○
玉木委員 これはなかなか
執行は難しいと思いますよ。
受けたいという人は二十三万ヘクタールありますけれども、出したいという人は、これは
最新の
資料をいただいていませんけれども、その約十分の一の二万ヘクタールぐらいですよ。幾ら受けたいという人が二十万以上いても、出したいという人がそもそも二万ぐらいしかいなければ、
予算の
執行なんかできないし、マッチングなんかできないんですよ、これは。そういうところの分析をして、やはり
予算をしっかりと計上して、
執行状況も見ながら来
年度予算につなげていくということが重要だと思います。
次の
資料、五、六を見ていただきたいんですが、私は、民主党時代の
戸別所得補償制度を金科玉条というか、これが全て一〇〇%正しいとは思いませんが、ただ、この間やってきた、それは自民党政権になってからも一年間継続していただいた、この四年間の分析はやはりした方がいいと思うんです。
なぜかというと、これはたしか参議院の
予算委員会で、我が党の羽田議員が
総理に、なぜ所得補償をやめたんですかというふうに
質問をした際に、
総理はこのように答えています。旧
戸別所得補償制度については、担い手への
農地集積のペースをおくらせる面があったと。
林大臣からもこういう
答弁をいただいていますが、私はこれは事実に反すると思います。
資料を見てください。
農水省は、集積が進んでいくということをあらわす数字として、この権利移動
面積をいつも挙げますけれども、
平成十九年、これは、いわゆる品目横断とか入れて、麦とか菜種に対してきちんとゲタが入った、所得が安定したときに、ここには書いていませんが、十七年、十八年に比べてぐっと
農地の権利移動
面積がふえます。
ただ、一旦これが落ちついて、どんどんどんどん下がってきていたんですね。それが、
平成二十二年に所得補償制度のモデル
事業を入れたことによって、むしろこの権利移動
面積のペースが落ちていたのが歯どめがかかって、ふえているんです。
これが何をあらわしているかというと、
戸別所得補償制度がすばらしいということじゃなくて、自民党時代の品目横断も含めて考えてみると、やはり所得を安定させる仕組みを入れたときに初めて面的集積が始まると思うんです。何でかというと、ことしのことをよく見るとわかるんですが、
米価が下がったりすると、怖くて
面積を拡大できないんです、大規模農家が。
ですから、安心して面的集積を行えるセーフティーネット、環境整備をすることが実は面的集積を後押しするという面も、これはもう
戸別所得補償が憎いとか憎くないとかじゃなくて、この所得補償が果たしてきた意味については、もう一度分析をしていただきたい。
資料の六です。
これは所得補償の所得への効果なんですが、これも同じです。二十一
年度までずっと下がり続けてきたのが、二十二年にモデル
事業を入れたことによって、対前
年度一七%、農業所得がふえています。覚えていらっしゃると思いますが、二十二年もことしと同じで、六十キロ二千から三千円下がった年なんですね。
米価が下がったのに、対前
年度一七%、農業所得、これは統計上の概念です、これがふえて、そしてさらにふえる傾向がある。
二十三
年度は東
日本大震災があったのでちょっと減っていますけれども、二十四
年度、これは自民党政権になってからも一年間続けていただきましたから、この傾向については、やはりこれはもう一度謙虚に分析していただくことが必要だと思っています。
そこで
質問です。
資料七を見てください。
これは、今般、食料・農業・農村政策審議会でも原案として出されましたけれども、いわゆる
政府・与党が掲げている農業・農村所得倍増計画についてであります。これは私がつくったものではありません。審議会が出した
資料です。
ここにあるように、農業所得は二・九から三・五兆円に十年間で二割増し、一・二倍になるということになっています。倍になっていませんね。でも、合計したものは四・一から八兆円に二倍になるとなっています。
ここを捉えて、これは農業所得倍増ではないことがポイントで、農業・農村所得倍増計画にあえてしていることが問題なんです。
では、何を入れているかというと、ここです、オレンジ色のところを見てください。農村地域の関連所得が一・二兆円から四・五兆円になって三・八倍にふえるので、これらを足し合わせると二倍になって、農業所得は二割増ししかならないけれども、農業・農村所得は倍増しますという
説明をしているんです。
でも、これは、テレビに出るとき、新聞に出るときは農業所得倍増とか出るんですが、私、これは明らかに誤解を与える表現だし、そうなっていると思うんです。
質問なんですけれども、関連所得、これは何度聞いてもわからないんですね。統計上の概念じゃないと思います。
一つ例を挙げます。
農業所得は、酪農、畜産、それと牛肉、豚肉、乳製品、米、麦、菜種、全て農産物が入っています。しかし、関連所得になった途端、例えば輸出とかが入ってきて、そこには海産物、缶詰、こういうものの増加分も全部ここに入れるんです。私はとてもこれは、学生の論文なら落第ですよ。
これをもって倍増というのは少しきついと思うので、私、十年で二割、いいじゃないですか、十年で二割農業所得がふえるというのはいい目標だと思うので、このことをもっときちんと語って、余り誇大広告のような倍増目標というのはもう取り下げて、現実的な目標の中で進めていった方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。