○篠原(孝)
委員 その方がいいと思います。
それでは次に、
富田さんも
質問されましたけれども、
中小企業です。
中小企業のところ、私はわかりませんけれども、大
企業が
中小企業の
技術を盗んでいると。農業界にもこういうのがあるんです。ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
私は、長野県の飯山市という一番北の市です。エノキダケの栽培が、栽培というか、外でやるんじゃないんです。冬の労働力が余っているときに、あれは冷たいときにちょうどいいんです、菌を埋めてというのは。あれは、松代の農家が偶然発見して、そして中野市でやり、今も中野市、中野市は私の地元中の地元なんですね、そこでいっぱいやっているんです。
飯山市の支持者訪問に、冬、雪になる前に行こうと。あそこに家があるじゃないですか。いや、もう潰れて廃屋になっていますよと秘書が言うんですよ。煙が出てるんです。歩いて行ってください、五十メートルぐらいですが、車が動けなくなるといけないからと。行ったら、この件を聞かされるわけです。一生懸命やっていたと。ごめんくださいと言ったら、腰の曲がったおばあちゃんが出てきて、篠原さんがわざわざ来てくれたのに、おらのじいちゃん、耳が遠くなって困っちゃっているんだと言っておじいちゃんを呼んできたら、じいちゃんはじいちゃんで、うちのばあさんを見てくれ、毎日おじぎしている、一日じゅうおじぎしていると。八十歳ぐらいのお年寄りのおじいさん、おばあさんが、おれとばあさんでこれをやっているけれども、このエノキダケも終わりだと。どうしてか。
皆さん、お聞きになったことがあるかと思いますけれども、ホクト、北海道に進出して、この前工場が焼けていますけれども、ホクトと雪国まいたけというのが、エノキやシメジの産業に乗り出しているんです。ホクトというのは、もともと機材を売る
会社だったのに、
自分でできるという一番いいノウハウを、農家がいろいろ工夫しては直しているんです、彼らは
特許だとかなんとかという概念はないんです。先進地視察をやって、みんな
日本じゅうに広まっています。
だから、一村一品でどうこうと大分県でありましたけれども、梅栗植えてハワイへ行こうと。あれは実は、本当のお金は、中野から考案されたエノキダケでやっていたんです。今、九州でも北海道でもできるんです。これは完全に、わかりませんよ、わかりませんけれども、小さな農家が冬の余った労働力を生かして細々とやっている。それを大
企業がとっている。何でキノコ産業ができるかというと、おてんとうさまと勝負するのはできないと思いますけれども、あれは工場生産と同じようにできるんです。だからなんです。そして、仕事を奪ってしまう。こういうのはよくないなと思います。海外のことを一生懸命心配されていましたけれども、国内のこういうのをきちんとやっていただきたいというのが僕の要望です。
そして、ちょっと資料の裏側のページを見ていただきたいんですが、カツオ、マグロ、この
産業界のことです。こここそ、先ほどの
富田さんの
週刊ダイヤモンドの電機
企業のがありましたけれども、よく言えば
技術移転、悪く言えば
技術が盗まれていた。左側は漁獲量です。見てください。一九六〇年、ほかの国はゼロに近いんです。
日本が遠洋漁業に進出して、
世界じゅうで魚をとって歩いていた。一九七六年から海洋法、二百海里時代で追い出されるわけです。
典型的なんです。こういうふうにほかの産業もなってしまうというので見ていただきたいんです。いいですか、どうなったかというと、締め出される、仕事がなくなるんです。漁業界に、そんな暴利はむさぼれませんから、高給をもって
外国企業に迎えられるなんてないんです。仕事がなくなっちゃうんです。だから、資料が多くなり過ぎるのでやめましたけれども、中古漁船が中国、
韓国、フィリピンにどんどん出ていくんです。かつ、漁労長と一緒に出ていくんです。おわかりになりますか。どうやって魚をとるか。はえ縄漁業、カツオの一本釣りなんて、我々が行ったって全然釣れませんよ。相当熟練した人じゃないとだめだ。だけれども、二年、三年訓練するとよくできるようになる。
