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初鹿委員 私も、やはり同じように、これを見て、こんなに危ないことだったのかと思ったわけですから、本当に、このまま続けさせることではいけないんじゃないかなと思うんです。
一枚めくってください。
ここに、二〇一二年度、
小学校における体育活動時の負傷事故の件数ということで、各種目ごとにどれだけの事故があったかというのを載せていますが、跳び箱、バスケットに続いて、組み体操というのは三番目なんですよ。
学習指導要領の記載のところにバツが書いてありますとおり、
学習指導要領には記載がされていない、つまり、やらなくてもいい競技で三番目に事故が多いというのが
現状なんです。これは
小学校から高校までいくと八千五百件くらいに上っているということであります。
もう一枚めくってください。
これは私は衝撃だったんですが、名古屋大学の准教授の内田良
先生が調べたというか計算をした
データなんですが、一人の生徒に最大で二百キロ超の負荷がかかっているということなんですよ。一番下の、前から二番目の列にいる生徒が一番負荷がかかるということなんですが、二百キロですよ。仮に潰れていなかったとしても、この負担というのは大変ですよね。これを、一カ月近く前から毎日のように、二百キロの重みを何回も何回も負わされる、そういう
役割になった生徒の負担というのは余りにも重いし、二百キロの負荷があるわけですから、潰れたときのけがの重大さというのは容易に想像ができるんだと思います。
もう一枚めくっていただきたいんですね。
これは、跳び箱、バスケット、組み体操で事故になったときに、どこの部分にけがをしたのかという資料なんですが、見てください、頭部と頸部のところをちょっと色を濃くしておりますけれども、跳び箱やバスケットボールが一・七%、一・六%で二%ないところを、組み体操は、頭部を八・二%ですよ、頸部でも五・九%。つまり、頭や首にけがをするリスクが高いということなんです。
頭や首にけがをするということはどういうことかといえば、御承知のとおり、場合によっては死亡したり、または障害が残るような大きな事故につながったりという結果を生じかねないということなんですよ。そういう明らかにリスクが高い競技を、見ている人が感動するからとか
教育的な
効果があるからということで、どんどんエスカレートして巨大化していってしまって本当にいいのかなというと、私は違うと思います。
もう一枚めくっていただいて、これはJSCが出している「
学校の管理下における体育活動中の事故の傾向と事故防止に関する
調査研究」という報告書の六十ページなんですね。いいことが書いてあるんですよ。「予見義務と回避義務
指導者が果たすべき注意義務とは?」ということで、
大臣、後でじっくり読んでいただきたいんです。
予見義務、つまり、そういう事故が起こることが予見できるかどうか。今回のケースでいくと、この中
学校というのは、前の年も事故があって崩壊して、足首を骨折しているわけですよ。それで、ことしも練習期間中に四人も骨折しているんですよ。それだけ骨折しているんですよ。要は、事故があるのは予見できるわけですよ。
それで、ここで回避義務ということが書かれていますけれども、それだけの事故があって、では、それを回避することができるかといったら、周りに
先生がいても、崩落をしたときに中から潰れるわけですから、こっちに落ちてくるわけですから、支え切れるはずもないし、落ちてきたら重大な、二百キロがすとんと落ちていくことをとめることもできないわけですから、当然、本来なら回避すべき、つまりやめるべきだったんだと思うんですね、これだけのことがあるから。
ここの六十ページに、最後に何て書いてあるかというと、「「無知と無理」が
スポーツにおいて事故が繰り返される要因となっています。」と書いてあるんですよ。まさに今回のは、事故に対する無知さ、重大な事故になったとき、例えば頭を打った、首を打った、そのときに大変な重大なことにつながるということに対する無知さ、それと、多少骨折をしても、無理をしてでも感動させた方がいいという、または、一体感を持って無理をしてでもやり遂げた方が達成感があるんじゃないかという無理がたたってこういうことになったわけでありますから、こういうことがもう
指摘をされているわけですから、私は、どうにかしてやめさせなければいけないと思います、大きなものは。
でも、なかなかやめられない事情もあるんですよ、
学校には。なぜかというと、やはり親、PTAや、またPTA会長のOBとか地域の町会長とかが、これはすばらしいねといって称賛をしていて、それになかなかあらがえない
学校の
現場もあるんです。私の
地元の中
学校もそうなんですよ。新しい校長
先生が来ると、入学式のときに大体顔を合わせますけれども、地域のPTAの会長さん
たちが何と言うかといったら、五段タワーだけは続けてくださいねと言うわけですよ。そうしたら、なかなかやめられませんよ。
だから、私は、文科省として、何段以上のタワー、何段以上のピラミッドはやってはいけないという基準をつくるべき、制限を設けるべきだと思います。今、一部の
自治体で制限を設けているところは出てきました。でも、これを全ての
学校や全ての
教育委員会が制限をつくるかというと、それもなかなか期待できないので、やはりエスカレートさせないためにも、これ以上はだめですよという基準を文科省でしっかりつくっていただきたいと思いますが、
大臣、いかがでしょうか。