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2015-04-23 第189回国会 衆議院 原子力問題調査特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成二十七年四月二十三日(木曜日) 午前十一時
開議
出席委員
委員長
吉野
正芳君
理事
岩田 和親君
理事
齋藤 健君
理事
白石 徹君
理事
鈴木 淳司君
理事
宮澤 博行君
理事
田嶋 要君
理事
初鹿 明博君
理事
赤羽
一嘉
君
赤枝
恒雄
君 石川
昭政
君
江渡
聡徳君
尾身
朝子
君 勝沼
栄明君
岸 信夫君
熊田
裕通
君
今野
智博
君 佐々木 紀君 斎藤 洋明君 助田 重義君
高木
毅君 津島 淳君
中村
裕之
君
額賀福志郎
君
比嘉奈津美
君
細田
健一君
細田
博之君
御法川信英
君
宮川
典子
君
宮路
拓馬
君
宗清
皇一君 村井 英樹君 簗 和生君 阿部 知子君 荒井 聰君 逢坂 誠二君 菅 直人君 馬淵 澄夫君
太田
和美
君 柿沢 未途君 河野 正美君
吉田
豊史
君 中野
洋昌
君 樋口 尚也君 塩川 鉄也君 藤野
保史
君 …………………………………
経済産業
副
大臣
高木
陽介君
防衛
副
大臣
左藤
章君
経済産業大臣政務官
岩井 茂樹君
政府特別補佐人
(
原子力規制委員会委員長
)
田中
俊一君
政府参考人
(
内閣府政策統括官
)
平井
興宣
君
政府参考人
(
警察庁長官官房総括審議官
)
沖田
芳樹
君
政府参考人
(
消防庁審議官
)
北崎
秀一
君
政府参考人
(
文部科学省研究開発局長
)
田中
正朗
君
政府参考人
(
厚生労働省労働基準局安全衛生部長
)
土屋
喜久
君
政府参考人
(
経済産業省大臣官房審議官
)
土井
良治
君
政府参考人
(
資源エネルギー庁電力
・
ガス事業部長
)
多田
明弘
君
政府参考人
(
環境省水
・
大気環境局長
) 三好
信俊
君
政府参考人
(
原子力規制庁次長
)
清水
康弘
君
政府参考人
(
原子力規制庁長官官房核物質
・
放射線総括審議官
)
片山
啓君
政府参考人
(
原子力規制庁長官官房審議官
)
大村
哲臣
君
政府参考人
(
原子力規制庁長官官房審議官
)
山田
知穂
君
政府参考人
(
原子力規制庁原子力規制部長
)
櫻田
道夫
君
政府参考人
(
防衛省大臣官房衛生監
) 塚原
太郎
君
政府参考人
(
防衛省大臣官房審議官
)
笠原
俊彦
君
政府参考人
(
防衛省大臣官房審議官
)
辰己
昌良
君
参考人
(
東京電力株式会社代表執行役社長
)
廣瀬
直己
君
衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長
石上 智君
—————————————
委員
の異動 四月二十三日
辞任
補欠選任
江渡
聡徳君
熊田
裕通
君
大西
英男
君
尾身
朝子
君
高木
毅君
今野
智博
君
中村
裕之
君
宮川
典子
君
太田
和美
君
吉田
豊史
君 同日
辞任
補欠選任
尾身
朝子
君
比嘉奈津美
君
熊田
裕通
君
江渡
聡徳君
今野
智博
君
高木
毅君
宮川
典子
君
中村
裕之
君
吉田
豊史
君
太田
和美
君 同日
辞任
補欠選任
比嘉奈津美
君
赤枝
恒雄
君 同日
辞任
補欠選任
赤枝
恒雄
君
大西
英男
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
参考人出頭要求
に関する件 原子力問題に関する件 ————◇—————
吉野正芳
1
○
吉野委員長
これより
会議
を開きます。 原子力問題に関する件について
調査
を進めます。 この際、お諮りいたします。
本件調査
のため、本日、
参考人
として
東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己
君の
出席
を求め、意見を聴取することとし、また、
政府参考人
として
内閣府政策統括官平井興宣
君、
警察庁長官官房総括審議官沖田芳樹
君、
消防庁審議官北崎秀一
君、
文部科学省研究開発局長田中正朗
君、
厚生労働省労働基準局安全衛生部長土屋喜久
君、
経済産業省大臣官房審議官土井良治
君、
資源エネルギー庁電力
・
ガス事業部長多田明弘
君、
環境省水
・
大気環境局長三好信俊
君、
原子力規制庁次長清水康弘
君、
原子力規制庁長官官房核物質
・
放射線総括審議官片山啓
君、
原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣
君、
原子力規制庁長官官房審議官山田知穂
君、
原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫
君、
防衛省大臣官房衛生監塚原太郎
君、
防衛省大臣官房審議官笠原俊彦
君及び
防衛省大臣官房審議官辰己昌良
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
吉野正芳
2
○
吉野委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
吉野正芳
3
○
吉野委員長
質疑の申し出がございますので、順次これを許します。
赤羽一嘉
君。
赤羽一嘉
4
○
赤羽委員
公明党の
赤羽一嘉
でございます。 きょうは、限られた時間でございますが、特に
福島
第一
原発
の
廃炉
、
汚染水対策
について
中心
に
質問
させていただきたいと思います。 私は、三年前の十二月二十七日に、
自公政権発足
直後に
経済産業
副
大臣
及びまた
原子力災害現地対策本部長
を仰せつかりました。以来、正直に申しましてそれまで猫の目のようにかわっていた
現地対策本部長
を引き継いだわけでありまして、しっかりと
地元
の
皆さん
の、また
関係者
の
信頼
を得るべく
誠心誠意仕事
をしてまいろう、こう
決意
をいたしました。 就任直後から、
原則週
二日ないし三日
現地
に足を運びながら、一日も早くこの
福島
の問題を解決しようと
努力
をしながら、一昨年の夏ぐらいに
福島
第一
原発
の中でさまざまな
ヒューマンエラー
のようなものが出てきて、それまでの、ある
意味
では
東京電力
任せの体制を国が前面に出なければいけないということで、
閣議決定
も変えさせていただき、具体的には、
現地
で、
政府
そして
規制委員会
また
東京電力
、この三者が同じテーブルに着きながら、
現地対策調整会議
というものを立ち上げました。それと同時に、
現地
にも
政府
の
地元
の事務所を立ち上げて、
資源エネルギー庁
またほかの
関係省庁
の
専門家
を常駐させて、
東京電力
やまた
規制委員会
の
皆さん
とともに、同じ視線で、同じ
立場
で、パトロールをしながら、ともに、
東京電力
の問題ではなくて国の問題として取り組んでいこう、こう
努力
をしたわけでございます。 その
調整会議
も毎回四時間半から五時間を超える。とにかくその一カ月の間に起こった
事象
は全てそこで報告をする。それに対して、
規制委員会
また
政府
、
東京電力
がそれについての潜在的な
リスク
を徹底的に洗い出しながら、考えられる
リスク
に対してどう対応するかというのを次の
会議
までに
東京電力
を
中心
に報告する。
東電
だけではできない場合は国もしっかりとサポートをする。こうしたサイクルを行ってまいりました。 そのときに、
規制委員会
から、当時の
山本審議官
を初め
関係
の方が
出席
をいただきまして、現場を歩いていただきながら、その
会議
でも先頭に立ってリードをしていただいたということについては、同じ志を持った同志として
大変感謝
をしているところでございまして、改めて、この場をおかりいたしまして、心から御礼を申し上げたいと思っております。 もう四年がたちまして、今のようにさまざまな問題、
課題
がございます。いろいろなことがあって、起こった
事象
が
現実
的にはさほどの
危険性
がないことも大変過大にマスコミ報道される、それで不安がかき立てられるというようなことを繰り返してきたということはなかなか直らないのでありますし、それは
政府
も
工夫
をしなければいけないわけでございます。 しかし、さはさりながら、今の一番の大きな問題は、あそこの地形としては、毎日約三百トンの
地下水
が
サイト
内に流入をされている。この
サイト
内に流入したきれいな水が
汚染
されてしまうわけですね、
サイト
内を通ると。その
汚染水
をどうするのか。その
汚染水
は、どんどんどんどんふえていく。
タンク
を急ピッチでつくる。汚さないようにした形で
地下バイパス
で外に出すとかさまざまな
工夫
をされておりますが、約三百トンの
地下水
をどう
汚染
させないのか、また、
汚染
されたものをどう
処理
していくのかということ、これはどの
立場
でも大変一番大きな問題だと考えております。 今、やはり
漁業者
の
皆さん
は
風評被害
で苦しんできたわけですね。その
風評被害
に対して大変な、
自分
の職業に係ることでございまして、このことについて当然、神経質になって当たり前だというふうに思っております。そこの
部分
の
信頼回復
がなかなか醸成されないというのは、
政府
、
東京電力共通
の大変大きな
課題
だ、こう思っております。
現状
、先日の特に
K排水路
の
水質データ
が公表し切れなかったというようなことも重なって、今、
漁業者
との
信頼関係
、
さまざま努力
をしておりますけれ
ども
なかなか回復していない。その結果、当初予定をされておりました
サブドレーン
の
稼働
の見通しというのは立たなくなっている。これは大変大きな問題だと思っております。
サブドレーン
が活用できないと、汚れた水がどんどんふえ続ける、
タンク
をどんどんつくっていかなければいけない、しかし、
タンク
の中に高
濃度
の水を置くということは
廃炉そのもの
のこれからの
作業
に障害になるおそれがある、この
リスク
は
規制委員会
からも
指摘
をされているところでございます。 同時に、
地下水
を汚さないという
意味
で、
政府
が
東京電力
とともに取り組んできております
陸側
の
凍土式
の遮
水壁
、このことは大変重要だと思っております。しかしながら、予定された年度内の
凍結開始
というのがまだ、目標としながら、
現時点
では
オペレーション
ができていない、こういう
状況
がございます。 昨日、
原子力規制委員会
で
特定原子力施設監視
・
評価検討委員会
が行われて、私も見させていただきました。これは前々から
承知
しておりますが、
規制委員会
のこのことについての基本的な
シナリオ
は、あくまでも
サブドレーン
を
オペレーション
する、そして、
海側
の遮
水壁
を閉じる、そして、
陸側
の遮
水壁
の閉合をする、こういう順番だということが
更田委員
からも改めて言われておりますが、それはよくわかるんですけれ
ども
、
現実
に、
サブドレーン
というのは
漁業組合
ほか
関係者
の
皆さん
の
了解
が出ないと
オペレーション
できない。 これというのはすごくずっと時間がかかってここまで来ておりまして、この
サブドレーン
の
了解
がとれないと、
地下水
を汚さないという
オペレーション
がこのままだとスタックするというか、前に進まないという私は
大変懸念
をしております。 ですから、
サブドレーン
の利用について、
政府
、
東京電力
が
漁業組合関係者
の
皆さん
に
理解
を求める、していただく
努力
をしていくというのは当然でありますけれ
ども
、同時に、
陸側
の
凍土式
の遮
水壁
、これは十
数カ所
まだ
凍結
しにくい場所があるという
指摘
があって、そこの試験的な
凍結
という
オペレーション
もまだ認められていないと
承知
をしておりますが、こうしたことはなるべく同時並行的に進めるべきではないか。その中で、それぞれの
課題
、
注水井
の発掘とか、今
課題
を継続しているというふうに
承知
しておりますが、
サブドレーン待ち
でどんどんどんどん
汚染水
をふやしていってしまうということは、根本的な
リスク
をふやしてしまうということにつながるのではないか。 その点について
規制委員会
の、私はそういうふうに並行してやっていくべきだ、進めていくべきだと考えておりますが、そのことについての御所見をいただきたいと思います。
田中俊一
5
○
田中政府特別補佐人
赤羽委員
が全て御案内のことなのであれですけれ
ども
、今実は、
地下
の、要するに、
原子炉
の中の
水位
とその外側の
水位管理
、
原子炉
の方が高くなりますと、
汚染
のひどい水が外に出るということがありますので、そうならないようにということで、実は、
海側
の遮
水壁
を一部開放して水を流しております。やはりそこからどうしても
汚染
された、港湾内でありますけれ
ども
、そちらに出ていきます。そういったことをとめなきゃいけないというのは、これは
共通認識
です。 一番の問題は、
先生
御
指摘
のように、遮
水壁
をむやみに、むやみにというのは余り適切じゃないですが、とめる場合には、必ずそこで先ほどの炉とその周りの
水位管理
というのをきちっと
調整
ができるようにしておかないと、出さないつもりが炉内の
汚染水
が出てきてしまうということになります。そこのところの
検討
がまだ不十分だというようなところがありまして、今、
東電
の方でも少し議論をしていただいています。 これが基本的な私
ども
の考え方で、そういうことを考えると、今実は、確かに困難でありますけれ
ども
、
サブドレーン
というのは非常に効果的な、割合そういった
水位管理
もやりやすいというようなところがありまして、ぜひそういったことをまず一つ動かす、その上で、
海側
の遮
水壁
もクローズして海に流れる量を減らしていこう、それを第一の
シナリオ
として今
検討
していただいています。
サブドレーン
を使わない
シナリオ
というのも、本当にフィージビリティーがあるかどうかというのをきのうも大分議論されたようであります。実は、ちょっと私は全部拝見していないんですけれ
ども
、そういうところを踏まえて、少し柔軟にこれについては対応していきたいと思います。
赤羽一嘉
6
○
赤羽委員
水位管理
をしなきゃいけない、そのシミュレーションが恐らくまだ不確かな
部分
があるという御
指摘
だと。それもよく
承知
をしております。それはそれでちゃんとやるとして。 先ほど申し上げました
陸側
の遮
水壁
、凍りにくい十
数カ所
のところをまず試験的な
凍結
をする、この
オペレーション
についてもまだ許可が出ていないというふうに
承知
をしております。
委員長
じゃなくてもいいんですけれ
ども
、その点答えられれば、これは早期に、そこはトライアルですからやらせていただいた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
山田知穂
7
○
山田政府参考人
先生
御
指摘
の、
陸側
遮
水壁
の山側の
試験凍結
に関してでございますけれ
ども
、既に
東京電力
の方からは
実施計画
の
変更申請
を受理してございまして、今
審査
をしている最中でございます。
本件
につきましても、
試験凍結
とはいえ、
地下水位
が、
タービン建屋
の
水位
との
関係
できちんと
管理
ができるかどうかというところは慎重に
審査
をしなければいけないというふうに考えてございまして、今鋭意
審査
しておるところでございますので、できる限り早く認可ができるようにということで、私
ども
の方で
努力
をしていきたいと思います。
赤羽一嘉
8
○
赤羽委員
ぜひよろしくお願いいたします。 いろいろな
選択肢
を、可能な
選択肢
をふやすということはいいことだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 次に、
トリチウム水
の
処理
についてであります。 汚れてしまった
汚染水
は、いわゆる
多核種除去設備
、複数のALPSでこの
汚染水
を浄化
処理
しているわけでございますが、どうしても、
現状
は
トリチウム
が除去できずに残っているという
状況
でございます。この
処理
後の水を最終的にどう処分するかというのは大変大きな
課題
であります。 他方で、
委員長
は、私も
委員会
に同席させていただいたときの
答弁
でも、相当前から、
トリチウム
を除去するということはなかなかできないし、コストパフォーマンスを考えても、それにかけることは余りにも非合理だ、正しいかどうかわからないですが、そういった
趣旨
で、きのうの
更田委員
のあれもあったんですけれ
ども
、
告示濃度限度
を満たしていれば
放出
しても問題ないという
立場
だ、そういう御
答弁
もあったし、きのうの
評価検討委員会
での
更田委員
の御
発言
もありました。 しかし、そうかといって、では
トリチウム水
だからといって、今そのまま
放出
するような
現状
、
現実
ではなかなかないですね。それこそ、さらに
風評被害
を巻き起こしてしまう。科学的な根拠としてはそうだと示すということはすごく大事だと思うんですが、しかし、それで本当にいきなり
放出
していいのかというと、
地元
の
皆さん
は、とてもそれはおさまらないというような
状況
になってしまうのではないか。 ということで、国の
汚染水処理対策委員会
のタスクフォースでは、
大気放出
はできないかとか、
海洋放出
はできないか、もしくは
地層
中に
注入廃棄
することはできないかとか、固化して
地下
に
埋葬廃棄
など、さまざまな
選択肢
ができないかということを、これまでその
委員会
でいろいろ
検討
を続けていたというふうに思っております。 まず、私が思うには、
規制委員会
として、そうしたそれぞれの
課題
について、どこが難点があって難しいのかというようなことを
検討
していただいた方がよりわかるのではないか。
委員会
で
トリチウム
が残っても大丈夫だと言われても、なかなかそこはそうはならないのが
現状
で、その
現実
と科学的な論拠をどう埋めていくのかというのは知恵の出しどころだと思うんですが、その点について御
見解
があればよろしくお願いします。
山田知穂
9
○
山田政府参考人
既に
先生
よく御
承知
のところかと思いますけれ
ども
、
トリチウム
を含む
液体放射性廃棄物
の
廃棄
の
方法
、これにつきましては、
規制基準
を満足する形での
海洋放出
につきましてはこれまでほかの国内の
原子力施設
においても豊富な
実績
を有しているところでございます。 この点につきましては、私
ども
の
国際アドバイザー
からも、
放出基準
を満たす
汚染水
は敷地内に蓄積し続けず
放出
するべきであるといったような
助言
をいただいております。
NRC等
からも同
趣旨
の
助言
をいただいているところでございます。 一方で、
トリチウム
を含む
放射性廃棄物
につきまして、これは六十万トンという大量のものでございます。これにつきまして、
大気放出
をするですとか
地層
中への
注入廃棄
、こういったような
方法
については
実績
がございませんので、
現時点
では、迅速かつ着実に
汚染水
問題を解決できる手段ということとしては難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
赤羽一嘉
10
○
赤羽委員
大気放出
の例は、アメリカのスリーマイルアイランドの
事故
の後にも
放出
をさせた例というのはあると私は
承知
しているんですけれ
ども
、その点についてどうなのかということと、それほどの
濃度
のものはないということなのか。 私が言いたいのは、
大気放出
をする場合の
リスク
はこうだとか、別の、
地層
中に
注入廃棄
する場合の
リスク
はこうだ、だから、
海洋放出
の方がよりベターで国際的にも認められているというような
説明
をいま一度していただいた方が、そうしたものに
