○伊達忠一君 自由
民主党の伊達忠一でございます。
自由
民主党を代表して、
安倍総理の
所信表明に対して
質問をしてまいります。
まず最初に、広島市で七十四名が亡くなった土砂
災害について、四十日余りがたちました。また、御嶽山が先月二十七日、七年ぶりに突然噴火し、尊い人命が失われました。現在、救助活動をされておられる
関係の
皆さん方に心から敬意を表します。
冒頭に、
参議院自由
民主党を代表して、犠牲となった
方々に深く哀悼の意を表しますとともに、
被害に遭われた
方々に心からお見舞いを申し上げます。
災害に強い、安心して暮らせる国づくりに向けて、全力を尽くしてまいりますことをお誓いを申し上げます。
七年ぶりに噴火した御嶽山は、噴火予知の難しさを示したこととなりましたが、
政府におかれましては、噴火活動に
最大限の警戒を行い、万全の
対策を講じていただきたいと
思います。
さて、
安倍総理は、
所信表明演説で、全体として、将来を悲観し立ち止まるのではなく、
地方の個性や女性の力など、あらゆる
可能性を開花させ、将来を切り開いていくというメッセージを発信しました。
安倍政権は、これまでも歴代政権がなし得なかった、
憲法改正手続の整備、国家公務員制度改革、
集団的自衛権の
行使容認、特定秘密保護法の制定など、困難な
課題を次々と実現させています。私は、
安倍総理の信念と実行力に深く敬意を表します。
続いて、今回の
内閣改造に伴う重要
課題について順次
質問をしてまいります。
まず、
地方創生について伺います。
今回の改造の
最大の目玉は、何といっても
地方創生でしょう。
地方創生担当大臣の新設は、人口減少や超高齢化といった
地方が直面する構造的な
課題にどう対処するか、まさに
内閣を挙げて取り組む
姿勢を示したものであると高く評価をいたします。
担当になられた
石破大臣におかれましては、しっかりとした成果を上げていただきたい、このことを強く要望し、その決意のほどをお示しをいただきたいと
思います。
今年五月に増田寛也元総務大臣らの有識者グループが行った提言では、二〇四〇年までに全国千八百の市町村の約半数が消滅する
可能性があるというショッキングな予想が示されました。多くの自治体では、若者だけでなく
高齢者も減り始め、人口が本格的な減少期に入っています。消滅という強い言葉には賛否両論がありますが、ショック療法としてはよかったのでしょう。
地方の側にも強烈な危機意識が芽生えたことは確かです。
総理は、今年の骨太方針に、五十年後に一億人程度の人口を維持することを国家目標として掲げられました。そのための戦略を策定する組織として、担当大臣の
設置と同時に、まち・ひと・しごと創生本部も
設置されました。具体的な目標を掲げて正面から取り組むという
姿勢は、これまでの
内閣の
姿勢から一歩も二歩も踏み込んだものであり、人口減少と高齢化に悩む
地方にとりましては願ってもないことであります。
東京一極集中に歯止めを掛け、
地方から大都市へという人の流れを変えるということは、今まで何度も言われてきた
課題であります。と同時に、
総理、これはまだ誰もがなし得なかった、成功しなかった
課題でもあります。私は、
安倍政権なら必ずこれを成功させ、成果を上げていただけると信じて疑いません。
総理はこの困難な
課題にどう取り組んでいくお考えなのか、
総理の断固たる決意のほどをお示しをいただきたいと
思います。
創生本部では長期ビジョンと総合戦略を年内にも決定するということですが、その際
一つだけ申し上げておきたいことがございます。創生本部には、是非
地方の声を積極的に聞いていただきたいのです。
地方の切実な声に基づいた、各地域の特色に応じた戦略でなければ、決して実効性のあるものにはなりません。
同時に、
地方の側も国からの
ばらまきを安易に期待するような今までの
姿勢でいてはならないことは当然であります。これまで、そうした
姿勢が中央への依存を生み出し、
地方が自立できない一因となってきたことも否定できない事実であるからです。国主導ではなく、
地方が自ら提案し、行動し、実現することが
地方創生の本旨だと
思います。
創生本部では、今後、
地方の声をどのように聞いていくお考えなのか、お伺いをいたします。
また、
基本方針には、従来とは次元の異なる大胆な政策、地域の特性に即した
課題解決と書かれていますが、これまでの
政府のやり方とどう違うのでしょうか、お伺いをいたします。
地方の
経済を活性化し、成長軌道に乗せるためには、そこに雇用が生まれ、人が集まってくることが大切です。結局は、皆働くためには仕事があるところに住むわけです。そして大都市に人口が集中してきたのがこれまでの歴史です。
