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2014-11-12 第187回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年十一月十二日(水曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 清水鴻一郎君    理事 石原 宏高君 理事 坂井  学君    理事 馳   浩君 理事 三原 朝彦君    理事 山本 幸三君 理事 小川 淳也君    理事 岩永 裕貴君 理事 伊藤  渉君       岩田 和親君    大串 正樹君       大見  正君    加藤 寛治君       勝沼 栄明君    神田 憲次君       小林 茂樹君    小林 史明君       小松  裕君    笹川 博義君       瀬戸 隆一君    田中 良生君       武村 展英君    渡海紀三朗君       福田 達夫君    船橋 利実君       前田 一男君    宮内 秀樹君       村井 英樹君    八木 哲也君       簗  和生君    山下 貴司君       山田 賢司君    湯川 一行君       大串 博志君    奥野総一郎君       田嶋  要君    細野 豪志君       前原 誠司君    鈴木 義弘君       伊佐 進一君    輿水 恵一君       三宅  博君    宮沢 隆仁君       柏倉 祐司君    宮本 岳志君       村上 史好君     …………………………………    国務大臣    (科学技術政策担当)    (宇宙政策担当)    (情報通信技術IT政策担当)         山口 俊一君    文部科学大臣      丹羽 秀樹君    防衛大臣        左藤  章君    内閣大臣政務官     松本 洋平君    文部科学大臣政務官   山本ともひろ君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君    政府参考人    (内閣官房内閣参事官)  二宮 清治君    政府参考人    (内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長)            河邉 有二君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君    政府参考人    (内閣宇宙戦略室長)  小宮 義則君    政府参考人    (内閣宇宙戦略室審議官)            中村 雅人君    政府参考人    (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       岩瀬 公一君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君    政府参考人    (文部科学省科学技術学術政策局科学技術学術総括官)          村田 善則君    政府参考人    (資源エネルギー庁次長) 高橋 泰三君    政府参考人    (特許庁長官)      伊藤  仁君    政府参考人    (気象庁地震火山部長)  関田 康雄君    政府参考人    (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 山本 条太君    衆議院調査局科学技術イノベーション推進特別調査室長           行平 克也君     ————————————— 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   大野敬太郎君     瀬戸 隆一君   神田 憲次君     岩田 和親君   宮内 秀樹君     小林 茂樹君   宮崎 謙介君     勝沼 栄明君   八木 哲也君     湯川 一行君   山田 賢司君     笹川 博義君   田嶋  要君     奥野総一郎君 同日  辞任         補欠選任   岩田 和親君     大見  正君   勝沼 栄明君     宮崎 謙介君   小林 茂樹君     宮内 秀樹君   笹川 博義君     山田 賢司君   瀬戸 隆一君     大野敬太郎君   湯川 一行君     八木 哲也君   奥野総一郎君     田嶋  要君 同日  辞任         補欠選任   大見  正君     神田 憲次君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  科学技術イノベーション推進の総合的な対策に関する件      ————◇—————
  2. 清水鴻一郎

  3. 清水鴻一郎

    清水委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 清水鴻一郎

    清水委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林史明君。
  5. 小林史明

    小林(史)委員 自由民主党の小林史明でございます。  きょうは発言機会をいただきまして、まことにありがとうございます。理事各位皆様に御礼を申し上げたいと思います。  それでは、早速質問に移らせていただきたいと思います。  今般、ノーベル賞日本科学者が三名も選ばれる機会がありました。大変喜ばしいことでありますので、これを機に、より一層科学技術振興に我々は努めるべきだというふうに考えております。  このようにノーベル賞を受賞できる科学者をしっかり輩出できる環境を整えるのが我々の責務だというふうに考えますので、今回、この環境に着目をして、何点か質問させていただきたいと思います。  まず、受賞された三名のうちのお二人、赤崎さんと天野教授、このお二人の研究を支えたのは、JST文部科学省の施策でつくられた団体だという認識をしております。その当時、石田調査員教授のところに足を運んで、ぜひ民間協力をして研究を進めるべきだと熱心に説得をされた結果、豊田合成との共同研究スタートしたというふうに認識をしております。一九八五年でありますので、まだ私が二歳のころ、大分昔のころに始まった結果が、今しっかりと日の目を見たということであります。  科学者中小企業をしっかりつなぐこのマッチング機能というのは大変重要だというふうに思いますし、今回は大きな成果を上げたわけですが、これから地方創生を考える意味では、やはり、地域中小企業にしっかり目を光らせてその技術シーズを拾い上げる、そして、なかなか出会うことのできない研究者マッチングをさせる、こういう機能が大変重要になってくるというふうに思っております。  今後、こういった策をしっかり文科省の方で用意しているのか、まずはお伺いしたいと思います。
  6. 村田善則

    村田政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘をいただきましたとおり、今般のノーベル物理学賞受賞が決定しました赤崎教授青色発光ダイオード発明企業による実用化に導くに当たりましては、JST目きき人材が重要な役割を果たしたところでございます。こうした研究成果企業を結びつける機能というのは、非常に重要なものだと考えております。  また、これもあわせて先生から御指摘をいただきましたが、地方創生のためには、地域中小企業全国や世界のマーケットで戦える高付加価値の製品を生み出すなど、地域経済振興雇用創出につなげていくということも大切であると認識してございます。  文部科学省では、今後とも、こうした取り組み支援するため、一つは、目きき人材地域中小企業のニーズをすくい上げた上で、地元大学のみならず、全国大学等シーズマッチングする取り組み支援、それからもう一つは、大学研究機関企業が集積した研究開発実証拠点を形成し、研究から事業化まで行う取り組み支援、こういった取り組みを一体的に推進する、我が国の研究開発力駆動力とした地方創生イニシアチブ事業を、来年度、二十七年度予算について、概算要求させていただいているところでございます。  文部科学省といたしましては、こうした事業も含めて、地方創生取り組み支援してまいりたいというふうに考えております。
  7. 小林史明

    小林(史)委員 ありがとうございます。  私もいろいろな地方中小企業の方とお会いをしますけれども、技術のある企業ほどこういう思いを持っていらっしゃいますが、一方で、悩ましいのは、どこの研究所もしくはどこの研究者が専門の研究を行っているのかがわからないという声もたくさんいただきます。ぜひ、しっかりと予算を確保して、そういった中小企業イノベーションを起こせるように応援をしていただきたいと思います。  一方で、もう一人の、中村氏の方に目を向けていきたいというふうに思います。  今般、中村さんの発言がたくさん注目を浴びているわけですけれども、先ほどの赤崎教授JSTが支えた、そして豊田合成が支えたということです。一方で、中村氏の場合は、所属をしていた日亜化学が支えたものだというふうに私は認識をしております。  その内容が皆様に配付をさせていただいた記事に書いてあるわけでございまして、これは、中村氏の発言に対しての、裁判になりましたけれども、当時の日亜化学工業社長見解が載っているものであります。  先ほどのJST事業は、委託開発事業ということで、最初事業費JSTが出します、それで、失敗したら返さなくていいよ、成功したらしっかり費用を返していただいて、それプラスアルファ、ロイヤリティーを支払ってくださいという契約なわけですけれども、この日亜化学も、もちろん、研究員に対しては無償でしっかりと投資をしてさしあげて、その後、よくよく見ると、一枚目の右側ですが、当時、十一年間の合計で、同世代の一般社員よりも六千二百万円ほど上乗せして支給しているということですし、四十五歳での所得は二千万円弱だったと。これは、大変大きな給与をいただいているということがわかります。  裏側に回りまして、二ページの大体中段あたりでございます。その当時、十億円の設備投資をやっておりますし、四億円はする機材を五台も買っているということで、それぐらい、この研究者のことをしっかり支えた、この研究を支えたのではないかなというふうに考えます。  今般、職務発明制度について見直し見解が出されております。その議論の中で、この中村教授発言だけを捉えて、やはり個人をしっかり応援するべきじゃないか、企業職務発明制度特許を渡すのはどうなんだということがありますが、私としては、これは冷静に考えるべきだと考えます。  実際の検討状況をお伺いしたいと思います。
  8. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  先生質問のとおり、職務発明制度でございますけれども、これは、企業大学など、法人の中で従業員がその職務として行う発明について、その扱いを特許法三十五条で定めているものでございます。  この職務発明制度につきましては、本年六月の閣議決定におきまして、日本再興戦略の中で、企業のメリットと発明者インセンティブ、この二つが両立するような制度の改善を図るとされておりまして、現在、産業構造審議会のもとで御審議をいただいているところでございます。  先月の審議会で、見直し三つ方針案について御審議をいただきました。  一つ目は、従業員に対しまして現行の法定の対価請求権と同等の権利を保障することを前提としつつ、二つ目に、発明インセンティブに関する企業従業員の間の調整のガイドライン政府が策定した上で、三つ目として、職務発明に関する特許を受ける権利を初めから法人に帰属するということを審議していただいているところでございます。  さまざまな意見がございますが、今後とも各方面の意見審議会などで十分伺った上で具体的な制度案検討していく、こういう段階にございます。  以上でございます。
  9. 小林史明

    小林(史)委員 ありがとうございます。  これ以上の詳細はまた別の委員会議論が進むものというふうに思いますので、お任せをしたいと思います。  私自身も、企業に帰属するのは賛成だというふうに思っておりますが、一方で、必ずバランスをとらなければいけないのは、発明に対する対価をどういうふうに制度設計するか、ここが大変重要だというふうに思います。ともすると、やはり団体側からすると、なるべく企業に有利なようにという発言が多いかもしれませんけれども、このあたりはしっかり確保していただいて、研究者モチベーションを高めるような制度設計にしていただくことをお願いしたいと思います。  プラスアルファで、やはり、一般方々、私も理系の端くれですけれども、特に理系の学生にもそういうことが伝わるように、皆さんモチベーション、能力をこれから日本という国は評価をするんだ、そしてそれを発揮していただく一つの場所として企業があるんだという形でお伝えできるように、広報もしっかりお願いをしたいというふうに思います。  さて、この議論の締めくくりとして、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  今回のノーベル賞受賞に当たって、このお三方が取り上げられる。大変重要なことだというふうに思います。  一方で、これを支えた、先ほど申し上げたJST日亜化学、ここにももっとスポットライトが当たってもいいんじゃないか。  さらには、日亜化学社員さんが中村さんの研究を支えたという記事もたくさん出ていますし、社員さんの提案からこの特許が生まれたというような記載があります。そういった方々もできればマスコミに取り上げていただきたいわけですが、そういうわけにもいきませんので、大臣から少し、激励をするとか表彰してさしあげる、こういうことはいかがかなというふうに思います。  この職務発明制度についての考えも含めて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  10. 山口俊一

    山口国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思います。  実は私も、中村教授日亜化学もよく知っておりまして、先般も中村教授ともお目にかかったわけですが、今回、文化勲章もお受けになって、大分考え方も落ちついてこられたのかなというふうな思いがします。  おっしゃるとおりで、やはり、チームでしっかり頑張ったわけですね。会社としても、それをずっと支えてきた。  とりわけ、さっき、まさに地方からというふうなお話がございました。今回私も大変うれしいのが、徳島大学を出て、しかも、地元中小企業、まあ徳島では大きい企業なんですが、中小企業でああいうふうな成果を上げられた。非常にすばらしいことだと思っております。  ちなみに、日亜化学創業者お話を聞いたことがあるんですが、どうやって優秀な研究者地元に居ついてもらうか、就職してもらうか、聞きますと、やはり女性の力だとおっしゃっていました。というのも、中村教授の奥様が、どうしても徳島から離れたくない、徳島じゃないとだめだということで、中村教授が折れて、地元会社に就職をしたと聞いております。  そういったいろいろなことはあるんだろうと思いますが、確かにチームとして頑張ったわけでございますので、私も日亜化学の方にお電話をさせていただきまして、社長はお留守だったんですが、専務に、本当にすばらしかったですね、チーム皆さん方にもよろしくお伝えくださいというふうなお話はさせていただきました。そういったことは非常に大事だと思います。  同時に、いわゆる職務発明成果の件でございますが、これは先ほど答弁もございましたけれども、今、経産省の方で見直し作業が進んでおります。  今回、確かに、いわゆる特許の問題が、企業にというふうなベースでやっておりますが、やはり、発明者あるいは従業員の方のインセンティブをいかに高めるかというのは最も大事な話でありますし、同時に、それがなければ企業にも優秀なそういった技術屋さん等が来てくれないわけで、そこら辺は、しっかりと双方が生かされるようにやっていきたいと思いますし、ガイドラインでどういうふうに書き込むかということが大変重要だと思います。  これからも、発言すべきはしっかり発言をしながら、ちゃんとした制度になるように努めていきたいと思います。
  11. 小林史明

    小林(史)委員 大臣、ありがとうございます。  まさに御地元の方のお話でございますので、よくよく御存じのことだと思いますので、ぜひ御尽力をいただきたいというふうに思います。  あわせて、今回、この中村さんの発言、たくさんいろいろお話があったわけですけれども、いろいろ読んでみますと、研究者がすばらしいイノベーションを生み出した後に大きな対価を得るチャンスがないじゃないかということが発言の要旨になっているのかなと思います。御本人も、最近は、やはり日本はベンチャーの制度が甘いんだということをおっしゃっているような感覚がいたします。  要は、研究者が、新しい技術を生み出し、そこから独立をされて、また新たな研究をするところにお金が入ってきて、さまざまな方と一緒に新たなイノベーションを起こしていく、こういうことができれば、企業を飛び出しても、しっかりと対価を得る、得たいと思う方は得ることができますし、一方で、安定した職場の中で継続的に事業をやっていきたいという方はそういう選択ができると思いますので、さまざまな選択ができる環境を整えるのが大事なのではないかと思います。  この分野は経産省の分野だと思いますので、せっかくですので、伊藤長官が来られておりますので、お願いをしておきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。  では、少し話題を移しまして、イノベーションという観点でいくと、安倍総理もこだわっていらっしゃるところですが、ICTの分野というのは大変重要なポイントになってまいります。山口大臣大変造詣の深い分野だと思いますので、こちらについて少しお伺いをしたいと思います。  最も注目が大きいと私が考えているのは、やはりマイナンバー制度スタートであります。  このスタートに当たっては、行政システム効率化だけではなくて、サービスの充実、さらには民間への利用の開放も検討してありますので、新たな民間サービス創出、こういったものの期待は非常に大きいというふうに考えておりますし、さまざまなIT事業者からも期待を伺っております。  ただ、現状の制度設計では、この期待の効果は限定的だというふうに考えております。これは、随時拡大をしていかなければいけないと思いますし、見直しチャンスがあるものですが、例えば、預金口座とか金融分野、そして本丸はやはり医療分野、こういったところにしっかり適用してビッグデータとして活用する、こういったことが重要になるわけですが、現在検討中のシステム、これが将来の設計に対してちゃんと対応できるものになっているかどうか、これをしっかり確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 向井治紀

    向井政府参考人 お答えいたします。  マイナンバー制度は、より公平な社会保障制度や税制を実現するために、そのインフラといたしまして、まず、利用範囲社会保障、税及び災害対策に関する行政事務に限定して導入するものでございますが、他方、マイナンバー利用範囲拡大についての検討もしておりまして、本年六月に閣議決定されました日本再興戦略におきましては、金融医療・介護・健康のいわゆる身体情報、それから、戸籍、旅券、自動車登録などの公共性の高い分野を中心に、マイナンバー利用範囲拡大検討をしているところでございます。  当然のことながら、こういうふうな利用範囲拡大に当たりましては、現状準備しておりますシステム面におきましても十分な対応が必要と考えておりまして、これらについても、将来の制度拡大に容易に対応可能な設計とするようにしてまいりたいというふうに考えてございます。
  13. 小林史明

    小林(史)委員 このシステム設計に関しては、非常に多くの民間企業から心配の声が上がっておりますので、ぜひ、しっかりと、確認をいただいて、対応いただきたいというふうにお願いしたいと思います。  一方、今度は、IT系ではなくて、マイナンバー導入する側の一般企業方々と話をしていると、まだどんな対応が必要なのかわからないと。彼らにも法人ナンバーというのが振られますし、彼らの社員一人一人にはマイナンバーというものが振られて、それによって社内の業務も少し変わってくるわけでありますし、社内システムも変更が必要です。これをまだまだ知らない企業がたくさんあるというのは大変問題だというふうに思っておりますが、これはしっかり広報できているのか、確認をしたいと思います。
  14. 向井治紀

    向井政府参考人 お答えいたします。  マイナンバー制度は、来年十月に番号の通知、再来年の一月、一年二カ月後ぐらいには番号利用を開始することとしてございます。これに向かいまして、官民を挙げて円滑な導入、定着に必要な準備を進めていただく必要があるものと考えております。  特に、民間企業におきましては、例えば、従業員ないしアルバイト等のいわゆる給与源泉徴収、これは、従業員からマイナンバーを聞いて、それを企業が税務署に出す、こういうスタイルになりますし、保険料につきましても、特別徴収については同様のこととなります。  したがいまして、民間企業にもシステム改修等対応をしていただく必要があるということでございますので、私どもとしては、できるだけ広報を進める必要があるということから、先月、十月でございますが、コールセンターを設置し、一般からの問い合わせに対応しておるほか、民間事業者向け対応といたしまして、経団連等経済団体等を通じました民間事業者への周知、広報協力依頼を発出しております。また、関係府省と協力、連携いたしました民間事業者向け説明会を実施するなど、広報については万全を期したいと思っておりますが、さらにより一層広報活動に注力してまいりたいというふうに考えております。
  15. 小林史明

    小林(史)委員 ありがとうございます。  しっかり頑張っていただきたいと思いますが、頑張るといっても、予算がないと頑張れないというふうに思いますので、そこの確保もしっかりしていただいて、多くの、特に地方中小企業まで伝わるように広報をしっかり頑張っていただきたいと思いますし、やはりこのシステム改修にもお金がかかるわけですので、このあたりへの対応もしっかり検討いただいて、混乱のないように推進をしていただきたいというふうに思います。  マイナンバー導入をされて進んでいきますと、最終的には、このマイナンバーデータを活用しようという話が出てくるわけであります。  それに先立っての話だと思いますけれども、今既に民間事業者や国が持っている、行政が持っているパーソナルデータ個人の重要なデータでありますが、こういったものを活用すればもっとビジネスが広がる、もしくは、サービス効率化できるのではないか、こういう議論がずっと起こってきたわけであります。  そういった中で、これからどんどんそれを促進していかなきゃいけないわけですけれども、まず最初に起こったのは、JR、このデータを別の業者に販売して活用していく、これによってマーケティングを分析していくんだ、こういうことを発表した瞬間に、多くの一般方々から批判の声を浴びて、それは実現ができなくなってしまった。最近でいきますと、TSUTAYAさん、こういったところがパーソナルデータの活用をしますということでありますけれども、余り新聞記事にはなっていませんが、ネット上ではかなりの批判が殺到しているところであります。  これからこのパーソナルデータを活用したイノベーションを起こしていくためには、やはり、しっかりとした利活用のルールを明確にして、一般の方にも納得いただいた上で、企業が積極的に参入できる、こういう環境をつくるべきだと思います。  現在、個人情報保護法の整備の検討が進んでいるということですが、この検討状況をお伺いしたいと思います。
  16. 向井治紀

    向井政府参考人 パーソナルデータの利活用につきましては、情報通信技術の進展に伴いまして、新たなビジネス、サービス創出と国民の安全、安心の向上等につながるものといたしまして、政府の成長戦略におきましても、産業再興に資するものと位置づけられておるところでございます。  一方で、現行の個人情報保護法が制定から十年が経過しておりまして、国民の個人情報等に対する認識も、先生指摘のとおり、高まっておるというふうな状況でございますので、事業者パーソナルデータの利活用にちゅうちょする、利活用の壁というふうなものが出現しているというのも事実であると認識しております。  このような状況も踏まえまして、本年六月、IT総合戦略本部で、パーソナルデータに関する制度改正大綱を決定いたしまして、一方で、そういうICTの発展等に対応するような個人情報の保護、プライバシーの保護を図りつつ、一方で、さらに利活用を進めるような、パーソナルデータの利活用を推進するための法整備を行うとしたところでございます。  これを受け、現在、来年の通常国会への法案提出に向け、具体的には、特定の個人を識別することを禁止するなど一定の条件のもとで、本人の同意なくデータを匿名化して利活用できることを可能とする枠組みの創設、一方で、パーソナルデータの保護と利活用をバランスよく推進するための独立した第三者機関の体制整備等を柱といたしまして、国際的に調和のとれた制度を整備するための法案作成作業を行っているところでございます。
  17. 小林史明

    小林(史)委員 ありがとうございます。ぜひ、しっかり、バランスよく進めていただきたいと思います。  この議論の締めくくりで、最後に大臣にお伺いをしたいと思っております。  今回、この検討の結果として大綱が出てまいりまして、パーソナルデータを第三者機関で一元化をして管理するというふうに記載があります。  これは大変すばらしいことなんですけれども、なぜこういう話が出るかというと、皆様に配付をしている資料のめくっていただいたところに「個人情報保護に関する法体系イメージ」というものがあります。  これはピラミッド形になっているわけですけれども、まず左下であります。各事業分野での個人情報保護のガイドラインというのが、全部主務大臣ごとに区切られちゃっているんですね。これは縦割りになっている。これによって何が起こったかというと、前回の、ベネッセさんの名簿屋の事件であります。  こういうなかなかグレーな、余りさわりたくないところは、皆さん、どこにも属さない。なので、それがエアポケットになってしまう。一方で、自分たちで管理したいところはしっかり握っている。こういう状況が起こっているわけでありますので、これを第三者機関で一元化しようという話であります。これは大変重要なことであります。  これを、やはり大臣として、しっかりリーダーシップを発揮して、各省庁、横串を刺して、全部吸い上げて、しっかり一元化をする、こういったところに御尽力をいただきたいと思いますので、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  18. 山口俊一

    山口国務大臣 ただいまるる御指摘がございましたように、現行の個人情報保護制度の中で、民生部門に関する法律であります個人情報保護法、これは御指摘のとおり、各分野ごとに主務大臣を採用しておりまして、各主務大臣がその所管分野に属する事業者を監視、監督というふうな体制になっております。  お話しのとおり、そういったことで、二十七分野も実は存在していまして、結果として、四十ものガイドラインがあるわけですね。  ところが、御指摘いただいたベネッセのように、ではどこが所管しておるんですか、名簿事業者を。これは、たらい回しみたいになって、結局、事態に対する対応がなかなか進まなかったわけです。  ある意味で、事業者一つの事案に対して複数の省庁への対応が求められるということも実はございます。そういったことを踏まえまして、ただいま御指摘をいただきました。  同時に、もう一つが、データが国境を越えて流通をする中で、フランスとかイギリスとかオーストラリアは、独立した第三者機関が個人情報を一元的に監視、監督をして、それらが各国を代表して国際的ないろいろな話し合いが行われておるわけですが、残念ながら、我が国にはそのような機関がございません。  そういったことを受けて、これらの課題につきましては、パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱に対するパブリックコメントの中でも同じような指摘がかなりございました。現在、来年の通常国会への提出に向けて法案作成中でございますが、第三者機関による実効性のある体制整備というのをしっかりとつくっていきたいと思っております。
  19. 小林史明

    小林(史)委員 ありがとうございます。  ICTに造詣の深い大臣の重いお言葉だというふうに思いますので、ぜひ御尽力をいただきたいと思いますし、大臣の御答弁にもありましたが、やはりクラウドサービスというものが当たり前になっている時代の中で、データの所管の場所が国内だけにはとどまらないという時代がやってきているというのが現状でありますので、それにしっかり対応できる制度設計お願いしたいというふうに思います。  あわせて、もう一つお願いをさせていただきたいのは、このピラミッドの右下にあるパーソナルデータ行政が持っているパーソナルデータ、これもしっかり吸い上げて、一元管理ができる体制設計お願いしたいと思っています。  病院、医療分野に例えますと、国立病院は国の行政機関、青いところが持っているわけでありますし、自治体の病院は黄色いところが持っている。現状をお伺いしますと、それぞれ持っているデータが微妙に違うんですね。なので、これから医療ビッグデータとして解析をして、そして健康寿命を延ばしていこう、こういったことが日本として大変重要な課題なわけですが、それを活用するにもこれが邪魔になっているというのがやはり現状であります。  ぜひ大臣にリーダーシップを発揮していただいて、ガイドラインをつくって、そして第三者機関でしっかりと管理をしていただくことをお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  20. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、伊佐進一君。
  21. 伊佐進一

    ○伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。  本日は質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  きょう私が取り上げたいのは、日本の若手研究者に対する支援、あるいは現状がどうなっているかということについて質疑をさせていただきたいと思います。  このたび、青色LEDということで、中村修二先生初め赤崎先生、天野先生日本のこの三人がノーベル物理学賞を受賞されました。  非常におめでたいことではありますが、決してこれは手放しでは喜んでいられない、そう思っております。といいますのは、このノーベル賞というのは、もう御案内のとおりで、日本の過去の成果に対する評価ということだと思います。  お配りさせていただきました資料を見ていただきますと、これは日本がこれまでノーベル賞を受賞してきた実績をリスト化しておりますが、研究発表した年と受賞の年とでどれぐらいタイムラグがあるのか。近年の動きを見ていると、大体三十年から四十年ぐらいの差がある。山中先生、iPS細胞だけは六年後という非常に短い期間なんですが、通常は三十年、四十年前の研究成果に対して評価がなされる。例えば南部先生なんかは、二〇〇八年に受賞されておりますが、四十八年後、半世紀たって評価されるというような状況です。  こういうことを考えますと、では今後、日本の未来を推しはかると、どういうような科学技術分野日本が発展をしていくか。これは、今の若手研究者を見れば将来の日本がわかる、そう思います。  では、ちょっと幾つか資料を用意させていただきましたので、現在の若手研究者が置かれましたさまざまな状況というものを、次の二枚目の資料から説明をさせていただきます。  まず、二枚目、資料二の左側、これは教員です。若手のポジション、赤色ですが、二十五歳から三十九歳、これがどんどんどんどん減ってきている、若手のポジションが減っている。  次のページ、資料三を見ていただきますと、これはその年に博士号を取られた取得者の数です。これも平成十九年をピークに今どんどんどんどん減っているという傾向にあります。  こうして研究者の数が減っている、若手が減っているというと、もちろん、少子化の影響があるんじゃないか、そういうような御意見もあるわけですが、資料四を見ていただきますと、左側、折れ線グラフになっていますのが進学率です。つまり、進学率ですので、人口当たりでどれぐらい博士課程に皆さんが進んでいるかというグラフですが、これを見ていただいても、少子化とは関係ない。人口当たりで見てみても、どんどんどんどん理系で博士課程に進んでいく人が減っているんです。これが今の日本の状況だ。  もう一つ、最後、資料五を見ていただきますと、これは各国と比較してどうかというのが資料五です。見ていただいたら歴然でして、人口百万人当たりで博士号を取得する数というのは、米国よりも、ドイツ、フランス、イギリスよりも低い、韓国よりも低いというのが現在の日本の若手研究者の状況ということです。  そこで、まず冒頭、質問です。  こうした今の若手研究者の置かれた現状、これを政府は今どうごらんになっているか、まず伺いたいと思います。
  22. 松本洋平