実効性
ができる。 では、
委員長
、よろしくお願いします。
田中俊一
11
○
田中政府特別補佐人
まず、今
東京電力
にある
トリチウム水
ですけれ
ども
、これを仮に全部集めたとしても、私が
自分
で計算したら大体三十七
cc
なんですね。ですから、六十万トンの中から三十七
cc
を全部、全て、今の六十万トンも含めて、いろいろな炉内にあるものも含めまして大体その程度であります、だから、それがもしうまくとれればですけれ
ども
、まず、
そのもの
を純粋な
トリチウム水
として取り出すことは
現実
にはほぼ不可能であろうということです。 今
先生
御
指摘
のように、
大気
中に出したという例はあります。ただ、
大気
中に出ても、いずれやはり地上に降ってまいりますので、それよりは、
管理
された状態で、世界的にも、今までも我が国でも
実績
のある
海洋放出
の方がより安全ではないかということで申し上げています。
先生
の御心配というか御
懸念
は非常によくわかりますので、我々としてできることであれば何でも最大限協力させていただきたいと思いますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
赤羽一嘉
12
○
赤羽委員
ありがとうございます。 今の
委員長
の回答でそれは尽くしているんですが、きのうの
更田委員
の
発言
でもいいなと思ったことがありまして、
原子力規制委員会
は
審査
を行う
組織
であり、
国民
に安心していただく
組織
ではないかもしれないが、ただ
福島
第一に関しては別だ、こう言って
決意
を述べられているということは大変評価するべきだ、僕はこう思っております。 これは、
規制委員会
の
立場
というのももちろんありますけれ
ども
、やはり一体となって取り組んでいかなければできない未
曽有
の事案ですから。ですから、今回の
福島
第一の
廃炉
、
汚染水
、前例のない
作業
でありますので、
規制
の内容もあらかじめ決めるということはできないと思うんですね。
状況
を見ながら示していかなければいけない。そこに対して
東京電力
が
後手後手
になるというようなことはやはりありがちだと思いますので、いわゆる能動的な
規制
という言い方はあるかと思いますが、より、できるだけ明示をして、対立する
関係
ではなくて、また、何というか、なかなか難しい
関係
だと思いますけれ
ども
、
人類史上
初めてという大きなチャレンジングに臨む一員として、それぞれの役割を果たしていただきたい。 その
決意
を最後にお聞かせいただいて、私の
質問
を終わりにしたいと思います。
田中俊一
13
○
田中政府特別補佐人
これまでもそうでしたけれ
ども
、私
ども
は、
福島
第一については、単なる
規制
ではなくて、
規制
の
立場
を堅持しつつも、最大限の
努力
をしていただく必要がある。これは
国民
のため、国のためということで、そういう視点でおりますので、今後とも引き続き、積極的にいろいろな
意味
で協力させていただきたいと思います。
赤羽一嘉
14
○
赤羽委員
どうもありがとうございました。 私たちも、今後も、
政府
・与党の
立場
でしっかりとこの大きなテーマを、
人類史上
、
人類
が勝てるかどうかというような話でありますので、頑張っていきたいということを
決意
させていただきまして、
質問
を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
吉野正芳
15
○
吉野委員長
次に、
宮路拓馬
君。
宮路拓馬
16
○
宮路委員
まずは、
質問
の機会を頂戴いたしましたことに関しまして感謝申し上げます。
川内原発
を選挙区に抱える
衆議院議員
として、
質問
をさせていただきます。 まずは、ちょうど昨日、
鹿児島地裁
におきまして、
川内原発
の再
稼働差し
と
め申請
を却下する
決定
がなされました。これにつきましては、新
規制基準
につきまして、
専門的知見
を有する
規制委員会
が相当期間、多数回の
審議
を行うなどして定めたもので、不合理な点はない、あるいは、その上で、新
規制基準
に従って、地震については
自然現象
の不確かさを相当程度考慮して耐震設計し、また
福島
第一
原発事故
を踏まえた
重大事故対策
もしている、また、
火山
の影響、これは、桜島が我が
鹿児島
にはあるわけでございますけれ
ども
、
巨大噴火
の
可能性
は小さいと考える
火山学者
の方が多いという形で否定をし、また、
鹿児島
県あるいは
薩摩川内
市を含む
周辺自治体
の
避難計画
は、
現時点
で一応の
実効性
を備えているということで、再
稼働差し
とめの
申請
を却下したわけでございます。 一方で、また先日、
関西電力高浜原発
の再
稼働
につきましては
差し
とめの仮処分が
決定
されたということで、
司法判断
が分かれたことになりました。 これはちょっと事前に通告しておりませんでしたが、こうした件について、
田中委員長
の御
見解
を一言いただければと思います。よろしくお願いします。
田中俊一
17
○
田中政府特別補佐人
いずれも
司法
の
判断
でございますので、私の方から細部について申し上げることはありませんけれ
ども
、
高浜原発
については、やや、
認識
が少し違う、
理解
が届いていないということは申し上げましたけれ
ども
、
川内
については、特に私の方から申し上げることはなくて、今の
規制基準
を認めていただいたものとして、その線に沿って粛々と
審査
等々を進めていきたいというふうに考えております。
宮路拓馬
18
○
宮路委員
いわば常識的な
司法判断
が下されたということだと私は捉えております。 その上で、
川内原発
は、昨年十月に
地元
の
薩摩川内
市議会において再
稼働
を求める陳情が採択、その上で、
薩摩川内
市長から、再
稼働
を進める
政府
の方針については立地自治体として
理解
するという旨の意向が、つまり同意が示された。また、十一月には、
鹿児島
県議会におきましても、
川内原発
の一日も早い再
稼働
を求める陳情が採択され、そして、
鹿児島
県知事に関しても、再
稼働
はやむを得ないということで
判断
が下されたところでございます。 我が国における第一の再
稼働
として、
地元
鹿児島
県、
薩摩川内
市、いわば大きな
判断
を、英断を下したわけでございますが、それをバックアップすることがまず今
政府
に求められていることだというふうに考えております。 お手元に資料を配らせていただいております。 三ページにわたる資料でございますが、その一ページ目の「
政府
の方針」というところにございますけれ
ども
、昨年九月十二日付で、当時の小渕経産
大臣
から知事宛てに
政府
の考えが明確に示されたところであって、その中で、「万が一、
事故
が発生した場合は、国が責任をもって対処する」ということが示されたところでございます。 やはり、いざ
原発事故
が発生した際に、
地元
の警察、消防、あるいは自治体だけでその対応ができるかというところで、国に求められる期待というのは非常に高いところがございます。実際、
鹿児島
県におきましても、特に自衛隊の活用、これが不可欠であるというふうに
地元
としては考えているというところでございます。 まずお聞きしたいのが、自衛隊の
原発事故
発生時のコミットメントについて、どのような制度的な仕組みになっているかというところを、
政府
のお考えをお聞きしたいと思います。
笠原俊彦
19
○
笠原
政府参考人
お答えいたします。
鹿児島
県の
川内原発
において原子力
事故
が発生した場合の自衛隊の対応についてでありますが、
原子力施設
内で放射線による影響をもたらす
可能性
がある
事象
が生じた施設敷地緊急事態となった場合には、自衛隊法第八十三条に基づきまして、
鹿児島
県知事からの災害派遣要請を受けて、
防衛
大臣
等が災害派遣命令を下令し、派遣部隊は
関係
機関と協力して住民避難、緊急物資輸送等を行うこととしております。 さらに、事態が悪化をいたしまして放射性物質が外部に
放出
されるなどの全面緊急事態となった場合には、原子力災害対策本部長、これは内閣総理
大臣
でありますが、
防衛
大臣
に対して部隊等の派遣を要請することとなり、これを受けて、自衛隊法第八十三条の三に基づきまして、
防衛
大臣
が原子力災害派遣命令を下令し、派遣部隊は
関係
機関と協力をして、住民避難、緊急物資輸送に加え、捜索救助、避難住民の除染、スクリーニング等も行うこととしております。
防衛
省・自衛隊といたしましては、今後も、原子力災害に迅速かつ適切に対応するため、
政府
や自治体の原子力防災訓練に参加するなど、
関係
機関との連携を深め、対処能力の向上に努めてまいります。
宮路拓馬
20
○
宮路委員
今の
答弁
で、しっかりと法的仕組みとして自衛隊が
原発事故
発生時にはコミットメントするということが確保されている。そしてまた、三・一一、
福島
第一
原発
を踏まえてそうした実例を積んできたということですので、今後さらに訓練を重ねるなどして、その対処能力が向上され、しっかりとコミットメントするということが自治体ひいては住民にしっかりと浸透していくことが、一つ、
信頼
性の向上につながるというふうに考えております。 その上で、また一点お伺いいたしますけれ
ども
、我が
鹿児島
、
薩摩川内
におきましても第八施設大隊という部隊がございますけれ
ども
、そこには、司令の話でいくと、放射線防護の装備であるとか、なかなか十分な装備は持ち合わせていないような話も聞いております。 やはり、
原発事故
発生時におきましては特殊な装備、機器が求められるところである。つまり、専門的な部隊の設置、あるいはその能力の向上が求められていると考えますけれ
ども
、その点について
防衛
省のお考えをお聞かせいただければと思います。
辰己昌良
21
○
辰己
政府参考人
お答えいたします。
防衛
省では、核・生物・化学、いわゆるNBC兵器と言っておりますが、これに対応するために、
汚染
された地域における情報収集や除染などを任務として、NBC偵察車あるいは除染車、こういった特殊な装備品を保持する特殊武器防護隊や化学防護隊を全国に配置しております。 南九州におきましては、北熊本に第八特殊武器防護隊というのを持っておりまして、ここには、今申し上げた化学防護車や除染車などによって除染あるいは偵察、そういったものをする機能を持っております。 そういう
意味
で、原子力災害が発生した場合には、
関係
機関と連携して被害
状況
の情報収集あるいは住民の搬送などを行うということを考えております。 さらに、
防衛
省としては、このような災害への備えを万全にするために、二十七年度予算において、能力を向上させた新除染セットというのを整備することといたしておりまして、二十七年度には車両三両などの整備ということを考えております。 こういう取り組みを含めて、原子力災害などへの対応能力を高めていきたい、このように思っております。
宮路拓馬
22
○
宮路委員
私としても、さらなる自衛隊の能力向上を求めていきたい、このように考えております。 続きまして、お配りした資料の二ページ目になりますけれ
ども
、今度は、
鹿児島
県から国への要請ということで幾つか要請が行われているところではございますが、その中で、まずは二つ目のポツにございます、下線を引いておりますけれ
ども
、「再
稼働
後においては、
川内
原子力発電所の監視体制を強化し、安全確保を図ること。」という要請を行っているところでございます。 原子力災害
事故
、これは放射性物質というものは目に見えない、これがやはり一番恐怖を
国民
、住民の方に引き起こしているところかと考えております。したがいまして、やはりそれをいわば可視化するというところが
原発
災害への対応についてはまず一丁目一番地、最大の基礎となるというふうに私も考えるところではございますけれ
ども
、そのような中、モニタリング、これが今後さらに重要性が増していくというふうに考えております。 通常時のモニタリングだけでなく、
事故
発生時の緊急時モニタリング、これがいわば
事故
対策のかなめになるというふうに考えておりますけれ
ども
、そのモニタリングの体制につきまして、今現在、国の体制がどのようになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
片山啓
23
○
片山
政府参考人
お答えいたします。 緊急時モニタリングの
現地
における体制でございますけれ
ども
、昨年の十月に
鹿児島
県の
川内
地域に常駐する
鹿児島
地方放射線モニタリング対策官事務所を開設いたしまして、現在二名の職員を常駐させているところでございます。 緊急時におきましては、緊急時モニタリングセンターのまず立ち上げというのをこのモニタリング対策官が担います。この緊急時モニタリングセンターには、対策官だけではなくて、本庁から派遣される国の職員あるいは地方公共団体の職員、電力事業者及び
関係
の指定公共機関の職員が参集することになってございまして、標準的な体制、これを設置要領として我々は定めておりますけれ
ども
、初動時には約六十名の人間が集まることになっております。 さらに、事態が広域化あるいは長期化するようなことに備えまして、
原子力規制委員会
の方で緊急時モニタリングの動員計画というのを策定してございます。この計画にのっとりまして、全国から資機材あるいはモニタリングの要員の応援を要請して
現地
に派遣するといったような仕組みを構築しているところでございます。 いずれにいたしましても、防災訓練等を通じまして、より
実効性
のある緊急時モニタリング体制の構築に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
宮路拓馬
24
○
宮路委員
今御
答弁
いただいたとおり、仕組みはしっかり設けているということでございます。これをいかにブラッシュアップしていくか、今の御
答弁
にもあったとおり、訓練を通じて磨き上げていくことが大事だと考えますので、その点もどうかよろしくお願いいたします。 続きまして、同じページの三つ目のポツになりますけれ
ども
、「国においても
避難計画
等の更なる充実のための支援、確認を継続すること。」という要請がなされております。 その中で、段階的避難の必要性というか、
原発事故
におきましては、やはり何といっても段階的な避難を円滑に行うことが肝要であるというふうに考えております。やはり
国民
の
原発
に対する恐怖というのはございまして、いざ
事故
が起これば我先にと逃げていく、これが私も含めて一般的な
国民
の心の構えかと思います。ところが、それでは成らない。やはり、計画的に段階的に避難しなければ、かえって混乱を来して避難ができない、あるいはさらなる二次災害が生じてしまうということが考えられますので、今後、
国民
の間に、いかに段階的避難が必要不可欠かということの浸透が図られていくことが大事だと考えております。 その点について、国が今後どのように周知を図っていく考えであるのか、お聞かせいただきたいと思います。
平井興宣
25
○
平井
政府参考人
原子力規制委員会
が策定した原子力災害対策指針では、
原発
から五キロ圏内は速やかに住民の避難を開始し、五キロから三十キロ圏内は原則屋内退避をするという段階的避難の考え方を、住民避難などの防護措置の基本として定めております。 この指針の考え方を踏まえた
川内
地域の
避難計画
を含む緊急時対応につきましては、
関係省庁
、
鹿児島
県、
関係
市町が参加したワーキングチームにおいて具体的かつ合理的な内容となっているということを確認するとともに、昨年九月の原子力防災
会議
に報告し、了承されたところです。 こうした指針や計画の内容の住民への周知については、国としても、国の訓練あるいは
関係
自治体が行う定期的な防災訓練や広報を通じた取り組みを引き続き支援してまいりたいと思っております。
宮路拓馬
26
○
宮路委員
お配りしている資料の三ページ目に、
鹿児島
県がつくった「原子力防災・避難施設等
調整
システム」とございますけれ
ども
、ここにもやはり、先ほど申し上げたモニタリングがまず大事であって、
福島
第一の
事故
では、多くの住民が避難した飯舘村の方向の放射線量が結果的に高かったことが後で判明したということで、先ほど申し上げたとおり、まずモニタリングが第一だと。そのモニタリングで
判断
した空間放射線量率に基づいてしっかりと段階的避難を行っていくことが非常に大事なことだと考えますので、その点について今後さらに
検討
をしていただければというふうに考えます。 最後に、一つ御
質問
させていただきます。 二ページ目の「国への要請内容」の四つ目でございますけれ
ども
、今回、PAZ、UPZという概念を新たに導入いたしまして
原発
の
事故
の際の避難を考えるという仕組みが構築されたところではございますけれ
ども
、UPZの対象となる市町村が拡大したことから、立地市及びそれらの
関係
市町村に対する新たな地域振興策等について、国の財政支援について、具体的な対応を行うことという要請がなされました。
鹿児島
におきましても、
原発
立地自治体である
薩摩川内
市、これは、再
稼働
につきましては大方、多くの住民の方が同意、賛成をしていたところではございますが、一方、そのお隣のいちき串木野市、ここはやはり、UPZがかなりかぶる
部分
、あるいはPAZもかぶる
部分
がございまして、いちき串木野市民の中には、
原発
立地自治体でもない、したがって、これまでの電源立地交付金も直接来ていたわけではない、今回、
福島
第一を踏まえて
リスク
が顕在化したところであって、そうした
リスク
を負わされているにもかかわらず十分な地域振興策が施されていないのではないかということで、いちき串木野市においては、今回の
原発
再
稼働
に関して、必ずしも住民の方が皆、同意、賛成しているわけではないというのが
現状
でございます。 やはり、そこには、この
鹿児島
県からの要望にもあるとおり、UPZの対象となる市町村が拡大したわけですので、新たな地域振興策について具体的な対応を行うべきではないか、これが
地元
の切実な要望だと考えますけれ
ども
、この点について御
見解
をお伺いしたいと思います。
多田明弘
27
○
多田
政府参考人
お答え申し上げます。 ただいま
先生
から御
指摘
をいただいた件、これは私
ども
資源エネルギー庁
でも、
鹿児島
県の方から幾度となく承っている御要望でございます。 そうした中で、私
ども
の今置かれている
状況
を簡単に申し上げます。立地交付金の財源でございますけれ
ども
、これは発電電力量に応じて税収が入ってくる仕組みになっております。一時千五百億円程度あった交付金の予算が、現在一千億円を切る
状況
になっております。 他方で、今、UPZの拡大に伴う御要望、そのほかに、例えば、
福島
県の中間貯蔵の問題、さらには、最近
廃炉
を進めておりますので、
廃炉
に伴います資金ニーズ、こういったさまざまな御要望に応えていかなければいけない、こういう
状況
でございます。 こうした中で、私
ども
、今
先生
から御
指摘
いただいた
鹿児島
県さんを初め、さまざまな御要望をいただいております。そうした御要望の中で、限られた財源ではございますけれ
ども
、一体何ができるのか、真剣に考えて
検討
していきたいと思いますし、引き続き、御
地元
の自治体の方々とは意思疎通を強めていきたいと思っております。
宮路拓馬
28
○
宮路委員
冒頭申し上げましたけれ
ども
、
鹿児島
県は、
原発
再
稼働
第一号として、これまで住民の方々と真摯に議論をして、対話をして、そして大きな決断を下されたわけですので、やはり国として、そこは責任を持ってバックアップしていく必要があると思います。それは、今後、防災訓練でございますとか、そうしたところでやっていく。あるいは、最後に御
答弁
いただきました地域振興策、財政支援、こうしたところも国としてしっかりと今後対応していく必要があると思いますので、その点について再度お願いを申し上げまして、
