○水津
参考人 皆様、ちょっと風邪を引いておりまして、もしかしたらお聞きづらいことがあるかもしれませんが、御容赦ください。
日ごろ
地域活性化の現場にいる人間として、
地域の
現状も踏まえて、今回の法案及び
地域活性化、これからの
地域の創生みたいなことについて所見を述べさせていただきたいと
思います。
まず、今回、いろいろな
資料、法案等をいただきました。今、
官公需の関係について言えば、これまであった需要をAからBに移す、そういったことで全体的な新たな
産業が生まれるわけではありません。そういった
意味では、国家戦略としては、もう少し有望な市場について、
地域がそこに取り組んでいけるような支援といったようなものも必要なのかなというふうには思っております。
一つ、ここの、
成果の
全国への波及みたいなことで、
地域活性化
施策をワンパッケージで実現するプラットホームの構築のように、文字では美しく書いてありますけれども、では、これは現実に実現に向けてのスキームがあるのかというと、これまでのさまざまな
施策を見て、現場でそうした、例えば農商工連携であるとか
地域資源活用の申請数が少なくなっている、あるいはその中で成功例が極めて少ないという
現状がなぜ起こっているかということにやはり
思いをはせなければ、今回、これから皆さんが考えて行っていただく
施策も結果が出ないのではないかと思っています。
私は日ごろ、先ほどあった農商工連携とか、数年前から、
地域でも予算が出ればやってみるかみたいなことで、とりあえずやりますけれども、言ってみれば、申請は非常にハードルが高くて、力弱い
地域や企業では、到底申請できるような内容にはなっておりません。
私がすごく危惧していることは、皆さん自身、日本の中の
地域資源、豊かな宝だとおっしゃっていますけれども、私は、世界に向けて日本がこれから大きな
産業をつくっていく
地域資源、有望な資源が幾つかあると思っています。あるいは、そういった
地域があると思っています。
ただ、武雄市市長のように、すごく行動力があって、できる
地域と、そうではない
現状の
地域とがあります。こうしたことを、中長期と、それから今目先でやらなければいけないことと幾つかあると思っているんですけれども、できるところに、例えば、九州の中でいけば武雄だったり、どこどこ県だったり、その
地域を牽引していく、リーディングしていく
地域あるいは企業がいる
地域と、そうでない
地域というのは、これから
地域格差が非常に大きくなってくると
思います。
自分でできない
地域というのも幾つかやはり生まれていまして、例えば人口減少が激しかったり限界集落だったりすると、
地域では、この
地域の宝を生かして何かやりたいねという
思いは実は持っているんですけれども、では、それをどう実現しようかというと、
事業主体がまずない。昔であれば三セクでやったんですけれども、多くは赤字で破綻してしまいました。
何が足りないかというと、武雄市ではきちんとやっていらっしゃるから成功していらっしゃるところも多々あると思うんですけれども、やはりマーケティングであるとか
計画づくりの段階からもっと専門家を入れたり、それから、専門家といっても、自分で言うのもおかしいですけれども、私のようなコンサルタントというよりは、実務的な
事業をなさっている企業とのマッチングをもっとして、ここ最近、企業さんが
地域へ目を向けていただけるようになったということは、私は非常に喜んでおるんですけれども、そうした中でいうと、例えば、名立たる国内の有数の企業さんの中には、
地域のことがよくわからないんだけれども、ちょっと
情報をくれないかということでお話を聞きに見えるところがあります。
地域には、例えば、来週、私は愛媛県の中島という小さな島に行くんですけれども、以前はブランドのミカンがあったんだけれども、JAが統合されて、愛媛ミカンに統合されてしまった。そうすると、いいミカンは愛媛ミカンとして売られて、その
地域のブランドは失われているみたいなことがあります。
統合してよかった面とマイナスの面があると思うんですけれども、国としては、これから、持続可能な
地域の中でそういう枠組みをつくってモデルケースでやっていくところ、それから、先ほど
武雄市長もおっしゃったんですが、私は、予算は、ある程度フリーハンドで使えるお金をやはり与えるべきだと思っています。
予算が夏ぐらいにおりて、二月には報告書を出してくれみたいな、そんなレベルで
地域活性化なんか到底できません。
計画づくりに一年、実行に三年、まあ三年といったら長過ぎるかもしれませんが、その間に結果を出す。そこで結果を出せなければペナルティーをつけて、返還というのは厳しいかもしれないんですが、例えば三年間新たな
事業への申請をさせないとか、やはり本気で取り組ませる姿勢は必要だと思っています。
これは、
地方が怠慢でなっているだけではなくて、与えられるチャンスに何とかして乗っかってやっていこうという気持ちがあって、ただ、
