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安藤委員 ありがとうございます。
まだまだ
検討中ということですけれども、私から少し
懸念を申し上げておきたいと思います。
まず、
外国人に対する
差別になってしまうのではないかという点についてでございます。
今の答弁では、
待遇面をしっかりと考えて、恐らく、
賃金面でも
日本人とは差をつけないということをお考えだというふうに思います。しかし、今、この
日本でこの業種で働いている
日本人の
人たちの年収は、
日本人全体の中では決して高い方ではないというふうに思います。これは、高い
サービスであったら需要が発生しないと思いますので、
日本人全体の中では恐らく低所得というところに分類をされていくんだろうなと思います。
そして、
外国人に来てもらってこの
仕事をしてもらおうという発想の中には、安い
人件費で
外国人を雇えばいい、その
人たちは、母国でもらう給料に比べたら、
日本人の水準で
日本人並みの給料をもらうんだったら、母国に行ったら相当高い給料になるんだから、これは文句がないはずだということがあるように思います。
そして、もともと、この
家事支援人材に
外国人をという発想は、香港やシンガポールのように
外国人のメードさんがいて、とても
サービスがよくて便利である、だから
日本にもこのような
サービスが欲しいというようなところから来ているようですけれども、しかし、香港やシンガポールという国は、もともと植民地支配をされた国であって、植民地においては、宗主国の人間が地元の
人たちを便利に安い賃金で使っていたという歴史があるわけですね。これは、そのときの習慣が今もそのまま残っているのではないかということを思います。
これらの植民地支配をされた歴史から来ているものをモデルとして
日本に持ち込むことが果たして適当なのか、このことについては疑問を感じざるを得ないと私は思います。そのこと自体が外国の
人たちに対する
差別意識につながっているんじゃないかということを私は強く
懸念しております。
次に、移民になるのではないかということについてですけれども、移民にならないように、
在留期間を区切って、期限が来たら必ず帰ってもらうようにするということを恐らくお考えなんだろうと思います。
しかし、海外から来られた方が、もし
日本で結婚をして、あるいは結婚をしなくても、例えば子供を産んだりしたら、では、どうするのか。そのようなときでも、期限が来たら帰ってもらうというようなことが本当に可能なのか。そういうときには、恐らく人権の問題が発生をして、帰ってもらうということは相当困難になるだろうというふうに思います。
また、シンガポールなどでは、妊娠をした
外国人には帰ってもらうということを相当厳しくやっているようですけれども、
日本で果たしてそのような
制度が導入できるのか。恐らく
日本にはできないと思いますし、それこそ、このような
制度をつくったら、人間の自由に生きる権利というものを侵害しているし、こういった
制度は
日本にはつくるべきではないと思います。そういった意味でも、この
制度は移民につながっていくおそれが相当あるのではないかなということを心配しております。
そして、最後に
育児についての
懸念を少し申し上げておきたいと思いますけれども、ゼロ歳児でも、言葉がわからないから
外国人に
育児を任せてもいいということにはならないと思います。言葉も宗教観も生活習慣も違う外国の方に
自分の子供を預けてまで働かなくてはいけないのか、それが本当に子供たちや親たちの幸せにつながるのでしょうか。
外国人のメードさんのもとで育った子供たちは、では、一体何人になるのかということを本当に心配するわけです。
それともう
一つ、親としての育ちの問題ということもあると思います。
東京の共励保育園の長田園長という方がおられるんですけれども、この方の書いた「「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの」という本の中にこういった一節があります。
子育てを外注化した結果、親子の関係性が薄くなり、子を思う「親心」が消えていきます。子供はゼロ歳や一歳頃は可愛いものですが、二歳を超えた頃から自我を出し、さまざまな主張を始めます。
そうした子供の要求に手間暇をかけて対応することによって「親心」が育つのですが、その機会を他人に委ねてしまいます。発達の過程として三歳や四歳頃から出てくる嘘やずるい心、そうした気持ちを乗り越える術を、親は子供に伝えなくてはなりません。ところが、それらの
一つ一つは手間がかかり、愛情も必要です。
その手間を外部に委ねた結果、そうした手間に対する忍耐力や
自分で立ち向かおうとする感覚が失われていきます。子供が大きくなれば、親にもたらされる問題はさらに大きくなっていきます。そして、その問題の深刻度が増すと、親はその問題に直接対応することを避けて通るようになります。つまり、子供の問題に真正面から対峙する親としての力が育っていかないのです。
今、いろいろなところで問題が起きております。モンスターペアレントの問題とかも出てきておりますが、これはまさに、親としての力、親としての育ちが足りない大人が今ふえていっているということにつながっているのではないかと思うんですね。
親というのは、子供を産んだだけでなれるものではありません。生物学的には子供を産めば親になることはできても、本当に親になるには、
自分で子育てにしっかりと向き合う必要があると思います。そこには報酬もなければ見返りもなく、ただ
自分の時間を犠牲にしていくということが求められていくわけです。しかし、
自分の時間を犠牲にしても子供と向き合う時間をつくり、子供が
安心してわがままが言えて、心の底から信頼できる人がいるという環境をつくることが、子供の将来の人格形成に大きな
影響を与えるとともに、親自身の人格形成にも大きな
影響を与えると思います。
このように、子育てを外注化することによって本当に
日本の将来に資することになるのか、
外国人を雇ってまで子供を預けて働くことが本当に
日本の将来の発展に資するのか、このことについては
皆様にぜひともお考えをいただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。