質問
を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
吉野正芳
29
○
吉野委員長
次に、石川
昭政
君。
石川昭政
30
○石川
委員
おはようございます。自由民主党の石川
昭政
でございます。 本日は、
質問
の機会をいただきました。現在我が国が直面しております原子力政策全般にわたりまして、諸
課題
について、
政府
の
見解
をお伺いしたいというふうに思います。 まず冒頭ですけれ
ども
、
田中委員長
、ちょっとJT60SAと聞いて、何か御記憶、思い出すことはございますでしょうか。
田中俊一
31
○
田中政府特別補佐人
JT60は、核融合の研究、トカマクタイプの大きな実験装置であります。ITERの計画がありまして、一旦閉じましたけれ
ども
、その後、改造して、最近また再
稼働
というか、研究に供するようになりつつあるというふうに
承知
しております。
石川昭政
32
○石川
委員
さすが
田中委員長
でございます。 と申しますのは、今週月曜日、四月二十日でございますけれ
ども
、日本原子力研究開発機構の那珂核融合研究所におきまして、JT60SAの主要組み立て機器の組み立てが完了いたしまして、式典がございました。私も
地元
議員としてお招きをいただきまして、御挨拶をしたところでございます。といいますのは、
田中委員長
は、前身は、合併前の日本原子力研究所の研究者として、東海研究所の副所長をお務めになったというふうに私も
承知
しているところでございます。 なぜこういうことをお聞きしたかと申しますと、現在、
田中委員長
は、
原子力規制委員会
の
委員長
、三条
委員会
の
委員長
として、非常に強い権限のもとでさまざまな厳格な
審査
を行っていらっしゃる。いわば権力側に立たれたわけでございます。その
委員長
が原子力研究開発についてどのように捉えているかというのをちょっとお聞きしたかったわけでございます。 ともすると、
田中委員長
は非常に強い権限をお持ちでございます、厳格に
審査
するわけでございますので、その中で、原子力産業を衰退に追い込んでいるのではないかというような誤った
認識
が広がっていく、そのように私は危惧しているわけでございます。
委員会
の
答弁
を聞いていました。それに、ユーチューブの記者会見等をお聞きする中で、
田中委員長
の
答弁
、お話の一言一言が非常に正確で、無駄のない言葉でございました。その一言一言が、
国民
に対しまして、どのように原子力を
規制
していくかという中で、
信頼
を回復する非常に重要な言葉だと私は思っております。そこを日本
国民
は固唾をのんで見守っているわけでございます。 その
意味
では、今後も、
国民
に対して
説明
責任、あるいは事業者に対しましても丁寧に
説明
責任を果たしていただきたいということをまず冒頭申し上げたいというふうに思いますが、御所見があればお願いいたします。
田中俊一
33
○
田中政府特別補佐人
規制
の
立場
におりますけれ
ども
、もともと私は、日本原子力研究所においてずっと、もう四十年ぐらい仕事をしてきましたので、原子力科学の持っている
可能性
というものについてのある種の思いは強く持っております。 ただ、原子力の大きな
可能性
というのは、裏返せば、ある
意味
じゃ
危険性
も持っているわけです。そのことを顕在化させない、要するに、人とか環境に悪影響を与えないというのが今私が与えられた役割だと思いまして、その点で
努力
しております。 研究開発というのは、これからどういう仕事、どういう方向に向かうにしろ、非常に大事なことです、人を育て、技術を育てるということ。そういう点で、私は、ある
意味
じゃ、少し今心配をしているところもあります。ぜひ、そういった点については
先生
方の御支援もお願いしたいというふうに思います。
石川昭政
34
○石川
委員
ありがとうございました。
田中委員長
は、原子力の特性をよく
認識
され、正の
部分
と負の
部分
もよく
認識
をされている希有な方だと私も思っておりますので、そういう観点から、今後の原子力政策のあるべき姿をぜひ
規制
という枠の中で表現していただきたい、このように考えておるところでございます。 それでは、早速ですが、
質問
に入らせていただきたいというふうに思います。 去る四月十日、国際
廃炉
研究開発機構、IRIDと
東京電力
が、
福島
第一
原発
の一号炉の中に日立GEグループ会社のロボットを投入いたしまして、炉内の
調査
に初めて成功したわけでございます。二台とも回収は断念をしたわけでございますけれ
ども
、四年たってようやく炉内の
状況
が把握できるようになった、大きな前進だと私は思うわけですけれ
ども
、その中で、どういう成果が得られたんでしょうか。そしてまた、
原子炉
内の温度は約二十度前後で安定しているということだそうでございます。線量は九シーベルト。このあたりは予測の範囲だったのかどうか、可能な範囲でお答えいただきたいと思います。
土井良治
35
○
土井
政府参考人
お答え申し上げます。 四月十日から四月二十日まで、
福島
第一原子力発電所一号機の
原子炉
格納容器の内部
調査
が、初めて、
原子炉
格納容器内を走行する遠隔
調査
ロボットによって直接計測、撮影することができました。 今回の
調査
では、まずわかりましたのは、この次の
調査
で投入が計画されております、格納容器底部の燃料デブリを直接見る次の遠隔
調査
ロボットがございまして、それが格納容器内の一階から
地下
階に進入できるかどうか、その入り口の周辺
部分
の干渉物を確認することということが最大の眼目でございました。それで、この周りに干渉物はないということでございますので、次の遠隔
調査
ロボットを投入するという計画を進めることができると思っております。 二つ目は、
委員
御
指摘
のとおり、格納容器内の複数の箇所で、面的に温度とか線量を直接測定できました。 想定の範囲内であったかどうかということに関しましては、線量に関しましては、我々が想定していた以上に相当程度低いということでございまして、したがって、ロボットの耐放射線の限度というものがあるのでございますけれ
ども
、数日間にわたり
原子炉
内で計測ができるというようなことを今回実現できたわけでございます。 加えまして、ほかの確認事項としましては、空調機などの炉内の大型設備には大きな損傷がないということでございますとか、今後の
作業
ルートとなる一階
部分
への落下物の
状況
ということも面的に観測できております。 このような非常に貴重なデータが得られましたので、今後の燃料デブリの取り出し
方法
の最適化などについて反映していきたいというふうに思っております。
石川昭政
36
○石川
委員
ありがとうございました。 やはり、このロボット開発というのをさらに強力に推進しなければならないと私も感じているところでございます。 あわせまして、四月二十日の日でございますが、東海村に
廃炉
国際共同研究センターが開設をされたわけでございます。
吉野委員長
も式典に参加をいただきました。
廃炉
に関しては、原子力損害賠償・
廃炉
等支援機構、通称NDFと言われるところと国際
廃炉
研究開発機構、IRID、この二つの機構はもう既にワークしているわけでございます。 そこに新たに今回の
廃炉
国際共同研究センターが開所するわけでございますが、一体どこが主導してどう連携して
廃炉
に向かっていくのか、縦割りを排して協力し合うのかというあたりをお聞かせいただきたいと思います。
田中正朗
37
○
田中
政府参考人
お答え申し上げます。 今週、同じく月曜日でございますけれ
ども
、日本原子力研究開発機構で
廃炉
国際共同研究センターの開所式を開催させていただきました。 この
廃炉
国際共同研究センターは、もともと下村文部科学
大臣
が、昨年、
福島
第一原子力発電所の
現地
を視察させていただいて、そこで
自分
が感じたこと、それから、そこでまた
東京電力
の方々と話し合った結果に基づきまして、科学技術を担当する
大臣
として、この
廃炉
の問題に中長期的にやはり取り組んでいかなければならないという思いを強くされた結果、まとめられた
廃炉
研究開発の加速化プランに基づいて、設立されたものでございます。 この
廃炉
に向けてのロードマップ及びその戦略につきましては、
政府
全体でロードマップをつくりますし、そのもとでの研究開発戦略については、今
先生
御
指摘
になられました原子力損害賠償・
廃炉
等支援機構のもとに
委員会
が設けられてございまして、そこには私
ども
文部科学省、それから原子力研究開発機構もメンバーとして参加させていただいております。 そういう
意味
で、国全体としての研究開発戦略はそこでまとめられておりますので、その戦略に基づいて、この原子力機構の
廃炉
国際共同研究センターにつきましは、特に、基礎から基盤といったような研究開発、それから中長期的な人材育成、そういったものを分担して進めていきたいと考えているところでございます。
石川昭政
38
○石川
委員
ありがとうございました。 次の
質問
でございます。 SPEEDIの活用方針の削除をされるという報道がなされました。実際に、きのうの
委員会
でもそのように議論がされたというふうに
承知
しております。 実は、もう既に御案内のとおり、各立地県では地域防災計画の策定がほぼ終わっている
状況
でございます。その中で、SPEEDIとの接続というものも定めているわけでございます。 そういった中で、国としてSPEEDIの活用を削除するということは、また地方自治体に対して混乱を巻き起こすのではないか、このように危惧しているわけでございますが、自治体等への
説明
はどのようになっていますでしょうか。
片山啓
39
○
片山
政府参考人
お答え申し上げます。 昨年の十月に、
原子力規制委員会
におきまして、今後のSPEEDIの活用方策について御議論をいただきました。 その結果といたしまして、SPEEDIのような予測的手法を住民の防護措置に活用するということではなくて、
原子力施設
の状態によって予防的に、例えばPAZ圏はもう避難をする、UPZ圏は屋内退避をするといった戦略で防護措置を講じていくということをお決めいただきました。 なお、SPEEDIといった予測的な手法については、防護措置には活用しませんけれ
ども
、事後的に、例えばモニタリングデータといった実測値から逆推計をして放射性物質の拡散
状況
を把握するといったような活用の方策はあるといったようなことも、その場で御議論をいただきました。 その結果を受けまして、原子力
規制
庁の方で地方モニタリング対策官などを通じて各県に個別に
説明
する、あるいは県の担当者
会議
などの場で御
説明
するといったようなことをやってまいったところでございます。
石川昭政
40
○石川
委員
ぜひここは丁寧に行っていただきたいというふうに考えております。 次に、日本原子力研究開発機構の運営体制についてお尋ねします。 三月末をもって松浦
理事
長が退任をされ、児玉新
理事
長体制に移行いたしました。しかし、体制が刷新されただけでは、原子力研究開発予算というのは潤沢な予算がつく時代ではなくなったわけでございます。 お手元の資料をごらんいただきたいというふうに思います。 ごらんのとおり、予算も人員も非常に減少傾向でございます。あわせまして、施設の老朽化、部品の劣化そして職員の減少、これによって施設の維持
管理
も非常に危機的な
状況
に置かれているわけでございますが、国としてこれをどう立て直していくのか、喫緊の
課題
だと思っておりますが、御
見解
をお伺いします。
田中正朗
41
○
田中
政府参考人
お答え申し上げます。 日本原子力研究開発機構は、「もんじゅ」の保守
管理
不備等に端を発しまして、原子力機構改革というものを打ち出したところでございまして、その一環として業務の重点化を図っているところでございます。本年四月からは新たな中長期目標期間を開始するとともに、
先生
御
指摘
いただきましたように、新たに民間から児玉敏雄
理事
長を迎えまして、新体制下でのスタートを切ったところでございます。 業務の重点化に当たりましては、我が国唯一の原子力に関する総合的研究開発機関として実施すべき業務としまして、第一に、
東京電力
福島
第一原子力発電所の安全かつ確実な
廃炉
等に貢献するための国内外の英知を結集した研究開発等の推進、第二に、安全を大前提とした原子力利用を支えるための原子力の安全性向上に向けた研究開発の推進、第三に、原子力の基盤を分野横断的に支えるための基礎基盤研究の推進と人材育成、第四に、高レベル
放射性廃棄物
の減容化、有害度低減等を目指した「もんじゅ」を
中心
とした核燃料サイクルの研究開発の推進、そして第五に、我が国のみならず世界共通の
課題
であります
放射性廃棄物
の
処理
処分の研究開発の推進に重点的に取り組むというふうにしてございます。 また、量子科学技術の強化の観点からは、核融合研究開発及び量子ビーム研究の一部につきましては、放射線医学総合研究所と統合いたしまして新たに量子科学技術研究開発機構を立ち上げることとして、そのための法案を今国会に提出させていただいているところでございます。 これに加えまして、原子力機構全体としても事業の見直しや研究開発施設の重点化、集約化を進めているところでございます。 文部科学省としましては、児玉敏雄
理事
長の体制のもとで、原子力機構が、安全を最優先とするとともに、我が国唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関として研究開発成果の最大化を図ることができるように指導してまいりたいと考えてございます。
石川昭政
42
○石川
委員
ありがとうございました。 しっかり予算をとって研究開発に取り組んでいただきたい、このように思います。 ちょっと
質問
を一つ飛ばしまして、
原子炉
には研究炉というものがございます。それに対する新
規制基準
の適合
審査
を今やっているわけでございますけれ
ども
、国内では今、研究炉が二十二カ所、うち廃止が八カ所の方針だというふうに
承知
をしております。 しかし、この研究機関というのは、安全対策の十分な投資ができず、廃止せざるを得ない施設も出てきている
状況
です。今後の原子力研究開発が停滞していくのを私は非常に危惧しているわけでございますが、これについては前倒しして
審査
してもよいのではないかというふうに考えておりますが、御
見解
をお伺いします。
大村哲臣
43
○
大村
政府参考人
お答え申し上げます。 試験研究炉の
審査
についてという御
質問
でございますが、
福島
第一原子力発電所の
事故
の教訓を踏まえまして
原子炉
等
規制
法が改正されたわけでございますが、その中におきまして、試験研究炉につきましても、新
規制基準
への適合を要求したということでございます。 そのときに施行されました新
規制基準
におきましては、試験炉の構造等が非常に物によって多種多様であるということでございますので、それから異常時の影響も非常に多種多様であるということで、型式とか出力のレベルに応じて措置を事業者に対して求めているというところでございます。
原子力規制委員会
では、昨年の新
規制基準
の施行後、今日までに、日本原子力研究開発機構、それからあと、大学としては京都大学、近畿大学等から、合計九件の
申請
を受けまして、現在、
審査
を鋭意行っているというところでございます。
審査
のスケジュールにつきましては、
申請
内容であるとか
審査
に対する事業者の対応というところが非常に大きいということでございますけれ
ども
、現在、できるだけ効率的に、厳正に
審査
を行うことで対応しているというところでございます。
石川昭政
44
○石川
委員
人材育成の面でも非常に大事な点でございますので、しっかり前進させていただきたい。 最後の
質問
でございますが、核セキュリティーについてお伺いいたします。 今、世界各国でサイバーテロ対策、それからマルウエア感染によりまして情報が盗まれたり、書きかえ、サーバーダウン、さまざまな事態が起きているところでございます。 新
規制基準
では、サイバー攻撃への備え、セキュリティーホール対策、どのように
調査
をしているでしょうか。お伺いしたいと思います。
片山啓
45
○
片山
政府参考人
お答え申し上げます。 サイバーセキュリティー対策といたしましては、電気通信回線を通じて妨害破壊行為を受けることがないように、外部からのアクセスをいかに遮断するのかというのが第一かというふうに考えております。 この観点から、新
規制基準
におきましては、安全設備を動作させるためのシステムにつきまして、物理的あるいは機能的に分離させるとともに、このシステムの導入時にコンピューターウイルスなどが混入することがないように防止するということを求めております。 さらに、発電所外からの侵入によって不正なアクセスをされることを防止するために、柵等で物理的に区画をする、さらに出入り口を常時監視するといったようなことを求めているところでございます。
石川昭政
46
○石川
委員
ありがとうございました。 新しい
規制基準
をつくっても、最後のとりでは人間、人だというふうに私は考えております。
規制
される側とする側と正しい
信頼関係
を構築していただいて、本来あるべき原子力
規制
の姿に一日も早くたどり着いていただきたい、このようにお願いをいたしまして、私の
質問
を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
吉野正芳
47
○
吉野委員長
この際、暫時休憩いたします。 午後零時二分休憩 ————◇————— 午後二時四十九分
開議
吉野正芳
48
○
吉野委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。阿部知子君。
阿部知子
49
○阿部
委員
民主党の阿部知子です。 本
委員会
で初めて
質問
をさせていただきます。 大変重要な
委員会
ですし、とりわけ
田中委員長
を初め、日々原子力
規制
のために御尽力かと思います。 私は、まず、本日は、基本姿勢にかかわりますことで、ちょっとこれはいかがかと思うことがありますので、冒頭、
田中委員長
にお伺いをいたします。 事は、昨日記者会見されました、
K排水路
における電源がとまってしまってポンプ八台が一斉に停止したという事案であります。 このことを、昨日記者会見で
田中委員長
は、とまってしまって動かなかった状態というのは、四月十六日にこの
委員会
で初鹿
委員
が御質疑されて、
K排水路
はそのまま海に行くものですから、だだ漏れ状態になるのできちんと対応すべきだという
趣旨
での御質疑だったと思いますけれ
ども
、それで、ポンプでくみ上げる措置をしていたけれ
ども
とまった、いわゆるバックアップ電源は置いていなかったためにすぐにはバックアップできなかったという事案ですが、これに対して、余り褒められたことではないですけれ
ども
、それほど緊急に何か大きな問題になるようなものではないし、もう復旧したと聞いていますからというふうにお話しだったんですね。 私などは、褒められたことではない、確かに褒められないけれ
ども
、そんな程度じゃなくて、やはり小さなミスとか小さな
事故
は、それは大きなミスにつながる性質のものなんだと思うんですね。私は医者なんですけれ
ども
、医療現場ではヒヤリ・ハット事例といって、小さなミスでも逃さず報告してすぐのバックアップを図るということを、日ごろから大きな
事故
を防ぐための教訓にいたしております。
田中委員長
の
認識
が、漏れるくらい大したことはない、すぐ戻ったからいいじゃないのというのでは、バックアップ電源がないということは、あの三・一一の
事故
のときもそうで、大騒ぎした事案です。日ごろから、電源系統を使うときはきちんとバックアップ体制というものはあってしかるべきだと
認識
しなければいけませんし、せっかく
国民
の
信頼
する
規制