ばあっと、インドネシア、台湾、
韓国、そして最近は中国です。これは全て
技術が移転し、人も行ったんです。野方図にしていたんです。これは今の御時世に合わせると、
企業の海外移転と同じなんですね。
こうやっていったらどうなるかというと、
韓国人などはマグロなんてそんな食べなかったのに国内でも消費するようになってきていますけれども、当然、輸出先国は
日本です。右側、どんどんどんどん輸出されてきていて、そして、我々
日本人は真面目です。まあ悪いのもいるかもしれませんが、ほとんどルールを守って、とり過ぎは抑えますよ。しかし、
外国の漁船は、簡単に言うと、
自分たちも食べませんし、やらずぶったくりみたいな感じでとって
日本に売りつける。
どうでもいいことをちょっと申し上げさせていただきますと、これは誰がそういうことをしたかというと、よかれと思ってやられたんですけれども、商社が絡んでいるわけですね。それはそうです、
日本に
技術があって漁船もある。
だから、ちょっと思い出していただきたいんですけれども、三菱商事の社長、三村庸平、槙原稔、二人とも水産部長をやられて、そして三菱商事の社長になったんです。こういうことと関係あるんです。
これはなぜ長々申し上げているかというと、
日本のカツオ、マグロ漁業界、これと同じことをほかの
産業界でやっていたら、
日本の産業もいずれそうなる。何か、先ほどのところではサムスンに
技術者が行っていると言っていましたけれども、進んで行っているのは、工場を移転しているため。みんな
技術があちらに移転されていきますよ。そして
自分たちでつくるようになるのは当たり前ですよ。だから、私は、そういう短期的なのを考えるのはいかがなものか。
それからもう一つ、ここにはあらわれていませんけれども、みんな漁業は大先進産業なんです。だから、
外国人労働者は入れちゃいけないというのがありましたけれども、漁船員の大半が
外国人漁船員になっていくわけです。まあ、法の目を盗んでというのがあるかもしれません、
日本に寄港しませんからね。安い労働力で、今、実はそれは
日本の船舶にも同じようになっていっているんです。
どうでもいい話かもしれませんが、ホルムズ海峡で、あそこで機雷掃海して
日本のタンカーをと言っていますけれども、タンカーを動かしている人
たちの大半は
外国人で、
日本船が狙われるようになっていったら船員が来てくれないという問題が、あっちの
委員会でやる話ですけれども、そうなっているんですよ。だから、よく見ていただきたいんですけれども、こういうのがあるんですよね。僕は、こういうことを本当に考えていかなけりゃいけないと思っております。
それで、
質問ですけれども、この漁業者に悪い意図はなかったです。漁労長も。仕事がなくなっちゃったんです。漁もなくなり、
外国に行けなくなった。職場を失う。船は余っている。中古船とともに、漁労長とともに行ったんです。
しかし、では、今現にどういうふうに
流出しているかというと、研究機関が調査したものがあります、三菱リサーチですが、中途退職者、ここが問題なんです、五〇%ぐらい。中途退職者なんてほとんどいなかったんですよ。ミスで行ってしまっているから、不正
競争、ここにひっかかるようになるんです。ミスが二七、八%。そして、完璧に悪い意図があるというのが一二%。
取引先がちょろまかすというのが一〇%ぐらい。あとは定年退職者。そして、外部からの侵入なんというのは数%なんです。
そうすると、これは
特許のところでも申し上げましたけれども、
日本の就労形態とは違ってきているわけです。途中で転職していくんですよね。このルールはちゃんとしなくちゃいけないんじゃないか。
そして、
特許のところでも同じなんですが、では、転職していくんですけれども、その転職者が、仮にそのノウハウを
自分で考案し、
自分が発明者だったと。発明者だったけれども、ろくに処遇もされていないし、余り使ってくれない、だから
外国に行くという、こんなのはどうしたらいいんですか。この問題についてどう対応するのか、お答えいただきたい。