    ○松本大臣政務官 御質問にお答えをいたしたいと思います。  図を使いまして大変わかりやすく現状の御説明をいただき、御指摘をいただきまして、ありがとうございます。  我が国においては、御指摘のとおり、博士号の取得者及び博士課程進学者数が減少していることに加えまして、国際的にも博士号取得者数が少ないとの現状にあることは、我々国といたしましても承知をしているところであります。  さらに、大学における本務教員のうち若手教員の割合が低下傾向にあるなど、将来の我が国の科学技術イノベーションの担い手である若手研究者にとって大変厳しい状況にある、そういった認識をしているところであります。
  23. 伊佐進一

    ○伊佐委員 政務官も認識していただいているとおり、非常に厳しい状況だ。  もちろん、一つは、先ほど私の中でお話しさせていただいたとおり、まずポスト、教員、若手の研究者がつくポジションというのが非常に少ない。  ちなみに、資料二の右側を見ていただくと、常勤で任期なし、いわゆる安定したポジションです。研究者で常勤、任期なしでどれぐらい若手がいるかというと、平成十九年、二二・五%、二十二年、さらに減って一七・九%。より不安定な状況になっているというのが現状です。  こうした雇用への不安、博士課程に進んだとしても、果たしてポジションがあるのかどうか、働き口があるのかどうか、こういう不安がまず一つあるわけです。  若手研究者の声を聞くと、もう一つ不安がある。  先日、私、博士課程あるいは修士課程の学生、また若手研究者皆さん意見交換をさせていただきました。そこでいろいろな声がありました。  少し紹介をさせていただきますと、生活が苦しい、アルバイトで勉強時間が余りとれない、あるいは、就職が年々困難となっていて、就職活動で研究に時間がとれない、あるいは、学部一年から博士まで九年間奨学金を借り続けたら、物すごい借金となってびっくりした、あるいは、三十代の博士課程の女性の方は、妊娠された、妊娠したけれども、本当に研究職で就職先が見つかるのか不安、保育園の入園でも、学生という身分が不利に働くんじゃないかと心配だ、そういうさまざまな不安の声をいただきました。  これは大きく分けると二つだと思います。一つは、先ほど議論になりました、雇用、ポジションがない、もう一つは、経済的に苦しい、生活できないというのが今の若手研究者の状況だと思います。  次の資料六、最後につけさせていただきましたが、この資料六を見ていただいてもわかりますとおり、これは何かというと、博士課程進学を考えたけれども結局就職したという人が、進学するときに何を考えたのか、何が重要だと思ったのか。結局、就職して、博士課程へ行かなかったわけですが、その理由が並んでおりますが、一番トップに挙がっているのは、経済的支援、生活が苦しいんだというところなんです。  そこで、質問させていただきますと、日本の状況は非常に大変だ、では、ほかの国じゃどうなんだ。欧米の博士課程の学生はどうなっているか。例えば米国の大学院生に対してどういう経済的支援、どういう制度になっているか、わかる範囲で教えていただければと思います。
  24. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  アメリカにおきます博士課程の学生に対する経済的な支援に対する御質問でございますけれども、特に理工系分野を中心にしまして、例えば、研究分野に専念できるよう奨学金を給付いたしますフェローシップ、それから、特定の研究分野研究者を養成するために大学自身が支給しますトレーニーシップ、あるいは、研究の補助者として雇用しますリサーチアシスタントというふうな形で授業料あるいは生活費相当額を支援するというふうな制度がございまして、博士課程全体の学生の大体四割ぐらいをカバーしているということでございます。  それから、あわせまして、教育の補助者として雇用いたしますティーチングアシスタントという学生が大体二割程度ございまして、授業料を支援しているというような状況でございます。
  25. 伊佐進一

    ○伊佐委員 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたとおりで、欧米の場合、まあアメリカの場合は、基本的に、学生といえども研究者扱いなわけですね。つまり、一人前の研究者としてラボの中で働いてもらっている、ティーチングアシスタントだったりリサーチアシスタントだったり。雇用契約の中できちんと給料が払われて、その中でみずからの研究もやっている、これが今のアメリカの状況だったと思います。  日本はどうか。日本の博士課程の学生だって、ラボの中で一生懸命働いているわけですよ。さまざまな研究支援をやっている、活動をやっている。ところが、日本の場合は、よく言われますのは、雑用ばかりに使われて、ただ働きをさせられている、こういうような声も伺います。  また、まさしくTAをされて、ティーチングアシスタントとして、労働の対価として払われている場合もあると聞いていますが、その場合でも、お給料をいただいているのは一年間で十万円というような状況だと伺っております。生活費には全くほど遠いわけです。  もちろん、教授にしっかりついて、いろいろな雑用をしながら、その中でいろいろなものを学んでいく、こういう側面はあると思いますが、ただ、現実はなかなか自分のやりたい研究に打ち込めない、また生活が苦しいというのが今の学生の、若手研究者の状況です。  先日、党内の、公明党の会議の中で、LEDで今回ノーベル賞受賞が決まりました天野先生に来ていただきました。そこで御講演いただきました。天野先生が御講演の中で一番強くおっしゃっていたのも、まさしくそこなんです。経済的支援をどうするんだという点でした。  天野先生がおっしゃっていたのは、イノベーションの担い手になるのは若手人材だ、研究課題が行き詰まったときに、それを乗り越えていったのは若手の突破力なんだということをおっしゃっておりました。だからこそ、若手研究者、とりわけ博士課程の学生に経済的支援お願いしたいということを強調されておりました。  そこで、伺いますが、博士課程の学生向けに、今貸与は多少あると聞いていますが、給付という形、新たな給付金制度というものも検討すべきじゃないかと思います。もちろん、いきなり全員にというのは難しいかもしれませんが、少なくとも、例えば優秀な博士課程の学生には何らかの支援の充実ということを図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 丹羽秀樹

    ○丹羽副大臣 先生おっしゃるように、研究開発における若手の人材の確保と育成というのは非常に重要なことだと考えております。そこの中で、優秀な学生が特に安心して大学院の博士課程を目指すことができるように、学生に対する給付型支援をさらに充実させていくことが重要かなというふうに思います。  現在の科学技術基本計画においても、博士課程の学生の約二割が生活費相当程度の経済的支援を受給できることを目指しておりますが、しかしながら、現在、そのような支援を受けている学生はまだ約一割にとどまっております。  これらもまだ改善しなきゃならない点があると思いますが、ここの中で、文部科学省は、優秀な博士課程の学生が研究に専念するため、特別研究員事業等による経済的支援、さらには、博士課程学生に生活費相当額の奨励金を給付できる博士課程教育リーディングプログラム事業を実施いたしております。  今後とも、科学技術基本計画の目標値を目指して、意欲と能力のある学生が安心して大学院博士課程を目指すことができるように、経済的支援、やはり研究か生活かというと非常に難しいところでもございますので、そういったところをしっかり議論しながら進めていきたいと思います。
  27. 伊佐進一

    ○伊佐委員 今後、しっかり、まず二割を目指してやっていただけるという決意を伺いました。ありがとうございます。  今、若手のポジションの話と、そして経済的な支援の話をさせていただきました。もう一つ、若手を育てる、未来に向けて若手を育てていくという点で、研究資金について少し議論させていただきたいと思うんです。  若手を育てていくときに、私、一つ大事なことは何かというと、若手の研究者が自立して研究を進めていく中で、その分野の先達、大先輩の方々から適時適切なアドバイス、指導を受けていくということも非常に大事なことだろうと思っております。  先ほど申し上げた天野先生も、師匠の赤崎先生とともにノーベル賞を受賞されたということで、まさしく子弟で、二人三脚で成果を出されてノーベル賞に輝いたわけですが、赤崎先生研究室に弟子である天野先生が入ったのは実は二十三歳、ノーベル賞受賞の理由になった論文を発表されたのは一九八六年、つまり天野先生はまだ二十六歳のときなんです。さらに、これでノーベル賞受賞になったわけですが、その論文で書かれたLEDを実際に実現したのは一九八九年ですので、天野先生は二十九歳です。つまり、受賞された天野先生、全部二十代の成果なんですよ。二十代でこれだけ結果を出されている。  これだけ若いときに成果を上げられた天野先生に来ていただいたときにお話を伺うと、どうおっしゃっていたかというと、師匠である赤崎先生は好きなことをやらせてくれた、そして折々の大事なところで適切なアドバイスがあったんだ、こういう趣旨のことをおっしゃっておりました。  そこで、若手の研究者が自立して研究をやっていくという中で、しっかりと先達の方々からアドバイスを受けられる、こういう制度が非常に重要だと思いますが、いかがでしょうか。
  28. 村田善則

    村田政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたとおり、若手研究者の育成のためには、すぐれた指導者から適切なアドバイスを受けられる、大切なことだと認識してございます。  文部科学省では、若手研究者が自立して研究に専念できる環境を整備しつつ、シニアの研究者のメンターから助言を得ることができるテニュアトラック普及・定着事業推進してきたところでございます。  また、若手研究者が自立してイノベーション志向の研究を行うさきがけ制度におきましては、研究総括を初めとしたシニアの研究者や同じ研究領域に参画する若手研究者が一堂に会し、研究成果や今後の方向性について議論を行うなど、研究実施過程で触発を受けることができる仕組みとなっているところでございます。  文部科学省といたしましては、引き続き、こうした取り組みを通じ、若手研究者がその能力を発揮できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
  29. 伊佐進一

    ○伊佐委員 テニュアトラック制度であるとか、さきがけについて触れていただきました。  まさしく若手研究者のための研究資金の提供という例で今さきがけを挙げていただいたと思いますが、このさきがけも、非常に、これは若手研究者にとって物すごく評価が高かった、あれは本当にいい制度だという声をたくさん聞いていました。非常によかったと聞いていたと過去形で申し上げるのは、また後で理由は申し上げたいと思うんです。  このさきがけというのは、一九九一年に創設をされて、三十人に三年間、毎年一千万円の研究費を渡して、さらに別途給与も渡す。これは、特に若手の研究者に対する資金、さきがけです。受けられている方の平均は三十五歳。一千万円は決して大きなお金ではないんですが、まとまった資金を受けて、自立して、自分の中でしっかりと研究を進めていくことができた。  さらには、メンター制度というものがあって、きちんとそれを全部取りまとめるメンター、領域を取りまとめるメンター、三十人を取りまとめる相談役みたいな方がいて、この方が適時適切に全員を集めていろいろなアドバイスをしていくというものでした。このメンターは、本当に若手からも信望があるような方が選ばれておりまして、若手研究者が暴れ馬のようにいろいろなところを飛び回っているのを取りまとめる牧場主という言われ方をずっと若手の間ではされておりました。このメンター、牧場主、先達のアドバイスが非常にうまく回った例です。  では、このさきがけ、九一年に創設されましたが、これまでの成果について伺いたいと思います。
  30. 山脇良雄

    山脇政府参考人 さきがけの研究につきまして、研究面の成果といたしましては、世界に先駆けた光合成のたんぱくの構造解析の成功など、我が国発のイノベーションにつながる成果を上げているところでございます。  また、このさきがけにつきましては、若手研究者の育成の観点からも成果を上げております。例えば、採択時には任期つきの職にあった研究者が、三年半の研究期間終了時には、任期のない、いわゆるテニュア職についた割合が約六〇%、それから、さきがけの研究者研究期間の終了時までに助教から准教授のように昇進をした割合が約四〇%となっておりまして、若手研究者のキャリアアップにとっても大きく貢献をしているものと考えております。
  31. 伊佐進一

    ○伊佐委員 御紹介いただいたとおりで、このさきがけの成果というのは、実は、具体的な、このプロジェクト、三年間でこういう成果が出たというものじゃないんです。これは、あくまで若手の育成。若手がこれまでずっと、先ほどあったように、任期つきであったものが、やっと安定した職を得た、六割いる、こういうような制度。目的は若手の育成なんです。つまり、こういう成果を出さなきゃいけない、こういうような目標を達成しなきゃいけないと、出口を厳しくして、それに向かって工程管理をしていく、そういう性質のものじゃなかったわけです。  先ほど、若手の育成という話でおっしゃっていただきましたが、これは実は、長期的には非常に、研究の蓄積、知見の蓄積、土壌を耕すことにつながっていた。この三年間では確かに目に見える成果はなかったとしても、この研究者が後々、十年たって振り返って、ああ、あのときのあの研究が使えるといって、いろいろその研究が生かされる例が非常にたくさんありました。  例えば、初音ミクというのがあるんですが、オリコンチャートでずっとナンバーワンをとっていた歌手なんです。実は、歌手なんですけれども人じゃない。歌声音声入力ソフトというのを開発して、あくまで疑似的に人の歌声をつくり出す、これがずっとオリコンチャートナンバーワンだったんですね。初音ミクもこの成果だと聞いています。また、今言われているビッグデータビッグデータという議論だって、実はこのさきがけで研究者が新しい学問領域をつくったんですよ。これがこのスタートなんです。三年間の成果じゃないんです。長い間たって出てくる。  そういう意味では、目標を厳しく、三年間、五年間で管理してやっていくタイプのものじゃなくて、研究の土壌を耕していくというか、そういうところで、意外なところで花開いていく、これがまさしくイノベーションだと私は思います。  ところが、先ほど過去形になったと申し上げましたが、このさきがけのいいところが失われていったんです。なぜかというと、さきがけのというか、これは実は日本科学技術政策全体の問題です。日本の今の科学技術政策全体がそう流れている。  それを少し、このさきがけを例にして申し上げますと、戦略目標、こういう目標を達成しなさいよと。これは、さきがけは当初どうだったかというと、物すごく広かったんです。ばくっとしていたんです。例えば、光と物質、これだけだったんです、研究領域は。だから、何でもできたんですよ。光と物質であったり、あるいは、例えば情報と知とか、テーマが非常に広いがために、いろいろな若手研究者がそこにチャレンジをして、非常に学際的な、多彩な人材がけんけんがくがく議論する、こういうような場になっていました。  私が例で伺ったのは、例えば脳という研究分野であったとしても、ライフサイエンスは当然いるんですが、遺伝子工学もいれば、哲学の研究者もいたりとか、あるいは猿学、猿の研究をやっている研究者もいたり、こういう人たちが集まっていろいろな議論をするから、いろいろな土壌が耕される。まさしくこれは、今日本の求めているオープンイノベーションの世界なんです。これを今までやっていた。  ところが、残念ながら、この研究領域、最近どうなっているかというと、情報と知とか、こんなばくっとしたものが、今は、例えば、読み上げると、こう書いています。二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術創出、物すごく細かいんです。あるいは、微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術創出とか、物すごく細かく領域が指定されてしまっているんです。  さらに、領域もそうなんですけれども、その下に戦略目標というのがあって、この戦略目標に至ってはもっともっと細かいわけです。がんじがらめにされているんです。目標もがんじがらめになって、しかも、この研究期間中は非常に厳しい毎年の評価を受ける。ちゃんと言うとおり、思いどおりになっているかどうか、厳しくチェックされるんです。  三年後、五年後がはっきりと見通せるような研究開発なんというのは、ろくなものじゃないと思います。それはイノベーションだとは思いません。そうじゃなくて、本当に、先ほどの青色LEDもそうです、iPS細胞もそうですが、先が見えないところから出てくる、これがイノベーションじゃないかなと思っております。  そこで、ぜひお願いしたいのは、今の科学技術政策というのは余りに出口志向に寄り過ぎているんじゃないかなと思います。トップダウンで、細かく目標を設定して、また工程管理もやって、言われるとおりにやれ、こういうのでは、なかなか予想外のイノベーションというのができないんじゃないかな、若者の斬新なアイデア、発想が生かされないんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
  32. 松本洋平

    ○松本大臣政務官 お答えをいたしたいと思います。  伊佐委員、東大工学部で航空宇宙工学を専攻されて、また、惑星探査機の「はやぶさ」プロジェクトにも大変御尽力をされたということもありまして、大変重要な御指摘をいただいたというふうに受けとめているところでもあります。  御指摘はもちろんでありますけれども、しかしながら、一方で、イノベーションの実現のためには、やはり出口というものをしっかりと見据えて、実用化事業化を意識した問題解決型の基礎研究も重要であると思っております。  しかしながら、委員が御指摘いただきましたように、持続的なイノベーション創出の基盤となる根本原理を追求する基礎研究もまた同時に重要だというふうに認識をしているところでもあります。  我が国のイノベーションシステムが効果的に機能するよう、基礎から応用、実用段階に至るまで、シームレスに研究を展開できることが重要であることを踏まえ、総合科学技術イノベーション会議として、その実現に向けまして、競争的資金の使い勝手の改善、また制度の再構築に取り組んでまいりたいと思います。  今、委員から御指摘をいただいたこともしっかりと受けとめてまいりたいと思います。
  33. 伊佐進一

    ○伊佐委員 ありがとうございます。  しっかりと受けとめていただけるということで、もちろん、両面のバランスだと思うんです。国家として、戦略として、きちんと目指すべき方向性を示していくという点もあれば、ボトムアップで本当に自由な発想を生かしていく、このバランスをどうとるかというのが本当に大事なことだと思います。  ただ、私が指摘させていただいたのは、ちょっと余りにも、出口志向、トップダウン、かなり管理を厳しくする方向に寄り過ぎているんじゃないかなと思いますので、ぜひ御支援お願いしたいと思っております。  若手研究者を育てていくということで、もう一つだけ観点を申し上げると、リーダーシップを養う、マネジメントの能力をどうやって養っていくのか。つまり、一つ研究プロジェクトを、自立して、研究資金、自分で研究費の管理を含めてデザインしていく、研究補助者とか技術員を雇用して、あるいはほかの研究者も雇ってチームをマネジメントしていく、こういう能力を、若いうちから経験するというのは非常に重要なことだと思います。  先ほど申し上げた天野先生がおっしゃっている中で、印象的な言葉がございました。それは、レーバーからリーダーへという言葉でした。いわゆる研究者の中で労働者のようにして使われているレーバーというもの、若手研究者をそこから解放してリーダーになってもらわなきゃいけないんだ、こういう御示唆のある言葉でございました。  小さいプロジェクトでも構わないと思うんです。マネジメントできるような資金というか、人を雇って自分で資金管理をして、こういう研究費の助成が若手に必要だと思います。いかがでしょうか。
  34. 山脇良雄

    山脇政府参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、若手研究者チームを率いてリーダーシップ、マネジメントの経験を積んでいくということは極めて重要であるというふうに考えております。  先ほどのさきがけ研究におきましても、若手の研究者が独立して研究をしていくという研究制度でもございますし、その研究者のもとで研究支援者も雇用して研究を遂行するというような、マネジメント経験も積むことができる研究制度にしているところでございます。  また、チーム型で実施する研究制度におきましても、年齢にとらわれず、実力本位で若手の研究者も採択、選定をしているというところでございます。  例えば、世界トップレベル研究拠点プログラムというのがございますが、直近の採択では、大きな研究チームなんですが、採択された拠点長、センター長の平均年齢は四十六歳であったということもあります。また、戦略的創造研究推進事業におきましても、三十代や四十代の研究者研究チームをマネジメントする研究代表者として多数採択されているところでございます。  このような研究環境を今後も充実してまいりたいと考えているところでございます。
  35. 伊佐進一

    ○伊佐委員 若手でも、こうして研究マネジメント、研究チームを率いている例もあるという御答弁だったと思います。  確かに、あるのはあるんです。ただ、先ほど示していただいたのは、CRESTであったりとか、大規模な、大きなチームを率いていくというもので、当然それはたくさんの若手が使えるものではない。私が申し上げているのは、本当に小さなプロジェクトでもいいので、若手がリーダーシップをとれるような、そういう資金というのがもう少しあってもいいのではないかなということを申し上げたいと思います。  最後になりますが、これまで、若手研究者の置かれた現在の状況、雇用、ポジションがないとか、経済的に生活が大変だとか、さまざま申し上げてまいりました。前向きな御答弁もいただいたと思いますが、最後に大臣から、若手研究者に対して、また博士課程の学生に対しての支援の拡充について御意見伺いたいと思います。
  36. 山口俊一

    山口国務大臣 いろいろとお話を聞かせていただきました。全くそのとおりだと私も実は思っておりまして、とりわけ若手研究者につきましては、流動的な環境のもとで多様な研究経験を積み重ね、かつ能力の向上を図っていくということが重要であります。しかし同時に、こうした環境というのは、将来を安定して見通すことが難しいということがまたあるわけでございます。  そういったことを受けまして、若手の役割といいますか、科学技術イノベーションの重要性が非常に高くなってきておる中で、高度な研究経験を有する人材というのは重要な役割を果たすということが期待をされておりますので、優秀な若手研究者の活躍の場の確保、多様なキャリアパスの構築、そしてまた人事給与制度等々の改革等を促進してまいりたい。  とりわけ文科省の方もいろいろやっていただいておりますので、協力をしながら、しっかりと頑張って努めていきたいと思います。
  37. 伊佐進一

    ○伊佐委員 大臣の強い御決意を伺いました。ありがとうございます。  科学技術立国日本という中で、日本の未来がどうなるかというのを決するのは、まさしく今の若手研究者がどうなのかというところが本当に大事な一つの課題だと思いますので、何とぞ御支援をよろしくお願いして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  38. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、小川淳也君。
  39. 小川淳也

    ○小川委員 民主党の小川淳也でございます。  山口大臣、きょうはお時間をいただいて、ありがとうございます。  冒頭、大事な質疑の時間なんですが、私のせんだっての予算委員会での質疑の中でちょっと事実の誤認がございましたので、この場をおかりして訂正して、おわびしたいと思います。  特定の団体と世界日報社に関する関係性について、事実誤認をもとに質問をいたし、関係の皆様に御迷惑をおかけいたしました。この場をおかりしておわびし、議事録等の訂正をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)恐れ入ります。  大臣とは、讃岐山脈を背にいたしまして、私が北側、大臣が南側ということで、高松行きの飛行機でもよく御一緒させていただいております。党派を超えて温かく御指導いただいており、感謝を申し上げたいと思います。  この間も、地方創生委員会徳島地方公聴会がございました。特に、木材の利用とか、それから「いろどり」を初めとした天然資材の利用、非常に、逆に日本で最先端の地域だなというふうに感じております。  きょうお尋ねするのは、科学技術の関係と少し色合いは違うかもしれませんが、ぜひ大臣の御活躍をお祈りしつつ、お尋ねを進めてまいります。  ことしは、噴火、それからここ何年か地震、そして大災害等々、大変、日常生活を突然脅かすという事態の多い年でありました。この予知とか予測、衆議院の解散の時期も予測はなかなか難しいわけでありますけれども、地震の予知、予測、噴火の予知、予測についてお尋ねしたいと思います。  まず、地震についてであります。  科学技術白書によりますと、東日本大震災の折、緊急地震速報を気象庁は発せられております。しかし、残念ながら、震度は六近かったものが四として通報されているということが確認されております。加えて、昨年八月、関西地方におきまして、震度七の警報値が、これも完全に誤報だったようでありますが、発令されている。とうとう、二十三年には三月から四月にかけて全二十一回の誤報であります。オオカミ少年ではありませんが、私は、過少な警報よりはむしろ過大な警報であっていいという立場にあります、しかし、それにしても正確性をできるだけ期さねばならない。  この観点から、現在、この反省をどう研究しておられ、今後に生かそうとしておられるか。この点、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 関田康雄

    関田政府参考人 お答えいたします。  平成二十三年の東日本大震災、我々は東北地方太平洋沖地震と呼んでおりますが、この際、緊急地震速報を発表するに当たり、関東地方の最大震度を四程度と予測し、その旨を予報として発表いたしました。今御指摘いただきましたとおり、実際には関東地方の最大震度は六強でございました。これは、地震の場合、断層が破壊されて起きるんですが、この地震が数分にわたる非常に大きな地震であったがために、緊急地震速報を発表する前の短い時間では地震の規模を正確に把握できないことによるものでございます。  あわせまして、昨年の八月八日、これは和歌山県北部を震源とする非常に小さな地震がありましたが、それとほぼ同時刻に、三重県南東沖にあります海底地震計システムでノイズが発生いたしまして、このノイズを緊急地震速報のシステムが和歌山県の地震の揺れというふうに誤認し、マグニチュードを非常に大きく予測してしまったために、震度予測が過大になったということでございます。  このように緊急地震速報、まだまだ技術的な課題がございますので、気象庁では、緊急地震速報の精度向上を図るため、今、新たな手法を二つ導入を計画しております。  具体的には、地震波の到達時刻のほかに、地震波の振幅等を考慮することにより、複数の地震が同時に発生した場合でも震源推定精度を高めることができる、こういう手法が一つでございます。  もう一つの手法は、周辺で観測された揺れのデータから震度を予想し、これにより、東日本大震災のような巨大地震発生時においても、強い揺れの範囲をより適切に把握することができる、こういった手法でございます。  これら二つの手法を導入することで、東北地方太平洋沖地震のような巨大地震につきましても震度予測が向上すると考えておりまして、今後五年以内を目途に、順次活用を進めていきたいと考えております。
  41. 小川淳也

    ○小川委員 技術的な取り組みですから時間がかかると思いますが、感覚として、五年以内というのは長いと思います。本当に精力的に、来年でも再来年でも、少しずつでも改善をいただくということをお願いしなければなりません。  あわせて、現在、せっかく震度予測を立てた上で警報を流しているにもかかわらず、警報そのものには震度情報が入っていませんよね。直接、各個々人に対してお伝えするようにシステムを改善したらいかがかと思いますが、どうですか。
  42. 関田康雄

    関田政府参考人 お答えいたします。  まず、活用に五年かかるという点でございますが、緊急地震速報は、人手を介さずに、全て計算機の自動処理で発表する仕組みになっております。このため、誤報の発表がないように、事前に動作確認等を極めて慎重に行う必要があるというふうに考えております。  また、今後、実用化のためには、実際に地震が発生したものについて検証を行っていくという作業が必要と考えております。  なお、動作確認が順調に進んだ場合には、五年を待たずに、動作確認が終了した時点で、前倒しで導入するということを考えております。  それから、震度の方でございますが、緊急地震速報は、地震の震源に近い観測点の地震データを順次用いて解析し、揺れの予測を行っておるものなんですが、この予想では、強い揺れとなる可能性については比較的早く予想が可能なんですが、その場所場所の震度を精度よく予測するというのは少し時間がかかってしまいます。  このため、震度五弱以上が予想された場合には、震度のいかんにかかわらず、その時点で緊急地震速報を迅速に発表する、そういうことで、その場で身の安全を図っていただく、こういう形にしております。
  43. 小川淳也

