○小西洋之君 今の法制
局長官の
答弁のとおりでございます。
集団的自衛権の行使、
日本が攻められていないのに
日本の大切な国、それを助けるために
日本が、例えばアメリカを助けるためにイランや北朝鮮にいきなり戦争を仕掛ける。イランや北朝鮮は
日本に攻撃をしていないんです、
日本国民を殺そうとしていないんだけれども、
日本はいきなり戦争を仕掛ける。それがこの全世界の
国民の平和的生存権の規律の
関係でできるのかということです。
私が申し上げているのは、これは憲法論です。
日本は法治国家ですから、
集団的自衛権をどうしてもやりたいのであれば、憲法改正をして、この平和的生存権の規律を削除して、平和主義の
考えを捨てて、変えて、
集団的自衛権を可能にする、そういうことしかできないはずでございます。
あと二つ、平和的生存権、大切な
考えがあるんですけれども、一番上の
一つだけ御
説明をさせていただきます。灰色の
部分です。
日本国民は、「
政府の
行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が
国民に存することを宣言」すると書いてあります。
これは、
日本国民がなぜ
国民主権の原理を採用したか、その理由を書いた条文です。お分かりのとおり、
日本国民の
国民主権はただの
国民主権じゃないんです。
政府の
行為、つまりこれ国会も含みます、国家ということです。国家、国会や
内閣、
政府の
行為によって再び戦争の惨禍が
国民に起こることがないようにするために、かつての天皇主権の国ではなくて、
国民主権の国をつくった。そのために
国民主権という原理を採用するというふうに書いてあります。
つまり、申し上げれば、
国民主権の行使、つまり憲法改正の
国民投票です。
国民主権の行使というのは、究極は憲法改正の
国民投票であるということは憲法のどこの教科書にも書いてありますし、
政府の
答弁にもございます。
国民投票をせずに
日本国憲法の上に、
集団的自衛権の行使という新しい戦争を起こして、それによって
国民に惨禍を及ぼすことは、この前文の平和主義の規定から真っ向から違反するんです。
集団的自衛権の行使、確かに
国際法では認められています。認められていますけれども、
集団的自衛権の行使というのは、そこで戦っている自衛隊員は確実に戦闘で死ぬことになる。また、反撃を受ければ
日本国民が死ぬ場合がある。そういう、この世で最も深刻なデメリットがあるんです。
それを、本当にそのデメリットをのんでまで
集団的自衛権の行使を実現する必要があるのかどうか。それをこの我々議会でしっかり
議論して、立法事実も含めてしっかり
議論して、どうしても必要だという三分の二の同意が取れれば、
国民に
集団的自衛権の行使を可能とする憲法改正をさせてください、それであれば、この主権が
国民に存することを宣言するこの文言にも違反しない、こういう
考え方になるわけでございます。
そして、この憲法の前文、更に大切なことを書いております。その後ろの下線
部分を御覧ください。
「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われら」、
日本国民です、「われらは、これに反する一切の憲法」、「を排除する。」と書いてあります。
人類普遍の原理、今申し上げた
国民主権の原理です。
国民主権の原理に反する憲法は一切排除される。つまり、
国民投票もやらずに、立法事実もなしに、基本的な論理、平和主義という従来の憲法九条の解釈を構成している重要な法理を切り捨てて作っている、
閣議決定だけで安倍
内閣が作った憲法、七月一日に作られた新しい憲法九条は排除されるんです、無効なんです。これを否定するんでしたら、もう
日本は法治国家として成り立たないですよ。
先ほど申し上げましたけれども、私は十二年間霞が関で法制執務を、立法府の皆様の御指導をいただきながら働いておりました。国会議員に当選させていただいて四年間、様々な
法律、復興の特区の
法律、成長戦略の総合特区法、子供たちへのいじめの
法律、医療や福祉の法制度、様々な仕事をさせていただいておりました。
私が、この霞が関とこの立法府で教えていただいて育てていただいて、これが法治主義だと身にしみて、身をもって
