論というのは、これは国際的に通用しないという話なんですね。  ですから、とにかく、集団的自衛権議論もまさにそうでありますが、賛成ですか、反対ですかから入る国なんて日本ぐらいしかないですよ。何のために集団的自衛権議論するのかというところが明確にならなきゃいけない。それにおいても、やはり、日米同盟なのか、独自の軍事力を持つのか、どっちなんですかというところから国民に問いかけなきゃいけない。その中で、同盟関係を選択するのであれば、相互防衛前提ですから集団的自衛権の行使はまた前提条件になる、それはちゃんとしなきゃいけない。その上で、日本原理原則に沿った平和主義をどのように構築していくかという話じゃないですか。  沖縄の問題にも、まさに日本的な議論の欠陥というものが表れている。その辺は与野党を挙げてこれからお話を詰めていただきたいと思います。  時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  9. 風間直樹

    委員長風間直樹君) ありがとうございました。  次に、樋口参考人にお願いします。樋口参考人
  10. 樋口耕太郎

    参考人樋口耕太郎君) 沖縄から参りました樋口耕太郎です。  経済振興の話をさせていただきたいと思います。  沖縄復帰以来四十三年、沖縄振興開発計画等々、非常に目覚ましい成果が上げられたと思います。本当に多くの方が尽力されています。振興予算だけでも十兆円近くの累積額が投下されていて、県経済規模復帰から約八倍。観光産業振興が目覚ましく、振興計画のみならず、例えば一九九七年に那覇空港を発着する空港の着陸料施設料燃料税、大幅に減免され、あるいは美ら海水族館の新館、首里城公園世界遺産登録、あるいは二千円札の裏に守礼の門、沖縄を支えてくれる日本国のサポートが本当に感じられるようで、一九九七年から十五年間で観光客は倍増しております。  また、二〇〇〇年に九州・沖縄サミット、あるいは二〇一一年から中国人複次ビザ、那覇市を一泊する中国人に関しては複数回のビザが発行されるという特典。そして、現在は那覇空港の第二滑走路が進行中です。結果、沖縄を訪れる観光客は毎年七百万人の声を聞く来訪者数になり、観光収入は四千億円。  観光だけではありません。情報産業通信産業も目覚ましく、過去十年間で、これは二〇〇二年から二〇一二年のデータですけど、情報通信関連企業数は五倍以上。コールセンターなどを中心に大量の雇用が生まれ、過去十年間で雇用も五倍弱になっています。  おかげと言うべきなのか分かりませんけれども、人口増加も、流入と相まって少なくとも現時点において人口が増えている数少ない地方都市であり、経済成長率だけではなく、それに規模の深みが加わって、日本で最も景気の良い地方都市一つになっています。これは皆さん案内だと思います。  ところが、観光の質、労働の質、社会の質、これについては非常に問題が山積みどころか悪化しているんじゃないだろうか。観光の質も、一人当たり観光収入低下が止まらない。観光客一人当たり滞在日数低下傾向観光客はどんどん沖縄本島を離れて離島にばかり行っているように見える。あるいは、観光立県と言われながら、ホテルで働く従業員給料は全く上がらず、若者の給料は二百万円いけばいい方だ。長年勤めても給料は上がらない。子供をつくることも難しい。日本最低収入であることも依然として変わらず、情報通信産業がこれほどまで増えているのに、なぜ沖縄はまだ最下位の所得のままなんだろう。  あるいは、経済的なものだけではありません。教育問題、大学、高校とも進学率はいまだに最低水準大学卒業後の無業者は全国一位、就職率全国最低就職後の離職率も残念ながら全国一位。  あるいは、社会的な問題としては、いわゆるでき婚率全国的に一位であり、若い結婚は年収、生涯年収が低くなる傾向があって離婚率が高く、シングルマザーを大量に生み出す可能性があり、例えば花街で働く女性、ホステスの大多数はシングルマザーです。そうなると家庭の問題が生じる。子供の深夜徘回、不眠、睡眠不足。早稲田大学のレポートによりますと、一歳から六歳まで、年端もいかない幼児の七割強が睡眠不足という調査があります。  あるいは、死亡率死亡者当たりの自殺、これも全国トップ長寿県から転落し、六十五歳以下の死亡率全国高水準レベルを移動している。メタボ率トップ。あるいは糖尿病、高血圧、生活習慣病が広がっている。幼児虐待、DV、性的虐待、これも高水準だというふうに報告されています。  数量的な成果を実現する陰で、産業労働生活の質が著しく低下し続けている。これは非常に問題というか、とっても痛ましいことであって、我々の振興計画に何か足りないものがあったに違いない。この点に関して我々は深く向き合って考える時期に来ているんじゃないだろうか。多大な方々の今までの努力を無駄にしないためにも、今ここで発想を変えて、全然違ったアプローチでこの生活社会の質を上げるような方法はないんだろうかというようなことを考えて、随分長い間たちます。  沖縄は低所得県と言われますが、それ以上に日本最大の格差社会だというエビデンスもあります。振興計画が本土との格差を縮めることを目的として長年実行されてきましたが、本土と沖縄の格差です、ところが、それがゆえに県内に格差を生み、多くの社会問題の原因となっているのではないだろうか。沖縄振興は、沖縄と本土の格差を解消すること。しかしながら、それゆえに沖縄社会の内部に大きな格差が生じている。沖縄の格差は、大量の補助金が一部の既得権者に過剰に配分されていることによってこのようなことが起こっているのではないだろうか。つまり、我々が沖縄にとって良かれと思った補助金が傾斜的に配分され、社会の格差を生み、生活の質を痛めているとするならば、アプローチを変えるべきではないだろうか。  本土の格差とはやっぱり性質が違うんです。本土の格差は、やはり金融的な資本化と競争原理による労働収入の削減みたいなことが多分主流になると思いますが、沖縄の格差に関しては、やっぱりこの補助金、振興開発計画が非常に特色的で、全く発想の変わった、違ったアプローチでこの問題を解決できないかなと僕は思いました。  例えばです、私は沖縄に来て十年、岩手県盛岡市出身なので、沖縄にとってはよそ者。この地域の社会、文化を知るために、毎晩、松山という那覇の町で、一日五時間、夜の九時半から朝の三時まで、女の子もいない、カラオケもないところで、人の話を聞くために、内外の知識人が集まると言われている店に過去十年間通っています。毎日七人のお客さんがいらっしゃって、年間僕三百日その店にいますので、年間延べ二千百名、十年間やっていますので二万一千人の話を聞き続けて、何かそこから沖縄社会のような、文化のような、構造のような、問題のような道筋がないかということをずっと自分なりに考えてきました。  この振興計画は、文化に対する深い理解なしでは無理だというのが私の今の結論でございます。沖縄は本土とは全くと言っていいぐらい異なる文化を持つ社会で、よそ者の私だから逆に言えるのかも分かりません。あるテレビ番組でこういうことを申し上げました。沖縄はクラクションを鳴らさないんだと。本土だったら、違法運転とか不届きな運転をしている人間に対してクラクションを鳴らすと、いいぞ樋口、もっと鳴らせと言うかもしれないけど、沖縄は、鳴らした樋口の方をさっと見て、何で鳴らすのかなと僕の方が責められるんです。声を上げた人間の方が問題視される、あるいは加害者だというふうな扱いを受けて、結局のところ、声を上げる人間がなかなか存在しない。  これは言葉で言うだけでは難しいですが、本土の感覚とは随分違うので、なかなか理解することは難しいと思います。声を上げられない社会、ちょっとでも他人と違うことをすると物すごく目立って、一人だけ新しい物を持っていると、ミダサー、これは物を乱すという意味ですけど、と非難されて、その後、できなくなる、使えなくなる。  ある有名なミュージシャンが、私はとってもワインが好きなんだ、ウチナーンチュです、でも、これはひた隠しに隠している。ウチナーンチュに対して自分がワインが好きだということが暴露というか知られると、非常にウチナーンチュとの人間関係がこじれる。  私は大学で教えていますけど、教育の現場でも、文章はしっかり書ける学生でも質問を全然してくれない。声を上げて質問するという行為が、やっぱり周りの目を気にするということが非常に多いんだと思います。頭のいい子でも、賢い子でも、思考をしている子でも、やっぱり声を上げることが非常に難しい。  人材でも、会社の現場では部下を注意できない。注意をすると、逆にミダサーと言われて、何で、あの先輩怖いよねと、むしろ何か先輩の方が非難されるような雰囲気になる。  雇用でもそうです。例えば経営者が、自分の給料を上げよう、従業員を上げよう、業界水準以上に上げようと思って努力すると、周りの業界の人たちから、そんなに頑張らないでもねと無言の圧力が掛かる。  この手の微妙な感情の動きを物すごい鋭い感覚で感じるセンサーをウチナーンチュは持っているわけです。自分の居場所を確保するための死活問題と言ってもいいと思います。  ですので、例えば補助金がやってくる、補助金を管理する人間が社会全体に公平に分配しようと思っても、やっぱり親類縁者あるいは自分の側近たちが、そんなことをなぜするんですかと。やっぱり自分の血縁、グループ、あるいは自分の身近なグループを優先して配分しなければ、その人自身が居場所を失うという現象があるかもしれない。補助金が不均等に分配されるのを知っていても、社会全体に対してどれだけフェアに振る舞おうとしても、身内が反対することには非常に困難で、ある意味の同調圧力にあらがうことは難しい。  あるいは、既得権益の企業の多くは、複雑な株式の持ち合いなどを通じてお互いを縛り合っているという、こういう環境にあります。  ですから、このような方々に、別に彼らを悪者にしようと言っている意味はないんですが、補助金を投下しても、やはり格差は拡大するばかりではないだろうか。  大原則と言っていいと思いますけれども、無言のルールとして、沖縄は、物を変えてはいけない、声を上げてはならない、こういったルールがあるように感じています。  結果として、人材が育たない、新しいことをやろうとしている人間、イノベーションを起こそうという人間、やはり無言の圧力が掛かって頭を図抜けることができない。沖縄出身者というのは、非常に才能があるんだけれども、結局、活躍している人はほとんど県外あるいは国外です。成功した人間も沖縄に戻ってくるとまた潰される。したがって、社会全体でイノベーションが起こらない、創業者が生まれない、オンリーワン企業がほとんど生じない。結果として、産業の質が低下し、雇用の質が低下し、生活の質が低下し、数々の社会問題が生じているんではないだろうか。  この問題が仮に正しいとして、さあ、何をするべきか。この状態で我々がするべきことは一つだと思います。社会的、文化的な制約を受けずに実業として成り立つ選択肢、私は、とっぴに思われるかもしれないですけれども、JALの子会社、日本トランスオーシャン航空、かつて南西航空という飛行機会社を沖縄に買い戻して、社会的、文化的圧力から抜けるような独自の経営をして沖縄の人材を育成する、活性化する、そういったドラスチックな方法がこれからの振興に必要なんではないかと思います。  地方創生は、人の創生であり、人が生きないと社会は生きない。人を殺さない事業体が必ず必要で、人を殺さない事業体というのはそれなりの条件が必要だ。それは文化的なものであり、社会的なものだと。  失礼しました。時間がなくなりました。
  11. 風間直樹