    ○小川委員 私もジレンマの中でお尋ねしています。誤報があってはいけない。しかし、冒頭申し上げたように、過小よりは過大の方がいいと思います。それをいかに正確性を高めていくか。しかも、時間も早い方がいいでしょうね。新たな技術の開発については、改めてこの点、お願いを申し上げたいと思います。  あわせて、今度は噴火についてであります。  本当にことしの御嶽における事故は、まさに、想定外という言葉があってはいけないんでしょうが、非常に悲惨な、突如の事故でありました。これも、特に水蒸気爆発だったということが言われておりますので、なかなか予知、予測が難しいという立場が基本的な立場でいらっしゃるんだろうということは前提に置きつつ、しかし、当日あるいは数日前から火山性の地震、細動が観測されていたということが事実として報じられてもおりますし、確認されているようであります。  このキャッチした情報をどう生かしたのか、当日の反省を踏まえて、ここで証言していただきたいと思います。
  44. 関田康雄

    関田政府参考人 火山噴火の予測のやり方をまず申し上げますが、火山噴火の予測につきましては、地震計による火山性地震や火山性微動、傾斜計やGNSSによる地殻変動の観測、それから遠望カメラによる噴気等の状況の観測、こういったデータを過去の噴火の際の観測データともあわせて考慮して、総合的に判断して予測を行っているところでございます。  今回の御嶽山の噴火につきましては、御指摘いただきましたとおり、九月十日から十一日にかけて火山性地震が増加いたしましたが、地殻変動や噴気に変化が見られなかったこと、また火山性微動が発生していなかったこと、それから火山性地震の回数が、平成十九年にごく小規模な噴火がございましたが、そのときと比べて少なく、また、九月十二日以降地震も減少したということから、噴火警戒レベルを引き上げるという判断には至らなかったというものでございます。  現在の火山に関する知見、予測の科学的水準では、今回のような水蒸気噴火については噴火の予兆の把握が極めて困難で、また一時的な火山性地震の増加については、噴火が起きない場合でも数多く見られる現象であり、このことから、今回の御嶽山の噴火は噴火警戒レベルの引き上げが難しい事例であったというふうに考えております。  一方、当然、今回の反省を踏まえて、改善すべきところはするという観点から、今回、火山噴火予知連絡会の下に検討会を設けまして、常時監視が必要な火山の見直し、火口付近への観測施設の増強、水蒸気噴火をより早期に把握できる手法の開発、それから御嶽山の火山活動の推移を把握するための観測強化、この四つについて現在検討しておりまして、十一月中に緊急提言として取りまとめたいというふうに考えております。  この検討結果を踏まえ、火山観測体制の強化を進めるなど、火山噴火災害の防止に努めてまいりたいと考えております。
  45. 小川淳也

    ○小川委員 これも確認はなかなかとれませんが、現在、世界的に火山活動が活発化しているというような報道もありますよね。地震も頻発しているということからすると、ちょっと今の御答弁に関連して、日本列島に百五十余りある火山、活火山と観測火山を全国四カ所の情報センターで監視しているというのは十分かどうか、この点をまずお答えいただきたい。  あわせて、先ほど、なかなか予知、予測に至らなかったという御答弁でした。それはそうかもしれません。しかし、微少な火山性地震は常に観測しているわけですし、これは、地震に関する予報にも増して、誤報が許され得る、過小であってはならない、むしろ過大でいいという類いの話かもしれません。  そうすると、これは提案ですが、今検討会で今後の予知連絡のあり方についていろいろ検討されているとお聞きしていますが、今回の火山性微動については、町役場に知らせて山小屋に知らせたというのが基本だと思います。しかし、町役場に知らせて山小屋に知らせたところで、不特定多数の大多数の登山者の方々に本当に危険を知らせたことになるのかというところは、これはやったふり、アリバイづくりではありませんから、実効性を上げなければならないという意味でいうと、先ほどの地震に関する予知体制と同じく、当該エリア内登山者の携帯電話に直接、火山性微動、火山性地震を確認しました、気をつけていただきたいというような一報を入れる。今や、そういう技術あるいは装置をほとんどの皆さんが持っているわけですから、そういうことを利用していくということも十分検討に値するのではないかと思います。  この二点、御答弁いただいて、最後にしたいと思います。
  46. 関田康雄

    関田政府参考人 現在、気象庁の方では、我が国には活火山は百十あるというふうに一応考えており、これは火山噴火予知連絡会の方で検討して選定していただいたものなんですが、その百十の活火山のうち、特に監視観測体制の充実等が必要とされて火山噴火予知連絡会によって選定されました四十七の活火山につきましては、地震計、傾斜計等の観測機器を整備し、常時監視をしております。こういったデータは、今御指摘いただきました四つの火山監視・情報センターの方にリアルタイムでテレメーターしておりまして、これは我々の担当官が二十四時間体制で監視しているという状況でございますので、とりあえず、現在の状況で火山にもし異常があらわれれば、それはすぐにわかるという状態になっているというふうに考えております。  それから、登山者に対する情報の提供でございますが、これにつきましても、御指摘のとおり、非常に重要な課題であるというふうに考えております。こういった点から、先ほど申し上げました観測体制の検討に加えて、登山者等への火山情報の迅速かつ的確な伝達という観点で、同じように火山噴火予知連絡会の下の検討会で現在検討を進めておりまして、これについても同様に十一月中に緊急提言として取りまとめてまいる考えでございます。その中には、御指摘いただいたような、登山中の登山者に対する情報提供は極めて重要だということで、今御提案ありました携帯電話を利用する等、こういった方法も含めて、具体策について早急に取りまとめることとしております。
  47. 小川淳也

    ○小川委員 こういう時代ですから、せっかく開発されている端末等々はフルに活用して、思い切った施策を御検討いただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。  大臣、限られた時間の中ですので、複数お尋ねしたいテーマがございまして、どこまで御答弁いただくかあれなんですが。  ちょっと明るい話からしますと、二〇二〇年東京オリンピック。科学技術白書の中では、特に、災害対策、インフラ整備、テロ対策、さらには高齢者の移動支援、超高齢化社会の中でのオリンピックという初めての世界的な事例になると思います。それから、外国語の翻訳機能を備えたようなロボットが人々をおもてなしするというようなことも白書の中に夢バラ色のごとく書かれておりまして、六年後でありますので、どこまでこれが実現するかというと、かなり楽観的な見通しではいけないんだろうと思いますが、しかし、それにしても夢のある話であります。そういう観点から、世界で初めて見る東京オリンピックというものを、大臣、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいのが一点。  それから、今月末は日本でも大変ブームになりました「はやぶさ」の二号機が打ち上げられるということでありまして、私自身も宇宙開発には相当大きな夢を感じております。特にヴァージン社が民間宇宙旅行を開発した。二千万円近い料金で、しかし、七百人ですか、多くの方々が既に申し込んでいる。ところが、先般の試験飛行で失敗に終わりまして、若干頓挫しているという残念な事例があります。私は、日本のこの世界に誇る科学技術こそ、ぜひ民間の宇宙旅行を含めて、「はやぶさ」も非常に意義のあることだと思いますが、人を宇宙へ運ぶというのが最も大きな行き着く先だと思います。  大臣、このあたり、東京オリンピック、それから宇宙開発に向けての大臣の御関心なり御興味なり、少しお聞かせいただきたいと思います。
  48. 山口俊一

    山口国務大臣 今、小川先生指摘いただきましたように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックというのは、これはやはり、最新の科学技術の活用とか、この展開といいますか、これをやる本当にかけがえのない機会なんだろうと思います。  御指摘いただきましたように、いろいろと検討もさせていただいておりまして、とりわけ東京都さんも大会をすばらしいものにしたいというふうなお話でございますし、先般も実は舛添知事さんともお目にかからせていただきました。いろいろお話をしたわけでございますが、もう委員も御案内のとおりで、実はタスクフォースをつくらせていただいておりまして、その中で、大会に向けて取り組むべきプロジェクトを検討させていただいております。今お話がありましたけれども、多言語翻訳システムだとか、感染症対策、自動走行技術、あるいは燃料電池、水素エネルギー等々。  先般も視察をさせていただいたんですが、例えば、多言語翻訳機能ももうあと一息まで来ている感じでした。ちょうど首から下げて、ある意味、ウエアラブルなんですが、言ったことが英語になる、言われたことが日本語で出てくる。もうあと一息だなという感じでございますし、水素の関係もかなり動き出してきております。  ただ、御指摘のとおり、これはやはり、二〇二〇年ということでありますと、少なくともその一、二年前には事業化のめどが立っていなければ非常に難しいというふうなこともあろうかと思います。そこら辺も、とりわけ東京都を初め、あるいはオリンピックの組織委員会等もございますが、関係等々といろいろ相談をしながら、実は年明けをめどに整理をしたいと考えております。  あと、宇宙のお話もございました。  私も子供のときから宇宙は大好きで、宇宙飛行士に憧れたことも実はございます。先般も、若田飛行士とテレビ出演させていただいたんですが、本当にすばらしい方で、すばらしいお話を聞かせていただいたんです。  ただ、今、新しい宇宙基本計画を作成中でありますが、その中で、将来的に有人というものにどういうふうに対応するか。これはやはり、それだけの成果といいますか、実績を上げることができるんだろうか。いわゆる費用対効果ということもあります。  一つは、無人で「はやぶさ2」、「はやぶさ」がああいうふうに成功したわけですが、無人でいろいろ積み重ねていく中で、将来、その必要性なり、財政状況なり、あるいは他国の状況等々とも、いろいろなことを総合的に判断してやっていくというふうなことになるんだろうと思いますが、夢としてはやはり人なんだろうなというふうな気がいたします。
  49. 小川淳也

    ○小川委員 おっしゃるとおりでありまして、今まで宇宙空間というと、やはり特別な訓練を積んだ選ばれた方々のみの空間でありますが、これをいかに一般の方に広げていくかというのが次のフロンティアではないかと思います。ぜひ、大臣の御関心をそういった分野に牽引していただきたいと思っております。  きょう、これはもうお尋ねはしませんが、もう一つ厳しい話として、原子力発電に伴う放射性廃棄物の最終処理です。  二〇〇〇年に最終処分法ができてから十四年間、微動だにしていません。先月、検討会が始まったというふうにお聞きしておりますが、これは政治的にも技術的にも大変重たい課題だろうと思います。きょう、時間の都合でお聞きはしませんが、改めて、心して進めていただきたいと思います。  最後に、大臣、きょう、資料を御用意させていただいたんですが、ちょっと眺めていただきながら、最後の議論お願いしたいと思います。委員長のお許しをいただいて、委員皆様のお手元にもございます。  先ほども御指摘ございましたが、今般、ノーベル物理学賞を三名の先生方がお受けになられたということで、大変喜ばしいことであります。不穏な空気にならなければぜひ当委員会で参考人質疑と思っておりましたが、またの機会にぜひお願いしたいと思っております。  しかし、ざっとこの研究者一覧をごらんいただきますと、私は幼いころから感じていました、なぜ、喜ばしい、めでたい、誇らしい日本人受賞者がかくもアメリカの研究機関に所属しているんだろうということは常々思っていました。  調べますと、ごらんのとおりでありまして、七名の方々がアメリカの研究機関に所属する日本技術者であります。そのうちお二人に関して言えば、既に国籍までアメリカに移しておられるという、大変、喜んでいいのか、寂しいと感じなければならないのか。ここにまた構造的な問題がないか、科学技術御担当大臣としてはよくよくお考えをいただかなければならない点だろうと思います。  さらに、おめくりをいただきます、二枚目、主要国の研究者一人当たり研究費であります。  これは、政府からの支援に加えて、むしろ民間からいかにお金を引き出すかということも大事なんだろうと思いますが、お隣、アメリカとの比較でいうと、かなり置いていかれている状態であります。この辺も日本研究者がアメリカに移っていく大きな背景であるのかどうか、検証が必要だと思います。  もう一枚おめくりいただきます。今度は、年齢別に見た日米の大学院進学率、就学率であります。  そもそも、そんなに高くない大学院への進学率なんですが、やはり、日本とアメリカを比較しますと、右側です、特に二十代後半以降において、多くの方がアメリカでは大学に進学している、日本では一たび社会に出る年齢になるとほとんどない。このあたりも、非常に流動性が低い、硬直性が高いということも見てとれます。  一通りちょっとおめくりいただいてごらんいただきたいと思いますが、次も科学技術白書からいただきました。各大学研究機関がきちんと研究者評価しているかどうかという自己採点であります。  左側は、研究者評価していないというふうに答えた機関が、大学に至っては三五%。何と四割近い大学で、研究者評価をしていません、実施がありませんと答えているわけです。これはちょっととんでもない傾向だと思います。  右側をごらんいただくと、その評価結果の芳しくない研究者に指導を、これは恐らく配置がえ等も含むと思いますが、実施しているかという問いに対して、六割近い大学が指導していない。つまり、研究者を正当に評価する仕組みもないし、評価したところで、適正な指導をするシステム環境にないと大学初め各研究機関みずからが告白しているわけであります。かなりお粗末な事態だと思います。  よくこういう環境の中で世界に名立たるノーベル賞受賞者を輩出してきたものだ。本当に個人の力によるところが大きいんじゃないか。システムとして、仕組みとして構造的に考え直す責任が大臣にはあるのではないか。  一通りおめくりいただきます。次のページは、十年前の〇三年と、十年後、昨年の一三年の、国際的に論文をどのぐらい発表しているかという経緯、実績であります。  十年前はほとんど見られなかった中国が、現在、圧倒的多数の論文発表に至っています。日本は若干ふえているように見えますが、少なくとも、米中の二大国を中心にした世界の構造はこういう科学技術論文の分野にも如実にあらわれてきている。ここには脅威を感じるべき、恐れを感じるべきだと思います。  最後の一枚です。日米の大学研究員の年収。これも科学技術白書からとらせていただきました。  年収ベースで、やはり世界に名立たる先進大学が左側、日本が右側でありまして、少なくとも一・五倍から二倍近い報酬の差、開きがあります。こういったことも背景に恐らくあるのではないか。  このあたりを一連でごらんになると、日本人の個人的な技量なり力量によって立ってきたこれまでの研究技術の世界をぜひ構造的に見直して、正当な評価、正当な報酬、そして、マイナスの評価、マイナスの実績に対してはきちんとした指導を含めて、信賞必罰ではありませんが、めり張りのきいたシステムづくり、構造的改革が科学技術分野においてぜひとも必要だと思いますが、大臣、御見識をお聞かせいただきたいと思います。
  50. 山口俊一

    山口国務大臣 今いろいろと数字も拝見をいたしましたが、私も全く同じような問題意識は持たせていただいております。  とりわけ、いろいろな事情があったんですが、先ほども議論させていただいた、ノーベル賞をとられた中村教授がアメリカに行ってしまわれたのは非常に残念な思いがしたわけですが、ただ、ノーベル賞をお受けになられた皆さん方、それぞれ、いろいろ御事情があって、日本に帰ってきた方もおいでますし、いろいろ状況があるわけです。  ただ、やはり一般的には、海外では、日本と比べて、異分野の融合のしやすい部分というか、充実した研究体制等々、あるいはお話しの給与等々、研究に集中しやすい環境があるというふうに言われておるのもこれは事実でございますので、そこら辺をしっかりと踏まえながら、やはりもっともっと日本研究しやすいように、御案内のいわゆる特定国立研究所等の法案も考えておりますが、給与体系も含め、もっと環境をしっかり整備していきたいし、同時に、アメリカに行ってしまわれたんだけれども帰ってきやすいような、帰ってこようかなと思うような環境もしっかりつくっていかなきゃなりませんし、同時に、外国のそういった優秀な科学者に来ていただくということも大事であります。  しかし、御指摘いただきましたように、いろいろな問題点を抱えております。とりわけ、これも文科省といろいろと協議をしなきゃいかぬ部分もたくさんあろうかと思いますが、しっかり協議をしながら、せっかくですから科学技術イノベーションがしっかりと前向きに進んでいくように、総理のおっしゃるように世界で一番イノベーションに適した国と言われるように、一生懸命努力をしてまいりたいと思います。
  51. 小川淳也

    ○小川委員 終わります。ありがとうございました。
  52. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、大串博志君。
  53. 大串博志

    大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。  科学技術イノベーション特別委員会、私も、与党におったときには科学技術等々の政務官もさせていただきました。きょうは、知財のことと科学技術全般のことの議論をさせていただきたいというふうに思います。  先ほど申しましたように、政務官時代から、知財あるいは科学技術全般、私も非常に興味を持ちながら仕事をさせていただきましたけれども、まずは知財の件に関して質疑をさせていただきたいというふうに思います。  日本がこれから何で食っていくか。物づくり大国でございます。ただ、先進国になって、人件費もどうしても上がっていく、いわゆる単位当たりの人件費というのが上がっていく中で、単に物を海外に売っていく、特にコモディティーに近いようなものを売っていくだけでは、なかなか、先進国がいつまでも物を売って生きていくとはなりません。  最近は、貿易収支はずっと赤字傾向でございます。その中でどうやって稼げる国にしていくかというと、日本人の能力、経験に裏打ちされた知恵を輸出する、あるいは、もちろん資本を輸出するというのもあると思いますけれども、特に知恵を輸出する、こういったところが非常にやはり日本の将来像には大切になってくると思うんですね。そういう意味で、知財というものの持つ重要性というのははかり知れない時代にもう今入ってきているのではないかというふうに、私自身思っております。  そういった中で、きょうは、知財の分野の中の職務発明制度に関して議論をさせていただきたいというふうにまず思っております。  先ほど来、ことしのノーベル物理学賞の話が出ております。三名の先生方が立派なノーベル賞を受けていただきまして、日本人として大変誇らしい思いでございます。  その中のお一人が中村修二さん。先ほどから、海外において活動されることに対してどう考えるかといった議論もありましたけれども、中村さんが今回ノーベル賞を受けられたときのLED、これに関しては皆さん御案内のことと思いますけれども、その発明したときの対価がどこにどういうふうに、誰にどれだけ帰属するかということに関して訴訟になりまして、最終的には八億円という形で和解をしたという経緯、皆さんも御存じだと思います。  こういったことも、知財という制度を将来的に育てていくためには非常に重要な、システムをどう構築していくかという課題があると思うんですね。  そこで、この職務発明制度について、現在日本制度はどういうふうになっているのか、まずこれに関してお答えいただきたいと思います。
  54. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  職務発明制度でございますけれども、これは、企業大学など法人の中で従業員がその職務として行う発明について、特許を受ける権利の扱いを定めるものでございまして、特許法三十五条に規定がございます。  具体的には、特許を受ける権利はまず発明者に帰属し、企業など使用者は契約やあるいは勤務規則などによりその権利を承継するということができるとされております。その際、発明者対価を請求する権利を有するという形になっております。このような権利の承継あるいは対価の決定に当たっては、原則として、使用者と従業員との間で法律に従って協議などを行って、当事者間で職務発明規定などを定めて行うこと、こういう制度になっております。  以上でございます。
  55. 大串博志

    大串(博)委員 今お話がありましたように、日本職務発明制度は、特許を受ける権利は、企業の中で働いて発明をされた個人にまず帰属する。その帰属したものを、契約とか勤務規則などで企業が譲り受ける。その企業特許出願をする。日本の場合は、特許出願はほとんどが企業ですので、企業特許出願するときには、その権利発明者から譲り受けた形にしており、かつ、その対価発明者は契約とか勤務規則等々で請求する、こういった仕組みになっておるということでございます。  この制度に関して、現在、どういうふうな認識で、どういうふうな問題点があるというふうに政府として考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  56. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  近年、グローバル競争の激化によりまして、企業などにおいて迅速な知財管理が求められているというふうに承知しています。  まず、製品が高度化したり複雑化して、一つの製品の中に数百あるいは数千の特許が入って構成されている場合、一つ発明について、複数人の研究者から成るチームワークによってそういった研究を行い、生み出される傾向というものがますます高まっているというふうに認識しております。  このため、現行の制度では、発明者との権利の調整などについて過度に煩雑化してきておりまして、発明者インセンティブを適切に確保するという上での支障が出てくるおそれがあるというふうに認識しています。  このような背景から、日本再興戦略の中でも、企業のメリットと発明者インセンティブが両立されるような職務発明制度の改善を目指すべしという位置づけがされておりまして、現在、産業構造審議会で、法律関係者、研究者、産業界、あるいは労働界、こういったさまざまな関係者の方にメンバーに入っていただきまして、御意見伺いながら、制度見直しに対する議論を行っているところでございます。
  57. 大串博志

    大串(博)委員 ちなみに、グローバルな競争という話でございましたけれども、全世界的には、特に先進国における、そのほかの取り扱いはどのような形になっていますでしょうか。
  58. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  海外の職務発明制度は、国によってそれぞれ異なっております。  例えば、アメリカにおきましては、職務発明特許を受ける権利は、発明者たる従業員にまず帰属いたします。これを、契約によって企業に承継されるという形が一般でございます。その際、発明者に対する対価の支払いについては、特に法律上の規定はなくて、従業員企業との間の契約に委ねられているという形になっております。  他方、ドイツあるいは韓国においては、職務発明特許を受ける権利は、発明者たる従業者にまず帰属しておりまして、使用者側からの請求とかあるいは契約によって企業に承継される。その際に、発明者に対する対価や報酬の支払いを受ける権利、これについては法律上の規定がございます。  また、イギリス、フランス、中国においては、職務発明特許を受ける権利企業など法人の方にまず帰属する形になっておりまして、発明者に対する対価、支払いを受ける権利というものも法律上に規定がある、こういう形になっておりまして、各国それぞれ異なっております。
  59. 大串博志

    大串(博)委員 大ざっぱに言うと、日本とドイツ、アメリカは、まずは発明した従業員に帰属し、それを、何らかの法的あるいは契約上の仕組みを通じながら、使用者、企業に転換していく。イギリス、フランス、スイスに関しては、まず使用者に帰属する。こういうふうな大まかな違いがあろうかというふうに思います。  先ほど言われたような、現行上のグローバル競争の激化する中という問題状況を踏まえて、今、政府としてはこれをどういうふうに見直そうとしているのでしょうか。
  60. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  産業構造審議会の中で議論を続けておりますけれども、十月十七日に開催しました審議会で、見直しについて、方針案について御審議をいただいているところでございます。  内容は、まず一つ目に、現行の法定対価請求権と同等の権利従業員に対して保障するということを前提としつつ、二つ目に、発明者インセンティブに関する企業従業員の調整のガイドラインといったようなものを政府が策定した上で、三つ目として、職務発明に関する特許を受ける権利を初めから法人帰属とする、こういったような方針について御議論いただいたところでございます。  今後も引き続き、その審議会でさまざまな意見をよく伺った上で、具体的な制度案について検討していく、そういう方針でございます。  以上です。
  61. 大串博志

    大串(博)委員 今、御報告がありましたけれども、今回、産構審においては、職務発明に関する特許を受ける権利については、これまでは従業員に帰属というものを、初めから法人に帰属する形に変えるという。これは、私、先ほど他国の例も聞かせていただきましたけれども、日本においては極めて歴史的転換に近い転換だと思うんですね。この歴史的転換を今行われよう、検討しようとされているわけですけれども、これが本当に今どのくらい必要なのか。あるいは、必要だとすると、どのくらい適正な形に最終的になっていくようにやられようとされているのかといったことが非常に重要だと思うんですね。  まず、本当にこの歴史的転換が今必要なのかというところに関して言うと、例えば、今、一つの製品の中に特許が多数入っている、混在している、多特許化ということも言われました。さはさりながらも、見てみると、今、確かに、一つの製品の中に何千件という、二千件、四千件という特許があるというふうに言われていましたけれども、これも近年ずっと続いてきた状況でもあるんですね。  一方、一つ発明に携わる研究者の増加、こういうふうに言われましたけれども、これもグラフ等々を見てみると、九〇年代からずっと、一つ発明に携わる研究者の平均をとると二人強ということで、これもそんなに大きく急速に、今この歴史的転換をやらなきゃならぬということを保障するような形ではないのではないかなという感じがするんですけれども、今どうしても直していかなければならないというような必然性、切迫性はどの辺にあるんでしょうか。
  62. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  おっしゃるとおり、グローバル化に伴う企業の活動については、ずっと以前から課題としてございました。例えば、企業間で共同研究を実施して、その成果企業が知的財産として使用する場合に、先ほど申し上げましたように、現行の制度は、企業間の合意だけではなくて、両企業に属している従業員の同意も必要という形になってまいります。そういたしますと、近年、企業間でいわゆるオープンイノベーション、自国の、自社の中だけではなくて、いろいろな企業との間でイノベーションをやっていく、オープンにやっていくといったような共同研究の形式が特に海外との関係でも相当広がってきているという状況を踏まえますと、この共同研究をめぐる手続の、今申し上げました煩雑さといったようなものがそういったイノベーション振興を阻害しているという意見もございます。  特に、企業内の研究者の場合、人事異動などによって共同研究チームから外れるといったような場合もありまして、そうした場合には関係者の手続をもう一度、同意などをやり直すといったようなことも発生していまして、企業がグローバル競争に対して非常にスピーディーに対応しなければいけないという状況について、知財戦略上のいわば足かせになっているという議論も産業界の方から強くありました。  こういった観点から、法人帰属といったような方向を何らかの形で検討したらどうか、こういう議論を今進めているところでございます。
  63. 大串博志

    大串(博)委員 先ほど来理由として説明された一製品多特許化あるいは一発明に携わる研究者の増加などに加えて、今、いわゆるオープンイノベーション、多国籍的な共同研究の進展等々も言われました。  それらもわかりはするんです、わかりはするんですけれども、何せ、今回の検討されている内容が、これまでは従業員に帰属する、働く人に帰属するとされていた特許のオリジナルな権限を、初めから法人帰属にするという極めて大きな転換なものですから、それだけのものとして大きく捉えて、やはり慎重に考えもし、かつ十分な検討もしなければならないんじゃないかというふうに私は思うんですね。そこでお尋ねしていたわけです。  さらに、仮に、今御提案があるように、初めから法人帰属にしていくというふうな形になっていく場合には、これは中村さんのときの議論にもありましたけれども、では実際、従業員として働かれる方が、よし、一生懸命働いて発明していくぞ、特許がとれるようなイノベーティブなものをつくり出していくぞという意欲をどうやったらかき立てられるんだろう、そこのところもやはり問題になっていくと思うんですよね。その職員、従業員方々インセンティブをどうやって守っていくのかという論点は極めて重要だと思うんですけれども、この点に関しては、検討状況はいかがでしょうか。
  64. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げました審議会の中でも、御審議いただいた方針案の中にもありますけれども、現行の法定対価請求権従業員が請求できる権利と同等の権利をこの改正においても保障するということを前提とした見直し、すなわち、発明者インセンティブが損なわれてはいけないといったようなことがその審議会の場でもほぼ同意されている議論でございます。  それからまた、発明者インセンティブに関する企業従業員との調整に関するガイドライン、これは現在ございませんけれども、こういったようなものを設計する中で、発明者インセンティブを適切に確保する、こういった職務発明規定の整備を促すべきという議論も強くございます。  こうした議論を踏まえて、先生指摘のとおり、発明者インセンティブをいかに高めていくのか、こういった、適切に確保できるような具体的な制度案について検討してまいりたいと思います。
  65. 大串博志