これに加えて、都市と
地方の教育の格差もあります。
地方では学校の選択肢が少なく、自分のやりたい勉強や研究をするためにはどうしても都会の学校に進学せざるを得ない。高校、大学と進むに従って、皆どんどん都会に出ていってしまうのが
地方の実情です。
地方における雇用の問題と、そして教育の格差の問題について
総理はどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと
思います。
地方創生に関し、国家戦略特区についても伺います。
政府は、国家戦略特区として、東京圏、関西圏のほかに、
新潟市、兵庫県養父市、福岡市、沖縄県の合わせて六地域を指定しました。私は、これも
地方創生と軌を一にする考え方であると
思います。東京あるいは大阪だけが富と力を結集して世界と戦って
日本を引っ張っていく、そういう国の在り方を目指すのではない。それをはっきり示したのが、今回、
新潟市、兵庫県養父市、福岡市、沖縄県が選ばれた意味に違いありません。それぞれの地域にはそれぞれの活性化のやり方があります。成長の仕方があります。その実験場となるのが私はこの特区の意義だと
思います。
東京か
地方かという対立軸ではなくて、東京も
地方もそれぞれのやり方で成長していくというのがこれからの成長戦略であり、
我が国の将来であります。そうした観点から、今
国会に提出予定である国家戦略特区法の
改正案には、
地方の創意工夫を生かすためにどんな具体案が盛り込まれているのか、
安倍総理及び
石破担当大臣からお聞かせをいただきたいと
思います。
成長戦略という観点からもう一点、
国会で審議が予定されています統合型リゾート推進法案、通称IR推進法案について伺います。
さきの通常
国会に議員立法で提出された法案ですが、地域の
経済活性化という面では大きなインパクトのある法案です。統合型リゾートは、ホテル、商業施設、国際
会議場、カジノなどを備えた複合施設であり、
海外からの観光客の呼び込みと地域
経済の活性化に大きな役割を果たすという期待をされております。
カジノについては、メリット、デメリットがあります。世論にも賛成と反対の両論があるのは事実です。しかし、諸外国では当然のようにカジノが
設置されており、G8の中では唯一
我が国だけがカジノを認めていません。いかにデメリットを抑え、健全な運営を行っていくかという点に注意をすれば、必ずや成長戦略にとって大きなプラスになるものと考えております。
安倍総理も、
シンガポールに行かれた際に、統合型リゾートを視察されたと聞いております。是非今
国会でIR推進法案を成立させるべきと考えますが、
総理のお考えをお聞きしたいと
思います。
次に、女性の活躍について伺います。
内閣改造のもう
一つの目玉は、女性の活躍です。今回の改造では、過去最高に並ぶ五名の女性の閣僚が誕生したのに加え、新たに女性活躍担当大臣が任命をされました。
女性が輝く社会の実現は、
我が国にとって大きなチャレンジです。女性が職場でも家庭でも能力や情熱を開花させる社会をつくらなければなりません。しかし、あらゆる分野で二〇二〇年までに指導的地位にいる人の三割を女性にするという大きな目標に対して、女性管理職の割合が一割にも満たないというのが今
我が国の現在の
状況です。国際的にも、米国では四割、欧州
各国では三割を超えており、
日本の少なさが際立っています。
先頃、経団連が主な会員
企業四十七社の女性登用計画をまとめたところ、約六割に当たる二十七社が数値目標を設けているそうです。今後は、男性でも女性でも、親の介護をする人も増え、仕事と家庭を両立するための工夫をしなければなりません。管理職に占める女性の比率の数値目標を経営トップが掲げれば、こうした改革の推進力になり、
日本企業の風土や文化にも変化をもたらすはずです。
安倍総理は、先日、東京で行われた女性が輝く社会に向けた国際シンポジウムに出席され、女性がいつでも誰でも夢にチャレンジできる社会を二〇二〇年までに実現すべく、切れ目なく政策を打ち出すとおっしゃいました。また、今後、女性登用の目標や行動計画の策定などを内容とする新法も提出されると伺っております。
総理としては、女性が輝く社会に向けて、また、指導的地位を占める女性の割合を三割にするという目標に向けて、何が
最大の
課題で、どうすればこれを克服できるとお考えか、お聞かせをいただきたいと
思います。
これまで、
日本企業、特に大
企業は、終身雇用や長時間労働を
前提に成り立ってきました。その結果、世界でも有数の生え抜きの男性中心の組織になっているという見方もあります。
