○柚木
委員 民主党の柚木道義でございます。
引き続きよろしくお願いいたします。
本日は、可視化はもとより、この間、この
委員会でそれぞれの
委員の皆様が
質疑されている部分もあろうかと思いますが、いわゆる
捜査手法の拡大といいますか拡充、もちろん、真犯人を検挙し、しっかりと法的な対応をとることは必要なんですが、ただ、その視点のみで本当に大丈夫なのかという観点から、例えばGPSでありましたり、あるいは防犯カメラ、Nシステムなど、そういった個別の項目についても伺いたいと思っておりますし、また、通信傍受についても何点か伺いたいと思います。
それで、ちょっと順番を、きょう報道も出ておったものですから、防犯カメラ、これは新たな
捜査手法として報道等でも取り上げられることも多いんですが、きょう資料としてまずおつけしておきましたのは、七ページに、いわゆる歌舞伎町事件とも言われる二〇〇九年四月十八日の
事案でございまして、これは皆さんよく御存じの新宿歌舞伎町、ここで、
警察官多数と被告人の仲間多数とで混乱状態になりまして、応援に駆けつけた
警察官に対し被告人が暴力を振るったとされた公務執行妨害事件であります。被告人は、暴行を振るった事実はなく、逆に警官に投げ飛ばされたと主張し、真っ向から主張が対立をしておった
事案でございます。
これは、警視庁の街頭防犯カメラシステムの設置の草分け的な地域で、現場のいわゆるコマ劇とよく言われるあの付近は、皆さん御存じだと思いますが、当然、複数の防犯カメラが設置をされていて、その監視範囲内でございます。これを確認すれば双方の主張のどちらが正しいかというのは明確になると思われるわけですが、
警察、検察が録画映像を証拠提出したが、肝心の、被告が警官に暴力を振るったとされる時間の映像が約三十八秒間欠落をしていたということであります。これは本件犯行立証には不必要であるとか、プライバシーに係る映像が映っていたとかの理由で該当部分のみ消去したとの弁明が
警察から行われたということですが、裁判ではこの弁明は一切認められず、
犯罪の証明がないことによって、一審有罪判決破棄、無罪言い渡しということでありました。
こういうようなことでありますと、防犯カメラ映像というのが真実を明らかにするものではなくて、むしろ、
警察が利用したいときに利用したい形で利用する、こういう疑念が国民の皆様の中にも深まるわけでございます。
そういった点についてもちょっとお聞きしようと思っていた中で、これはけさの報道で、国と府に賠償命令を求めた訴訟の判決で、大阪地裁が両者に計六百二十一万円の支払いを命じたという判決がありました。実は、この
事案というのは、堺市のガソリンスタンドで盗難品の給油カードを使ったガソリンの窃盗事件が発生して、
被疑者とされた男性のカードの使用時刻が記された納品書や防犯カメラの画像などに基づいて逮捕、起訴されたんですが、弁護側が画像の時刻が実際と十二分のずれがあることを
指摘してアリバイが確認された。釈放までの勾留期間は八十五日だったということですが、それぞれ検察、
警察に対して、
捜査手法の不適正な内容について判決でも
指摘をされております。
本当にこういうことが重なると、今回のまさに可視化、そして他方で、通信傍受や司法取引や、さまざまな
捜査手法の拡充、そのツールとして、私はきょう幾つか、GPSや防犯カメラ、Nシステムなども例示しながら、もちろん犯人検挙は最重要ですし、その結果の法的な対応がとられることというのは最も重要とされることでございますが、他方で、だからといって、今
紹介したような歌舞伎町の事件のような、あるいは、けさ報道されていますような大阪地裁でこういった賠償命令がなされるようなことであっては、これは本当に国民の皆さん、一体自分たちは守られるのか、そもそも
冤罪のリスクを負うことになるだけなのか、そういう不安が広がってしまうわけでございます。
国家公安委員長、私は、これまでの
質疑の中でも、このような、いわば誤認逮捕とか、あるいは
冤罪が起こったことに対して、以前も志布志事件の際にも幾つか認識を確認させていただいたわけですが、今回、まず、この大阪地裁の賠償命令なんですが、これは、
警察の
取り調べ官によって、誤認逮捕であったにもかかわらず、汚れた手で子供の頭をなでるのかとか、悪人でいくのかとか、さまざまないわば暴言も違法とされて、さらには、防犯カメラの画像の時刻を確認しなかった点など、本当に著しく、
捜査水準が、注意義務を怠っているじゃないか、こういう判決がなされているわけです。
これは、当該
警察署長や地検の支部長が男性に謝罪をしておりますが、
国家公安委員長としては、今回の事件に対して、
事案に対してどういうふうに認識されておられますか。