○石橋
通宏君 民主党・新緑風会の石橋
通宏です。
私は、会派を代表し、議題となっております
専門的知識等を有する
有期雇用労働者等に関する
特別措置法案に対し、反対の立場で討論を行います。
以下、反対の理由を具体的に申し述べます。
第一に、今回の
法案にそもそも立法事実が存在していないことです。
五年
無期転換ルールを導入した改正
労働契約法は二〇一三年四月に完全施行になったばかりで、実質的にはまだ誰も
無期転換ルールの
対象となっておらず、具体的、客観的な問題は発生しておりません。しかるに本
法案は、
労働契約に関する基本的な民事ルールを定める
労働契約法に
行政側が個別法をもって例外を設けるもの。つまり、本来、
労働契約
関係にある全ての
労働者にひとしく適用されるべき
無期転換申込権を
対象となる
二つのカテゴリーの
労働者について権利制限してしまうものです。
昨年の臨時国会で成立した改正研究開発力強化法に続いて、立法事実もないままにまたもや今回例外を設けようとすることは、有期
雇用契約の濫用を防ぎ、
労働者の保護、利益を強化することを目的とした改正
労働契約法の趣旨を損なうものであり、認めることはできません。
第二に、今回、
無期転換ルールの見直し議論に至った過程に深刻な瑕疵があることです。
今回の見直しは、昨年、国家戦略特区ワーキンググループの議論で突然飛び出してきたものですが、
労働者の代表が一人も含まれていない会議体で、
雇用の在り方の原則にも関わる重要
案件について勝手に意思
決定を行うことなど言語道断であります。これは、
雇用労働政策に関する議論は三者構成の
労働政策審議会で行うという基本原則を踏みにじるものであって、断固容認できません。
第三に、本
法案は、本来ごく限定的かつ厳格に定めるべき
専門的知識等を有する
労働者の具体的
要件を
法律の条文で明確に定めることなく省令等に委任をしており、将来的にその範囲が拡大され、
制度が濫用されるおそれがあることです。
加えて、本
法案の趣旨からいえば、
対象となる高度
専門労働者の処遇は、同一
労働に従事をする一般
労働者に比して均等以上のものが保障されるべきであり、かつ中途の雇い
止めは原則禁止されるべきですが、そのことが法文上は一切担保されておりません。これでは制限される権利の内容と比して適切な保障がなされているとは言えず、到底認められる
法案ではありません。
第四に、定年後の継続
雇用労働者に対する例外措置については、それが同一事業主の下で異なる権利を持つ高齢有期
雇用労働者を存在させ、かえって
雇用継続や処遇などにおける差別的取扱いなどの混乱を現場に生じさせてしまうおそれがあることです。
今やらなければならないのは、改正高年齢者
雇用安定法の趣旨を踏まえ、希望者全員の六十五歳までの継続
雇用を確実に確保することであり、六十歳定年以前から有期
雇用であった
高齢者への
対応を含め、政府としてその対策を強化することであり、本
法案はその
観点からも賛同できるものではありません。
以上、四点に絞って本
法案に対する反対理由を申し述べました。
良識ある本
委員会の
委員の皆様方が立法府の意思としてそろって反対していただくことを要請し、私の反対討論を終わります。
ありがとうございました。