近年では、多様な人材を生かす組織でなければグローバル競争を勝ち抜けない中において、
安倍総理の目指す女性の活躍推進は、中長期的に見れば
日本企業の競争力強化にもなるはずです。そのためにも、正規と非正規の格差の問題や、長時間労働、年功序列といった
日本型の雇用について総合的な見直しを進めるべきと考えますが、
総理のお考えをお聞かせをいただきたいと
思います。
次に、
安全保障について伺います。
去る七月に、新しい
安全保障法制の整備のための
基本方針が
閣議決定されました。
我が国を取り巻く
安全保障環境が厳しさを増す中、
国民の命と平和な
暮らしを守り抜くため、あらゆる事態に対して切れ目のない
対応を可能とする国内法制を整備し、万全の備えをすることが重要です。この
閣議決定は大きな意義を持つものです。
しかしながら、今回の決定は、
集団的自衛権やグレーゾーン、国際平和協力など、ある意味抽象的な考え方に関するものであり、
国民にとって分かりにくいことも確かです。
政府は、
閣議決定に至る議論において、
憲法との
関係、
国際法との
関係、
安全保障政策として考え方を分かりやすく
説明する努力を行い、具体的な事例も挙げて
説明をしてきており、これらについては
国民の
理解も進んでいると
思います。
安全保障法制に関しては、
政府が次期通常
国会に関連法案を提出すると伺っています。その目的は、
閣議決定にあるとおり、いかなる事態においても
国民の命と平和な
暮らしを断固として守り抜くという国家百年の大計に関わる極めて重要なものであります。
政府は、関連法案の提出に向けて、引き続き
国民に対して丁寧に
説明し、一層の
理解を得るよう努力していく必要があると考えます。この点について
総理の
見解を伺いたいと
思います。
次に、拉致問題について伺います。
拉致問題の解決は、
安倍内閣にとって最重要
課題です。
総理は、拉致問題に強い
思いを持たれていますし、裏も表も含めて、恐らく誰よりも詳しく御存じのはずです。対話と圧力という
基本方針の下、これまで断固たる
姿勢を示されてきたのは、誰よりも
総理御自身です。その上で、
総理は、拉致問題を自分の
内閣のうちに解決をするという決意も述べられておられます。
我が国にとって、これが
最大で最後のチャンスだと言っても過言でないと私は
思います。
今年の三月に一年四か月ぶりに日朝
政府間協議を再開して以来、今日まで
交渉を続けてきているわけですが、現在の
状況はいかがでしょうか。一時期、九月前半には北朝鮮側の再
調査結果が示されるという話もありましたが、既に十月を迎えております。
ここに来て、北朝鮮は
調査結果の
報告は延期するという
姿勢を示してきました。
政府は早々と制裁の一部解除という融和
措置をとりましたが、これに応えようとしない不誠実な
姿勢には非常に怒りを覚えます。
もちろん、
交渉事ですから言えないこともあるでしょう。昨日
総理に
報告をされたことも含めて、是非
総理から、
交渉の
現状と見通しについて、可能な
範囲で結構でございますので、お聞かせをいただきたいと
思います。
次に、農業政策、特に農協改革について伺います。
今年の五月、
政府の規制改革
会議がJA全中の廃止を唐突に提言したときには、我々は耳を疑いました。時代に合ったJAに変えていかなければならない、それは誰もが思っていることです。しかし、それはあくまでも地域の
現状を踏まえた自発的な改革でなければなりません。審議会での机上の空論だけで、地域に大きく貢献をしているJAの姿を上から変えてしまうということなど許されるはずがありません。
その後、我々自民党との協議の結果、廃止ではなく自律的な新たな制度に移行ということになりました。まずは、自発的な改革を尊重する
姿勢が示された点では評価しております。
政府は、来年の通常
国会に農協改革法案を提出するお考えだと伺っております。法案の策定に当たっては、
現場の
意見を十分踏まえて、農業者が将来への
希望と安心感を持てる制度とするよう、この場を借りて強く申し入れさせていただきたいと
思います。西川
農林水産大臣の御
意見をお伺いいたしたいと
思います。
農業に関してもう
一つ、
TPPについてお伺いいたします。
日米
関税協議が難航しており、
交渉全体も停滞ぎみだと伺っています。また、アメリカの中間選挙などの事情もあって、すぐには進展が見込まれないという見方もあります。各種メディアでも、重要な進展があったとか、いや進展がなかったという
報道が入り乱れており、一体どうなっているのかはっきりと分かりません。
そうした中で、年内合意という目標はどうなるのか、また、合意を急ぐ余りに、