    委員長風間直樹君) ありがとうございました。  次に、前泊参考人にお願いします。前泊参考人
  12. 前泊博盛

    参考人(前泊博盛君) よろしくお願いします。  樋口先生から沖縄経済については非常に詳細な報告をいただいているので、私、資料をお配りしてありますが、その中に今お話をいただいた部分もデータとして入れてあると思いますので、後ほど御参考にしていただければというふうに思っています。  今、格差社会という問題もありますけれども、沖縄振興計画において、この中でも、私も十五年ほど前にも参考人として発言をしたことがありますけれども、そのときにも課題として提案をしましたけれども、沖縄振興策で皆さんがこの政治の世界で一生懸命つくられた制度が果たして本当に生きているのかどうか、活用されているのかどうかというのが大きな問題だと思っています。  今おっしゃったように、十兆円という話もありましたけれども、トータルで大体十五兆円ぐらいのお金が沖縄に投入をされました。これは復帰四十年ぐらいの間ですけれども、その間に十五兆円のうちどれぐらいのお金が本当に波及効果に使われたかというところですけれども、沖縄の場合は、大体人口比で予算を配分しているのか、それとも面積比で配分をしているのか、その辺りの数字がよく見えてこないんですが、沖縄振興の場合には、よくお金をもらい過ぎている、あるいは基地があるからお金が入ってきているんだという話もされますけれども、これは内閣府の担当調整官をなさった方の試算でありますけれども、復帰後投入されたお金、この十五兆八千億円のうち、実は、日本全体の予算が同時期に二千四百六十九兆円ですから、大体〇・六%ぐらいが沖縄に投入をされたという数字が出ています。  そうすると、沖縄の面積に適用するような形の沖縄予算が投入されたという話ですけれども、これは逆に、復帰前は、じゃ、どれぐらい投入されたかというと、ほとんど投入されていないんですね。米軍統治時代にあって、六三年からようやく沖縄振興のお金は出るようにはなりました。七二年までで一千二百三十二億円です。全体の予算の〇・二%にすぎないということで、この分のスタートラインがかなり遅れているんですね。米軍統治時代のものがスタートが遅れて、そして復帰から本格的に日本振興政策が展開をされるんですが、それでも投入されている額は〇・六%、面積に当たるというんですが、その数字を見ると、そのうちの〇・二%は防衛関係基地関係の予算で出ています。ですから、実質的な民生部門に投入されたのは〇・四%ということになります。  沖縄に投入される予算が多い少ないという議論でいうと、トータルでいうと約八兆円ぐらい人口比でいうと少なかったということになります、八兆八千億円ですね。額的なもので多い少ないという議論が何度もされるんですが、実はそういうことはないというのを言わざるを得ないと思います。  それから、基地関係の予算で落ちてきているわけですから、これがどれだけ振興策に役に立ったかというところも課題だと思います。  今日、追加資料でお配りをした、数字に見る沖縄の実態について皆さんにお届けをしてありますけれども、この数字の中でいうと、先ほど樋口参考人からもあったと思いますけれども、格差が非常に大きくなっています。失業率も高い、それから雇用についても非常に質が悪くなっているというのがあります。  中にグラフを入れてありますけれども、沖縄振興策が展開される中で何が起こったかというと、復帰前、一次産業、二次産業、三次産業、この比率の中で特に二次産業を強化するというのがこの振興策の中でポイントになっていたはずなんですが、いつの間にか忘れられてしまって、そして結果としては、二次産業も一次産業も衰退して、第三次産業が九〇%ぐらい占めるような割合で物すごい肥大をしてきました。これは東京に次ぐぐらいのサービス産業に特化した沖縄県がつくり上げられてきています。  その結果、何が起こったか。グラフの中にもう一つ付けてありますけれども、雇用の質がかなり低下しています。観光業については基幹産業と言われていますけれども、このグラフを見てびっくりするかもしれませんが、雇用年収百万円を切る人たちが一万二千人ほどいます。年収です、月収ではありません。百万円を切るその仕事が何かというと、実は観光業です。観光業は、私も厳しい言い方をしますと、最初の頃は、観光植民地じゃないかという指摘、厳しい指摘までしましたけれども、それに当たるようなほど低賃金労働を強いられています。観光の華やかなイメージとは裏腹に、実は百万円を切るような年収の中できゅうきゅうとして転職をせざるを得ないというようなホテル従業員の声もたくさん出てきます。転職率の高さも非常に大きいです。結局は低賃金労働の中で耐えられないということで辞めていかざるを得ないようなところもあるということですね。  沖縄振興策については、これからもどんな振興策が出てくるか期待をされているところでありますけれども、これまでに出た、例えばIT特区ですね、それから金融特区、観光特区、物流特区、たくさんの特区をつくっていただいたんですが、成果がどれぐらい出ているかという検証が全くなされていないというのがこの委員会の限界のような気がします。  例えば、金融特区に至っては、二件ほどが立地したと言われていましたけれども、調べてみたらほとんどが撤退して、おりません。活用されていないんです、使いにくいんです。最初の入ってくる段階で、四十人の雇用を実現しろとか、あるいは二十人をと、立ち上げの段階で高い給料のそれだけの人間を雇えば立地ができないということになりますから、使えない制度。あるいは、観光特区、観光業を振興するためにと言いながら、投資減税の対象からホテルが除かれていたりする。あるいは、それを追加して入れたら、今度は利益を上げないホテルに限るというような意味不明な振興策が展開をされたりしてきました。  こういう振興策は、本当に自分たちでできる、あるいは発展をさせるための振興策かどうかというところでいうと、沖縄を発展させないための振興策ではないかというふうな、逆読みをするとほぼその理由が分かると言われるぐらい矛盾したものが出てきています。  新しい振興策について、じゃ、どういうものがあるかというところで、もちろん観光についても今後伸びてくる可能性ありますけれども、例えば、医療ツーリズムとかエコツーリズム、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、いろんなツーリズムが出てきています。その可能性が伸びてくる。それから、観光以外にも、基地ですね、基地経済、依存経済と言われてきましたけれども、基地からむしろ入ってくるお金よりも、基地を返して跡利用をする方がもうかるという話になってきています。  前回の知事選で実は翁長さんという方が、那覇市長が当選をしました。このときに経済界の中からも、もう基地は要らないという人たちがその勢力としてバックアップをしました。その理由、例えばキャンプ・シュワブに新しい基地を造ろうとしていますけれども、その基地を造ることよりも、返還をして観光で使った方がもうけがあると。あるいは、雇用効果、今二百人が、返されて私に預けてくれればと観光業界は言います。四千人の雇用が実現できますということを言います。  同じように、先ほど佐喜眞参考人からもありましたけれども、普天間基地も、フェンスの内側から軍用地料を含めて関連資金が入ってきますけれども、トータルで一ヘクタール当たり二千万円ぐらいです。ところが、フェンスの外側の宜野湾市の一ヘクタール当たりの上がりは、経済効果はどれぐらいかというと、八千万円を超しています。つまり、四倍ぐらいの差が出てきていると。  基地があることが不経済だということが言われています。安全保障上の重要性はいろいろ議論されるんですけれども、沖縄からすれば、基地があるために経済の阻害要因になっている。これは前知事の仲井眞さんも同じように指摘をしていたところです。こういう経済問題からすると、基地の不経済をどうするかという、あるいは発展そのものを阻害している基地をどけてほしいという、従来の反軍とかあるいは安保に対する批判というようなところから、経済の部分からの成長、発展を考えて基地に反対するという声が非常に高まってきています。  こういう経済安保の視点からしても、例えば中国と対立をする話がよく出てきますけれども、日本中国、あるいは日本アメリカの貿易額を見ると、アメリカは二十兆円、中国は三十兆円です。どの国を取るかという選択を迫ること自体がナンセンスな話でありまして、両方、この一位、二位の貿易相手国をどちらも取るというところでいかないと、この国は成り立たない。  その辺りを、防衛だけではなくて、経済の部分の安全保障についてもしっかりと議論をしていただいて、沖縄の問題についても、基地があるから振興策をあげるという体制から、基地がなくてもやっていける、そして日本経済の起爆剤として発展する、それを牽引する場所として沖縄地域の地理的なポテンシャルを改めて再評価をしていただければというふうに思っています。  時間がありますので、また質疑があればその中でお答えできればと思っています。  ありがとうございました。
  13. 風間直樹