考え、今体現しているあらゆる
価値観、あらゆる経験に今回の
閣議決定は反します。これはもう解釈改憲というようなものではないです。解釈の名にも値しないです。立法事実もないし、平和主義の法理も、そういうものも切り捨てているわけですから。こうした暴挙、空前絶後のクーデターが行われているということを是非同僚議員の皆様に御
認識いただきたいと思います。
国民の憲法です。安倍総理の憲法ではないんです。そして、
国民の憲法を守るのが我々国会議員の責務であり、議会の、立法府の責務でございます。
では、残りの時間を使いまして、もう
一つちょっと重要な論点について伺わせていただきます。
日米安保条約第三条という条文がございます。
日米安保条約の第三条でございます。お手元の
資料の十番でございます。
日米安保条約第三条という条約がございます。第五条、第六条は有名です。五条はアメリカの
日本の
防衛義務、第六条は、その代わり、片務ではなくて双務の、対等の立場として
日本はアメリカに
基地提供をする。しかし、より
日米関係の、安保
関係の根本を定めた条文がこの第三条でございます。実は、一言で言うと、
日本はアメリカのために
集団的自衛権を行使しなくていいということがここに書いてあるんです。
この条文の言葉は、「締約国」、
日本とアメリカは、「個別的に及び相互に
協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、
武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」と書いております。
これ、時間がないので私が御
説明させていただきますけれども、アメリカの上院決議に基づいてアメリカが
同盟国と軍事条約を結ぶときに、アメリカばっかりが持ち出しではなくて、相手の国もしっかりアメリカの
防衛を助ける、アメリカを守る、そうしたことを義務として求めなければいけないということがアメリカの上院決議であります。その上院決議に基づいて、一九六〇年の安保改定のときに入れられた条文でございます。
しかし、この「憲法上の規定に従うことを条件として、」、この
外務省のホームページ、皆さんお持ちの
資料十の左側でございますけれども、この
意味は、
集団的自衛権の行使を禁じている憲法の範囲内に限られることを明確にするために、憲法上の規定に従うことを条件としているというふうに書いています。
これは、経緯として、
日本政府が、先ほど申し上げました、アメリカが
日本にしっかり守ってもらわなきゃ困るよと、それが上院の決議だから、そういう条約を結んでもらわないと困るよと言ったときに、
日本が、いやいや、
我が国は憲法九条において
集団的自衛権の行使はできないので、そのことを
主権国家同士の国際条約でちゃんと明記してくださいというふうに
日本政府から申し出て入れられた文言でございます。そして、これは言うまでもなく国会承認を受けています。
ところが、この皆様の右のページですけど、
外務省のホームページ、七月一日以降、早速、この「
集団的自衛権の行使を禁じている」という文言を落としています。
岸田外務大臣に伺います。
日米安保条約は国会承認を受けています。国会承認すなわち国会の憲法解釈として、憲法九条において
集団的自衛権の行使はできないという
考えを、この「憲法上の規定に従うことを条件として、」という言葉をわざわざ選んで、これはその立法過程の議事録に載っています、わざわざ選んで、
集団的自衛権の行使を禁じているという解釈の
意味を込めて国会承認をしています。
であるならば、もし
集団的自衛権の行使を解禁したいのであれば、
日米安保条約第三条を変えなければいけないんじゃないですか。もう一度国会承認を得なければいけないんじゃないんですか。かつ、条約は
閣議決定のはるか上にあります。
閣議決定は法令に違反することはできません。また、条約は実は
法律よりも上にあります。この春にやると言っている自衛隊法等々の改正よりも更に上にあります。
日本は
集団的自衛権の行使はできないという国会承認を変える、この
日米安保条約第三条をもう一度改正しない限り、
日本は、
我が国は
集団的自衛権の行使はできない、そういう解釈でよろしいですか。