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階委員 そもそも資格試験なわけだから、競争試験とは違って、問題の難易度が年によって上下するということはあってはならないと思っています。多少のぶれはあるでしょうけれども、それは誤差の範囲内にとどめるべきであって、合格最低点が極端に下がるようなことがあれば、それは無理やり合格者を
確保するための策を講じたということになりますから、そこは我々としては断じてあってはならないというふうに申し上げておきます。
そして、その上でですけれども、もし質も
確保していくということになれば、やはり、競争環境がどの程度
確保されているか、つまり、受験者がどの程度いるかということも重要だと思っています。
この点、資料の三を見ていただきますと、ことしの受験者数まで出ています、上段の
司法試験のところ。これは、ことしと去年を比べてみますと、ほぼ同じ、一人だけふえています。ようやく底を打ったのではないかというふうに一見見てとれるんですけれども、実はそんなことはないわけです。と申しますのも、昨年、この
委員会でちょうど今ごろ
司法試験法を改正して、それまでは五年間で三回しか受験できなかったものを、五回まで、五年で五回受験できるようにしました。ですので、ことしからは、今までいなかった四回目の受験者が入ってきているわけです。出願
時点で、その数字は千人を超えていたと思います。
ですから、この数字だけ見るとほぼ横ばいのように見えるんですけれども、これは、四回目が入ったというかさ上げ要因、千人が含まれてのことですので、決して事態は好転しているわけではない。
なぜ千人入っても一人しかふえていないのかということを考えると、やはり法科大学院の入学者がどんどん減ってきているわけですね。ことしは、ちょっと後で触れますけれども、そこまでは減っていないんですが、昨年までの数年間、毎年四、五百人ずつの
ペースで減ってきている。だから、四回目の人が受験者に加わっても、ほぼ横ばいという結果になっちゃっているわけですね。
この先どうなのかということをちょっと考えてみたいと思うんですが、来年は、ことしと同じ理屈で五回目の受験者というのが新たに加わりますから、そのプラス要因はあります。でも、他方で、同じように入学者が減ってくる影響も出てきますから、恐らくことしとそんなに
状況は変わらないんだろう、受験者は変わらないだろう。去年は八千十五人で合格者が千八百十人で、ことしは八千十六人で千五百人ほどを目指すということですから、何とか来年ぐらいまでは、千五百というのはまあまあいい数字なのかと思います。
ところが、問題は再来年以降でありまして、再来年以降は、そういう五回受験できることになったかさ上げ要因がなくなってきますから、今度は、法科大学院に入る人が減ったことによって、減ってくるということになると思います。
そのあたりも考えて、先ほど室長は、「当面、」というのは五年間という
意味だと言いましたけれども、我々は、千五百人というのは、
目標として掲げられる期間というのはせいぜい三年程度だろうということで、去年の十一月に、提言をまとめて党の方から出しました。
どういうことを言っていたかといいますと、「来年以降は、」来年というのは、去年言っていることですから、今でいうとことしですね。「本年の合格者数千八百十人を約三百人削減した千五百人程度を
数値目標とすべきである。 その上で、今後三年間の
司法試験の最低合格ラインや新規法曹の就職
状況の推移を見つつ、改めて合格者の
数値目標の
見直しを行うのが妥当である。」こういうまとめにしています。
私は、五年というのは、今のような受験者あるいは法科大学院の入学者の動向からすれば、ちょっと長過ぎるのではないかと思っています。
また、先ほども申し上げましたけれども、千五百人という数字は、裏を返せば、毎年毎年法曹が千人純増するということであります。増加させていかなくてはならないというようなくだりもありましたけれども、しかし、これがどの程度増加すべきであるかという議論はされていないという中で、果たして、毎年千人純増、五年間続ければ五千人純増です、これだけの数をさばき切れるかどうかということは今の段階で到底読めないわけでありまして、やはり私は、ことしから三年ぐらいでまた新たな合格者の数字というのは見直す、場合によっては下方修正もあり得べしというのが妥当ではないかと思っています。
大臣、戻り次第で恐縮でございますけれども、三年ほどで下方修正も含めて
見直しを行うべきではないかと私は考えていますが、その点、いかがでしょうか。