    大串(博)委員 今おっしゃいましたように、発明したときの法定対価請求権と、またはそれと同等の権利を保障する、これはある意味当然だと思うんですね。  それと同時に、働いている方が、ああ、あれだけのものがあれだけ働いていけばもらえるんだなというふうに予見できるようにするために、予見可能性を高めるためにガイドラインを策定して、こういうものがこういうふうなときにはこういうふうな対価が得られるんですよということをガイドラインとして策定していこうということですけれども、そうすると、このガイドラインが死活的に大切になってくるということじゃないかと思うんですね。  ところが、一方、このガイドラインですけれども、多分、大企業であれば、こういったものをきちんと整備してやっていこうということはある意味できるところもあるんじゃないかと思うんですけれども、発明、発見をされるというのは、大企業だけではございません、中小企業皆さんのところでもあります。実際、中村さんのときの例は、ある意味、超大企業というところではないところで働いていらっしゃってあのような発明をされた、こういうまさに実例なんですね。  各団体の報告なんかも聞きますと、東京商工会議所の調査によると、中小企業方々、資本金三億円以下の方々調査を行ったところ、現行でも、どのように対価が移転していくのかということの取り決め、社内規定みたいなもの、あるなしで聞いてみると、六割以上がないという結論になっているわけですね。  こういった、例えば企業ごとのサイズに応じて、本当に現実的なガイドラインになっていくのかといった論点もあります。実際、中小企業を代表する団体方々は非常に慎重な考え方を今の議論の流れに対してはおっしゃっていらっしゃるし、労働者側の皆さんもそういうふうにおっしゃっています。  そういった点からすると、本当にこのガイドライン、現実的なものをつくっていけるのか、この点に関してはいかがでしょうか。
  66. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、中小企業の中には職務発明規定そのものを整備していない企業がまだまだ少なからずいるというふうに把握してございます。  したがいまして、発明者インセンティブ中小企業の中でも高めていくという観点からも、中小企業においてそういった職務発明規定のようなものがもっと普及していくということは非常に重要な課題であるというふうに認識しています。  他方、先生から御指摘ありましたように、産構審の議論の中でも、そもそも職務発明規定のないような企業において、法律で自動的に、では法人に初めから帰属するというふうな形で画一的に適用されますと、企業もそうですし、そこで働いておられる発明者権利も不当に扱われることが危惧されるというような意見もございます。  こうした意見を十分に配慮いたしまして、中小企業も含めて、発明者インセンティブをどういうふうに損なわないような制度とするかということについて、慎重に制度設計について議論していきたいと思います。
  67. 大串博志

    大串(博)委員 今のように、東京商工会議所の調べですけれども、現実は、中小企業においては六割がこの規定がない、こういう状況になっておる中で、そうなってくると、慎重に検討していきたいとおっしゃいましたけれども、今後の産構審における審議のスケジュール、こういったものがどういうふうになっていくのかというのが極めて重要になってくると思うんですね。拙速に進められると、恐らく、中小企業皆さんも、受け皿としての準備のないままに、ぽおんと新しい世界に放り出されてしまうということになりかねないのではないかと思うんです。  今後の審議のスケジュール、十分な議論をしていくという上でどういうふうに考えていらっしゃるのか、答弁いただきたいと思います。     〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
  68. 伊藤仁

    伊藤政府参考人 基本的には、産構審の中で引き続き議論を進めてまいりたいと思っておりますけれども、今月中にまた審議会を開催いたしまして、その中で取りまとめの議論をしていただく予定にしております。  中小企業のことについては、制度設計について、さまざまな方面から意見もいただいていますので、審議会のみならず、各関係方面の御意見も踏まえて、具体的な制度案について、できるだけ早急に意見を取りまとめて、調整をさせていただきたいと思っております。  以上でございます。
  69. 大串博志

    大串(博)委員 今申し上げたように、この点、非常に、日本の将来何で食っていくかという、知財の方向性を左右するような、今回、大きな改正だと私は思うんですね。  そういう議論が行われている中においてでありますから、私が願いたいのは、その議論の中で今いろいろな意見が出てきているわけでございます。例えば、産業界の意見もあれば、中小を代表する産業の皆さんの非常に慎重な意見、労働界の皆さん意見、あるいはこういった知的財産を専門とされる弁理士の皆様意見等々、いろいろございます。こういった意見をぜひ慎重に取り込んでいただいて、日本にとって最善な形になるようなガイドラインであり制度にしていただきたいというふうに、つとに思うわけでございます。  これらについて、大臣、知的財産権を所管される大臣としてどのように取り組んでいかれる所感でいらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 山口俊一

    山口国務大臣 先ほど来いろいろ御議論いただいておりましたが、この職務発明制度見直しは、ことしの七月に知的財産戦略本部で取りまとめた知的財産推進計画二〇一四において、今後の知財戦略の柱の一つとして位置づけられておりまして、今、経産省の審議会の方で議論がされておるわけです。  先ほど来御指摘いただいたようなさまざまな点を踏まえながらいろいろと議論をなさっておられると聞いておりますし、私ども、実は、早い段階でちょっと見直しの方向性を聞いたものですから、研究者といいますか従業員の方といいますか、その方のインセンティブが本当にこれで保たれるのかというふうなお話をしたことがございます。  先ほど来答弁もありましたように、現行の法定対価請求権、また、それと同等の権利はしっかり保障していくというふうなことと、とりわけそういったインセンティブには配慮するというふうな話もございましたし、また、ガイドラインの中でどうやってしっかり書き込んでいくか、これが実は非常に大事な話なんだろうと思います。  ちなみに、余談ではありませんが、中村教授とも実は若干お話をしました。御案内のとおり、一部マスコミでは、とんでもない見直しだと中村先生がおっしゃったということが出ておりましたが、かなり御理解をいただきつつあるようでございます。ただ、やはりガイドラインにしっかり書いてほしいということは、中村先生もおっしゃっておりました。  同時に、御指摘いただいた、中小企業がほとんど整備できておらないというふうな現状もございますので、そこら辺もしっかり踏まえながら、研究者インセンティブを損なわないように、かつ、いろいろと訴訟も起きております、そういったことがないように、同時に、企業の方としてもしっかりやっていくというインセンティブが働くように、そこら辺、両々相まってしっかり取り組んでいきたい。  当然、私も、物言うべきことは経産省に対しても言わせていただきながら、ちゃんと来年、国会にお示しをできるようなものができるように頑張っていきたいと思います。
  71. 大串博志

    大串(博)委員 御答弁いただきましたが、本当にこれは歴史的な大転換を含む改革なので、ガイドラインというものの性格が極めて極めて重要になってくる。それが結果として、最終的に日本にとって最善なものとなる。これは、いろいろな立場の方々のいろいろな意見がございますので、トータルとして日本に一番いいものになるという方向を目指して、ぜひ慎重に議論をしていただきたい、十分な議論をしていただきたいということを最後に申し上げさせていただいておきます。  次の質問に移りたいと思います。  科学技術の全体戦略、司令塔的機能。これは実は、先ほど申しましたように、私自身も、非常に長い間、この論点に対して主体的に絡んできたつもりであります。  日本科学技術政策、どうしても分野ごとに縦割りみたいになっちゃう、重複があって、重複を排除しないと何ともならぬ、こういうふうによく言われていたものでございます。  これに対して、総合科学技術会議、今は総合科学技術イノベーション会議ですけれども、こういったものが入って、戦略的に全体方針をつくっていこうという方向になっておりますけれども、本当にそれができているのかというところがまだまだやはり日本では言われています。  大臣科学技術の司令塔として総合科学技術イノベーション会議がございますけれども、これが今十分な方向に機能しているのか、この点に関して御見識をいただきたいと思います。
  72. 山口俊一

    山口国務大臣 これは大串先生が政務官のころから、あるいはそれ以前からかもわかりませんが、大変熱心に取り組んできていただいておりまして、当時法案もお出しになったわけでありますが、ちょうどあれは解散で廃案になったと思うんですが、その後も新たな法案ができまして、お話しのようなことを目指しながらしっかりやっていこうと。  とりわけ、私ども内閣府の役割としては、やはり科学技術全体の司令塔として、まさに横串を刺して、各府省とか各分野にこだわらずにちゃんとやっていこうというふうなことで始まったわけでございますが、具体的には、科学技術関係予算編成の主導とか、あるいはイノベーション環境整備への誘導だとか、従来の枠組みを超えた革新的研究への投資イノベーションサイクルの実現等々、これらの役割をしっかり果たしていかなければいけないわけでございます。  ただ、実態としては、いろいろ予算会議も概算要求の前にもやらせていただいております。しかし、結局、そういう会議の中でも、各省庁、そこら辺の調整に終わってしまうような部分もなきにしもあらずなのかなと。もちろん、総合科学技術イノベーション会議の方で基本的な方針はつくるわけですが、それがしっかりやはりマネジメントがちゃんとできておるかどうかなということも、私はまだ就任して二カ月でありますが、やるべきことが多々あるなというふうな思いがしております。  おかげで、いわゆるSIP等々は比較的順調に動いておるような気がしますが、御指摘ございましたように、いまだしの感も一方においてありますので、そこら辺、さまざまな御意見を聞かせていただきながら、しっかりとその役割が果たせるように頑張っていきたいと思います。
  73. 大串博志

    大串(博)委員 ありがとうございます。  今御答弁いただきましたけれども、いろいろ取り組みはされていると思うんですね。SIPあるいはImPACTといった重点化のための枠組みも決められております。  ただ、そういった中で、私もずっと予算等々を担当していて、戦略的に予算を組んでいく中で、霞が関システムを前提としてやっていくときに一番重要なのはやはり二つ。今大臣も少し言及されていましたけれども、重要なのは二点あると思っていて、一つは、予算要求過程からしっかり総合科学技術会議、司令塔が絡んでいくという話。もう一つは、最終的な予算のでき上がりのときに、総合科学技術会議が示した優先順位ができるだけ明確に示されて、それがかつ予算に反映される。この二点が究極的に大事だというふうに思うんですね。  ぜひこの方向で、SIPなども同じような方向に向けて頑張っていただいていると思いますので、よりいい方向で進めていただきたいということをひとつ述べておきたい。  そのときに、総合科学技術イノベーション会議、私自身も担当していて、非常にいい会議です。各先生方、頑張っていただいています。頑張っていただいているんだけれども、頑張っていただいているがゆえにというところもあるのかもしれません。総合科学技術イノベーション会議自体が、いろいろな分野先生方が参加されていますので、いろいろな分野の縦割りに陥る弊害を時々露呈しているんじゃないかという気がしないでもない。本当に各先生方は一生懸命やっていただいていますけれども、どうしてもそういう色合いが出てきてしまうところがあるのではないかという気がするんですね。  そういう懸念を排していくためにも、私たち民主党のときに法案としてつくろうとしていた中に、科学技術顧問を政府の中に一人入れてもらって、全体的な観点からアドバイザー機能を果たしていただこう、こういったことも考えて法案も用意しようとしたところがあります。  こういった総合科学技術会議の役割をしっかり果たしていただきながら、さらにそれに加えて、戦略性を持たせるような科学技術顧問のあり方も含めて、どういうふうな検討がなされているのか、この点に関しても大臣の御見識をいただきたいと思います。     〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 山口俊一

    山口国務大臣 お話しいただきましたように、確かに、予算要求の段階、そして、いざ内示がおり、決定する段階、しっかりとそこら辺はやはり司令塔として頑張らなきゃいかぬと思っております。  さっき申し上げましたように、概算要求の前に予算関係の、私も出席をして関係会議をやるようにしておりますが、本当にしっかり機能しておるのかどうか、まだ私は一回も出席しておりませんので、ぜひとも、そのときまだもし大臣をやっておりましたら、ちゃんとこれはやっていきたいと思っておりますし、また、出口に関しましても、財政当局とも十分協議をしながらしっかり進めていきたい。  今お話しの科学技術顧問でありますが、これも、いろいろないきさつも聞かせていただきました。当時、大串先生の方もいろいろな議論をなさったやに聞いておりますし、実は今回も、総合科学技術イノベーション会議とか産業競争力会議においてもいろいろな議論をさせていただいております。  実は私も、イギリスの科学技術顧問さんにお目にかかって、いろいろなお話も聞かせていただきました。それはそれで、やはりメリットもある反面、例えば、スタッフはどうするのかから始まって、では、どういうふうな位置づけにその顧問さんがなるのかということもあろうかと思います。また、我が国にはいわゆる補佐官制度もございますし、では、総合科学技術イノベーション会議がそういった役割を果たしたらどうかというお話もございます。  ただ、総合科学技術イノベーション会議というのは、実は執行にもかかわってくる、施策にかかわるわけですから、純粋な科学技術顧問というのはやはりちょっと違うんだろうなと私も思っております。  いろいろな議論を今もしておりますし、私も大変興味がある話でありますので、できれば、機会があれば、イギリスの方のあり方をもう少し研究させていただきたいし、実は、イギリスの科学技術顧問さんから、人事交流をしたいというお話もございました。そういったことも検討しながら進めてまいりたいと思います。
  75. 大串博志

    大串(博)委員 終わりますが、科学技術の戦略性をどうつくっていくかでございますので、ぜひしっかりお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  76. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、鈴木義弘君。
  77. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘でございます。  限られた時間でありますので、質問に入りたいと思います。  人、物、金、これは産業分野の中で、今回の特別委員会になっております科学技術イノベーションでも同じことが言えるんだと思います。いろいろな先生方がいろいろな角度から御質問をされてきたんだと思うんですけれども、結局、知財ということに尽きるんでしょうけれども、知財自体があっても、お金にならなければ世の中には認められないということなんだと思うんですね。  そうじゃないよという方もいらっしゃるんですけれども、でも、実際、それがあって初めて産業が活性化したり、私たちの暮らしが楽になったり、ある意味では、医療界でいえば、長生きができるとか、けがが早く治るとか、障害の方はロボットみたいなものがあれば少しサポートされるんだと思うんです。  何の業界でもそうだと思うんですけれども、企業でも組織でも、官僚制度も同じだと思うんですね、やはり、PDCAサイクルというんですか、それがどういうふうに機能していくかということなんだと思うんです。  その中で、ある知財を、大学でも企業研究者でも、どこかで発表しなければ認めてもらえない。  よく、国際的に評価が高いというふうにおっしゃられるところに、過去もいろいろな、文科省を初め、補助金を出したり、特別サポートもしてきたんだと思うんですけれども、では、国際的に評価が高いと誰が審査するんだといったときに、ここで、日本でも海外でも学会という組織があるんだと思うんです。日本化学会だとかいろいろな学会が、物理でも化学でも医療でも、人文学も学会があります。  その中で、日本の学会が発行している学会誌がだめだ、だめだというふうに言われ続けて久しい。日本の学会誌の何がだめなのか、どうしてだめなのかという抜本的な検討がされてきたのかという報告書を読んだんです。私も大学先生にお世話になっている一人でありますので。  今は、企業研究室の方がいい発明、発見をしても、学会で発表しないんだそうです。特許も取らないんです。それは何かといったら、やはり企業防衛のために、基礎研究的、基幹的な知財にかかわるものに関しては、逆に、特許も出さないし、学会発表しないんです。それで、周辺特許と言われている、応用特許に付随するようなものだけを特許化して、二十年間権利保護をするという時代なんだそうです。  その中で、学会誌がだめだというふうに言われてきたんですけれども、立場がちょっと違うので、大臣にお尋ねするのが正しいかどうかわかりませんけれども、抜本的な検討がなされてきたのかどうかですね。  国際的な評価が高いというふうに位置づけをして、国が補助金を出したり、サポートをしようというのをずっと今まで続けてきたんですね。それの最たるものは、サイエンス、ネイチャーではありませんけれども、そこに投稿したいという学者の人たちがいて、そこで評価されたから評価が高いという話になるんだと思うんです。  では、日本の学会誌に関して、なかなか投稿しないとかという話もある中で、抜本的な検討をしてこられたのか、お尋ねしたいと思います。
  78. 山口俊一

    山口国務大臣 今、先生指摘のとおり、学会といってもいろいろございます。医学関係も多々ございます。ですから、若干性質が違うのかなというふうな感じもありますが、学会とか協会というのは、大学などの研究者を中心に自主的に組織をされた団体でありますし、研究者によって、研究成果の発表とか評価とか、研究者の間の、あるいは国内外の関係団体との連携の場としては大変重要な場なんだろう、役割を担っておるんだろうと思います。  ただ、御指摘のように、大事なところはそういった学会誌にはなかなか発表しないといったこともあるんだろうと思います。政府では、実は、第五期の科学技術基本計画の策定に向けて検討に着手をいたしましたけれども、科学技術イノベーション推進に向けて、学会等の関連する各主体が有機的につながって協働できるようなイノベーションシステムの構築、これが課題じゃないかというふうな指摘も実はなされております。学会、協会はこのいわゆる主体の重要な一つでございますので、例えば学会、協会が連携して発言力を高めていくということも有効ではないかというふうに考えております。  いずれにしても、第五期の基本計画に向けて、そういったことも含めながら検討していきたいと思っております。
  79. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 ありがとうございます。  昨今、日本の学会の会員数が減少しているというふうにも言われています、少子化の関係もあるんだと思うんですけれども。  それで、国際的に先端を競っている分野に多い現象で、欧米の学協会誌というんですか、商業誌と激しい競争をしているんだそうです。日本の学会誌も、海外も含めてですね。それで、購読部数や論文の引用数等で厳しい状況に置かれている。  どこで発表するかといったら、学会誌で発表するわけですね。あるレベルの学会誌については、このぐらいの研究データであれば、この学会誌でいいだろう、もっと高度な研究データが出れば次のステップ、最後にサイエンス、ネイチャーというのが学会誌の、人文科学系は別なんですけれども、そこを目指して先生方は鋭意努力されているんだと思うんですけれども、そういいながら、我が国の評価システムとの関係で、意欲的な若手研究者が論文発表の場を海外の学術誌に求める結果を招いているんだそうです。我が国の学協会の活力を低下させる悪循環を招いているとその報告書ではうたっているんですね。  ですから、今、大臣がおっしゃられたように、独自な自主性の中で、交流の場でいろいろな情報交換をするんですと。先ほど私の前任者の先生質問の中で、大臣が答弁で、イギリスと交流をしていきたいんだと。  それはやはり国がサポートするんですか。そこは国がサポートするのであれば、今の学会のサポートも、きちっとやはり国がサポートしてやってもいいんじゃないかと思うんですね。国としてのサポートを教えていただければと思います。
  80. 山口俊一

    山口国務大臣 さっきイギリス交流云々と申し上げたのは、実は、科学技術顧問の制度に関して、一度日本の方から担当を誰かよこして勉強したらどうですか、イギリスからもよこしますよというふうなお話であったわけでございまして、直接民間あるいは学会等の交流ということではないんです。  先生指摘のとおりで、学会のあり方、これもさっき申し上げましたように、いろいろな考え方があり、そこら辺を次期基本計画の中で位置づけしていきたいと思いますが、やはり一つの色彩として、同じ学問に携わる皆さん方団体、それを通じてさまざまな交流をし、かつ、お互い技能を高めていくというふうな色合いがこれまで非常に強かったんだろうと思うんです。  しかし、それをもう少し、ある意味グレードアップしていくというのは、やはりそれぞれの交流の中でもっと役割を高めていくとか、いろいろなやり方はあろうかと思いますが、御指摘の、国がどこまでお力添えをできるかというのも含めて、次期基本計画の中で位置づけできるように、しっかり議論してまいりたいと思います。
  81. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 ありがとうございます。  研究者先生お話をすると、世界的に見て誰もやっていない分野だからやるんだという話もあるんです。それは何でですかと尋ねたときに、誰もやっていないと競争しなくて済むんだと。  だから、研究の世界というのが難しいのは、誰もがやる世界は確かに層が厚くて、いい結果が出るときもあるんですけれども、そこだと一番になれないんです。だから、この科学技術イノベーションというのは難しいんだと思うんですね。誰が目ききであったとしても、誰も取り上げない分野であったり、誰もやろうとしない分野を丁寧に丁寧に研究してデータを蓄積して発表して、すごいじゃないかというのが研究者の世界で当たり前のように行われているという話も聞いたことがあります。  ですから、どこで線を引けばいいかというのは、これはなかなか難しいんだと思うんですけれども、でも、せめて、学会誌を発行しているとかですね、もっと日本の学会誌の位置づけを上げていかれれば、海外の論文の引用数も自然と上がっていくわけです。今申し上げたように、若い日本研究者は、日本の学会誌はグレードがちょっと、まあ、この辺にあるんだかどうかわかりませんよ、でも、海外に出した方がみんなが見てくれるから、みんな海外に出すわけです。それを逆に日本に呼び戻すような形で国がサポートしない限り、なかなか、一企業が会費を払うとか、一個人が会費を払う中ではやはり限界値があるんだと思うんです。その中で、やはり国がきちっと示す方向、国家戦略というのが私は大事になってくるんだと思うんですけれども、第五期の基本計画をおつくりになるときに、ぜひその辺も御考慮いただければなというふうに思っています。  次に、我が国の評価システムの根幹、いろいろな補助金を出したり、採択するかしないか。インパクトファクターというような言い方があるんですけれども、それが一つ評価基準になっているという話です。  現在の評価が、よりIF、インパクトファクターの高いジャーナルへの掲載を優秀な論文とみなすならば、IFを熟知した研究者があったとしても、IFがより高いジャーナルへの論文掲載が多くの研究費獲得につながるのであれば、多くの場合、初めに、その研究にふさわしい分野で、IFの高いジャーナルへ論文投稿を行うことになるだろうと言われているということなんですね。  現在、研究費補助の評価基準はIFを基準にし続けているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  82. 山脇良雄

    山脇政府参考人 お答え申し上げます。  インパクトファクターとは、先生指摘のとおり、ある雑誌に掲載された論文が特定の期間に平均どれくらい引用されているかということを示す指標でございまして、ジャーナルを評価する指標の一つとして利用されているところでございます。  研究費、特に、あらゆる研究分野における学術研究支援する科学研究費助成事業、科研費の事例で申し上げますと、この科研費の申請書には研究業績を記載する欄がございますけれども、そこでは研究者の論文等を記入するということにはなっておりますけれども、インパクトファクターを申請書に記入させたり、審査の際に評価基準にしているということはございません。  科研費の研究課題の審査におきましては、研究目的の明確さ、研究の独創性、学問分野とか関連学問分野への貢献度などを考慮し、また、その研究者の従来の研究成果というものも厳正に評価するということを基本としております。
  83. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 ありがとうございます。  そうですね。今御答弁いただいたんですけれども、文科省は平成十七年にそれと同じような、インパクトファクターは特定の研究分野における雑誌の影響度をはかる指針として利用されるものであり、掲載論文の質を示す指標ではないことを認識して、その利用については十分な注意を払うことが不可欠であるということを評価指針の改定に示しているわけですね。だから、それで間違いないということなんだと思うんです。  次に、論文や情報が電子化される時代になってきたと思うんですが、電子ジャーナル時代に入っている現在、国としての各学会への支援のあり方についてお尋ねしたいと思います。
  84. 山本ともひろ

    山本大臣政務官 委員指摘の学術情報の電子化あるいはジャーナルの電子ジャーナル化でございますが、我々としては、学会が研究を発表する、そういった中で、世界がグローバル化に進む中で、ジャーナルを電子化するということは大変重要なことだと認識をしております。  そのため、文科省としましては、科研費において国際情報発信力強化に対する財政的な支援を行っているところでございます。あるいは、科学技術振興機構によりまして、ジャーナルを電子化するというようなフォーマットを提供しておりまして、さまざまな学会が、十四年ぐらい前から始めておりますが、参加をしてくれる学会も相当ふえてまいっているところでございます。  こういった取り組みを通して、我々文科省としても電子ジャーナル化をどんどんと推し進めてまいりたいと思っております。
  85. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 今まで御質問をさせてもらったのは、一応一つの流れがありまして、結局、論文というより自分の研究成果をどこで発表するのかといったときに、先ほど文科省の担当の方から御答弁いただいたんですけれども、では、国際的な評価というのはどこから来るんだということなんですね。  科学技術振興会、補助金を出しているんですけれども、特別補助金というところの項目を見ると、条件の一番最初に出てくるのは、国際的な評価が高いものに対しては申請してくださいというような書き方がしてあるんです。これは、きのう、ホームページで見たんです。  国際的な評価が高いという話になったときに、では、どこでそれを評価しているのかといったら、論文誌なんだと思うんです。わざわざ国際会議場で、世界各国から人を集めて、私は新しい論文の発表があるからといって発表できるだけの財力を持った研究者だったら、自分で投資して、どんどんもっと研究していると思うんですよ。だから、論文発表というのは、学会誌に載せるか、学会が主催する場で発表する、この二つというふうに言われているわけなんですね。  だから、文科省なり、科学技術イノベーションを所管される大臣内閣府になるんだと思うんですけれども、やはり国がもう少し明確な基準を出してあげないと、変わっていかないんじゃないかということなんです。  その位置づけの中で、電子化されたジャーナルというのは、今、誰でも、世界じゅうどこでも見られますから、引用数も、物によってはどんどん上がっていきます。昔は、ペーパーで、物がなければ、一々本をひっくり返して、学会誌を取り寄せて、そこから引用していって、著者なりデータを出した人の名前を入れて出さなければできなかった時代が、もっと早い時期に瞬時にできるようになったので、ぜひやはり国の支援お願いしたいなと思います。  あと、これからなかなか難しいと思うんですけれども、人間を評価するのに数値化することに意外と危険があるんじゃないかというふうに言われているわけですね。学術評価より難しいというふうに言われております。  我が国の学術評価のあり方、すなわち学会のあり方を新しい指針、先ほど大臣の方から御答弁いただいたように、第五期の計画の中に盛り込んでいきますと言われれば、それで終わってしまうんですけれども、やはり学会の位置づけを上げていかないと、そこに集まる研究者も来ないし、そこに投稿しようという研究者もどんどん海外流出してしまうということでありますので、学会のあり方に対して新しい指針を出していただけたらなというふうに思うんですが、御答弁いただければと思います。
  86. 山本ともひろ

