○重徳
委員 これも、今の
制度に無理に突っ込んだ方がいいかどうかというのはもちろん慎重であるべきかもしれませんけれども、ただ、私は、前回
議論させていただきました、アメリカ人の軍人軍属の
被疑者に対しては、これは弁護人という
趣旨ではないということではありますが、
被疑者の
取り調べに米軍の司令部の代表者が同席することが認められる。つまり、アメリカ人の方は、何かそういうものが、同席が認められて、日本人の方はそうじゃない。やはりバランスが、アメリカから見ると、野蛮な
取り調べから、かわいそうな重要犯罪米軍人を守るためにぐらいの、非常に皮肉な
状況が生まれてしまっているという見方もできると思うんです。
これは、実際に今
局長が言われたこともわからないでもないんですけれども、弁護人がどんどん介入して
取り調べを遮るようなことはしちゃいけないルールに、それこそ
可視化もあるわけですから、お互いさまだと思うんですよね。
だから、やはりこういったことも、今までのやり方からするとあり得ないみたいなことじゃなく、
可視化がされて、誰が見ても、
取り調べる側にとってもおかしいことが是正されるかもしれないけれども、あるいは、
被疑者側も、弁護人が仮に立ち会ったら、立ち会った側もおかしいよねということも
可視化されるわけですから、そういった総合的な見直しというものを今後も引き続き検討していくべきではないかというふうに私は思います。
これもやはり国連から勧告を受けているテーマでありまして、こういったことについても、いずれ何かしらの答えを出していくなり、努力が必要なのではないかと思います。
さて、次に進みます。
資料の二の方に戻りますが、今度は
可視化ですね。
可視化についての、去年の日経新聞の資料です。
これは、今回の
可視化の
議論では、我々質問する側はほとんどが、もっともっと
可視化すべきだという意見が大体大勢を占めているわけなんですけれども、そうはいっても、もともと、
捜査機関側は、いろいろな弊害あるいは副作用といったものも出てくるんじゃないか、
捜査がしにくくなるような意見も出ていたわけです。そこに対して、ちゃんと対応が必要だということもあると思います。
それから、
一つ、私が少し感じたのは、この資料、新聞記事でいうと下の方にありますけれども、ベテランの東京地検の
検察官のコメントがあるんですね。
可視化拡大や調書離れといったものによって
捜査能力低下への懸念がくすぶると。例えば、「「容疑者の矛盾した
供述に疑問を持たない若手もいる。カメラを意識しすぎて、調書を作る作業が、単に「
お話の聞き役」になっている」と憂慮する。「いい調書を書く技術は
捜査力とつながっている。調書は不要という風潮が広まるのはよくない」。」
これは確かに、現場に思いをいたすと、私は
取り調べをしたことはありませんけれども、しかしながら、自分の頭の中で論理立てをして、きちんと論理を組み立てながら調書を書いて、そしてそれをわかりやすく論理的説得力のある
証拠、
供述調書として
裁判所に提出する、これは全て否定されるようなことではないとは思っています。
だから、
検察官、特に若手の方が、詳しくは全部ビデオを見てくださいと言うようになってしまったら、本当に老練な、百戦錬磨の
被疑者にそれこそ逆にだまされてしまうようなことだってあるわけですし、やはりそういった調書をきっちりつくるということも、
一つ、正義を代表する
検察官に必要な能力だと思うんです。
冤罪というのはもちろん困りますけれども、しかし、不当な無罪放免というのもこれは社会的に非常に問題になり得る話でありまして、頼りない警察、
検察になってしまったら困るという面もあります。
あえて聞きますが、こういった
意味での
可視化のデ
メリット、そしてそれに対する対応、対策というものについてどのようにお考えでしょうか。