○武藤(貴)
委員 御
答弁いただいたんですけれども、
日本政府が法の支配を外交の柱としていく上で、それを担保する実力、警察力を含めたものが必要だという認識を持っておられるというふうな理解をさせていただきます。その上で、それも含めて
国際社会に訴えていくということなんだろうというふうに、今
答弁を聞いて理解をさせていただきたいと思います。
次に、ちょっと話はかわるんですけれども、法の支配にもかかわることで、グレーゾーン事態の
対応についてお聞きしたいと思います。
これから衆議院で安保法制について、平和安全保障法制ですか、
議論が行われていくというふうに思います。それの中に、実はグレーゾーン事態に関する法律というのは含まれていない。
グレーゾーン事態に
対応するといいますか、もうちょっと細かく言いますと、尖閣諸島周辺における、まあ、その辺の想定だと思うんですけれども、
外国軍艦の無害通航に該当しない航行についての
閣議決定、それから、公海上で国の民間船舶に対して侵害行為を行う
外国船舶を自衛隊の船舶等が認知した場合における当該侵害行為への対処についての
閣議決定、それと、離島等、島に対する武装集団による不法上陸等
事案に対する
政府の対処についてという
閣議決定がなされています。
実は、今行われている中国公船による領海侵犯に関してはこの
閣議決定では全く触れられていない、つまり、切れ目になっている、すき間になっていると私は
考えています。
昨年、
安倍総理が設置をした安保法制懇というところで出された報告書で、これに対してきちんと法
整備をしなきゃいけないという報告がなされています。安保法制懇の具体的な報告書の内容は、軍船または
政府公船である
外国船舶を停止するための武器使用がどの程度認められるかについて、国際法上の基準に照らし、警察官職務執行法の範囲にとらわれず、
国内法における
検討を進めていく必要がある。
しかし、
政府は、この報告書を無視するというか、採用せず、軍艦と民間船舶の領海侵入に対してのみ
閣議決定を行う、法
整備をせずに、
閣議決定を行うという対処のみを今回行っているわけであります。
国連海洋法
条約には、その三十二条で、「軍艦及び非商業的目的のために運航するその他の
政府船舶」というふうに、軍艦と、今、領海侵犯をしている中国公船、これを一緒に書いているわけですけれども、
日本政府は分けて、今、領海侵犯をしている公船に関しては分離して、何も
対応に関しての
検討を、
閣議決定としては、あるいは法律としては、立案していないという
現状があります。
この
閣議決定が行われた十四日の次の日、領海侵犯がなされています。ここずっと、近年の
状況を見ますと、毎月三回領海侵犯が繰り返されている。これは必ず三回と言えるぐらい、規則的に領海侵犯が繰り返されている。
中国の目的は、実効支配を揺るがして、例えば日米安保は施政下における領土に対する侵害があった場合に発動されるわけですね、施政権を揺るがせようとしている。
アメリカは、主権に関してはどちらに帰属するかというのは明確にしていません。実効支配は
日本がしている、要するに施政権は
日本にあると言っているだけなんですね。ですから、中国の作戦としては、領海侵犯を繰り返して、施政権が及んでいない、確立されていないということを証明しようということなんだと私は解釈をしています。
近年、どんどんエスカレートしていまして、
平成二十五年なんかは、これは東シナ海の公海上でありますけれども、尖閣諸島の北百数十キロというふうに聞いていますが、海上自衛隊の護衛艦がレーダーの照射を受けた。火器管制レーダーの照射というのは、攻撃する直前に行う行為であって、非常に危険な行為であります。レーダーを照射しただけで、自衛権の発動だといってこっちが攻撃するというようなことも国際法上は
考えられるわけです。ですから、非常に緊迫して、危険な状態がずっと二年以上続いているということが言えるんですね。
今、中国公船が頻繁に入っていますけれども、その接続水域を越えた公海上では、中国海軍が待機しているんだということも
考えなければいけない。この海軍の船が今にも入りそうだというところにいるという理解のもとで、私たちは、やはり
現状を許してはいけないと思うんですね、この入ってくるという
現状を。
国連海洋法
条約には、その二十五条で、「沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる。」というふうになっています。無害でない通航、今、中国公船がやっているのは、無害通航権の行使ではありません、有害通航権です。これを、侵入を防止するために、
日本は必要な措置をとることができるんです。ところが、
政府は、防止するために必要な措置はとっていない。今回の
閣議決定も、中国公船の侵入に対して防止するようなこと、論点は、全く含まれていません。
この点について、
政府の
見解を
伺いたいと思います。