○小熊慎司君 まず、冒頭、相次ぐ
台風の上陸により
被害に遭われた全ての
皆様方に、心よりお
見舞いを申し上げます。
また、江渡大臣個人の問題で、国家にかかわる安全保障の
課題が
国会で議論を真っ当にされない、このかかる事態に遺憾の意を表明し、大臣の真摯なる
対応を求めて、
質問に入ります。(
拍手)
地方創生を
安倍内閣の
重要課題の
一つとして位置づけ、
人口減少などの
課題に真正面から取り組むことは、一定の評価をするところであります。
また、この危機に
取り組み、
地方創生に資することは、与野党を問わず、政治家としての責務であると
考えます。
しかしながら、これは今に始まったものではなく、これまでも起きていた危機でありました。
これまで、それなりに対策がとられてきましたが、バブル崩壊後には、巨額の
地方債を発行し、
地方自治体の財政を圧迫させ、
地方を
弱体化させてしまいました。
その後、
地方にとって使い勝手のいい、自由に使えるお金ということで、
地方への景気対策、
活性化支援という名目で、補正
予算から臨時交付金が次々に出されました。
平成二十年度には六千二百六十億円、二十一年度には二兆七千八百九十億円、二十二年度には三千五百億円、二十四年度には一兆三千九百八十億円、そして二十五年度は八百七十億円、五年間で実に五兆五千二百五十億円にもなりました。
これだけの巨額の
予算を使って
地方がどのように
活性化されたのか、
検証した上で今後の
地方創生を図らなければ、的確な
政策は打ち出せないはずです。
反省なくして前進はありません。
そこで、この交付金の
効果はどのように
検証されているのか、お
伺いをいたします。
また、補正を急遽組んで、上から使えとばらまかれても、
地方では新しいことがすぐにできるわけではありません。結局、赤字財政の穴埋めになってしまうだけではないのでしょうか。
地域づくりは、もっと息の長い
取り組みでなければならないはずです。
そこで、今回の
地方創生での財政
支援は、旧来の
ばらまきをしないと言っていますが、これまでの臨時交付金とは
一体何が違うのか、お
伺いをいたします。
また、来年度
予算については、概算要求で四兆円の新しい
日本のための優先
課題推進枠が、
地方創生関連の
予算に使える新たな枠として
設定されております。その特別枠の要望が最も多かったのは国土交通省の一兆四千百八十一億円で、従来型の
ばらまき公共
事業の復活ではないかと危惧されているところです。
総理は、さきに
石破地方創生担当大臣に、
ばらまき型の
対応を絶対にしないようにと指示されましたが、既にその甘い汁を吸おうと色めき立っている方々がいるのも事実です。
そこで、旧来型の政治、
ばらまきではないということを明確にお示しください。
現在の
政府は、従来型のハード偏重の公共
事業をふやし過ぎて、
地方では消化し切れていないのは御承知のとおりであります。入札不調や公共工事の未消化額の急増は、
政府の発注量が民間の受注能力をはるかに超えていることを示しております。国交省の発表では、この一年で未消化はふえ、七月時点の未消化は十六兆円にもなっています。
需要超過となった公共
事業は、人手不足と人件費、資材などの高騰をもたらし、かえって
地域を苦しめております。東
日本大震災の被災地はその典型で、いまだに
復興住宅の執行率は低いままです。一部業者や既得権益のみが潤う大
規模堤防のために、
地域の人々の住宅や暮らしが
犠牲になっている例も見受けられます。これこそが、中央集権的な
政策の弊害の象徴と言えるのではないでしょうか。
公共
事業こそ、中央集権型の発想や
仕組みを改めて、
事業の選択、箇所づけ、基準、執行方法まで、全て
地方に任せるべきではないかと
考えますが、今後の
対応をお
伺いいたします。
さらに、概算要求の
事業を見てみれば、
石破大臣の管轄外で、国交省によるコンパクトシティーの
推進や
地域交通ネットワークの
整備、
地域の魅力ある空間の
創出事業等があり、総務省においては、
地方中枢拠点
都市圏、集落間ネットワーク圏の形成促進などの
事業、そして、経産省では、
地域密着型企業の立ち上げ
