○河野正美君 維新の党の河野正美です。
ただいま
議題となりました
個人情報の
保護に関する
法律及び
行政手続における
特定の
個人を識別するための
番号の
利用等に関する
法律の一部を
改正する
法律案について、維新の党を代表して
質問いたします。(
拍手)
初めに、昨日、小型無人機、いわゆるド
ローンが首相官邸の屋上で発見された件について、
政府の
危機管理体制を至急確認する必要があるため、
質問をいたします。
まず、ド
ローンがいつから屋上にあったのか、発見から現在に至るまでの
経過、これまでに判明した事実、また、国家公安委員会
委員長が、いつどこで本件発生の連絡を受け、どのように
対応されたのか、山谷国家公安委員会
委員長に
お尋ねをいたします。
ド
ローンは、災害救助など多様な役割が期待されていますが、その反面、
個人のプライバシーや
危機管理上の脅威ともなり得るものです。現在は何ら規制もなく自由に動かせますが、今後の
対応について、
個人情報保護、治安維持や
危機管理の
観点から、
山口大臣、
山谷大臣の見解を
伺います。
この問題に関して、
内閣委員会における集中審議が速やかに開催されることを求めて、
法案の
質問に移ります。
インターネットが一般に開放されて二十五年、ICT
分野での
イノベーションは目覚ましく、世界全体で新たな
産業を生み出し、
社会のあり方をも一変させました。最近では、フェイスブックやツイッターといったSNSなどの普及と相まって、膨大な
パーソナルデータが収集、分析される
ビッグデータ時代が到来し、その
利用による革新的な
サービスが、
経済成長のフロンティアとして期待されています。
一方で、
個人に関する
データは、量も種類も桁違いにふえ、リアルタイム性も加わるなど、これまでより一層詳細なものとなっています。
個人情報の
保護に万全を期すべきことは言うまでもありません。
そこで、
改正法案の目的についてお
伺いいたします。
現在の
個人情報保護法の一条は、
個人情報の有用性に配慮しつつ、
個人の
権利利益を
保護することを法の目的としています。
改正法案では、
個人情報の有用性という文言に、
個人情報の適正かつ効果的な
活用が新たな
産業を生み、
経済の
活性化と豊かな
国民生活の
実現に資するという
趣旨の文言が追加されました。新設される
個人情報保護委員会の任務にも同様の文言が入っています。
この変更は、
個人情報の
利用と
保護という二つの
要請について、
現行法での
バランスのとり方、
利益衡量のあり方を変更する
趣旨なのか否か、
山口大臣のお
考えを
伺います。
次に、
個人情報の定義について
伺います。
まず、
個人情報とは、生存する
個人に関する
情報とされています。既にお亡くなりになった方の
個人情報については、本法における
保護の対象外となります。
みずからの死後も公にしてほしくない
情報は、少なからず存在すると思います。亡くなられた方の
個人情報の
取り扱いについて、
山口大臣の御見解を
伺います。
これまで、
法律で
保護されるべき
個人情報の意味が曖昧で
グレーゾーンが大きく、企業に
萎縮効果があると言われてきました。その点の解決を図ることが本
改正案の
趣旨であり、
個人情報の定義は極力明確なものであるべきだと
考えます。
法案では、
個人情報の
一つとして、
個人識別
符号が含まれるものを挙げ、それに該当するものは、
特定個人の身体特徴と商品の購入等に関する文字、
番号、記号のうち、政令で定めるものとしています。
こうした文字、
番号、記号は非常に多岐にわたり、そのうちの何が政令で定められるのか、
改正法案ではわかりません。
そこで、重要と思われる一例について、
山口大臣にお
伺いいたします。
携帯
電話番号は、
個人を
特定できるものとして
個人情報に当たるのでしょうか。
先月の
内閣委員会で、我が党の高井崇志
議員の
質問に対する
政府答弁によれば、現状では決まっておらず、これから政令で決めるとの立場と理解しますが、確認をいたします。
この例のように、本
改正案では、
個人情報の定義の多くが政令に委任されています。具体的に何が当てはまるのかは、政令の制定を待たなければなりません。
確かに、ICT
分野は