    山本大臣政務官 委員指摘の、各学会に対する新しい指針ということでございますが、そもそも、学会というのは、会員の研究者たちがそこに集まって、自由闊達に議論をして、研究活動を展開していくというものでございまして、文科省として統一的な指針というものを定めていることがございません。ですから、新しいのか、あるいは古いのかという話になると、そういった統一的な指針がないということがまず大前提としてございます。  ただ、そういいましても、我が国の学会がもっと自由闊達に議論をしていただくためにも、科学技術・学術審議会の学術分科会というところで、この五月に中間報告というのが出ております。その中に、伝統的に体系化された学問分野を超えて新たな学問分野創出するという未来志向の研究活動がいいんじゃないか、あるいは、自律的な不正防止のための積極的な取り組み、国民への積極的な情報発信など学術研究に対する関心を高める取り組み、また、優秀な研究者を適切に評価し、さらに伸ばす方策などに取り組むということをしてはどうかという提言をまとめているところでございます。  我々文科省としましては、こういった議論、提言を踏まえまして、学会がより発展的な活動ができるように支援してまいりたいと思っております。
  87. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 ありがとうございます。  日本は、科学技術立国だとか、先端を行っている国だというふうに言われているんですけれども、これから二十年先、三十年先、今のやり方で本当にそれが保っていかれるかというのは疑問視されると直接大学研究に携わっている先生から聞いたこともあります。  一つは、今政務官の方から御答弁いただいたように、科研費について不適正という、確かに過去にいろいろな事例がありました。  日本は、投資と融資の違いがよくわかっていませんし、投資というのは、やはりリスクがあるんだと思うんですね。  確かに、国民の皆様方からお預かりしている税金を無駄なく使うとか、ロスのないように使いたいとか、不正は認めない、これは当たり前の話だと思うんです。でも、国が科学技術振興に関与するということであれば、ある程度やはり科研費が使いやすいものでなくちゃいけないんだと思うんですね。それと不正というのとは、また別次元の話だと思うんです。  現場の話を聞きますと、科研費でお預かりするんですけれども、なかなか科目の流用が認められないとか、使い道がぎちぎちに縛られちゃって、後でもうどうにもならないとか、年度末で使い切れなかったんですけれども、実際は、返すんじゃなくて、使い切っちゃってくれとか、そういう話も聞いたことがあるんです。  その辺もやはり、単年度で見た方がいいのか、これは複数年で見た方がいいのかというのは、物によって強弱をつけているんだと思うんですけれども、新しい技術をこの国から芽を出させるとか金の卵を産んでもらうんだということであれば、やはりリスクは国がとるというのがありでないかなと私は思うんですね。  それは、もしかしたら成功しないかもしれないんです。だって、成功するのがわかっていたら、私だって金を出しますよ。どの企業だって出しますよ。でも、もしかしたらこの人は当たるかもしれないなというふうに思うから、ことしノーベル賞をおとりになった三人の青色発光ダイオードもその一つだと思うんですね。  赤い発光ダイオードがあって、青があって、あと黄色だとかというふうに言われているんですけれども、今、白い発光ダイオード自体はできていないわけですね。色を上からかぶせて白い色を出したりしているんです。そういったものがいつか出るかもしれませんけれども、でも、その研究をやっている人は、全然日が当たらないところにいる人かもしれませんし、学会発表をしていない人かもしれないんです。  そこの人にどう日を当てて、新しい技術として芽を吹かせるかといったときに、出した先を余り厳しくしてしまっても、リターンを求めるというのはわかるんですけれども、それは投資じゃないんだと思うんですね。そこのところの方向性をやはり国がきちっと出した方がいい時代に入ってきている、おっかなびっくり補助金を出したり科研費を出すんじゃなくて。  ある大学先生のところは、一年間の科研費は幾らかといったら、八十万という話も聞いたことがあるんです。何もできないで終わっちゃう。あるところは、何百万、何千万もいただく先生もいらっしゃるわけですね。では、その八十万の人は、もう将来性がないんだから切っちゃっていいのかといったときに、本当は、三十年先かもしれません、二十年先かもしれない、もしかしたら芽が出るかもしれない。  だから、その辺の考え方が、今ちょっと矛盾した言い方をしているかもしれませんけれども、評価をしたところにはたくさんお金は出すんですけれども、評価が低いところには、出さないなら出さない、出すんだったら最低の研究費ぐらいは出すというようなものをつくっていかないと、やはり日本から新しい芽というのは発芽していかないんじゃないかと思うんです。そこをお尋ねしたいと思います。
  88. 山本ともひろ

    山本大臣政務官 委員指摘の科研費、なかなか使い勝手が悪いのではないかという冒頭の御指摘でございますけれども、いろいろな研究者から我々文科省も御意見をいただいたり、いろいろなところの提言をいただいて、随時見直しを行っているところでございます。  少し具体的、細かな説明になるかもしれませんが、平成二十年度には、物品費、人件費などの研究費目の間での流用の制限を緩和したり、平成二十一年度には、先ほど委員指摘の、年度を越えた繰り越しの弾力化のための手続を簡素化して、研究者皆さんにそういうことがより簡易にできるようにしたり、あるいは、平成二十三年度には、それも委員指摘の複数年度にわたる使用、そういったことを可能にするために、基金制度というものを導入いたしております。  いろいろな御意見がありますので、我々も平成二十五年度に、実際、約千五百名の研究者皆様に、科研費の使い勝手はいかがですかというアンケート調査をしております。その中では、手前みそではございますが、大変使い勝手がいいというようなお答えをたくさんいただいております。  ただ、そういったことに甘んじることなく、委員指摘のように、研究者が本当に伸び伸びとこれから研究活動がしっかりできるように、科研費はどういう制度が今後あるべきか、きちっと検討してやってまいりたいと思います。
  89. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 最後に、大臣にお尋ねしたいんです。  現行の制度科学技術立国を維持していかれるとお考えかどうか、それだけ最後にお尋ねして、終わりにしたいと思います。
  90. 山口俊一

    山口国務大臣 現行の制度といっても、いろいろあろうと思うんですが、先生の方から御指摘をいただいた、あるいは、我々としても問題意識としてはいろいろ持っております。そこら辺をしっかり意識しながらやはりやっていくということなんだろうと。  枠組み自体は、私は結構うまくいきつつあると思っております。とりわけ、総合科学技術イノベーション会議の役割というのは、やりようにもよるのでしょうけれども、形としては非常にうまくいっているだろうというふうに理解をしておりますので、そこら辺を中心に、さらに、内閣府として横串を刺す、いわゆるリーダーシップを発揮しながら、司令塔として頑張っていきたいと思っております。
  91. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 済みません、最後にならなかったんですけれども、大学の位置づけが、名前を出しちゃっていいのかな、東大、京大を一つの山としたら、こうなっちゃっているんですね。こうなっていないんです。では、こうなっちゃっているV字カーブのここのところをどうするかというのは、何年も前から課題になってきたんですね。  科研費をもらっているとか、いろいろな補助金をもらっているところを、どこが採択されているかというのをずっと見ていったって、ほとんど東大、京大ですよ、はっきり申し上げて。それ以外の大学の名前が出てくるというのは、余り言っちゃうと語弊がありますから、それ以上は申し上げませんけれども、その中で、V字になってしまっているところをどう底上げしていくかということなんです。  それで、きちっと、どこの大学がいいとかは言わないですけれども、やはり裾野を広くとっていくような仕組みにしていかないと、科学技術立国日本というのはほかの国に置いていかれてしまうんじゃないかと思いますので、最後に、御答弁いただければ結構ですし、お願いという形で、よろしいでしょうか。
  92. 清水鴻一郎

    清水委員長 では、簡潔に。
  93. 山口俊一

    山口国務大臣 その点も十分理解をしておるつもりでございます。  そういう中で、さっきのノーベル賞の話じゃありませんが、徳島大学で勉強した方がとった、名古屋大学で勉強した方がとったというのは、非常にこれからの弾みにもなると思いますので、しっかり頑張りたいと思います。
  94. 鈴木義弘

    ○鈴木(義)委員 ありがとうございました。
  95. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、岩永裕貴君。
  96. 岩永裕貴

    ○岩永委員 維新の党、岩永裕貴でございます。  本日は、午前中最後ということで、三十分の時間をいただいております。建設的な議論をさせていただきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  総理が、さきの通常国会の施政方針演説で、日本を世界で最もイノベーションに適した国としてまいりますというような言葉を述べられました。  本委員会の名前にもイノベーションという名前が追加をされまして、CSTIを軸に、各省より一段高い立場から、総合的、基本的な科学技術政策の企画立案及び総合調整を行うというようなことが行われておりまして、政府イノベーションそして科学技術に対する思いというものは非常に評価をいたしますし、できるだけ応援をしながら、日本の再興に向けて、前へ前へと進めていければというふうに思います。  このイノベーションという言葉は、恐らく、私の感覚では、この七年そして五年ぐらい前からさまざまなところで語られ始めるようになってきました。ただ、まだイノベーションそのものを日本語に訳すとか、そのものの定義というと、なかなか難しい状況にあるのが現状ではないかというふうに思います。  申しわけございません、これは通告していないんですけれども、大臣の考えられるイノベーションとは何なのかというところを、ざっとで結構ですので、お答えをいただければと思います。
  97. 山口俊一

    山口国務大臣 岩永先生指摘のとおりで、若干和製英語に近くなっているのかなという思いもするんです。  外国では、イノベーションといった場合に、結構、いろいろなものを集めてきて、例えばアップルなんかがそうなんですね、ああいうのをすごいイノベーションじゃないかという言い方をするようですが、我が国の場合は、それも含めながらも、やはり革新的というか、そういったニュアンスが非常に強く出ておるのかな。いろいろな意味合いをイノベーションというのは含んでおると思います。私も、使い方には気をつけようと思っております。
  98. 岩永裕貴

    ○岩永委員 ありがとうございます。  イノベーションというのが、明確な定義は何かと言われると、私も持ち合わせていないわけでございます。ただ、価値がないと思われていたものに価値が出てきたり、価値のあるもの同士が、一足す一が五になったり十になったりというような、さまざまなそういった社会的な変化を生み出していくものがイノベーションというものだと思います。  それで、イノベーションというのは、このたびのImPACTでもそうなんですけれども、ハイリスク・ハイリターン、失敗をしてもいいものなんだという考え方を政府が持たれたということには非常に大きな共感を覚えるわけでございますし、私も、二年前から総務委員会等で、特にビッグデータの話なんかを中心によく質問してきたんですけれども、やはりトライ・アンド・エラーの繰り返しじゃないかというふうなことを申し上げてまいりまして、失敗を失敗としない、失敗は成功のもとという言葉が日本には古来よりありますけれども、まさにその実践を政治はしっかりとしていくべきだというふうに考えております。  それで、本日を迎えるに当たって、質問を幾つかずっと自分なりに考えてきているわけなんですけれども、結構細かい話、専門的な話を伺おうかなと思っていたんですが、どうもやはり政治が余り関与し過ぎるとだめな世界でもあるのがイノベーションというところだと思います。できるだけ自由に、失敗を恐れずにやっていただく環境をいかに整備するのかということが大切なことであって、ルール化をしたり、PDCAをしっかり回していったり、何を評価していくのかということについても、余り過度な入り込みを政治自身がしない方が、イノベーションというものを生み出す環境には適しているんだろうなというふうに考えます。  ただ、やはり最低限、政治がそういった環境をつくっていくという観点で、きょうは質問をさせていただきたいんです。  まず、一番最初にお伺いしたいのがお金の面ですね。データをこちらの方に準備させていただいたんですけれども、民間の対GDP研究開発投資比率の推移というグラフがこちらにあります。  今、二〇一二年時点で日本は二・五七%、これを三%にしていこうという目標を立てられています。韓国なんかが、近年すごくこのあたりの、民間投資比率というものが向上しております。日本はそれでも二・五七%ですけれども、アメリカやドイツ、フランス、中国よりは高い比率になっているということで、民間皆さんは、研究開発については結構意識を持って投資しておられるというようなところが見てとれるのかなというふうに思います。  一方で、では、政府がどれだけ研究開発お金を投じているのかということになりますと、間接支援、直接支援というものがありますけれども、きょうはその間接支援研究開発税制のことについて少しお伺いをしたいなというふうに思っております。  これも、データは私の手元にございます。民間研究開発投資に対する政府直接支援及び研究開発税制、間接支援の対民間研究開発費率というものがございます。  これは、先ほどの民間に比べて、諸外国よりも非常に低い数値が出ております。具体的には三・八四%という数値がございますけれども、こうした政府の対民間研究開発費率が諸外国に比べて低いというような事実についてどのような課題認識を持っていらっしゃるのかということについて、お伺いをいたします。
  99. 山口俊一

    山口国務大臣 御指摘をいただきましたように、政府研究開発投資につきましては、実は、今の第四期の科学技術基本計画におきまして、期間中の政府研究開発投資の総額規模を対GDP比の一%にすることを目指して、これは約二十五兆円になるわけですが、取り組んできておるわけであります。また、この方針は、先般の日本再興戦略の改訂版においても実は確認をされております。  一方、二十六年度の科学技術関係予算というのは、一体的に編成をされた二十五年度の補正予算と合わせて四兆円を超える規模を確保させていただいたというところでございます。
  100. 岩永裕貴

    ○岩永委員 ありがとうございます。  ぜひ、こうしたお金の面でのサポートというものがまずは最も大事なことになってこようかと思いますので、全体的、直接支援そして間接支援を含めて、さまざまな支援を今後も行っていただきたいと思いますが、研究開発税制の間接支援については、赤字決算の企業が税額控除の制度が受けられないということになっております。  結構、このイノベーションというのは、先ほど申し上げましたように、中小零細企業とか、やはり経営的にはなかなか厳しいけれども、町工場でチャレンジングな開発研究を行っていらっしゃるところも多い。そういうところにいかに目をつけながらそういった可能性を開花させていくのかということも非常に重要な視点だと思います。  そうした、経営的には厳しいけれども、チャレンジングな研究開発を行っていらっしゃるというようなところについて、どういったサポートというか、政府がそういった可能性を一つ一つ開花させていくための体制というものをどう考えていらっしゃるのか、お答えいただければと思います。
  101. 山口俊一

    山口国務大臣 いろいろな方策があろうかと思います。  今お話しの中小・中堅ベンチャー企業というのは、事業化の決定の前提となる市場の大きさとか、あるいは意思決定のスピードの速さ、これは大手と異なる特性がありまして、まさにイノベーションの担い手として重要な役割を果たしていくことが期待されております。  いろいろな方法がある中で、私の方から申し上げることができるのは、中小・中堅ベンチャー企業の活性化のためには、初期段階での資金調達とか、あるいは需要創出を円滑にするという観点から、今もお話がございました税制、あるいは調達などの制度を有効に活用していくことが重要であろうと思っております。  このために、府省連携によります中小企業技術革新制度というのがございますが、これを活用した、いわゆる挑戦の機会拡大を図っていくとともに、政府が行う研究開発のプロジェクトへのベンチャー企業等の参加の促進、研究開発税制の活用促進等によって、民間企業研究開発投資設備投資環境の整備などに重点的に取り組んでおるところでございます。  ただ、いろいろと各方面のお話を聞きますと、この中小企業技術革新制度、これもちょっと使い便利が悪いですねというふうなお話もございます。やはり、そういったところも踏まえながら、じわじわと改善をさせていきながら、しっかりと中堅のベンチャーの皆さん方にお応えができるように頑張っていきたいと思います。
  102. 岩永裕貴

    ○岩永委員 ありがとうございます。  政治、行政がそういった全国に広がるいろいろな可能性を見つけながらサポートをしていくというのも、ある程度、やはり一定、限界があるのかなというふうに思います。  それで、ちょっと通告の順番が前後いたしますけれども、そうした可能性を開花させていくのには、やはり日本全国でベンチャーキャピタルなどの投資環境というものを育成していく、そういった文化をしっかりとつくっていくこと、そして、そうしたベンチャーキャピタルが地域の隅々まで回りながら、一獲千金という言葉がいいかどうかわかりませんが、自分たちの投資先を見つけていくというような文化が日本全国に広がれば、そういった小さな可能性も一つ一つ開花していくのかなというふうに考えております。  そこで、諸外国では結構でき上がってきているベンチャーキャピタルなど投資環境の活性化ということについて、そうした文化をいかに日本という土壌で広げていくのかということについて、少し大きい話ではありますけれども、いかに考えていらっしゃるのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  103. 松本洋平

    ○松本大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。  今、委員指摘のとおりでありまして、企業の活性化、特にベンチャー企業の活性化を図るためには、ベンチャーキャピタル等の多様な資金供給主体の活性化、また、リスクマネー供給の円滑化が重要であるということを認識しております。特に、ベンチャー企業などの技術性、またビジネス性の目きき機能を有し、ハンズオンによる経営、事業化のサポートも行えるリスクマネーの供給者の存在が鍵となるわけでありまして、このようなベンチャー企業などとリスクマネーの供給者が活動しやすく、研究開発事業化に係る活動が継続的に行われる環境を構築していくことが重要であると考えております。  このため、科学技術イノベーション総合戦略二〇一四、ことしの六月に閣議決定をされたものでありますけれども、こちらにおきましては、国立大学法人などによります大学発ベンチャー支援会社等に対する出資、これは国立大学法人法の改正によって実現をしたものでありますし、また、金融仲介の仕組みの整備や、産業革新機構や政府金融機関の参画によるリスクマネー供給の強化、これは金融商品取引法の改正によってもたらされたものでありますが、また、エンジェル税制の運用改善などによりますベンチャー企業に対する投資環境整備などの施策を掲げまして、現在、推進をしているところでもあります。  今後も着実に前進をさせていきたいと思います。
  104. 岩永裕貴

    ○岩永委員 ぜひよろしくお願いをいたします。  そして次に、先ほども御紹介させていただきました総理の言葉、日本を世界で最もイノベーションに適した国にすると。日本国内の研究者皆さんをしっかりと金銭的にもサポートしていくことは物すごく大事なことなんですけれども、やはり世界の研究者日本に来ていただいて、日本という舞台で活躍をしてもらうこともすごく大切なことであります。  そして、いろいろな文献等を見ていると、まず、世界の研究者日本というところに来て研究ができない大きな理由としては、やはり言葉が、英語であったりとか国際的な言葉がなかなか通じないということと、あとは住環境研究者にも家族があるわけで、子供が、インターナショナルスクールがまだまだ日本国内には少なかったりというようなことも課題としておっしゃっている世界の研究者が非常に多いということを伺っております。  そうした、世界の研究者日本で活躍できる社会的なバックグラウンドの構築というか、特に言葉の壁であったりですとか住むということに対しての環境整備をどのように進めていかれるおつもりなのか、方向性をお伺いしたいと思います。
  105. 松本洋平

    ○松本大臣政務官 委員おっしゃるとおりでありまして、世界的に頭脳循環が進み、また、科学技術イノベーションの鍵となりますすぐれた方、人材の国際的な獲得競争というものが大変激化をしている中におきまして、国内の研究環境の整備を図るとともに、海外のすぐれた研究者の招聘を促進する仕組みを構築することは、我が国にとりまして極めて重要な事柄だと考えているところであります。  本年六月に閣議決定をいたしました科学技術イノベーション総合戦略二〇一四では、海外に研究拠点を置く日本人を含む世界トップレベルの研究者を呼び込むため、魅力あふれる研究環境の整備とともに、今、委員から御指摘がありましたように、そうした研究者の方がこの日本で快適に生活できるような、そういう環境整備を進めることとしているところでもあります。  具体的には、永住が許可されるための在留歴の短縮といった高度人材に対する優遇制度見直しや、帰国また外国人児童生徒に対する公立学校への受け入れ体制を整備するなど、諸外国の先進的な事例をぜひ参考にさせていただきながら、海外からの研究者などとその家族が居住しやすい環境整備を推進してまいりたいと思います。  総合科学技術イノベーション会議が司令塔となりまして、科学技術イノベーション政策を強力に推進し、関係府省との連携の上、イノベーションの担い手であります優秀な人材確保にこれからも努めてまいります。
  106. 岩永裕貴

    ○岩永委員 ぜひ、早くそうした環境が整うように、リーダーシップを発揮していただきたいです。  引き続いては、いわゆるイノベーションハブと呼ばれる拠点づくりをいかに進めていくのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。  インドのバンガロールであったりアメリカのシリコンバレー、中国のシンセンというところは、世界的にも有名なイノベーションハブとして知られています。イノベーションというのは、御承知のとおり、孤立した環境ではなかなか起こり得ないものでございまして、やはり、いろいろな価値観が出会う、そういった場所というものが最も大切だということも、これは世界の常識として認識をされております。  そうしたことについての、イノベーションハブの構築を国内でどうした方向性で進めていかれるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  107. 松本洋平

    ○松本大臣政務官 先ほど委員からも御紹介をいただきましたとおり、今現在、政府におきましては、世界で最もイノベーションに適した国づくりということで、科学技術イノベーション政策の最重要政策課題といたしまして、安倍総理、そして山口大臣を先頭にいたしまして、推進をしてきたところであります。  イノベーションの実現におきましては、すぐれた研究開発成果実用化、そして事業化へとつなげていくことが大変重要なことであると考えております。  そのためには、さまざまな知識や技術、アイデア、ノウハウを持つ人材が、それぞれの能力を互いに補完してチームをつくっていただいて、そしてイノベーションに向けて相互作用を起こしていくことが大変重要な事柄だと思っております。  政府におきましては、科学技術イノベーション総合戦略二〇一四に基づきまして、研究開発法人を中核といたしました国際的なイノベーションハブの形成に向けまして取り組みを開始したところでもあります。  具体的には、例えばTIA—nanoと言われるような、つくばイノベーションアリーナというものでありますけれども、こちらに関しましては、先端ナノテクノロジーの研究事業化を目指しまして、研究設備や人材の集積をするなど、こうした取り組みというものも進めてきているところであります。  我が国が強みを有する最先端技術研究インフラを最大限に活用していきたいと思います。行政機関の縦割りや産学官相互の垣根を越え、連携体制を構築し、世界に伍する国際的な産学官共同研究拠点及びネットワーク型の拠点としてのイノベーションハブの形成を積極的に推進してまいります。
  108. 岩永裕貴

    ○岩永委員 ありがとうございます。  今申し上げました、まずは、研究者に世界から来ていただけるための社会的なバックグラウンドを整えていくということ、ベンチャーキャピタルなどによる投資環境を文化としてしっかりと育てていくこと、そして、エコシステムと呼ばれる、イノベーションが生み出されるために適切なイノベーションハブをつくっていくということ、私は、この三点こそが政治がしっかりとやらなければならないことであって、それ以上に踏み込み過ぎると、逆にイノベーションというものの邪魔をしてしまう可能性も多々あるのかなというふうに思っております。  この三点について、ぜひ進めていただきたいですし、先ほども前向きな御答弁をたくさんいただきましたので、私どももしっかりと応援しながら、できるだけ早く実現していきたいというふうに思います。  引き続いて、イノベーションというものをもう少し大きく捉えた質問をさせていただきたいのです。  どちらかというと、イノベーションというのは理系の話ばかりが先行してしまいがちなんですけれども、私は、文系というか、プロセスとかソーシャルイノベーションとかというものもすごく大事にしていきたいなというふうに思いますし、日本という国がやはり古来から持っている文化とか伝統とかお祭りとか精神文化とか精神性とか習慣というものは、すごくイノベーションというものを生み出す環境に適しているんじゃないかなというふうに以前から考えています。  例えば、一九二〇年に制定をされました、これは東京天文台などによって制定された、時の記念日というのがあるんです。毎年六月十日ですね、時の記念日として制定をされています。  これは、テレビの番組で拝見をして、なるほどなと思ったので、少し御紹介をさせていただきたいんですが、一九二〇年以前は、日本人というのは時間にはめちゃくちゃルーズな国民であったということであります。やはり農耕民族ということもあったんだと思いますけれども、そんなにきちきちとした時間に縛られずに生きてきた伝統がありました。  でも、これは諸外国からかなり批判を浴びて、日本人ほど時間にルーズな民族はいないぞというようないろいろな非難を浴びて、こういった時の記念日というのを制定されて、町中には、時計を正確に直す、ボランティアで直す人たちがあふれ返っていたり、時というものを大切にしようというようなことが叫ばれて、政府の方も、政治の方もかなり力を入れて、時間の、一分一秒の大切さというものを日本全国に広めていって、今や世界一の時間に正確な民族として我々は存在をしているわけです。  そういう我々の習慣から生まれたのが、奇跡とも言われる公共交通機関、特に地下鉄とかバスのダイヤですよね。本当に、秒単位で地下鉄が走っているような国というのは、世界を見ても例を見ないわけでございまして、そうしたところも、そういう文化があったからこそでき上がったサービスです。宅急便なんかもそうですね。オンタイムで全て手元に届けてくれる、これもアジアですごく広まっているサービスでもあります。  そういった文化を軸としたイノベーションというんですか、どちらかというと文系のイノベーションということについてはどういうふうな考え方を持っていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  109. 松本洋平

    ○松本大臣政務官 イノベーションによりまして我が国の経済再生を実現していく上におきましては、新たな社会的価値を創出するソーシャルイノベーション、また、生産工程に改革を引き起こすプロセスイノベーション、いわゆる理系的な研究開発だけではなくて、その他の部分においてもこうしたイノベーションを進めていくということは大変重要なことだと認識をしております。今、委員から御指摘をいただいたのも、まさにそうした観点からの例の御紹介だったと思っております。  ほかにも、例えばプロセスイノベーションなんかを例にとらせていただきますと、トヨタなんかで有名なかんばん方式などというものもまさにそうした分野に含まれるのではないかと思っておりますし、これが、企業の生産性の向上のみならず、日本の国の競争力の強さにつながっているということで認識をしているところでもあります。  政府といたしましても、革新的な技術シーズ事業化へとつなげる橋渡しを進めるイノベーション・ナショナルシステムの構築を推進しておりまして、革新的な技術シーズ創出のみならず、それが速やかに新製品や新たなビジネスモデルにつながることが期待されているところであります。  さらに、既存の枠組みにとらわれることなく、自由で柔軟な発想を持ち、多様な主体と連携をし、先見性を持った行動ができる人材の育成、活用を進めていくことが重要と考えており、そうした人材が正当に評価され、活躍できるようなイノベーション環境の構築を図っていくことによりまして、我が国が世界で最もイノベーションに適した国となるように努力をしてまいります。
  110. 岩永裕貴

    ○岩永委員 そうした、理系ばかりではなく、どちらかというと文系のイノベーションというのも、日本は非常に大きな財産を長年つくり上げてきた国でもありますので、ぜひ、積極的にお取り組みをいただいて、サービスを世界に発信していける、そんな方向性でお取り組みをいただきたいと思います。  少し通告の質問を飛ばせていただきまして、ビッグデータについて最後にお伺いをさせていただきたいと思います。  ビッグデータの有効性というのは、政府、そしてこちらの委員皆さんも十分に理解をしていただいていると思います。先ほども申し上げましたが、総務委員会でずっとビッグデータ質問を、特に、医療分野ビッグデータの有効性とか、あとは公共交通に対する有効性とかというものを訴えさせていただいてきた経緯があるんですが、やはりビッグデータというのは、データだけあってもどうにもならないわけでございまして、それを分析できる人材の育成というのが私は最も大切なことだというふうに考えております。  そこで、データ分析の訓練を受けた大学卒業生、少し古いデータではあるんですけれども、このデータを見てみると、アメリカなんかは、一年間に大体二万五千人ぐらい、こういった訓練を受けた大学生が卒業されていくわけです。中国も一万七千五百人ぐらいということでございますけれども、日本はやはり大分おくれておりまして、三千四百名というような数値もございます。  こうしたデータの分析というものに対する教育のあり方というか訓練のあり方というかについてどういうふうなお取り組みをいただいているのか、お伺いをいたします。
  111. 佐野太