支援のためのローカル一万プロジェクトによる中心市街地の再興を核とするコンパクトシティー
事業や、
地域発ベンチャーや
地域ブランド
支援など、似たようなものがずらりと並んでいます。
このように、
地方創生枠は
縦割りで重複している
事業が多いのですが、今後、適正な
政策効果を上げるためにどのように
調整していくのか、お
伺いをいたします。
平成十七年に始まった
地域再生法は、
地域で
地方再生
計画をつくり、財政
支援を受けるという
制度であり、
地方再生
本部がつくられました。
また、
平成十九年には、この
地域再生本部と
都市再生
本部などの
地域活性化関係の五つの
本部を統合して、
内閣官房に
地域活性化総合
本部がつくられたところです。
一元的に戦略を立案するためということでワンストップ拠点をつくったはずですが、今回また、
内閣官房に
まち・
ひと・し
ごと創生本部が置かれました。似たようなことを繰り返しているだけでは、意味がありません。
そこでお聞きいたしますが、これまでの
地域活性化総合
本部とは何がどう違うのか、お示しをください。
また、
地域再生計画と
総合戦略と何が違うのか、あわせてお
伺いをいたします。
さらに、なぜ新しい組織が必要なのか、お
伺いをいたします。
地方再生を
目的として、本年度から、
地方自治法を改正し、
地域拠点
都市圏構想をスタートさせ、
人口二十万人以上の
地方中核
都市を対象に、近隣
市町村と連携協約を結んだ
都市を
地方中枢拠点
都市に指定して、財政
支援を手厚く行うこととなりました。これはまさに、選択と
集中路線が明確になったと言えます。つまり、
全国均衡発展路線から転換し、切り捨てを容認した
政策が動いていると言っても過言ではありません。
そこで、
地方創生は、この選択と
集中路線を
基本理念とするのか、お
伺いをいたします。
また、そうでないというなら、
地域拠点
都市圏構想などの
政策との整合性がとれないのではないかと
考えますが、
見解をお
伺いいたします。
さらに、これまで取り組んできた定住自立構想とは何がどう違うのか、あわせてお
伺いをいたします。
安倍政権の目玉
政策には、
地方中枢拠点
都市構想と同じような、
都市機能の集約化を進める集約的
都市構造化戦略があります。しかし、これまでコンパクトシティー構想を進めてきた富山市や青森市の例を見ると、周辺部
人口が減れば、中央市街地の
人口も減る傾向が見られます。それは、
地方都市は、周辺部との
経済活動の結びつきが強く、周辺農村があって初めて
地方都市は機能している面があり、
相互作用によって
地域経済が
維持されているからです。
選択と
集中路線によって、効率の悪い周辺の農山漁村
地域が切り捨てられれば、災害の危険も増すばかりか、
地方都市の体力自体も衰えてしまいます。そうなれば、
地方中核
都市をつくり、何とか
地域からの
人口流出を防ぐという
人口のダム機能さえも果たせなくなるのではないでしょうか。
そうした視点に立てば、選択と
集中路線では
人口減少は食いとめられないと
考えますが、
見解をお
伺いいたします。
また、
人口のダム機能を果たすためには、その
地域に働く場や居場所があることが肝心となります。企業誘致移転は
地方自治体の重要な
政策課題でありますが、補助金をつけて誘致する方法では、優遇
措置が終われば企業がまた移転をしていく危惧があります。重要なことは、
地域で新しい
事業を起こし、人が暮らしていけるようにすることです。
幸い、最近、農村への移住をする四十歳以下の人がふえています。
石破大臣の地元の鳥取県でも、一一年度は五百四人だった移住者が、本年は九百六十二人にふえ、二倍近くになりました。農村に来る人が、定住ではなく、観光でもセカンドハウスでも、どのような形態でも人が集まってきやすいような
仕組みをつくる必要があります。
そのためにはまず、
地方に足を運ぶ、あるいは移り住む
人たちの
ニーズを徹底的に分析することが重要であり、しっかり分析できてから
政策を打たなくては意味がありません。
地方と
都市をお互いに結びつける
施策が必要であって、
地域同士の交流、連携を国はサポートすべきと
