○緒方
委員 南アジアでやっているものというのは、たしか撤廃率が五〇%いかないようなものも実はありまして、私は何が言いたいかというと、途上国というのは、みんながみんなそうではないですけれども、そういう緩いFTAになれているようなところもあります。しかしながら、先進国とやるときというのは、まさに、さっき言ったWTO、ガットの二十四条におけるところの、実質的に全ての
関税及び制限的通商規則の撤廃ということについて、もうリアルにどかっと来るわけであります。
だから、これまでのFTAは、結構二国間で融通がきいた、お互い
交渉すれば、
関税の撤廃率が少し低くてもよかった。けれども、実際に先進国とやるときというのが厳しいというのは、それは当たり前のことでありまして、実は、今、
日本の中で、二国間FTAの方がよかった、TPPみたいなものをやるともう本当にリアルに厳しいものを求められると言っているのは、それは途上国が相手であるときというのと先進国が相手であるときというものの違いも一部にはあるのではないかというふうに思っております。
これは、それが絶対に正しいかと言われると、私も証明する手段を持っておりませんけれども、そういうことがあるということだけ、今のTPPが厳しいのは、別に、特に
アメリカという国は特殊だと思いますけれども、先進国同士でやるときというのはガチで厳しいわけでありまして、
アメリカで厳しい、けれども、それはEUとやるときでも同じように厳しいんです。それは高いものを求められるんです。そういうことがあるということを、これは
指摘にとめさせていただきたいと思います。
それでは、少し
質問をかえまして、今回、国会に上がってきております
貿易円滑化協定について少し触れさせていただければと思います。
この
貿易円滑化の
交渉を始めたとき、実は私は
外務省で担当でありました。税関実務について、ガットで幾つかの条項で大まかな規定があるわけですが、それをもっとブレークダウンして、ガットに書いてある税関実務のところをより充実化させるということで、極めて実務性が高い
条約ということで、私が担当していたときは、これはやり始めれば早く終わるだろうというふうに言われていた
協定です。これはそんなに時間がかからない、あり得るとすれば、
協定の中身に途上国がついてこられるかどうかということであって、途上国に対するキャパシティービルディングの問題があえて残るかなというぐらいの感覚で進めたものであります。
しかしながら、この
貿易円滑化協定であっても、この
ドーハ・
ラウンド交渉、始まってもう既に十四年目であります。十四年目でようやくまとまった、ようやく唯一の成果がまとまったのがこの
貿易円滑化協定ということで、前の
ラウンドのガット・ウルグアイ・
ラウンドというのは七年六カ月でした。長い長い長いと言われた前のガット・ウルグアイ・
ラウンドでも七年六カ月だった。しかし、今回は、十四年かかってようやくここまで来ている。
実は、先ほども
質問がございましたけれども、
WTO交渉というのはこれからどう見通していったらいいのかなということについて、かなり私は懐疑的な思いを持っています。本当にこう言っていいかどうかわかりませんけれども、こういった非常に難易度が低い
条約ですら十四年かかったということを踏まえれば、今後、実はWTOというのは、新たな多角的
貿易体制の
自由化を
推進する
組織ではなく、これまでつくった
協定の管理とそして紛争処理だけをやる
組織に下がっていってしまうのではないかという危惧を持つわけでありますが、
外務省、いかがでございますでしょうか。