○羽生田俊君 ありがとうございます。
私、三年七か月前に
東日本大震災が起きたとき、その当時まだ日本医師会の方におりましたもので、すぐに対策本部をつくったわけでございますけれども、副本部長として、
地域、いわゆる三県、主に三県ですね、との連絡を取りながら、どのように
対応するかということで、特に医療に関してどのような
支援ができるかということでいろいろと指示をしてきたわけでございますけれども。
実は、今、日本でいわゆる公的にDMATという、いわゆる
災害対策の医療チーム、これはディザスター・メディシン・アシスタント・チームというものです。このDがJになったJMATというものを日本医師会でつくりました。これはただジャパン・メディカル・アソシエーション・チームという、JMATという略になるわけですけれども。これがかなりの数が現地に行って、特にDMATは救急医療を
中心とした医療チームであるということで、多くは四十八時間以内ということになっているわけですけれども、実際に
災害が起きたときには、その後に
避難所や何かに病気を抱えた方々が多くいるということで、その後の慢性的な
状況をしっかりと見なければならないということがある。今度の場合、津波だったものですから、薬や何かも全て流されてしまって何も持たずにもう
避難をしたという方も多かったわけで、救急よりもそういった慢性的な方々への
対応ということが非常に大きなことであったわけですけれども。
実は、このDMATとJMATの大きな違い、当時は、DMATというものは公的なものですのでいわゆる
道路の
使用等々が十分に、DMATですよと言えば警察がスムーズに通すということができてかなり現地まで早く行けたんですけれども、実は、JMATをつくったときに警察庁との相談で、各
地域の警察が
通行証を出せば通れるということになりましたけれども、これが十分に行き渡っていなくて、
地域で
通行証が出してもらえなかったとか、途中でこんなものでは通さないとか、そういったことで現地まで行き着かなかったというチームも随分あったわけでございます。また、私自身、改めて警察庁の方に、交通部長さんの方に直接電話をして、改めて指令を出してくれというお願いをしたわけでございますけれども、そういったことがあったわけでございます。
そういった
災害というときに
災害医療というのは非常に重要なことであって、もちろんライフラインの
確保であるとかそういったことも重要なんですけれども、むしろ医療もライフラインの
一つという考え方もできるわけで、非常に重要なわけですけれども、そういったチームをつくったんですけれども、十分に現地まで行けなかったということが実際にあったと。
そして、例えばヘリコプターをチャーターして現地まで医師を運ぼうとした
地域も、県もあったんですけれども、チャーターをしても着陸許可が出なかったということで現実に運ぶことができなかったということでございました。十分いろいろなことを知り尽くしている県は警察や自衛隊を使って現地までヘリで飛んだということも実際にあったわけですけれども、そういったことがありましてなかなか苦労したわけでございます。
特に、津波によって薬も流され、そして交通機関がほとんどストップしたために、問屋からの薬も医療機関あるいは
被災地まで、
避難所まで運べないという
状況があったわけでございまして、我々、薬を、都内を
中心とした薬問屋にお願いをして約九トンの薬を集めました。結果的に、これを宅急便で運ぼうと思ったら、
道路が使えないということで宅急便で運べずに自衛隊にお願いしましたが、自衛隊に断られました。
そのとき、ちょうどハーバードに行っていた医者がいたものですから、それが日本の横田基地の司令官と知り合いだということで、その関係でお願いしたところ、米軍はすんなりと、うちが運びましょうということで、実際に米軍の輸送機で運んでもらったということが現実にありました。これがアメリカ軍のトモダチ作戦の第一号ということで、実際にあったわけですけれども。
そういったことがあって、もう非常に
道路も使えなくて困ったんですが、その当時、日本医師会長から
国土交通
大臣、当時民主党の政権でございましたけれども、
国土交通
大臣に、とにかく高速
道路を開けてくれということをお願いしまして、翌日に高速
道路が開いたということで、そういった医療チームも素早く行けるようになったし、何よりもタンクローリーが高速
道路で現地まで行けたということで非常に
被災地としては助かったということがありましたけれども。
その辺の判断、非常に難しいのでございますけれども、今度は
道路管理者というのがその辺の判断をするのかどうかはちょっと分かりませんが、そういったことで、現地の医療という点で、非常にそれを十分に果たすというのが今の
状況ではなかなか難しい。今回の
基本法の
改正によってもその辺が十分良くなるということがなかなか読み取れないこともございまして、その辺を大変心配しているところでございます。
そういったことで、今回の法律では、緊急時や
災害時というその定義の中でどのような活動までが救護活動としてできるかどうか、その辺のお話をちょっとお聞かせいただきたいと思います。