○白須賀
分科員 このたびは、
質問の
機会をいただきましてありがとうございます。
白須賀貴樹でございます。
経済通をうならせている
塩崎大臣の胸をかりるつもりで、
質問をさせていただきたいと思います。
大臣、朝からお疲れでございますので、ちょっと頭の体操で、豚ちゃんとか牛ちゃんとかを数えるのは一頭、二頭。これは、食べた後に残るところが頭のところだから、一頭、二頭という数え方。例えば、お魚の場合には一尾、二尾。残るところが尻尾ですから。また、鳥の場合には一羽、二羽。羽のところが残る。では、人間は何と数えるか。一名、二名。これは、人間は死んだら名を残すというところからだというふうに私はとんちで聞いております。
そんなくだらない話から始まりまして、おもしろくなかったですね。失礼しました。
私も最初にさまざまなことを話させていただきますが、まず最初に、私なりに理解しているアベノミクスについて、
大臣に、そのことも含めながらお話をさせていただきたいと思います。
そもそも、我が国がデフレで苦しんでいるのはなぜかというと、やはり要因の
一つに、不良債権の処理のときに、企業が設備投資を減らして、研究投資も減らして、そして賃金も減らすことによって、何とか不良債権を返済していこうというふうに、国全体で借金返済のために動き始めた。
結果的に、我が国の従業員の方々の賃金が下がりましたから、
日本全体の購買
能力が落ちた。そのために商品がだぶついて、またその商品を売るために値段を下げる。値段を下げると、また企業はどこでそれを担保するかというと、設備投資であったり、
研究開発であったり、賃金であったり。結果的に、また購買
能力が落ちる。この悪い循環によって、デフレスパイラルが始まった。
我が党は、それを逆回りしていこうということで、賃金を上げていく政策をしたり、金融緩和をしたり、財政出動をして何とか会社にも体力を与えて、また、リーマン・ショック以降、ユーロは二倍以上紙幣を刷ってマネタリーベースを上げ、ドルも三倍以上刷っていたが、円は一〇%ぐらいしかふやしていなかったために、過度な円高に振れてしまっている、それを是正するためにも、やはり金融緩和も大胆にしていかなければいけなかった。
さまざまなことをしていく中で、例えば法人税のことも考えて私たちは議論をしてきました。
そもそも、二〇一二年の会社の方の内部留保は三百四兆円近くあって、二〇一三年に向けて三百二十八兆、二十四兆円もふえております。そしてまた、内部留保がふえていくということは、それで法人税を下げることは本当にどういうことなんだという議論もあると思います。
ただ、私たちはもう
一つ考えなければいけないのは、これから
日本は、二〇二五年に団塊の世代の方々が皆さん七十五歳以上になって、二〇三〇年には人口減少社会が始まり、一年間に百万人ずつ人口は減っていくので、
宮崎県の人口が約百十二万人ですから、毎年毎年
宮崎県民が丸ごといなくなるような時代が、あとわずか十五年後にやってくる。結果的に、購買
能力も国全体が落ちますし、また、生産者人口、労働者の方々の数も減ってくる。
我が国の人口は減りました、結果的に、物をつくる
能力が落ちました、国力が落ちましたということは絶対に避けなければいけませんから、それこそ、工場、また農業の分野においてもやはりオートメーション化して、ロボット化して、設備投資をしてもらわなければいけない。
そのための設備投資減税であり、
研究開発減税であり、これから少数精鋭で向かわなければいけないから
雇用促進税制であったりその
人材を育成するための減税であって、そのトータルが法人税の減税であるわけで、外国の企業を呼ぶために法人税減税をするわけではなく、我が国の国力全体を底上げするための方策が、私たちのアベノミクスの第三の矢でありますから。
この国力全体を底上げするためには、やはり時間というものはかかります。ですから、マスコミの方々や野党の方々が、全く第三の矢が見えていないとかさまざまなことを言いますが、私は、じりじりじりじり国力を上げていき、そして、十年後の人口減少社会にもしっかりと、企業が物をつくる
能力や、農業においても、農産物をつくる
能力を得るための設備投資も含めて、十年後に花を開くための政策が第三の矢だと思っておりますので、そういった
意味で、私は、このアベノミクスをトータルで非常に評価しております。
また、なぜ最初にこんな経済的な話をして、これは場所が
厚生労働委員会だから違うよというお話があるかもしれませんが、私の根底の考えは、あくまで
社会保障は国力に準ずるべきであるんです。ですから、本当に
社会保障を厚くし、困っている人たちを助けるためには、国力を上げていくしかない。国力を強くしなければ、本当にやりたいことや、困っている人は助けられないと思っております。ですから、まず最初に、ベースの話としてこの話をさせていただきました。
そして、これから少しずつ本題に入っていきますが、私は、
社会保障の
制度を支えている中の大きなものの
一つが年金だと思っております。その年金の中のかなめは、やはり年金積立金
管理運用独立行政法人でございます。私はこのGPIFに対していろいろと思い入れがありまして、やはり、ちょっと冷静に議論をしていかなければいけないと思っています。
まず最初に、GPIFを語る前に、国債について考えていくべきだと思っております。
我が国の国債がこれからどうなっていくかを冷静に議論していきますと、例えば、海外の、いわゆる銀行を評価するさまざまな機関は、今までは自国通貨建ての自国債券に対しては、ほぼ一〇〇%、簿価の評価として認めてきました。
