○志位
委員 自己保存のための武器の使用だから
武力の
行使に当たらないということをおっしゃった。戦闘にならないんだということをおっしゃいました。
ここに、私、一昨日、外務省に提出させた文書がございます。
国際法上、自己保存のための自然権的権利というべき武器の使用という特別な概念や定義があるわけではございません。これが明確な答弁ですよ。回答であります。
つまり、
国際法上では、
武力の
行使とは別の、武器の使用という概念や定義そのものが存在しないんです。ですから、自己保存のための武器の使用だから戦闘じゃないんだ、
武力の
行使じゃないんだという理屈は
国際社会ではおよそ通用するものではないということを言っておきたいと思います。
大体、今問題になっているのは、
自衛隊が国内の駐屯地で襲撃を受けた、そのときに自己防護のために武器の使用をするという話じゃないんですよ。海外で
武力行使をしている
米軍を戦闘現場の近くまで行って支援している、そのときに
自衛隊が
相手方から
攻撃された、それへの反撃が武器の使用で
武力の
行使じゃない、こんな
議論はおよそ通用しない。
憲法九条に違反する
武力の
行使そのものだと言わなければなりません。
さらに、私は、具体的な事実に照らしてただしていきたいと思います。
自衛隊のイラク派兵は、非戦闘
地域への派兵を建前としておりました。しかし、実際に起こったことは何だったのか。
陸上
自衛隊は、対戦車弾や重機関銃など、かつてない重武装でサマワに展開しました。宿営地を高さ三メートルの土塁で囲み、その外側に柵や有刺鉄線を設置し、宿泊施設をコンクリート壁で、あるいは鉄板で固めるなど、いわば要塞化しました。それでも、二年半の間に、陸上
自衛隊に対するロケット弾や迫撃砲弾などによる
攻撃は少なくとも十四回、二十三発に及んでいます。うち四回、四発のロケット弾が宿営地の敷地内に落下し、コンテナを貫通したこともありました。宿営地外を移動中の陸上
自衛隊の車両が、手製の遠隔操作爆弾による襲撃を受けたこともありました。
昨年四月、NHK「クローズアップ現代」で、「イラク派遣 十年の真実」と題して、
自衛隊が撮影した千本に及ぶイラク派兵の記録をもとに、その実態を明らかにした番組が放映されました。
番組では、まず、宿営地に撃ち込まれた迫撃砲の着弾地点を映し出しました。私も見ましたが、着弾地点から数メートルにわたって土地がえぐられている。迫撃砲の殺傷力の高さを物語る生々しい映像であります。
さらに、番組では、当時、陸上
自衛隊のトップを務めていた元統合幕僚長の先崎一氏のインタビューを放映しました。
先崎氏は、政治的には非戦闘
地域と言われていたが、対テロ戦が実際に行われている
地域への派遣で、派遣部隊から見れば何が起こってもおかしくないと。戦闘
地域に臨むという気持ちを原点に置きながら、危機意識を共有して臨んだ。忘れもしないですね、先遣隊、業務支援隊が約十個近くひつぎを準備して持っていって、クウェートとサマワに置いて。自分が経験した中では一番ハードルの高い、有事に近い体験をしたイラク派遣だったと思います。こう語っています。
航空
自衛隊は、クウェートの空軍基地を拠点にC130輸送機でバグダッドなどへの空輸
活動を行い、
米軍を中心とした武装した多国籍軍などを空輸しましたが、この
活動は、常に
攻撃にさらされるという危険きわまりないものでありました。
イギリス軍のC130輸送機は、バグダッド近郊を飛行中、武装勢力によって撃墜され、乗員全員が死亡するという
事態も起こっておりました。空自のC130輸送機も、バグダッド空港に駐機中、四発の迫撃砲弾がC130輸送機の頭上を飛び越え、空港の敷地内に撃ち込まれたこともあります。
空自の輸送機がバグダッド上空に来ると、携帯
ミサイルに狙われていることを示す赤ランプが点灯し、警報が鳴る
事態が頻発しました。三回飛べば一度ぐらい
ミサイル警告システムが作動したと証言する空自幹部もいます。機体を左右に急旋回させ、あるいは急上昇、急降下させる命がけの回避行動が必要だったと報道されました。
総理に伺います。
非戦闘
地域が建前だった
自衛隊のイラク派兵でしたが、実態は戦場に近かった。
自衛隊員の犠牲者が出ず、
自衛隊が一発も銃弾を撃つことなく終わったのは、ほとんど奇跡と言っていいことだと私は思います。
非戦闘
地域が建前であっても、先崎元統合幕僚長の言葉をかりれば、何が起こってもおかしくない、
攻撃を受け、戦闘に至る、その一歩手前が現実だったのではないですか。
総理にそうした認識はありますか。
昨日の本
会議で私はこの質問を
総理に投げかけましたが、定かな答えがありませんでした。私は、イラク派遣の現実についての認識を聞いております。はっきりお答えください、
総理。