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柿沢委員 この後、国際
放送の強化は何を目的にするんですかという話を
籾井会長にお伺いする予定で通告していたんですけれども、さっきほぼ
答弁いただきましたので、これは割愛します。
ですけれども、私は、
答弁を聞いていて、どうなのかなと思う
部分があるんです。先ほど来いい
答弁だという話を自民党の
委員さんからいただいているんですけれども、私は、皆さんがいい
答弁だと言っている
部分が一番、国際
放送が国際的に見られるところにおいて足かせになる要素になるんじゃないかというふうにも懸念をしています。
というのは、先ほど、日本のよさを発信するみたいな
お話がありました。オリンピック・パラリンピックがあって、何か観光案内を
NHKワールドTVを使ってやるんだみたいなことを
籾井会長が言ったような気がするんです。しかし、国際的に見られる
ニュースチャンネルというのは、そういうことをやっているから見られているわけではないんですね。
そういう意味では、日本の報道機関であるかもしれませんけれども、世界的に見て、公正、公平、中立で、独立性があって、一次情報をきちんと出している、こういう評価が確立しているからこそ、BBCだってアルジャジーラだって見られるわけです。この話をちょっとしたいというふうに思うんです。
BBCやアルジャジーラというのは、いずれも、イギリス
政府あるいはカタール
政府とのかかわりを持つ
放送局ですけれども、それらの
政府の立場から独立をして、その国の国営
放送のようなプロパガンダではなくて、偏りなく中立的に一次情報を
取材して、素材に余計な編集を加えずに
ニュースとして流している。この報道の姿勢の認知と評価があるからこそ、世界的に、政治的な立場を超えて見られる
放送局として評価を確立しているんだと私は思います。
一方、これと対照的な話があります。
香港で最大の
放送局、これは民間テレビ局のTVBというものですけれども、昨年、行政長官
選挙の民主化を求める市民十万人の抗議行動、幹線道路に学生たちのデモが、バリケードが張りめぐらされて、いわゆる雨傘革命、アンブレラ革命というのが起こりましたけれども、これらのデモを行っている市民に警官が暴力を振るっている、こういう
映像をTVBが独占
映像で流した。
しかし、それを流した直後に、TVBはこの
映像を自主的に削除してしまったんですよ。中国共産党に配慮して自己検閲したかのような対応に、内部の記者からも批判の声が上がって、中国共産党寄りになってしまっているのではないかということで市民の批判も高まって、香港メディアに対する信用度というのは過去最低の水準に低下してしまったということなんですね。
政府や国家権力からの独立性、中立性を確保しているという信頼を損なうと、メディアの死につながりかねない。そして、そんな
放送局は、国際
放送として、世界の
視聴者から、見るべき
対象とはみなされない。
先ほどの
総務省の
NHK海外情報発信強化に関する検討会に関して、中間報告では、
NHKには表現の自由、報道の自由が確保されていることがCCTVと決定的に異なる点であって、そのことを世界に示すことに意義がある、こういう意見も記されています。
私も、
NHKはそのような報道の自由、独立性、中立性を有している
放送局だと
NHK出身者として思ってきました。そして、思っています。
ところが、
籾井会長の一連の言動を見ると、その独立性と中立性に対する信頼をみずから捨て去るかのような印象を与えかねない言動を繰り返しているように見えるんです。
就任早々、
政府が右と言っているものを左と言うわけにいかない。最近では、国際
放送番組審議会での、安倍談話が出ればそれは国の政策ですけれども、河野談話は国の方針ではない。今は既に
発言内容を修正されましたけれども。現政権におもねるかのような
発言を連発していると国内外で受けとめられてしまっていると思います。
アメリカのウォールストリート・ジャーナル紙が、就任早々ですけれども、記者会見の様子を見て、それを紹介する記事で、新しい
公共放送の
会長は
政府の味方か、こういう見出しをつけています。
私は、
発言の当否を言っているのではないんです。従軍慰安婦があったかなかったかとか、河野談話がいいか悪いかなんという話をしているわけではないんです。私が言っているのは、あたかも
NHKが、
籾井会長のもと、報道機関としての独立性、中立性を低下させて、日本
政府の見解に従順な国営
放送のような報道機関になってしまっているのではないか、なってしまうのではないか、こういう印象を国内外に与えているという結果が生じていることについて問うているんです。
これ以上、
籾井会長によって、公的な場において思慮に欠ける
発言が続くようなことがあれば、先ほど申し上げたように、
NHKのメディアとしての死につながりかねないと思います。
先ほどのBBCやアルジャジーラの例でいえば、単年度で二百二十五億円もかけて国際
放送の強化をしていこうというのに、その予算を投じる目的の実効が上がらない、それとは真逆の言動を
経営トップである
籾井会長がみずから繰り返ししているということにもなります。
簡単に言えば、二百二十五億円、過去十年間に一千七百億円の巨額の投資をしているのに、それをどぶに捨てるような言動を、
経営トップが、頼んでもいないのにわざわざ弄しているということですよ。
浜田経営委員長は、この点について、二百二十五億円、十年間累計千七百億円、それを投じて国際
放送を強化していこうというときに、この
籾井会長の
発言、私は、結果責任として、この国際
放送が独立、中立で、見るに値する、こういう印象を世界の
視聴者に与えることに逆効果をもたらすものだと思いますけれども、そうした意味で、どう
考えられますか。