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甘利国務大臣 私は、WTO
交渉も経産
大臣のときにやった経験があります。理想的には、やはり世界機構たるWTOが
関係国の調整を高度にしながら自由化を図っていくというのが本来の姿だと
思います。
ただ、WTO
交渉、全体会合が開かれて、それから三十カ国ぐらいの会合、これでもまとまらないので六、七カ国の会合ということになるわけですね。
日本は、私が入ったときには六、七カ国の少数
国会合に入ることができまして、そこでやっているんです。その間、三十カ国はずっと待ちぼうけ、百何十カ国もずっと待っているだけということで、つくづく地球規模の
交渉は難しいなと
思いました。その七カ国も、それぞれ後ろについている国がたくさんありますから、どうしても
利害がぶつかり合って、結局、十日ぐらいですかね、夜を徹してやりましたけれども、まとまりませんでした。
そういう姿を見ながら、やはり地域ブロックがどんどん進んでいくわけですね。
日本としては、ある時期まで、地域エリアのFTA、EPAは本来の姿ではない、あくまでWTOだという姿勢をとっていたんですが、あるときから変わりました。それは理想なんだけれども、そうすると
日本だけ置いていかれるという
危険性があるということで、二国間のFTAとか地域間のASEANプラス1みたいな、ああいうのにずっと走っていくわけなんですね。
これは、ブロック化が問題を起こすということと、世界規模のものがスタックして動かないということのはざまでどうしていくかということだと思うんですけれども、私が
TPPの利点で申し上げているのは、
一つは、従来の枠を超えた自由化が進んでいく。つまり、
物品の
関税中心のFTAの域を超えて、物や人やあるいは資本や
情報が行き交う仕組みができる、
ルール分野が非常に充実してくるという新しいタイプのFTAだということが
一つ。
もう
一つは、拡大するEPAである。つまり、十二カ国で完結するんじゃなくて、外側に、はっきりしているのは、韓国はどんどん入りたいと言っておりますし、ASEANの中でも幾つかの国が
参加したいということをどんどん言ってきています。大きくなっていく仕組みですね。
特に、東アジア地域というのは不安定要素があります。そういう不安定要素は、それぞれの国がある国際的な枠組みに入ってきちゃって、のっぴきならない関係になるということが、不安定要素をより少なくしていく効能があると思うんですね。だから、東アジアの安定には、中国やインドや
アメリカという超大国それから人口大国がみんな入って、その中に接着剤で
日本が入っているというのがあらまほしき姿だとずっと個人的に思っていたわけなんです。そういう意味で、
アメリカがアジア太平洋にしっかりと位置づくということは、その第一歩になっていくんじゃないかと。
ASEANの国もなぜ
TPPに入るか。ベトナムが入ってきましたね。ベトナムの
大臣と私、二人で、さしでずっと話していたんですけれども、よく踏み切ったねと言ったら、構造改革を含めてこれにかけているということを言うんですね。相当な勇気が必要だったと思うんです、ああいう
途上国にとっての先進的な枠組みへの
参加というのは。それでもやはり意を決して行ったというのは、
アメリカが東アジアでパートナーとなってくるということに相当期待をしているんだと
思います。
それは、経済も市場が開かれるということと、それから、恐らく安全保障の面でも間接的な安定要因になっていくということを期待しているんじゃないかなというふうに思っているわけでありまして、拡大していくということはとてもいいことだと
思いますし、その中にできるだけオリジナルメンバーで
日本が位置づけるということは非常に重要なことだというふうに思っています。