    委員長風間直樹君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の進め方ですが、まず、各会派大会派順に十分ずつ質疑をいただき、その後は自由質疑といたします。  質疑の時間が限られていますので、質疑者及び参考人皆様には、発言はできるだけ簡潔にお願いします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 自由民主党、島尻安伊子でございます。  今日は、四人の参考人皆様に大変示唆に富んだお話をお伺いできたこと、感謝申し上げたいと思っております。  今回は、沖縄振興についてということと基地問題についてということのテーマでのお話ではあったんですけれども、沖縄の明るい未来を考えるときに、やはりこの沖縄振興の在り方というのは大変大事だと思っておりまして、ちょっと私の方からはその観点でお二人の参考人にお伺いをしたいというふうに思っております。  佐喜眞市長にお伺いしたいんですけれども、お話の中にもございました西普天間跡地五十一ヘクタールが返還されたと。市長が常日頃からおっしゃっておられる国際医療拠点、このことについてもう少し詳しくお伺いをしたいなと思っています。どういう構想をされているのか、あるいは、もちろんこれは国が関わって進めていかなければならないものだというふうに認識をしておりますけれども、その中で、特に宜野湾市長として国に対してのリクエストといいますか御要請というのがあれば、その辺をお聞きしたいと思っております。  そして、もう一方、樋口参考人にお伺いをいたしますけれども、これまでの沖縄振興の在り方に対して、この方向性、今、むしろ現状を見つつアプローチを変えるべきではないかという、大変何か、本当に勉強になるお話の内容だったというふうに思います。参考人がおっしゃっていた県内での格差、これをじゃ解消するには一体どういうやり方がいいのか。あるいは、このアプローチの仕方を変えるべきではないかというお話でしたけれども、どのようなまたアプローチの仕方があるのか。あるいは、今教育の現場におられているわけですけれども、人材育成等々、教育のこれからの在り方といいますか、その方向性等お聞きできればと思います。  その中で、今最後におっしゃった、航空会社の件もおっしゃっておりましたけれども、きっと言い足りないことがたくさんおありかというふうに思います。是非付け足してお話しいただければと思います。よろしくお願いします。
  15. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) 時間はよろしいんですか。
  16. 風間直樹

    委員長風間直樹君) 質疑時間、十三時五十三分までの中でお願いします。
  17. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) それでは、ただいま島尻先生の方からお話ございました西普天間住宅地区の件でございますけれども、残念ながら、お手元の方には西普天間住宅地区の地図は添付はしておりませんけれども、今年三月三十一日に返還された五十一ヘクタール、いわゆる普天間と、海軍病院がございますけれども、海軍病院の隣に返還された土地でございますけれども、そこに国際医療拠点ということで私ども今構想を練っておりますし、当然ここは、沖縄県、あるいは政府、そして宜野湾市、もう一つは琉球大学、琉球大学の医学部並びに同附属病院をそこに誘致をし、最先端の医療拠点としてそこに誘致をしようというのが今私どもが考えている大きなテーマの国際医療拠点でもございます。  そのためには当然様々なハードルがございます。例えば、どのような医療にするのか、最先端医療、ゲノム医療、あるいは製薬等々を含めて、これから練って練って練りながら、沖縄の独自の個性ある国際医療拠点、そして、ひいてはこれが、先ほど申し上げたように普天間飛行場跡地につながるような大きなテーマとして結び付ければいいのかなと思いますし、そのためにはどうしても返還されてよかったと思えるような跡地にしなきゃならないという視点からすると、政府のいわゆるサポートなくしてこの国際医療拠点というものは形成できませんし、その件につきましては、本日御出席くださっております先生方のお力添え、御理解も必要でございますので、是非この国際医療拠点に向けて、まだスタートしたばかりではございますが、いずれにしても、琉球大学の医学部、同附属病院がそこに移設することによって更なる国際医療としてのキャパを増やしていく、そういうものが私どもとしてこの西普天間の住宅地区に実現できるよう今後取り組んでいきますし、七月を目途に基本計画が立ち上がるものだと理解しておりますので、その都度、また先生方にお示しできるものは示していきたいと思っております。今現在、こういうふうな形で進んでおります。  自民党沖縄振興調査会におきましても小委員会を立ち上げていただきながら、政府の骨太方針にも入れていただけるような働きかけをさせていただいておりますので、是非御理解と御協力をお願いしたいと思います。  以上です。
  18. 樋口耕太郎

    参考人樋口耕太郎君) 格差の解消についてですが、沖縄一つの難しさは、格差を解消しようとして給料を上げるとやはり社会的な圧力が掛かるという見えない力があると思います。その力にかかわらずに、実際にどんどん給料を上げていく、従業員たちにどんどんイノベーションなことをやってもらうというためには、やはり外需型の産業じゃないと成り立たないと私は思っています。内需型では、お互い人間関係があり、縁故があり、取引業者があり、その中でやっぱり株の持ち合いがあった場合、自分は独立して歩むんだということは非常に言いにくい。ところが、東アジアあるいは県外から外貨を独自に稼げる事業体であれば独自にその経営ができるんじゃないかなと思っています。  また、南西航空というふうに私は呼んでいますが、この会社を沖縄に買い戻して、沖縄は今まで、那覇空港、石垣空港のような点ではなくて、離島便をたくさん飛ばすことによって面で売る。そうすれば、観光客滞在日数が当然延びる。那覇に来たらあと与那国に行ってみようかなと。三日、四日延びる。今平均で二泊しないお客さんが仮に平均で四泊するみたいなことになれば、すごく単純な算出ですけど、観光収入は四千億から八千億になるイメージができる可能性があるというぐらい、一社で物すごく経済的なインパクトをもたらす可能性があるわけです。  伸びるビジネスには人が付きます。やはり人を育てるためにはビジネスが伸びなきゃいけない、新しいことをしなきゃいけない、イノベーションを起こして初めて人が強くなるんだと。イノベーションが起こらない産業からは人が育たないので、会社自体を伸ばすために、やはり内需型、内側に伸びるのではなくて、外側に伸びる可能性を探すとなると、やはり消去法でこの会社しか残らないんじゃないか。  あるいは、人がそもそも、心に灯がともるというんですかね、俺たちもできるんじゃないかというふうにインスピレーションを受けることが非常に重要で、変な話ですけど、野茂英雄が近鉄を首になってロサンゼルスで新人王を取った。あのときまで日本人で大リーグで野球できる人なんか誰も思わなかったんだけど、あれからあれよあれよという間に日本人大リーガーが続出して、あっという間に日本人なしでは大リーグが成り立たないぐらいになっていると。これがインスピレーションの強さであり、このメッセージ性の強さというのがウチナーンチュに向けられて発したときに、もうどれだけのパワーが出るかということを非常に楽しみにしたいな、そういう社会性のある沖縄県民だと私は思っています。  それで、南西航空は一民間企業ですが、御存じのとおり、二〇一〇年一月二十七日、琉球新報の報道によりますと、JTAが合弁会社の南西航空としてスタートした一九六七年五月、JALと沖縄側の提携先企業が交わした合弁社契約書第七条において、日航は将来適当な時期に新会社の実質的経営権の主体を沖縄企業に移管すると明記されているというふうに報道されています。つまり、創業以来、いずれ沖縄に経営権を渡すということが前提としてスタートした会社であり、現在、JALの子会社として経営されていますが、大量の公的資金が投入され、一民間企業の利益ではなくて、社会全体に寄与するかどうかという非常に公的な視点から今この会社の将来を決めるべきじゃないかなと私は思っています。  ありがとうございます。
  19. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 時間ですので、終わります。
  20. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今日は、四名の参考人方々、ありがとうございます。  時間の関係で四名の方に質問できないことをお許しいただきたいと思います。  まず、佐喜眞市長に質問させていただきたいと思います。  市長さんは政治家でございますので、今日お話のなかったことも含めて質問なんですが、全面返還という観点からいいますと、佐喜眞市長は、例えば前回の知事選挙では仲井眞知事を応援をされて、辺野古移設という立場でいらっしゃったんですが、いわゆる全面返還ということといわゆる辺野古移設というものはどういうふうに市長の中で対応されておられるのか。つまり、全面返還ということと辺野古移設、賛成といいますか、の立場はどういうふうに市長の中で整理されておられるのでしょうか。
  21. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) 先ほどSACO中間報告、十九年前のお話をさせていただきましたけれども、以来二回も返還期日が延びたんですね。五年ないし七年というものが一度は延びて二〇一四年度となった。さらには、二〇二二年度又はその後というのが今政府が示されている返還期日でございます。累積すると大体三十年近くかかると。  もう一つは、今政府が言っているのは、固定化、継続しようというお話まで出てまいりました。私はそれについては、宜野湾市民の生命、財産を預かる宜野湾市長としては絶対あってはならないというのが私の一番やるべき仕事だと思っております。  SACO合意というのは、先ほど申し上げたように、橋本総理モンデール会談の中においてやったのが条件付でございました。当時の知事も、条件付でありながらも、それを歓迎しております。  我々は、出す側として今言えるのは、一日も早く出してほしい、一日も早くこの危険度から解放していただきたい。それは我々の市民の総意であって、それをしっかりと酌み取っていただけるのが私は国政であり政府だと理解しております。ですから、先生方に申し上げたいのは、是非私どもの声というものをしっかりと聞き入っていただきながら、どうやったらこの危険性除去をできるか、あるいは一日も早く返還できるかということを先生方が考えていただきたいというのが宜野湾市長としての立場でございます。
  22. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 済みません、私の方で質問しておりますのでお答えいただきたいんですが、したがって、今の辺野古移設案に賛成なわけですね。
  23. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) もう一度申し上げますけれども、このSACO合意から十九年たってまいりました。その都度、日米政府において様々な条件が整備されてまいりましたけれども、私は申し上げたい、もう絶対固定化はあってはならないということを常日頃から申し上げております。だからこそ、その移設先については政府が責任を持って整備をするものだと理解をしておりますし、当然その中で、国政の現場で、国会という現場で、様々な条件を整理しながら、原点である危険性除去基地負担軽減というものをしっかりと実現していただきたい。そのために汗をかくのが私の役割であり、宜野湾市民の生命、財産を預かる市長としての責任だと申し上げているわけでございます。
  24. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ちょっとお答えがあれなので、ちょっとまた後で質問させていただくかもしれませんが。  危険除去ということに関して小川参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどの説明の中のいわゆるプランBといいますか、危険性除去するためのヘリコプターを移設するということの中身と、それをこれから進めるにはどんなプロセスが必要であるかということについてお答えいただければ有り難いと思います。
  25. 小川和久

