○初鹿
委員 実は私、
子供三人いるんですが、自分の
子供の何番目のときだったか覚えていないんですが、宿題で、要はお父さんに聞くということがあって、聞かれたときに、え、こんなことを宿題で出しちゃっていいのかなと実は思ったことがあって、それをこの記事を見て思い出したので、ここで取り上げたいなというふうに思ったわけですね。
たしか二番目の
子供のときだったと思うんですが、お父さんに対して、初めて
子供が生まれた、初めて見たときにどう思ったかとか、初めて歩いたときどう思ったかとか、しゃべったときどう思ったかというのを、私、聞かれたんですよね。自分の
子供ですけれども、考えてみたら、一人目の娘が立ったときは鮮明に覚えているんですけれども、息子の立ったのは覚えていなかったんですね。
あっと思って、親子だからいいですけれども、息子は、もう二人目だとそうなんだとか言って、ちょっとすねたように言っていましたけれども、そのときに、では、自分の
子供じゃなく再婚している場合どうするのかなとか、そもそも親がいないお子さんにこの
質問というのは相当つらいんじゃないかななんていうのをそのとき感じた記憶があるんですよ。
ここの記事では、里親さんのことが書いてあるんですが、本当につらい作業だった、
小学校三年の女児を養育する県中部の里親は、女児が二年生だったことし二月に取り組んだ生活科の授業に苦しんだ。担任から、名前をつけた理由、一歳のときに初めてできたことなどの
質問が書かれたプリントを宿題で配られた。私もそうだったんですけれども、思い出の写真なども準備するように言われたということなんですよ。
今に限ったことじゃないと思うんですけれども、家族の形態というのは多様であって、ここに
指摘されている里親さんであったり、また、養子縁組をして、血縁関係にないんだけれども、届け出上、実子として届け出ている、そういう家庭もあると思うんですね。そういう家庭のことを配慮しないでこういう授業が行われているというのは、私は、対象となる
子供にとってつらいことが起こるのではないかなというのを非常に懸念します。
少し私の、自分の
経験を
お話しさせていただきますが、生い立ち授業が行われる前の
時代に小学生だったので、これとは違うんですけれども、私が
小学校六年生のときに、家族が一日どういう時間を使っているかというのを調べてきましょうという宿題が出たんですよ。
朝何時に起きて、お母さんだったら御飯の準備をして、洗濯をして、掃除をして、夜お風呂に入って寝る、この時間を何時から何時でやっていますか、お父さんだったら朝何時に出勤しますか、そういう宿題が出たんですね。
当時、私は祖母と母と父と姉と五人家族でしたが、うちは、祖母と母は夜の仕事をしていました。スナックをやっていました。朝、起きません。朝御飯は私と姉でつくって、自分
たちで
学校に行く、そういう生活で、夜、仕事に行きます。普通の家庭と明らかに時間が違うんですね。
父親は、
小学校五年生のときにいなくなりました。離婚していないけれども、別居をしていました。父親のことは書けないわけですよ。母に、こういう宿題が出ているんだけれども、どうすればいいと言われたら母もいらいらして、そんなもの適当に書いておけばいいでしょう、出張と書いておきなさいと言われたりもしました。
結局、僕は、宿題をやらないで
学校に行きました。
先生は、職業というのはいろいろあるんだから、職業に差はないからということを言われましたけれども、私、今でもその言葉はすごく傷ついているんですよ。いまだにそのことを鮮明に覚えていますから、お父さんがいない、またお母さんがいない、そういうお子さんにこのような授業で
家庭環境のことを聞くというのは、私は、非常に慎重にしていかないといけないのではないかなというのを、自分の
経験からも感じます。
そこで、調べていったら、この生い立ち授業について、もう二〇一二年に研究している方がいたんですよ。これは文京学院
大学の森
和子さんという方が論文を書いていて、「非血縁家族の中で育つ養子のための「生い立ちの授業」のあり方」ということで、
小学校の
教員に
実態調査をしたものなんです。
里親については意識をしたことがある
教員がいたと書いてあるんですが、非血縁関係の養子縁組をしている、そういう家族がいるということを考えたことがある
教員は一人もいなかったというふうに書いてあるんですね。どうしても、やはり家族というと血縁関係があるんだ、そういう思い込みで何となく
学校の
現場もあるんじゃないかと思うんですが、今やそうではないということを、ぜひ考えていただきたいなと思います。
学習指導要領の
指導書の中でも、一応、そういうことを配慮するようにということが書かれているんですが、では、それが
現場で教えている
先生にきちんと徹底をされているのかどうかというのは、私はやはりいささか疑問に思うんですよ。
ですので、こういう記事も出ましたから、改めて、各
教育委員会、そして
学校の
教員に、こういう問題が出ているんだということを周知して、生い立ち授業というものをやるならば、それぞれのさまざまな家庭に配慮をするように
指導をもう一回していただきたいと思いますが、
大臣、いかがでしょうか。