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古川(元)議員 お答えいたします。
消費税の逆進性対策につきましては、私
どもも、消費税というのが、消費者の人たち、国民からしますと、低
所得の人の方がその支出に占める
税負担の割合が高
所得の人たちよりも多いという
意味で逆進性がある、やはりその逆進性の緩和策は行っていかなければいけないという立場であります。
しかし、その逆進性の緩和になる策として、三党合意でまとめました社会保障・税一体改革の抜本改革法の中では、低
所得者対策として、給付つき税額
控除と複数税率、この二つの両方を検討することが法定化されております。
委員から御
指摘がございましたように、その両方の
制度にさまざまな利点、そしてまたデメリット、問題点もあるというのは事実でございますので、そういった
意味では、この両者を均等にきちんと検討して比較考量した上で、どちらがこの逆進性対策という
趣旨に合うのか、やはりそうした視点から考えるということがまず非常に重要なことだと思っています。
そうした視点から考えてみますと、先ほど
委員からも御
指摘がございましたように、実は軽減税率、複数税率というものは、聞いたところだけでいいますと、低
所得者に優しいように聞こえるんですけれ
ども、実際には、これはむしろ軽減税率の物品を入れることによって、それから恩恵を受けるのは、やはり高
所得者の方が結果的に恩恵が大きくなってしまう。ですから、実質的な逆進性対策。ある試算によりますと、軽減税率、複数税率を入れることによって各
所得階層の消費
税負担割合がどう減るかというふうに見ていきますと、複数税率の場合には各階層が均等に減るような形になって、負担割合でいえば、高
所得者の人の負担の減る割合の方がむしろ低
所得者よりも大きくなっている、そういう試算もございます。ですから、こういう試算も含めてやはり検討していかなければいけない。
私
どもが申し上げております消費税還付措置、いわゆる給付つき税額
控除でございますが、これは、低
所得の人たちを中心に実質的に給付を行うということでございます。今行われています簡素な給付措置、これをもう少し拡充するような形で行う。納付すべき税額がある人については、税額分は引いて、残りがあれば給付する。だからこそ給付つき税額
控除というふうに言っているわけでございまして、そういった
意味ではこれは給付措置の延長線上にあるということが言えるわけでございますから、そういった
意味で、限られた財源の中で低
所得者を中心にその負担割合を減らすという
効果が、私
どもは、消費税額還付、いわゆる給付つき税額
控除の方が大きいのではないかというふうに考えております。
また、もう
一つ考えていかなければいけないのは、複数税率を入れるということは、消費税の仕組みそのものを根本から変えることにつながってまいります。
もともと、消費税の導入に至る経緯の中では、消費税導入以前に
課税されておりました個別の間接税、これが当時はいわゆるぜいたく品というものに
課税するという形で
課税されておったんですけれ
ども、何がぜいたく品かというのが、価値観が多様化してくる、豊かになってくる中でそれが非常に困難になって、ぜいたく品かどうかというところで
課税するかしないかを決めるのは、むしろ
税制をゆがめて、また不公平になる、そうしたまさにこの個別間接税の限界が、ぜいたく品かどうかということではなくて、やはりこれは価格に応じて負担をしてもらう、そういう消費税の導入に至ったということであります。
今
議論されております複数税率というのは、今度はぜいたく品ではなくて生活必需品という概念で、それを軽減するということを言っているわけであります。言葉はぜいたく品か生活必需品かというふうに違いますけれ
ども、何が生活必需品か。今、与党などでは米、みそ、しょうゆという話があったりするようでありますが、米が出れば、ではパンはどうだとか、パンがどうならうどんはどうかとか、そういう話になってくるわけであります。
やはり、そういった
意味では、個別間接税ではもう対処し切れない、不公平になるということ、これが消費税の導入に至ったということとまさに同じ問題が出てくるわけでありまして、これは消費税の仕組みそのものを根本から大きく変えることにつながってしまう、極めて慎重な検討が必要じゃないか。
私
どもが提案しております消費税額還付、いわゆる給付つき税額
控除は、
所得税の世界の中で、今は
所得控除がございますが、これに給付つきの税額
控除を導入するという仕組みでございますので、消費税の仕組みそのものに変更を加えるものではございません。そういった
意味では、消費税導入の
趣旨にもこれは適しているものであって、そうした
観点からも、先ほど
委員からほかにも御
指摘がございましたさまざまな
観点、これをしっかり、両方を法律に基づいて検討する、そのことをこの国会の場でもしっかりやって、国民の皆様方に、両案のどちらが本当にいいのか、そして、将来に禍根を残さない、先人たちがこの消費税導入に費やしたその汗と労苦、やはり先人の方々のそういうものをしっかりもう一度私
どもは今ここで検証した上で、その上で後世に憂いがないように、ここでしっかりとやはり私
どもは検討する必要があるんじゃないか、そのように考えております。