○黒岩
委員 今、
深山局長が、その
程度のものだと。本当にその
程度のものなんですよね。
だから、これはすごく問題でして、あえて両省に聞いたのは、中山副
大臣が実務上のこともおっしゃいましたけれども、返還援助申請は、外務省、中央当局にするわけですけれども、では、それで決定するかどうかは、まずは外務省が書類で一義的に
判断するんですよね。しかも、その場合は申し立ての親としか会わないわけですから、申し立てられた、要するに連れ去り側の親からの意見聴取のない中で、写真とかで見て、ああ、これは常居所地国だなという
判断になるわけですよ。
では次に、これが
裁判の申し立てになったときに、今度は
裁判所の方、これはくどいようですけれども、別に
民事局ではない、
裁判所ですけれども、
裁判所も、では、その申し立てを受理するかしないかは
裁判所で
判断しなきゃいけない。しかも、これはさらに精緻な
判断が求められると言われているわけですよ。しかし、それでも、その
程度の基準だったら、本当にその場その場で
判断しなきゃいけない。
しかも、私が非常に不合理だと思うのは、少なくとも常居所地であるかどうかは在外公館を持っている外務省の方がまだ把握する機能が高いと私は思っているんですけれども、
裁判所がさらなる精緻な
判断をしなきゃいけないというのは、これはすごく酷なことだと思いますよ。これは、ちょっと問題
指摘にとどめさせていただきますけれども。
今、近時のハーグの返還
裁判においては、最も精査しなければいけない、最も重要な事実認定が、常居所地であるかどうかなんですね。というのは、三十年前と違って、特に今、若い家族というのは、ある意味非常に海外を移動する、ともすれば複数の拠点を持っているとなると、ではどこが常居所地なのかということをはっきりしなければ、本当に連れ去っているのか連れ去っていないのかがわからない。
いざ申し立てた側が連れ去ったと言っても、連れ去ったと言われている側は、いやいや、ここが常居所地だもんとなるわけですよね。または、いやいや、どう考えてもこれは不当な連れ去りだといって申し立てたけれども、
裁判所も、いやいや、これはやはり違うな、却下と言えば、こっちの側にとっても、今言ったように、連れ去った側も、連れ去ったなんて思ってもいないのに、常居所地がはっきりしないことによって申し立てられちゃうわけですよ。あんた、連れ去りだ、ともすれば誘拐罪だと言われちゃう。今度は、本来なら正当に申し立てていると思っていたら、今言った、常居所地がなかなかしっかりと把握しづらい。今言ったように、何せ条文上も定義がないし、各
裁判所に委ねられていることによって却下される。
ですので、これは確かに我が国だけでは決められないことかもしれませんけれども、せっかく締約国になったわけですから、ハーグ私法
会議の中でも、我が国が主導的に、常居所地国なるものの定義づけでありガイドラインをもっともっと厳格化していかないと、今、どんどん国際的に移動している。今、ハーグの返還
裁判では、親が移動した
程度では常居所地が変わったとは認めませんからね。今、そういうようなかなり融通を持った常居所地の
判断。昔は違ったと思いますよ。どこの国に住んでいるかと聞かれれば、大体誰もがわかった。今は、どこに長期住んでいるかということが、なかなかそんなことだけでは
判断できなくなってきた今のハーグ条約環境なんですよ。
この点については、どうしてもこれは条約
関係になりますから、外務省、しっかりとその
認識を持って、締約国の中で主導的なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
時間がなくなってきたので、ではもう一点、面会交流権についてお聞きします。
面会交流権。中央当局の
役割は、返還援助と面会交流援助と二つあります、外国と
日本とを分ければ全部で四つになりますけれども。その面会交流援助、面会交流について、外務省の概要ペーパーでは、ではその実績はどうかというと、こう書いてありますね。ほぼ全ての
事案について仲介の連絡が実現と。
私、役所の文書にして、ほぼ全てというのは非常に珍しい書きぶりでびっくりしたんですけれども、まず一点目、ほぼ全てというのはどういう意味ですか。
二点目。面会交流が実現したかどうかの実績を報告しなきゃいけないのに、なぜか、両当事者の仲介を連絡したことの実績、しかも数じゃないですよ、ほぼ全てのという。なぜ、今言った仲介の連絡というものを実績で報告しているのかが二点目。
三点目。実際には面会交流の申し立てが六十九
事案ありました。では、このうち何件、面会交流が実現したんですかというのが三点目。多分答えられないと思いますけれどもね。
では、包括視点ですけれども、四点目、面会交流たるものの定義は何ですか。
この四つ、まとめて
局長で結構ですけれども、お答えいただけますか。