我が国が不利な妥協を強いられるという最も避けるべきシナリオになってしまうことはないのか、皆心配をしているところであります。
交渉の
現状と今後の臨む
姿勢について、
総理のお考えをお聞きしたいと
思います。
次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まったのは、昨年の九月七日でした。あのときの感動をつい昨日のように
思い出しますが、早いものでもう一年余りがたちました。それ以来、開催に向けた交通インフラの整備計画が相次いで発表されており、まさに
我が国の成長戦略の起爆剤となっている感があります。
一方で、東京都知事の交代や、国立競技場の設計
変更、他の競技会場の計画見直しなどの
動きもあり、肝腎の大会本体の計画が順調に進んでいるのか、やや不安な面もあります。オリンピック・パラリンピックに向けては、
我が国の誇るおもてなしのシンボルとして、都市のバリアフリー化も重要な
課題になってくるでしょう。
ハード面のみならず、ソフト面においても、
国民的なスポーツの振興、
日本選手の活躍を目指した競技力の向上、外国人観光客の受入れに向けた多言語、多文化への
対応など、
課題は山積しております。
政府は、五輪担当大臣を専任ポストとする
法整備やスポーツ庁の
設置に関する
法整備を行うということですが、大会の成功に向けて、国を挙げて一丸となって準備が進められるよう体制づくりをお願いしたいと
思います。
東京オリンピック・パラリンピックに向けた準備
状況と今後の
取組について、
総理にお伺いをいたします。
次に、エネルギー政策について伺います。
鹿児島県の川内
原発が、
原子力規制委員会の審査に合格し、この冬にも再
稼働する見通しになりました。
政府が四月に決定した新たなエネルギー基本計画では、
原発が重要なベースロード電源と位置付けられていましたが、
原発が再
稼働していないため、具体的な電源構成は盛り込まれていません。
現在は、老朽化した火力発電所を無理やり動かし、CO2をどんどん出しながら発電をし、年三・六兆円もの余分な燃料代を
海外に支払っています。
国民や
企業に高い電気料金を支払ってもらいながら何とか電力不足を乗り切っている状態です。国富が流出し続けているこの状態を一日も早く脱しなければなりません。
発電量の九割が火力発電という
我が国の
現状は、燃料価格の変動や為替の変動に対しても非常にもろく、不安定です。これは、単に
経済のみならず、社会の安定や国家の
安全保障にも直結する重大な問題です。安全性の確保を大
前提として、
原発の再
稼働を急ぎ、バランスの取れた電源構成を早期に実現すべきと考えます。
原発の再
稼働の必要性と具体的な見通しについて、
総理の
見解を伺いたいと
思います。
次に、外交政策について伺います。
安倍総理は、第二次
内閣の発足後、歴代
総理の中で最も多い四十九か国を訪問し、まさに地球儀を俯瞰する外交を実践されています。来年は
日本が立候補を予定している国連安保理の非常任理事国選挙もあり、更に安倍外交の真価が問われる年になることと
思います。
そうした中、
総理がまだ訪れていないのは隣の中国、
韓国です。日中、日韓の
首脳会談もまだ実現していません。
中国の習近平国家主席は、九月三日、日中
関係について、長期の安定的で健全な発展を望んでいると述べました。
韓国の朴槿恵大統領も八月に、日
韓国交正常化五十周年となる来年を新たな出発の元年にしなければならないと述べています。いずれも、従来の反日一辺倒の
姿勢から、僅かではありますが、変化が見られるのではないでしょうか。
こうしたシグナルに対して
我が国がどう
対応していくか、重要な局面になっていると考えます。
安倍総理は、今後の日中、日韓の外交にどう取り組まれるお考えか、また、
首脳会談の
可能性についてはどうなのか、お聞きさせていただきたいと
思います。
最後に、
総理はこれまで、歴代の
内閣がなし得なかった数々の難題に取り組み、実現してこられました。まさに獅子奮迅の活躍であります。
獅子というのはライオンのことであり、ライオンは普通、一日二十時間休んでいるということです。つまり、獅子が奮迅するのは一日四時間ということです。集中して成果を出すにはゆっくり休むことも必要ということでしょう。
総理に一日二十時間休んでくださいとは申し上げませんが、十分に休養を取って、
安倍政権でなければできない改革を引き続き進めるため、元気で御活躍を続けていただきたい。我々も全面的に
安倍内閣を支えてまいることを申し上げて、私の
質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