○畠山
委員 算定式のことについても含めて、少しそれで提案したいと思うんですよね。
酪肉近の「まえがき」でも、「
生産基盤の
弱体化により、」中略ですが、「このような状態を放置すれば、今後の
酪農及び
肉用牛生産の持続的な
発展に支障が生じかねない。」と書いています。農水省としても、
生産基盤が崩壊寸前だという認識がありますよね。
そこで、
算定式はもちろん承知はしているんですが、
酪農、
畜産をどう支えるかという点では、私は
維持が必要だと思っていますし、率直な議論をし合いたいと思っています。
独立行政法人の農
畜産業振興機構が出している年報
畜産二〇一五というのをきょう私は持ってきたんですが、これを読んだんですよ。それで、外国の
政策にも学び合いたいと思って、少し紹介します。
例えば、豪州は一戸
当たりの経産牛飼養頭数は二〇一四年で二百六十八頭、ニュージーランドは一戸
当たり同じく四百十三頭。一頭
当たりの乳量は、豪州で年間五千四百六十七リットル、ニュージーランドでは四千百九十六リットルです。もちろん確かに大
規模ですし、両国とも
価格支持
政策がないんですね。
しかし、広大な草地での放牧
中心ということでコストが安く済んでいるということでもあり、輸出
産業としての強みがあるということは理解ができます。
それで、この機構の年報
畜産二〇一五は、それ以外にもEUですとか各国のものも載っています。
EUでは、国によってばらつきはもちろんありますが、最大のデンマークで一戸
当たり飼養頭数は、二〇一〇年ですが、百九頭。平均では十三・四頭。そして、一頭
当たりの乳量が、これは単位が違いますが、デンマークで八千六百六十キログラム。平均で六千五十七キログラムです。
日本が今大体一頭
当たり八千から九千程度だと思いますから、豪州やニュージーランドほどEUは農地が広くなく、日本に近い
規模ということは言えるだろうと思います。
そして、先ほど豪州やニュージーランドには
価格支持
政策はないと言いましたけれども、EUの
価格や所得の下支えについてここに詳しく書いているんですね。
バター及び脱脂粉乳の介入買い入れ、あるいは大幅な
価格下落があった場合の民間在庫の補助、肉牛などは、繁殖雌牛奨励金、屠畜奨励金、雄牛や去勢牛を飼養する
生産者への特別奨励金などなどの直接支払いが数多くあります。
EUでも
規模の拡大はもちろん進んでいますが、
経営基盤を
強化する独自の
施策があります。ヨーロッパは、国民、
消費者が自国の農産物を守り、食べるという風土があって、税金の投入にも寛容的といいますか国民的合意があるということは背景にはあろうかとは思います。
しかし、そこで、日本はどうするかですが、酪肉近でも放牧の推進は掲げています。それ自体は必要なことか
もと思います。しかし、豪州やニュージーランドに比べたら、
北海道とはいえ農地は少ないわけで、コスト低減にも限界が生じると思います。そこで補給金の
制度が、当初は不足払い
制度としての意義を持って、
家族経営はもちろん、大
規模経営も支える
役割を果たしてきたのではなかったのでしょうか。ここ一、二年は、業界の懸命の努力の反映がありまして乳価もよくて、そして補給金の支えもあって一息ついているというのが
実態だと思うんですよね。
そこで、
大臣に伺います。
もちろん、EUに全てをまねる必要はないとは思っています。しかし、本当に
経営基盤を
強化するのであるならば、今例で挙げたような
価格や所得を支えていくための仕組みの構築は必要ではないかと思うんです。その中に、補給金の
算定式については、いろいろ変更などの議論も含めて、考える時期にあるのではないかというふうに思いますが、その
検討について、
大臣、どのようにお考えになりますか。