技術革新のスピードも大変速く、ある程度、政令に委ねられるのはいたし方ありません。しかし、そもそもの
趣旨である
個人情報の定義の明確化でさえ方向性がはっきりしないようでは、
事業者への
萎縮効果も消費者の不安も払拭できません。基本原則は、しっかりと
法案で定めておくべきではないでしょうか。
個人情報の
利用と
保護の
バランスをとるため、どのような事項を考慮すべきか、比べる際の基準は何かといった点は、法に定めるべきではないかと
考えます。
個人識別
符号について、今後の政令の制定に向けた手続、スケジュールとあわせて、
山口大臣のお
考えを
伺います。
また、政令や規則で定める場合、
政府だけで議論を進めるのではなく、
国民や
事業者による開かれた
検討、
制度の運用が不可欠です。
本
改正案で設置される各
組織の委員構成も、
国民各層、
個人情報を取り扱う多様な
事業者の実態に即した議論がなされるよう、
バランスをとる必要があると
考えます。
山口大臣の
認識をお
伺いします。
個人情報の
保護は、
政府の
取り組みだけでは限界があり、
事業者による自主的、継続的な
取り組みが求められます。認定
個人情報保護団体のように、消費者の立場を常に酌み取りながら、
事業者自身が
個人情報の
保護と
活用を図ることが重要です。
こうした認定
個人情報保護団体について、どのような認定基準で、どれくらい設立されると想定しているのか、こうした活動に対して
政府はどのように支援していくのか、
山口大臣に
伺います。
立法の経緯などについて
質問をいたします。
昨年十二月十九日に発表された
パーソナルデータの
利活用に関する
制度改正に係る
法律案の骨子案では、
個人情報の定義の拡充がうたわれ、携帯
電話番号も
個人番号に含まれることが示唆されていました。
これに対し、本
改正案では、
個人情報は
特定の
個人を識別できるものに限ると、
現行法と同じ
考え方となり、
個人情報の定義は、拡充されるのではなく明確化のみとなりました。その理由はなぜでしょうか。
また、EUや米国が端末識別
情報も
保護対象とする方向を打ち出しているようですが、欧米と比べて本
法案の定義が狭過ぎることにならないか、あわせて
山口大臣にお
伺いいたします。
関連して、
匿名加工情報についてお
伺いいたします。
法案によれば、
個人を
特定できないよう加工を加えた
情報は、
匿名加工情報として、一定の要件の
もと、
本人の同意なしで
第三者に
提供できるようになります。これも、骨子案では、加工の際は
個人情報保護委員会に届け出るとなっておりましたが、
法案では削除されました。
この点について、一旦加工を偽装して、その後に
特定できるように修正することへの懸念が
指摘されています。なぜ委員会への届け出を不要としているのか、この理由を
山口大臣に
お尋ねいたします。
次に、海外の
制度との
関係についてお
伺いします。
EUは、
個人データの
保護措置が十分と認めた国にしかEU域内の
個人情報の移転を許しておらず、残念ながら、
日本はまだ認定を受けていません。
個人情報の
保護は、人権保障の点で他の先進国に恥じない水準であるべきですし、
日本企業のグローバルな活動の妨げとならない
制度にすべきだと
考えます。
改正法案では、国際的に整合のとれた
個人情報制度を構築することを
政府に義務づけています。
政府は、この
法案に定められた責務を遂行するに当たり、EUのいわゆる十分性の認定を求めるべく努力していく立場でしょうか。それとも、個別にセーフハーバー
協定などを結ぶなど、別の
方法で国際的な整合性を図ることを
検討されるのでしょうか。
EUの十分性認定を求めることが、アメリカその他の
地域の
制度との
関係で、逆に何かデメリットが生じ得ないかという点も含め、
政府の現状の
考え方と方針を
山口大臣に
お尋ねいたします。
我々維新の党は、
社会保障改革や財政再建のためにも、そして公正な所得再分配のためにも、
マイナンバー制度の
活用は極めて有効な手段だと
考えています。
経済格差についての
国民の不満の
一つには、所得や資産の捕捉のされ方が不公平という点があります。所得税は、かつてトーゴーサンとも言われたように、サラリーマンばかりが所得を完全に
把握されるという問題があります。
所得と資産をできるだけ正確に
把握して、