計画づくりも十分にはできない、マーケティングも十分にはできない、そういった中で、十分ではない
計画の中で実行を迫られているという
現状があることをもっとわかっていただきたいと
思います。
では、特に今有望な市場とはどこかというと、やはり私は訪日観光だと思っています。
皆さん、余暇市場というのは、例えば、一九九六年には九十兆円の市場規模があったんですけれども、二〇一三年でいえば六十五兆円に減っているんですね。もう三分の二に減少しているわけです。国内の市場というのは、国内旅行、宿泊旅行にしても減っていますし、これから人口が減る中ではさらに減っていくというふうに想定されています。二〇一四年から人口もしばらく先には本当に一〇%減るみたいなことになっていけば、何もしなくても、日本の市場というのは今から九〇%になり、八〇%になっていきます。
そういった中で、先般、二〇一四年四—六月期の宿泊旅行統計の中でいけば、国内に宿泊していただいた中の一割が外国人であったという結果にもなっています。これから、一千万人を超えて二千万人、日本は三千万人まで行けると私自身は思っています。
ただ、そのためには、今のような大阪、
東京一極集中ではなくて、
地方にそのインバウンドの波を回していく、そういった
取り組み、あるいは支援が必要だと思っています。特に、四国あるいは日本海側の
地域については、すぐれた
地域資源があるにもかかわらず、それを生かしてインバウンドを取り込むことができておりません。
もちろん、
地域の課題もあると
思いますけれども、これから求められるのは、やはり支援のスキームの成功モデルを
一つ、
二つ、三つと、この二、三年の中で国の実験の
事業の中で固めて、そうしたプロトタイプの支援プログラムを
地域にカスタマイズしてうまく
活用していけるような、そういった国家としての
地域支援のスキームを確立することだと思っています。
武雄市のスキームもそうしたものの
一つに入ってくるのかもしれませんけれども、そうしたすぐれたモデルをどうやったら支援のスキームに落としていけるかということを、より現場レベルで、机の上ではなくて、もっと考えてスキームを確立していくという
事業をぜひ組み込んでいただいて、本気でやりたいと思って手を挙げる
地域については全力で支援をする。
それからもう
一つは、
地域と、企業が
地域の
情報を欲しがっている、そういったニーズもありますので、そこを結びつけるようなマーケットというものも、何か企業と
地域の側からさまざまなリサーチをした上で出会いの場をつくっていくというようなこともあってもいいのではないかと
思います。
就職をするときには就職説明会がありますけれども、
地域が市場に手を挙げて、私のところにこんなものがあります、どこかパートナーはいませんかというふうに声をかけられるような、小さなところでもパートナーを求めるような、そうしたチャレンジの場が与えられたりすることも大事ではないかなと思っております。
それから、もう
一つ、
地域へベンチャーを誘導するというようなことがありましたけれども、どうやってするつもりなのかなというのがすごく私の中では疑問でした。
そういった
意味では、今のマーケットのような、
地域資源の可能性というような、マーケットあるいはグローバル市場の中での
地域資源の評価というものを、
自治体ができないのであれば県レベル、県でできないのであれば、国なのか、どういう形でやればいいのかはまだノーアイデアですけれども、これから人口減少して維持が難しくなっていく
地域の
地域資源を守るという
意味でも、国家的には
地域資源の把握といったようなものがもっときっちりとなされる必要もあるのではないかと
思います。
どこでもきちんとそうした把握をしていない、どうやって生かしていくのかというリサーチができていないということは非常に課題だというふうに感じています。
今回いただいた
資料の
改正案の提出の背景と経緯の中の問題点の
指摘は非常に的確な面もありまして、こうしたことがきちんと、今回の皆さんの検討の中で何か考えていただけることにつながればと思っております。
また、現場にいる人間のお願いですけれども、こうして党派を超えてこうした問題に
国会議員の皆さんが取り組んでいただいていることを非常にありがたく
思いますけれども、ぜひこの
取り組みを、そうした政党の枠組みを超えて、日本が
再生していく、さっきも
武雄市長がおっしゃいましたけれども、私は、二〇二〇年の
東京オリンピックという明確な目的と新たな市場の創出が可能性として民間にも見えている、そうした中で、そこに向けて
地域が力をつけていくというような支援は必要だと思っています。
ぜひ、今年度だけとか、いろいろなマスコミの批判もあるかもしれませんけれども、本腰を入れて、日本が今後
再生をしていくためにどういう仕組みが必要なのかということを、やはり、この年だけではなくて、皆さんで取り組んでいっていただけることをお願いしたいと
思います。
本日は、お招きいただきまして、ありがとうございました。(拍手)