考えます。
そこで、国が前面に出るよりは、国は
支援することに徹して、
地域間交流を促進すべきと
考えますが、
対応をお
伺いいたします。
地方創生は、
人口減少と
東京一極集中の是正を
政策目標に挙げています。しかし、
人口が
日本全体で減っている以上、
地方から
東京への
人口流出を食いとめるだけではなく、
東京から
地方に人が移動しない限り、是正にはなりません。
そこで、
総合戦略で数値
目標を掲げて各
地域の
人口配分
計画をつくらなくては、
政策誘導はできないのではないでしょうか。
日本の
人口が全体的に
減少する中で、どの
地域にもいい顔をできないのは事実ではあります。そうした厳しい現実をしっかりと受けとめ、逃げずに、そして甘い幻想をまき散らさず、
地域の
人口ビジョンを国が責任を持って示すことこそ、真の
人口減少対策ができると
考えます。
そこで、理想とする将来
人口配分について、具体的にお示しください。
また、
人口配分
計画の
作成への今後の
対応をお
伺いいたします。
我々維新の党は、中央集権を打破し、
地域のことは
地域で決める、
地方に権限、財源、人間を移譲し、
地域の
実情に合ったきめ細かい行政を行う、上から目線の中央集権的
地方創生は意味がないと主張しています。
まち・
ひと・しごと
法案では、
総合戦略を国がつくり、それを勘案し
都道府県が
総合戦略をつくり、さらにそれを勘案して
市町村が
総合戦略をつくるとなっています。これはまさに、中央から
地方へという中央集権的発想にほかなりません。
地方の
計画が出る前に、国の
総合戦略が十二月に出ることになっていますが、現在、それと呼応する形で各
省庁から
予算要求がされております。
地方の総合
計画が出ていない段階で
予算がつくのは、結局、中央から
事業をつくって、
予算をとれるように各
地域で
計画をつくってこいと言っているのではないのでしょうかと、そのような問題も指摘されても仕方のない
状況です。
そこで、こうした上から目線の中央集権的
地方創生では、真の
地方創生は達成できないと
考えますが、
見解をお
伺いいたします。
地域主権の確立なくして
地方再生はありません。維新の党は、広域
地方政府として道州制の導入を主張しています。権限、財源を
地方に移譲し、中央からの天下りを根絶し、
地方出先機関の統廃合をすべきです。財政、権限の両面で
地方が自立できれば、
地方の
実情や
創意工夫に合った
施策が可能になります。
自民党におかれましても、道州制の
実現を
国民に約束しておられます。
自民党のウエブサイトにも、道州制は、統治構造を根本から改める改革、中央集権
体制を改め、
地方分権型国家を
構築し、
地域経済社会の
活性化、多極型国土の形成、中央、
地方全体の行財政の効率化、二重、三重行政の解消により無駄をなくすための改革であるとしており、維新の党の
基本政策集と全く同じ文言が並んでいます。
しかし、残念ながら、現在、自民党の道州制論議はとまっています。どうなっているんでしょうか。
真の
地方創生は、まさに、
地域の自立なくして
地方創生はありません。その突破口として、まずは大阪都構想を
実現させ、そして、真の個人の自立、
地域の自立、国家の自立をなし遂げる道州制を
実現することこそ
地方創生の真の改革であると、我々は、その改革に邁進をするところであります。
今のこの上から目線の中央集権の政治のままで、本当に
日本の再生があるんでしょうか。四十七
都道府県制度で、今のこの
地方自治の
制度が、中央のコントロール下に置かれているこの
地方自治体の改革に資していると言えるのではありません。
やはり、本当の国家の再生のためには、真の民主主義国家とは、
地域の自立の中にこそあります。そのために、道州制の
実現こそ
地方創生の柱となるべきであると
考えますが、最後に
総理の
見解を求めて、
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。感謝します。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