    参考人小川和久君) ここにプランBといったようなことを書いているのは、これ、専門家の一員としてどのような答案を書くことができるかということで、既に一九九六年の六月に書き上げて、今、内閣官房にいる高見澤官房副長官補がこれでいけると思いますと言った案であります。  ただ、これ、専門家としての案であり、政府が提示し実行しようとする案とは必ずしも一致するものではない。ですから、その辺野古の案については、専門家としての意見はありますけれども、政府政治的にそれをどのように推進していくのかというのはまた別の問題だと思っています。  ただ、原点であります危険性除去というのは、辺野古を目指すのであれ、ほかの移設先を目指すのであれ、これはアメリカ軍と話をすればそう難しい話ではないんですが、極めて短期間に、例えばキャンプ・シュワブのある一画に五十機程度の回転翼機、今でいいますとオスプレイが二十四機普天間に来ていますけれども、そのぐらいのヘリベースを、これは我々は戦場の基準で考えますが、二日ぐらいで造れないと国を守る防衛戦闘はできないんです。だから、陸上自衛隊のヘリの部隊だってそういうふうに、このヘリベースがやられそうだとなったら、二日ぐらいで違うところにヘリベースを突貫工事で造って、全部移動していくんですよ。  そういう発想で、普天間周辺住民の危険を取り除くという取組が行われなきゃいけない。これは私は、陸上自衛隊の中枢にも、ちょっと勉強しておいてくれということで、できるかできないかということを聞いて、できますという判断なんですね。これはもう総理大臣が号令を掛ければできる。  例えば、このキャンプ・シュワブでありますと、上陸作戦の訓練に使っておりますから、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」に、LCACという七十トン積みの大型ホバークラフト二隻ありますけれども、これに陸上自衛隊の施設科部隊の土木機材を積んでそのまま揚がる。で、突貫工事でやる。これ、政治的なある種のアピールでいうと二日ぐらいでやると極めて有効なんでしょう。ただ、これが一週間であり一か月であり、そのぐらいでできれば、普天間は閉ざすことができる。本当に舗装もしないような泥だらけの状態のヘリベースからだんだん仕上げていくんですが、そのキャンプ・シュワブの一画でありますと、海兵隊地上部隊と航空部隊の訓練は一切支障なくできるという話なんです。  だから、これはアメリカ軍側もそのまま受け入れるという話ですから、そのぐらいのことは、どこを目指すにせよ、どこにその移設先を決めるにせよ、やっていただきたいというのが私の思いであります。  以上です。
  26. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ということは、仮に今の辺野古案でいっていたにしても、今の前提の話が進めば、まさに五年以内の運用停止、五年以下で可能になるということにつながるのではないかと思いますが、そうでよろしいんでしょうか。
  27. 小川和久

    参考人小川和久君) これは、普天間の航空機を仮の移駐先に移した時点で普天間飛行場は閉鎖されるわけです。ただ、移設先が完成されるまでは、普天間飛行場を撤去というのは多分アメリカ側は受け入れないと思います。ただ、閉鎖をすれば普天間周辺で航空機が飛ぶことはなくなりますので、危険性除去というのは実現できるということです。ですから、御質問のとおりでございます。
  28. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 そこで、もう一度佐喜眞市長にお伺いしたいと思いますが、いわゆる固定化を避けるために、今のままでいってもあと七、八年掛かると。その際に、この辺野古案でいくという案と、あるいは、今、翁長知事が進めようとしておられる、つまりある意味では全面返還の話だろうと思うんですけれども、これは政治的に時間が掛かるかもしれませんけれども、ある意味ではどちらが時間が掛かるのかという面はあるんですが、固定化を避けるという意味で、今市長は、翁長知事がされようとしている動きか、あるいは政府がされようとしている動きか、どちらの方がより固定化を避けるために早くて実効的だろうと思われますでしょうか。
  29. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) 確認したいんですけれども、知事普天間返還するということをお示ししているということなのかな。知事の発信としては、辺野古を阻止する……
  30. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 新しい基地を造らせないということですよね。
  31. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) イコール普天間返還されるということまでは、まだ私自身確認されていないんですけれども。
  32. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 移設ではなくて、普天間を要するに返還をしてほしいという動きをされているんじゃないかと思いますけれども、おっしゃっていることは。
  33. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) 何度も繰り返しになりますけれども、我々はもうこの十九年近く、十九年待ってきた。その間というもの、どの政治であれ、どの政党であれ、どのような政権を持った政府であれ、返還を実現されていないんですね、残念ながら。十九年待って、今、辺野古あるいは……
  34. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 済みません、お話し中ですが、時間の関係で。  したがって、どちらの方向がこれからより効果的というふうに市長は思っていらっしゃるか、固定化を避けるためにという質問でございます。
  35. 風間直樹

    委員長風間直樹君) 佐喜眞参考人、時間が来ておりますので、手短にお願いします。
  36. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) 私の今の段階では、私が答えることはなかなか難しいと思います。それは、どなたがこのギャランティーを私に与えるかだと思いますけれども、少なくても、翁長知事がおっしゃられているようなことがしっかりと実現できるというプロセス、アクションプランというのが私どもの方にはお示しされていませんので、是非そこは私が申し上げたいのは、普天間返還する、危険性除去をするというものが原点であるはずですから、そこはしっかりと、宜野湾市民であれ、私のような宜野湾市長に対して説明あるいはギャランティーをしていただきたいというのが私の願いでございます。
  37. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございました。
  38. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博でございます。  今日は四人の参考人先生方、本当にありがとうございます。時間の制約上、佐喜眞市長樋口参考人に伺わせていただきます。  まず、佐喜眞市長でございます。  西普天間住宅地区返還、非常にエポックメーキングな出来事だったかと思います。また、市長のお言葉からも、今後の返還のモデルケースにしていくんだという力強い御決意も承りました。琉大医学部の移設ですとか重粒子研究所の設置などを検討されていると承知をしておりますけれども、政府もバックアップが必要で、佐喜眞市長からも今政府のサポートを求むという御発言もございましたけれども、具体的に目下の課題、日米地位協定の一部改定など政府としても取り組んでおりますが、目下、優先順位の高い項目で政府・与党に対して御要望事項ございましたら承りたいのが一点。  もう一つが、普天間基地危険性除去、これも政府を挙げて取り組んでいるところでございます。様々やっておりますけれども、一つは、KC130空中給油機が訓練が岩国に全部行ったというのは、負担軽減という観点からは一つ大きなことではないかなと拝察をするんですけれども、地元住民の皆様からすると、どういうような実感を持って受け止められておられるのか。私も実際あのタッチ・アンド・ゴーの訓練をフェンス越しに住宅地から見たことがございますけれども、やっぱり非常に住宅地に近いところに低空で轟音を立てて飛行機が入ってくる、本当に恐怖も覚えました。そういったものがなくなっていったということがどういうふうに市民皆様から受け止められているのかというのをお聞かせいただければと思います。  樋口参考人にお伺いしたい点は、社会的、文化的な制約を受けないようにしていくことが大切だという御示唆をいただきました。私自身も九州で生まれ育って、沖縄に深く関わり始めたのは三年前からでございます。沖縄に毎月行かせていただいて、いろんなお話を伺わせていただいて、文化的な違いというのは感じるんですけれども、一方で沖縄のすばらしい文化というのもたくさんあって、私自身は、沖縄の助け合いの精神というのは本当にすばらしい、我々も学んでいくべきだと思っております。沖縄と本土の格差を埋めていく第一歩は、やっぱり我々が、本土で生まれ育った人間が沖縄のことを深く理解をしていく、また沖縄の方にも本土に頻繁に来ていただいて、そして本土のことを知っていただくということが大変大切なんじゃないかなと思っております。  そんな中で、やっぱりJTAを沖縄の会社に戻すという方針、深く賛同いたします。ANAが貨物に関しては沖縄を拠点にいろんなことを始めておりますので、旅客をJTAがやられるというプランは大変興味深く感じております。  島尻先生のお答えにも回答されておられましたけれども、まだまだ言い足りないようなことがあるんじゃないかなと思いますので、事前配付資料は読ませていただきましたが、政府への要望も含めて、もう少し時間の許す限り語っていただけたらなと思います。
  39. 佐喜眞淳

