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長島(昭)
委員 私は、率直な感想を申し上げますと、やはり今の安全保障環境の当てはめも意外と相対的なものなんですよ。それがまず一点。それから、
憲法解釈の変更の
ロジックをつくる際に、
高村さんも
法律家、公明党の北側さんも
法律家、
法制局長官も
法律家、
法律家が寄ってたかっていろいろつくり上げたものだから、相当複雑になっちゃって、すとんと
国民の腹に落ちないんですよ。だから、そういうところがありますので、今後やはり
政府も相当心して
説明していただかなきゃならないということを申し上げておきたいと思います。
ただ、現実の対応は必要です。今両大臣から御
説明があったように、私はやはり法制度をきちっとやっていかなきゃいけないと思っています。法制度の細かいところについてはいろいろ異論があります。
私、この前たまたま小野寺さんとある番組に出て
議論を闘わせたときに、小野寺さんがこうおっしゃったんです。すごく印象的だった。
国民の平和と安全を守るための
法案なのに、何で
理解されないのかと。これは何で
理解されないと思いますか。
理解がなかなか進まない。
手を広げ過ぎたとか、あるいは急ぎ過ぎだとか、安倍さんに対する不信感があるとか、いろいろ理由はあると思いますけれども、私は、
日本国民が七十年前の
戦争に負けた、敗戦のトラウマというのが物すごく根強くあるんだろうと思っているんです。ですから、こういう
議論も、そのトラウマをもう一回乗り越えるような
議論をしていかなきゃいけないと私は思っています。
トラウマは二つあるんですよ。一つは、二百六十万の同胞を失った、惨たんたる敗戦なんです。この敗戦の余りにも悲惨だったがゆえに、そのことがトラウマになっているんです。
それから、もう一つは
政府不信なんですよ、政治不信。しっかりとした情報も与えられないまま、どんどん引きずり込まれていった。四千人もの若い有為な人材が特攻で死んでいった。外地で命を落とした兵士の
皆さん、六割、七割は餓死ですよ。こんな
戦争指導で引きずり回されて、そして国を荒廃に陥れられてしまった、そのことのトラウマを今でも引きずっているんです。
だから、今回の安保法制、ホルムズの機雷掃海だ、やれ
他国の戦闘に対する後方支援だといきなり言われても、
我が国の平和と安全に直接かかわるようなところだったら、今御
説明いただいたように、北朝鮮の脅威がある、中国の海洋進出もある、そういうことに対しては領域警備も含めてしっかりやっていこうねということは、恐らく多くの
国民は共有していると思うんですよ。
国民の
皆さんが持っている不安、もっと言えばトラウマ、敗戦のトラウマ、これをきちっと乗り越えられる、そういう
皆さんも納得できるような時間がやはり必要なんですよ。だから、
衆議院で八十時間をめどにしてどんどん急いでやっていけ、こういうやり方ではだめです。
私は、与党も野党もだめだと思っています。相互不信があるんですよ。野党側には、与党がどんどん
説明を適当にしてばんばん進めていくという、前のめりになっていることに対する不信感が物すごくあるんです。与党は与党で、どうせ野党は最後は反対するんだろう、ただただ時間を引き延ばしているだけじゃないか、そう思っておられるんでしょう。私は、この大事な
議論は与野党ともにこの相互不信感を乗り越えたところで本当に真摯に行われなきゃだめだ、そう思っていますよ。そうでなかったら、恐らく、
憲法改正ですっきりやった方がいいという
議論に負けますよ。
だから、私も、まだまだやりたいことがたくさんありますから、真摯にこれから
議論していきたいと思いますけれども、今のような
説明と今のような曖昧な形では、とてもとても
日本人がこれまで経験してきたトラウマを乗り越えることはできません。
そのことだけ申し上げて、しっかりと審議をしてこの結論を得ていく、こういう姿勢を貫いていただくことをお願いして、質疑といたします。
ありがとうございました。