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齋藤(健)
委員 自由民主党の
齋藤健でございます。
本日は、
安倍内閣が
改革断行国会と位置づける中で一番手として取り組むことになります六十年
ぶりの農協
改革と、報道等によりますと正念場を迎えつつありますTPPにつきまして、
質問をさせていただきたいと思います。
その前に、その前提として申し上げておかなくてはいけないのは、今、
日本の農業は大変大きな曲がり角にあるということでございます。
これから国内の
人口はどんどん減少をしていきます。まだ毎年二十数万人ぐらいの減少でありますが、これから加速がついていきまして、毎年八十万とか百万とか、そういう勢いで
人口は減少をしていきます。
人口が減少すれば、
我が国の農産物の国内需要も、当然のことながらそれにつられて減少をしていきます。
日本農業が今までと同じことをやっていたのでは、国内需要の減少に応じて農家の所得も必然的に減っていく、こうなっていく事態がもう目前に迫っているわけでございます。
このような事態に直面しても、なお、
日本の農家の所得を維持し、そして向上させていくためには、大きく言えば方法は二つしかございません。
一つは、国内の需要が減少していくのであれば、海外の需要をとりに行く。それが一つの方法であります。そしてもう一つは、生産に偏っておりました農業が、流通ですとか加工ですとか製造ですとか、そういうところに出ることによって、そこで付加価値を高めて農家の取り分をふやしていく。この二つの方法以外に手はありません。
もちろん、全てに共通することといたしまして、コストを下げていって取り分をふやしましょうとか、自給率を上げていきましょうとか、そういう試みは当然あるわけでありますが、大きな方向としては、今申し上げた二つの方向しかないんです。
しかも、今の農家の
高齢化、平均年齢は六十六歳を超え、稲作に限れば七十歳を超えるという
状況で、
改革に残された時間は限られております。
そこで、農協
改革でございます。
これから、本
委員会を初めとして、この
国会で与
野党で活発な
議論が行われていくと思いますが、早くも曲解に基づいた
議論が横行し始めているように思えてなりません。今後の
国会での
議論を実りあるものとしていくために、我が党の農協
改革についての
考え方、方向性について、先日取りまとめられました農協
改革等の骨格に基づいて、まずは出発点としてきちんと確認をしていくことが必要だろうと思っております。
まず、その前にもう一言申し上げたいのは、今回の農協
改革は、冒頭述べました、
日本の農業をこの曲がり角からどう救っていくかという危機感のもとに講じられつつあります一連の農政
改革の一環であるということでございます。
ここでパネルをごらんいただきたいんですけれども、このパネルをごらんいただくとわかりますように、
平成二十五年の十二月、
政府・与党が協力をいたしまして、農林水産業・
地域の活力創造プランというのを決定いたしました。
このプランの中には、今の農地をもう少し集積して大規模化していくための、相当知恵を絞った、農地集積バンクというものを創設しようということがうたわれておりまして、これは二十六年の三月に法律を
施行するところまで持っていきました。民主党さんにも衆議院で大賛成をいただいております。
また、米の生産調整、
人口がどんどん減っていく中で、国が都道府県に米の生産量を割り当てていくという方法は、いずれどこかで行き詰まるということでありますので、これを四十年
ぶりに見直して新しい方法でやっていこうということも、二十五年十二月に決断をいたしました。しかし、水田は維持するにはどうしたらいいか。食べるお米の量が減っていくのであれば、餌米をふやすことによって水田を何とか維持していこうということで、水田フル活用による飼料米等の生産を
強化していこうという方針も打ち出しております。
それから、今までは、農業
政策といっても
地域政策と混然一体となってよくわからないということがありましたので、できるだけ、農業
政策とそれからインフラ整備みたいなものを明確化して分けて、
説明をしやすい、透明化を図っていこうということで、そういう
制度改革も行っております。
さらには、生産調整で、これから割り当て量が減っていくにもかかわらず、それを守った人には補助金を出すということは、もはややめなくてはいけないということで、前政権のもとでの旧戸別所得補償の段階的廃止も決定をさせていただいたところであります。
さらには、収入
保険ということで、農家の
経営は、ややもすると波があります。その波を抑えて
経営を安定化させていくための収入
保険の導入もこれから図っていこうという決断もしておりますし、輸出額をふやす目標を設定したり、先ほど申し上げましたように、流通、加工に出ていくときの、六次産業化と言っているわけでありますが、