国民の納得できる再分配を
実現するため、我が党は、基本政策でも選挙公約でも
マイナンバー制度について言及してきました。
維新の党の主張する給付つき税額控除による最低生活保障の
実現、歳入庁設置による税と保険料の公平な徴収、
社会保障目的の相続税といった政策を
実現するためには、この
制度が重要なインフラとなります。
こうした
観点から、
マイナンバー制度を拡充していくことには
賛成であります。だからこそ、今回の
法案で、預貯金口座への
マイナンバーの付番が任意の
制度に終わったことは極めて遺憾であります。
政府は、二〇二一年以降の義務づけについて
検討するとしていますが、
最初から任意扱いではかえって不公平感が広がり、何のための
マイナンバー法なのか、
国民には理解されません。
預金取扱
機構に対して、一層速やかな義務づけに向けた指導や誘因づけを
検討すべきではないでしょうか。また、預貯金口座に限らず、
制度全体の拡充、徹底を前倒しすべきではないでしょうか。あわせて
山口大臣のお
考えを
伺います。
また、仮に、銀行預貯金口座への付番が完全に行われたとしても、海外の
金融機関や不動産での資産形成は現状では対象外になり、一方で、国内にしか預貯金を持たない人の資産は厳密に管理されることになります。
海外資産について、
マイナンバー制度での位置づけがどうなるか、
山口大臣に
お尋ねいたします。
ところで、
マイナンバー制度の
内容が周知されていないことも問題です。
内閣府がことし一月に実施した世論
調査では、
内容まで知っていると答えた人は二八・三%、
平成二十三年十一月の
調査では一六・七%でしたから、三年余りでわずか一〇%程度ふえたにすぎません。法人
番号に至っては、九七%の人が
内容を知りません。
制度開始まで半年もなく、
国民に知ってもらうための
取り組みを急ぐべきですが、
甘利大臣の
認識をお
伺いいたします。
また、このように
制度がよく知られていない状況では、
マイナンバーを口実とした犯罪の横行が危惧されます。
マイナンバーに絡めた犯罪のおそれについて、どのように
認識し、既に何らかの対策を
検討されているか、山谷国家公安委員会
委員長にお
伺いいたします。
次に、
マイナンバーの
利用範囲の拡大について
伺います。
我が国は、高齢化
社会を迎え、年々増大する医療費が大きな問題となっています。
政府は、いわゆるジェネリック医薬品の使用促進などによる医療費削減策を進める一方、二重処方対策などは十分進んでいないように思います。医療
分野に
マイナンバー制度を大規模に
導入することによって、重複した検査や処方が回避できれば、身体的にも
経済的にも負担の少ない医療が
提供できます。
ところが、今回の
法改正では、電子カルテの
データ、診療報酬
情報は対象になっていません。
政府は、今月、
次世代医療ICT
基盤協議会を開催し、医療
情報の
活用を進める
検討を始めています。今後、こうした医療に関する
ビッグデータをどのように位置づけ、
活用していくのか、
甘利大臣及び塩崎厚生労働
大臣に
お尋ねをいたします。
また、命に直結する医療
情報が
サイバー攻撃により改変や削除されることは、決してあってはならないことです。医療
情報に限らず、
データの加工や
サイバー攻撃から
情報を
保護するためには相当な費用が必要です。こうした対策費用は、
事業者や
個人に負担を強いるものなのか、
山口大臣の見解を
伺います。
さらに、今日、人の遺伝
情報は、
技術革新により、気軽に
利用できるものとなりました。遺伝
情報は一
個人の問題にとどまらず、先祖から子孫まで、多くの人間に関する究極の
個人情報です。しかしながら、本
改正案における要配慮
個人情報の対象に、遺伝
情報は入っていないとされています。その理由を
山口大臣に
お尋ねいたします。
個人情報を
活用する大前提には、適切な
取り扱いと信頼が不可欠です。世論
調査でも、
情報漏えいによるプライバシーの侵害、不正
利用による被害に対する懸念が全体の約三分の二を占めています。
本
改正案の審議が、
国民の不安を払拭し、信頼ある仕組みづくりに寄与することを願って、
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣山谷えり子君
登壇〕