委員長
が、褒められたことではないけれ
ども
戻ったからいいんじゃないのというのでは、基本姿勢が問われると思います。 もう一度、原子力
規制
という姿勢
そのもの
についてお伺いをいたします。この
事故
を含めてです。おとといの
事故
、とまってしまった事案についてです。お願いします。
田中俊一
50
○
田中政府特別補佐人
少し軽い言い方をしたという点はおわびしなきゃいけないとは思いますけれ
ども
。 実は、この
汚染水
の問題というのは、非常にさまざまなところで今問題になっております。いわゆる
K排水路
というのは一般の雨水とかそういうものが流れるところで、電源がとまったこと自体は、やはりきちっと、昨日の
検討
会で、仮設電源から恒設電源への切りかえの工事もするし、バックアップ電源もつけるということを約束していただいたので、それはそれで。 実は、
濃度
があの時点では排出
濃度
基準以下になっているということもありまして、すぐに何かしなきゃとは、非常に濃い
濃度
のものもありますので、そういうことであります。 ですから、ヒヤリ・ハットが大きな
事故
につながるというのは、私ももう長いこと原子力研究所等で現場にいましたから、そういうことについては十分その
認識
は持っていますし、
規制委員会
として、
規制
庁としてもそういう点は十分
認識
しているつもりですので、ちょっとそういった誤解を招いたことについては反省いたしたいと思います。
阿部知子
51
○阿部
委員
国民
へのメッセージですからぜひ、まして
漁業者
の
皆さん
はやはりいたたまれないと思います、こうした事案のある都度、大したことないと言われているみたいに思えて。これは、
委員長
も
地元
でありますからよくおわかりだと思います。そこで原子力行政がますます
信頼
を失うもとになりますので、
委員長
は非常に厳しい
立場
には立っておられると思いますが、まずみずから姿勢を正して、ぜひ
国民
へのメッセージを過たぬようお願い申し上げます。 引き続いて、次の
質問
に行かせていただきます。 三・一一の
福島
の
原発事故
を受けて、あの当時、百ミリシーベルトであった
作業
の上限、被曝限度を二百五十ミリにある
意味
で上げざるを得なかったという事態がございます。この間、次のまた
事故
、再
稼働
しなければないわけですが、まあほかにもあるかもしれませんね、そうした事態に備えてこれを二百五十ミリシーベルトにあらかじめ上げておくということで厚生労働省として
検討
をされているということの報告書が出ておりました。 二百五十ミリで恒久化というか、上限を引き上げて恒久化する理由と、そのときの労働者の健康
管理
ということについて、厚労省と
委員長
にお願いをいたします。
土屋喜久
52
○
土屋
政府参考人
お答え申し上げます。 御
指摘
の報告書の案でございますが、これは先日十七日の
検討
会の会合におきまして座長一任となっておりまして、まだ最終
調整
中でございます。 この報告書の案では、原子力災害の危機
管理
の観点から、原子力災害対策特別措置法における原子力緊急事態が発生した場合またはそれに至るおそれの高い事態が発生した場合に、緊急被曝限度を百ミリシーベルトから二百五十ミリシーベルトまで引き上げるということとされております。 この報告書案では、線量限度は、急性被曝による造血機能の低下などの重要な健康影響を確実に予防できるという観点から妥当なものであるとされておりますし、また、同じ報告書案では、
作業
の結果、通常被曝限度を超える被曝をした者については、生涯にわたって必要な健康診断等の健康
管理
を実施するとともに、その後の放射線業務においても、国際放射線防護
委員会
、ICRPが被曝線量限度の前提としている生涯線量一シーベルトを超えないように
管理
すべきだというふうにしているところでございます。 以上でございます。
田中俊一
53
○
田中政府特別補佐人
本件
については、私
ども
と厚生労働省、主管官庁ともいろいろ協議させていただいて、厚労省の方で
検討
されているところでございます。 どうしてこういうことを私
ども
が取り上げたかといいますと、
福島
第一の実際の緊急時に被曝した方たちは二百五十をはるかに超える被曝もありました。結局、そういった
作業
をすることについての準備がないままにそうせざるを得なくて、後でそれだけ被曝しているというような
状況
がわかったというようなことが生まれています。 こういった
事故
とか緊急の事態は起こしてはいけないんですけれ
ども
、起こらないということではなくて、やはりきちっとそういう準備をして、心構えもして、それなりの装備の方の準備もしておくということがやはり大きな
事故
を防ぐ上で極めて、
事故
を大きく拡大させないという上で非常に大事だということです。 国際的に見ても、先ほど厚生労働省の方からもお話がありましたように、ICRPとかIAEAでも大体そういった、五百ミリシーベルトぐらいを上限にして参考レベルを決めた方がいいというようなリコメンデーションもありますが、我が国では一F
事故
のときに二百五十ミリシーベルトということを決めたので、そのあたりにすれば大分そういった対応ができるのではないかということで、厚労省の方に御相談をしてそういう議論をしていただいたというところでございます。
阿部知子
54
○阿部
委員
私は、決めることというのは極めていろいろな要素がありますので、今
委員長
もお答えいただきましたけれ
ども
、決めておいた方が対処ができやすいというふうに考えられてのことと伺いましたが、実際、ここで、先回の最大被曝量六百七十八・八ミリでしたけれ
ども
、確かに二百五十ミリを上回る者が生じておりますので、そういう事態を防ぎたいというお気持ちであろうことは
理解
した上で、でも、先ほどのように、例えば百ミリだと絶対安全とか、さっきおっしゃいました、確実に予防、いろいろな障害が起きないんだということは言えないことなんですね。 お手元の一枚目の、これは労災においてどのくらいの線量被曝があったかということを支給
決定
と並べたものであります。 もちろん、今おっしゃったのは、急性期というか、短い時間での百ミリあるいは二百五十ミリを上限にいたしましたので、生涯にわたるものではございませんけれ
ども
、実際には、この労災の支給
決定
を見ておりますと、大体五・二ミリから百六十八・四一ミリ、百六十八・四一は二十七年間での被曝総量ですけれ
ども
、
現実
にはいろいろな、急性の骨髄性白血病を含めて悪性リンパ腫等々が出ていて、労災認定がされているわけです。 こういうことを決めるだけでは事が済まなくて、先ほどおっしゃったような生涯
管理
、そのときも被曝するけれ
ども
、人間一生がありますから、そこまできちんと展望した上でやっていかなきゃいけないし、今、放射線影響研究所などでも、この二百五十に引き上げたときの
作業
者の長期フォローをなさるということですから、この点は、ちょっと先ほどの厚労省の御
答弁
は大変気になりました。 確実に予防できるかどうかはわかりません、線量に依存して、何でも確率は上がっていくわけですから、その点をお忘れなく、そのときの被曝と、そこからまた一生がありますから、長期の被曝が視野に入ってこなければならないと考えてよいかどうか。これは
規制
委員長
にお伺いいたします。
田中俊一
55
○
田中政府特別補佐人
先生
はお医者さんだから、私から申し上げるのも非常にはばかられるんですけれ
ども
。 国際的な、一般的な今までのUNSCEARとかICRPなんかのいろいろなデータ、これも、広島、長崎の原爆被爆等のデータをフォローして大体基準としてつくられています。UNSCEARの場合は、戦後に起こったいろいろな被曝
事故
なんかも全部含めて整理されているというふうに
理解
していますが、百ミリシーベルト以下では、明確な因果
関係
を認められるような障害というか影響というのはない、ないというか、見られないということ、それが大体国際的な合意になっています。 一方で、
先生
がきょう資料として出された白血病、リンパがん、こういったことについては、放射線障害としては一番出やすい症状だというふうには言われています。それで、こういうようなのは放射線だけが原因で出るわけじゃないというふうには
理解
します。ただ、幾つかの労災認定では、そういったことはあるけれ
ども
、やはり労働者救済の点からこういうのを認めてきているということかと思います。 そういうことを考えますと、緊急時被曝
作業
をされた方については、やはりきちっと、医療的な、医学的なフォローとかそれなりの対策も含めてやっていく必要があると思います。そのためにも、やはり本人の事前了承を得ておくとか、その後の対策についても
検討
するという
意味
でも、それは緊急時になれば決めればいいというものではないというふうに思いまして、私
ども
はそういう提案をさせていただいています。
阿部知子
56
○阿部
委員
今
委員長
のおっしゃったように、私は、一番大事なことは、きちんと
管理
していく、それから、いろいろなデータから見て、今までたまたま百ミリシーベルトでは起こっていないというだけであって、これは、症例を重ねていけば、そのとき何が
リスク
要因になって重なっていくかということも出てまいります。 今回、本当に日本は不幸な事案を経験しましたけれ
ども
、今まで大丈夫だったから大丈夫という考え方ではなくて、真摯にこのことに向き合って、私たちは放射線障害がどういう
リスク
要因で高まっていくかということにも立ち向かっていかなきゃいけない、そこは
委員長
と一緒であります。それで、特に長期
管理
が重要である。 加えて、今
委員長
がおっしゃっていただいたように、先に決めておくということもあり得るかと思いますけれ
ども
、ただ、その場合でも、私は、ある緊急
作業
に従事する人たちをあらかじめ決めておいて、そして、事態がそういう進展をしている中でその方たちにそこに行っていただくには、再度、改めて、ボランタリー、
自分
の自発的な意思であるということをしっかりと確認しなければ、やはり
リスク
は高まるわけですから、いけないと思うんですね。 事前の教育なり、そういう事態に対する対処を心に置いておいて、あるいは教育に置いておいて、プラス、実際の事態が起きたときの対応は、あくまで行っていただく方の自発的意思である、ICRPもIAEAもそのように言っておりますけれ
ども
、この点について、厚労省と
委員長
にお伺いいたします。
土屋喜久
57
○
土屋
政府参考人
お答えいたします。 先ほどの報告書案の中では、特例の緊急被曝限度、二百五十ミリシーベルトでございますが、これが適用される
作業
に従事する労働者は、
原子力施設
が破滅的な
状況
に至ることを回避するための
作業
を行う、そのための必要な知識と経験を有する者であって、原子力事業者が原子力防災要員としてあらかじめ指定する者とするものというふうに限定をしているところでございます。 また、この報告書では、先ほど
先生
からお話がありました事前の特別の教育についても記載をするとともに、あわせて、原子力事業者が防災要員を指定するに当たっては、特例緊急
作業
に関する労働条件を明示した上で双方合意の上で労働契約を締結すべきだということにしておりますとともに、さらに、今後仮に緊急
作業
を実施する事態になった場合には、実際の
作業
への配置については、労働者の意向に可能な限り配慮すべきとされているところでございます。
田中俊一
58
○
田中政府特別補佐人
私も、ただいまの厚労省の
説明
で、そういう方向でいくべきだろうと思っております。
阿部知子
59
○阿部
委員
こういうふうに私が聞きますと、あらかじめ、再
稼働
を前提に
事故
が起こるかもしれないことで聞いていると思われるといけませんので、私は、現在でも、特に使用済み燃料プールなどに置かれている燃料というのは、いろいろな
意味
で、地震等々で、せんだって
委員長
もおっしゃいましたが、水がかれたとき再臨界になりますので、今そこにあることも危険であるということは思っております。だから、早期にドライキャスク化するとか、いろいろなことは思いながらの
質問
であります。 ただしかし、そこにある限りいろいろな事態が起きるだろう。そのときに、あらかじめ教育を受けていたとしても、実際に行くときは自発的意思であるということ、ここがたがえられますと、非常に問題が大きいと思います。
防衛
省に伺います。副
大臣
、ありがとうございます。 特に自衛隊の場合は、ふだんの出動は命令下に行われるものでございます。あらかじめ部隊を決めておくのかどうか知りません。放射線部隊とか、そういうのがあるのかどうか知りませんが、
現実
に緊急
作業
に行っていただくときは、これは隊員の自発的意思というところで考えてよろしいのかどうか、お願いします。
左藤章
60
○
左藤
副
大臣
今
委員
御
指摘
のように、国際的には、一定の線量を超える緊急
作業
従事者について、自発的な志願者であるべきとされていることは御
承知
のとおりだと思います。 部隊の派遣を要請された場合、原子力災害等の
状況
、自衛隊の装備及び能力等を踏まえ、部隊等を派遣するか否かを適切に
判断
することになりますけれ
ども
、緊急
作業
時の被曝に関する国際的な考え方の
趣旨
を考慮し、緊急
作業
に従事する自衛隊員の安全
管理
、健康
管理
が十分に図られることが重要と思って、しっかり対応していきたいと思っております。
阿部知子
61
○阿部
委員
明確な御
答弁
、ありがとうございます。 引き続いて、
高木
経済産業
副
大臣
にお越しいただいておりますが、同時に内閣府の原子力被災者生活支援担当だということで、お伺いをいたします。 二〇一二年の十二月から三月まで、旧警戒区域というところで、その区域内の車両通行のいわゆる監視業務を内閣府からタクシー会社に委託されました。タクシー会社はそこで労働者を働かせたんですけれ
ども
、この区域はいわゆる線量の
管理
下区域ということになっていて、しかし、内閣府からこの仕事が出されるときにそうした地域であるということが伝えられずに、またタクシー会社も十分に知識がなかったために、
現実
には高線量下でタクシーの運転手さんたちのそういう輸送業務が行われてしまったということがございます。 この点について、内閣府のというか、
高木
副
大臣
の御
認識
を伺います。
高木陽介
62
○
高木
副
大臣
私、
経済産業
副
大臣
とともに内閣府副
大臣
も兼務させていただいて、原子力災害の
現地対策本部長
も務めさせていただいております。 今
委員
御
指摘
のありました事案につきましては、四月三日付の毎日新聞で報道されました。私もこの報道を読みまして、最初驚いて、すぐに確認をさせていただきました。 御
指摘
のように、平成二十四年の十二月に警戒区域の主要幹線道路を対象に特別通過交通を認めたことに伴いまして、区域内の通行車両が増加したため、安全確認のため車両巡回業務を強化するよう、こういうような目的で、タクシー会社にその業務の要請が行われました。 同社の方は、百二十名の要員体制を整えて、この十二月下旬から翌年平成二十五年の三月まで巡回業務を実施いたしました。巡回ですから、ずっと移動しながら見るというような
状況
だったんですが、巡回が主であり、当該事業者によれば、一定の放射線下で業務を行う特定線量下業務との
認識
は持っておらず、事業者において実施すべき法令に基づく対応を十分に実施できていなかった、そのように
認識
していると。それを受けまして、その結果、当該事業者が労働基準監督署による是正勧告を受けた、このことに対しては大変遺憾に思っております。 今御
指摘
のように、ちょうどこの警戒区域での特別通過交通を認めたということで、ある
意味
初めての
状況
だったと思います。それについて、やはり内閣府支援チームとしても、業務委託に応じてさらに細かい指示または細かい
説明
等をすべきであったと私も
認識
しておりますし、こういった勧告もなされたことによりまして、今後もさらに、今通行可能なところがふえておりますけれ
ども
、そういうことに関してはしっかりと対応させていきたい、このように考えております。
阿部知子
63
○阿部
委員
これは厚生労働省にも同じ
質問
を伺いたいですが、時間の
関係
で、私の方で要約して申しますが、各省庁間の連絡
会議
で内閣府と厚労省がちょうどこのころ
会議
を持った、そこで内閣府には伝えてあったものと思うという厚労省側の
認識
ですけれ
ども
、各省庁間で、こうした
作業
にかかわる人の被曝問題がもっと私は緊密に、なお深刻に受けとめられるべきと思いますので、今の副
大臣
の御
答弁
のとおり、これからもしっかりとお願い申し上げます。 引き続いて、今のような警戒区域内の
作業
にかかわられた方もそうですが、
事故
を収束させるために、
防衛
省、警察庁、そして消防庁などの各隊員が、職員が現場で働いてくださいました。おのおの、どのくらいの人数の方がどのくらい被曝されたか、各省庁で恐縮ですが、どんな順番でも構いません、今申しました
防衛
省と総務省の消防庁そして警察庁、おのおのお願いいたします。
塚原太郎
64
○塚原
政府参考人
お答えします。
東電
福島
第一
原発
サイト
内外においての活動の人数でございますけれ
ども
、
原発
サイト
内が計百四十七名、
原発
サイト
外が計八千四百五十八名でございます。 これらの自衛官で、それぞれの内外におきまして最も被曝線量が高かった者の数値でございますけれ
ども
、
原発
サイト
内で
作業
した者については八十二・七ミリシーベルト、
原発
サイト
外で従事した自衛官につきましては十・八ミリシーベルトということとなっております。
北崎秀一
65
○
北崎
政府参考人
お答えいたします。
福島
第一原子力発電所の
事故
の直後において三号機への放水活動等を実施した消防職員は二百六十人であり、最大の被曝線量を記録した職員の線量は二十九・八ミリシーベルトでございます。 また、避難区域で活動した消防職員につきまして、
福島
第一原子力発電所が立地します双葉地方広域市町村圏組合消防本部の職員は、平成二十六年十二月末現在百十九名でございまして、これらの職員のうち、平成二十六年十二月末までの累積で最大の被曝線量を記録した職員の線量は七・二ミリシーベルトでございます。 以上でございます。
沖田芳樹
66
○
沖田
政府参考人
警察におきましては、被災者の避難誘導、救出救助、行方不明者の捜索、警戒、警ら活動等に従事してまいりましたが、発災当日から平成二十四年三月末までの約一年間で
福島
第一原子力発電所から約二十キロ圏内において活動に従事した警察職員の人数は、延べ約三十六万人でございます。 次に、被曝
状況
についてでございますが、例えば
福島
県警察の職員の累積被曝線量について見ますと、
現時点
までで、一ミリシーベルト未満の者が約二千八百人、一ミリシーベルト以上五ミリシーベルト未満の者が約三百九十人ということで
承知
いたしております。
阿部知子
67
○阿部
委員
私が一々伺いましたのは、
防衛
省、総務省の中の消防庁、あるいは警察庁、このデータはおのおののつかさつかさで
管理
をしておられます。 例えば
防衛
省の場合は、退官、おやめになるときは手帳のようなものを個人にお返ししてという、年金手帳ではありませんが、個人
管理
に委ねられております。一方、炉の中で働いたり、除染などは、中央登録センターに線量を登録する。そうすると、一人の人生で、あるときは自衛官になり、あるときは除染にかかわり、人生いろいろですから、そういう一連の、人の一生の放射線
管理
というのは非常に重要になってくると私は思います。 予算
委員会
でも
田中委員長
にお伺いいたしましたが、日本の場合は、放射線に対しての人への影響の一元
管理
というものが非常に整っておりません。 以前、公明党から法案が準備されたことも参議院でございましたけれ
ども
、やはりこの大きな
福島
事故
という出来事、警察官に至っては三十六万人が被曝をしている。もちろん、警察官の方は、五ミリシーベルト以内にその人の被曝量を抑えるようある
意味
