○高井
委員 それでは、きょうは七十五分という大変貴重な時間をいただきました。
今回の法律は、案件名は
電気通信事業法等の一部を改正する
法律案ということですが、電気通信事業法、電波法、それから
放送法、その
三つの改正案でございます。まさに、
総務省が所管するICT、
情報通信分野の根幹をなす
三つの法律の改正案ということでございますので、大変重要な法律であると思っております。
加えて、その中でもやはり電気通信事業法の改正が一番大きいわけでございますが、電気通信事業法が制定されて、NTTが民営化されたのが一九八五年、昭和六十年でございます。その後、NTTの再編成、分離分割ということがずっと話題になってまいりました。
実は、私も個人的には非常に思い入れがございます。というのは、大学時代の卒業論文のテーマがNTT分離分割論でございました。実は、当時これに手をつけたんですが、やってみると、学問的には非常に難しいというか、政治的な、政治決着が非常に大きい分野でございまして、私の卒論はさんざんな
内容であったわけでありますけれ
ども。
しかし、それがよかったのか、私も、
総務省、当時の郵政省に入省させていただき、そして最初に担当したのがこの電気通信事業法を所管する、しかもNTTを管理監督する、当時は電気通信事業部の
業務課というところで、今は料金サービス課と名前が変わりましたけれ
ども、そこで三年間働かせていただきました。
そういう経緯もありますので、この法律に対しては非常に思い入れがございます。
このNTT、分離分割したのは平成十一年、一九九九年で、今からもう十六年前になりますかね。分離分割してから十六年がたったわけでございます。その中で、分離分割をどう評価するかということでございますが、
総務省の
資料などを見ても、当時は、NTTというのは五・四兆円の一社であった。しかし、分離分割をして、競争政策を入れた結果、今では主要三グループで二十二・五兆円と、約四倍に会社の規模は大きくなっている。そのこと一つとってみても、確かに成果はあったんだというふうに思います。
しかし、今回の法改正の中で最も争点となっている、
関係各社からいろいろな
意見が出ているのは、今回の電気通信事業法の改正によって、今までNTTを分離分割して再編成をしてきたことがまた逆行するのではないかという懸念もあるわけです。
それは、具体的に申し上げれば、NTT東西が光ファイバーを、光回線を卸売サービスという形で提供できるようになるというか、そのための条件整備をするわけですけれ
ども、それを最も懸念されているのが、NTTドコモに対してこの卸売サービスを提供し、かつそれをドコモだけ優遇するというような形になれば、NTT東西とドコモが一体としてサービス提供ができるようになる、分離分割の方向性から反してしまうのではないか、そういう懸念もあるわけでございます。
もちろん、私もこの分野は関心を持って、ずっと、実は一年前から
情報通信
審議会の議論も見てまいりました。
一方で、今の
情報通信分野というのは、国際競争の時代、グローバル化の時代になっています。国内で競争だけしていればいいという問題でもない、グローバルな企業と国際競争を戦っていくためには、NTTを分離分割だけすればいいというんじゃないんだと。再び強いNTTをつくるという面もあるでしょうし、あるいは、利用者のサービスの面でも、NTT東西とドコモがばらばらにサービスを提供するのではなくて一体としてサービスを提供する方が利用者の利便にもなるんだと。
審議会でもそういう議論がありました。
しかし、一方で、競争事業者あるいは
審議会の
委員の中からも、やはり競争政策というのをまずしっかりと行っていかなきゃいけないんだ、そういう
意見もありました。
いずれにしても、世間は、
情報通信業界は、
総務省がどういうスタンスをとるんだろうか、NTT分離分割、再編成を進めてきた、国内の競争政策を重視してきた、そういったスタンスを、これから進めていくのか、それとも今回の法改正で方針転換をしていくのか、そういった面を非常に注目しております。
そういった意味で、最初にまずは
大臣にお聞きしたいと思いますけれ
ども、これまでの、平成十一年から行ってきたNTT再編成、分離分割というものをどのように評価されてきているのか。そして、今後のNTTのあり方。これは、組織だけじゃなくて、組織のあり方もそうですけれ
ども、サービスを一体的に提供するというようなことも今回可能になるわけですが、組織、サービスの両面からNTTのあり方をどのように考えていかれるのか、
大臣の見解を
伺いたいと思います。