    佐野政府参考人 お答え申し上げます。  近年、情報化社会の進展に伴いまして、大量で多種多様なデータ、いわゆるビッグデータが爆発的に増加、蓄積しつつあり、その大量のデータを効果的かつ効率的に収集、集約し、科学的な手法によりまして新たな価値を創造するということができるような人材の育成が求められているところでございます。これは、先ほど委員がおっしゃられたとおりかと思います。  このため、文部科学省では、平成二十五年から、ビッグデータ利活用によるイノベーション人材育成ネットワークの形成事業という事業を情報・システム研究機構統計数理研究所において行っているところであります。具体的には、企業へのインターンシップによる大学生、大学院生のデータ分析の実習への支援や、統計学や情報処理等の知識に基づきましてデータ分析の基礎を身につけるためのオンライン教材の作成などに取り組んでいるところでございます。  そのほか、情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業という事業がございまして、クラウドコンピューティング分野における教育の一環といたしまして、大阪大学大学院を中心とした五大学と産業界におけるネットワークを形成いたしまして、ビッグデータ解析に関する課題解決型の演習などを取り入れた実践的な教育を行っているところでございます。  ビッグデータは、気象、地震、天文、生命科学、マーケティング、ファイナンスなど、多くの分野で、社会でますます利活用が盛んになると思われておりますので、大学大学院等における人材育成は重要であると認識しております。  文科省としても、今後とも、大学大学院等におきまして、ビッグデータを解析し、利活用できる人材の育成に努めてまいりたいと思っております。
  112. 岩永裕貴

    ○岩永委員 ありがとうございます。  最後になりますけれども、イノベーションというのは、いかにこれまで自分の中にあった固定概念というのを捨てていけるのかということだと私は思います。何が正解で何が間違いかもわからない、そこから何が生まれてくるかもわからない、どこで生まれてくるかもわからないというのが私はイノベーションだというふうに思いますので、柔軟な頭で、そういった一つ一つの可能性を開花していけるような環境づくりに努めていただきますことを心よりお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  113. 清水鴻一郎

    清水委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  114. 清水鴻一郎

    清水委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮沢隆仁君。
  115. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 次世代の党、宮沢隆仁です。よろしくお願いいたします。  私が元脳外科医であることは何回かお話しして、清水先生と同じなんですが、この委員会は、私にとっては、余り闘わなくていいという意味で非常に居心地がよくて、半分学会みたいなムードでお話しできるのがうれしく思います。  きょうは、テーマとして、宇宙のお話と、それから、ブレーン・マシン・インターフェースというちょっと特殊な機械のお話と、あと、研究不正ガイドラインについて。三つ、ちょっと欲張ったのですが、順番を少し変えさせていただいて、ブレーン・マシン・インターフェースのお話を先にさせていただきたいと思います。  ブレーン・マシン・インターフェースというのは、資料の三にありますが、絵を見ていただければいいんですけれども、頭で何か、手を動かすあるいは足を動かすと念じると、それを何らかの形で、例えば、頭皮の上にキャップを置いたりとか、あるいは手術で骨の下に埋め込むということもあるんですが、どっちかというと手術しないでできた方がいいんですけれども、とりあえず、拾った電気活動を解読して、それの意味を認識して、それで、手を動かすという脳の命令であればそれを手の筋肉に伝えるという意味で、まずは医療の業界で非常に注目された分野です。  最近、アメリカでは、それが安全保障分野にも応用できるんじゃないかということでさらに注目されているマシン、これからBMIと呼ばせていただきますが、実は、これはアメリカでは物すごく進んでおりまして、世界の先端を突っ走っていると思います。  私が質問したかったのは、では日本ではどうなんだろうということなんです。  実は、私ごとなんですが、脳外科の大体の手術ができるようになりますと、ちょっといろいろなことをやってみたくなって、このBMIを研究してみたかったんですね。ところが、日本にその環境がないというのに気づきまして、結局、断念して、気づいてみたら国会議員になっていたということで、もしBMIの研究施設があったら、そっちにどっぷりつかっていた可能性があります。  脳外科医にとっては、脳外科医というのはある意味大工さんみたいなものですから、何らかのインターフェースを脳に組み込むとか、組み込んだ結果を、それを動かしてみて、例えば手が麻痺した患者さんの手がどうなるか、そういう視点で医者は見るわけです。  私ごとはさておいて、日本研究状況というのをまずお聞きしたいんです。  レクで少しお聞きしてみたら、内閣府と文科省と総務省と厚労省、私が聞いただけでも、四つの省庁がこのBMIには興味を持って、それぞれが研究をしているというお話を聞きました。正直、ああ、ここも縦割りかと思ったんです。  代表して、きょうは内閣府から参考人に来ていただいていると思うんですが、その研究状況と、あと、予算額がもしわかれば、その辺、ちょっと先に教えていただけますか。
  116. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 お答え申し上げます。  ブレーン・マシン・インターフェースに関する関係省庁の取り組みについてお尋ねいただきました。  総合科学技術イノベーション会議議論審議を踏まえまして本年六月に閣議で決定いただきました科学技術イノベーション総合戦略二〇一四におきまして、このBMIでございますけれども、人の知識、理解等、脳情報を取り出し、利活用することで、新たなコミュニケーションやマーケティングの創出等、健康医療や福祉のみならず、産業競争力強化に資するいろいろな分野に横断的に適用していく重要な技術一つということで位置づけられているところでございます。  この科学技術イノベーション総合戦略にのっとりまして、現在、御指摘のように、幾つかの省庁で取り組んでおります。  私ども内閣府が進めるImPACT、革新的研究開発推進プログラムでございますけれども、ここにおきましては、社会的にインパクトのある脳情報産業の創造を目指しまして、膨大な脳情報と教育、健康などのサービスの組み合わせを可能とする、簡便、低コストでありながら精度の高い脳情報が取得できる携帯型装置の開発というのを行おうとしているところでございます。  関係省庁につきましては、例えば総務省や厚生労働省は、高齢者、障害者の社会参加の拡大等を促す観点から、BMIの研究開発取り組みを強化しております。また、文部科学省におかれましては、身体機能の回復、代替、補完や、精神・神経疾患の革新的な予防、診断、治療につながる研究開発にBMIを応用しようとしているところでございます。  予算でございますけれども、私ども内閣府が進めておりますImPACTは、本年度から五年間で総額約三十億円でございます。各省は単年度でございますけれども、総務省につきましては、平成二十六年度で約五億円、文部科学省におきましては、二十六年度、四・九億円、厚生労働省につきましては、七千万円ということでございます。  御指摘のとおり、米国等では、オバマ大統領が、ブレーン・イニシアチブということで非常に力を入れているところでございます。我が国におきましては、年平均しますと大体二十億円を投入するというような形になろうかと思います。
  117. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 それでは、BMIについて、各省庁、横の連携をして研究体制をつくるというような意図はありますでしょうか。
  118. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 御指摘のとおり、BMIは、極めて分野も広く、横断的な基盤技術の色彩もございますので、ここは、私ども内閣府、総合科学技術イノベーション会議の司令塔機能強化という観点で、いろいろな各プログラム、政策を体系化して、省庁、横に連携をとりながら進めたいというふうに考えておりますので、この分野につきましても、そういった取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
  119. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 横の連携については、ぜひよろしくお願いします。  それからもう一つ、今、省庁を幾つか挙げましたが、残念なのは、ここに防衛省が入っていないんですよね。  アメリカのお話をちょっとしますと、アメリカはBMIを安全保障の何に使おうとしているかというと、例えば高性能なロボットがいたとして、いわゆる地雷だとか爆弾処理とか、そういうところへそのロボットを行かせて、離れたところで人間が、例えば脳を使うだけでロボットが作業するとか、そういうところを狙っているわけですよね。  あるいは、よくSF映画に出てきますけれども、大きなロボットに人間が入り込んで、手足を使ったりしてそのロボットが動くというのもあるんですけれども、それを、手足を動かさなくても、脳で考えただけでロボットが動いてくれるとか、そんなものも考えているようです。  必ず、アメリカという国はSF映画の世界を現実にしようという傾向がありますので、いずれ、そういう世界がやってくるんじゃないかなと思います。  それで、日本防衛省は、このBMIというものの存在を認識しているかということと、今後これを安全保障分野に生かすという意図があるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  120. 外園博一

    ○外園政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、米国では、国防高等研究計画局、いわゆるDARPA等におきまして、一九七〇年代より、長年にわたり、ロボット技術分野などでブレーン・マシン・インターフェース技術の軍事応用を研究していると承知しております。  一方、現在のところ、防衛省では具体的な安全保障分野への応用可能な検討研究は実施しておりませんが、将来的には、例えば、御指摘のとおり、遠隔操縦ロボットによる地雷除去等の緻密な作業への応用や、戦闘機パイロットが自機の戦闘に専念しつつ支援用無人戦闘機を制御するなど、非常にワークロードの高い分野での応用が期待されております。  こういった観点から、今後ともImPACT等を含め、民生技術の進展を注視していきたいと考えております。
  121. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 そういうお話は今初めて聞きましたけれども、戦闘機にも使えるというのは非常にすばらしいですね。  こういう技術、やはりアメリカはすごいと僕が思うところは、二十年、三十年先にこうしてみたいなと思うことを、基礎研究を粛々と始めちゃうわけですよね、相当のお金をかけて。ほかの国がやっていないようなことをやり始めて、それを現実化して、臨床実験までやっちゃって、一気に実用化しちゃうという、そのプロセスというのは見事だと僕は思うんですね。  あと、もう一つは、防衛省としてつらいと思われるのは、やはり予算ですよね。これはもう相当の予算を使いますので、アメリカのように兆単位の国防予算がもし来ていたら、それはもちろんやりますよということだろうと思うんですが、そこは、別に、お金がどこへ行こうが、こういう研究をやっている人たちが連携すれば済むわけですので、そういう意味で、先ほどの、省庁間の連携というのはすごく大事だと思うんですね。だから、本当に、積極的に連携を始めていただきたいと思います。  もう一つは、日本の安全保障のためという意味でも、日本技術をより発展させるという意味でも、BMIというのは一つの中心になるんじゃないかと私は思っていますので、ぜひ国会議員の先生方も、BMIについて興味を持っていただければと思います。  きょうは、そういう意味で、主にこのBMIをあえてテーマとして出しました。  次は、宇宙のお話に入ります。  宇宙基本計画というのを安倍総理大臣が出されたのを拝読しましたが、全くそのとおりだと私は思います。日本が持っている高い技術を宇宙に生かす、そして宇宙に生かした技術を安全保障にも同時に生かすという発想が今まで余り強くなかったように思いますので、安全保障を軸にした宇宙開発というんですか、そういうのは絶対必要だろうと私は思います。  それで、まず、その辺については山口大臣がお詳しいと思いますので、宇宙安全保障戦略というキーワードで、今後の日本の展望をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  122. 山口俊一

    山口国務大臣 ただいま御指摘の宇宙基本計画、これは、総理の御指示も受けておおむねでき上がった段階で、今パブリックコメントにかけておりまして、年内にというふうな総理の御指示もございますので、年内にしっかりまとめていきたいと思っております。  概略は恐らく先生もごらんになっていただいたと思うんですが、やはり、近年、我が国の宇宙政策を取り巻く環境というのは大きく変化をしてきております。さらには、安全保障環境というのもかなり厳しさを増してきておるというふうな中で、実は、我が国の安全保障上の宇宙の重要性というのが著しく増大してきておるというふうな問題意識を基本として宇宙基本計画を作成しつつあるわけであります。  これは、二十五年、昨年の十二月に策定をされました国家安全保障戦略、ここにおきましても、安全保障上の観点から、宇宙空間の活用を推進して、とりわけ、測位とか通信、情報収集等のため、我が国等が保有する人工衛星等を有効活用するというふうなことになっております。こういった背景を踏まえて、今、先ほど申し上げました基本計画を策定するということでございます。  この新計画は、安倍政権の新たな安全保障政策というものを十分に反映すると同時に、今回、産業界の予見性、やはり短い期間ではどうしても投資がしがたいというふうな民の方の御意見もございますので、その宇宙産業基盤を強化するためにも、十年間の長期計画であり、かつ具体的に、いつ、どういうことをやるかということまで書かせていただきたいと思っております。  若干具体的に申し上げますと、宇宙安全保障の確保というものを重点目標にしまして、準天頂衛星の七基体制、これを確立したい。さらには、宇宙状況の把握に関する体制の整備、また、Xバンド防衛衛星通信網の構築とか、情報収集衛星の機能の強化拡充、さらには基数増ということに取り組みたいと思っております。  また、広義の安全保障とも言えるかと思いますが、宇宙を活用した防災とか災害対策、あるいは、宇宙を活用した地球規模課題解決、例えば気候変動等々、そういった課題にも貢献をしていく。  いずれにしましても、そういった意味で、宇宙科学分野の重要性というのはもうこれまでにないぐらい大きくなってきておるというふうな思いのもとに、我が国としても、先ほど申し上げました基本的な考え方のもとに宇宙政策を進めていきたいということでございます。
  123. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 詳細にありがとうございました。僕は、本当にすばらしいと思います。  それでは、防衛省として、この基本計画に対してどのようなスタンスで関与するのかということをちょっとお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  124. 左藤章

    左藤大臣 お答え申し上げます。  防衛省といたしましては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しておりまして、今後とも多様な任務を効果的かつ効率的に遂行していくために、地球上のあらゆる地域へのアクセスが可能な人工衛星の特性を生かした宇宙空間の利用推進、そして、我が国に対する弾道ミサイル等の飛来などの各種事態に対処するための宇宙空間の利用は極めて大事なことだ、確保することが大事だろうと思っております。  かかる観点から、防衛省では、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱等政府の長期的な指針のもと、人工衛星を活用した情報収集能力や指揮統制・情報通信能力を強化するための取り組みや、宇宙の安定的な利用のための取り組みを実施しているところでございます。  先ほど山口大臣お話ありましたけれども、宇宙開発利用にかかわる取り組みの実施に当たっては、人工衛星への器材の相乗りまた共用などを通じて、関係省庁とも連携をして進めていきたいと思っているところでございます。
  125. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 ありがとうございます。  先ほどのBMIも同じなんですけれども、多分、今までは、こんなことを言っては失礼ですけれども、宇宙には余りフォーカスしていらっしゃらなかったのかなと、私、国民の一人として思っていたんですけれども、ここ数年は相当コミットしているようなので、ぜひ防衛省は、BMI、宇宙関係、どんどん食い込んでいっていただきたいと思います。  それで、もちろん、宇宙の話ですのでお金はかかりますね。では予算はどういうふうになっているのかなというのをちょっと調べてみました。  資料一をごらんになっていただきたいと思います。これは本当はカラーなんですけれども、失礼ながら白黒で。  この紙の一番右端に米国、欧州、日本と並んでいますね。一番後ろが米国です、この高い棒グラフ。その前が欧州で、日本が一番前。  二〇〇一年からずっと並んでいますけれども、日本予算というのはそんなに変わっていないのかなと。ここでいうと、三千億円前後で推移していたようですね。ヨーロッパ、これは全体ですのでもちろん多いんですけれども、やはり驚くのは、米国で、もう桁が全く違います。  これは、恐らく国防費の中にも宇宙関係のものがたくさん入っているんだろうと思うんですが、それでもこの総額には驚かざるを得ないということで、もちろん、お金は限りがありますので、やむを得ないといえばやむを得ないんですが、もうちょっと宇宙に力を入れなきゃいけないのかなと、このグラフを見ただけで感じます。  それで、ではこの内訳はどうなっているかというのを、これはちょっと口頭で申し上げますが、大体の仕分けなんですが、先ほど、日本では三千億円前後宇宙に使っているというお話をしましたが、その六割ぐらいは文科省予算で千七百億円前後、内閣官房が六百三十億円、防衛省が二百八十八億円、大体そういう形ですみ分けをしているとお聞きしました。宇宙研究をする機関としてJAXAという有名な組織がありますが、それにはほとんど文科省のこのお金が流れる。千五百億円前後流れるそうです。  それで、組織のお話になりますけれども、内閣府宇宙政策委員会というのがあって、これが司令塔になっているとお聞きしました。しかし、これはあくまで司令塔であって、この組織がお金を持っているわけではない。それで、最近、総理が肝いりで先ほどの基本計画を立てて推進しようというお話になったと。私は、こういうふうに整理いたしました。  それで、私が今の整理の中でちょっと疑問に思ったのは、例えば、安全保障関係での連携という意味で、JAXAと防衛省はどのくらいの連携をしているのかなという意味で防衛省絡みの研究の数をリストアップしてもらったんですが、十五ぐらいあったんですね。その中の一つだけJAXAと共同研究していた。十五のうち、一つです。そのほかは、宇宙を研究している、旧帝国大学が多かったですけれども、そっちの方といろいろな技術分野で連携しているということです。  今のJAXAとの連携のあり方についてのコメントと、今後どういう展望をお持ちなのかということを、参考人の方からちょっとお聞きしたいと思います。
  126. 小宮義則

    小宮政府参考人 お答え申し上げます。  現在パブリックコメントにかけております新宇宙基本計画の中におきましても、防衛省とJAXAの連携強化ということについてうたっているところでございます。  既に文科省防衛省の間でもいろいろな議論が行われていると伺っておりますけれども、引き続き連携強化に努めていくというのが政府全体の方針でございます。
  127. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 JAXAの方のメンバーということでよろしいですか。
  128. 小宮義則

    小宮政府参考人 防衛省の技術本部とJAXAとの間でのいろいろな連携関係が既にございまして、これを引き続き強化していくという趣旨でございます。
  129. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 ちょっと誤解していました。  では、もし、今後安全保障分野でどんどん日本技術を使っていこうという意図であれば、どこからでも技術が安全保障分野に入っていけるというような、ちょっと言い方が変ですけれども、実は、これからちょっと述べますけれども、ある大学防衛省への協力を拒否したという話があるものですから、それはよろしくないだろうというのが僕の感想です。  あと、もう一つは、文科省防衛省の連携はどうなのかなと。いいですか、聞いて。よろしくお願いします。
  130. 山本条太

    山本政府参考人 防衛省の方から御答弁申し上げます。  まず、先生指摘の、防衛省とJAXAの協力を進めていく過程では、当然、文部科学省とも十分な連携をとっていく、こういうことになるわけでございます。  ところで、先ほど左藤大臣の方から答弁申し上げましたけれども、防衛省といたしましても、関係府省との連携の中で、特に、相乗りでございますとかデュアルユースといったものに着目をしていく。それで、JAXAとの間におきましてもその考え方を応用したいということでございますので、お許しいただければ、ちょっと具体例を二つ申し上げたいと思います。  一つが、防衛技術研究本部が開発しております赤外線センサー、これを宇宙で使えるかどうかということの実証的な実験を行うために、JAXAが今開発をされております先進光学衛星、こちらの方へ相乗りをさせていただきまして、赤外線センサーあるいはJAXAさんの先進光学センサーといったものがともに実証実験をし合う。相乗り、また、一つの連携の例でございます。  また、さらに、先生指摘のとおり、安全保障分野におきましても、既にある技術といったものに着目をしていく、その、より先端性の強化といったものに貢献をしていく。  相乗りという観点から申し上げますと、今JAXAの方で運用されております「だいち」という陸域観測衛星がございますけれども、まず、こちらの方の画像といったものを防衛省としても入手いたしまして、今後、その「だいち」のシリーズというのは、さらに開発が進んでいくかと思います。その際に、防衛省も、関係府省、JAXAとともに知恵を出し合っていく。こういうことを一つの例ということで申し上げたいと思います。  以上です。
  131. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 では、文科省、JAXA、防衛省、かなり連携はうまくいきつつあると理解してよろしいですね。はい、どうもありがとうございます。  今、デュアルユースというお話が出ましたが、私が理解するデュアルユースというのは、要するに、防衛関係で開発した技術民間で使い、民間で開発した技術を安全保障関係で使う、そういう意味ですよね。これも、やはりアメリカに比べると日本はおくれていると言われていたようです。  では、何でおくれるんだろうということで、さっきの東大の話をちょっと出させていただきますが、東京大学のある学部で安全保障関係に役立ちそうな研究があったらしいんですが、東大では、戦後、昭和三十四年以降、歴史的に、軍事関係の研究は一切しないということが決まっているから協力できないと拒否されたという話なんですね。  それの根拠になっているのが昭和三十四年九月の東京大学評議会、それから昭和四十二年六月の東京大学評議会というところで決められているから総長はそれを踏襲しなければいけないということで続いているようなんですが、これについての文科省の理解はどうなっているんでしょうか、この件については。
  132. 岩瀬公一

    岩瀬政府参考人 大学等におけます防衛関係の研究、あるいはその協力ということでございますけれども、大学における研究のあり方につきまして、当然ながら、文部科学省としましては、その成果が社会に還元されるということは重要であるというふうに考えております。社会に還元されるといいましたときに、国や国民の安全に資するということも重要なことであるというふうに思っております。  したがいまして、先ほど先生の方からお話の出ました宇宙分野協力、そういうものにつきましても文科省としては重視しておりますし、中心となるJAXAを通じて積極的に対応させていただいておるところでございます。  ただ、個々の大学で具体的にどういう対応をするかといったときに、大学におきましても、先生御承知のように、大学の自主性とか自律性、そういうことがあるものですから、具体的な個別のことについて文部科学省の方から個別に指示をするということではなくて、大学の方で責任を持って対応していただくということにしております。
  133. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 大体予想どおりの答弁なんですが、もちろん憲法で大学の自治というのは保障されていますけれども、一方で、研究者の学問の自由というのも保障されていますよね。だから、非常に判断は難しいところではあろうと思います。  資料の二をちょっと見ていただきたいんですが、これは宇宙。安全保障とは離れます。  線を引いたところだけ読んでいただければいいんですが、東大で、ある画期的な技術を開発して、ベンチャー企業を立ち上げて、SCHAFTという技術らしいんですが、それは経済産業省の予算も相当つぎ込まれたと。ところが、それを日本企業にあっちこっち売り込もうとしたけれども、なかなか買ってくれない、お金を出してくれないということで、結局、アメリカのグーグルに買収されてしまったと。  つまり、日本の税金が投入されて、日本技術者が研究開発した斬新な技術が、ぽんとアメリカに買われてしまっている、この現象ですよね。研究は一流、事業化は二流とこの新聞には書いてありますけれども、そんなのが続くようだと、やはりこれは言われてもしようがないかなと思うんですね。  今の東大のお話に戻りますが、今のその東大の先生方が、あるいはほかの大学の宇宙関係の技術を持っていらっしゃる先生方がどう考えているかというのは、もちろん推しはかることはできないんですが、余りこういうことが続くようだと、いわゆる文部科学省を介して行っている研究費というのは役立っていないんじゃないかと単純に思っちゃうわけですね。役立っていないことはないと思うんですが、もうちょっとうまい役立て方というのはあるんじゃないかなと私は考えます。  ですので、その予算配分の哲学という意味でも、例えば、もしアメリカみたいに、国防省、防衛関係にお金を出した方がより直接国家の発展につながるということであれば、場合によってはそっちの方にお金をシフトするなんていう現象も起こりかねないと思うんですよね。だから、その辺は、文科省の方も、ちょっとこういう安全保障環境ですので、意識を切りかえて、大学にも指導していただいた方がいいかなと私は思います。これは私の個人意見です。  予算のことはこのくらいにいたします。デュアルユースの話もしましたね。  ちょっとサイエンティフィックなお話になるんですが、民間であれ安全保障関係であれ、宇宙に長期滞在するということはこれから必要になるわけですけれども、まだアメリカでさえ、長期滞在によって人間に何が起こるかということは恐らくわかっていないだろうと思うんです。あとは、ISSというのは、まだ研究をやっている最中ですよね。  JAXAでも把握しているかと思うんですが、有人宇宙飛行を長期間、例えば何カ月間とした場合に、僕はちょっと脳に興味があるもので、人格とか脳機能、そういうものにどういう影響を及ぼすかということがどこまでわかっているかだけでも、ちょっと教えていただきたいと思います。
  134. 岩瀬公一

    岩瀬政府参考人 これまでの有人宇宙飛行の経験や実績によりまして、宇宙空間に長時間滞在することにより身体へさまざまな影響を及ぼすということが報告されつつございます。  例を挙げさせていただきますと、国際宇宙ステーション、ISSに長期間滞在した宇宙飛行士のうち、視力の低下など視覚に関する症状が重かった者につきまして、頭蓋内圧が高くなっていたことが報告されるという事例がございました。それにつきましては、頭蓋内圧の上昇と視覚機能の変化の関連性を明らかにするための研究を実施しているところでございます。  また、ほかの例を挙げさせていただきますと、微小重力下では、血圧の調整に重要な役割を果たしている前庭という耳の奥にある器官の機能に変化が生じまして、地球帰還直後の宇宙飛行士の血圧調整に影響を及ぼしているのではないかとも考えられております。それを踏まえまして、宇宙環境における前庭の血圧調整メカニズムを明らかにするための研究も行っているところでございます。  このような研究を今進めつつあるところでございますけれども、将来、低軌道以遠の有人宇宙飛行に必要となる長期有人滞在の実現に資するということとともに、また、地上医療への活用も期待されるというふうに考えておりまして、引き続き推進してまいりたいと考えております。
  135. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 ちょっと専門的なお話になるんですけれども、大気圧と頭蓋内圧とは物すごく密接な関係があるのと、恐らく、あんな無重力環境だと、三半規管の機能というのはかなりおかしくなるんじゃないかなと思います。  宇宙に滞在してみたいという方はいっぱいいるようなんですが、行け行けでいくのはいいんですけれども、そういう宇宙滞在によるネガティブな面というのをやはり常に考えながらいかないと、とんでもないしっぺ返しを食うような気がしますので、そこは慎重に、でもほかの国より先に進むというようなパターンでやっていただければなと思います。  あと二、三分しかないんですが、ちょっと話をがらっとかえまして、昨今の、ディオバンという降圧剤の薬、ノバルティスファーマ社の事件とか、あとSTAP細胞事件とか、研究不正が最近かなりひどいなと私自身も思います。  最近、新しい研究不正ガイドラインというのを文科省を中心に進められているようなので、これについてコンパクトに概説していただければと思います。
  136. 村田善則