でローテートしながら、数を三十六万にして一人を余り被曝しないようにという配慮はしてございますけれ
ども
、でも、生涯の線量のフォローという点からも、ぜひ一元
管理
ということを
原子力規制委員会
の旗振りのもとというか、
原子力規制委員会
の役割が環境と人を守ることでありますから、もう一度
田中委員長
にはきょうの質疑を通じてお考えいただきたいと思って私はお時間をいただきましたが、いかがでしょう。
田中俊一
68
○
田中政府特別補佐人
予算
委員会
でも
先生
の御
質問
にお答えしました。 以前より、学術
会議
で大分前から十分な
検討
をされて、我が国はこの災害が起こる前からその
検討
がされております。 医療被曝等、先日もちょっと新聞にも出ていましたけれ
ども
、国際的に見ても飛び抜けて多いとか、それから、今回、
福島
県民を初めとして有意な被曝をするようになったということを含めまして、きちっとこういったものを測定
管理
することによって、国際的にも役に立つ疫学データとかそういうことにもつながっていくと思いますので、本当はそういうことをやった方がいいと思うんですが、なかなか、これもコストとか手間暇がかかりますので、私
ども
だけで何かできるような事柄ではございませんので、ぜひ
先生
方にもよく御
検討
いただければと思います。
阿部知子
69
○阿部
委員
コスト等も試算してございますので、また引き続いて質疑させていただきます。ありがとうございます。
吉野正芳
70
○
吉野委員長
次に、菅直人君。
菅直人
71
○菅(直)
委員
先日、
高浜原発
の
差し
とめの仮処分
決定
が出まして、たしかその翌日でしたか、
田中委員長
が記者会見をされて、こう言われていますね。この裁判の判決文を読む限り、事実誤認、誤ったことがいっぱい書いてありますと。そして国会質疑でも、そういう事実誤認という言葉を使われています。 そして安倍総理は、翌日の本
会議
で、
田中委員長
は、その
判断
の前提となる幾つかの点で事実誤認があり、新
規制基準
や
審査
内容が十分に
理解
されていないのではないかとの明確な
見解
が示されていますと、
田中委員長
の
発言
を紹介して、この国会で、つまりは判決が不当だというふうなニュアンスをにじませておられます。 私は、きょうは、この事実誤認という言葉は、
見解
の相違とか見方が違うというのと違って、非常に重い
意味
を持ちます。ですから、本当にこの福井地裁の裁判における
決定
が、事実誤認が本当にあるのかどうか。私が見る限り、逆に、
田中委員長
や
規制
庁の方に何か思い込みなり事実誤認があるのではないかという感じがしていますので、今からそのことを明らかにしますから、そのことを明確にお答えいただきたいと思います。 そこで、まず第一に、記者会見の中でこのように言われていますね。私も細かいことを全て調べているわけではありませんが、耐震重要度分類で給水設備はBだと書いてありますけれ
ども
、これはSです、それから、外部電源のところですけれ
ども
、外部電源については、SBOを防ぐということで、我々は非常用発電機とか、いわゆる電源車とかバッテリーとか、いろいろな要求をしております、外部電源は商用電源ですからCクラスですけれ
ども
、非常用電源についてはSクラスになっています、ですから、ざっと見ただけでも、そういった非常に重要なところの事実誤認が幾つかあると思っております、こう言われていますね。 そこで、順序を追って、電源の方からまず聞きます。 今言われたように、
田中委員長
は、外部電源はCクラスで非常用電源はSクラスである、この点で裁判所の
決定
には事実誤認がある、少なくともそういうふうに
理解
される表現です。しかし、裁判所の
決定
に、非常用電源がSクラスということを否定する記述は、私が見る限り、一カ所も見つかりません。 勝手に非常用電源のことを言い出したのは
田中委員長
の方ですから。言い出しておいて、
決定
は外部電源がCクラスであることは前提としているにもかかわらず、何か、それが非常用電源をCクラスであるかのごとく、誤解を招くような言い方で、事実誤認があるというのはなぜですか。
決定
のどこに事実誤認があるんですか。この点についてはっきりお答えください。
田中俊一
72
○
田中政府特別補佐人
まず、電源のことでございますけれ
ども
、商用電源はCクラスです。これは全国あまねく電気が供給されている、これはCクラスです。今回の
規制
の中では、まず、商用電源が一次的に重要ですから、そこについては独立二系統、変電所も含めましてそういう。ただ、これはCクラスです。 だけれ
ども
、
規制
の肝といいますか、最も重要なSBOを起こさないというのが今回の一F
事故
の教訓でもあります。ですから、SBOを起こさないという
意味
で、仮に商用電源がだめになったとしても、その後に非常用電源、それから常設の発電車、あるいは移動式の、可動式の発電車というようなことで、基本的にはSBOを起こさないということが安全
審査
、我々の
審査
の
中心
であります。 ですから、そのことについて
審査
が緩いとか信用できないというような類いの記述でしたので、その関連の中で私はそういうことを申し上げています。
菅直人
73
○菅(直)
委員
私は、今
委員長
が言われた全般
部分
を別に否定しているわけじゃありません。まさにステーションブラックアウトを防ぐために非常用電源が用意される、それはSクラスだということをこの
決定
でも別に否定はしていません。だから逆に、そのことの必要性を別に否定しているわけじゃなくて、
決定
の主張しているどの
部分
が事実誤認なんですか。 つまり、非常用電源がSじゃないんだ、BだからSにしろと言っているのなら、それは間違いですよ。Sだということを認めているのに、なぜ事実誤認なんですか。もう一度、はっきりと、どの
部分
の表現が事実誤認かを言ってください。
見解
の違いなのか、事実誤認なのか、はっきりさせてください。
田中俊一
74
○
田中政府特別補佐人
そもそも論ですけれ
ども
、外部電源は、敷地外の他の発電所から送電線や変電所を介して受電するものであります。地震以外にも、テロとかいろいろな人為
事象
、台風、竜巻等によりその経路上で遮断されるという、停電というのはよく起こります。
原子力施設
の安全機能に求められるレベルの
信頼
性という点でいうと、商用電源だけに頼るということは、その
意味
でそれだけの
信頼
性はありません。 したがって、異常が発生した場合には、外部電源に頼らず、所内の非常用発電機を駆動して給電することで必要な電源を確保するという考え方をとっております。このため、基準では、外部電源の受電施設は設備はCクラスでもよいとした上で、非常用発電機をSクラスとすることで安全性の確保を図っています。 この基準の前提となる事実
関係
について正確に
認識
いただいているかどうかということが疑問であるという
意味
で申し上げているものでございます。
菅直人
75
○菅(直)
委員
いいですか、言葉を正確にしてください。正確に
認識
されているか疑問というのと、事実誤認というのは全然
意味
が違いますよ。 非常用電源のことをこのやりとりで言い出しているのは
委員長
の方なんです。だから、
委員長
が言われることは、私はそれで別に異論はありません。しかし、
委員長
はそういうふうに正確に
認識
されているか疑問だというふうに言われたんじゃなくて、裁判所の
決定
に事実誤認があると。 事実誤認というのは、事実でないということですよ。例えば、私に対して、三月十二日の海水注入を中止させたと安倍総理が二〇一一年の五月二十日に言われました。しかし、実際には中止されていません。それは
吉田
調書でも明らかです。そういうふうなことは事実誤認なんです、はっきりと。中止されていないのに中止したと言ったんだから。 しかし、どこで裁判官が、例えばそういう今
委員長
が言われたような非常用電源がSであるということを否定していますか。それを否定しているのなら、SなのにSでないと言うのは事実誤認だと言えますよ。その背景として、外部電源がとまったときには非常用電源でやるんだから、そのことが十分に
理解
されているかどうか疑問だ、今そういう言い方をされました。では、そういうふうに言いかえてください。少なくとも、事実誤認という言い方は間違っていたということを明確にしてください。
田中俊一
76
○
田中政府特別補佐人
裁判所の
決定
文では、原子力発電所の施設の脆弱性は、外部電源と主給水の双方について耐震性をSクラスにする等の方策がとられることによってしか解消できないという記載がございます。 こうした記載から、私としては、基準策定の前提となる考え方の事実
関係
について、正確に
認識
していただいているのかどうか非常に疑問であるという
意味
で、事実誤認と申し上げているのであります。
菅直人
77
○菅(直)
委員
いいですか。今
指摘
されたところは、四十四ページにこう書いてあるんです。「外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする」と、確かに書いてあります。つまり、裁判官はそう
判断
したんですよ。 しかし、
田中委員長
からすると、商用電源である外部電源をSクラスにするのは難しいという意見を多分お持ちでしょう。しかし、
現実
に、
福島
原発
では外部電源が落ちたということも事実があるわけですから、裁判官がそう思ったからといって、それが事実誤認じゃないじゃないですか、
認識
の違いであって。だから、
認識
の違いと事実誤認は全く違うんですよ。(
発言
する者あり)ちょっと静かにしなさい。 いいですか。つまりは、非常用電源がSクラスでないと言っているのなら、これは事実誤認ですよ。しかし、外部電源と主給水も、両方ともSクラスにしろと。それに対して
田中委員長
が、いや、とてもそんなに、商用電源全部まではSクラスにできませんという意見を言うのは構いませんよ、全然。しかし、それがなぜ事実誤認なんですか。事実誤認というのは事実でないということですよ。 単にその意見を言ったら事実誤認なんですか。単に外部電源をSクラスにしろという意見を言ったら、それが事実誤認なんですか。はっきり答えてください。
田中俊一
78
○
田中政府特別補佐人
まず、言葉の問題をいろいろおっしゃられておりますけれ
ども
、
規制基準
は、先ほ
ども
、繰り返しになりますけれ
ども
、電源について、外部電源だけに頼っては安全の確保は十分にできないということで、内部の非常用電源とか、そういう主給水、ちゃんと冷却するというような施設については耐震性Sクラスを求めているということです。 しかし、
決定
文では、そういう方策が、電源について言えば、外部電源について、Sクラスでなければ安全性は担保できないというようなことで記述されていますので、それは、我々としては、
審査
をしてきた人間としては、やはり、事実をきちっと見ていただいていないということで申し上げざるを得ないということであります。
菅直人
79
○菅(直)
委員
いいですか。何回も言いますけれ
ども
、まさに言葉の問題なんですよ。事実が違っているのなら、事実がどこが違っているかを言うべきです。意見が違うのと事実が違うのは違うんです。 例えば、今、経産省の覆面の官僚が、「東京ブラックアウト」とかホワイトアウトとか、いろいろ本を書いています。その中でも、わざわざ意図的に、テロで外部電源が、鉄塔が倒されて、当時に、テロの場合は内部の非常用電源も破壊して、それで、まさにステーションブラックアウト、全電源喪失をさせるというようなことを話題にした小説がたくさん売れています。 ですから、本来なら、当然ながら、外部電源もそれはしっかりしてほしいと裁判官が思うこと自体が、何で事実誤認なんですか。思っていることを事実誤認だと言っているんですよ、今の言い方は。もう一回だけ聞きます。
田中俊一
80
○
田中政府特別補佐人
これは、私は裁判官でもないし、
司法
の人間でもないからあれですけれ
ども
、
決定
文というのは、裁判官の意見を反映した一つの公的な文書であるというふうに
理解
しますので、単なる意見の相違とか、そういうことではないんだというふうに思います。
菅直人
81
○菅(直)
委員
だから聞いているんじゃないですか、どこが事実誤認なんですかと。裁判官が意見を言ったときに、なぜ事実誤認なんですか。意見を言っちゃいけないということですか。 つまり、外部電源ももっと、それがCであるかBであるかSであるかはともかくとして、裁判官もSであることが望ましいと言ったら、それは
現実
にはなかなか難しいのはわかっていますよ。しかし、例えば、本当に外部電源の安全性が保たれない、場合によったら、非常用電源も攻撃されたら保たれないのなら、最終的にはどう
判断
するか。つまり、
原発
というもの
そのもの
の
危険性
がそれだけ大きいのなら、
原発
というものを選ぶか選ばないかということも含めて、人間が
判断
すればいいんですから。だから、
判断
の問題であることはわかります。 もう一回だけ聞きますが、
判断
として意見が違うのはわかります。事実誤認というのは、事実でないということですよ。何が事実でないんですか。裁判官がそういう考え方を持つことが事実でないというんですか。
田中俊一
82
○
田中政府特別補佐人
事実は、私
ども
が行ってきた
審査
結果、そういった
判断
の事実であります。それに対して、今回の判決文、
決定
文では、原子力発電所についての電源について、先ほど来のことですから繰り返しませんけれ
ども
、そういう記載があるということで私は申し上げているわけであります。
菅直人
83
○菅(直)
委員
最初に、正確な
認識
がなかったみたいなことを言われましたから、私はそのことまでは否定しません、それを
委員長
が思われるのはですよ。 そこで、次に行きます。 給水設備等冷却設備について、
田中委員長
は、「私も細かいことを全部調べているわけではありませんが、耐震重要度分類で給水設備はBだと書いてありますけれ
ども
、」と。どこに書いてあるんですか。私が、法的効力のある裁判の
決定
本文を詳細に見ましたが、給水設備がBという記述は、私には見出すことはできませんでした。はっきり答えてください。
田中俊一
84
○
田中政府特別補佐人
今の御
質問
は、使用済み燃料プールについての記述だと思います。 使用済み燃料プールの安全を保つ上では、まず、
水位
をきちっと保つということが大事です。万が一にもそういった水の漏えいがある場合には、それに対して水の補給ができるようにするということが安全上大事だということであります。 ですから、漏れないようにするためのハード的な施設、プールの、それもS、それから、給水するところについては、これもSクラスになっています。 しかし冷却は、ふだん、燃料プール、使用済み燃料も若干の発熱がありますから、それを冷却するという設備がついています。これについては一応Bにしています。これは、冷却がとまったから直ちに水がなくなるというようなことではないので、そこはBというふうに我々はクラス分けをしています。 しかし、裁判の
決定
文の要旨の中では、給水設備はBクラス、こう書かれておりますので、それはやはり事実と違いますということを申し上げております。
菅直人
85
○菅(直)
委員
確かに、要旨に給水施設がBと書いてあるのは間違いだと私も思います。これは、前後を読んでみると、給水ではなくて冷却施設の多分誤記です。それは、全体を見ればわかります。 つまり、ここで裁判官が言いたいのは、給水設備のことがどうこう言っているんじゃなくて、冷却設備をもっとしっかりしたSにしなければいけないんじゃないかという
趣旨
から全体が出ています。 ですから、法律的効果が要旨というのはないんですけれ
ども
、本文中にはそんな記載はありませんし、ほかのところでいろいろな議論がありますけれ
ども
、少なくとも、冷却設備が耐震クラスとしてBであるということははっきりしていますが、給水設備がBだという表現は、本文中にはどこにもありません。それはわかりますか。
田中俊一
86
○
田中政府特別補佐人
ただいま菅
先生
の御意見をお聞きしていると、まさに我々は、先ほど申し上げた給水設備の方は大事ですから、これはSクラスにしているということです。そのことが、きちっと
認識
していないという
意味
で、事実誤認という言葉を申し上げたということであります。
菅直人
87
○菅(直)
委員
ですから、
認識
が違うというのと事実誤認は違うんですよ。 つまり、いいですか
皆さん
、実際にはどういうことかということは
委員長
は御存じでしょうけれ
ども
、四号機のプールは、ほかほかの燃料が入っていて、一日に二十トン蒸発していたんですよ。実際には、冷却機能がそのとき動いていなかったんでしょう、どんどん蒸発したんです、そして給水もできなかったんです。 つまりは、冷たい水を給水すれば冷却機能もあるし、逆に冷却機能が生きていれば蒸発しませんから、そんなに水を給水しなくてももつんですよ。だから、そういうことを含めて、裁判官は、給水設備も、これがBであるというのは十分じゃないんじゃないかと。 それは、
見解
が違うかもしれません。しかし、少なくとも、冷却設備だけでもしっかりしていれば、さっき言ったように、四号機の場合に、蒸発して危うくメルトダウンしそうでしたから、そういうことには多分ならなかったでしょう。つまりは、冷却設備がBだということについて裁判官が意見を言われているのに対して、どこが事実誤認なんですか。
田中俊一
88
○
田中政府特別補佐人
菅
委員
は、いろいろしんしゃくされての御意見だと思いますけれ
ども
、私
ども
は、
決定
文に書いてあるところをもってしか
判断
できることがないので、給水設備ではなくて、冷却設備だけじゃなくて、全部そういうことを含めて言っているかどうかということまでは
判断
できません。 ただ、給水設備がBクラスということが書いてあるという、これだけは、書いてありますので、事実ですので、それについてはやはり違いますということを申し上げざるを得ないということであります。
菅直人
89
○菅(直)
委員
もう一回聞きますけれ
ども
、それは要旨のことを言っているんですか。
田中俊一
90
○
田中政府特別補佐人
ええ、要旨に書いてあります。
菅直人
91
○菅(直)
委員
本文にはないんです。本文は訂正できるんです、明らかな間違いであれば。しかし、要旨というのは、あくまで要旨ですから、いわゆる訂正手続というのはないんです。 ですから、先ほど来
田中委員長
が言うことは、
自分
の方はいろいろな背景を
説明
して、だからこういう見方をしたらこれは必ずしも正確じゃないといいながら、逆に、裁判官はまさに文章だけなんですよ。ですから、文章から全体を見れば、明らかに冷却設備を給水設備と間違ったところがあります、さっき言ったように。 例えば、今お配りした配付資料を見ても、Sクラスの中には給水設備という言葉はないんですよ。使用済み燃料を貯蔵するための設備の中に含まれると言っているんですよ。しかし、Bクラスの方にははっきりと、「使用済燃料を冷却するための施設」と書いてあるんですよ。これは
規制
庁が案をつくった法案ですけれ
ども
。 ですから、その
意味
で、
自分
の方だけは何かいろいろな背景があるからこういうふうなことだといいながら、この全体から見れば明らかに冷却設備との誤記を、何か鬼の首でもとったように、これがあるから誤認だというのは、ちょっと科学者として私は、とてもではないけれ
ども
、そんな発想が科学的な発想とは思えませんが。
田中俊一
92
○
田中政府特別補佐人
だんだん、若干、余りロジカルな議論ではなくなってきているところがあるような気がしますので、余り申し上げたくはないんですけれ
ども
。 基本的に、
決定
文で、私
ども
の
審査
を踏まえて
判断
した
決定
文が書かれていると。そこには、我々が行ってきた
審査
の実際のことが
理解
されていないという
意味
で、
審査
は実際にやっていますから、これは事実です。その
審査
書案も公表しています。そのことについてきちっと読んで事実を
