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高市国務大臣 今回の
行政指導につきましては、NHKの「「クローズアップ現代」報道に関する
調査報告書」が公表された当日のうちに、私自身がその
内容を隅から隅まで一行残らず読ませていただいた上で行いました。
この
調査報告書の最終章に記述されておりました再発防止に向けた提言については、いずれももっともな提言ではあるんですけれども、提言の域を出ているものではなくて、それぞれの改善策について、どのようなタイミングでどのような方向で進めていくのかというところにまで踏み込まれておりませんでした。
やはり、NHKというのは国民・視聴者の受信料によって
運営されている公共放送としての社会的使命に鑑み、今回の
調査報告書に書かれた再発防止策をもっと踏み込んで具体化して、一刻も早く取り組んでいただきたいという思いから、速やかに
行政指導を行いました。
平成四年に放送されたムスタンのときなんですけれども、当時の小泉郵政
大臣の名前による
行政指導がございました。
このときは、
平成五年二月三日の朝日新聞の朝刊に記事が掲載されたということで問題になるんですが、一月二十六日から二月二日まで、要は朝日新聞に掲載される前日まで、NHKにいろいろな取材が行われたようでございます。
このときのNHKの対応は非常に私は早かったと思います。二月三日の朝刊に出るということになったその前日の二月二日には、ムスタン取材緊急
調査委員会というのを設置しておられました。そしてまた、中間報告はなかったですけれども、その
調査を速やかに進められ、二月二日に
調査委員会が立ち上がり、訂正放送は二月四日、十七日とあり、
調査報告も二月十七日にあり、関係者の
処分も行われ、そしてその後、
総務省に何度にもわたって
説明があったり、てんまつ書の提出があったりして、小泉
大臣が三月十九日に
行政指導をされたということでございます。
他方、今回の「クローズアップ現代」につきましては、三月十八日発売の週刊文春に記事が掲載されましたけれども、
調査委員会が設置されたのは四月三日と、まず非常にスタートは遅かったと思います。中間報告は四月九日にありましたけれども、最終的に、
調査報告、四月二十八日にあり、
処分も発表されたということでございます。
そもそも、私は、まず
調査への取りかかりが遅かったということ、中間報告の
内容そのものがそれほど具体的なものにはまだなり得ていなかったということ。しかしながら、調べようと思いますと、このとき、カメラのクルーからADさんからたくさんの関係者がいるわけですから、もう少し速やかに
調査を行い、できるところからでも具体的な再発防止策を進めていただかなければならない、国民・視聴者、特に受信料を負担されている皆様方に対して
説明がつかないんじゃないかと思っておりました。
過去は、郵政省時代には、もしかしたら
行政指導ということを行うに当たっては、何度もNHKから
説明を聞いて、何度もNHK側とやりとりをしてということがあったのかもしれませんが、私はやはり、放送
行政を所管する立場から、
一般の国民・視聴者が知り得る
情報、つまり、あのとき、記者会見が行われ、ホームページに最終報告書がアップされて、
一般国民・視聴者はそこまでの
情報しかわからないんですよ。それが、報告書以外の
内容をその後、例えば役所に来て私だけが伺って、足らざるところを私が納得して、はい、それでいいですよ、そういうことはしてはならないと思いました。
あくまでも国民・視聴者の目線で、そのときの報告書を一行残らず、ホームページにアップされているから
皆さんごらんになれるわけです。一行残らず読んで、その上で、さらに一歩踏み込んだ対応をもっと早くしてもらわなきゃ困るというところについて、推敲を重ねた上で
行政指導を行わせていただく。
その
内容について事前に、例えばNHK側と、この書き方でいいでしょうかとか、こういう
内容でいいでしょうかともし打ち合わせをしてから発出したとしたら、それは、私は
総務省とNHKのなれ合いの関係になってしまうと思う。緊張感を持って、しかしながら、
行政指導というのは、強制力のあるものじゃありません。助言の域を出ないものでございますので、私なりに分析をした上で、必要な助言だと思って発出をいたしました。
早い方がいいと判断したので、あのタイミングで、二十八日のタイミングで発出をさせていただきました。