○桜内
委員 その解釈がおかしいと申しているんです。
要は、これは生活保護法の対象にならないと判決が言っている以上、現下の財政
状況が大変厳しいのはもう御承知のとおりだと思います、生活保護を初めとする社会権と言われるものは、国家に対する権利であって、そういった意味では、
政府の財政
状況にやはり左右されざるを得ない権利であるわけです。
さらに言えば、先ほど何度も言っていますけれども、保護率が桁が違うんです。これを放置したまま、年間一千億を超える
金額がこういった形で外に出ていっている。また、少なくない不正受給も見られる。こういった
状況について
政府が何もしないということは僕はあり得ないというふうに考えております。
この問題ばかりやっておっても時間が足りませんので、次に行きます。
次は、資料にもつけましたけれども、ちょっとややこしい話ではありますが、年金財政について、財政検証というものがことし六月に厚生労働省から発表されております。
これは、五年に一遍、財政検証をやって、年金制度が持続可能なものなのかどうかをしっかり検討しましょうということで、お手元の資料では、何かややこしい計算式を書いております。留学先の大学院でも先輩に当たる塩崎
大臣ですので、このぐらいはちょいちょいと御理解いただけるだろうと思ってお出ししたんですが、
問題点のところを赤で丸をつけております。全要素生産性上昇率、そして利潤率というのがどうなのかということをなるべくわかりやすくお伝えしていきたいと思っております。
二枚目、おめくりいただきたいんですが、今
パネルにしておりますけれども、これは、私がややこしいものを書いたわけじゃなくて、これは厚生労働省の資料ですので。
ここも赤丸をつけておりますが、今申しました全要素生産性上昇率、これは何かというと、GDPの成長率の
うち、労働力がふえたですとか資本がふえたですとかで
説明がつかない、よくわからないところを、残差を全要素生産性という美しい名前で呼んだだけの話でありまして、ここはなかなか経済学上も
説明がつかないところなんですが、こういった概念がございます。
そして、年金の場合、
運用利回りというのが大変重要な前提数値になるんですけれども、そのもとになるのが、利潤率という概念があります。ただ、この利潤率というのは、国民経済計算体系といいますGDP統計上は確定した概念ではなくて、ここでわざわざ厚生労働省が使われておる数字ですが。
次が、問題の、図をちょっと出してみます。
パネルにもお示ししておりますけれども、どういうことか。これは、一番左側にあります〇・五%、GDPの成長率に対する寄与分なんですけれども、これが二〇一三年度第三・四半期の実績といいますから、去年の今ごろの話ですね。景気が悪いものですから、〇・五%しかなかった。
内閣府試算経済再生ケースというのが、二〇二三年にはこれが一・八%まで急上昇するという。ケースAに至ってはそれが百年後まで続くということになっています。
一・八%というのは一体何なのかといえば、一九八三年から一九九三年の
平均なんですね。いわゆるバブル真っ盛りのころで、バブルが崩壊してもう二十年がたとうとするときに、こういったとてもあり得ない想定を、このようにケースA、B、C、D、Eと、五つもおつくりになっていらっしゃいます。
それはちょっとやはりさすがに気が引けたのか、厚生労働省も、あと三つ、別のケースとして、やや低目の、一九八三年から二〇〇九年の
平均、三十年近くの
平均で、一%までだったらまあ許されるかなということで、ケースF、G、Hというふうに、三つつけられております。
まず、全要素生産性上昇率の設定の仕方自体、あの、例のバブルのころが今後百年続くなんていう想定がケースAなんですね。とてもこれは信じられません。
そして、もう
一つ重要な
問題点が利潤率でありまして、次のページ、お手元の配付資料をめくっていただきたいんですけれども、これによれば、これも赤丸をつけておりますけれども、利潤率と実質長期金利の相関係数、過去十五年、〇・〇四です。こんなもので、相関係数を使って、利潤率がここでは七・三五%というふうに計算されているんですけれども、あり得ないですよね。
あり得ないということをお示しするために、もう
一つ、きょうはお手元に、A3判の、これまた数字がいっぱい入ってややこしいものなんですが、塩崎
先生と思ってややこしいものをあえてお持ちしたんですけれども、これです。
これも赤でくくってあるんですが、付加価値を固定資産で割り算して利潤率というのを求めているんですね、厚生労働省は。
ところが、実際には、経済循環というのはいろいろありまして、下の方に丸をつけておりますが、正味資産の変動、特に再評価による正味資産の変動、これはいわゆるキャピタルゲイン、ロスを意味しまして、株式投資するときに、配当以外に株価自体が上がるかどうかなんですけれども、これが入っていないんですよ、残念ながら、厚生労働省の利潤率の計算の中に。
ですので、七・三五%のような非現実的な数字があって、本来であれば、次のページも数字がいっぱいでややこしいので大変恐縮なんですが、下の辺で枠で囲ってある
部分、六十三行から六十四行のところなんですけれども、過去十九年間で利潤率がマイナスの年が十五回あるんですね。こういったことを全く考慮されずに、今回財政検証をされている。
塩崎
厚生労働大臣、ちょっとこれ、計算をやり直した方がいいんじゃないかという提案なんですが、いかがでしょうか。