理解
されていないという
意味
で、事実誤認という表現を使わせていただいているということですので。
菅直人
93
○菅(直)
委員
もう一点の問題に移ります。 記者会見で
田中委員長
は、基準地震動について、「判決の中では平均でやっているということで、入倉
先生
の引用がありますけれ
ども
、入倉さんはそんなことはありませんと」「他で語っている」、こういう表現があります。しかし、私の知る限り、原告の側も平均なんという主張はしていない、仮処分の方にも平均などとは言っていない。 問題は、少し読み上げますと、
決定
が、入倉教授による入倉レシピについて、地震動の平均像を基礎としていると
指摘
しているのに対して、原子力
規制
庁は、基準地震動は平均ではない、つまり、基礎としていると言うのに、平均ではないと話をまずすりかえている。 そして、入倉レシピについては、例えば入倉氏自身が書いた強震動予測レシピに、レシピは同一情報が得られれば誰がやっても同じ答えが得られる強震動予測の標準的な
方法
を導き出すことを目的としたものであるとあるように、標準的な
方法
を目指したものであり、最大級の地震動を導き出すことを目的としたものではない。いずれも、経験値をグラフ上にプロットした上で、その平均値から経験式を導き出している。初期条件が同一であれば、同じ平均的な結論が得られるものであり、ばらつきにより最大どの程度になるかといった考慮はない。もしそうであれば、同じ答えなどが出るはずがない。 本
原発
について、
決定
では、「地震の平均像を基礎としてそれに修正を加えることで基準地震動を導き出していることが認められる。万一の
事故
に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を地震の平均像を基に策定することに合理性は見い出し難いから、基準地震動はその
実績
のみならず理論面でも
信頼
性を失っている」。 つまり、何を裁判官が言っているか。
自分
のときだけいろいろな背景を言わないでください。全体で裁判官が言っているのは、この最後の、私が申し上げた、つまりは、万一の
事故
に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を地震の平均像をもとに、もとにですよ、平均だと言っているんじゃないですよ、平均像をもとに策定することに合理性が見出しがたいから問題だということを言っているんです。どこが事実誤認ですか。
櫻田道夫
94
○
櫻田
政府参考人
少し専門的なところがございますので……(菅(直)
委員
「
委員長
の言葉だから結構です」と呼ぶ)
吉野正芳
95
○
吉野委員長
まずは
答弁
させてください。
櫻田道夫
96
○
櫻田
政府参考人
説明
をさせていただきたいと思います。 基準地震動につきましては、今
先生
の御
指摘
のございましたような
方法
を使いながらですけれ
ども
、平均像の計算をもとにはしてございますが、それに加えて、地震動がより厳しくなるような不確かさも求めて、それを考慮に入れた上で保守的な地震動を評価する、こういう形で、基準の中では要求してございます。 高浜三、四号の
審査
においても、そういうことを求めて、その結果、保守的な地震動が策定されたので、妥当だと
判断
したということでございます。
菅直人
97
○菅(直)
委員
ですから、そのことを否定はしていません。 だから、今も言われたように、平均像をもとに策定しているんですよ。平均じゃないんですよ。だけれ
ども
、どこが事実誤認なんですか。平均ではないと言っているんですよ。平均像をもとにやっていることが合理的でないと言っているんですよ。何でまずいんですか。
田中俊一
98
○
田中政府特別補佐人
菅
委員
も科学者だからあれだと思いますが、一般的に世の中で受け入れられている平均的な値を導き出す
方法
をとることが、それがいけないということではなくて、ただし、そこには、常に誤差とかいろいろなこと、不確かさがあります。今、
櫻田
部長の方からお答えしました。 それから、三次元の地盤の問題、それから実際の、地震の起こる深さの問題とか、それから高浜でいえば、三つの活断層の連動性の問題、そういったことを全部踏まえまして、それを考慮して、最大になるように評価してやっております。 ですから、そういったことを踏まえて、平均値を求める
方法
がだめだという
判断
は、私は、科学者としては受け入れがたいと思います。
菅直人
99
○菅(直)
委員
言葉をうまくすりかえないでください。 つまり、裁判官が言っているのは、平均像を基礎としてそれに修正して基準地震動を導き出しているけれ
ども
、このことに合理性がないと。これは一つの意見なんですよ。 それに対して、例えば
田中委員長
は、そうではないという意見をお持ちなのは構いません。しかし、意見に対して事実誤認だという言い方は違うんじゃないですか。少なくともそういう見方があるということは、これは、実は今回の、きょうはもう時間がありませんからやりませんが、
川内原発
の判決の中でも、この基準地震動の見方については、裁判官自身もいろいろな見方があるということは言っているんですよ。 ですから、いろいろな見方がある中で、
自分
と合わないものは、
自分
の方はこういう理由でこう思っているんだから、全部それは事実誤認だと。 事実誤認という言葉は、事実であるか事実でないかなんですよ。先ほ
ども
申し上げましたけれ
ども
、例えば、給水がとまったかとまらないかというのは事実です。どっちかです。とまって、とまらないなんということはありません。しかし、こういうふうな一つの意見のときに、
委員長
がそれを一方的に事実誤認と言われるのは、私は明らかに、その考え方
そのもの
が余りにも狭過ぎて、だって、裁判官は反論できないわけですからね。ですから、そういう
意味
で事実誤認という言葉は明らかに間違いであるということを申し上げておきますが、もう一度だけ
答弁
してください。
吉野正芳
100
○
吉野委員長
田中委員長
、簡潔にお願いします。
田中俊一
101
○
田中政府特別補佐人
はい。 入倉名誉教授自身も言っていますけれ
ども
、新聞記事等に、
決定
文にある
発言
が、内容が曲解されて一部だけ引用されているということで、ある種の抗議的な
発言
をされています。 私は、今の議論をずっとさせていただきまして、我々は相当、極端に言えば、本当に深夜をなしに、寝る時間も惜しんで
審査
をしてきております。そういったものに対してこういった判決はなかなか許容しがたいという
意味
で、やはり事実誤認ということを撤回するつもりはありません。
菅直人
102
○菅(直)
委員
一言だけ。 いいですか。今の入倉さんの話も、曲解という言葉が出てきました。つまり、解釈がいろいろな見方があって、
自分
が思ったように解釈されていないなんということは私なんかも嫌というほど経験していますけれ
ども
、曲解と事実誤認とも違うんです。全然
意味
が違うんです。つまり、事実であるかないかということと、正確な
認識
とか曲解とかとは違うし、まして、誤記があるのは、人間ですから時にはあります、誤記は。だけれ
ども
、全体を見てもらえれば、それが誤記であるかないかというのは
専門家
が見ればわかるはずです。 ですから、そういった
意味
で、余りにも
田中委員長
は、今回の判決が、ある
意味
では新
規制基準
にまで踏み込んでぬる過ぎるとか言われたものだから、ちょっと過剰反応されたんじゃないですか。 とても私は、今のやりとりの中で事実誤認ということが証明されたとは全く思いませんので、そのことだけ申し上げて、
質問
を終わります。
吉野正芳
103
○
吉野委員長
次に、柿沢未途君。
柿沢未途
104
○柿沢
委員
維新の党の柿沢未途でございます。 私は、一つずっと気になっていることがあるので、第一に御
質問
させていただきたいんですけれ
ども
、
田中
規制
委員長
が、
規制基準
の適合判定した原子力に対して、安全とは言わない、こういう御
発言
をされていることについてなんです。
原子力規制委員会
設置法の第四条というのは、
規制委員会
の任務として、「原子力利用における安全の確保」、こういうことが書かれているわけですよね。私は、
田中委員長
が、安全とは言わない、こうおっしゃっていることの気持ちはわからなくはないんですよ。わからなくはないんですが、しかし、安全の確保というのが法律上の任務として課せられている人が安全と言わないということでは、私は、法律の規定に矛盾しているということになってしまうのではないかというふうにも思うんです。 ここの整合性をどう考えてあの言葉遣いをされているのかということについて、まず
田中委員長
にお伺いをしたいと思います。
田中俊一
105
○
田中政府特別補佐人
簡単にお答え申し上げますが、いわゆる安全、安全という定義が非常に曖昧なところがあって、絶対安全と言わないと言った方がわかりやすいのかもしれません。
事故
は起こりませんということを
意味
している、今までは、従来は、安全だということの中で、
事故
はゼロだ、ゼロ
リスク
ということが含まれていたので、そういったことも含めて、私は、絶対
事故
が起こらないというようなことを含めまして安全とは言わないという表現も使わせていただいているところであります。
柿沢未途
106
○柿沢
委員
私は余り言葉狩りみたいなことをするつもりはないんですけれ
ども
、やはり法律上任務として安全の確保ということが課せられている人が、記者会見等々で、しかも、
原子炉
の適合判定を下した、それを受けての記者会見で安全とは言わないと言われてしまったら、これは聞いている
国民
はやはりちょっと立つ瀬がないのではないかというふうに思うんです。 やはりここの
部分
については、思いは私は
理解
しているつもりです。ちょっとここの
部分
の言葉の使い方、先ほどの、絶対安全とは言わない、これはまあ
理解
できる
部分
もあるかなと思うんですけれ
ども
、そういう
意味
では、ぜひ
国民
に対する御配慮をいただければとまず冒頭に申し上げておきたい、こういうふうに思います。 次の
質問
に移りますが、今、仮処分
決定
を受けてのいろいろな、
規制基準
の問題であるとか、前の
委員
の方から御
質問
が出ましたけれ
ども
、まず御
認識
、私、何度かこれはお伺いをしているんですけれ
ども
、現
規制基準
というのは、
田中委員長
は、世界最高水準、こういうふうに本当に言い切れるものだというふうに
認識
しているのかということなんです。 先日も、まさに仮処分
決定
を受けてのコメントで、世界最高レベルというおっしゃり方をしていますのでそういう
認識
だということなんだとは思うんですけれ
ども
、本当にそれでいいのかということをまずお伺いしたいと思います。
田中俊一
107
○
田中政府特別補佐人
今回策定しました新
規制基準
は、
福島
第一原子力発電所
事故
の教訓を踏まえ、また、IAEAとか諸外国の
規制基準
も確認しながら、世界で最も厳しい水準の基準となるように新
規制基準
策定に取り組んでおります。 特に、我が国は、外的要因による、地震とか津波とかそういったものが厳しいので、そういったことについても十分に配慮しています。 非常用電源について申し上げますと、一定期間の外部電源喪失あるいは全交流電源喪失に耐えられる備えを求めるという考え方は米国やフランスと共通しています。かつ、想定すべき電源喪失期間が、米国やフランスでは三日間程度であるのに対して我が国では七日間としているところも、これは、そういう
意味
では上回る基準になっていると思います。 それから、格納容器のベントですね。万が一燃料が溶けて格納容器の方に放射能が出た場合に、さらに格納容器から外に、環境に出る放射能量を極力防ぐというか、減らすという
意味
での格納容器ベントの要求もしております。この格納容器の破損が今回一Fの
事故
では起こって、大量の放射能が出たということから、これのベントラインを設ける。しかも、単なるベントではなくて、フィルターをつけて放射能を除去するというような
規制基準
を要求しております。米国ではフィルターの導入が
検討
中でありますけれ
ども
、我が国の今回の基準では、放射性物質を低減させるフィルターの導入を求めています。これは義務づけています。 それから、地震や津波についても、最大の
自然現象
に対して施設の安全が損なわれないことを求めるという考え方はフランス、アメリカとも共通でありますけれ
ども
、
自然現象
の想定の
方法
、これは、我が国は国土の非常に厳しい条件ということもありますので、そういったことを踏まえて、非常に厳しいものになっています。これは事業者にとっては大変つらいという話も聞きますけれ
ども
、そういうことについては厳しく求めています。 それから、バックフィット制度というのが今回あります。既存の、従来許可したものに対してバックフィットで適用するというのは、柿沢
先生
は法律の
専門家
だからこんなことを申し上げる必要はないのかもしれませんけれ
ども
、これはなかなか大変なことなんですけれ
ども
、これを要求しています。米国では費用対効果等を適用して、欧州では十年ごとに合理的な範囲で適用するというような柔軟な適用をしているんですが、日本では全てについて適用するというようなことで求めています。 全体的にそういった対応を求めておりまして、先日来日されましたNRCのバーンズ
委員長
も、実際に高浜を見て、米国以上の対応をしているという感想を漏らしておりました。
柿沢未途
108
○柿沢
委員
世界最高水準になるように取り組んでおりますと言うのと、世界最高水準ですと言うのとは、多少の違いがあるようにも思うんです。 そして、今、いわゆる天変地異といいますか、そうした気象条件あるいは国土の条件について日本は厳しいのでという話がありました。厳しい国土条件の上で、厳しいと電力会社が悲鳴を上げるような基準を課しているんですよという話なんですけれ
ども
、それはそうなんだと私も
理解
します。しかし、この厳しい国土条件で、安全に、
事故
のないように、過酷
事故
がゆめゆめ起こらないように
原子炉
を
稼働
、運転していくということですから、私は、厳しいのはむしろ当たり前なのではないかと思うんです。 それで、例えばアメリカで、どういう形で自然災害等々の条件について義務づけているかといえば、これは何度も言っていますけれ
ども
、確率論的ハザード解析という手法を用いて、炉心損傷頻度でいえば一万年に一回、早期大量
放出
頻度でいえば十万年に一回、こういう確率でしか起こり得ない、このぐらいの対応をすべしということをやっているわけですよね。 そういう
意味
でいうと、今回の
川内原発
ですけれ
ども
、五百四十から六百二十ガルに基準地震動を上げたわけですけれ
ども
、報道によりますと、ある
意味
えいやと上げたという要素がある、九電の人がこんなふうに話されている、こういう記事が残っています。 今回の
川内
の六百二十というのは、今の確率論的ハザード解析に基づいて言えば、一万年に一度とかいう発生頻度の地震動だということなんでしょうか、伺います。
田中俊一
109
○
田中政府特別補佐人
これはちょっと余分なことかもしれませんけれ
ども
、
審査
会合の中で
川内
の基準地震動を決める過程では随分議論がありました。事業者は五百四十ガルでも大丈夫ですということを主張してきたんですが、私
ども
としては、やはり震源を特定しない地震動というのをきちっと考慮していただく必要があると。 要するに、どこで何が起こるかわからないということがこれまで我が国でもたびたび起こっていますので、そういうことをやって六百二十ガルに上げていただいています。一万年に一度というよりは、こういった基準地震動がいわゆる耐震設計の基本になりますから、こういったことであります。
原子力規制委員会
としては、六百二十ガルについて
審査
した結果、そういった
意味
で適当であるということであります。 発生頻度が一万年に一度かどうかというところについては、事業者の方ではいろいろ評価をしておりますけれ
ども
、私
ども
はそれについての評価はしておりません。事業者の方は一万年から十万年に一回であるとしていますけれ
ども
、私
ども
規制委員会
の方としてはそれを参照しているということでございます。
柿沢未途
110
○柿沢
委員
それは、要は事業者が言っているからそうだということをおっしゃったわけでしょうかね。 更問いをしますけれ
ども
、要は、世界最高水準の
規制基準
というからには、いわば常識だというふうに私は
理解
をしていますけれ
ども
、確率論的ハザード解析の手法というものがこの適合
審査
において用いられているのかどうか、それがきちんと適用された形でこの基準地震動等々が設定されているのか。事業者じゃないですよ、
田中委員長
の
認識
をお伺いしたいと思います。
田中俊一
111
○
田中政府特別補佐人
地震の確率論的な、PSAみたいな、PRAみたいなものは、ある程度、かなりいいレベルまで来ていると思うんですが、津波とかいわゆる竜巻とか、そういったいろいろな外部
事象
についてのハザードを確率論的に議論できるような
状況
にはまだ達していません。 我が国としては、今我々が求めているのは、事業者に、そういったことも含めましてプラントのいわゆる
リスク
解析をやって弱点を見つけ出して、
規制
を超えるような安全確保に取り組んでいただくということを求めているところでございます。
柿沢未途
112
○柿沢
委員
世界最高水準なのかなという印象を若干覚えてしまうわけです。これは水かけ論になるだけですので余り言いたくはないんですけれ
ども
。 きのう、例の仮処分のことについて別の裁判所の
決定
が出ましたけれ
ども
、これについて、今度は
火山
噴火予知連絡会の藤井会長が、これまた事実誤認というコメントを出されているんですよね。破局的噴火が予想できるように言っているけれ
ども
そんなことはないとか、
火山
の
専門家
がこういう適合
審査
に当たってコメントを求められているとかいうことがそもそもないというようなことが言われていたり。 私が一番気になるのは、破局的噴火、
可能性
が十分に小さいとは言えないと考える
火山学者
が
火山
学会の多数を占めるものとまでは認められないということについて、それは全く真逆だということをこの藤井会長はおっしゃっているわけです。破局的噴火、阿蘇山でいうと九万年前に起きていて、先ほどの十万年に一度ということでいうと、ちょっとその中に入ってくるんですね。 私は、裁判所の
決定
について、いかなることについても、変な判決だろうと余りコメントするものじゃないというふうに思っているので、そういう
意味
では私の
立場
ではコメントしませんけれ
ども
、いずれにしても、一万年、十万年という発生頻度の自然災害等々の
事象
について耐え得るということが私は世界最高水準の安全確保の思想だというふうに思っていますので、それができているのかどうかということについては、先ほどの御
答弁
でもちょっとどうなのかなと思いました。 次に行きますけれ
ども
、アメリカの
原発
では、一千万年に一回とかいう発生確率、頻度の竜巻で、車がミサイルみたいに
原発
に激突するとか、こういう事態まで想定をしているところがあると聞きます。 私は非常に気になったので覚えているんですけれ
ども
、昨年七月、イスラエルのガザ空爆というのがありまして、ガザ地区からハマスがロケット弾をイスラエルの方に撃ち込むんですね。その撃ち込んだロケット弾のターゲットになっているのが、イスラエルのディモナ
原発
という
原発
がターゲットだったと言われていまして、実際にロケット弾が
原発
から南西四十二・五キロというところで着弾をしているわけです。これから、そういう形で、
原発
がまさに武力行使の対象になり得るということに今後はなっていくんだと思うんですよ。 余りこういうことを絡めていいのかどうかわかりませんけれ
ども
、これから安保法制をやっていくわけです。つまり、日本が直接的な攻撃にまずさらされていなくても、日本が海外へ出ていって戦闘行為に参加をする、戦闘行為の後方に参加をするとか、そういうことになるわけですよね。そうなると、相手国からすれば日本も相手だということになって、例えば日本国内の
