○宮崎(岳)
委員 今御説明がありました。基盤技術研究促進センターにおいて二千六百八十四億円の損失を出したことを初めとして、これまでに四千九百七十三億円の損失を出しているというようなことであります。先ほど、とはいえ収益というのも上がっているので、全体としては三兆八千八百億円ぐらい利益が出ているんだという御説明でございました。
しかし、こう聞くと、産業への投資をやって、その投資が成功して四兆円近く利益が入ったんだというふうに聞こえるわけでありますけれども、必ずしもそうではないわけであります。収益の大どころというのは、NTT株、JT株あるいは日本政策投資銀行の政府保有株等から上がる株式配当収入でありますとか、JAL、NTTの株式処分益でありますとか、国際協力銀行などからの国庫納付金というものが主要な柱でございます。
これは、もともと政府が独占企業を、JTなんかに至っては明治
時代ですから、そういう
時代に
法律で守られた独占企業をつくって、そういったものに長年かけて投資をして形成していったものをある日処分したからお金ができた。そのお金を産投特会、今でいうと財投特会の方に移したから利益というふうに計上されているだけであって、産業への投資が成功したから利益が出たというわけではないわけですよね。
ですから、ここはきのう私も財務省の方にはお
伺いしましたが、では正確に産業への投資でどれだけ利益が出たというのは即答はいただけなかったですし、なかなか数字は、ありますか。ないですね。なかなかないのではないかというふうに思います。
失敗した例に特別
認可法人の基盤技術研究促進センター、今お話しいただいたものがあります。これは、昭和六十年にNTTが民営化されました。その政府保有株の配当が当時年間二百八十億円ずつ上がるということになりまして、このお金をどう使うかということになって、産投特会の中に
一般会計から移しかえて入れたわけですね。このお金を使うためにつくったような法人と言ってもいいと思うんですよ。
そのときに、NTT株の配当を原資といたしまして、研究開発プロジェクト
会社というのを
民間につくらせます。そこに共同
出資をして研究開発を行って、研究成果が上がれば、その特許権収入、知的財産権収入で投資を回収しようというようなものでありましたが、大失敗をしたわけであります。三千五十六億円を
出資して二千六百八十四億円の損失を出した、投資なのに九割返ってこなかった、こういう話でありまして、センターは、先ほど答弁にありましたとおり解散に追い込まれたわけであります。
会計検査院の
平成十二年度の決算検査報告を見ますと、研究開発プロジェクト
会社七十四社に対して、
平成十二年度末までに
民間からの
出資金と合わせて四千億円を超える
出資金が投下された。四千億円ですよ。特許収入等の総額はわずか三十億四千六百二十七万円余りである。四千億入れて三十億しか返ってこなかった、これは
民間のお金も入っていますけれども。こういった
事例が過去にあったわけであります。
また、情報処理振興
事業協会及びこれを引き継いだ独立行政法人情報処理推進機構では、特定プログラム開発承継勘定、これも会計検査院の報告等によると、企業に開発費を支給して開発したプログラムの権利、このプログラムの権利を開発企業と共有する、そしてそのプログラムを売ったり、使用料収入等のところから利益を回収しようとしたんですけれども、四百八十二億円の投資に対して三百七十七億円の損失を出して、八割焦げついて返ってこなかったというようなケース。
国交省関連では、いわゆる関西国際空港株式
会社が有名でありますけれども、この
産投出資でも百五十三億円の損失を出しています。
こういうことを考えますと、
民間も
出資しているからよいとか、
出資であって投資なんだから平気なんだということは必ずしも言えないだろう。もちろん特会の見直し等も行われて改善しつつあるんだと思いますけれども、そういうことで、ただ、いいことにお金を出すし、返ってくるからいいんじゃないかということではちょっと済まない、こういうことなんだと思うんですね。
出資先が
民間企業主体であることについて、これは次は
大臣にお
伺いをしたいと思います。
自治体と機構の関与が大きくなり過ぎて、非効率的な公営企業というのができてしまうんじゃないかというようなことが懸念されるわけであります。
先ほどの
産投出資の
あり方についても、
平成二十年六月の財政投融資に関する基本問題検討会産業投資ワーキングチーム、福田政権のときですかね、ちょうど麻生政権にかわるころのものかと思うんですが、こういったものを見ましても、これは
リスクマネーへの投資なので、個々の投資一本一本について利益を
確保する必要はない、こういう表現になっています。しかしながら、産業投資全体で継続的に
一定の利益を上げて
赤字を出さずに運営することが求められる。そして、個々の
対象機関ごとに、短期的に毎年度国庫納付または配当を求めることはないが、長期の
事業見通しを立てたときに最終的に利益を
確保することができる
見込みがあるか、定期的に検証することが必要なんだ。そして、もし返ってこない
可能性があるということであれば、そういったことについては抜本的な見直しを行わなければならない。つまり、融資をとめるとか清算するとか、あるいはもう完全に
主体を変えるとか、いろいろあるんでしょうけれども、そういうことであります。
そういったことがこれまでも検討されている趣旨であるということを踏まえた上で、
自治体と機構の関与というものが大きくなり過ぎると問題があるんじゃないか。この
自治体と機構の
出資割合の限度、どこまでなら許容されるのかなというふうに考えていらっしゃるかを
大臣にまずお
伺いしたいということ。
それから、
出資割合が
一定の限度を下回るから全て安全なんだとももちろん言えない。
中心となる
民間企業や
バス会社、
鉄道会社みたいなところがでんと構えていて、経営責任は自分たちが負うんだ、ただ、
リスク分散のためお金を出してくれ、
自治体や機構にも、それなりに
出資してくれ、こういうのならいいんだと思うんですね。こういうケースを想定されているんだとは思うんです、恐らく
スキーム的には。
ところが、場合によっては必ずしもそうではなかったりもすることがあるわけでありまして、例えば今回の
スキームは
地域計画に基づいたものですから、
自治体主導であるという面も否定できない。
自治体に機構がついてくる、そんなイメージで捉えているわけでありますが、例えば地元の知事や市長が地元の
地方銀行とか名門企業なんかに奉加帳を回して、ぜひ
出資を
お願いしますと言えば、みんな義理でも多少
出資してくれると思うんですよね。こういう例は幾らでもあると思うんですね。
しかし、
民間資金が多くても、これは細切れになっていて、金は出すけれども運営の責任はとらないよ、
中心にはならないよというような人ばかりで、大口
出資者が
自治体と機構だけであるとかいうことになったりとかしたら、とても
民間主体とは言えなくなってしまうんじゃないかというふうに思うんです。
あるいは、市や県から代表取締役社長、会長を派遣して運営しますよというようなことで、それで負債も市や県が連帯保証しますよみたいな話になると、
民間から
出資を求めていたとしても、それは一種の寄附金みたいなものでありまして、実質的には
民間主体とは言えなくなってしまうじゃないか、こういうふうに考えます。
それなので、
自治体と機構の
出資割合の限度がどこまでかということ、それから、このように
出資割合を
一定に抑えても、事実上
民間主体ではないというケースも想定されると考えるんですが、どうやって歯どめをかけていくのか、この点について
大臣にお
伺いしたいと思います。