    参考人佐喜眞淳君) それでは、西普天間住宅地区の件でございますけれども、お配りした資料の三ページの方にございますが、一つの大きな課題として、五十一ヘクタールの返還はされましたけれども、アクセスの問題がございます。  実は、この上の方になりますけれども、こちらの方ですね、五十八号線沿いには返還をされていませんので、どうしても五十八号線からのアクセス、いわゆるインダストリアル・コリドーというのがございますけれども、そこがその地域ですけれども、そのインダストリアル・コリドーを早期に返還させていただきたいというのは政府に対して要望をさせていただいておりますし、それは返還が早まればいいんですけれども、早まらなくても、アクセスできるような道路というものを是非できるように米側にも働きかけていただきたいというのがございます。  国際医療拠点は、先ほど申し上げたように、七月を目途に基本計画が立ち上がってまいりますので、その間、役割分担があると思います。重粒子については県が今調査研究をしておりますので、県の方で予算を立ててやると思いますし、あと、人材育成地域ということで、五ヘクタールぐらいは普天間高校を想定して移設をさせていただいておりますので、そこもまた県が主体的に行うものだと思います。  ただ、琉球大学あるいは同附属病院につきましては、どうしても予算が掛かることでございますし、国際医療拠点ということでありますから、今までのような琉球大学医学部あるいは同附属病院ではなくて、更にバージョンアップするためにやはり財政的な支援というものも必要ではないのかなと思いますし、その件につきましても政府あるいは国会議員先生方にもお願いをしたいと思います。  もう一つ普天間飛行場のKC130の件でございますけれども、私は着実に負担軽減に結び付いているものだと理解をしております。ただ、結び付いているというだけでございますからゼロではない。まだまだ騒音問題、特に夜間飛行の問題とか、あるいは、この地図でお分かりのように、宜野湾市というのは国道三三〇と国道五十八号線、あるいは県道三十四号線と県道八十一号線、それが宜野湾市の移動する大動脈なんですけれども、今人口が増え、那覇は通勤圏になっておりますので、渋滞が常にあるんですね、慢性的な渋滞も起こってくる。いわゆる騒音だけとか危険性だけではなくて、町づくりに対してのやはり負担も我々として感じていると。  ですから、できるだけそのような負担、目に見えない負担というものも含めながら、危険性除去基地負担軽減というものを一歩一歩前に進めていただきたいというのが私どもの素直な気持ちでございます。  以上です。
  40. 樋口耕太郎

    参考人樋口耕太郎君) 文化的、社会的な制約を受けない外需型のインスピレーショナルな企業というふうに申し上げましたが、だからといって沖縄に全く異物を持ち込んでも成り立たないと思います。やっぱりウチナーンチュの心に響くものでなきゃいけない。だから、単に本土企業の子会社という意味では私は全く成り立たないと思っている。これはあくまで、とことん究極的に沖縄のためでなきゃいけない。  ただ、私は本土の人間として沖縄に十年住んでいて、これよく言われるんです、樋口さん、沖縄のために頑張ってくださいって。正直言って、私、この言葉に多少違和感を覚えるんですね。私、岩手県の出身ですが、岩手にお客さんが来たら、岩手県が何かできますかと、多分そういうふうに申し上げると思うんです。  ですから、沖縄が本当に栄えるためには、沖縄のために全てをするんではなくて、日本の地方、東アジアのために沖縄がお役に立てる方法を模索するべきであって、今、地方経済で衰退をしている各地、沖縄だけじゃない、本当にいろんなところに問題があります。そこに飛行機を飛ばして東アジアにつなぐ、この成長著しい経済日本に持ち込む、沖縄があるからこそ経済がやってきたというふうに感謝されて初めて沖縄と本土の関係が本当の意味で良くなるんじゃないのかなと。沖縄以外のために沖縄が尽くして、結果として沖縄のためになる、そのためにはやはり沖縄内部の制約から解き放たれなければいけないと、こういう図式になっていると私は理解しています。
  41. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。
  42. 儀間光男

    ○儀間光男君 四名の参考人先生方、御苦労さまです。  維新の党の儀間です。  佐喜眞市長には、私、大体心のひだが非常によく共通したのを持っておって、真っ赤な顔をしていらっしゃるからちょっと休んでいただこうと、こう思っております。  関連しながら、小川参考人と前泊参考人に伺いたいんですが、そもそも沖縄基地問題は海兵隊基地沖縄に存続したことから派生するわけです。小川先生の今持論をいろいろレジュメを見まして感じたことは、小川先生は、海兵隊抑止力沖縄にとって重要である、いや、日本にとって非常に重要であるということでございました。  元の防衛大臣、森本防衛大臣は真逆のことをおっしゃっておって、沖縄海兵隊基地というのは実は軍事的にはもう必要ないんだと、政治的に置いているだけで、抑止力にはそう効き目はないと。近代戦争において沖縄の地域に抑止力として海兵隊がある必要はない、ただ政治的な判断で、いわゆる日米同盟のことをおっしゃっていると思うんですが、置いてあるんだと、そういうような議論をされておりますけれど、先生のお考えも併せて、この森本論にどうお答えしていかれるか、聞かせていただきたいと思います。
  43. 小川和久

    参考人小川和久君) ありがとうございます。  森本さんとは、元々、安全保障に関する考え方は八〇%程度は重なるところがあるんです。ただ、歩いてきた道筋というものが若干違うし、自衛官としての勤務した場所も違いますから、少なくとも海兵隊については私の方が専門的に申し上げることができるだろうと。あの方は航空自衛隊の後方部隊で三等陸佐で勤務されて外務省に移られた方ですから、その辺の発想は全く違うと思います。政治的な意味合いでしかないというのであれば、公開討論をしてもいいぐらいであります。
  44. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  前泊先生、基地振興の問題、あるいは基地から得る沖縄収入と、復帰後、今日までに沖縄はGDPも相当伸びまして、復帰時点では沖縄のGDPは恐らく五千億前後だったと思います。それから、軍からの取り前が七百七十億ぐらい。今日、沖縄のGDPは、この基地からの取りも含めて三兆九千億、約四兆ぐらい行っていると思うんですね。基地からも、伸びはしたけれども二千億から二千二、三百億でとどまっていると思うんですね。復帰時点で経済的に基地収入が占めたのがいわゆる一五%と言われていて、今は二千億ちょこちょこと三兆九千億ですから、五%程度だということです。  先生の示された基地返還後の経済効果と前の、町によって出されていますが、これトータルして、嘉手納以南の基地返還されて一千二、三百ヘクタールが解放されると思うんですが、そうなったときの沖縄県の、雇用失業問題はもちろん、経済効果というのをどう試算されているか。つまり、今までの使用収入に加えて、これから嘉手納以南の返還されたときの使用収入、この関連においてどういうお考えがあるかを語っていただきたいと思います。
  45. 前泊博盛