原発
にミサイルが撃ち込まれるとか、こういう
危険性
はやはり高まらざるを得ないと思うんですよ。 そういう
意味
でいうと、例えば
原発
にミサイルが撃ち込まれるとか、こういう事態に対する想定というのは今されているんですか。
田中俊一
113
○
田中政府特別補佐人
新しい
規制基準
では、意図的な航空機落下、衝突、それからテロリズムなどによってプラントの大規模損壊が生じた場合でも、それをきちっと安全にとめられるように、消火活動とか、炉心や格納容器の損傷を緩和するための対策というのを準備するように求めています。 例えば、本体から百メートル以上離れたようなところに第二制御室というかそういった最低限の、
原子炉
をきちっとコントロールできるような施設を持つとか、そういったことを求めています。 ただし、今
委員
が御
指摘
のように、弾道ミサイル攻撃を想定したような安全対策は求めておりません。こういった一種の戦争状態のようなものに対して安全対策ということになりますと、ちょっとどこまでやっていいかわからないというところもありますので、これは原子力
規制
により対処すべき性質のものではなくて、まず、そういうことの事態が起こらないように、ぜひお願いしたいと思います。
柿沢未途
114
○柿沢
委員
続きまして、今の
質問
と関連するんですけれ
ども
、NRCは、最低三年に一回、いわゆるフォース・オン・フォースという訓練を
原発
において行うということになっています。 NRCはテロリスト役の部隊というのを抱えているそうで、レーザー銃で武装した部隊が入っていって、それを警備部隊がレーザー銃で応戦して、実際に
原発
の
サイト
内に入られて、やられてしまえば負け、こういうことを訓練として実際にやっているわけですね。このような、まさに武装部隊が意図を持って侵入してくる、こういうことに対して、実際にリアリティーを持ってこれからは考えなければいけない時代、ミサイルもそうだと思うんです。 そういう中でいえば、これこそ、アメリカ、NRCはやっているわけですけれ
ども
、フォース・オン・フォースみたいなことを義務づけることを考えておられるんでしょうか。
田中俊一
115
○
田中政府特別補佐人
アメリカと同じようなことはやっておりませんけれ
ども
、フォース・オン・フォース演習に当たる取り組みとして、警察、海上保安庁といった治安
関係
機関との協力のもとで、武装侵入を模擬した実証訓練は行っております。 本訓練は、
原子炉
等
規制
法に基づく核物質防護検査の際に実施されるものでありまして、事業者が実施する核物質防護措置の
実効性
を国が評価するという仕組みであります。 原子力発電所の警備については、
原子炉
等
規制
法に基づき電力会社の委託警備員による警備など事業者による厳重な防護措置が講じられているほか、警察の銃器対策部隊が二十四時間体制で常駐警備などを実施し、海上の方では、海上保安庁が全国の原子力関連施設の周辺海域に巡視船艇を常時配備しているというふうに
承知
しております。
柿沢未途
116
○柿沢
委員
いやいや、それはちょっと僕は違うと思うんです。
原発
の
サイト
内で行っている訓練ですからね、このフォース・オン・フォースというのは。今おっしゃった話というのは、どちらかというと
原発
の
サイト
まで到達する前の段階で警察あるいは海上保安庁、自衛隊、そういうところが行っているものであって、そもそも、そういう
意味
では、クリティカルな段階において本当に守れるのかということについては、やはりやっていないということになるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。 ちょっと、時間がかかるんだったら、とめてください。
田中俊一
117
○
田中政府特別補佐人
実際に
サイト
内でもやっているということで、ちょっと今参考資料の方を探すのにあれしていたんですが、そういうものであります。
先生
が御
指摘
のところのイメージが少し違うのかもしれませんけれ
ども
、NRC、アメリカと同様のことをやらなきゃいけないかどうかということについては、相当これは
判断
が要ると思います。ただ、最近の御時世ですから、そういう
意味
では、核物質防護、核セキュリティーについては相当注意を払って、私
ども
も
規制
の中でやっているつもりであります。
柿沢未途
118
○柿沢
委員
世界最高レベルかどうかということをちょっとお伺いをしているので、アメリカと同じことをしなきゃいけないのかという話になると、私は、しなきゃいけないんじゃないかと思いますが。 次に行きます。 フランスは、日本が
汚染水
処理
の問題に苦労しているこの様子を見て、今度、
原発
の認可更新の条件として、あらかじめ
汚染水対策
を施すということを義務化しているそうであります。 しかし、では、日本はどうか。
事故
は起こるものだという前提に立って適合
審査
を行う、
規制基準
を定める、こういうことだと思うんですけれ
ども
、しかし、目の前で
汚染水
の問題、とめる、冷やす、閉じ込めるの中で、冷やすという問題の中で、この
汚染水
の問題が
現実
に本当にどうしようもない状態になっているにもかかわらず、今まで適合判定をした
審査
の中で、
汚染水対策
というようなものが生じる
可能性
を前提にして対策というのを求めていないように思われますけれ
ども
、これはどうなんですか。
田中俊一
119
○
田中政府特別補佐人
通常の健全な原子力発電所でも、
汚染水
は若干、大なり小なり出ます。それについては、排出
濃度
規制
とか、そういうことで水の排出を行っております。 まず、基本的に、普通の状態であれば、
福島
第一のような
汚染水
を発生させない、つまりは、ああいった
事象
を起こさないということが最も大事なことであります。
福島
第一で申し上げますと、平成二十四年、
原子炉
等
規制
法を改正して、
福島
第一については、特定
原子力施設
の制度に基づいて、
状況
に応じて、
汚染水
を含めたさまざまな
規制
をしているところでございます。 今、フランスの例も述べられましたけれ
ども
、まだ国際的に
汚染水
を含めた
事故
後の
処理
を
規制
している例はないというふうに私は
承知
しております。
柿沢未途
120
○柿沢
委員
そんなことを起こさないというのは、かつて言われた、それこそ安全神話
そのもの
ではありませんか。しかも、
福島
で、この日本国内で
現実
に起きていることですよ。私は、それを想定の中に入れて対策を求めるということをしないということについて、やはり首をかしげてしまいます。 もう一つ、フランスの例で、私が聞いているところをお話しします。
原発
のプラント職員が発電所から総員退去しなきゃいけないという過酷な事態を想定して、フランスでは、三百人の要員で構成される特別チームというのを結成して、ヘリコプターでどの発電所にでも派遣されるという体制をつくったと聞いています。 これも、日本ではそういったものがあるというふうにはお聞きしませんが、
現実
に日本は
福島
で経験しかけたわけですが、これについて、なぜそうしたことを講じるということにならないのか、伺います。
田中俊一
121
○
田中政府特別補佐人
御
質問
の
趣旨
を正確に
理解
しているかどうかわかりませんけれ
ども
、総員、全ての人間がそこに滞在できないような
状況
の中に外からまた入ってくるということも私自身はちょっと想定しがたいんですが、実際にはそういうことは起こらないように、いろいろな
事故
が起きたとしても、そういったことにならないような対策を求めています。 地震、津波等の
自然現象
に係る基準を強化しておりますし、万が一想定を超える自然災害が発生した場合においても、炉心損傷、あるいは格納容器破損といったものを防止する、それから放射性物質の拡散の抑制、こういったことを求めています。 だから、そういった、確かにおっしゃるように、三百人を動員できるかどうかということでありますけれ
ども
、我が国においては、発電所それぞれの事業者、あるいは事業者間の協力において、人が足りない場合にはすぐに応援ができるような体制、そういったことについては求めております。
柿沢未途
122
○柿沢
委員
続きまして、ヨーロッパでは、運転員のシビアアクシデントに対する対応能力を向上させるために、これは何かノルウェーに施設があると聞きましたけれ
ども
、あえて発生確率が極めて低いと思われるような過酷
シナリオ
を投げかけて心理的に追い詰める、そういう訓練を行っているそうであります。 考えてみると、実際の
事故
というのが今想定している
シナリオ
どおりに起こるかどうかというと、そうではないということがほとんどだと思うんですね。そのときに、型どおりの訓練しか行っていない運転員というのは結局対応できないということになりかねない、こういう思想が背景にあるんだと思います。 こういう想定外の
事故
シナリオ
、まあ、
事故
というのはいつも想定外の要素が出てくるわけですけれ
ども
、そういう訓練を運転員にさせる、これは重要ではないかと思いますけれ
ども
、ヨーロッパではそうした取り組みが始まっているようでありますけれ
ども
、こうしたことを運転員に課することについてお伺いをしたいと思います。
田中俊一
123
○
田中政府特別補佐人
今
先生
御
指摘
のことは、非常に我々も大事なことだと思います。 それで、事前に
シナリオ
がわからないような形で、仮に
稼働
に入る場合にはその前に最低一回はそういった訓練をして、きちっと対応できるかどうかということを見きわめた上で最終的に運転許可を与えるとか、そういう
判断
をしていきたいというふうに、それをどういう形でやればいいのかということも含めて、今
検討
しております。
柿沢未途
124
○柿沢
委員
これは実際に運転を開始する前にやっていきたいという御
答弁
であります。 次に行きますが、これは一度お伺いをしていますけれ
ども
、アメリカでは、九・一一のテロの後に、NRCの指示書として、いわゆる条文番号をとってB5b、そういう指示書が出ていますけれ
ども
、これはかつて日本にも示されていたにもかかわらず、三・一一前には
政府
内で隠匿されていた、こういう経過がありました。 そこに何が書いてあるかというと、使用済み燃料のプールの水が抜けて、その上で全電源喪失した場合、冷却不能によるジルコニウム火災を防ぐために、電源に依存しない注水系統と散水系統を設置する。取り出したばかりの高熱の使用済み燃料が相互作用して炎上しないように、配付資料のとおり、市松模様のような配置にする。これは、赤が高温の燃料、青が比較的低温の燃料、こういう形で、低温の燃料で高温の燃料を囲むという形でジルコニウム火災の発生につなげないようにするということを指示しているわけですね。 日本の場合はどうかというと、
福島
第一
原発
で四号機プールの問題というのが大変大きな危機になりました。あったにもかかわらず、リラッキングと称して、このラックのすき間を高温の燃料でぎゅうぎゅうに詰めるみたいなことをむしろやってきているわけですね。 このB5bの指示というのは今もって全体としては日本の
原発
に対して行われていないというふうに
承知
していますが、なぜかということをお伺いしたいと思います。
田中俊一
125
○
田中政府特別補佐人
私
ども
の
規制
では、まず、使用済み燃料プールにおいては、おっしゃるとおり、冷却水または注水機能が喪失した場合、あるいは大規模なプール水の漏えい等により
水位
が維持できないという場合を想定し、その場合でも、可搬式注水設備とか可搬式のスプレー設備の配備をするようにということを求めています。 これは、使用済み燃料ですので、すぐに、ある程度そういった可搬式のものの注水設備があれば相当程度冷やすことができるということがわかっておりますので、そういったことをしております。 B5b、アメリカのような
状況
をしていないと。おっしゃったように、リラッキングというようなことで、燃料プールに使用済み燃料が少し窮屈に入ってきているという事態については、私も余り好ましいことではないということで、できるだけ乾式キャスクの方に移して貯蔵していただくようにお願いしているところでございます。
柿沢未途
126
○柿沢
委員
現に
福島
であった
事象
であり、なおかつアメリカではこうせよという指示が出ていることについて、余り好ましいことでないので事業者にお願いをしている、こういう御
答弁
なわけです。 これから国際的なピアレビューとかをやっていった場合に、本当に日本の
規制基準
というのが世界最高レベルだというふうに内外ともに認められるようになっていくのかどうか。
田中
規制
委員長
はどうも自信をお持ちのようで、NRCの
委員長
からもそう言われたという御
答弁
がありましたので、これはお尋ねしてもそうだということになると思うんですけれ
ども
、本当にそうなのかということについては、私は個別の論点で今ちょっとお伺いをさせていただいたつもりです。 次に、
避難計画
のことをちょっとお伺いしたいと思います。 何度もこれも聞いていますが、例えば玄海
原発
、三十キロ圏内に壱岐という島があって、三万人住んでいます。海に閉ざされた島で、大量
放出
があったときにどうやって避難させるんでしょうか。 浜岡
原発
、これは三十キロ圏内に東海道新幹線が通って、東海道本線が通って、東名高速が通っている。大量
放出
のときに、一体、日本の経済、あるいは、それこそ避難をどうするんでしょうか。 東海
原発
の八十キロ圏内は成田空港がひっかかってきます。世界じゅうの航空会社、航空機が
汚染
をしてしまうとかいうことになりかねません。滑走路も使えない、これはどうするのか。こういう問題になると思います。 この
避難計画
については、やはりNRCのスリーマイルを受けたロゴビン・リポートで、
避難計画
なくして
稼働
計画なし、こういうことが言われています。 そうした中で、アメリカでいえばロングアイランドのショアハム
原発
、これはGEが当時のレートで一兆円かけて完成させたものですけれ
ども
、燃料棒を入れる直前になって、十万人も住んでいる島から過酷
事故
が起きたらどうやって避難させるのかという話になって、結果、安全な避難は不可能ということで、一度も
稼働
させないまま
廃炉
になっています。 ロゴビン・リポートの
避難計画
なくして
稼働
計画なし、この思想を日本においても
原発
再
稼働
に当たって貫いていると言えるんでしょうか。お伺いします。
田中俊一
127
○
田中政府特別補佐人
まず、お断りしなきゃいけないのは、私
ども
は
原発
の再
稼働
についてあれこれ申し上げるような
立場
にはないということでありますけれ
ども
、その上で、米国では、米国連邦法で、原子力発電所の最初の運転許可の際、事業者や自治体が策定する緊急計画を、FEMAの評価に基づいてNRCが
審査
する制度になっていると
承知
しています。 我が国では、
原子炉
等
規制
法において、地域防災計画、
避難計画
の準備が
原発
の運転条件とはなっておりません。したがって、
原発
の運転の可否とは
関係
なく、地域防災計画、
避難計画
を準備しておく必要があるというふうに思います。 すなわち、
関係
自治体は、災害対策基本法に基づいて、防災基本計画や原子力災害対策指針を踏まえて、住民の方々の避難ルートや避難先といった、地域の実情に応じた地域防災計画を作成する必要があります。 国としても、この取り組みを全面的に支援するため、各地域ごとに設置した地域原子力防災協議会において、内閣府原子力防災が
中心
となり、原子力
規制
庁を含む
関係
府省庁が
関係
自治体と一体となって、地域防災計画の充実強化に取り組んでいるところでございます。 また、具体化、あるいは計画が充実化した場合に、全体として、その地域によって図られた防災、
避難計画
については、原子力災害対策指針等に沿った具体的で合理的なものであるかどうかということを協議会で確認し、私自身も参加する原子力防災
会議
において、国として了承することとしております。 実質的には、
避難計画
がないままに
稼働
計画が
稼働
に入っていくということは、私は、日本においてもないというふうに思っています。
柿沢未途
128
○柿沢
委員
この
避難計画
が本当に
実効性
のあるものかどうかということをきちっとチェックしていく必要が今後もあると思います。 ショアハム
原発
のケースを先ほど申し上げましたが、これは、州議
会議
員選挙があって、州議
会議
員選挙を経て過半数が
稼働
に不同意となったのが決め手になっていると聞いています。 私たちは
原発
再
稼働
責任法案というのを党で立案中なんですけれ
ども
、三十キロ圏内のUPZに入る広域自治体である都道府県が議会を含めて同意することが、再
稼働
の条件にしています。 しかるに、今はちょっと何をもって
地元
同意となすのかがよくわからないと思うんですよね、特に議会。議会が同意をしたというふうにニュースで見ると、どういうことになっているかというと、これは再
稼働
を進めてくれという住民からの陳情を採択したとかいうことが議会が同意をしたその証拠、あかしみたいになっているわけです。 法律上、
地元
同意が何であるかということは全く規定がない、こういう
状況
になっているわけですけれ
ども
、今、
原発
再
稼働
等における
地元
同意というのは何を指しているんですか。
岩井茂樹
129
○岩井
大臣
政務官 一般論として申し上げますと、同意というのは他者の意見などに対して賛成をすることの
意味
と考えておりますけれ
ども
、今お話がありましたとおり、いずれにしても、
地元
自治体の同意というのは、法令上、
原発
の再
稼働
の要件にはなっておりません。 要件にはなっていないんですが、なお、再
稼働
に当たっては
地元
の
理解
を得られるよう取り組むことが大変重要だと考えておりまして、その範囲や
方法
については、各地の事情がさまざまであることから、国が一方的、一律に決めるのではなくて、各地とよく相談をして対応することが大変重要だと考えております。 いずれにせよ、立地自治体など
関係者
とよくコミュニケーションをとりつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
柿沢未途
130
○柿沢
委員
ちょっとやはり何だかよくわからないんですけれ
ども
。 今までこれをいろいろ聞いていて、本当に世界最高レベルの安全確保ができるというふうに断言できるような環境が整っているのか、これは
国民
が見ていて
判断
する
部分
でもあると思いますけれ
ども
、私は若干疑念を持たざるを得ないと思っています。 最後に、
東電
の
廣瀬
社長に、お見えですので
質問
しますが、先日、三月三十一日に、NHKワールドで、
東電
の
廃炉
推進トップが語るということで、
廃炉
カンパニーの増田社長が、ちょっと率直というか驚くような御
発言
をされています。 例えば、
原発事故
の収束等々、
廃炉
プロセスについて、溶融燃料についてはどうなっているかわからないと。とにかく、ウイ・ハブ・ノー・アイデア・アバウト・ザ・デブリ、こういうふうに言っておられて、三十メーター上方から遠隔操作で取り除く必要があるんだけれ
ども
、そんな技術は持っていないし、存在していないと。格納容器を水で、水棺というか、満たせるかどうかもわからない、どこに穴があいているかもわからない、もしできなければ、ほかの
方法
をやらなきゃいけないとか、
廃炉
作業
を二〇二〇年に始める
政府
の意向があるけれ
ども
、それに関しては、正直、
自分
も可能であるかどうか言えないと。もちろん不可能だとも言えないというふうには言っていますけれ
ども
。 こうやって、これからどうなるかわかりませんということを英語で、NHKワールドで語っているんですけれ
ども
、
国民
はこういう話を一切聞いたことがないんじゃないかと思うんです。 真意はどうなんですかと増田さんにお聞きしようと思ったんですけれ