    村田政府参考人 お答え申し上げます。  お話がございましたとおり、研究上の不正行為、残念ながら後を絶たないという状況でございます。  文部科学省では、こうしたことを踏まえて、従来のガイドラインの改定の作業を進めまして、本年の八月に、研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインを改定決定したところでございます。  新しいガイドラインでは、これまで不正行為に関する対応は個々の研究者の自己責任のみに委ねられていた側面が強かったということを踏まえまして、今後は研究機関が組織を挙げてこの問題に取り組んでいただくよう求めていくことを大きな方針としているところでございます。  具体的には、各研究機関に対しまして、一つは、組織としての責任体制を確立するということでガイドラインあるいは体制の整備をしていただくということ、それからもう一つは、不正行為の事前防止のために研究者への倫理教育の実施を徹底していただくとか、あるいは、一定期間の研究データの保存、開示等の義務づけを求めるといったことを定めているものでございます。  現在、来年の三月末までを、各研究機関がこのガイドラインに基づく体制の整備あるいは準備を行っていただく集中改革期間というふうに位置づけまして、文部科学省として、このガイドラインの周知徹底を行っているところでございます。来年四月からこのガイドラインの適用を開始する予定でございます。  こうした取り組みを通じまして、引き続き公正な研究活動を推進してまいりたいと考えております。
  137. 宮沢隆仁

    ○宮沢(隆)委員 ありがとうございます。私は非常に結構だと思います。  私も、ディオバン事件についても、STAP細胞事件についても、かなり研究者を責めていた方なんですが、ただ、余り責め過ぎて萎縮させちゃうと、今度は研究を抑制してしまうという面もありますね。だから、そこら辺は、うまくバランスをとってガイドラインをつくっていただきたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  138. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、柏倉祐司君。
  139. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 みんなの党の柏倉です。よろしくお願いします。  私も実は、宇宙のことを今回やらせていただこうと思っておりました。  今の宮沢先生とは順天堂大学の先輩後輩ということで、考えていることも、実は質問もかなり同じようなものが並んでおりまして、やはり相通ずるものがあるなというふうに、ひとり悦に入っているところでございます。  ということでございまして、少し変化をさせて質問させていただくことを御容赦いただければと思います。  まず最初、JAXAのことを私も質問させていただきたいと思います。  宇宙基本計画の見直しということで、安倍総理大臣が九月の十二日に指示したということでございます。  安全保障政策重視ということでやっているわけでございますけれども、投資の予見可能性を高め、宇宙産業基盤を強化するため、十年の長期計画としているということでございます。十年を視野に入れた五年間の計画、やっと会社事業計画ぐらいのスパンになったのかなというふうに思います。  ただ、日本の場合は単年度主義ということで、こういった長期の計画においては、弊害も出てくるということでありました。  それで、安全保障、これは長期計画というものが必要ですけれども、結局は、今申し上げたように、単年度主義という予算の壁にぶち当たって、なかなか一貫性を持たせられない、風化してしまうということがあらゆる分野であったわけです。当然、この宇宙の分野でもあり得るというか、そこを意識して継続性というのを担保していかなければいけないというのが実情だというふうに思います。  まず一つ目、総理指示にある、新たな安全保障政策を十分に反映する、これを具体的にどのように考えているのか、継続性の観点からも、ぜひ政府の答弁をお聞かせください。
  140. 山口俊一

    山口国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたが、今回の新宇宙基本計画、特色というのは、御指摘がございましたように、さまざまな安全保障環境あるいは宇宙の環境の変化を踏まえて安全保障というのをしっかりと位置づけする、同時に、今回、これもお話がありましたが、産業部門の予見性を高めるということで、実は、二十年ぐらいを見据えながら十年計画にするというふうなことにさせていただいております。  同時に、かなり具体性を帯びさせたい。何年に何を打ち上げる、何年にどこが何を打ち上げるというふうなことも、できるだけ詳細に書かせていただこうということにしております。  今御指摘いただきました、確かにこういった分野というのは、単年度主義に縛られるというのは非常に苦しいわけで、我々も新計画を作成するに当たって財務当局とはかなりシビアな交渉を重ねておりますが、ただ、今回、十年間で五兆円、これは官民合わせてというふうなことになりますが、これが書き込めそうだということは、これまでにない非常に大きな話なんだろうと思っております。
  141. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 大臣、御答弁ありがとうございます。  もうそういった認識は重々お持ちで、それに向かって邁進をされているということで理解をさせていただきました。  先ほどからの議論でもございましたアメリカとの関係、特に安全保障領域における関係、これは、競争的な部分と互恵的な部分、両方あるわけでございます。互恵的な部分は今後高め合っていけばいいんですけれども、あともう一つ、依存性の非常に高い領域、ここはアメリカに任せておけというような領域も実際にある。  選択と集中で、限られた資金、国力で開発をしていく、これは日本のとらざるを得ない選択なのかもしれません。  依存性の部分で、例えば、発射されたミサイル、これは、早期警戒衛星、これがあるわけです。ただ、これは、米国の早期警戒衛星の情報がなければ、結局は我々は探知できない。  我が国は、準天頂衛星というのはこの二〇一〇年代に四基体制となるわけですけれども、それでも、アメリカのGPSがなければ、これはやはり作用しない、効果をもたらさないということです。かねがね言われていますが、日本上空を独自にしっかりと網羅するためには、やはり準天頂衛星は七基は絶対必要だということですね。  このアメリカの警戒衛星への依存性、これをどのように脱却していくのか、また、これは可能ならで結構ですが、この七基体制の具体的な見込みもあわせて聞かせていただければと思います。
  142. 山口俊一

    山口国務大臣 これも先ほど宇宙基本計画のところでお答えをしましたが、やはり具体的に書かせていただきたいということで、実は、今回の新宇宙計画には、準天頂七基というふうなものを明確にさせていただきたいと思っております。  同時に、御指摘のとおり、アメリカのいわゆるGPS機能というのは、あれはあくまで軍事を民間が使わせていただいておるという話なものですから、何かあったときにはとめられてしまうわけですよね。  今、我が国にしても、カーナビを初め、あるいはスマホにしても、これはなくてはならないGPS機能でありますから、これをとめられると社会生活に大きな影響を来すということで、ぜひとも、我々としても、我が国独自でしっかりやっていけるようにということで、七基体制を整備したいということでございます。
  143. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 ありがとうございます。  もう具体的に明記してあるということですので、ある意味これは危機感を持っておやりになっているんだと思いますので、ぜひしっかり進めていただきたいと思います。  互恵的な開発研究もあるということで、我が国が割と比較優位を保っている技術、これを平和利用していくという、これは実際に今もやられているわけでございますが、宇宙技術の平和貢献ですね。  例えば、宇宙デブリ除去、こういったものはやはり日本が秀でている。ことしの二月ですか、香川大学が開発した小型衛星がH2Aロケットにより打ち上げられて、デブリ除去を実験している。  この宇宙デブリというのはかなり怖いようで、せっかくの衛星もこのデブリで台なしになってしまうということです。意外と、我々が今まで打ち上げてきて、広大な宇宙だから全く問題ないだろうと思っていたけれども、軌道周辺に散らばっているデブリで、宇宙研究が結構な阻害をされる、実務においてもかなり支障を来しているのが実情だということです。  そういったデブリを細かく取っていく、この技術日本はすごいということなんですね。JAXAは、この宇宙デブリ対策の国際標準を国際標準化機構に提案している、それぐらいのレベルを持っている。  あとは、海洋監視に関しても、日本はかなり技術貢献をしているということなんですね。  これももうさんざん議論されております。これは簡単で結構なのでお答えいただきたいんですが、平和利用、私もこれは大賛成です。軍事技術に踏み込むことなく、宇宙技術開発というものに取り組む、これはある意味今までは成功してきているし、これからもこの領域の比較優位を伸ばしていかなきゃいけないと思います。  今後も、軍事技術には直結しないであろうものを中心に宇宙技術開発に取り組んでいくべきなのかどうか、いくつもりなのかどうか、政府見解をお聞かせください。
  144. 小宮義則

    小宮政府参考人 お答えを申し上げます。  宇宙技術は、一般的に、民生、安全保障の両面に貢献をするデュアルユースの性質を保有しておりまして、多くの宇宙システムは、民生、安全保障両面に活用されるものでございます。  例えば、文部科学省の人工衛星に防衛省のミッション器材を相乗りさせたり、民生用の人工衛星のデータを安全保障に活用させるなどの議論がなされているところでございまして、一つの衛星が民生、安全保障の両面の側面を持つことは、今後ふえていくと認識をしてございます。  今回の宇宙基本計画におきましても、安全保障目的で、高い技術を涵養し、それを産業振興に生かしていくという、安全保障、科学技術、産業振興の有機的サイクルの形成に取り組むことといたしてございます。  安全保障に役立つ宇宙政策と、産業振興科学技術に役立つ宇宙政策を、相反するものとして捉えるのではなく、一体となって進めることでより強い力を発揮するものと認識をしておりまして、政府としても、今後とも、このような取り組みを拡充強化してまいる所存でございます。
  145. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 デュアルユースでさんざん先ほども議論されておられました。技術ですから、平和利用も軍事利用も、基本的には、技術のレベルでは同じだ、開発力というものをつけていくんだということだと思います。  ただ、先ほども宮沢先生がおっしゃっていましたけれども、SCHAFTという日本のロボット技術が、結局は、グーグルに買われてしまって、海外のものになってしまった。その後また、海外で、積極的に、技術開発もそれをベースにされてしまうというような実情があるわけですね。  それはやはり日本研究者の体質もあるというふうに指摘された新聞も読んだことがあります。日本ではなかなか受け入れられない、リスクをとってビジネスチャンスを邁進できないという諦めが日本人の科学者にはあるというところで、やはりアメリカに流れてしまうと。ノーベル賞中村先生、アメリカ国籍にもなられていますけれども、これは全く同じ問題じゃないですけれども、一脈通じるところがあるのかなと思います。  私も、決して、軍事のところを中心に日本は開発すべきだということを訴えているわけでもありませんし、東大の、軍事研究をやる、やらないといった学内規程も、これは学内でしっかりと議論すべきものだというふうに思っています。  ただ、そういった議論をする土壌等を用意する、グラウンドをつくるというのは国家の役割だと私は思っていますので、しっかりと、臭い物にはふたではなくて、議論すべきことは議論をする、その上で、合意のもと、平和利用を軸に進めていくなら進めていく、またビジネスチャンスを、たとえ軍事技術に資する可能性があっても、しっかりとそれを日本の商品としてコマーシャルできるその日本の構造をつくっていくという努力をぜひ政府はやっていただきたいと思います。  次は、各論なんですけれども、情報収集衛星について伺いたいと思います。  IGS、情報収集衛星、テポドンミサイル発射を受けて我が国でも導入するということを決断されたものですね。ただ、この画像は、実際にどうなっているのか、かなり限られた人しか見ることができない現状だというふうに聞いています。これは軍事的なものですから、直接軍事に転用されると危険ですから、当然、公開しないという判断もあるんでしょう。日本では、あの大震災のときでさえ、それをしっかり見ることはできなかったということですね。  ただ、毎年、六百億円以上の内閣官房の予算が投じられているのも事実でございます。二〇一五年度から高精度の情報収集衛星の開発に日本は乗り出すんだという報道がありますけれども、これは事実なんでしょうか。
  146. 河邉有二

    河邉政府参考人 お答えいたします。  平成二十七年度に開発着手するとして概算要求に費用を計上しておりますのは、まず、光学八号機、レーダー七号機でございます。これは総合的な画質向上等を目指した衛星でございます。また、光学実証機の開発に係る経費も計上しております。これは大型光学センサー等の確実な実用化を目的とした軌道上実証のための衛星でございます。  衛星情報センターといたしましては、今後とも、情報収集衛星の機能の拡充強化に努めてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  147. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 次に、ちょっとデータポリシーについて伺います。  アメリカの偵察衛星は、その偵察衛星の技術を、民間に徐々にその結果を公開しているわけでございます。どこまで公開するかといったところの分解能、解像度ですね。二〇一四年には、商業用の衛星の分解能、あくまで商業用のですが、この分解能を五十センチから二十五センチに緩和しています、アメリカは。  日本データポリシーというのは、どのようになっているのでしょうか。
  148. 小宮義則

    小宮政府参考人 お答えを申し上げます。  近年、民間事業者が運用するリモートセンシング衛星の高解像度化が進んでおり、外交・安全保障上配慮を要する情報を民間事業者等が入手する可能性が高まっております。このため、米国等におきましては、民間事業者等が運用するリモートセンシング衛星の画像撮像や配布を規制するための仕組みが整えられているところでございます。  一方、我が国におきましては、民間事業者等が運用するリモートセンシング衛星の画像撮像や配布を規制する仕組みは、現在のところ、存在しておりません。  政府といたしましては、我が国及び同盟国の安全保障上の利益を確保しつつ、リモートセンシング衛星を活用した民間事業者事業推進するために必要となる制度的担保を図るための新たな法案を平成二十八年の通常国会に提出することを目指し、検討を進めたいと考えております。  以上でございます。
  149. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 これは、情報収集衛星を開発するんだということと同時に、その枠組みもしっかりとつくっていかなきゃいけないというふうに思います。当然、今あらゆるものがテロに使われる可能性がある、そういう時代ですから、便利なものであればあるほどそういうリスクが高いわけですね。  このデータポリシーを今後どのように公開していくのか、この解像度、アメリカに追従するのかどうか、この辺、注意深く見守っていきたいと思います。  次は、「はやぶさ2」についてです。  これはもうさんざん話題になっておりますけれども、前回の「はやぶさ」に比べると、今度はいろいろな機能がついているということですね。今度は、C型小惑星というものを目指して行くということなんですね。  これは質問になかったんですが、答えられたらでいいんですが、このC型小惑星、前回の「はやぶさ」では行けなかったんでしょうか。さらには、そのC型小惑星というものがどういった情報をもたらすことができるのか、もし答えられれば教えていただきたいと思うんです。
  150. 岩瀬公一

    岩瀬政府参考人 「はやぶさ」の概要を、ポイントを含めて少し御説明させていただきます。  文部科学省におきましては、ただいま先生お話しいただきました「はやぶさ」でございますけれども、世界で初めての成果を上げた、月以外の天体への離着陸及び試料回収に成功したものでございます。  この技術及び成果を継承、発展させるということで「はやぶさ2」というものを考えておりますが、これは、先ほどお話しいただきましたように、前回「はやぶさ」が行きました小惑星とは違いまして、生命の材料となる水、有機物が存在すると考えられる小惑星の探査を行うということでございます。  それで、「はやぶさ2」は「はやぶさ」の機能をさらに向上させておりまして、「はやぶさ」にも使用しました我が国が技術的優位性を有するイオンエンジンをさらに長寿命化させ、推力も二五%向上させるということで、能力を上げております。  また、小惑星まで通信に往復四十分かかるということでございますので、小惑星への着地等をより高精度かつ安定的に行うための自動・自律制御技術の向上、そういうことをやっております。  それに加えまして、新たに、人工的に小惑星の表面にクレーターをつくりまして、宇宙空間にさらされていない、小惑星の内部にあります物質、これを観測、採取できるような装置も搭載するということにしております。  そういう能力を持ったものを、この目的とする水、有機物を有すると考えられます小惑星までしっかり送り届けるという機能を持つものとして、今回、さらに能力向上でやらせていただいております。
  151. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 教えていただいてありがとうございます。  元祖「はやぶさ」と今回の2、いろいろな相違点があると思うんですけれども、基本的には、どんどん技術が進化していって、他国の追随を許さないぐらいのレベルまで、この小惑星探査に関しては、日本技術は突っ走っているということなんですね。私も、こういった比較優位の部分というのは、他の追随を許さないぐらいまで力を入れるというのは賛成です。  そこで、こういった比較優位をとにかく伸ばしていくという、特にこの小惑星探査の必要性、重要性、これは予算措置に今後どう反映させていくのか、見解をお聞かせください。
  152. 岩瀬公一

    岩瀬政府参考人 先生指摘いただきましたように、我が国としましては、今後とも、宇宙開発利用の先進国として最先端の研究成果創出し続けるために、新しい領域にチャレンジしていくことが不可欠であると考えております。その意味で、小惑星への探査は非常に重要なものであるというふうに認識しております。現行の宇宙基本計画におきましても、宇宙科学・探査の分野で世界最先端の成果を目指すということを掲げていただいております。  我が国は、繰り返しになりますけれども、「はやぶさ」におきまして、小惑星へのタッチダウン、試料の回収、そういうことに挑戦する、そのために独自の高性能のイオンエンジンを活用し、また、いろいろな報道をしていただきましたが、幾多の困難を乗り越えて、これを世界で初めてやり遂げるということを達成させていただいたわけでございます。  さらに、「はやぶさ」で確立した独自技術をさらに発展させるということが重要だと思っております。  先ほど申し上げましたように、我が国の強みでありますイオンエンジン、これをさらに高性能にする、また、通信で四十分かかるところとの間でしっかりとした活動をやるために自動・自律制御装置をさらに高める、そういうことで「はやぶさ2」を開発してございますが、これまでにこのプロジェクトには約二百八十九億円の予算を措置させていただいてございます。  今後とも、世界最先端の成果を目指して、小惑星探査を初め宇宙科学・探査分野取り組み推進してまいる所存でございます。
  153. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 ぜひ、これは他の追随を許さないという形で進めていっていただきたいというふうに思います。  この「はやぶさ」の方ですけれども、プロジェクトマネジャーさんが言うには、小惑星体の中にはM型小惑星と呼ばれる天体があって、そのM型小惑星というのは恐らく金属の塊だ、天然の精錬所がつくったレアメタルが濃縮された半製品が転がっているかもしれない、宇宙から資源を持ち帰って利用する時代が恐らくは来るだろう、まあ、何年後とは言えないがということなんですね。  十年後なのか百年後なのか二百年後なのか、とにかく、これはいつかわからないけれども、そういった夢を追って技術というものを磨いていく、こういう、いわば超長期的、中長期的じゃなくて超長期的な観点というのも宇宙技術開発には絶対に必要だと思います。  さまざまな、一般的な概念の予算の年限を全く取り払った超長期的な宇宙計画、こういったものはどのように考えているのか、政府の考えを聞かせてください。
  154. 山口俊一

    山口国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、新たな宇宙基本計画は、十年計画ですけれども二十年ぐらいを見ながらというふうなことで作成をさせていただいておるところでありますし、同時に、今後、二十年より先の、二〇四〇年以降の実現に向けて、取り組むべき施策についても検討いたしております。具体的には、宇宙太陽光発電とか、あるいは再使用型の宇宙輸送システム、そこら辺の研究開発推進するということにしております。  政府としても、二〇四〇年以降のさまざまなプロジェクトの実現に向けて、これまで以上に宇宙の潜在力を活用して、しっかりと成果を上げていきたい、超長期的な視野も持ちながらやっていきたいと思います。
  155. 柏倉祐司

    ○柏倉委員 ぜひ、超長期的な視野で宇宙技術開発に臨んでいただきたいと思います。  時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  156. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、宮本岳志君。
  157. 宮本岳志

    ○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。  本日は、科学技術政策の公表、公開姿勢と若手研究者の卵の育成など、新大臣見解をお伺いしたいと思うんです。  まず、大臣にお伺いしますけれども、国が進める科学技術政策について、政策の方向性や詳細な議論を積極的に公開して国民と対話を進めるのは非常に大事なことだと私は思います。この点について、大臣の御所見をお伺いします。
  158. 山口俊一

    山口国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、科学技術イノベーション政策の推進に当たりまして積極的な情報公開を行うということは、国民に対する説明責任を果たすと同時に、政策に対する国民の皆さん方の理解を深めるというふうな観点からも極めて重要と考えております。  そういった中で、政策の司令塔である総合科学技術イノベーション会議における審議内容等につきましては原則公表というふうなことにしておりまして、これまでも適切に、資料の公表とか記者会見による議論の紹介、議事要旨及び議事録の公表等を行ってきておるところでございます。
  159. 宮本岳志

    ○宮本委員 適切に公表されてきたかどうかというのがきょうの第一のテーマなんです。  大臣に重ねて聞くんですけれども、納税者としての国民は、国の科学技術政策について何を具体的に知りたいのか、あるいは政府の政策形成にかかわる資料の公表姿勢についてどのようなあり方を求めているのか、大臣はどのようにお考えになりますか。
  160. 山口俊一

    山口国務大臣 先ほどの御質問にもかかわるわけでありますが、四月のこの委員会において宮本先生から御指摘のあった件も承知をいたしておりまして、大臣等政務三役と有識者議員との会合、これにつきましても、総合科学技術イノベーション会議の事前の準備の場として活用していたことなどから非公開の開催が多くなっていたようでございますが、御指摘もいただきまして、できる限り情報公開に努めてまいりたいということで、実は、これまでは、二十五年度は、いわゆる非公開率といいますか、七八%でしたけれども、今回、平成二十六年度は一五%というふうなところまで努力をいたしておるところでございます。  今お話しの、国民の皆様方の関心事ということでありますが、やはり科学技術というのは、我が国の国際競争力の向上とか、また社会的な課題の達成に大変重要な役割を果たすということで、国民生活に本当に大きな影響を及ぼしますので、その動向には大きな関心を持っておられるのであろうと思っております。  そういった中で、できるだけ各会議の政策決定過程も含めて情報開示をしていきたいと思いますのと同時に、いろいろなテーマをSIP等々で選定していくわけですが、そういった場合に、十分、まさに国民生活あるいは日本における重要な課題ということで選んでおるつもりでありますが、何らかの方法で、国民の皆さん方のニーズというんですか関心事というか、それを吸い取るようなこともしていきたいと思います。
  161. 宮本岳志

    ○宮本委員 今の話については、また後ほど少しやりとりしようと思うんです。  まず、文部科学省所管の平成二十五年度科学技術振興に関する年次報告、これは最新版でありますけれども、この科学技術白書の中に、今大臣お話しになった国の科学技術政策の資料の公表、公開の基本姿勢あるいはその決意について、何ページのどこにどのような具体的な記述があるのか、これは事務方で結構ですので、お答えいただけますか。
  162. 村田善則

    村田政府参考人 お答え申し上げます。  科学技術白書の記載についてのお尋ねでございます。  今お話がございました科学技術白書でございますけれども、科学技術基本法におきまして「政府は、毎年、国会に、政府科学技術振興に関して講じた施策に関する報告書を提出しなければならない。」と定められていることに基づき、取りまとめるものでございます。  本年の科学技術白書におきましては、お尋ねのございました資料の公開等そのものの記述はございません。一方で、第二部の第五章、「社会とともに創り進める政策の展開」の中で、科学技術イノベーション政策に関して、国民への情報発信や説明責任の重要性については記載をしているところでございます。
  163. 宮本岳志

    ○宮本委員 しっかりと、やはり公開に対する国の基本姿勢を明らかにするということが大事だと思うんですね。  それで、その立場というのは政府は逃れられないと私は思っておりまして、例えば平成二十三年八月十九日の閣議決定科学技術基本計画、これを見せていただきますと、科学技術イノベーション政策の策定と実施に関し、「国民に率直に説明し、その理解と信頼と支持を得る必要がある。」「これらの政策を広く国民各層に発信し、説明責任の強化に努めることも必要である。」と明確に、科学技術基本計画、平成二十三年八月十九日のこの文書には出てまいります。  平成二十二年度科学技術振興に関する年次報告、科学技術白書ですけれども、これを見ましたら、わざわざ「科学技術に関する説明責任と情報発信の強化」という節を立てて、国民との対話を進める、国民の理解と支持を得ることが重要だ、こう指摘をしておるわけであります。  これも事務方でいいんですけれども、これは事実ですね。
  164. 村田善則

    村田政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまのところでございますけれども、先ほど申し上げた部分の中で、「科学技術イノベーション政策が、経済的、社会的に価値あるものとなるためには、国は、その企画立案、推進に際して、取り組むべき課題や社会的ニーズを的確に把握し、これを適切に」「反映していく必要がある。」ということを前提として、「これらの政策を広く国民各層に発信し、説明責任の強化に努めることが重要である。このため、国は、政策の企画立案、推進に際して、意見公募手続の実施や、国民の幅広い参画を得るための取組を推進することとしている。」という記述があるところでございます。
  165. 宮本岳志

    ○宮本委員 では、やっている、言われるまでもなくやっている、こういう答弁なんでしょうね、それは。  そこで、内閣府のホームページに情報公開の改正の方向性に関する国民の声というものがございます。現物はこれであります。打ち出してみたら、延べ三十四ページになるんですけれども、まさにこれは大臣の足元、内閣府に対して、政府の情報公開姿勢に対して、不透明性や、憲法原則に基づくべきだ等々、要望や不十分だという声がこんなに寄せられているんですね。これは大臣、御存じでしたか。
  166. 山口俊一

    山口国務大臣 中身は十分精査はしておりませんが、そういったお声があるということは承知をしておりました。
  167. 宮本岳志

    ○宮本委員 こういった国民の声に応えて、国が国民の声や要望に応えた資料を公表するという姿勢、先ほど、改善したということがありますけれども、これにとどまることなく、一層進める必要があるというふうに私は思いますけれども、これは大臣、よろしいですね。
  168. 山口俊一

    山口国務大臣 先ほど申し上げましたように、科学技術イノベーション政策をしっかり進めていくためにも、やはり国民の皆様方の御理解と支持がないとやっていける話ではありませんし、国民生活にも非常に大きくかかわってまいりますので、そこら辺はしっかり踏まえながら、情報発信に今後とも努めてまいります。
  169. 宮本岳志

    ○宮本委員 そこで、先ほどの議論に戻るんです。  私は、本年四月八日、この委員会で、総合科学技術会議の中に置かれる科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合における会議内容の非公表、こういう問題を取り上げました。このときの答弁ですけれども、四百八十七の議題のうち百四十四の議題が非公開とされているということでありました。  では、聞きますけれども、これも事務方でいいですが、私の質問以降、このとき非公開になっていたもので、その後、公開した案件はありますか。あるならば、何ですか。
  170. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 お答え申し上げます。  委員から御指摘ございましたそのときの時点のさらに過去にさかのぼる、まさに四百八十七議題のうちの百四十四件が非公開とお答えしたところでございますけれども、過去に非公開とした議題につきまして、その扱いをその後、公開に変更して議事要旨等を公表したという事例はございません。
  171. 宮本岳志