    参考人(前泊博盛君) ざっと一兆円ぐらいの損失があるということが沖縄県の試算では出ています。  その嘉手納以南という話ですけれども、今日お配りをしてある資料の中にも試算が出ていますけれども、これまで返還をされた場所で振興策、跡地利用に失敗しているところは残念ながら一件もありません。残念ながらと言っちゃいけないんですが、うまくいっています。それから、普天間基地のほんの数%に当たるようなところですけれども、今、ライカムという場所は、泡瀬ゴルフ場ですが、返還をされて、そこにイオンがモールを造って、それだけで三千人の雇用が実現しています。関連も含めると六千人という話が出ています。こういうごく一部が返還をされてこれだけの経済波及効果を持ってきているというところからしても、更にその返還効果というのは大きいものではないかと思っています。  ここで、今質問にもあったんですが、嘉手納から以南という話もありますけれども、最も経済効果が上がるのは嘉手納基地です。嘉手納については今もうほとんど議論をされないんですが、先ほど普天間危険性除去という話をしていますけれども、普天間飛行場基地内における事故件数、これまでの四十二年間で十五件です。これに対して嘉手納基地、どれぐらい起こっているかというと、もちろん固定翼もヘリも合わせてですけれども、四百四十九件起こっています。十五件が世界一危険な基地だというのであれば、四百四十九件起こっている嘉手納基地危険性除去はなぜ議論をされないのか、これが不思議でしようがないですね。  嘉手納基地返還された場合、これは嘉手納の面積を見ていただければ分かると思いますが、成田空港の倍の面積があります。そこから生まれてくるお金というのはどれぐらいかというと、大体、普天間基地も含めて三十三の米軍基地全てから合わせて二千億円の経済効果です。しかし、成田空港は嘉手納の半分の面積で、滑走路も四千メートル級二つの嘉手納に比べて三千五百と二千五百です。機能的にも一・五倍あるような嘉手納がなぜ使えないのかと不思議ですけれども、成田空港並みにいくと約一兆円の経済効果を嘉手納基地だけで持ってきます。雇用効果でいうと、今二千八百人ぐらいですけれども、これが成田並みに試算をすると、成田は半分で六万四千人の雇用効果です。  この議論をしていく場合に、税金を投入して、タコが自分の足を食っている、その抑止力のためと言われている嘉手納ですけれども、それを返還をされたときの経済効果を考えて、日本経済のインパクト、先ほど話も出ていますけれども、沖縄日本のためになる経済効果を考えていくと、すさまじい経済効果が上がってくるのではないかというふうに思っています。
  46. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  時間がいま少しありますから、もう一度、小川先生。  いわゆる集団的自衛権の話が今盛んですけれども、我が国と他の国々、どっちとは言いませんが、日本海、東シナ海、南シナ海、その前に台湾海峡、この辺での抑止力効果お話がありましたが、私見で申し上げますというと、こういう危険な状況があるとするならば、いわゆる北朝鮮も韓国も中国も含めてアジア集団安保をやったらどうだろうと、こういうふうな思いがするんですね。NATOやあの辺ができていてアジアができないはずがない。もし仮に日本アメリカの尾っぽを踏むのが怖いというのであれば、環太平洋を入れて集団安保をやれば、一触即発とか、そういう危険はグレーゾーンも含めて避けられるのではないかと思うんですが、先生の御見解を。
  47. 小川和久

    参考人小川和久君) ありがとうございます。  集団的自衛権の行使というのは、これは我々が同盟関係で安全保障を実現していこうとする場合には前提条件であります。それを行使容認という形で一歩を踏み出している。ですから、そのアジア集団安全保障といったような形に持っていくための一つの条件を日本は備えたのかもしれない、そういったことは言えると思います。ただ、日米同盟前提としながら、集団的自衛権の行使について、権利はあれども行使せずといったような非常にリアリティーに欠ける話をしている間は、日本が提案してもこれはなかなか乗ってくる国というのは少ないだろうと思います。  それから、集団的自衛権ということでいいますと、日本議論で出てこないのが不思議なんですが、戦後、アメリカ同盟国で攻撃された国はないんですよ。それはアメリカが怖いからじゃないんです。アメリカ同盟国をいっぱい持っています。アメリカ同盟国それなり同盟関係を持っている。だから、アメリカ同盟国を攻撃する国は世界を敵にする覚悟がないとできないという問題なんですね。だから、その意味で抑止力として非常に意味があるという話なんです。  それから、先ほども私、中国のテレビのインタビューに答えてきたんですが、やっぱり東シナ海と南シナ海については、中国は戦略的に差別化をしている。だから、中国人民解放軍が常に私に言ってくるし、私自身もそれは現実に確認しているけれども、東シナ海において中国日米と摩擦が起きないように、特にアメリカのげきりんに触れないようにぎりぎりで動いている。だから、尖閣で領海侵犯をする中国の公船、白い船ですが、一隻の例外もなく固定武装を持っていないんです、武装していないんです。南シナ海では武装したものを出しています。その辺は我々はきちっと押さえて、向こうなりに気を遣っているということを分かった上で、我々も、備えるべきは備え、また友好関係を更に進めるべきは進める、そういった関係でいかなきゃいけないんですね。何かそれを一般論で語っちゃうというのが、結構、集団的自衛権議論では気になるんです。  この間も、どこの党だったか忘れちゃいましたが、耳に聞こえてきたのは、例えばある国がアメリカを攻撃している、日本を攻撃してはいない、日本に対して攻撃しないと言っている、そのときも集団的自衛権を行使してその国を攻撃するのかという質問が聞こえてきた。  でも、これ一般論だとそのようなこともあるだろうと思うけれども、納税者の代表として税金の使い道から日米同盟の中身を分かっている国会議員の質問としてはまずいんです。アメリカ戦略的根拠地である日本列島を攻撃しないでアメリカを攻撃するという国はないです。だから、その辺も全部整理しなきゃ駄目なんですね。習近平さんに対して、アメリカはこの三年間で二回……
  48. 風間直樹

    委員長風間直樹君) 小川参考人、済みません、そろそろ御意見をおまとめください。
  49. 小川和久

    参考人小川和久君) はい。  じゃ、終わります。
  50. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  樋口先生、南西航空の話はまた一杯やりながらやりましょう。  ありがとうございました。
  51. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  前泊参考人にお伺いしますけれども、おっしゃったように、私も予算委員会調査等で沖縄経済調査、何回か伺っていますけれど、沖縄経済の発展が日本経済の、何というか、本当にリードする起爆剤になればと、本当にそういう可能性はあるというふうに思っております。  ただ、今、国会で審議されている、今もございましたけれども、集団的自衛権行使の安保関連の法案というのは、こういう話を、何というか、もう全然関係ないものにしてしまうというか、ぶっ潰してしまうんじゃないかと、そういう危険性があるんじゃないかと思うわけであります。  ちょっとそういう意味も含めて前泊参考人の御意見を聞きたいんですけれど、集団的自衛権行使でアメリカ軍事行動を起こす、やると、一線を越えるわけですね。そうすると、沖縄基地というのがアメリカと戦っている国にとってどういう位置付けになるだろうと。今までと違う局面に入るんではないかと。場合によっては沖縄基地が攻撃の対象になる、初めて攻撃の対象になると。あるいは中東派兵というのが、中東が第一の目的地のようでありますから、安倍さんの話ですと、そうすると沖縄基地だけではなくて沖縄の町がテロの対象にもなり得ると。  こういう点で考えますと、今、国会でまさに大変な事態になっていますけれど、この法案が通れば、こういう沖縄振興とか、こういう話以前の大変な危機的な状況になるのではないかというのが一つ私の問題意識です。  もう一つは、こういう経済振興の、今日のお話にもありましたけれど、アジアを照準にしてアジアの需要を取り込むと、特に中国ですね。ユニバーサル・ジャパンの進出というのは、やっぱり中国一つの、何というか、ターゲットといいますか、中国のお客さんをですね。ということは、そういう、集団的自衛権で今何か中国脅威論を非常にあおっている方々いますけれど、要するに緊張を高めて、東アジアの、こういう沖縄の、これからの需要、アジアの需要を取り込んでいくというようなこの戦略というものと逆の方向で、むしろ緊張を高めてしまう。  こういう点からも、今審議されている、私たちは戦争法案と言っているんですけれども、この法案については、本当に振興策までぶっ潰してしまうような話になるのではないかと思いますが、前泊参考人の御意見を聞きたいと思います。
  52. 前泊博盛