ども
、
廣瀬
社長しか出てきていただけないということなので
廣瀬
社長に来ていただいているんですけれ
ども
、
廃炉
プロセスのことでもありますので、
田中
規制
委員長
もこういう、増田
廃炉
カンパニー社長のような
認識
でいるということでよろしいんでしょうか。お伺いします。
廣瀬直己
131
○
廣瀬
参考人
お答え申し上げます。
先生
の御
指摘
のNHKの番組、私も録画で拝見いたしましたし、増田にも確認いたしました。 増田の
発言
は、まさに、御存じのとおり、今まで前例のない、いろいろな難しい
作業
をやっているということでございまして、現場の責任者として若干慎重な言いぶりに聞こえて、そういうことに聞こえたのかもしれませんが、もちろん本人は日本語でしゃべっているんですけれ
ども
。 それに対して、確認したところ、もちろん今後の工程についても、しっかりもちろんやっていくという意思をはっきり表明しておりますし、もちろん難しい決断をこれからしていかなければいけない場面が多々あるとは思っておりますが、その場その場で、
専門家
の方々あるいは
政府
の御指導をいただきながら、ベストな
判断
をしていきたいということでございますので、そういう
意味
で、誤解が生じたとすれば申しわけないことですが、しっかりやってまいるつもりでございます。
田中俊一
132
○
田中政府特別補佐人
増田さんの
発言
について私がそんなにいろいろ申し上げる
立場
ではないんですけれ
ども
、
廃炉
の責任者として、今一Fが遭遇している難しさを率直に語ったんだろうというふうに推察します。 彼自身も本当に、極端なことを言えば命をかけて頑張っておられるというふうに私は
認識
しておりますので、言葉一つ一つはそういう深い
意味
を持って、多分ああいう場で英語だったからそういったことを吐露されたんではないかというふうに思います。
柿沢未途
133
○柿沢
委員
時間が経過していますからもうやめますけれ
ども
、海外に向けた放送だけにおいて真情を吐露して、
国民
に対してはやれるかのようなことを言う、こういう使い分けになっているとすれば、これは大変問題があると私は思います。 そういうことにならないように、
国民
にも率直にその困難、そして今置かれている
状況
、こういうことをきちんとコミュニケーションをとっていただきたいと思いますので、それをお願いして、終わります。
吉野正芳
134
○
吉野委員長
次に、藤野
保史
君。
藤野保史
135
○藤野
委員
日本共産党の藤野
保史
です。 先ほど来お話が出ておりますけれ
ども
、二つの裁判所の
判断
がありまして、私も改めて、その二つの
判断
がなされた
川内原発
と
高浜原発
の
審査
書を読ませていただきました。きょうは、この二つの
審査
の違いといいますか中身について御
質問
させていただきたいと思っております。 そもそもこの二つの
原発
は、大変似ているところもあるし、違うところもあるなと思いました。 似ているところでいいますと、二つとも加圧型、PWRでありますし、ともに三ループプラントであります。電気出力も、
川内
が大体八十九万キロ、高浜が八十七万キロと、大体同じですし、燃料の種類とか数、系統設備の構成、仕様と、みんなほぼ同じ。設置許可も、七九年と八〇年、ちょっと違いますけれ
ども
、運転開始は大体一九八五年ということで、ツインプラントとまではいきませんけれ
ども
、大変似ているな、いとこぐらいにはなるのかなというふうに思っております。 同時に、違うところもある。まず、もちろんですけれ
ども
電力会社が違います。また、大きな違いとしては、この
審査
書にも書かれておりますけれ
ども
、格納容器の大きさが大分違う。
川内
は格納容器の高さが大体八十七メートル、高浜は七十七メートルということで、大体十メートル違っております。 これが違うということなんですけれ
ども
、この両者について、
規制委員会
は、新
規制基準
に基づいて
審査
をされて、ともに適合していると
判断
をされたわけですが、この
判断
についてきょうはお聞きしたいと思うんです。 両者に共通する
審査
項目として幾つもあるわけですが、きょうは、重大
事故
のうち、水素爆轟の防止対策についてお聞きしたいと思うんです。 水素爆轟といいますのは、水素爆発のうち、衝撃圧を生じる、衝撃がどんと出るような最も激しい現象のことであります。
福島
第一ではこの水素爆轟が実際に起きたとも言われている。はっきりとはわからないんですけれ
ども
、起きたという話もある。
規制委員会
にお聞きしたいんですけれ
ども
、これは起きると大変なんですが、
規制基準
の中では、あるいはその内規である
審査
ガイドでは水素爆轟の防止を求めていらっしゃいますけれ
ども
、そのために格納容器の水素
濃度
をどの程度にすべきだと定めていらっしゃいますか。
櫻田道夫
136
○
櫻田
政府参考人
新
規制基準
の中において水素爆発防止対策の基準はいかがなものか、そういうお尋ねでございます。 新
規制基準
におきましては、
原子炉
格納容器が破損する
可能性
のある、今
先生
御
指摘
の水素爆轟の防止に係る
判断
基準として、ちょっと専門的な言い方で恐縮でございますけれ
ども
、
原子炉
格納容器内の水素
濃度
がドライ条件に換算して一三ボリューム%以下、または酸素
濃度
が五ボリューム%以下であることというふうにしてございます。 ちょっとこれは解説しないとわからないと思うので、少し
説明
しますが、一三ボリューム%というのは、体積%で一三%ということでございまして、それから、ドライ条件というのは、通常、
事故
時には格納容器の中にたくさんの水蒸気がございますけれ
ども
、これがないという、そういう仮定を置いた上で換算した数字を使う、そういう形でございます。
藤野保史
137
○藤野
委員
ありがとうございます。 そこで、その一三%あるいは酸素五%というものを実現といいますか
審査
するために、
審査
ガイドではジルコニウム反応量についても定められていると思うんですが、これについてはどういう数値になっていますか。
櫻田道夫
138
○
櫻田
政府参考人
ジルコニウムの反応量の問題でございますけれ
ども
、これは、基準というよりも、格納容器の破損に至るような
事故
のいろいろなモードがございますけれ
ども
、水素が燃焼するときの解析をするための条件としてこのようにしなさい、こういう
審査
官の覚えというガイドでございます。 その中では、主要な解析条件として、水素燃焼の観点から、厳しいシークエンス、これは
事故
の
シナリオ
でございますけれ
ども
、これを選定して、その中で、圧力容器の炉心の中の金属・水反応による水素発生量について、
原子炉
圧力容器の下部が破損するまで、
原子炉
圧力容器が正常な状態にある、そういう
状況
の中で全炉心内のジルコニウムの量の七五%が水と反応する、そういう前提を置いてくださいということを書いてございます。
藤野保史
139
○藤野
委員
破損する前ということですが、七五%という御
答弁
でした。ちなみに、七五%のジルコニウムが水に反応すると、
川内原発
の一、二号の場合は大体七百キログラムぐらい水素が発生するということであります。 基準はそうなんですが、重ねてお聞きしますけれ
ども
、
川内原発
の場合、これは何%で
審査
されたんでしょうか。
櫻田道夫
140
○
櫻田
政府参考人
川内原発
の場合のジルコニウム反応量の想定としては、七五%ということで計算をするということを前提に評価をして、その事業者の評価をベースにして
判断
をしてございます。
藤野保史
141
○藤野
委員
審査
書を読ませていただきますと、七五%、いわゆる圧力容器が破損する前ですね。それが破損した後のことも
審査
せよと、
規制委員会
はもっと厳しくやれということで注文をつけられて、実際、
申請
者である九電は厳しくやったということで、七五の残り二五%も全部ジルコニウムが反応したらどうなるかということまで
審査
されております。ですから、
規制委員会
がしっかり注文をつけられて、それに九電が応えて
審査
をしたと
川内原発
の
審査
ではなっております。 問題は高浜の方なんですけれ
ども
、高浜の方は、ちょっと時間がないのでこちらで言わせていただきますけれ
ども
、一〇〇じゃないんですね。
規制委員会
も同じように注文をつけられました。しかし、関電の方は、これは二五じゃなくて、残り二五、要するに、一〇〇%全部じゃなくて八一%、七五プラス六だけなんですね。
川内
のときは七五プラス二五、ある
意味
審査
したのに、なぜ高浜の方は七五プラス六なのか。 先ほど言いましたけれ
ども
、
川内原発
の方が大きいわけですね。容量としてはたくさんある。しかし、ジルコニウムの量というのは高浜の方が多いわけです。だから、ちっちゃい格納容器にジルコニウムが多く入っている。にもかかわらず、その全部が溶けたということを高浜の方では
審査
しなかったということなんですが、これはやはり甘いのではないかというふうに思うんですね。
委員長
にお聞きしたいんですけれ
ども
、なぜ
川内
で一〇〇パーで考えたものを高浜では八一%なのか、お答えください。
田中俊一
142
○
田中政府特別補佐人
水素発生量の評価についてお尋ねですけれ
ども
、水素発生量の評価については、
審査
ガイドに即して、
原子炉
圧力容器内の全ジルコニウム量の七五%が水と反応する際の発生水素量に、その後、圧力容器が抜けて仮に溶けた燃料が格納容器の方に落ちたときに起こりますMCCI、それによって水素の発生が起こりますので、そういったことを考慮しても、水素
濃度
が基準で定めた爆轟条件、一三ボリューム%ですが、これを下回ることを確認しております。この点は
川内
も高浜も同じであります。 加えて、
川内
原子力発電所一、二号の
審査
では、
原子炉
格納容器が他のプラントよりも大きいことから、ジルコニウム一〇〇%が水と反応した場合の安全裕度を参考として確認するため、感度解析として実施したものというふうに
承知
しております。
藤野保史
143
○藤野
委員
今おっしゃったとおりなんです。だから、
川内
は一〇〇%やっている。これは、要するに全部反応したということですから、私は一つの、ある
意味
ちゃんとした
審査
だというふうに思うんです。 しかし、問題は高浜の方なんですね。今、MCCIのことをおっしゃいましたけれ
ども
、配付資料の二を恐縮ですけれ
ども
見ていただきたいんです。 これは、
規制委員会
に提出された、各電力会社ですね、北海道電力、関電、四電、九電という四電力会社が提出した資料、上の方になります。ここに書いてあるんですけれ
ども
、MCCIというのは、要は、三行目にありますけれ
ども
、「不確かさが大きい現象である」。要するに、何だかよくわからないと。というのは、実験もやっていないし、データもない、経験もないしということで、不確かさが大きい現象であるというのが電力会社の
認識
であります。 下の方は、これは
更田委員
長代理の
認識
でありますけれ
ども
、
更田委員
長代理も同じように、「MCCIに対する解析結果というのは極めて大きく割れる、不確かさの大きな現象です。」、こういう
認識
なんですね。 ですから、私が言いたいのは、不確かさが大きいんだから、
規制委員会
は
川内
に対してもっとやれと言って、九電はそれに応えて一〇〇パーやったわけですね。私は、これは、不確かなMCCIについての一つの
審査
のあり方だと思います。 しかし、この
審査
のあり方が高浜では踏襲されなかった。同じ不確かなMCCIを六%しか考えない、これはおかしいんじゃないですか、
委員長
。
櫻田道夫
144
○
櫻田
政府参考人
今
先生
御
指摘
の六%の問題でございますが、これは、高浜でも
川内
でも同じように六%というものも仮定をしておりまして、先ほど申し上げた、圧力容器が損傷するまでの間の七五%に加えて、六%も、MCCIで発生するという前提で評価をしてございます。 それを前提に我々は
判断
をしたということで、一〇〇%の
判断
につきましては、これは、先ほど
委員長
が
答弁
しているとおりで、参考までに行ったということでございます。
藤野保史
145
○藤野
委員
ですから、やはり部長に
答弁
してもらっては困るなと思いましたけれ
ども
、それはあくまで解析コードの話なんですね。 私が言っているのは、解析コードに依拠せずに、二五%、九電がやったと。これは事実なんです、基準
審査
書にはそう書いていますから。解析コードに依拠しないと。解析コードだったら、六パー、同じだというのはわかります。問題は、依拠せずに全部やったというところが私は大事だと思うわけで、それを何で高浜ではやらなかったのかということが私の
質問
の
趣旨
なんです。
委員長
、今度はお答えください。
田中俊一
146
○
田中政府特別補佐人
先生
がおっしゃっている一〇〇%までやったというのは、炉心内のジルコニウム・水反応について一〇〇%。今、
規制
委の方では七五%ということを要求しているんですが、そこをやっています。 MCCIは、その後に起こる別の現象でありますので、それについては高浜も
川内
も同じである。先ほど
櫻田
部長から申したとおりであります。
藤野保史
147
○藤野
委員
この
審査
書を読ませていただきますと、私、大変興味深かったのが幾つもあったんですけれ
ども
、中でも、表現の違いといいますか、今のところにかかわるところなんですけれ
ども
、
川内
の
審査
書の方ではこういう表現なんですね。「
規制委員会
は、上記の
申請
者の評価が十分保守的であるため妥当であると
判断
した。」と。その前に、「解析コードに依拠せずジルコニウム最大反応量」、最大反応量というのは要するに一〇〇のことですけれ
ども
、「最大反応量で評価しても」いわゆる「評価項目(f)を満足している。」と。その後に、「十分保守的」という言い方なんですね。 これに対して高浜の方は、この十分が取れておりまして、単に「保守的」なんです。「これにより、
規制委員会
は、上記の
申請
者の評価が保守的であるため妥当である」と評価したと。 ですから、ここはやはり、
委員長
が先ほど来おっしゃっているように、非常に厳密だなと私はある
意味
感じたんです。 確かに、
川内
の方は、非常に、十分保守的な
審査
をされていると思います。ところが、高浜の方は十分が取れているんですよ。
審査
書上も「保守的」としか書いていないという
審査
なんですね。これは、やはり、ある
意味
率直な表現だというふうに思うんです。 問題は、やはり、高浜の場合は、十分保守的にやらないといけないんじゃないかと思うんですね。 といいますのも、恐縮ですけれ
ども
、ちょっと配付資料一に戻っていただきますと、先ほど、似ているところと違うところというのを言いましたけれ
ども
、
川内
の方は格納容器の体積が大体八万百立方メートル、2になるんですけれ
ども
、それに対して高浜の方は六万七千四百ということになっております。ですから、かなり容積が違う。それに対してジルコニウム量はむしろ高浜の方が多いわけで、そういう
意味
では、大きなものの方がやはり安全裕度は高いわけですから、
川内
で十分保守的にやったのであれば、安全裕度の低い高浜の方はより十分保守的な
審査
をやるべきじゃないかというふうに思うんですね。 ですから、私はむしろ、厳しくやるというニュアンスよりも、
川内
と同じレベルの
審査
をやったらどうだ、なぜやらないんだということなんですけれ
ども
、なぜ同じレベルの
審査
が行われなかったんでしょうか。
櫻田道夫
148
○
櫻田
政府参考人
二つ目の御
質問
にお答えしましたとおり、我々の
審査
官の
審査
のガイドにおきましては、圧力容器が損傷するまでの間のジルコニウム量は七五%、そういうふうに前提を置く。それに加えて、MCCIで発生する水素についても考慮する。そういうことを前提とした評価を行ってもらって、それを
審査
の基準として考える、そういう
審査
をしてございますので、高浜において行われた評価の仕方と
川内
において行われた評価の仕方は、そこにおいては変わりがないということを、先ほどから
委員長
が
答弁
しているとおりでございます。
藤野保史
149
○藤野
委員
いや、
審査
書に違いがあるんですよ。「十分保守的」であると
川内
は書いてある。高浜は「保守的」としか書いていないんです。そういう
審査
しかしていないんですよ。あるいはそういうレベルだというのを
審査
書自身が示しているというふうに思うんですね。問題は、なぜこうなのかということもあわせて
質問
させていただきたいと思います。 恐縮ですけれ
ども
、配付資料の三を見ていただきたいんですが、これは、元原子力安全
委員会
時代の技術参与もされていた滝谷紘一氏の試算であります。 この表を紹介させていただきますと、先ほど来お話のある七五%、基本のところですけれ
ども
、これですと、冒頭確認しました一三%、水素爆轟が起こらないというところを大体クリアしているということになります。九・七、一一・五、一二・八、これは厳しいですけれ
ども
、一応一三以下ではある。 二つ目の八一パー、これは、高浜で実際に六パーを加算したところですけれ
ども
、
川内
は計算がありません。高浜はこれでも、
審査
書に書いてあります、一二・三だ、クリアしているということなんですね。 大飯、玄海はちょっと抜きまして、問題は一〇〇のところなんです。
川内
は一〇〇までやられた。これでも一二・六で、厳しいですけれ
ども
クリアしたと
審査
書に書いてあるんです。では、何で高浜は一〇〇がないのかということなんですね。 滝谷氏の試算によると、高浜で一〇〇をやっちゃうと、格納容器もちっちゃいし、ジルコニウムの量も多いから、一四・八になってしまう。一三を超えちゃうじゃないかということなんですね。
委員長
、この試算、どのように思われますか。
田中俊一
150
○
田中政府特別補佐人
試算の値自体は、私はよくわかりませんけれ
ども
、正しいんだと思います。 そういうことも踏まえまして、既存の
原子炉
でありますから、私
ども
としては、水素爆轟のような激しい現象が起こらないように、PARとかイグナイターとかというように、こういった、水素が蓄積しないように、出てきたらそれを、水素と酸素を結合させて水に戻すような装置も求めておりまして、今は
川内原発
で、それの使用前検査等においても確認させていただいていますし、高浜についても、当然、そういうことについてはきっちりと、より厳しく見ていくことになろうというふうに思います。
藤野保史
151
○藤野
委員
御
答弁
いただいたように、これはやはり試算としてはもう正しいわけですよね、元技術参与ですから。 そういう点では、なぜ一〇〇パーをやらなかったのかというのは、やはり関電がわかっているわけですよね。関電側としては、これは一〇〇パーでやっちゃったら超えてしまう。だから、それをやらずに済ませてしまったということで、これは大変な問題だというふうに思うんです。 こういう点では、
審査
をやり直してしっかりやるべきだというふうに思います。 先ほどPARというお話がありましたけれ
ども
、これは
処理
能力が一時間当たり六キログラム、これを五台設置したとして六キログラムなんですね、水素
処理
。ということは、これは、先ほど言いましたように、七五パー反応しただけで七百キログラムの水素が発生するわけで、ざっと百十時間以上かかって、とても間に合わないということですから、やはり水素爆轟というのはもう大変な現象で、先ほどおっしゃったのは、水素燃焼のもっと低い段階の対策のお話だというふうに思うんですね。 ですから、爆轟という、まさに一三%を超えるかというクリティカルな問題についての
審査
がこういういいかげんなわけですから、ここはやはり、
審査
そのもの
の問題として、ぜひやり直しを求めて、
質問
を終わります。
吉野正芳
152
○
吉野委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十五分散会