○篠原(孝)
委員 中小企業の置かれている環境と農業の置かれる環境を見ると、似ているんですよ、
後継者不足とかいうのもそっくりなんですよ。
間違った方向に農業の方は行っているんですよ。これは比べて見ていただくとすぐわかると思うんですけれども、農業はやたら
企業の農業参入とか、新規参入新規参入とばかり言っているんですよ。新規参入はあってもいいんですけれども、一番自然なのは、農家の息子なりがおやじさんの後を継ぐのが一番いいんですよ。一緒に仕事をして、一緒にやってという。気候条件も違いますから。工場の中だったら寒いところでも暑いところでも同じものができるかもしれませんけれども、農業というのは、山を
一つ越えたら違うやり方をしなくちゃならないんですよ。私のところは、一里一尺といって、一里行くと雪の量が一尺違う。全然違うんです。
豆は特に土地を選んで、米は結構、福井県でできたコシヒカリは新潟県でもできるけれども、豆はだめなんですよ。だだちゃ豆というのを山形で、うまい豆で、確かにうまいんですが、あれはほかの県、ほかのところでつくろうと思ったって、どうやったってうまくいかないんです。そういうのがあるんですよ。
だから、やはり同じ人がやって継続していくというのを中心にしてやっていかなくちゃいけない。次善の策として、やはり違う人、外の人を排除するわけじゃありませんけれども、優先順位はやはりなるべく身近な人、そして次、次に広げていくというのがいいんじゃないかと思いますよ。
相続の
関係ですけれども、
中小企業の
承継の方からも考えていただきたいんですけれども、農地も、民法の均分
相続という、こんなの
特例法をつくって
例外にすべきなんですよ。片っ方で農地の集積集積、大規模な専業農家に農地を集めなければいけないと言っておいて、片っ方では、大変なんですよ、今の
遺留分の
制度と同じで、
相続放棄をみんなにしてもらわないとできないんですよ。
それで、三人兄弟がいて云々と。農家で生まれて育っていたら、とてもじゃないが、次男坊、三男坊は、あんちゃんに、大した金にならないのを家を守って村を守るために農業の後を継いでもらった、どこかにもう離れているのに、おやじさんが死んだからといって三分の一の土地をよこせなんて誰も言いませんよ。しかし、その嫁さんが、長野の山の中の土地なんて二束三文なのに、勘違いして、三分の一よこせとか言い出すわけです。身近でこんなばかなことが、長野の山の中だったらいいけれども、長野市の平らな土地になるとこれはもう起こっているんです。
こんなのを排除するためにも、こんな御時世に農業をやっている長男が、次男でもいいですけれども、跡をとったら、そこに全部何にもしなくたって自動的に行って、弟どもの金をよこせと言ったっていいぐらいなんです、農地を守ってやっているわけですから。そうなっていないんです。どうしてそんなこと
一つできないのか。僕が農林水産
大臣になったらすぐやるんですけれども。どうでもいい話ですけれども。
だから、
中小企業等の抱えている問題と農業の抱えている問題は同じなんです。そういう点では、農業、農政を参考にしていただきたいと思うんです。
それで、これは
承継のときに問題になったりしますけれども、富田
委員がリーフレットをさっき配っておられましたけれども、
後継者がいないという。何かやめるときになって慌てふためいたってだめですよ。
農業者の平均年齢は六十六・八歳とかで、もう高齢者になっているんですね。
中小企業の
経営者の平均年齢は五十九歳で、まだましですけれどもほとんど変わりないですよね。それで、いつリタイアするかというと、七十歳前後だと。あと十年以内に半分以上がリタイアする。手がつけられないですよね。だから、おやじさんが、今の
経営者がしっかりしている間に、もう既に
後継者がやりたいな、やってもいいなと思わせるような
政策を講じなければいけないんです。
農業の例でいいますと、大した
政策をやっていないんです。口だけなんです、これもまた。ただ、部門
経営開始
資金というのがあるんです。おわかりになりますか。
おやじさんが米とリンゴをやっていた。
後継者は、このおやじはぎゃあぎゃあ言っていてうるさい、このおやじと毎日同じ畑へ行くのは嫌だ、そういう息子もいっぱいいるんです。だけれども、同じ家に住んでいる。では、俺はサクランボをやってやろうと。それに対しては、全面的に
資金援助をして、三年据え置き、十年均等年賦償還というような優遇措置を講じているんですよ。そうすると、そんなんだったらやってみるかというふうになっていくんです。
私は、
中小企業にも、全く違うというのはなかなかやれませんけれども、先ほど
松原委員が言っていましたが、メッキにしても、違うスタイルのものをやり、それについては、初動的経費がかかる、全面的に援助してみる。それで、危険ですから、それだったら、千三つだか万三つだかわかりませんけれども、もっと優遇したっていいと思うんです、新しいことにチャレンジするものについては。そういう
制度を仕組まれたらいいと思うんですが、そういうことを考えられたことはあるんでしょうか。
研究についてだけは、何とか研究開発機構というのでやたらお金をつぎ込んでいる。それは大
企業のところへ行っているんです。だけれども、
中小企業のそういうところにこそお金をつぎ込むべきだと僕は思いますけれども、いかがでしょうか。