    参考人(前泊博盛君) 沖縄に住んでいると、この安全保障の問題というのはまさに身近な問題で、ここにいらっしゃる皆さんは、安全保障の議論は有事の議論をします。有事になったらどうするかという話を先ほどからも展開をしていますけれども、沖縄においては平時における安全保障の問題が非常に深刻です。  これは、戦争でもないのに沖縄では例えば仮想敵国が攻めてくるという話をして一生懸命守っていますけれども、仮想敵によって沖縄で被害を受けたというのは、殺された人は一人もいないです、戦後七十年間。ところが、米軍によって殺された人はかなりいます。被害の総数は復帰後だけでも五千八百件を超しています。平時における議論を何度お願いをしても有事の議論だけしていますけれども、さらにこれに有事の議論が出てくるとどういうことになるかと。今、平時における四十二年間で五千八百件の被害を受けて、そしてそのうちの五百七十件、一割が殺人、強盗、レイプ、放火といった凶悪事件です。米軍こそが最も最大の脅威であることを沖縄が一生懸命訴えても、そこには耳を貸さないで、仮想敵が攻めてきたらどうするかという議論を一生懸命なさっている。これは国民に対してとても失礼な議論だと思いますね。  それに加えて、今度、有事においてこういう被害が及んだらどうするかという話ですけれども、これは柳澤協二さんもおっしゃっていますけれども、沖縄海兵隊は核ミサイル三発で終わりだということを言います。そういう議論に対しては、ジョセフ・ナイさんもそうですけれども、ジャパン・ハンドラーと言われているアメリカの専門家たちが何と言っているか。余りにも多くの卵を一つの籠に盛り過ぎていると言います。沖縄に集中していることは、むしろ安全保障上もネガティブだという話をしています。  遡れば、六七年に、沖縄返還を前にしてアメリカは、もう既に沖縄の地理的優位性がなくなったということで、グアム、サイパン、テニアンに、沖縄基地を全廃をして撤退をする、あるいは移動するという、こういう構想も立てていました。これは読売新聞にも大きく報道されています。しかし、それを日本政府がいてくれと頼んでしがみついて、そして沖縄基地が残ることになったということも内部文書で明らかになってきています。  日本の中において、本当に日本の安全保障をしっかり議論しているのかどうかというところが心配になってきます。沖縄からすると、軍事安保に余りにも傾斜し過ぎて経済安保が軽視されているような気がします。それは中国との取引額を見ても、中国が三十兆円、今もう三十五兆円ぐらい行くかもしれません、アメリカが二十兆円。この差をなぜ無視して、第一と第二の貿易相手国を対立させるような形で選択をしなければならないのかという、安全保障の基本的な、経済安保の議論が全く欠けたところで議論をしている。それが非常にナンセンスなような気がします。  それから、攻撃をされることがないからこそ皆さんは受入れを拒否している。沖縄基地が、普天間問題にしても、最低でも県外とおっしゃった方もいましたけれども、県外を受け入れない理由は、先ほどの儀間先生からもありましたけれども、森本さんが言うのは、政治的理由から沖縄基地を置かざるを得ないという発言、これはまさに、この瞬間から沖縄では、基地は差別であるということを言われるようになりました。皆さんが引き受けないから沖縄が引き受けざるを得ないという話ですから。こういう形で、皆さんも多分知っていると思います、沖縄日本じゃないから、沖縄の人たちが犠牲になって、そこで手を打てるからというふうに思っているかもしれません。そういう形で、沖縄基地を集中させていることに対して全く反省がないままに安全保障の議論をすること自体が非常に非常識な話だと思います。  アメリカは既に国益委員会というものをつくって、アメリカにおける国益は何か、経済的なもの、あるいは政治的なもの、軍事的なもの、文化的なもの、全てを議論をした上で国益委員会報告書を出しています。これは、防衛省のある方からこの中身について相談を受けました。こういうものがなぜ日本にはできないのかという議論をしたら、日本議論したら二律背反でまとめ切れないと言ったんです。守るべき国益もないこの国が一生懸命防衛の議論をしていること自体がナンセンスだと思います。これはこの国会の怠慢だと思っています。  そういう経済的な安全保障も含めて、日米安保は経済軍事の両方から安全保障を議論していたはずですが、いつの間にか軍事的な安全保障だけが議論されて、経済的な安全保障が軽視されているような気がします。是非、その辺りも含めて、今回の安全保障の問題の議論の中では、軍事だけではなくて、経済的なもの、それから文化的なもの、あらゆる人間の安全保障も含めて。  それから、外交力の強化もそうですね。日本ほど外交官の数が少ないところもありません。僅か五千人。中国は八千人から九千人。フランスは一万人を超します。アメリカは二万人を超しています。これだけ外交力の差がある。そういう中で、軍事力を強化しようという議論だけやっていることもアンバランスのような気がします。沖縄余りにも依存し過ぎた日米安保をそろそろ国民全体で応分に負担をしていただくという発想も持っていただければというふうに思っています。
  53. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  54. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。  四人の参考人皆様方には、貴重なお話をありがとうございました。  まず、一括、お二人にお伺いしたいと思います。  前泊参考人、先ほどの参考人お話とも通じますけれども、米軍基地沖縄県経済の最大の阻害要因である、そうした声が経済界や保守政界の中からも公然と上がってまいりました。そうした声が結果的に翁長知事、保守のど真ん中におられた翁長沖縄知事を生み、また衆議院選挙の結果にもつながったと思っております。翁長知事のこの間の一連の行動についてどのように見ておられるのか、そして今後どのようにしたらいいというふうに思われるかということについて一点。  もう一点、それから、観光沖縄県経済の主要な産業でありますけれども、私も参考人から聞いてまさにそうだなと思ったのは、非常に劣悪な労働条件であるというお話もございました、年収百万円以下の方々の比率も挙げられて。しからば、どうしたらその労働条件を改善することができるのか、そのお考えについて。  それから次に、小川参考人にお伺いします。  小川参考人は、二〇一〇年、鳩山政権当時、ハンセン陸上統合案で対米交渉をされていたというふうに聞いております。そこで、三点伺いますが、辺野古では普天間代替として不十分であると発言をされておられます。どういう点が不十分であるのか。二つ目が、どうして辺野古案に戻ってしまったとお考えか。三点目が、辺野古は普天間代替ではないとして、私も社民党もそう思いますけれども、沖縄県ではまさに新基地建設だと、代替ではないという意見沖縄では強いわけでありますけれども、軍事的な視点から先生はどのようにお考えか。
  55. 前泊博盛

    参考人(前泊博盛君) まず、翁長知事について、私は、ちょっと評価が割れるかもしれませんが、翁長さんは保守本流であります。私も大田県政時代の翁長さんが県議時代の発言も見てきましたけれども、彼は自民党の中の自民党であります。その自民党の中の自民党が、今回、辺野古の新しい基地の建設だけは反対をしています。ただそれだけです。安全保障については、日米安保を認めています、集団的安保も認めていると言っている方ですね。そういう中であれば、コップの中の嵐にすぎない話を自民党はそれを支えることもできないのかということで、残念でしようがないです。  辺野古に新しい基地ができなくても、アメリカにとっては、安全保障自体、何の問題もありません、今、普天間をそのまま使っているだけですから。その普天間について、私、米軍関係者に聞きましたけれども、これ、基地の中のかなり重要なポストに就いている方が言っていますけれども、辺野古を造っても普天間は返さないと平気で言っています。それに対して、皆さんがどれだけ確証を持って返せると言える方がいらっしゃるかということですね。これ、二十年間、普天間返還問題については議論してきましたけれども、これは私はフェイクだと思っています。普天間は返りません。返すようなふりをして、二十年間、基地問題を封殺をしてきたような気がします。中にいるとそういう感じがします。  むしろ焦点は、この基地問題の焦点は、私は嘉手納だと思っています。嘉手納の危険性をどう除去してくれるか。これが、米兵犯罪の被害も含めて、地位協定の問題、私、何度も触れてきましたけれども、地位協定の問題も含めて改善ができないこの日本政治の中で、果たして普天間という問題を解決できる肝の据わった政治家はいるのかという話になります。  私は、この問題については、必ず大事な人たちが居合わせないとこの問題は解決できないと思っています。これは橋本さんとも何度も議論してきましたけれども、橋本龍太郎さんですけれども、あのときに、大田さんがいて、橋本さんがいて、そしてクリントンさんがいて、こういう主要なキャストがそろって初めて返還の問題が解決をできました。今この時期に、日本アメリカ、そして沖縄も含めて、どれだけのキャスティングがそろっているか、そして時の追い風がそこで吹くかということが課題だと思います。この問題、私は十年動かないと思います。二十年見てきた実感として、この問題はそういう実感があります。  そして、翁長さんが動かせるのかという話ですけれども、翁長さんが動かせないときは沖縄で大変な問題が起こるような気がします。これは、先ほど血を流す覚悟がなかったという話を議論の中で紹介をしていただきましたけど、大田さんのその言葉が、まさに今マグマをどんどんためてきて、そして翁長さんがそのことに対して一生懸命訴えていますけれども、そのことが伝わらないときに、まさに辺野古に行かれた方は分かると思いますけれども、日々、沖縄の人たち同士が、警察あるいは海上保安庁という形で割れて、そして反対運動を抑えていくという形で衝突を続けています。なぜ沖縄だけがこんなことをやらされなきゃならないのかという発言も、映画も、そしてリポートも出てきています。ウチナーンチュだけをぶつかり合わせて、そして高みの見物をしている本土に対する不満も出てきています。  それから、世論調査の中で独立についての数字が、私はこれまで無視していました、〇・何%の話だろうと。これが、今回の世論調査では五%、六%という数字に上がってきました。小川先生は夢物語のような形でこれまで押さえてきたかもしれませんが、数字として顕在化してきていること自体のメッセージをしっかりと受け止めてほしいと思っています。  これは、中国のメディアからもそういう観点での質問が増えてきているということを考えると、総合安全保障の観点からも、やはり翁長さんの行動に対してどれだけ日本政府が真摯に応えられるかということが、今後の沖縄問題あるいは日本問題に発展していくような基地問題を招きかねないというふうに思っています。  それから、済みません、長くなりましたけど、振興策の関連でいうと、やはり嘉手納がこれも私はポイントだと思っています。  那覇空港は既にもう満杯状態で、三分間隔で飛行機を飛ばすことの限界が来ています。これをあと六年間、沖合展開で待たされるということ自体、もうこれは危険性除去につながらないと思っています。明日からでも解決できる方法は、四千メートルの滑走路二つあるうちの一本を軍民共用で使って、そして渋滞の解消をしてあげること。そのことをまず安全性の確保というところからは対応して、そして沖合へ展開できるのを、工事ができたら、その段階で戻してもいいと思います。最低限譲って、そこまでは安全確保というところで嘉手納の軍民共用も議論していくべき時期に来ていると思います。  実際に岩国は自衛隊と海兵隊が使っていますけど、ここに全日空が入りました。軍軍民共用です。それから、青森三沢も軍民共用で使っています。これだけ広大な嘉手納が離発着回数で四万五千回しかないのに、なぜ一本で十五万回も飛んでいる限界の那覇空港の回避地として使えないのかという疑問があります。  有事の議論をされるのであれば、有事の際にはどの空港だって使えるわけですから、そういう民生の部分も含めて、安全保障、総合安全保障の観点から考えれば、嘉手納の軍民共用についてもしっかりと議論をしてほしいというふうに思っています。それが使えることによって沖縄経済の活性化は非常に大きく変わってきます。  それから、USJの話も出ていますけれども、これはやめた方がいいと思います。USJを沖縄に置くこと自体、例えば美ら海水族館をUSJに任せること自体、非常識ですね。一番収益が上がって、国費を投じて造ったものを、幾ら上がりがあるか、皆さん御存じですか。税金を掛けて造った施設が上がりが幾らあるかは、財団の情報だということで開示を拒まれています。造る金は税金で上がりは財団がという、こういう不透明な会計が行われています。その中で、もうかっている部分を切り離して民間企業に渡すということ自体が非常識な議論だと思っています。  むしろ、アメリカのそのUSJではなく、日本のジャパン・コンテンツで、日本のアニメのコンテンツでしっかりと新しいテーマパークを造っていく。これ、宮崎駿さんなんかも今回の基地建設に反対をしていますけれども、ジブリの森が沖縄にできるだけでどれだけの効果があるか。あるいは、あのキティランドが中国でどれだけの集客力があるか。日本が持っているコンテンツだけでも、ガンダム一つで四百万人が来ます。こういうコンテンツを集めたジャパン・コンテンツ・ランドをしっかりと造っていく。日本のパワーを沖縄で発揮していくようなコンテンツをテーマパークとして造っていただければというふうに思っています。  長くなりまして済みません。
  56. 風間直樹