    ○宮本委員 大臣は、二十六年度からは改善したと先ほど御答弁がありましたが、私が四百八十七議題のうち百四十四も非公開ではないかと指摘したことについて言えば、今答弁があったように、ただの一つも、その後、公開されたものはないというのが事実なんですね。  私の質問を踏まえて、その後、検討した、検討の結果、平成二十六年は七八%から一五%に非公開率が下がったと大臣はお答えです。では、これも役所で結構ですけれども、一体何を検討したんですか、そして、どういう点を改めたんですか。
  172. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 少し御説明をさせていただきたいと思いますけれども、まさに過去に非公開として議論した議題につきましては、審査検討過程にある個別具体の研究プログラムであるとか個人名を扱う場合であるとか、非公開を前提に自由闊達な議論が必要である場合とか、そういう場合につきまして、一回一回の会議の冒頭で座長が出席者の同意を得て非公開とすることが決定されて、そういう運営でなされてまいりました。  もちろん、そうした会合における議論を経た後、最終的には官邸で開催される総合科学技術会議議論になるわけですけれども、そこでの資料であるとか議事要旨、議事録は全て公開されている、この点につきましては、先般の御質問に対してもお答えしたところでございます。  それで、先般、議員から御指摘をいただいて、過去の議題、これは非公開を前提に御議論いただいたものでありまして、扱いを公開に変更して議事要旨等を公開すること、これはまた、当時の出席者の御了解と違うことになりますので、そこまでさかのぼるのは難しいという判断をしたところでございます。  一方、御指摘をいただきまして、その後に開催する大臣等政務三役と有識者との会合、これは冒頭、大臣からも御答弁いただきましたけれども、当時はやや、事前の打ち合わせ的なものも会議として運営した部分もございまして、ここについてはしっかりとその会合の位置づけをもう一度見直しまして、議員の御指摘も踏まえて運営を見直すということにしまして、できる限り公開の扱いをしているというところでございます。  情報公開のあり方につきましては、今後も不断の検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  173. 宮本岳志

    ○宮本委員 基準を見直して、平成二十六年から公開率が上がったということであれば、同じ基準で、その前の分についてもきちっと一つ一つ、非公表が妥当かどうかを検討してもらわなくてはなりません。  ことし四月の質疑で私は、有識者会議が労働契約法の改正を議題にした平成二十四年四月十二日の会議内容が非公表になっているということを取り上げました。聞くまでもないんですけれども、現時点で、これはまだ非公表ですね。
  174. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 御指摘のとおり、非公開でございます。
  175. 宮本岳志

    ○宮本委員 これは、それでもなお非公表であるというのはどういう理由ですか。
  176. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 先ほどの御答弁の繰り返しになりますけれども、御指摘の平成二十四年四月十二日の有識者懇談会、労働契約法改正を議題といたしまして、当時、国会に提出されている法案の概要説明を受ける、そして、その法案が成立した場合の効果であるとか影響等につきまして、有識者間で意見交換を行ったというふうに承知しております。  当日は、法案について、まさに議員の認識を深めるとともに、有識者議員間で率直な意見交換を行うため、座長がお諮りして、非公開として扱われたということでございます。  なお、この大臣・有識者会合、これは続いて四月十九日、そして五月三十一日もこの議題で議論しておりまして、そこはまさに公開で議論を行いまして、これらの議論等の結果が五月三十一日付の「労働契約法の改正案について」という有識者ペーパーとしてまとめられて、これも公表されているところでございます。
  177. 宮本岳志

    ○宮本委員 これは労働契約法改正の議論なんですね。こんなものが国家機密なのか、なぜ出せないのか、全く理解に苦しみます。  若い研究者の任期つき労働契約を導入する制度がどういう議論をされて形成されたのか、まさに今あなたが答弁されたようなことをきちっと国民は知りたい、こういう思いがあると思うんですね。  でも、個人名とか固有名詞とかを明らかにせよと言うつもりはさらさらありません。発言はA議員、B議員というふうにしていただいたら結構ですし、個人名が出る場合は匿名に伏せていただいたらいいんですけれども、発言の中にどういう発言があったのかという全体像をわかるようにしてもらいたい。  これは大臣に政治家としての判断をお伺いするんですけれども、そういう形、工夫をしてでもやはりプロセスを明らかにする、あるいは、どうしても、これ自身は非公開を前提に開いたものだからできないというんだったら、議論の概要をサマリーにして公表する、これくらいのことは当然だと私は思うんですけれども、いかがですか。
  178. 山口俊一

    山口国務大臣 最初に、非公開ということで委員皆さん方に御議論をいただいた、それをこちらの一存で、ではもう公表しますよというわけにはいかない話なんだろうと思います。  ただ、少なくとも、議論の趨勢というか、誰が何を言ったかというのではなくて、そこら辺がわかるようなことはやはり必要なのかなという思いもしますので、これは当然、委員皆さん方の御了解をしっかりいただく必要があろうかと思いますが、今後いろいろ工夫をしていきたいと思います。
  179. 宮本岳志

    ○宮本委員 ぜひ検討していただきたいと思うんですね。  それで、平成二十五年十二月十九日の有識者会合で、これは労働契約法の特例が既に決まった後ですけれども、どういう議論がされたか。これは議事概要が出ております。この議事概要を読みますと、十二月五日に国会において改正研究開発力強化法、労働契約法ほか一部改正の成立を受けた会合だということが明らかでありますけれども、ある議員は、これは大学システムそのものの根底にある人の話なわけです、こういう話をしておりますし、なるほど、労働契約法の特例についてはまさに人の話ということだと思います。  私は、文部科学委員会でこの間も繰り返し若手研究者が置かれた現状について質問してまいりましたけれども、この有識者会合の提出資料で非常に気になる箇所について改めて聞きたいと思います。  ここに参加されておりました住井英二郎東北大学教授提出の資料、「改正労働契約法および改正研究開発力強化法・改正任期法の問題点」というものを読ませていただくと、改正研究開発力強化法、改正任期法は、五年にせよ十年にせよ、雇用側、被雇用側双方にとって現実にはデメリットの方が大きい、こういう意見が述べられております。  大臣にこれは聞くんですけれども、この法律を改正して、こういう懸念の声は完全に払拭できたという認識をお持ちですか。いかがですか、大臣
  180. 山口俊一

    山口国務大臣 御指摘の会合でございますが、労働契約法の特例についてというのを議題として、有期契約の大学等研究者あるいは教員等が無期労働契約に転換する期間が五年から十年、延長、これはもう御案内のとおりでございますが、このことについて関係府省とか研究者皆さん方からヒアリングを行いました。  当日の会議資料及び議事概要は公開をしておりますが、若手研究者からは、若手研究者に対して実施をしたアンケート結果を踏まえた意見が出されました。具体的には、今次特例措置によって一定の改善は図られたが、依然として若手研究者の雇用環境は厳しい、人事評価、採用プロセスの透明化、シニア層を含めた公平な人事制度導入等を求めるものでございました。いずれも重要な指摘認識をしております。  これは安倍総理お話でございますが、世界で最もイノベーションに適した国の実現に向けて、イノベーションの芽をしっかり育てていくためにも、総合科学技術イノベーション会議の司令塔機能のもとに、若手研究者の安定的な雇用、流動性を確保する仕組みのさらなる拡大等、これはしっかりやっていくべきだろうと思います。
  181. 宮本岳志

    ○宮本委員 この中での住井准教授の御発言を見ますと、法案の目的は、単に無期労働契約に転換することを忌避する目的をもって研究者等を雇いどめすることだった、こう出てまいります。  それで、ここで確認するんですが、今非公表になっている担当大臣と総合科学技術会議の有識者会合の先ほどの自由闊達な議論の中で、同様の指摘はありましたか、なかったか、お答えいただけますか。
  182. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 恐れ入ります。お答え申し上げますけれども、ちょっと今、お尋ねでございますが、議事録等をつくっておりませんので、今直ちに、どういう議論があったかということをここでお答えする用意がございません。大変申しわけございません。
  183. 宮本岳志

    ○宮本委員 もう一つ同じようなことを聞くんですけれども、この中を見ますと、今度は雇用側、大学側の認識として、「運営費交付金等の基本的経費が不足する中、無期雇用はリスクが大きすぎる」、こういう記述があります。  経営側の認識としてそういう意見が、同じく先ほどの非公表の会合の中であったのかということも聞こうと思うんですが、これまた持ち合わせがないと事務方はおっしゃるんですかね、いかがですか。
  184. 倉持隆雄

    倉持政府参考人 委員、大変恐縮でございます。同じお答えをしなければなりません。  ただ、まさにそこでの議論もありまして、最終的に有識者のペーパーというのがまとまっているところでございますので、そこは御理解をいただきたいと思います。
  185. 宮本岳志

    ○宮本委員 やはり問題も残されているわけですね、大臣。中身もわからないからこういう議論になる。  それで、経営側はとにかく運営費交付金の削減が、とてもじゃないがそういう無期雇用というものを受け入れる余地はないんだ、こう悲鳴が上がっているわけですから、これは、もちろん大学の運営費交付金等の基本的経費を増額するというのは高等教育にかかわる者の切実な願いでありますけれども、この点は、大臣、その方向で働きかけていただけますか。
  186. 山口俊一

    山口国務大臣 文科の方になると思いますが、やはりそういったことは必要かと思っておりますので、十分協議をしながら、いわゆる待遇の改善といいますか、彼らがしっかりとキャリアを伸ばせるように、安心をして働けるようにということに努めていきたいと思います。
  187. 宮本岳志

    ○宮本委員 ヒアリングの中身を見ますと、法律の決定プロセスに当事者である若手研究者がほとんど関与できていない、このような環境でよい研究を行うことは困難だという声がはっきり出ております。  それで、改正研究開発力強化法案は、議員立法でありましたけれども、我が党は反対の立場をとらせていただきました。  住井准教授は、特定少数の団体代表者だけでなく、多くの当事者、政府、雇用側、研究者等がインターネットなどを活用してオープンかつ建設的な議論を行う場の確保が今後の方向性として重要だ、こう述べてもおられます。  大臣、私は、研究者や当事者の指摘が的を射ていると思うんです。こういう指摘を踏まえて、特に若手研究者側の立場に立って、やはり改めて、法の再検討に向けてオープンな議論の場を設けるなどの検討をする必要があると私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
  188. 山口俊一

    山口国務大臣 この点に関しては、やはり、両論、実はございます。そこら辺は、これからもしっかり議論をさらに重ねていく必要があろうかと思いますし、確かに、では、もうこれでうまくいくのかねと言われますと、まだまだ検討の余地もあろうかと思います。  いずれにしても、私どもは、司令塔の機能をしっかりと果たしていきながら、若手研究者の安定的な雇用と流動性も確保しなきゃならぬと思いますので、そこら辺の仕組みをしっかりと、よりよいものにしていくべく、議論を積み重ねていきます。
  189. 宮本岳志

    ○宮本委員 一層の情報公開を求めて、私の質問を終わります。
  190. 清水鴻一郎

    清水委員長 次に、村上史好君。
  191. 村上史好

    ○村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。よろしくお願いいたします。  私は、当委員会に初めて所属させていただきましたが、本当に科学技術とは縁遠い人間でございまして、全く素人の発想の質問になるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  私も、宇宙については、小さいころから夜空を眺めまして、広いなとかあの星に行ってみたいなとか、本当に夢、またロマンチックなものを感じた思いがいたしますけれども、大臣も若いころは、夜空を見上げて、いろいろな感慨に浸って美しい涙も流されたのではないかなというほど、宇宙というのは日本人にとってロマンチックであり、夢のある存在だったと思います。  そういうイメージの中で、きょうは、ちょっと現実的な宇宙の話をさせていただきたいと思います。国際宇宙ステーション、宇宙ごみ、また基本計画の見直し、大きくこの三点についてお尋ねをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、質問に入ります前に、宇宙政策にかかわる動き、過去の動きについて、私の方からお話をさせていただきますけれども、昭和三十二年に有名なスプートニクが打ち上げられ、成功したということです。また、四十四年には、宇宙利用を平和目的に限るという国会決議がなされました。そして、平成二十年には宇宙基本法が制定をされて、宇宙の軍事利用が可能になるという法であったと思いますし、二十四年にはJAXA法が改正をされて、平和目的に限るという規定を削除されました。そして、平成二十五年の一月二十五日に新たな宇宙基本計画を策定されたという一連の流れがあることを踏まえて、お話をさせていただきたいと思います。  まず最初に、ISS、国際宇宙ステーションについてお伺いをいたします。  このISSは、世界十五カ国の国で協力してやっている事業でございます。日本でも、若田さんあるいは野口さんが乗り組んで活躍をされた。特に若田さんは、ついこの間まで船長をされていたということでございますし、また、この事業に対して、日本は、二〇一〇年までにおよそ七千百億円、そしてまた、二〇一一年から一五年にかけて、およそ二千億円を拠出するということになっております。  そんな中で、先般、アメリカにおいて、十月の二十八日、そして三十一日の二度にわたって、ロケット並びに宇宙船の事故がございました。  今回の事故の究明はもちろん当事者がやるわけですけれども、その原因の情報収集、そしてまた、そのことが日本の宇宙開発にとって教訓となり得るものがあるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  192. 岩瀬公一

    岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねのありました事故でございますが、十月二十八日に打ち上げを失敗いたしましたアンタレスロケットにつきましては、国際宇宙ステーション、ISSへの物資補給船シグナスの打ち上げ用として米国オービタル・サイエンシズ社が開発したロケットでありまして、二〇一三年の初号機以来、合計四回の打ち上げに成功しておりました。  今回の事故原因につきましては、オービタル・サイエンシズ社からは、一段目のロケットの二基ある主エンジンのうち、一基の燃料ポンプに起きた異常が原因と見られるとの見解が示されておりますけれども、詳細につきましては、引き続き究明中と聞いております。  また、十月三十一日に墜落事故が発生しましたスペースシップ2につきましては、ヴァージン・ギャラクティック社が世界初の商業宇宙飛行を計画していたところでございます。  事故原因につきましては、アメリカ国家運輸安全委員会が緊急調査団を現地に派遣しておりますが、調査には最大一年かかるとの見通しが示されておりまして、こちらにつきましても、詳細については究明中ということでございます。  前者のアンタレスロケットの事故につきましては、ISSへの物資補給ということでございましたけれども、ISSの運用に直ちに影響はないということで承知してございます。ただ、今後の補給計画の見直し等、どういう具体的な対応をしていくのかということにつきましては、他のISS参加国とも調整をしていきたいと考えております。  なお、後者のスペースシップ2につきましては、ISS計画との関連性はないというふうに考えてございます。  また、どういう教訓があるかということでございますが、今回の続けて発生しました事故につきまして、私どもとしましては、改めて、宇宙開発が技術の粋を集めた、小さなミスも許されないものであるということを認識したところでございます。  両事故の原因等につきましては、ただいま御報告申し上げましたように、現在、米国において調査中ということで聞いておるところでございますけれども、宇宙の開発利用推進していくためには、高い安全性、信頼性を維持、確保することが大前提でございます。我が国においても、そのための技術開発を引き続き推進してまいる所存でございます。
  193. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございました。  まさに今おっしゃいましたように、ちょっとしたわずかなミスで、失敗、また事故につながるというのは、これは今回に限らずのお話だと思います。  そういう面で、日本のロケット開発というのは、御承知のとおり、糸川博士のペンシル型のロケットを垂直に飛ばしたと思うんですけれども、あれ以来、今日のH2Aの大型ロケットまでを開発されるようになった。まさに隔世の感がありますし、また、このH2Aについては、十九回連続して成功しているということで、本当に高い信頼性のあるロケットだと。そういう面では、我々としても大きな誇りではあります。  そういう中で、十一月三十日にこのH2Aを使って探査機はやぶさ二号が打ち上げられる予定になっております。この計画について、そのミッションについてお尋ねをしたいと思います。
  194. 岩瀬公一

    岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。  小惑星探査機「はやぶさ」の技術成果を継承、発展させました「はやぶさ2」につきまして、今月三十日に打ち上げを予定してございます。打ち上げ後は、平成三十年に目的とします小惑星に到着しまして、小惑星表面の観測や試料の採取を行った後、平成三十二年に地球に帰還する予定となってございます。  「はやぶさ2」では、鉱物に加えまして水や有機物が存在すると考えられております小惑星、いわゆるC型小惑星と申しますが、それをターゲットとしておりまして、採取した試料の分析等を通じまして、太陽系や地球、生命の起源と進化の過程、そういったものの解明が進むことが期待されております。  また、「はやぶさ」で確立した小惑星サンプルリターン技術を継承しつつ、「はやぶさ」にはなかった、惑星内部の物質を採取する、そういう装置も搭載しておりまして、新たな技術的な挑戦を行うこととしてございます。  「はやぶさ2」の打ち上げや運用を通じまして、我が国独自の宇宙探査技術の発展や惑星科学の発展が図られるものと考えております。     〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
  195. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございました。  あえてこのはやぶさ二号のお話をお聞きした理由は、昨今、こういう宇宙の研究、あるいは宇宙での実験について、有人である必要があるのかという疑問も、疑問といいますか、そういうことも問われるようになってきております。  はやぶさ二号のように、まさに無人で、地球からコントロール、オペレーションをして大きな成果を出すということが十分可能である、そういう状況の中で、あえて有人で宇宙に送り込むというようなコストのかかるものよりも、コストのかからない形で宇宙のさまざまな研究開発を進めていくべきだという意見もあろうかと思います。  そういう視点の中で、今日的にISSの意義はどういうふうに捉えるべきなのか、そして、政府内でも、今後、二〇一五年以降、延長するかどうかも含めて検討中であるというふうにお聞きをしておりますけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  196. 山口俊一

    山口国務大臣 先ほど、村上先生が子供のころのお話をしておりましたが、私もしょっちゅう、一晩じゅう屋根の上に寝転がって星を見ておりました。それが何と宇宙担当の大臣ということで、感慨深いものがございます。  それだけに、若干私も夢を持って語りたいというふうな思いがあるわけですけれども、今御指摘のISSでありますが、これは、日米欧が参加をして、しかも十五カ国、もうかつて例のない規模の国際協力のプロジェクトであるということと、やはりロシアが参加をしておる、これがまさに宇宙の国際協力のシンボルみたいな話なんだろうと思います。そういった意味合いが一つある。  同時に、我々日本にとりましても、これは、先端的な有人、無人もこのISSにはありますが、有人の宇宙技術の獲得あるいは発展をさせることができた。さらには、これによって宇宙産業の振興、例えば「きぼう」、実験棟ですが、その絡みで、たしか六百社に余っての日本企業も参加をしていますし、「こうのとり」、補給機ですが、これもたしか数百社、しかも、その「こうのとり」が宇宙ステーションでドッキングするときのアームを使うやり方というのが、これは非常に評価が高いということで、アメリカもこれを取り入れる、これだけで六十億の輸出ということも実はございました。  そういったこととか、宇宙協力プロジェクトへの積極的な貢献を通じた国際協力関係、そして、「きぼう」ではさまざまな科学実験とか技術開発を行っておりますが、これも、先般聞きましたら、たんぱく質の結晶がきれいに出てくるということで、インフルエンザの新薬ももうすぐ実用段階にくるとか、そういったいろいろな成果が実はございます。  同時に、先生や私みたいに、宇宙への関心とか興味、国民の皆さん方のそういったものも強化をすることができたのではないか等々、非常に成果は上がっておるということで、今後とも、日本の実験棟の「きぼう」等々で、さまざまな科学や産業利用を通じた成果を実は期待しておるところでございます。
  197. 村上史好

    ○村上(史)委員 今の御答弁によれば、このISSの事業については、今後も引き続きという意味でよろしいんでしょうか。これからの見通しとして、どうなんでしょうか。
  198. 山口俊一

    山口国務大臣 済みません、先ほど延長のお話もありましたけれども、二〇二四年まで延長ということは、これは十五カ国の、お互い協力作業でありますので、他国の動向というのが一つあろうかと思います。  同時に、外交面の話もあるでしょうし、産業基盤をいかに維持するか、競争力を高めるか、あるいは、科学技術に与える影響、要するに、与える効果と、費用がどのぐらいかかるのかということもこれまたございますので、そこら辺はさまざまな側面から総合的に検討して判断をしていくということになろうかと思います。
  199. 村上史好

    ○村上(史)委員 まさに総合的といいますか、コストに見合うだけの成果があるのかどうかということも一つ評価の基準になると思います。  現実に、先ほど申し上げましたように、二〇一五年までおよそ一兆円近い、九千億円以上の費用を要するということを考えるならば、もちろん、ISSの存在意義というものを認めますけれども、それも検討課題の一つになるのではないかなということで、あえて質問をさせていただきました。  それでは次に、ロマンチックな宇宙には全く不似合いな話ですが、宇宙ごみ、いわゆるスペースデブリの話でございます。  宇宙ごみというのは、御承知のとおり、衛星が壊れたりぶつかったりでいろいろな破片が飛んでいくということで、特に、平成十九年には中国が衛星破壊実験をして、またごみをまき散らしたという事例もございますし、二十一年には米ロの衛星同士が衝突して、またごみが出た。その数はおよそ一万二千個だと言われております。  今後、幾つかの衛星を各国がどんどん上げていく中で、宇宙ごみの危険性、またそれに対する除去の問題というのは、日本のみならず、世界共通の課題だと思います。  世界的な取り組みは別にして、日本としてどういう取り組みをしようとしているのか、また、現実にどのような開発がなされているのか、お尋ねをしたいと思います。
  200. 中村雅人

    中村政府参考人 お答え申し上げます。  地球を回っております宇宙ごみ、スペースデブリと申しておりますけれども、スペースデブリにつきましては、現在、十センチメートル以上の大きさのものだけで約二万個以上あるというふうに言われておりまして、さらにその数が年々増加しているというふうに承知してございます。  このデブリでございますけれども、秒速七から八キロメートル、時速に直しますと時速二万五千キロメートル以上という非常に速いスピードで地球を回ってございまして、これが人工衛星等に衝突いたしますと、人工衛星に深刻な被害を与えるというおそれがございます。したがいまして、デブリの発生抑制あるいは低減のための措置というのは非常に重要であるというふうに考えてございます。  デブリの発生抑制あるいは低減でございますけれども、各国単独で実現するというのは非常に困難でございまして、国際協力が必要不可欠であるというふうに考えてございます。このため、今作成を進めてございます宇宙基本計画におきましても、国際協力を念頭に置きまして、まず我が国の宇宙状況把握に関します体制の確立が必要であるというふうにしてございます。それから、国際的な行動規範の作成ということで、世界が共同して取り組もうという機運を高めていくことも考えてございます。それから最後に、デブリの除去技術、これも非常に重要であるということで、その研究開発に取り組むということも盛り込んでございます。  今後とも、関係府省との連携のもと、安全かつ安定的な宇宙開発利用に向けた取り組み推進してまいりたい、このように考えてございます。     〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
  201. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございました。  聞くところによると、日本研究は結構進んでいるとお聞きしております。それが世界的に認められて、そして、日本技術で宇宙ごみをどんどん除去していけるという状況で日本がリードしていただきたいなという思いで、これからも頑張っていただきたいなと思います。  それでは、宇宙基本計画の見直しについて、最後にお尋ねをしたいと思います。  これは、もう既に何度も先ほど来質問が出ておりますので、ややダブる面もあろうかと思いますが、再度お答えをいただきたいと思います。  今回の基本計画の見直し、新たな基本計画の策定については、総理の方から山口大臣に直接御指示があったということでございます。そういう中で、昨年の一月に計画を立てて、そしてまた一年もたたないうちになぜ新たな計画が必要なのか、その理由と、そして、先ほど御答弁ありましたけれども、年内をめどにということでお聞きしておりますが、その理由についてお尋ねしたいと思います。
  202. 山口俊一

    山口国務大臣 その前に、先ほど文科省の方は遠慮したんでしょうけれども、平成二十六年度予算で、実はデブリの除去に関して、世界初と言われる除去システムに関して予算要求をしておりました。  これは、ちょっとした出っ張りというか、何か羽根みたいなものをつけて、高度を下げて燃やしてしまうというふうな処理の仕方で、非常に注目をされております。それだけ申し上げておきたいと思います。  実は、今の宇宙基本計画でありますが、これも先ほど来お答えをさせていただいておりますように、まずは、やはり宇宙政策を取り巻く環境が大きく変わったというふうなことがあろうかと思います。これは一つは、例えばインドも見事に打ち上げに成功した。あるいは中国の台頭、先ほど先生指摘ありました、ミサイルで何と人工衛星を分解というか破壊するということまでできるようになってまいりました。そうしたことが一つと、もう一つは、やはり安全保障環境が大きく変わってきたというふうなことがあろうかと思います。  そうしたことから、宇宙のさまざまな衛星システム、とりわけリモートセンシングシステム等を利用して、やはりさまざまなデータをしっかりと安全保障面でも利活用する必要があるんではないか等々、そういったところから安倍総理からの御指示があったんだろう。  もう一つが、産業界が実はちょっと、言葉は悪いんですが、じり貧状況でありまして、せっかく我々、こうして一生懸命やっている中で、産業界が、そこら辺がいろいろ伸びていくようにということで、やはりしっかりと、何年ぐらいに何をやるのかなというのは、いわゆる予見性ですね、これをやってあげないとだめなんじゃないか等々、そういったことから総理の御指示が出たわけでございます。  それを受けて、ただいま、実はパブリックコメントにかけております。これが近々中に終わりまして、それを受けて、さらには、今回初めて、十年間で五兆円とか、あるいは準天頂を七基体制にするとか、かなり具体的に書き込ませていただきたいというところで、やはり財務当局との協議というのがどうしても必要になってまいります。それらを経て、本年中にしっかりと決定をさせていただきたいということです。
  203. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございました。  年内ということになりますと、当委員会とはまた違う話なんですけれども、日米ガイドライン見直しの最終報告が出るのも年内だと言われております。そういう面で、日米の宇宙での協力ということも念頭にあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  204. 山口俊一

    山口国務大臣 お尋ねのガイドライン見直しにつきましては、日米の外務、防衛当局間で所要の作業を行っておるということは承知をいたしております。この関係と宇宙基本計画というのは、特にそこら辺を念頭に置いてというふうなことではありませんが、ただ、さまざまな環境が変化してきたねということは、同じ思いがあるんだろうとは思います。
  205. 村上史好

    ○村上(史)委員 ありがとうございました。  それに関連いたしまして、これは新聞報道でございますけれども、JAXAの行っている衛星の情報などの業務を、防衛省に新たな専門部署をつくった上で移行させるのではないかという新聞報道がありましたけれども、これは事実でしょうか。
  206. 岩瀬公一

    岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。  安全保障分野におきます宇宙開発利用の重要性が増しております中、先ほどから話題になっております宇宙状況監視につきましては、昨年十月の2プラス2においても重要な取り組みとして位置づけられていると承知しております。  本年五月から、JAXAと米国との間でデータの交換を行う、そういう取り組みをしております。  文部科学省としましては、宇宙状況監視を含めまして、JAXAと防衛省の間の連携を図ってきているところではございますが、ただいま御質問がございました、JAXAの宇宙状況監視等の業務を防衛省に移管する、そういう検討を行っているという事実はございません。  今後とも、宇宙状況監視等につきまして、関係府省と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
  207. 村上史好

    ○村上(史)委員 時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますけれども、やはり宇宙開発については、日本の場合は、特に憲法の制約もあります。専守防衛、平和を求めるという立場でもありますので、宇宙の平和利用については明確に政府としても示していく必要があると思いますし、また同時に、宇宙の現実、アメリカ、ロシア、中国、それぞれが熾烈な戦いをしている現場でもあるということは、一方で国民に十分情報を提供していくべきではないかな、そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  208. 清水鴻一郎

    清水委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時一分散会