○小宮山
委員 大臣、ありがとうございます。
どうぞ参議院の方にお向かいいただいて。追い出すわけではないんですが、おくれないでいただければと
思いますので、どうぞ気をつけて行ってきていただければと
思います。
さて、
質問の方をもとに戻させていただきます。
今
大臣もありましたけれ
ども、伝統的方法、こちらの方に関しては、私も今回、木の家ネットに所属されている綾部
工務店さんの方から、JIA、
日本建築家協会の
環境会議、
環境行動ラボワーキンググループの伝統的工法の住まいリサーチユニットによる調査結果というのを頂戴いたしました。これは皆様方のお手元にお配りさせていただいております
資料でございます。
これを見て、なかなか木造
住宅など、また、高
断熱、高気密がいいという全体の流れの中からは一線を画したようなデータが出てまいりました。
現在は、調湿や触感などは低い
評価しか出てこないんだというようなことも伺いましたし、また、地域の資源、技術、文化に配慮した伝統的木造
建物というものは、地域経済にも結果として寄与するということも大変実感をしているところでもございます。
このようなものが、ある
意味、高
断熱の方が上だというような雰囲気、また、それが一番の解決策であるというところだけで本当にいいのかというのも疑問に思うところではあります。もちろん、
建築物の耐震化を考えるときには、木造
住宅、従来工法、さらには、いわゆる伝統的構法での
建築が選択し得る、設計し得るように、構造計算の
あり方をどうするかなど、さまざまな議論を国交省でも重ねてきたと
思います。
建築物、特に戸建ての
住宅について、
省エネルギー化を考え、将来の基準
適合化を
検討する場合に、やはり伝統的構法による
住宅建築も選択肢に入るべきと考えております。
例えば、今提出してありますけれ
ども、見ながら聞いていただければと
思いますが、木造で土壁の
住宅を
新築しようとした場合、土壁は壁材に用いることはできるものの、
省エネ性能の判定
プログラム上での計算時には、
断熱材十センチ相当等としての計算となりません。
エネルギー性能の低い
建築物という計算が結果として出てまいります。
配付
資料で見ますと、赤い線で囲った左側のデータをごらんいただければと
思います。
省エネ基準が百十九・一メガジュール
規模の
住宅において、土壁での判定
プログラム上での計算結果は二百六十四・一メガジュールと、基準の二・二倍もの
エネルギー消費をする家との計算になっております。
ところが、実際に
新築されたこの家に一年を通じて居住し、電気、ガスなどの消費量を計算した結果は、六十二・八メガジュールしか消費していませんでした。これは、実測値は基準の〇・五二倍ということで、熱を使う率としては大変低くなっている。これは、暑さ寒さも我慢をしてはかったというわけではございません。内陸の数値でございますので、暑いときは本当に暑いですが、それでも問題なく過ごせるということ。
また、この家は吹き抜けの居室があり、判定
プログラムの計算結果が大きな
数字として出やすいという事情もあるそうですけれ
ども、右側のデータをごらんいただければと
思います。
これはまた別の家でありますが、吹き抜けのない土壁の
住宅についてのデータがとられております。
省エネ基準が八十七・七メガジュール、計算結果が百九・七メガジュールであったのに対して、一年間の実測値は四十五・四メガジュールと大変低い数値が出されました。
どのような暮らし方をするか、どのような室温のもとで過ごすのが快適と感じるのか、それは個々人で違いもあります。ちなみに、左側はエアコンは入っておりますが、右側の
先ほど言った大変低い数値が出たところは、エアコンも入れていないで過ごされているということであります。
断熱による
省エネ性能の追求は、
世界各国で当然のように行われることと
思いますが、夏の湿度が高い
日本では、室温に着目するだけではない快適性の感じ方、指標というものが求められているのではないでしょうか。
例えば土壁の採用など、現在の判定
プログラムでは
省エネ性能が劣るとされてしまいがちですけれ
ども、吸湿性などにたけて、快適に感じる居住空間につながるとも伺っております。
お風呂場や、その前室や、トイレの中といったところにおいて、急激な温度差が生じないようにするのは必要だと
思いますが、
建物の中全てが横並びの基準を求めなければならないかなど、住まい方というもの、建て方というものにもいろいろな多くの疑問や課題が残っていると考えております。
四季折々の気候変化のある
日本。住まい方についても、その時々、気候変化を感じながら、気候の変化を楽しみながら暮らしてきたという、これこそまさに
日本人が暮らしてきた、自然とともに生きてきたというものであり、それを体現するものが伝統的木造
住宅、
日本家屋であります。
日本家屋を計算上の
省エネ性能に劣るものとしてしまうのではなく、改めて
評価する
姿勢もぜひおとりいただければと
思います。
今後、
住宅、特に戸建て
住宅への
適合義務化を拡大していくに当たっては、伝統的木造
住宅・
建築物に用いられる伝統的構法や、土壁や大きな開口部の設置等についても適切に
評価していく必要があると考えております。
この点について、
国土交通省としての御見解をよろしくお願いいたします。