推進するためのファンドを設立したり、これが
平成二十五年十二月に決定をされて、順次実行に移されているわけであります。
そして、そのとき残ったのが農協、農業
委員会、農業生産法人の
改革でありまして、そのときに、二十六年六月にまとめましょうということになったわけであります。
そして、通常
国会におきましては、
地域の農産物のブランド化を進めていこうということで、書いてありますように、地理的表示保護
制度の創設もいたしました。また、養豚や花卉の振興も図っていこうということで、議員立法で成立をさせていただいたところであります。
そして、お約束どおり、昨年の六月に、農協、農業
委員会、農業生産法人の
改革の具体的な姿が与党と
政府で取りまとめられることになりまして、そこでは今
国会に法案を提出しようということが決まっておりまして、今回、農協等の
改革の法
制度等の骨格が決定をされたということであります。
このように、大事なことは、こういった農政
改革のいわば最後に残った
改革が今回の農協
改革なんだということでございます。にもかかわらず、この我が党が行っている
改革が、あたかも農協
改革だけで農家の所得を上げようとしているというニュアンスで批判をされる政治勢力がございますが、そういう言い方はフェアではないということをまず申し上げておきたいと思います。
そこで、農協
改革でございますが、時間がありませんので本質だけの紹介にとどまらざるを得ないと思いますが、パネルを見ていただきますと、今までの農協の仕組みというのは、
全国団体である
全国中央会がございまして、そして都道府県ごとに県の中央会がございまして、現在、
地域に七百の
地域農協がございます。そして、法律によりまして、
全国のJAが、法律に基づく監査、指導を
地域農協に行うということになっておりまして、農協法三十七条の二では、
地域の農協が全中の監査を受けねばならないというふうにされているところでございます。
振り返れば、昭和二十九年に現在の中央会
制度が導入されたときには、
全国で一万以上の農協がございまして、小規模な農協が
経営難に陥りまして、その再建、整備等に全中が多大なる努力をされてきて、そして合併を
推進してきて、今日、
地域農協が自立をできるところまでやってきたのは事実でございまして、その貢献は、私は高く評価をされるんだろうと思います。
ただ、時代が変わりました。この図を見ていただくとわかりますように、この三角の中でいろいろとやってきた
取り組みだけでは、先ほど申し上げましたような、農家の所得を今後維持拡大していくことはなかなか難しいということになっているわけであります。矢印に書いてありますように、流通ですとか加工ですとか海外ですとか、そういうところともっともっとタイアップをしながら所得を上げていかなくてはいけない
状況になってきているというわけでありますので、そういうところと組みやすいような自由な選択肢を今度は農協
制度のもとに組み立てていかなくてはいけないということになったわけであります。
したがいまして、全中の社団法人への移行ですとか、あるいは、監査、指導が法律に基づいて行われて、義務づけられておりましたものを、公認会計士監査の義務づけに移行したり、あるいは、法律に基づく指導ではなくて、求めに応じて
経営相談に全中、県中が応じていくという仕組み、そして、例えば流通と組むためには流通に詳しい人の指導を受けようということもできるようにしていくということが今回の趣旨でございます。今までおつき合いのなかった分野とおつき合いをしていかなくちゃいけなくなったというのが時代でございます。
同時に、
地域の農協の
理事も、こういう新しい時代にふさわしい
理事が選ばれるようにならなくてはいけないという問題提起もさせていただいているわけでございます。
しかし、環境整備をやっても、環境整備だけでは物事は動かないわけでありまして、新しい時代にふさわしい
意識改革というものが必要なのは言うまでもありません。
意識改革がなければ、やらないのと同じだと私は思います。
自由度が増した
制度のもとで、
地域の農協において、自主独立の気概でもって新しい地平線を開いていってほしい。逆に言うと、それができなければ、待ち構えているのは国内需要減によるじり貧だということであります。そうなってほしくない、それが終始今回の
改革に携わってきた者の一人の強い願いであります。
そこで、
総理にお伺いをいたします。
今次の農協
改革におきまして、
総理が一番重要なことだと
考えておられることは一体何なのか。そしてまた、新しく生まれ変わる農協について、全中あるいは
地域の農協の使命について、
総理はどうお
考えになっているかということをお伺いしたいと思います。