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荒井委員 民主党の
荒井聰でございます。
きょうは、再び
一般質疑でこうしてこの
委員会で
太田大臣と
議論ができることを大変うれしく思ってございますので、きょうもどうぞよろしくお願いいたします。
さて、私は、今、
日本の抱えている大きな
課題というのは、
人口減少に伴い
経済成長が停滞しているのではないか、それを打破するために、
民主党政権のときに、私が担当したんですけれども、
日本の
成長戦略というものを新たに、新たな
視点からつくりました。
あれをつくるときに、
日本は
人口減だから大きな
成長を望むのは無理だという
議論があったんですが、しかし、
日本の
潜在成長力が大体一%、それに政治の力やあるいは
民間の力でもう一%それをかさ上げし、そして物価の上昇が一%だと、大体名目三%ぐらいの
成長を達成することができるのではないか。その一%分というのは、
日本のGDPの一%ですから大体五兆円ぐらい。五兆円ぐらいずつ何らかの新しい
産業をつくっていく、あるいは新しい
需要をつくっていく。特に
需要をつくっていくということが大事なんじゃないかという
視点から、今まで
成長分野ではないと言われていた
医療ですとか、あるいは
農業ですとか、そういうものを
成長分野として位置づける、そういう
作業をやりました。
今、その
作業は
安倍政権でも引き継がれていて、
農業や
医療なども大きな
成長産業だというふうにされているということは、私は大変好ましいことだというふうに思っています。
そんな中で、私は、きょう
大臣と少し
議論をしたいなと思うのは、
国交省関係の中にそういう
成長分野がたくさんある、宝庫だというふうに思っています。
ところで、話題は全然かわるんですけれども、
塩野七生が書いた「海の都の物語」という、
ベニス、ベネチアのことを書いた、これは小説というんでしょうか、そういうものがあります。
ベニスという小さな
都市国家が、
大国トルコを
相手にして、数百年間、
地中海の
覇権を
大国トルコと争って、最後まで頑張るわけです。
ベニスというのは小さな国で、
人口が足りないというか、
人口が少ないことにずっと悩み続けてきた国なんですね。大きな戦争も、
トルコを
相手にしてはなかなかできない。そういう中で彼らが生き残った原因は何なのかということを
塩野七生がずっと分析をしているんです。
その中で
対照として出てくるのが
ジェノバという
コロンブスが生まれた町ですけれども、そことの
対照として
ベニスを書いています。
結局、
ベニスも
ジェノバも、
地中海の
覇権を得るためには
貿易立国でしかない、平和な国、
貿易をしっかり振興させるために国の総力を挙げるということに気がついてというか、そういう立脚、国の方針を決めるわけです。
最終的には
ベニスの方が
ジェノバに勝つんですけれども、どこが違うかというと、
ベニスは国を挙げて
組織戦を戦うんですね。
組織戦なんですね。いろいろな
組織を機能的に使っていくというガバナンスというか、そういう
国家運営をやります。これに対して、
ジェノバの方は
個人主義なんですね。ですから、中には
コロンブスのようなすぐれた人材も出てくるんですけれども、最終的には
ベニスに勝てないんですね。そういう
歴史をずっと
塩野七生は語っているんです。
彼女は恐らく、
日本というものもそれに投影しているんだと思うんです。
日本の国が本当に繁栄していくのには平和が必要だ、
人口が減少するといっているけれども、それを乗り越えた
歴史のある国があるではないかということを示唆しているんだろうというふうに私は思います。
その意味で、今、
安全保障体制の
議論が専門的にやられている
委員会が別にありますから、そこはそこなんですけれども、しかし、
基本は、
日本という国は決して大きな、
人口をたくさん抱えている
大国ではありませんから、生き残っていく道というのは、かつての
トルコのような、武力やあるいは
他国を侵略していく、そういう道ではなくて、
貿易をしっかりつくり上げていくという、そこに大きな道があるんだろうというふうに思っています。
そこで、きょうは、
貿易を促進させていく、あるいは
貿易上でいろいろな障害のあるもの、そこについてもう少し、特に
国交委員会ですから、
国交委員会として取り上げていくべきものを少し
議論させていただければと思っております。
特に、
日本は
グローバルスタンダードの戦いではしょっちゅう負けているんですね。非常にいいものをたくさんつくっているし、またそういう
技術的な革新というものを、特に
日本の
中小企業は
努力をして新しいいいものをつくっているんですけれども、その
スタンダード、
標準化ということについては、
一敗地にまみれているという例がたくさんあるんですね。
そこで、どんな点で
標準化で負けていたのか、あるいは問題があったのか、
標準化の
重要性の増大という
ペーパーをお持ちしました。
これは経産省がつくっていただいた
ペーパーなんですけれども、実は私も知りませんでしたが、実際起きたことが、
JR東日本による
ソニー開発の
FeliCa方式の
ICカード、つまり
Suicaですね、この
Suicaの
カードを、
モトローラが、これは
WTO違反ではないかと
国際標準化の
違反として
異議申し立てをしたんですね。
日本でつくったすぐれた
技術で、しかも
日本の極めて大きな
企業が
Suicaという新しい
方式をつくり上げたわけですけれども、それが売れない、使えないかもしれないという
事態に立ち至ったことがあるんだそうです。私も知りませんでした。
結局、この
申し立ては、
モトローラの方も
国際標準をとっていなかったということで、両方とも
申し立ては却下されて、結局
Suicaは使えるようになったんですけれども、一歩間違えていれば、この
Suicaという
技術は、
日本で開発したにもかかわらず、
JR東日本は使えなかった、あるいは
JR関係が使えなかったという
事態が起きていたわけです。こういうことはほとんど知られていませんね。
もう
一つ、
国交委員会関係でいいますと、右の方でありますけれども、
台湾への
新幹線、これは
日本が
インフラ輸出を、最初の
輸出なのかもしれません、成功した例でありますけれども、この
台湾新幹線の
輸出の際にも、
日本の国内で安全に利用されているというだけでは
相手国の信頼を得られず、
国際基準に基づく
適合性評価が
課題になりました。この
課題で
輸出できないかもしれないというような
事態さえあったんだそうであります。結局、
日本の
新幹線の
技術評価を
海外にある第三者に依頼して、それで認めてもらったということで
輸出が認められたんだそうであります。
つまり、ここで何を言いたいかというと、
戦略的分野については、国際的な
認証ということは極めて重要だということであります。
このことは、
政府の中でも認識をしている人が結構いて、
政府でもそのための
機関もつくっているようでありますけれども、これは全体で約二万件ぐらいこういう
認証というか、そういうものがあるんだそうであります。そのうち、どこの
分野にどのように
重点化をして、
戦略的に、
貿易立国として必要なそういう
認証の
戦略を練るのかということが必要なのではないか。
認証の一番ポピュラーなものは、
日本では
JIS規格ですね。この
JIS規格でも約一万件ぐらいあるんだそうでありますけれども、これらの
国際標準化の
加速化というものが今極めて重要な状況に来ているというふうに私は思います。
そこで、きょうは経産省や
外務省、それからもちろん
国交省の方も来ておられますので、
日本が
世界と戦える
成長分野を育成する、あるいはそれを保持するというためには、一元的な
国家戦略、
標準化に向けての
戦略というのが必要なんだろうというふうに思いますが、それらについてどのように今考えておられるのか、あるいはその
戦略はいかがなものなのかということを、まずは
事務局から
お話をいただけますか。