しかし、これからそれが本当に評価されるかといいますと、例えば、ドイツ銀行がギリシャの国債を持っております。ユーロ建てでございますから自国通貨建ての自国国債でございますが、これを本当にそのままの評価をできますか、そういう議論は必ずありますので、この先、さまざまな銀行を含め、金融機関が持っている国債がどんなに自国通貨建てであっても、一〇〇%簿価の評価ということはあり得ないと思います。ですから、我が国の国債がこの先どういう評価をされていくかというリスクがまず
一つ目。
二つ目。我が国がこのままアベノミクスでしっかりと政策を回して、特に、二十七年度の物価上昇が、今、予測として一・〇。しかし、これは、原油の下がる分、〇・七から〇・八を引いた一・〇ですから、実際は一・七から一・八のインフレ率ということを考えられますし、その翌年のインフレ率予測でございますけれども、二・二の
状況でございますから、このままアベノミクスがうまくいくということは、最終的に実質金利が正常化してくる。
つまり、実質金利が正常化するということは、今のマイナスを異常とすれば、プラスになっていく。実質金利は、御存じのとおり、金利からインフレ率を引いたものですから、日銀のインフレ目標が二%ですから、いわゆる金利の方は、二%を超えなければ実質金利はプラスになりません。
そうすると、金利が上がっていく中で、我が国の低金利の国債が、次に金利が上がったときに、本当に今の価値のまま存在できるのかということは冷静に議論をしなければいけない。私は、こんなことを言うと問題ですけれども、やはり評価は下がると私自身は感じております。
こういった今の国債の、国債さえ持っていれば安全だという、これはもうはっきり言って神話だと思いますから、これからは国債のリスクも、破綻するとかそういう極端な話じゃないですよ、そうではなくて、その評価がどう変化するかということは冷静に考えなければいけません。
そこで、
塩崎大臣が基本ポートフォリオを変えていただきました。数字を覚えていないので、ちょっと見させていただきますが、見直し前は、国内の債券は六〇%プラマイ八%、国内株式は一二%プラマイ六%、外国債券は一一%プラマイ五%、外国株式は一二%プラマイ五%、短期資産が五%。
平成二十六年六月末現在で、国内債券は五二%、国内株式は一七%、外国債券は一一%、外国株式は一五%、短期資産が五%。
大臣が基本ポートフォリオを見直していただいた結果、目標値としては、国内債券は三五%プラマイ一〇パー、国内株式は二五%プラマイ九パー、外国債券は一五%プラマイ四パー、外国株式は二五%プラマイ八パーという形になりまして、今現在の、私が知り得る一番今の構成割合は、国内債券が四三・一三%という
状況になっております。今現在、四〇%近くの国債をGPIFは持っていますし、三五%のプラマイ一〇パーですから、ほぼアッパーアッパー分、まだGPIFは保有しております。
これは、先ほど言ったさまざまなリスクを考えると、やはり分散投資をしていかなければいけません。つまり、国債の保有率を、大変言い方は悪いんですけれども、極力、三五パーのマイナス一〇パーの方の、二五%ぐらいの、四分の一近くにまで、ある程度下げていきながら、ほかのところに分散投資をしていかなければいけませんが、そのときに一番大切なのは、どうやってこの分散投資をするときのリスクを回避するかということが一番の問題です。
このリスクを回避するためには、何が必要かというと、やはり、その組織のガバメントをしっかりと
強化していくことと、高度な
人材をしっかりと集めておかなければいけない。この二つがなければ、どうやってもできないと思います。
例えば、高度な
人材を集めました、基本給でいきなり高いサラリーを出すということが難しかったとしても、大きな投資に成功してリターンがしっかりと来たときには、ボーナスでビッグボーナスをどかんと出してあげるとか、そういう
システムも私は必要だと思います。
また、ノルウェーとかカナダとか、さまざまな年金ファンドが長い歴史を持っているところと
人材交流もして、さまざまな金融工学の発達のために
人材交流もして、知識を持ってもらわなければいけない。
そしてまた、意思決定をするべき理事会と、CEOを初めとする執行役員、そしてまた、いわゆる金融の専門家、そういう方々が、アクセルとブレーキとハンドルの役割をしながら、三つどもえじゃないですけれども、にらみをきかせながら、いわゆるGPIFを、名前は変わるでしょうけれども、そういったもののアクセル、ブレーキ、ハンドリングをしながらガバメントをしていかないと、私は、今の現行
制度は、どうしても理事長に権限が集中し過ぎている。
これは、一人の判断で、百三十兆を超える我が国のGPIFの投資を本当に決めていいんですか。国債ばかり持っているそういう時代ならまだいいんですが、これから分散投資をしてリスクヘッジをしていかなければいけないときに、リスクマネジメントをするのが理事長一人で本当にいいんですか。
私は、必ず、最初に、本来は、ガバメントの
強化をしたときに、それで初めて基本のポートフォリオを変えていくべきであって、ちょっと順番が違うのかなと思いながらも、今、日銀が国債を買ってくれるこのチャンスに、GPIFがたくさん保有している国債は、言い方は悪いですけれども、売ってしまえと思っております。
そして、ある
意味、リスクを日銀さんの方と共有しながら、そして、いかに集まった資金を投資して、積み立てていくか。
そこで一番大切なのは、どんな方法が、どういうガバメントをしたり、どういう
人材を集めることが安定的なリターンをもたらして、そしてリスクマネジメントができるか、これはしっかりと議論しなければいけないと思っております。
私は、
大臣にお聞きしたいのは、このことについて
大臣がどんな思いがあって、どういうふうに考えられているのか。本当に、胸をかりるつもりで、
大臣の思いをしっかりと聞きたいと思いますので、時間は全部使って結構でございますので、教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。