○山井
委員 二十八分間、過労死の防止、そして、今回
提出がうわさされております残業代ゼロ
法案、その中でも、特にきょうは裁量労働制の営業職などへの拡大、そのことについて御
質問をさせていただきたいと思っております。
きょうは、傍聴席の左の端に山下照之さんにお越しをいただいております。目が不自由なわけですが、本当に、わざわざ傍聴にお越しをいただいております。
その理由は、きょうの配付資料の一面にもありますように、山下さんは今から七年前にクモ膜下出血でお倒れになられまして、三日間意識不明になられた。それで、一命は取りとめられましたが、ここに書いておりますように、全盲になってしまわれました。「直前四カ月の平均残業時間は月百五十時間を超えた。多い時は年間三百日海外出張し、深夜まで商談。顧客の求める納期に応えるため、自宅でも取引先や同僚からの電子メールに対応した。」ということであります。しかし、
会社側は直前四カ月の平均残業時間は月十時間未満だということで、残念ながら、労災認定も受けられておりません。
そして、今回、高度プロフェッショナルも問題でありますが、同時に裁量労働制の営業や管理部門の拡大というのも入っておりますし、特に裁量労働制の拡大は、年収要件はありませんから、年収二百万円でも、そして新入
社員でも適用になります。そういう中で、私のような被害者がふえることを防ぎたい、命を守りたいという思いで今、山下さんも発言をされております。
昨年の五月にこの場、この
厚生労働委員会で画期的な過労死防止法が全ての党派の賛成により衆議院を通過いたしました。自民党さん、公明党さんという与党も積極的に推進をしていただきまして、全ての政党が賛成で過労死防止法ができたということは、本当にすばらしいことであったと思います。
きょうの配付資料の最後のページにもありますけれども、その中で、過労死等防止対策推進法第四条、国は過労死等の防止のための対策を
効果的に推進する責務を有する、過労死を減らすための国の責務というものが明記をされたわけであります。
そういう意味では、この過労死防止は、党派は関係なく、政争の具にすることなく、とにかく、特に私たち
厚生労働委員としては、どうすれば、過労死大国と世界的にも汚名をつけられているこの
日本でどう過労死を減らしていけるのかということを昨年成立させた
法案に基づいて今
議論をせねばならないと思っておりますし、ことし六月ぐらいには過労死防止対策法に基づいた過労死防止対策大綱もつくられようとしております。
私の問題意識は、昨年この場で成立した過労死防止法と、今回、今、
提出されるのではないかとうわさされている残業代ゼロ
法案、
政府は新しい労働時間法制と言っているのかもしれませんが、呼び名はともかくとして、その残業代ゼロ
法案が矛盾する、もっと言えば、長時間労働をふやすのではないか、過労死をふやすのではないか、これは非常に重要な
議論なんです。
なぜならば、私たち
国会議員、特に
厚生労働委員の責務というのは国民の命を守ることですから、間違っても今回の
法案によって、来年四月施行という予定らしいですから、来年四月以降、新しく対象拡大で裁量労働制や高度プロフェッショナルになった方が、過労死や、あるいは、きょうもお越しをいただいている山下さんのような労災になったとしたら、これはあり得ないことですから、過労死防止法にも反するということにもなるわけです。
そこで、この山下さんのケースは、自宅に持ち帰り残業をしていて、パソコンで、もちろん、二十四時間
体制で仕事をされていたわけですよね。平均残業時間は月百五十時間。ところが、クモ膜下出血で倒れられた後、
会社側がそのパソコンのメールや記録を消去してしまった。それで、なぜ労災に認定されないのかというと、何と、働いた証拠がない、成果物がないと。でも、成果物がないと言うけれども、
会社側が消去しているんですよ、それは。そういう非常に厳しい状況でなぜ労災にならないかという一つの主張として
会社が言っているのが、裁量労働制だから本人の裁量で働いたんです、
会社の責任はありませんと。
山下さんは、クモ膜下出血で三日間生死をさまよわれたときに、臨死体験というんですか、脳死体験というんですか、その中でお亡くなりになられたお母さんにもお目にかかられて、そして、こっちに来るなと言われて戻ってきたということもおっしゃっておられました。
こう言ったらなんですけれども、本当に生死の境をさまよった山下さんが、今この場にお越しになって、裁量労働制を拡大すると過労死がふえる、そういうことを訴えておられるわけです。
塩崎大臣、このような現状についてどう思われますか。