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西田実仁君 そういう
状況の中で、しかしながらADBの
役割も、もっとこういうふうにしてもらいたいというのが多分
要望としてインフラ需要のある国々からもあろうと思いますので、それに対する対応、対策も必要であろうというふうに思います。
次に、医療費
控除についてお伺いしたいと思います。
今、女性の活躍に中立的な
税制として配偶者
控除の
議論というものが、今に始まったことではありませんけれども、特に活発化を最近になってしております。配偶者
控除に対する様々な意見というのがございますが、とりわけ大きいものとして、まず配偶者
控除は就労調整の原因となっている、特に女性の社会進出を妨げているという批判がございます。二つ目に、配偶者
控除は専業主婦
世帯や妻がパート勤務の
世帯への優遇であり、フルタイムの共働き
世帯に不公平感があるとの指摘もございます。
今日は大変多岐にわたる
議論でありますので、
最初に申し上げたところは
議論せず、二つ目のこと、すなわち専業主婦あるいはパート勤務の方々とフルタイムの方との不均衡、不公平ということについて、介護ということを絡めてお話をしたいと思います。
専業主婦あるいはパート勤務といっても、その実情は様々であろうかと思います。中には、家族の看護あるいは介護によってフルタイムでは働けない、専業主婦として介護や看護に専念しなければならない御家庭が結構あるということは
認識しなければならないというふうに思います。
配偶者
控除に関する
議論は今後更に活発化していくものと思われますけれども、
議論の際には、配偶者
控除あるいは特別
控除のみならず、基礎
控除あるいは医療費
控除など、
所得控除全般にわたって幅広い
議論をする必要があるのではないかと私は思ってございます。とりわけ、昨今の在宅介護への
政策誘導をしている今の
日本においては、介護に関連いたしました
税制の
在り方について
議論をしなければならないというふうに思います。
介護サービスに関する医療費につきましては、
一定の要件を満たす場合には医療費
控除の対象と現在なってございます。ただ、この
一定の要件を満たす場合というのは必ずしも明らかではありませんで、これまで医療費
控除の
趣旨に合致した運用によって社会的実情に適合するよう取り計らってきたというのが
現実であります。しかしながら、本来的にはこの医療費
控除は、
所得税法七十三条あるいはその施行令である二百七条といった法令を解釈、通達によってではなくて、そうした法令を社会的実情に合わせて改正していくということが必要ではないかという
問題意識から質問させていただきたいと思います。
まず、医療費
控除の
趣旨でありますけれども、この医療費
控除はなぜ設けられているのかといえば、
一定金額を超える医療費の負担は納税者の担税力を弱めるという考え方に基づいて認められていると理解しております。いわゆる応能負担原則という憲法の要請に応えるための
制度であろうというふうに思います。そして、この医療費
控除は、申し上げました
所得税法七十三条で限定的に定められております。
所得税法七十三条の第二項には医療費
控除の対象が定められておりますけれども、その対象は、申し上げたように大変に限定をされております。そして、政令に委任されておりまして、委任されている政令、
所得税法施行令二百七条におきましては更に医療費
控除の対象について限定列挙をされているわけでございます。この施行令の二百七条五項には、保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話が医療費
控除の対象として挙げられております。これについては、
所得税基本通達七十三の六におきまして、保健師、看護師又は准看護師が業務として行う療養上の世話をいうけれども、これらの者以外でも療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話もこれに含まれるというふうに基本通達されております。つまり、保健師又は看護師、准看護師以外の者による役務提供であったとしても、療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話であれば医療費
控除の対象として認められているということでございます。実際、指定介護老人福祉施設、特養、あるいは介護老人保健施設などの施設サービスの対価は医療費
控除の対象になってございます。
この介護保険
制度下での指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価に係る医療費
控除の取扱いについてという法令解釈通達が
平成十二年六月八日に出ておりますけれども、これによりますと、指定介護老人福祉施設では日常生活上の世話と療養上の世話とが行われており、後者、すなわち療養上の世話に係る負担のみが医療費
控除の対象になると解されてございます。しかし、実際、介護の現場におきましてはこの両者を区別することは大変困難であるということが指摘されております。実際、介護保険法第二条第二項におきましては、介護保険サービスは医療との連携に十分
配慮して行わなければならないとされておりまして、こうした医療サービスと療養上の世話、あるいは日常生活というものを峻別することが大変に難しく、日常生活上の世話に関する介護も療養上の世話に関する介護も密接に結び付いているというのが実態だろうというふうに思います。
医療費
控除の
趣旨、先ほど申し上げましたけれども、医療費などの異常かつ臨時的な負担による納税者の担税力の減殺への
配慮というのがその目的、
趣旨でありまして、介護についても、社会的実情を反映すべく、これまでの医療費
控除がどこまで介護サービスに適用できるかについては通達により緩和をしてきたというのが歴史だろうと思います。その典型は介護おむつであろうと思います。介護おむつについては、本来、医療行為とは
関係ない、あるいは療養上の行為でもない、むしろ日常生活上の世話の範囲内の支出と考えられてきたわけですが、当初、医師の証明があれば医療費
控除の対象として取り扱われて、現在では介護サービス費用の中に含まれ、介護保険給付の対象となり、その自己負担額が医療費
控除の対象にもなっているということでございます。
そこで、今日は国税庁の次長にお見えいただいておりますが、現在、医療費
控除の対象外となっております介護保険の居宅サービス等として、例えば生活援助中心型の訪問介護、あるいは認知症高齢者グループホーム、福祉用具貸与、介護予防福祉用具貸与などがございますけれども、これらについても、仮に医師による療養上の世話との証明がある場合、医療費
控除の対象となるんでしょうか。