    委員長風間直樹君) では、小川参考人、申し訳ありませんが、時間が既になくなっておりますので、手短にお願いします。
  57. 小川和久

    参考人小川和久君) じゃ、一まとめにお話をいたします。  私は、普天間飛行場返還合意のときからの当事者として、専門家の一員としてどういう答案を書けるかということを書いてまいりました。ですから、鳩山内閣が生まれたときに鳩山総理に対して、県外なんてとんでもないよという話をしたわけであります。そのときに同席してくださったのが藤田理事ですよね。そういう中で、鳩山さんはいろんなところの話を聞いてきて、最後に、二〇一〇年の三月二十日に公邸で私に対して総理補佐官になってくれと言って、それは私自身、自分のテーマだから一回整理をしなきゃいけないということで、民間人としてその整理をする作業をしたいと言ったら、アメリカがそれを受けたんです。日本政府の担当官が同席することが条件でした。  その中で、やはり専門家の一人として言えば、その前の自民党政権で着地しようとした辺野古というのは軍事的な合理性から見ると疑問符が付くだろうなということで、アメリカの国防総省の上層部やなんかと話をしていった。そうしたら、それなりに有事の対応を考えてはいるということを、それは分かったんですが、やっぱり辺野古だけで対応することは無理だろうという結論でしたね。ですからそれは、自民党が今、辺野古に進めようとしているのはそれなりの成算があってのことだと思います。有事にはあの飛行場が小さいからほかの飛行場でカバーするとか、そういう話だと思います。  ただ、鳩山政権のときには、最後、迷走状態で政権が終わってしまいまして、辺野古に戻ったという理由は私は分かりません。  以上です。
  58. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。
  59. 風間直樹

    委員長風間直樹君) 以上で各会派の質疑が一巡いたしました。これより午後二時五十分までをめどに自由質疑を行います。八分ほどでありますが。  質疑を希望される方は、挙手の上、指名を受けてから御発言願います。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。藤本委員
  60. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 民主党の藤本と申します。今日はいろいろとありがとうございます。  ちょっと時間がありませんので、本当はたくさん聞きたかったんですが、一つだけ。  IR、いわゆるインテグレーテッドリゾートと言われているんですが、基本的にはカジノなんだと思いますけど、随分昔から沖縄ではカジノの話が出ては消え出ては消えという、賛成の人、反対の人、いっぱいいると思うんですけど、前泊参考人並びに樋口参考人、もし、そのカジノ、これ日本でというのではなくて沖縄でということを考えた場合に、どのような御意見をお持ちになっていますでしょうか。
  61. 前泊博盛

    参考人(前泊博盛君) ちょうど来る直前に議論になっていたんですが、箱物を造るカジノのほかに、インターネットを使ったカジノというものが新しいスタイルとして今三十か所ぐらい出てきているようですけれども、そういう形であれば外貨を呼び込めるんではないかという相談を受けました。恐らく、新しいカジノ、IRの議論の中では、箱を造るこれまでの従来型のカジノと違う形の提案が出てきて、あるいはビットコインを使うのかと、いやいや、独自の通貨を、それぞれの国の通貨を使っているという話をしていました。  そういう形になってくればちょっと違う形のIRになるかと私は思いますけれども、沖縄におけるカジノについては私は反対です。なぜなら、今でも暴力団も含めて、あるいは会計上も、パチンコ業界も含めて明確なそういう会計の管理ができていない、それから裏社会、闇社会の管理ができていない。これは、パチンコ業界に私の関係者も何人かいましたけれども、廃業を余儀なくされているのは暴力団の動きです。そういう人たちが介入をしてくる、更にそれが強まる可能性があるということを言っています。  これについてはこの場で言うのが適切かどうかは知りませんが、司法当局もそこに関わっているという指摘があるので、沖縄については時期尚早という話をしています。そういう管理ができるような体制をしっかり取った上で議論は進めるべきという、そういう議論になるかと思います。
  62. 樋口耕太郎

    参考人樋口耕太郎君) 個人的な感覚的な話になると思うんですが、私、アメリカに暮らしていたことがありまして、カジノをいろいろ見て回ったことがあります、不動産金融をやっていましたので。まず思ったのは、数量的な経済規模に比べて視覚的な経済範囲が非常に狭いということですね。ラスベガスも本当に大きな経済規模を持っていますけど、上から見たら、このストリップだけでこれだけ稼いでいるのかと。一歩外れたら、やっぱり社会的な乱れというのかな、やっぱり非常に印象が悪くて、僕は個人的には非常に納得感がない。  カジノがどうこうという議論もあるんですけれども、そもそも我々、少子高齢化社会に突入して人口動態が大きく傾斜する中で、七十歳、七十五歳まで小遣い稼ぎじゃなくて普通に働かなきゃいけない。そういうふうな職場としてふさわしいかという観点がとっても必要だと思うんですね。  その意味では、何をつくるかというよりも、どのように経営するのか、何を運営するのかというふうな観点がとっても重要で、特に地方の議論からすれば、増田寛也さんのレポートじゃないですけれども、これから四十年間で、二十年間だったかな、出産女性が半分以下になる都市が日本で八百以上と。それは、どれだけ給料を上げても、どれだけ福利厚生しても、それだけ人が来ない時代が来るかもしれない。本当に人が働くということの良さを追求した企業でなければ、どれだけ給料を渡しても、売上げがあっても、利幅があっても、黒字で倒産するということが起こるんじゃないだろうかと。労働の概念そのものを変えるような議論につなげればいいんじゃないかなと私は思っています。
  63. 風間直樹

    委員長風間直樹君) ほかに質疑の方はいらっしゃいますか。藤田委員
  64. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 小川参考人にお伺いしたいと思いますが、いずれにしましても、地位協定の改定について、日本側がまともにアメリカ側に発信をしていないということがあると思いまして、いずれにしても、単に普天間だけではなくて、それが日米関係にとってもこれから非常に重要ではないかと思っておりますので、そのことについて見解をおっしゃっていただければ幸いです。
  65. 小川和久

    参考人小川和久君) ありがとうございます。  私のレジュメの一番下、(2)の4)というところで、日本国民が等しく負担するための提案ということを三点ほど書いておりますが、やはり、犯罪、事故、環境問題ほかについて米国政府と特別協定を締結する、それがない限り、どんな振興策を提示しても、沖縄県民立場で考えますと、不信感というのは払拭できないだろうと思います。やっぱり犯罪や事故の問題をきちっと抑え込んでいく。  筋道からいいますと日米地位協定の改定ということが必要なんでしょうが、これはアメリカがやはりほかの国に波及することを恐れて認めないだろうと。ただ、二国間の特別協定であれば可能性はかなりあるだろうという感じがいたします。  私自身は、地位協定などなくて済むぐらいの同盟関係じゃないと駄目だよねということを、二〇〇九年の六月の十日にリチャード・アーミテージ氏と二人でしゃべっているときにそういう話をしたら、いや、集団的自衛権を行使していないから、そんなことは無理だよという話をするから、集団的自衛権政府が行使するかどうかはこれから政府が決めていくだろうけれども、日本は実態としては集団的自衛権を行使しているに等しいようなアメリカ戦略的根拠地を提供しているという話をし、彼は私の説明に対して納得したという感じでした。  ですから、既に集団的自衛権を限定的にせよ行使するということを政府が言った以上は、この特別協定に当たるものをきちんと締結できるようなアプローチというのは、政治の責任として与野党を挙げて進めていただければと思っております。  以上です。
  66. 風間直樹

    委員長風間直樹君) ありがとうございました。  申合せの時間となりましたので、以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様にお礼の御挨拶を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして、大変示唆に富む、また刮目すべき御意見を賜りまして、非常に感銘を受けました。厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十九分散会